純粋とは矛盾色-Necronomicon rule book-

夢と希望をお届けする『エムシー販売店』経営者が描く腐敗の物語。 皆さまの秘めた『グレイヴ』が目覚めますことを心待ちにしております。

タグ:飲み薬

      3年振り

 ティラノビルダー『グノーグレイヴ』
画像をクリックしてね)

 4年前に制作して、いったん掲載不可になっていた自作ゲームが、『バラ色プリンス』のべろ様のお力を借りてこの度復活しました!!



 声が出るのでスマホで閲覧の方はご注意ください。本作品は成人向け憑依モノになっております!!10分ほどのゲームですので、プレイして頂けましたら嬉しいです。

 最後に残っていた再掲載作品がようやく投稿できました(感涙)
 べろ様にこの場を借りて御礼申し上げます。

 18禁ゲーム。また作りたいですね(*´Д`)ハァハァ

 ペロペロと舌で舐めていく。長い舌を逸物の裏筋に宛がい、そのまま亀頭に向かって撫であげていく。れろんと弾き飛ばす舌に揺れる逸物がビクビクと大きく膨らんでいく。
 ソフトクリームのように何度も亀頭を舌で舐める茜音(貴明)がゆっくりと目を開けていく。
 はちきれんばかりに膨らんだ貴明の逸物。見慣れたものではあるが、顔の正面から覗く亀頭を見たことがなかった。

「はぁ、はぁ。私、貴明になってるんだよね。だから、こうしても別に大丈夫だよね?」

 何をしようというのか。そう思っているうちに髪を掴まれてしまった。無理やりされたら、その無理やりが通ってしまう、それくらいの差がある。

「女の子と快感の質が違うの。だから・・・お口でしてほしい」

 貴明は自分の精力をこの時ばかりは呪うしかなかった。それでも普通の男子高校生並みだと思っている。茜音が意外と性に対して貪欲な一面をもっているのであった。貴明(茜音)が茜音(貴明)の顔を見下ろしながら潤んだ瞳を見つめている。

「自分の口なのに不思議・・・見てるとだんだんイヤらしく見えるの」
「だからって、フェラなんて俺できないぞ。上手くやれる自信もないぞ」
「大丈夫。いざとなれば私が顔を持って動かすから」
「それってイラマチオじゃないかあ!?」

 と、ここで茜音(貴明)は大声を上げるわけにはいかない。家の中には家族がいるのだ。まわりから見れば貴明が茜音を襲っているように見えるのだから。それだけは回避しなければならないと、貴明の危機管理が逸物を咥える毛嫌いを勝った。

「んちゅっ、ちゅ、ちゅくぅ・・・・・・うぇっ、えぇぇ」

「お」の口に開いて亀頭からしゃぶっていく。口内へ消えていく逸物に、貴明(茜音)の表情が切なく揺れる。一度奥まで咥えた逸物を、ゆっくり口から吐き出していく。温かい口内と粘膜の湿り気が消え、また咥えてほしいという想いが亀頭から訴えかけられる。茜音(貴明)の頭を持って再び逸物を奥へと咥えさせる。茜音(貴明)は目を閉じてジッと我慢しているようになるようになっていた。

「嫌なの?自分のおち〇ち〇咥えるの?」
「美味くない・・・にがくて、くちゃい・・・・・・」
「大丈夫。後で貴明も気持ちよくしてあげるから」

 何か妙なことを言っている。だけど貴明の苦痛は続く。

「じゅぶ、じゅぷ、じゅっぽ、じゅっぽ、うぅうっ・・・・・・」

 スピードをあげて扱くように口を窄めて喉奥に入れたり吐き出したりさせる。我慢汁の味が舌一面に広がっていた。
 茜音(貴明)が頑張るたびに貴明(茜音)が気持ちよさそうな表情で天を仰いでいた。

「っくうぅぅっ・・・・・・いい、いいよ、貴明。意外に献身的なんだね」
「褒められてもなんも言えねえ・・・」

 自分のフェラの上手さを褒められても苦笑いを浮かべる。ひょうい部で培った賜物がここでも——(以下略

「(ああ、もうイヤだ~!!早く終わってくれよ、頼むよ~!)」

 目を瞑りながらフェラを続ける茜音(貴明)。と、貴明(茜音)は髪の毛を掴んで必死に茜音(貴明)の顔を揺すって喉奥まで亀頭を飲みこませていた。

「(茜音のやつ・・・本当にイラマチオさせて・・・・・・)んご、ご、ぐがぼ・・・」

 じゅぷじゅぷと、二人で貴明の身体を気持ちよくするように口と声で表していく。、茜音(貴明)が口で亀頭を飲みこんでで貴明(茜音)が快感に震える声を荒げる。

「ふ・・・も、もう少しで出そう・・・・・・頑張って!」
「じゅるるうっ、じゅっぽ、じゅぽ、じゅるじゅるじゅる!」

 唾液を塗して我慢汁を中和しながら口で扱き続ける。口の粘膜に亀頭を押しつけ、フェラを激しくし、自分の気持ちよくなる裏筋部分やカリ首を責めたてる。

「じゅるるるっ、じゅぱじゅぱ、ずずぅっ!れろれろぉっ、れる、れろぉっ!」
「っくぁああ・・・・・・!でる、射精るかも……あぁああぁぁぁ!!」
「(・・・・・・あっ・・・このままイクと俺、自分の精液飲まされるんじゃね・・・?)」

 そこまで考えが至らなかった貴明。普段ティッシュに包んではごみ箱に捨てるもの、タンパク質の塊を——飲むことになることに目を見開いた。それだけは勘弁してくれ!!と離れようにも茜音の抑えつける力が物凄く、さらに喉奥まで咥えこませた瞬間、逸物がビクビクと反応して口の中に放たれていった。

「んんんんんんんっ!!?んぐううううぅぅうぅぅぅううう―――」

 口の中にびゅるびゅると吐き出される精液は、さらにひどい味だった。
 煮え湯を飲まされる女性の身を案じて涙を浮かべてしまう。

「(ああ・・・・・・なんてことだ・・・・・・)」

 茜音(貴明)の心も憔悴しきっていた。自分の精液を喉に落としながら事実を受け入れるしかなかった。対して貴明(茜音)は射精して気持ちよさそうにしていた。茜音₋じぶん₋に口内射精したことをあっさり受け入れていた。

「ああぁあ・・・・・・はぁ、はぁ。すごい、ものすごく気持ちいい・・・・・・男の子ってずるいなあ。こんなに気持ちいいんだもの」

 茜音が分からないことを言っている。貴明にとって女の時の方が快感が強かったと思う。
 隣の芝生は青く見えるものなのか。男性が女性に。女性が男性に対する憧れは同じなのかもしれない。

「じゃあ、貴明は少し休んでて」

 再び貴明(茜音)が自分の身体を触りに来る。おっぱいをかき集めてチュパチュパと乳首を吸い始めたのだ。

「んあっ!んっ・・・んんぅ・・・・・・!」
「私の身体そんな気持ちいいの?」
「そうかもしれない・・・触られると、もっと触ってほしいって感じになる」

 今まで多くの女性の身体に憑依してきた貴明だったが、茜音の身体が一番感じやすい気がした。一度イった身体は冷めてもすぐに火照りやすく、乳房を弄っている間にどんどん先ほど体内から感じた切なさが再び蘇ってきた。

「んふああぁっ!茜音の手つき、イヤらしいよ」

 貴明(茜音)に乳房を揉まれる。茜音(貴明)は貴明-じぶん-の顔で興奮してしまっていた。

「はぁ、はぁ、私、もう止められないかもしれない」

 逞しく男の裸体で迫ってくる貴明(茜音)が唇を奪う。まだ精液のかおりが残る口内に舌を伸ばし、貴明(茜音)と舌を絡めるととても安心できて気持ちよくなっている貴明がいた。火照った表情、蕩ける二人——

「私ずっと前から貴明のこと好きだったよ」

 幼馴染の二人がはじめて交わす本音を聞いた。

「ふぁあああ!ああぁ・・・茜音・・・・・・」

 そのまま貴明(茜音)は股間へと手を伸ばしてくる。濡れそぼったおま〇こを刺激しているとあっという間に陰唇は蕩けていた。

「すごい濡れてる。イヤらしい・・・・・・私の身体なのに、すごく興奮する」
「ぁ、あううぅっ!」
「クリも硬くなっちゃってる。イヤらしい・・・気持ちよさそう」

 ビリビリした快感が駆け抜け、思わずイってしまいそうになる。再び指が膣内に入れられ、苦しいくらい快感が訪れ、貴明の指を締め付ける。もう自分の意志ではどうしようもないことを知っっていた。
 もう片方の手で勃起した乳首を抓りあげられ、茜音(貴明)に痛みが伴うけれど、さらにどうしようもないくらい感じてしまっていた。乳首と膣を執拗に責め立ててくる貴明(茜音)。再び胎内に溜まる水気の音が響いてきた。

「痛いのに・・・痛いくらい、気持ちいいっ。はぁ、あぁああぁぁあああ!!!」

 茜音(貴明)の身に軽い絶頂が起こり身体を仰け反らせる。一度目よりも早いペースでアクメに達した。しかし、先ほどより快感になれたのか、息を絶え絶えにしているものの、意識ははっきりしており、同じ快感を得られたわりに体力はまだ残っていた。
 体力を残した茜音(貴明)をベッドに倒す貴明(茜音)。自然と正常位の体勢を作り、顔を合わせた二人は濡れた性器をお互い見つめていた。

