純粋とは矛盾色-Necronomicon rule book-

夢と希望をお届けする『エムシー販売店』経営者が描く腐敗の物語。 皆さまの秘めた『グレイヴ』が目覚めますことを心待ちにしております。

タグ:皮

 何時の頃からだろう。平和はいつまでも続くと思っていた。
 亭主関白だけど何不自由なく生活できるほど稼いでくれる夫、高校生でも親孝行を考えてくれる長男、可愛く育つ中学の娘。
 忙しくても不満は少なく、すくすく育つ子供たちの生末を見守り続ける私、澄子-すみこ-は買い物を終えて家に帰ってきた。
 今日の夕食はなににしようなんて、これから家庭内で惨劇が起こっているなんてこと毛頭考えていなかった。

「ひゃあああぁぁぁぁ!梨沙ぁぁぁ!!」

 私の目の前で娘の背中にナイフを突きたてたまま呆然としている長男を前に、私は血相を変えて救急車を呼んだのだった。


”皮 -薄っぺらい覚悟-”


「ねえ、お兄ちゃん」
「ん?なんだい?」

 俺の名前は青崎俊太郎-あおざきしゅんたろう-、向陽陣大高校に通う二年生だ。両親と妹の梨沙の4人で暮らしている。
 今日も一日平和に終わり、家族団らんで夕食をとっている最中、俺は梨沙に相談された。

「あたしね、ストーカーされているみたい」
「すとーかー?」

 いきなり何を言い出したかと理解できなくて、思わず素っ頓狂な声を荒げてしまった。
 妹の梨沙は中学で人気があるという噂を聞かないけど、逆に不人気なほど不細工というわけじゃない。人懐っこいし、初対面で嫌われるという話も聞かない。初見であれば理沙の容姿に一目惚れする奴が一握りくらいいるかもしれない。
 しかし、長男である俺には妹としか見れないせいで他人以上に梨沙に対する印象は捻じ曲がっていることも否定はしない。

「うん。最近よく見られている気がするの。学校の行き帰りも、校舎内も、部屋の中で一人でいる時さえも誰かに見られている気がするの」
「うーん。その話が本当だったらちょっと怖いな」

 自室の、一番落ち着くプライベートルームですら何者かに監視されているとしたら確かに嫌だ。一応隠しカメラでも探してみるかと思った時、その話を聞いていた母親がクスクスと笑っていた。

「疲れているんじゃないの?夜更かししないでちゃんと寝ないと駄目よ。ねえ、アナタ?」
「ああ。うちの子がストーカー被害に遭うなんて信じられない話だな。馬鹿なこと言ってないで早く寝なさい」
「あ~信じてない!私、こんなに可愛いのに~。プイっ!」
「クスクスクスクス」

 親は梨沙の言い分を信じていないようだ。でも、梨沙は俺にだけに聞こえる声で小耳に挟ませるように喋りかけてきた。

「お兄ちゃんのクラスに沢村さんって人いるでしょう?」
「沢村?・・・ああ、いるよ」

 沢村永知-さわむらえいち-。クラスでも一人で過ごす陰キャだが、体格がデカいので潜んでも目立つ存在がある。
 臭い、汚い、危険。親自慢の高収入、自称高学歴、縦ではなく横に高身長という高見盛体型の最悪な見た目をしている永知に近づくやつはクラス内で誰もいなかった。

「昨日の夜、家の外で私の部屋をジッと見ていたんだよ」
「マジかよ」
「うん。すごい目立つから間違いないと思う」

 俺のクラスメイトが梨沙を見ているのはちょっと可哀想ではあるが、だからと言って永知だって一人の男性だ。異性に見られているということで笑って許してもらいたいものでもある。
 でも、梨沙本人が嫌だって言ったら嫌なんだよな。

「お兄ちゃん、ちょっと注意して。半径2mは私に近づかないように言ってよ。遠目から見ても気持ち悪かったし・・・私と目を合ったらニチャアって笑ったんだって」
「言うくらいしかできないぞ。自分のことは自分で守るんだぞ」
「うん。わかった」

 ああ、あいつはそんな笑みを浮かべてたような気がする。
 オタクっぽい笑みをするよな。とても汚い笑みだった。

「明日、俺からバシッと言ってやるさ」
「お願いね、お兄ちゃん」

 妹とそんな約束を交わしたのだった。


 ・・・・・・・・・。
 翌日、学校で永知に「妹に近づくな」と叱責させ、梨沙との約束を守った俺は意気揚々と帰宅した。
 家の中はとても静かで、一階に誰かがいる気配は全くなかった。玄関には梨沙の靴もあり、既に学校から帰っていることが伺える。そして、その隣には俺のモノではない男物の靴が脱ぎ捨てられていた。誰か来ているのだろうか。