「貴明・・・もっと気持ちよくなろう」
「お、おう・・・」 

 足を開かせ、股を拡げ、小さな女性器に太い男性器を宛がう。喉を鳴らして緊張する貴明(茜音)。そして身体を強張らせ緊張する茜音(貴明)。

「挿入れるよ、貴明・・・・・・私のなかに・・・・・・」
「ああ、分かったよ。俺の身体だもんな。責任取らないとな」
「うん!」

 貴明(茜音)がグッと、腰を前に突き出し、ゆっくりと逸物が膣内へ侵入してくる。最初は先端だけだと思ったが、徐々に押し込まれ、ズブズブと濡れそぼった性器通りがこすれ合いながら滑り込んでいった。

「はぁあぁああぁああぁぁぁぁ!!!」

 我慢していた茜音(貴明)も耐えきれなくなり、苦痛に表情を歪めて叫ぶ。でも、その時にはもう貴明(茜音)の逸物はすっぽりと膣奥へ潜り込んでいた。亀頭が滑り、竿全体に膣肉が締め付けてくる。それは口内よりも狭く、愛液で充満していて快楽そのものだった。

「はぁ、はぁ、ああっ、いい、気持ちいいよ、貴明」
「なんだこれ・・・肉と肉がこすれあって・・・指とは全然違う。気持ちよすぎて・・・・・・頭が真っ白になる」
「私の膣内・・・・・・こんなに、気持ちいいなんて知らなかった」
「お、俺も、俺のち〇ぽがこんなに気持ちいいものだったなんて思わなかった」

 茜音も貴明も、二人が自分の身体、自分の快感を相手に求めていく。
 自然と腰を振る貴明(茜音)に合わせて茜音(貴明)も無意識に子宮を下ろす。亀頭の先がコツンコツンと最奥地を何度も突く度に、二人はブルブル身震いし、快感を溢れさせて涙を零す。

「ち〇ぽに突かれてぇ、イっちまう!はあ、あぁあっ!んんぁああああああぁぁぁぁぁあああぁぁ!!」

 貴明(茜音)に容赦なく突かれて茜音(貴明)が三度イってしまう。しかし、貴明(茜音)はまだ射精していないらしく、腰を振り続けている。
 絶頂直後の敏感な状態でのピストンに脳がチリチリ焼き尽くされる。これは、ヤバイと茜音(貴明)は本能的に悟っていた。

「や、やめろぉぉ!し、ぬっ、死んぢゃう!あああああぁぁぁ!!」
「しらないわよ!貴明が勝手にイったんじゃない!」
「お、おおお、おまえのからだ、言うこときかないからぁ・・・・・・おほお゛お゛ぉ゛ぉ゛ぉ!!」

 呼吸を乱したまま快感が襲い掛かってくる。酸欠になりそうなほど息苦しく、やめてほしいと想う反面、ブレーキを壊してどうなってもいいと思えるくらいの破壊願望が脳を埋め尽くしていった。

「いっぐうううぅっっ!!また、またイク、イっちゃううぅうううぅうぅ!!」

 もう茜音の身体はイキっぱなしである。茜音(貴明)の頭がどうにかなっちゃいそうだった。このまま雌としての快感が脳に深く刻み込まれてしまいそうになっていた。
 男性-もとのからだ-に戻れたとしても、この記憶は残り続けるのではないだろうか。男性としての生活に支障がでるレベルの快楽だった。

「はぁ、はぁ、もう、射精そうよ・・・・・・っ、貴明。膣内に射精すからね」
「んんんっ・・・らめぇ・・・いまぁなかぁ、だされたらぁ・・・・・・おんなのこになっちゃぅ~!!」

 生殖行動として精液を本能が求めるのは自然の摂理だとわかっていながら、いま受けたらどうなってしまうか貴明にも分からなかった。

「待ってくれ。本当に、もう、むりぃ」
「いま射精我慢する方が無理ぃ!」
「しょんなぁ・・・」

 目から涙を流して貴明(茜音)の暴言を受け入れるしかない茜音(貴明)。しかし貴明自身、もしも立場が逆になったら同じことをすると思っていた。
 女の身体って、そういうことなんだ。

 パン、パン、パン、パン、

「あ、あ、あ、あ」

 貴明(茜音)のピストン運動が激しさを増し、茜音(貴明)の身体が悲鳴をあげる。

「はぁ、でちゃう、貴明!射精すからね!!」
「はぁあぁああああ、また、イクっ、イキっぱなしになりゅっ!はぁ、あぁあぁぁ!!」

 このまま貴明-じぶん-の身体に犯されて射精される。どうなってしまうのか分からないけど、逃れられない。茜音(貴明)にとって復讐どころか丸め込まれて完全敗北である。
 ・・・・・・でも——茜音の敏感過ぎる快楽を味わえるだけでも完全勝利なのは間違いなかった。

「んううううぅぅうぅぅうぅ、あぁ、あぁぁあぁああああぁぁぁ―――――!!!!」

 どく、どくと、胎内に広がり溢れだしてくる精液が、膣、子宮に注がれていく。
 熱く滾った精液の流動を感じて、だらしなく開いた口元から唾液が糸を引いて零れ落ちた・・・・・・。

「きもひ、いい・・・・・・」

 譫言のように呟く茜音を見ながら、すべてを終えた貴明も高揚感に満たされていた。

「すごい、気持ちよさそうな顔してる・・・・・・私ってこんなに色っぽい顔できるんだ・・・・・・」

 全てを終えて精も根も使い果たした貴明(茜音)は茜音(貴明)の身体に身を寄せた。
 茜音(貴明)にとってしばらく身動きすることも出来ず、朦朧とした意識の中で黙って眠るように目を閉じていた。

「もうどこにも行かないで。いつまでも私だけを見ていてね」

 貴明(茜音)の素直な声が茜音(貴明)に静かに届いた。


続きを読む

「・・・なにをやってるんだ、俺は・・・・・・」


 茜音(貴明)は授業が終わり、茜音の部屋にまっすぐ戻ってきてしまったことを後悔した。
 学校では体育の後疲れてしまい、そのまま睡眠学習に突入してしまい、起きたら放課後になっていたのだ。

「なんで起こしてくれなかったあぁぁ!!」
「だって、あまりに気持ちよさそうだったから・・・」

 体育での活躍を皆知っているせいか、眠っている茜音を起こさないようにしようとクラスが団結して起こさなかったのだという。

「余計なお世話だよぉぉぉ!!オオォォォン!!」

 一人残った義也に連れられて学校を去る。その時間になると既に陽が傾いていた。

「もうこの時間で暗いね。一年早いね」

 雪の到来を告げる冬。5時でも夕暮れは落ちて辺りは暗くなっていた。貴明(茜音)の姿はそこにはなかった。義也も帰ったというだけでそれ以外何も知らなかったようだ。

「なんてこったい・・・俺はまだ何もしてないぞ・・・・・・」

『飲み薬』を使って復讐すると言っていながら、茜音の株を挙げることしかしていない。むしろ義也が見た茜音(貴明)の行動は、どこか復讐に本気を出している素振りが見えない。
 そう思ったのは、眞熊達樹の告白を義也も聞いていたからだ。

「ねえ、貴明。本当に茜音さんに復讐するつもりだったの?」
「ったりめーだ!この身体を使って、トラウマをだな——」
「ふーん。なんか口だけなんだよな」

 義也にしては珍しく茜音(貴明)に食いつくので、売り言葉を買ってしまう。

「馬鹿言え!俺がやろうと思えば車の前に飛び出して一生残る傷を作ってやる——」
「貴明が車の前に飛び出すなんて出来ないよ~」
「言ったな!いいんだな!じゃあ、見てろよ!今から茜音の身体で本気で飛び出してやるからな!」

 言い切った茜音(貴明)が何を思ったのか、道路に飛び出し走ってくる車に向かっていった。

「貴明!?」

 言い過ぎたと本気で後悔した義也。茜音の身体が車に跳ねられると思ったが、時速30km制限の道路で飛び出した茜音に気付いて車はブレーキを踏んで停止した。そして飛び乗った茜音(貴明)は、思い通りにならなくて一瞬思考停止したが、

「えい!えい!」

 突然、拳を振り下ろしてフロントガラスを叩き始めた。しかし、茜音の手の力でフロントガラスを叩いたところで全然ガラスにダメージはなく、コン、コンと音を立てるだけで割れる心配など全くなさそうだ。

「お嬢ちゃん。なにやってるんだい、早くおりてくれよ」
「ごめんなさい!すぐおりますから!」

 義也に引きずられて慌てて車から降ろされる。運転手は怒り心頭だった。

「次やったら学校に連絡するよ。まったく、危ないじゃないか」
「本当にごめんなさい。気を付けます!ハイ!」

 歩道に戻りながら全力で頭を下げる義也に運転手は車を走らせて消えていく。姿が見えなくなったあと、義也が変わりに謝罪したことに対する怒りを倍にして茜音(貴明)を睨みつけていた。
 茜音(貴明)も計画通り進まなかったことで調子がくるっているのか、義也から視線を逸らすように横を向いた。

「・・・・・・ってなわけよ」
「謝って」

 馬鹿なことをしていると、義也は深々とため息を吐いた。

「本当に飛び出すなんてどうかしてるよ。死んだらどうするつもりだったんだよ」
「安心しろ。異世界が俺を待っている!」

 ブチッと、義也の怒りが冷める前に燃料がさらに追加され、茜音(貴明)の身体をぐいぐいと車道へと押し込んでいった。

「いっぺん死んで来い!!」
「やめろ!茜音の身体だぞ!茜音の帰る身体がなくなるぞ!!」
「ほらぁ。やっぱり死ぬつもりなんて毛頭なかったじゃないか!」

 貴明の言っていることとやっていることが噛みあっていない。
 復習したいといいながら、どう復讐していいのか分からないと、逆に縛られているように思えてしまう。
 それも今日、貴明が本音を発したあの一言に尽きた。

「貴明。眞熊くんに告白されてたよね?」

 義也が達樹に告白されたことを教えると、茜音(貴明)は動揺していた。思いを伝えるとき誰にも知られないよう陰で告白するものだ。達樹もそのために体育館裏に茜音(貴明)を呼び出していた。にもかかわらず、義也がその告白を見ていたなんて思いもしないだろう。

「な、なんでそれを知ってる!?」
「聞いてたもの」
「あ・・・あ・・・」
「その時貴明、言ったよね?」

『茜音の幸せは俺が決める。どんなにおまえが茜音のために最善を選ばせようが、俺が決める幸せが茜音の一番の幸せだ、バカヤロウ!!!』

 一字一句間違えないくらい、茜音(貴明)が言った言葉を覚えている。それくらい印象に残った台詞だったのだ。義也だけじゃなく、貴明(茜音)にも残っていたはずだということはあえて義也は告げなかった。

「それってつまり、貴明がやりたかったことって茜音さんを困らせたかっただけでしょ?好きな子に虐めたいみたいな」

 貴明の本心を突く一撃をさり気無く発する。貴明がもし自分の気持ちに気付いていないなら、意識させるように持って行きたかったのだ。
 義也は貴明の親友だから幸せになってもらいたいから。

「冗談じゃない。俺は茜音にごめんなさいさせるんだ。俺と同じ苦しみを味あわせるためにな!」

 ひょうい部を廃部にさせた茜音に苦しみを味あわせるために『飲み薬』を使ったのだ。貴明が発足し、行動し、部員を集め、生徒会長に直談判した。人一倍想い入れのある部活動なのだ。
 部活にならなかったとしても、廃部になったとしても、他校の女子生徒に憑依して遊んだ記憶は義也も貴明も忘れられない思い出だ。
 だからこそ、何時までも続けていたいと思う貴明。面白い遊びを捨てて勉強に励むことを拒む。
 だからこそ、勉強に励むことができると思う義也。これからどんな辛いことが待っていても、部活で培った思い出がある限り前を進んで歩んでいける。

「貴明・・・・・・」

 二人の意見は一日で交わることは出来なかった。それぞれ家路に向かい放れていった。
 部活に縛られている貴明にとって、幽霊部に取り憑かれてしまった貴明をどうすれば目覚めさせることが出来るのか義也には分からなかった。



 ・・・
 ・・・・・・
 ・・・・・・・・・

 茜音として部屋に戻ってきた貴明。幼馴染とは言え貴明が茜音の部屋に入ったことは子供のときから一度もない。逆に茜音が貴明の部屋に入ったことがあるのは、基本誘っているのが千村家の方だったからだ。
 始めて入る茜音の部屋。無断で侵入しているような感覚に警戒が解けない。今すぐにでも茜音が現れて、「なに勝手に入ってんのよ、この常識知らず~!」と殴られるのではないかと思えてしまうほどだ。
 しかし、ここには貴明しかいない。たった1人だけだ。通学鞄を置き、部屋一面を見渡した。
 年相応の女の子らしい部屋の模様になっており、女の子の部屋特有の甘い香りが鼻腔をくすぐる。可愛いデザインのベッドや机は少し値段が張りそうだ。そして本棚には集めている雑誌が綺麗に発売順に収められており、几帳面さが垣間見える。
 パソコン関連も持っていないため、コードやコンセントが少ない印象だ。その分クローゼットにかけられている服の多さに驚くほどだ。貴明が見ている茜音の服はせいぜい制服のみだったこともあり、茜音がこれほど衣服にお金を掛けているとは思っていなかった。

「そんなことよりも——!」

 茜音は姿見の前に移動して自分の姿を覗いてみた。
 そこに映るのは高橋茜音の姿だ。千村貴明はそこにはなく、変わりに幼馴染の茜音が映っているのだ。いや、この場合は逆かもしれない。茜音の部屋で茜音が映っているのはなにもおかしくない。しかし、貴明の意志で茜音を動かすことが出来るのである。

「今の俺は茜音だぞ。俺が下手なことすれば茜音が罪を被るんだ。ざまあみろ!」

 誰かを脅す様な口振りで高笑いを見せる。聞いているのは茜音(貴明)以外誰もいないが、満足そうに微笑んだ後で物色を開始する。

「茜音の人生を潰すために手っ取り早いっていったらネット!炎上商法だ!!ネットに茜音の恥ずかしい画像を載せれば萌えあがるだろ。頼むぞ、突撃兵たちよ!」

 貴明は近くにあった箪笥の中を勝手に開いて、下着が収納された棚を発見する。色気のない白が多い中で、水玉やピンクなどのカラフルが数点ある。下着を揃える年齢でもないとはいえ、その種類は他の女子よりも多いのではないだろうか。

「色々あんじゃん。へー」

 柄だけではなく、カップのデザインも豊富だ。フルカップブラ、ボリューム感を出すハーフカップブラ、締めつけが少なく着け心地がよく、とにかくラクなイメージの強いノンワイヤーブラと、バリエーション豊富になっている。
 茜音は物を捨てられない性格で奥にはサイズがもう合わないようなものまで残っていた。貴明が見つけたのは、中学時代に使用していたスク水が出てきたのだ。

「懐かしい。スク水じゃん。まだ取っておいたのかよ。捨てとけよ」

 ポリエステル素材のスク水は穿かれなくなっても昔と同じくその存在感に遜色がない。
 やけに小さいイメージがあるのは、貴明の記憶しているサイズと茜音のサイズに差があるせいだ。

「大事に取っておいたんなら、俺が着てやるよ。お前の身体でな」

 スッ——と、制服を脱ぎ捨てた茜音(貴明)はスク水を穿いていく。
 スレンダーな身体にスクール水着が良く似合う。スタイルも崩れているわけではなく、1年ぶりに着たであろうスク水を身に付けることが出来たのだった。

「こんな感じで着方合ってるか?女物のスク水なんて生まれて初めて着替えたけど、この身体にぴったりフィットする感じがたまんないんだよな。へぇ~。わりと入るもんだな。ちょっとキツイ・・・食い込みが」

 ひょうい部で培ってきた経験が蘇る。やはり女物の衣服に包まれる感じは男性では味わうことのできない楽しみの一つだと再認識される。胸や股間が食い込んでいるのもまた、茜音が成長した証拠であることを知る機会であり、食い込みを直してハイレグにならないようにちょくちょく手を入れていく。

「サイズがちっさくなってる?違うか、身体が大きくなってるのか。ハイレグ・・・処理が甘いところ見えるんじゃないか」

 鏡で、そして茜音-じぶん-の目でスク水に包まれた身体を見ながら感嘆の息を吐いた。

「素晴らしい。スク水が栄えるな!」

      jkがスク水に着替えたら・・・

 レースクイーンが取るようなポーズを取りながら、大胆に身体を突き出すと、胸の膨らみがスク水を押し上げて美しいボディラインを見せていた。貴明が興奮し、鼻息を荒くしていくにつれ、茜音の身体が反応を見せ始めた。

「あっ、乳首が浮き上がってボッチ作ってる・・・。うわあっ・・・」

 スク水の上から浮き上がった乳首を恐る恐る摘まんでみる。

「んぅっ!いたっ・・・」

 スク水の中で弄るには狭すぎるのか、乳首が敏感すぎて痛みを覚えるほどだ。窮屈なのは貴明も嫌で、火照り始める前にスク水を脱ぎ始めた。

「・・・まあ、スク水は幼稚だったかな」

 そう言いながら、クロッチの部分が少し濡れてしまっていた。貴明は隠すようにそのまま箪笥の奥に戻してしまった。そして、先ほどから気になっていた大人っぽいデザインの下着を取り出すと、それを今度は身に付けていった。

「一度ブラってやつを着けてみたかったんだよな。えっと——」

 ハーフカップブラを乳房に宛がい、背中に腕を回してフックにかける。後ろで留めようと鏡の前で背中を向いて悪戦苦闘する。

「・・・う~~ん?なんだこれ?む、難しいって、いてて・・・・・・」

 もっと簡単なやり方があるのに貴明は付け方を知らなかった。茜音の柔軟さがなければブラを付けることは難しそうだ。

「おっ、はまった」

 なんとかフックがかかりブラが付いた。

「おお~お、おおお~~いつもより大人っぽい・・・・・・」

 姿見の前に立つと情熱の赤い下着を身につけた茜音が鏡の向こうに立っていた。これが茜音の勝負下着だろう。

「谷間が出来てる・・・。すげえ・・・」

 ムニュリと寄せあげられた胸の谷間とその谷間を強調するようにオープンになっている胸元に思わず視線が向いてしまいそうだった。そのまま視線を下げていくと、ブラとお揃いのデザインのパンツが茜音の大事な部分を覆い隠していた。
 スク水よりもきわどいV字ラインがイヤらしい。えっちな割れ目を隠す赤い布のシルエットにドキドキしてしまう。色気のない下着と違い、生地はシルクを使っており、スベスベしていて肌触りがいい。トランクスともボクサーパンツとも違う履き心地になんとも言えない柔らかさを感じてしまった。
 かなりお値段も高そうな下着である。

「それにしても、茜音はこういう背伸びしたデザインが似合うな・・・」

      ピンクのブラ

 これが初めて使ったわけではなさそうである。もしかしたら普段からも身に付けていたのだろうか。これを身に付けて誰に見せようとしているのかすごく気になるところだ。
 下着姿の茜音を見つめていると、自然と鼓動が高鳴った。

「ん・・・い、今の感覚は・・・この身体疼いてる・・・・・・」

 貴明が茜音で欲情したことなど一度もない。それなのに自分が茜音の下着姿に欲情していることにひどく動揺していた。おま〇こから切なく訴えてくる感覚に、一度唾を飲みこんだ。
 興奮が抑えきれなくなり、一人である状況にこのまま自慰行為だってやれるのだ。茜音の身体でオナニーすることが今まで憑依してきた女子生徒たちと何が違うというのだろうか。

「わっかんねえよ・・・そんなつもりないのに・・・・・・俺が、茜音に欲情するなんてあり得ねえって言うのによ!」

 まるで、茜音に欲情することを負けだと思っているように、自分の性欲を抑えつけようと必死に抗っているのに、その欲は止まらない。
 震える手が今まさに、下の口に触れようとした時——貴明が負けを認めるように叫んだ。

「ネットにあげるのは止めだ!止め!こんな姿を見せられたら独占したくなるだろうが」

 またもお預けしてしまう。しかし、貴明はある場所へ出掛けるために適当に服を借りて茜音の部屋を出ていった。


続きを読む

 学校が終わり貴明として帰宅する茜音。幼馴染だけあり家は隣に並んでおり、付き合いもあるせいで間違えることもなかった。
 義也もいなくなり貴明の部屋に一人佇む。模様替えしたといえ、子供のときにお邪魔した記憶からそれほど変わっていなかった。
 自分の部屋のようにベッドに倒れる貴明(茜音)。枕に顔を埋めて一日の疲労感を感じていた。

「はぁ・・・何時まで続くのかしら・・・」

 貴明のせいとはいえ、一日で色んなことがあった。

 水野結愛に告白された貴明と——
 眞熊達樹に告白された茜音と——

 全く同じタイミングで告白されるなんてことがあるだろうか。
 お互い入れ替わってなかったら別の道を歩んでいたのではないだろうかというほど人生の転機だったと思えて仕方がない。特に——


『断る』

 達樹が話している途中で茜音(貴明)は答えを出していた。茜音(貴明)は告白を断っていたことに義也は声を殺して悲鳴を上げていた。

『あ、あはは・・・伝わらなかったのか?何を言っているのか理解できなかったんだけど』
『茜音の幸せは俺が決める。どんなにおまえが茜音のために最善を選ばせようが、俺が決める幸せが茜音の一番の幸せだ、バカヤロウ!!!』


 達樹の告白を足蹴りした茜音(貴明)だったが、

「私だったら・・・・・・なんて応えたかな・・・・・・」

 茜音と達樹。会話はなかったけど、同じ成績、同じ価値観、同じ立場を共有していた。決して顔も悪いわけじゃない。口は強いけど、それが頼もしいと女子の間でモテると噂も聞いたことがある。

「性的に無理なわけじゃないし、決して嫌いって相手じゃなかった。達樹くんが言ってたようにきっと裕福に過ごせる将来を約束してくれたんだろうな・・・・・・」

 なんとも美味しい話。玉の輿に乗れるチャンスが巡ってきた。こんな機会は一生に二度と巡り合えないかもしれない。
 だけど・・・・・・そんな話を貴明が棒に振ったのだ。
 茜音になりすまし、茜音のことなどお構いなしに、茜音の価値感を決めつけて、貴明を押し通した結果——。

「はぁぁ~もう、サイアク。どうして私っていつもアイツに振り回されるんだろう・・・・・・」

 泣き言を言いながら目を伏せる。でも、不思議なことに涙は流れなかった。

「アイツのせいよ。こうなったのも、ぜんぶ、ぜんぶ!ぜ~んぶ!!貴明のせい!私の人生ぜんぶ貴明に滅茶苦茶にされて、怒ってるのに、めちゃくちゃムカつくのに・・・・・・!!!アーーーーハッハッハッハ!!!」

 今度は突然一人笑い出していた。
 枕を押さえつけて目を隠して、唇を横に綻ばせて思いっきり笑っていた。

「だから、私だってシてやったわ!!!」

 そう——貴明と同じ様に・・・・・・



「えっ、ほんと?・・・うん。千村くんの返事を聞かせて」

 水野結愛の告白に対して、貴明(茜音)は言ってしまった。
 不安と期待に胸膨らませている結愛。瞳を潤ませて見つめる結愛の姿はまさに恋する乙女であり、男ならイチコロの表情だろう。

「ごめんなさい。水野さんとは付き合えないよ」
「・・・・・・なんで?」

 理解できずに固まっている。しかし、結愛の目の輝きが失っていくのが分かった。

「なんでって言われても・・・うまく伝えられないけど・・・・・・ダメなんだ。ごめんなさい」

 結愛の告白に対して丁寧にお辞儀をして断りをいれる。そんな姿を見たくなかった結愛は態度を一変して憤慨していた。

「はあ!?わ、わけ分かんない!全っ然あやふやで意味不明なこと理由にされても納得できるわけないじゃない!!そんな言葉聞きたくなんかなかった!見損なったわ!意気地なし!」

 結愛は告白を断られて聞く耳を持たなかった。彼女にとって告白を受け入れていたことはあっても、告白をして、あまつさえ断られたことなど一度もなかっただろう。
 付き合うのが当たり前だと思っていたからこそ、現実を受け入れられずに駄々をこねている。その怒りの矛先は好きだった貴明に反転して襲い掛かっていた。

「バカ!変態!ばぁか~!」

 どんなに叫ぼうが貴明(茜音)の意見が覆ることはない。これ以上付き合っても負け犬の遠吠えにしかならないと分かっている。それでも貴明(茜音)が結愛の元から放れなかったのは——

「(水野さんにとってそうかもしれない。ひょっとしたら彼女は他の男子にも答えを求めてたのかな?)」

 男子から愛をもらおうとしていた結愛より先に、茜音の方が答えを手に入れたから。
 皮肉な話である。

「そんなの決まってる・・・」

 少しだけ茜音が結愛にほくそ笑んだ。

「長く付き合ったら分かるわよ!」

      カッチーン

「うるさいうるさいうるさい!童貞のくせに!付き合ったことなんかないくせに!私にえらそうに指図するんじゃないわよ!!う、うわあああぁぁぁぁああああぁぁぁぁ!!!」

 悔しそうに泣き言を漏らす結愛。それでも、顔を真っ赤にして本気で悔しがる姿に、同じ女性として痛みを分かち合いたいと思った。
 別のかたちで話が出来ていたら、きっと結愛と仲良くなれたのにと、この時茜音は思っていた。


続きを読む

「うわあ。貴明ったらなに考えてるんだよ!」

 教室から消えた茜音(貴明)に対して取り残された貴明(茜音)と義也。
 特に部活動の『飲み薬』を使った挙句、身体を許可なく入れ替えた貴明に対して弁明の余地はなかった。間違いなく茜音は怒っているだろうが、身体を持ち逃げした状態で解決手段がない義也はただただ土下座で謝り倒すしか許しを請う方法がなかった。

「ご、ごめんなさい高橋さん!貴明だって悪気があるわけじゃないんだよ。きっとあいつなりに僕との部活を楽しみにしていたせいで、部活を続けたかった想いが爆発しちゃったんだよ、きっと!感情のまま動いちゃったけど、高橋さんにも分かってもらいたくて、仕方なく・・・」

 言えば言うほどドツボにはまる。苦しい言い訳に言葉がどもる義也に対して、貴明(茜音)の下した判決は思いのほか軽いものだった。

「別にいいわよ。そんなこと言ったってなにも変わらないもの」
「そんなことって・・・」

 身体を入れ替えられたというのに、茜音は思っている以上にショックを受けてはいなかった。むしろ、堂々と受け入れている貴明の姿は、他の誰よりも貫禄があった。と、言っても義也たちが見ていた女子たちはだいたい憑依していたせいで意識を眠らされていた。幽体になって入れ替わった経緯まで覚えているせいか、そして、入れ替わった相手が貴明であることが間違いないせいか―—。

「でも、貴明のことだから茜音さんの身体を使って貶めるようなことするんじゃないかな?」
「しないわよ。ああ見えて臆病だもの」

 はっきりと貴明に対して断言する茜音。幼馴染だから貴明のことをよく分かっていると言わんばかりである。

「私に直接言えないのに、他の子に手を出せるわけないじゃない!」
「出してるんだよなぁ~」

      何故言い切れる?

 貴明が今までしてきたことを知らない茜音だからなのか―—とはいうものの貴明だって元々悪い人間ではない。人一倍温情があり、まじめな熱血漢と言える性格だ。その分、悪に染まれば悪に染まってしまうような人間だ。悪ノリが過ぎてしまうのは貴明の悪い一面ではあるが、茜音に見せている貴明の姿は決して悪人には見えていない。そんな姿を見ていればひょっとして——

「茜音さんって・・・もしかして・・・・・・」

 前を歩く貴明(茜音)を見つめていると、突然貴明(茜音)が立ち止まったのだ。何事かと思い布施も止まると、横を向けば男子トイレがあった。

「ねえ、そんなことより布施くん・・・・・・」
「えっ?なに?」

 急にしおらしく義也に語りかける貴明(茜音)。

「あのね。本当にごめんね。私、男の子のことよく分かってないから聞くんだけど」
「うん」
「男の子って、どうやってお手洗いするの?」
「・・・・・・・・・へ?」

 貴明(茜音)はどうやらお手洗いに行きたかったみたいで、男子トイレに初めて連れていった。入ることもないと思っていた男子トイレ。女性には馴染みのない小便器が並ぶ。

「男子のトイレって狭いわね」
「そうなの?」

 手洗い場は同じだが、女性トイレは個室が6個あるのに対して、男子トイレは小便器が4、大便器が2個で構成されている。茜音がそう思うのは最もである。貴明(茜音)は義也に連れられて小便器の前に立った。

「じゃあ、チャック下げて」
「えっ、このくらいの距離でいいの?」
「そこから!!?」

 立ちションが出来ない女性にとって男子の距離感が分からないのは仕方なかった。義也が距離を見ながらなるべく想定通りの放物線を描いて、尿はねを回避する距離感を見定めて貴明(茜音)を立たせた。

「あと一歩前へ・・・・・・この辺でいいと思うよ」
「うん・・・」

 貴明(茜音)がズボンのチャックを下ろしていく。だんだんと貴明(茜音)が無言になっていく。

「で、そこから手を差し入れて、パンツから取り出して」

 説明したことを履行するように、下ろしたチャックの中に手を差し伸べて貴明の逸物を取り出すためにゆっくりと握る。
 ぶるっと、貴明(茜音)が突如震えた。

「うひゃあ~!ふにゃふにゃあ~。なにこれ、気持ち悪い~」
「貴明、可哀想に・・・」

 ここにはいない貴明に思わず憐みすら感じてしまう義也。入れ替わったことで男性の尊厳が削られているような気がするのは義也の気のせいだろうか。

「いやあぁぁ!なんか出た!ズボンから子袋とフランクフルトが顔出してきて、いやあぁああああ!!!」
「自分で出したんだよなぁ~」

 茜音が一人ではしゃいでいる。なんともレアな光景であり、付き合っている義也の方が恥ずかしくなってきていた。

「静かにしてよ。僕まで恥ずかしくなるじゃん」
「ご、ごめんなさい。つい・・・」

 男子トイレで騒ぐのは勘弁してくれよと、義也が咎めるとようやく貴明(茜音)が狙いを定めた。

「しっかり構えて。下半身に力を入れていけば出てくるはずだから」
「えっ、えっ、どこ狙えばいいのかわかんない~?」
「そんなこと考えたことないよ。いっそのこと目を瞑ってシたらいいんじゃないかな?出来れば下を向けて底に落とせば尿はねしなくて済むと思うよ」
「わかった」

 本当に幼児がする初めてのお手洗いみたいに、言われた通りに目を閉じて小便を始めた。
 ジョロロロロ・・・
 ピッピッ。

「はぁ・・・へぇ~~~」

 茜音が初めて男子として用を済ませた。結果、感慨深いため息を吐いた。

「飛び散らなくて、いいわね」

 男子の場合はホースを操作しているように尿が放物線を描いてやり易い。女子のように落ちて出てくるわけじゃないので確かに楽だろう。時に男子は普段と違う放物線を描いたり、二股放出、トリッキーな動きをする場合もあるが、義也がそこまで茜音に教える必要はなかった。

「左に曲がるのね♪」
「もういいよ」

 男子の小便でここまで盛り上がるなんて義也ですら想定していなかった。
 むしろ、茜音が男子の身体付きに食いつくのが意外過ぎた。茜音も年甲斐の女の子。異性の身体に興味あるのは男子だけとは限らないということを義也は改めて痛感した。

「茜音さんがボロを出すのってなんか新鮮なんだけど・・・」
「コレを擦っていけば白い液が出てくるなんて、男の子って不思議な身体してんのね」




続きを読む

 授業が終わり、千村貴明₋ちむらたかあき₋は布施義也₋ふせよしや₋のもとを訪れていた。

「義也。どこの学校でDOする?」
「DOするって?」
「俺と一緒にトゥゲザーしようぜ!」
「英語と日本語が混じってお茶目な言い方してるけど、それ重語だよ。なんだよ、それ?なにがいいたいの?」
「わかんねえかな?あれだよ、あれ。もっと分かりやすく言ってやるよ」

 貴明が義也の耳元で囁いた。

「今日はひょいする?」
「どんな略語!?可愛く言っても分かんない」
「HIする?」
「短すぎてわけがわからないよ!?」
「あぁん!ひょうい部副部長がわかんないなんて意識が足りてないんじゃないか?」

 ひょうい部副部長も忘れていたひょうい部活動。それもそのはず、部活動したくても高額の『飲み薬』を購入できず、部費も底を尽きていたため自粛していたのである。義也にとって貴明から部活動をするという発言を聞くのは久しぶりのことだった。
 他の部員が幽霊部員になってしまっても、貴明と義也が立ち上げた”ひょうい部”は永遠の部活として名を残すのである。
 しかし、義也の表情はどこか暗い。貴明にとって『飲み薬』が手に入って部活動を始められそうではあるのだが、義也が危惧しているのは別の件だ。

「貴明・・・でも、僕たち・・・・・・」
「いい加減にしなさい貴明!」

 義也では貴明にガツンと言えないせいか、変わりに貴明に対抗できる人物が二人の元に駆け付けていた。

「げ、その声は高橋茜音!?」

 ひょうい部の部員でもない、千村貴明の幼馴染の高橋茜音‐たかはしあかね‐が険しい表情で貴明を睨みつけていた。まるでひょうい部の活動を遮るように立ち塞がっているのである。

「生徒会長にも認可されてない部活動でしょ。所詮同好会どまりでしょ」

 かつて生徒会長に直談判してひょうい部は正式な部活動として仲間入りしたはずである。そして何度も部員と供に部活をやっていたはずだ。今更ひょうい部が部活じゃないなどあり得ない話だ。

「そ、そんなはずはない!ひょうい部は向陽陣大高校に認知された正当な部活動の一つのはずだ」
「認められません」

 貴明の主張を一掃する一声が木霊した。教室には生徒会長の伊澤裕香―いざわゆうか―が訪れていた。

「なに、生徒会長!?何故ここに!?」
「茜音さんに頼まれました。千村さんの目を覚まさせるように」

 眼鏡をクイッとあげて生徒会の見解を伝えるために現れたのだ。
 貴明に現実を突きつけるためだ。

「千村さんのすることは勉強です。学園で許可されていない部活動で遊ぶよりも大事なことがあるはずです。将来のことを考えて勉強をした方が有意義な時間を過ごせますよ。今まで無駄に遊んだ時間はもう二度と戻ってこないのですから、もっと時間を大事にしてください」
「無駄・・・無駄だとぉぉぉ!!」

 貴明の手がプルプルと震えている。今にも襲い掛かりそうな貴明を茜音が察する。

「貴明、聞いて。みんなあなたのことを想って言ってることなのよ」
「・・・僕もそう思う」

 貴明の背後に立つ義也ですら表情を伏せながら告げる。

「義也、裏切ったな」

      熱血馬鹿

「他人の芝生が青く見えるなら、もっと自分の芝生を青々と生い茂らせた方がいいと思うんだ。伸びた芝生を駆って、揃えて、ちゃんと整えるだけでも時間は十分必要だよ。そうやって貴明の知識を豊富にしていこうよ」
「いやあぁ!聞きたくない!」
「聞いて貴明!みんなやってることなのよ。貴明一人を苦しめていってるわけじゃないの」
「俺はそんなに強くない!みんなが平気で跳び越えるハードルを俺は跳べないんだぁぁぁ!!」
「跳び越えてるわけじゃなくて跳ばされてるの。待ってはくれないのよ。大学行かないでいいの?」
「知らない、知らない。将来のことなんか俺には関係ないんだ!」
「・・・貴明」

 貴明は全員を残して一人走り去ってしまった。ひょうい部として遊んでいたいことと、それでも自分の将来を考えることは全く相反することだ。簡単に、「はい、そうですか」なんて答えで片付けられるようなものではない。ひょうい部副部長なのだ。義也にも貴明の辛さは痛いほどわかっていた。

「馬鹿貴明!もう知らない!」

 茜音にとってはただ子供のように駄々をこねる貴明の姿を見て呆れている様子だった。


 ・・・
 ・・・・・・
 ・・・・・・・・・

 ひょうい部で一騒動あった翌日、茜音は風邪を引いたのか、咳が止まらなくなっていた。

「ケホンッ、ケホンッ」

 クラスメイトに心配されながら「大丈夫」と、席に座って突っ伏している。どこか表情が青い茜音の姿を貴明と義也は眺めていた。

「具合悪そうだね」
「へっ。風邪ひいてるとか体調管理が出来てねえ証拠じゃねえか。色々文句言うならまずは自分を見つめ直してから言えって――イったぁ!!」

 貴明の頭に茜音の上履きがクリーンヒットする。具合が悪そうなだけで剛速球で上履きを投げる力があれば心配はいらないだろう。

「馬鹿は良いわね。ウイルスの存在にすら気付かないんだから。絶対貴明に移されたのよ私。それしか考えられないわ」
「なんだと!」
「なによ!」
「ああ、また始まったよ・・・」

 貴明と茜音の一悶着にため息を吐く義也だが、今回は珍しく貴明の方がすぐに折れたのだった。

「ふん。まあいいだろう。こう見えて俺は優しい人間だからよ。茜音のためにちゃんと『飲み薬』を用意してるんだよ」

「えっ」と驚く茜音。貴明のまさかのサプライズにときめいたのか、顔がほのかに赤く染まっていた。

「・・・珍しい気が利くじゃない。貴明の癖に」
「最近、とてもよく効く『飲み薬』が手に入ったもんでな」
「ン・・・『飲み薬』・・・・・・?」

 義也の頭になにか引っかかるものがある。
 ソレ、ホントウニ”カゼグスリ”ナノダロウカ?

「そうなんだ。賞味期限は大丈夫?何か入ってるんじゃない?」
「一言多いんだよ、おまえは。仕方ねえな。俺も飲んでやるからよ。一緒に風邪を撲滅しようじゃないか!」
「はいはい。気休めにはなるかな」
「おら、いいから飲めよ。乾杯!」
「貴明!それって――!!」

 二人は貴明が用意した『飲み薬』を同じ様に傾けてゴクリと喉を鳴らしていた。休み時間のせいで、二人は一気に『飲み薬』を飲み干していった。

「ぷはぁ~。ふぁいと一ぱつぅ~~~」
「にがぃ・・・ほんとに効くの・・・たかあ・・・・・・」

 バタリと、同じタイミングで二人は倒れてしまった。
「やっぱり」と、義也は危惧していたことが現実に起こったことに一人慌てふためいていた。貴明と茜音の身体を必死に揺さぶり起こそうとしても、あまり意味がないことを義也は知っていた。
 でも、そうせずにはいられなかった。

『飲み薬』を飲んで幽体離脱した二人は、義也の動きを上から見下ろして眺めていた。

『なによ、これ!なんで私宙に浮いてるの?』

 茜音にとって初めての幽体離脱。自分の身体が眠っている姿を眺めるもう一人の自分に発狂していた。その様子を貴明は一人ほくそ笑んでいた。

『気が付いたようだな』
『私になに渡したのよ!?』
『ワーハッハッハ!あの『飲み薬』はただの風邪薬なんかじゃない!幽体離脱を可能にする『飲み薬』だったのだ!』
『なんですって!!』

 貴明に知らされる幽体状態の身体は思うように移動することが出来ない。放っておくと風船のようにただ上昇していってしまう。誰にも気付かれないし、誰にも声が届かない状態で茜音は自分の身体に戻るために必死に宙を掻き分けていた。体力がある茜音といえど地上に行きたいのに下へ泳いでもその距離は縮まらない。まるで見えない波に逆らって泳いでいるようだった。

『だめ、うまく泳げない』
『スポーツ万能の茜音でさえ感覚がつかめないようだな!こうやるんだよ、こう!』

 そこで貴明が手本を見せてやる。茜音と違って何度も幽体離脱している貴明にとって、宙を泳ぐ感覚は慣れてしまっている。自分の身体に触れて、続いて茜音のもとへ近づいてドヤ顔するのが茜音にとって闘争心を燃やした。

『くっ!なんでこんな面倒なことに巻き込まれてるのよ・・・後で覚えてなさいよ』

 しかし、一回の幽体離脱で泳ぎが完璧にマスターできるはずもない。茜音は苦み潰した顔で貴明に恨み節を吐き捨てていく。しかし、ここで貴明は思わぬ反撃に出た。

『おっと。茜音にはただで自分の身体に戻ってもらうと困るんだよ。今時暴力女の設定は人気が出ないんだよ』
『いきなりなんの話!?誰が暴力女よ!!』

 幽体離脱した者同士の身体は触れることが出来ることを確認した貴明。茜音の幽体を掴んで自分の身体の前に連れていく。

『こっちはあなたの身体じゃない。私は向こうの・・・』
『だからさ、こういうことだよ!!』

 ――ドンッ。
 とどめに突き飛ばした茜音の幽体は貴明の身体にむかって発射される。止めることも出来ない茜音は貴明の身体に触れる。

『貴明!?なに・・・・・・いや、吸い込まれる!!』

 身体と幽体がぶつかった瞬間、茜音の幽体は貴明の身体の中に入っていった。茜音が消えたことで歪んだ笑みを浮かべた貴明は、悠々と茜音の身体に近づき身体の中に幽体を重ねていく。

『じゃあ俺は茜音の・・・お前の身体を頂くぜ!』

 茜音の身体に覆い被さった貴明の幽体は吸い込まれるように消えていった。


続きを読む

 麻理子の身体でオナニーをした俺は自分の部屋へとやってきた。
 そこには、幽体になった時に垣間見た一成‐おれのからだ‐が眠っている様子がありのまま映されていた。麻理子(俺)が入ってきても気付かないくらい爆睡している。それは当然だ、いまこの身体は幽体がない、空っぽの器みたいなものだ。
 目を覚めることもないし、言葉を発することもない。客観的に見るもう一人の麻理子(俺)だ――。
 そんな俺は床に転がっている荷物をもう一度漁った。実は荷物の中には『飲み薬』だけじゃなく、俺が頼んだモノはもう一つあるはずだからだ。
 それはすぐに手の中に収まった。――『接着剤』だ。
 相手とくっつくことで身体の一部を取り替えたりすることも出来る『接着剤』は『飲み薬』と使えばさらに面白いことが出来るのではないだろうか――そんなことを考えながら麻理子(俺)はニンマリと不敵に笑い、ベッドで眠っている一成₋じぶん₋の身体へと歩み寄っていった。
 俺は『接着剤』を手に落とす。これを使い、自分の身体を母親の身体に取り込もうと考えたのだ。幽体離脱すれば、眠ったままになる空っぽの器をどこに放置するのかは『飲み薬』を使用する者にとって一番悩ましいところだ。変に誰かに見つかることがあったら警察や医者にお世話になりかねない。
 大事になることを避けたいなら、自身の身体を隠す場所を最初から決めなければならないはずだ。
 だけど、俺は違う。眠り続ける身体を隠すのではなく、持って歩くことを決めていたのだ。
 自分の目の届く範囲から外さないようにするためには、常に持ち歩くことが一番手っ取り早い。そうすれば、誰にも俺の身体に気付くようなことはない!
 とはいうものの、身長162㎝、体重96㎏。巨漢の一成‐おれ‐の身体を常に持ち歩くなんてことは普通なら出来るはずがない。持ち運ぶだけで相当骨が折れる作業だ。
 しかし、そんなことを可能にする方法が一つだけある。――その方法を叶えるのが、『接着剤』という代物なのだ。

「さあ、私と一つになりましょう」

『接着剤』を手に付けた俺は、自分の顔に塗りつけていく。ベチャベチャと、透明な『接着剤』が顔につけられていくも、当然一成は目を覚ますことはなく、ぶよぶよの頬に大量の接着剤を塗していく。
 顔が済んだら次は身体。服にそのまま『接着剤』を塗り込んでいく。粘液が服について濃く変色していくが、麻理子(俺)は構わずに『接着剤』を塗りこんでいく。麻理子の手で首に、太股にと伸び、さらにパンツを引き下ろすと、お尻に、そして股間にも塗りこんでいった。足の先、手の甲、そして、もう一度たるんだ脂肪のついたお腹と両胸にも『接着剤』を一本丸々使って塗り広げていった。
 まるでオイルマッサージをするように念入りに塗り込み、麻理子の手で全身に隈なく塗られていった。
 やがて『接着剤』がまんべんなく一成₋おれ₋の全身に塗り広げられた状態で10秒ほど待った。すると、先ほどまで触れることができた身体がくっついて放れなくなっていた。まるで底なし沼のように足掻けば足掻くほど、俺と麻理子の身体は近くなっていき、まるでくっつくようにズブズブと沈んでいった。

「う、うわあああっ!!?」

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

 俺は思わずびっくりして目を閉じてしまった。しかし、目を開けてみるとそこが沼の底ではなく、自分のベッドの上だった。先ほどまで眠っていた一成の身体だけがなくなっており、空になった『接着剤』の容器だけが残されていた。

「お、俺の身体はどこ行ったんだ・・・?」

 麻理子の声で素っ頓狂な声を荒げた俺は、なくなってしまった一成の身体に慌てて姿見に身体を映す。すると、麻理子の裸体が映しだされている中で、先ほどとは両腕と両足のバランスがおかしくなっていたのである。麻理子の肢体に付いた似つかわない太い腕と足は、今まで見てきた俺でなければ半狂乱の悲鳴を上げていただろう。どこか見覚えのあるたるんだ二の腕や脹脛の毛深さを見てあることに気付いたのだ。
 それは俺の両手と両足だったのだ。麻理子の身体に俺の身体の一部分が生えていたのだ。
 いや、生えていたという言い方は語弊である。切り替わっているというべきである。
 今の俺は一成の身体と麻理子の身体を両方使えるようになったということだ。麻理子の身体をパーツ化して、両手と両足のパーツを一成の身体で表示しているようなものだ。
 目を閉じて意識すれば俺は一成にも、麻理子の身体にも一気に変わることが出来た。

「おお!すごい。俺の身体になることもできたぞ。そして――母さんの身体に切り替わることもできた!へへ!一人二役も出来そうだ」

 鏡の前で瞬時に身体が切り替わる親子。そして、これは身体を切り替えるだけじゃなく部分的にも変えることも出来た。

「うっはぁ!すげえ!俺の身体に母さんの胸が付いてるよ。やっぱり女の身体は違うな。同じくらい胸の厚さがあると思ってたのに張りがあるのとないのじゃ全然違うぜ」

 俺は自分の身体に戻った後、胸だけを麻理子のもとに切り替えると、男性なのに女性の胸を持つ不釣り合いな身体になることが出来た。そんな不釣り合いな身体に興奮し、チ〇ポを扱きながら胸を揉むことも出来た。

「ハァ、ハァ・・・んああ!おっぱい揉みながらち〇ぽ扱くのたまんねぇ。癖になりそうだ、ハァ・・・」

 普段は逸物を扱くだけのオナニーが、たわわに実ったおっぱいを揉みし抱く行為を追加しただけで幸せな気持ちになる。その高揚感に包まれてすぐにイきそうになっていた。

「んああああぁぁぁ・・・・・・!!!」

 麻理子の乳首を抓った瞬間、自分の声で初めて喘ぎ声を漏らしてしまった。かなり恥ずかしかった。
 我慢できなかったとしても、やっぱり男性としてのプライドで喘ぎ声を聞くのは居た堪れない。
 それだったらと、俺はパーツを逆転し、麻理子の身体で再びオナニーを始めることにした。


続きを読む

「一成。ちょっと来なさい」

 俺、久遠一成₋くおんかずなり₋は母親の麻理子‐まりこ‐に呼ばれて下に降りてきた。手には俺がネット販売で注文した荷物を持っていた。

「・・・はぁ、いい御身分ね」

 麻理子は怒りと呆れを同時に見せて深くため息を吐いていた。

「食事代も家賃も私持ち。カズが夜中やってるゲームの電気代や夜食、そしてネット代も全部私が払ってるのよ?生きてるだけでも金を使ってるんだから、いい加減働いてほしいもんだわ」

 俺は所謂ニートである。8年間引き籠っており、気付けば20代後半になっていた。その年になると今まで「働きたくなったら働けばいいのよ」と俺を可愛がっていた麻理子でさえ白い目を向けていた。

「働く気はないの?」
「あるよ!働く気はあるんだよ。でも、いまは働けない」
「なんで働けないのよ?」
「例えば遅刻すると会社行き辛くてその日一日会社休むことになるじゃん。で、1日休むと次の日会社に行き辛くなって次の日も休むじゃん。そうなると会社にもういけないよね?」
「はぁ・・・」

 最初はちょっとした寝坊が発端だ。学生の時遅刻常習犯だった俺が社会で遅刻癖が治ると思ったら治るわけもない。だいたい、何処の会社も始業が8時だ9時だ早いんだよ。頭働かねえよ。酸素足りてねえよ。もっと寝かせてくれよ。

「あ~あ、どっかに正午から始まって夕方に終わるような会社ないかな~!そしたら本気出すんだけど」
「お母さん、もう寝るから静かにしてね。お隣さんが夜中奇声を聞いたって騒いでたわよ」
「こっちは夜中だけど、海外は昼間だ」
「はぁ・・・どこで間違えたのかしら・・・」

 聞くのも疲れたのか、麻理子は荷物を俺に預けて自分の寝室へと向かってしまった。
 廊下に取り残された俺は苦々しい顔をしていた。

「社会不適合者は社会に出ない方が世のためだ。俺が生んでくれって頼んだわけじゃねえんだから死ぬまで俺に貢げよ、ばばあ」

 大学の講師をしているだけ麻理子に金はたんまりある。一人ぐらい養ってもノーダメージの癖に粘着質で腹が立つ。働くことに生き甲斐を見出す人もいれば、遊び呆けることに生き甲斐を見出す人もいる。
 価値観を一緒にされると我慢できない。
 自室に戻り、届いたばかりの荷物を雑に開ける。母親に見つかったことは想定外だが、注文していたものがようやく家に届いたのだ。
 俺は中に入っていた『飲み薬』を手にした。

「これを使って俺が死んでも、それはそれで本望だ」

 この『飲み薬』を飲めば幽体離脱できるらしい。身体から幽体が抜け出して宙を浮くことが出来るらしいが、それで死んでしまったら元も子もない。しかし、いまの俺が死んだところで悲しむ者は誰もいないだろう。だったら、俺がやることは一つだ。

「・・・絶対に諦めない!」

 俺は意気込みながら喉を鳴らして『飲み薬』を飲み干していく。
 中身を全て飲み込んだ瞬間、すぅっと意識が薄れていくのが感じ、身体に力が入らずベッドに倒れ込んだ。そして、そこから俺は幽体だけが飛び出してきた。
 ベッドに倒れ込んでいる一成を俺が見下ろしている。話に聞いた通り、本当に幽体離脱出来たみたいだ。宙を泳ぐことができるようになり、幽体に重力も関係ないのでスイスイ加速して部屋の中をグルグル回ることが出来た。こんなに身体が軽いのは久しぶりだった。

「凄いな、コレ!本当に幽体離脱出来たんだ!」

 テンションがあがる俺。そう思ったら、次に俺がしようとしたことを思い出す。ただ幽体離脱して部屋のまわりをグルグル泳いで遊ぶために買ったわけではない。
 幽体離脱したら、『憑依』を体験するつもりだった。
 他人の身体に乗り移る行為。幽体になった俺が他人の身体を使えるようになる『憑依』をやってみたかったのだ。
 家にはちょうど麻理子が寝ている。俺は寝室に忍び込み、スヤスヤと寝息を立てている麻理子に早速乗り移ることにした。
 俺が部屋内に居るだなんて夢にも思っていないだろう、麻理子は無防備な寝顔を見せている。こんな間近で母親の顔なんか長年見たことがなかった。俺はベッドに寝ている麻理子に身体を重ねるように静かに降りていった。
 俺の幽体が布団をすり抜けてそのまま麻理子の身体に重なっていく。

「ぅぅん・・・」

 幽体が触れて苦しそうに麻理子は身体を震わせていた。思わず逃げようかと身体から離れようかと思ったが、このまま身体に入ったほうが早いと判断してこのまま麻理子の身体に入り込んだ。

「っン・・・んぅ、ンん・・・・・・んあああっ!」

 麻理子の口から苦しそうな声を漏れたが、それが麻理子の最後の断末魔であり、次の瞬間には麻理子の身体は俺が支配していた。羽毛布団が暖かく、マットレスが柔らかい。息子の俺とは違い良い素材を使って眠っているものだ。
 そっと目を開ける。薄暗い天井が見える。俺は手を伸ばし、ベッドに備え付けてあるスイッチを点けると寝室全体が明るくなった。俺はむくりとベッドから起き上がった。そんなに体型も変わらないはずなのに、起き上がる時のダルさは一切感じなかった。しかし一番に感じるのはそこじゃない。胸に重みを感じるのである。視線を下ろしてみると、麻理子は裸のまま寝ていたのだ。疲れて服を着るのも面倒だったのかはわからないが、俺の目にはふくよかなだ二つの乳房が見えたのだ。
 それはなんというか、胸が近いというか、麻理子が近いというか・・・その距離感は俺と麻理子が一体化している何よりの証拠だった。

「ふ、フヒヒ・・・母さんに憑依しちまった・・・」

 俺は嬉しくなり手の平を歓喜で震わせていた。先ほどまで俺を怒っていた麻理子に憑依できたのだ。そして麻理子の身体を支配し、いま麻理子の特大のおっぱいがすぐそばにある。ぷくりと膨らんだ乳首が自分の身体に付いているのがすごく生々しい。
 俺が興奮しているせいか、乳首はツンと勃起して、自己主張している。その形にも興奮してしまう。

「ああ、やべ・・・。いまの俺にチ〇コが付いてたら、絶対勃起してるわ」

 母親だとわかっていても、年増だとわかっていても、俺は女性の甘い匂いにやられてしまう。
 恵まれた美貌を持つ女体だ。あぐらをかいた俺は早速麻理子の胸を触れた。
 むにゅっ。
 おっぱいが直接、手に触れる。どこまでも指が沈みそうなほど柔らかく、ぽよぽよと弾むような弾力がある。そのおっぱいはしっとりと手のひらに吸い付くようだ。こんな感触を味わうのは初めてだ。

「お・・・おおぉ・・・すご・・・ハァ、ハァ・・・」

 母親のおっぱいだと分かっていてもつい手が動いてしまう。滑らかで柔らかなおっぱいだ。
 肌と肌が触れ合う感触だけで興奮してきてしまう。興奮が高まると同時に俺は大胆におっぱいを揉みし抱く。

「んっ・・・んんっ・・・・・・はぁん」

 メロンほどの大きなのおっぱいは、指の間から乳肉が食み出るほどだ。次第におっぱいで感じてきた俺の口からは喘ぎ声が漏れ出していた。

「んあっ、あっ・・・・・・も、もっと強く揉んでみても、大丈夫か・・・・・・あ、はぁっ・・・!」

 おっぱいマッサージをするようにおっぱいを根元から搾るように揉んでみる。大きなおっぱいがさらに飛び出して滅茶苦茶エッチだった。
 麻理子の身体を俺の支配下において好き勝手に弄ることに圧倒的な征服感を覚えていた。





続きを読む

 まるかの異変に気付いた俺は、片鱗を見せた際に脳裏に浮かんだ人物を呼び出していた。
 彼女は夜も更けた時間だというのに学校に残っていた。そして、逆に俺を待ち侘びていたように月夜の学園の風景を壊さないように静かに対峙していたのだった。

「君だったんだね――倉田さん」

      ラスボス感

 彼女、倉田彩夏は静かに頷いていた。それはまるで、今まで自分がしてきたことを――俺が思っている疑惑をすべて受け入れるかのように落ち着いていた。

「私に『飲み薬』のことを教えてくれたのは本庄さんの方だからね」
「いったい、どういうこと?」

『飲み薬』とは一体なんだということを含めて、倉田さんがまるかに一体何をしたというのだろうか。

「彼女が私の記憶を読みこんだとき、私の方も本庄さんの記憶が流れてきたの。彼女の好きな趣向とか、西永くんのこととか、逆に教えてもらっちゃった♪」
「記憶・・・読む・・・?アハハ・・・倉田さん、なにを・・・」
「それが分かったら後は簡単だったよ。私が本庄さんの本心を強く引き出してあげればいいだけ。愛があるからいじめたくなっちゃうなんて、彼女も可愛いところあるよね?フフフ・・・」

 倉田さんの言っていることの半分も理解できなかった。美貌的な彼女が発するオーラが今やまるかとは別の狂気を与えていた。

「何故だ・・・倉田さんがそんなことをする必要があったのか?本庄さんの気持ちは本庄さんのものだろ?倉田さんが後押ししてメリットがどこにある?」

 まるかの人格を変えたのが倉田さんだとするなら、一体どこに接点があったのか分からない。まるかが彩夏の身体を使ったことに対して怒りを覚えていたとしても、仕返しするには人格を変えてしまうのはやりすぎだったのではないか。まるかが俺を好いてくれていたのも倉田さんによって作られたのだとすれば、素直に喜べるはずがないだろう。

「あれ?本庄さんから教えてもらわなかったかな?」
「えっ?」

 その答えを俺は知っていた。まるかが俺に告白していたことを俺もすっかり忘れていた。

「私、西永君のこと好きだったんだよ?」

 倉田さんの口から俺は告白された。その言葉に俺は頭が真っ白になった。

「俺を・・・本当に・・・」
「でもね、今はダメ。私、誰とも付き合う気がなくなっちゃったから」

 そして、その気持ちはものの十秒で消滅した。告白のキャンセルを喰らって天国から地獄に堕ちる想いだ。そうさせた理由こそ俺は思う意味深の単語だった。倉田さんはもう、別の楽しみを知ってしまったから。

「だって、『飲み薬』があれば色んな人の色んな恋愛を体験することが出来るんだよ?それぞれ物語があって、別々の感動がそこにはあるんだよ。私はこれからそれを体験していくの」
「倉田さん・・・っ!」
「学校の先生になりたい、youtuberにもなりたいし、ケーキ屋さんにもなりたい。お金持ちになって大人買いをやってみたいな・・・!あぁぁ・・・人生がやり直せたらいいのに。そしたら私違う町で生まれて、違う生活を励んで、違う仕事を営んで・・・違う人生を楽しんでいく」

 それが、いま倉田さんの抱く夢だった。他人の幸せを倉田さんも共有したいために『飲み薬』を通じて恋愛を楽しんでいく。VRでも、ADVでもない『飲み薬』で実体験してくるんだという・・・。

「幸せは一つじゃないよ。その時その時に違った幸せがあって、一口に同じで語れるものじゃないと思うの。たとえ世界の人口が私だけになったとしても、私は一人一人別々の幸せを感じると思う」
「・・・倉田さんの言っていることが分からない。それじゃあ、いまの倉田さんは幸せじゃないのか!」
「まっさか!いまの私も幸せだよ。そして、これからも私は幸せになると思う。私はもう二度と失敗なんかしないから」

 失敗しない人生なんかない・・・でも、浮き沈みのない人生がもし本当に可能ならば、それはどんだけ幸せな人生なんだと俺は思う。
 そんな方法を教えてしまったのはまるかであり、俺であり、倉田さんに『飲み薬』を教えてしまったのは――俺なんだ。


「ありがとう、西永君。私はあなたのおかげで幸せになりました」

 
 幸せから漏れる微笑みに、俺は無性に悲しくなった。彼女の笑みとは対象に俺の目からは涙が込み上げていた。

「これからきみは何回人生を繰り返すつもりなんだい?そんなことを楽しむより、自分の人生を謳歌しろよ!・・・なんでだよ、なんで倉田さんはそんな風に笑うんだよ。なんで周りのことばっかり考えるんだよ!俺がこんなことに巻き込まなかったら、こんなくだらないことを真面目に加担しなくて済んだのに。許さないよ、こんなの・・・」

 俺が不幸だったからなのか。まるかが幸せだったからなのか。
 みんながみんな幸せで、平和で明るく楽しく過ごせていたらよかったのに・・・そんな希望を抱いて忙しいを過ごしている日常が当たり前だと思えたら、誰も苦しまなくて済むのに・・・。

「いつだってそうだ。俺を気遣ってくれて自己犠牲してくれて・・・」
「それは違うよ」
「えっ」

 倉田さんは俺に首を振って否定する。倉田さんの決意は誰のものではなく、自分の意志だという強く示していた。

「私はこれから誰よりも幸せになるんだよ。いっぱい多くの人から幸せを知って、世界で一番幸せになるの」

『幸せは一つじゃない』、『一人一人別々の幸せを感じると思う』と言っている通り、倉田さんの欲は深い。その中で一番幸せになるために旅立とうとしている。
 小さな身体を脱して、大きな世界で幸せを模索する。その時間は果たしてどれくらいかかるのだろうか。俺には想像できない膨大な時間をかけてでも、自分が一番幸福者になりたいと自己顕示力を認めてもらいたいという。
 倉田さんはやっぱり普通の女の子だよ。

「今度西永君と再会した時が楽しみだね」

 いつまでも俺は倉田さんが戻ってくるのを待っている。
 倉田さんが無事自分の幸せを見つめることを祈らずにはいられなかった。続きを読む

 その日は部活が終わる時間にまるかに学校の中庭に来るよう呼び出された。
 既に日は落ち辺りは暗くなっており、人影はほぼいなくなっている。校内で明かりがついていても、誰かが見回りに来ない限り人影も現れない雰囲気を醸し出していた。
 そんな中で俺はまるかと落ち合った。

「来てくれたんだね」

      ねぐりじぇ

 まるで来なかったら一人寂しく泣いているような声で、俺が来たことに逆に安堵している。
 あの強気な本庄さんの姿はそこにはなかった。
 付き添っていた女子生徒も日に日にまるかの周囲にはいなくなっていった。それでも一人強気な態度で俺を虐める姿はとどのつまり裸の王様のようで、それに付き従う俺を憐れに思って話しかけてくれる生徒が現れたほどだ。俺のクラスでの信頼回復の好転の兆しは徐々に見え始めていた。
 対して俺とは逆にまるかは孤立していき、そして挙句の果てに今夜エロ下着の格好で俺を呼び出している。

「見て。今日はこの格好で犯してあげる」

 もうまるかはいじめというか自虐行為で脅すことしか考えていない。本当にまるかの考えが分からない・・・。

「ふふっ、もうアンタを虐める子は他に誰もいなくなっちゃったわね」

 自分で言っている通りだ。自分の身体をいけにえに捧げてでも俺と性行為をしたいのか?いじめというのはただの狂言で、本当は俺を好いているだけについた照れ隠しの嘘なのではないか・・・。
 そんな都合のいい解釈以外納得できなかった。

「どうしてだ・・・?」

 俺はもう我慢できずに思わずまるか本人に聞いてしまう。

「こんなことをすれば、俺なんかよりまるかの方がドン引きされているじゃないか!俺をいじめるために自分の身体を傷つけてるだなんて、横暴すぎるだろう!!」

 俺を嫌っていたくせに急に性行為したいとか意味が分かんねえ。まるかにとって貞操概念が低いということなら、そんなことに振り回されるいい迷惑だ。
 俺ですら軽蔑する――そう思っていると、まるかはポツリとつぶやいた。

「私、気付いちゃったんだ。私は西永を甚振りたかったんじゃないんだって。甚振って嘆く西永の姿に私自身が共感してたんだ。どれだけ甚振っても満たされないのも同じ理由なんだよ。そのために私は――私が望んでいたんだって!だから私は西永に操を捧げたい・・・!」

 まるかは虐められている俺の姿を見ながら、自分に投影して興奮していたのだという。
 そして、俺を貶すことを性処理の一つでしか思っていなかったのが、耐えられなくなった。
 まるかはショーツの上から恥丘をなぞりながら、自ら感じるところを擦りあげて喘ぎ声をあげていた。

「あぁんっ・・・ね?これからは二人で愛し合いましょう。まわりからは虐められているように見えるかもしれないけど、私たち二人だけが分かっていれば関係ないわよね?だって私たち、いじめる側でもあり、いじめられる側でもあるんだから」

 今後のいじめは本心ではなく、愛情の裏返しといいたいのか――お互い相手の姿に自信を投影して興奮を覚える変態なのだということを告白してくる。
 本庄まるかという女性の真意を俺は垣間見た――はずだった。

「ウソだよ」

 でも、俺が本庄さんに告げたのは否定的な言葉だった。

「だって、本庄さんはそんなことを言う人じゃなかった」

 いじめられている人にしか分からない、本気でいじめてくる人の神髄。嘘、偽りなど無く、本気で相手の嫌なことをしてくるのがいじめだ。ただ自分の感情だけで相手を貶めることもそうだ。
 そこに一切の余念はない。本庄まるかがそこまで考えて俺をいじめているとは考えられなかった。
 つまり、いま彼女が言った告白こそが本庄まるかに成りすました者のウソなんだ――。

「きみは一体・・・ダレなの?」

 本庄まるかの姿として現れたきみは一体・・・誰なんだと逆に問いかける。
 いじめる者といじめられる者に信頼関係なんてあるわけない。そう簡単に言い表せる関係じゃないし、からかわれたらふざけるなとブチ切れる。
 俺は本庄まるかのことを世界一理解している人物なのかもしれない。

「そんなこと、どうだっていいじゃない」

 そんな俺に対して、まるかはクスリと嗤った。

「いじめもなくなったわけだし、アンタは私を好きに出来るのにどうして戸惑うの?散々虐められてきたっていうのに、この期に及んで恨みを晴らさないの?・・・いいんだよ?私、本庄まるかがいいって言ってるんだから、気にすることなんかないじゃない。フフフ・・・」
「本庄・・・さん・・・・・・」

 それは、今までまるかが見せたことのない、下卑た不快な笑みだった。その笑顔、俺はどこかで見覚えがあった気がしたが、どこだったのか思い出せなかった。

「あっ、顔赤くなってる。素直なんだから、西永くんったら」
「この口調・・・きみは・・・・・・ひょっとして・・・・・・」
「他人に余計なこと言わないでくれる?もし約束してくれるなら、西永くんが望むことならなんだってしてあげるよ?」

 そう言うと、まるかはは俺の手を掴み、自分の胸へと宛がわせる。そして、さらに力を込めて自分の胸に押し付けていった。

「こんなことだって・・・」

 それは倉田さんの時と同じ様に、手のひらに柔らかい胸の感触をゆっくりと確かめていた。五本の指は倉田さんの時よりは平たくなっているものの吸いついてくる胸の触り心地を蘇らしていた。

「や、やめてくれ!」
「そんなこと言って、ずっと私のカラダ見てるじゃない?」

 ネグリジェに包まれたまるかの身体が否応にも目に入る。高級なレースでシースルーのネグリジェはただ普通に裸を見ているよりも色っぽい。お嬢様育ちのまるかにとって身体が物足りなくても、その視感は倉田さんのときより興奮を覚えるものだった。

「ねえ、正直に言ったら。本当なら『本庄まるか』とは一生こんなことできないんだよ?」

 彼女はもう正体を隠そうとしない。俺も目を閉じて必死に歯を食いしばるだけだ。

 ・・・わかってる。わかってるさ、そんなこと!
 いじめっ子がいじめられっ子に操を捧げるなんて、催眠術という奇術でも使わなければ現実にあり得ない!つまり・・・きみは――

「西永。これで私を好きにしていいのよ。今日は逆転してアンタが私を好きにしていいよ♡」

 俺は・・・俺は・・・・・・っ!



続きを読む

↑このページのトップヘ