「ただいま。・・・梨沙、帰ってるのか?」

 物音が聞こえない梨沙を不審に思い二階に上ると、両親の寝室の扉が急に開いたのだ。
 まるで、俺を誘うようなタイミングだった。俺は疑うことなく開いた親の寝室を覗いた。すると、そこには沢村永知がいたのだ。

「デュフフ・・・おかえり、青崎くん」
「なんでお前が俺の家にいるんだ?」
「きみの帰りを待ってたんだよ」

 学校で厳しく叱った俺に目を丸くして驚いていた永知。まるで自分のやっていたことに気付いていなかったような表情を見せていた。俺に怒られている間、梨沙にもばれていたことに気付いてしばらく放心状態だった。
 そして、放課後までに全てを理解し、彼は生き生きとした表情で俺の前で対峙していた。
 彼の腕の中で、梨沙を羽交い絞めにした状態で――。

      人質

「お兄ちゃん!」
「梨沙!・・・沢村――ッ!」
「そうか。梨沙ちゃんはボクのことに気付いていたんだ。嬉しいよ。ボクも梨沙ちゃんはとってもタイプだったからね。一目惚れってやつ?そんな梨沙ちゃんが青崎くんの妹だなんてボク達は運命的だね。世間はとても狭くて、これ以上ない感動に出会えた。どんな映画なんかよりも素晴らしい。一度会っただけで恋に堕ちる瞬間にこそ感動はソコにあるんだよ」

 人を初めて恋をしたこともない。その相手がクラスメイトの妹だったことにこれ以上ないカタルシスを覚えるらしい。
 恋を知らない永知が梨沙に何をしでかすか分からない。現に様子を見れば明らかに梨沙を襲った、招かれざる客なんだ。
 クラスメイトで感動している沢村と違い、クラスメイトで憤慨している俺。

「沢村。梨沙を放せ。なにしに来たか知らないけど、状況によっては警察に突き出すぞ」
「助けて、お兄ちゃん!」
「ああ、そうだったね。ボクがここにきた理由だったね。それはね――」
「きゃあ!」

 突然、永知が梨沙をベッドに投げ飛ばした。梨沙がバランスを崩してベッドに沈んだ。痛そうに転ぶ梨沙の無防備な背中に、永知は追撃の『ナイフ』を取り出した。

「なっ!!」

 永知が『ナイフ』を振りあげ、そして――梨沙の背中に突き刺した。

 ドスッ!

      刺殺


 低い音と衝撃が梨沙にも伝わり「あっ」とくぐもった声が漏れた。
 背中に刺さる鋭利な刃物。梨沙の背中から伸びる『コンバットナイフ』を見て俺は血の気が引いた。

「梨沙・・・!梨沙ぁぁぁ!!」
「・・・・・・おにいちゃん・・・?」
「梨沙!?」

 それでも、梨沙はこの状態でも何ともないように俺に返事をしていた。
 
      屍人かな?

「梨沙、おまえ・・・・・・大丈夫なのか?」
「うん。大丈夫っていうか、痛くないよ。・・・私の背中、どうなってるの?」
「見なくていい。むしろ見るな」

 よく分からないが、梨沙はなんともないようだ。
 だったら、俺がやることはナイフを突きたてている沢村を警察に突き出すだけ。
 沢村永知――こいつは、梨沙や俺の敵だ。

「なんのつもりか知らないが、沢村。梨沙にこんなことしてタダで済むと思うな」
「妹愛が強いだね。でも、その愛もやがて僕のモノになるんだけどね・・・デュフフ」
「なにを言ってる?」
「あぁぁっ!!」

 ザクッと、『ナイフ』を引き、切り口を伸ばしていく。幸い血は出ていないのだが、梨沙の背中が背骨に合わせてまっすぐ切り目を入れられていく。ここまで来ると、逆に梨沙から血が噴き出ないことが不自然に思えた。
 なにが起こっているのかも、なにが起ころうとしているのかもわからない。
 不審が不安に変わった。

「そろそろ変化が現れてきたようだ」
「きゃあぁぁぁ!!」
「なんだ・・・これ・・・」

 沢村の言われた通り、梨沙の身体におかしなことが起こり始めた。フローリングにつく梨沙の足がぐにゃりと萎んでいくのだ。

「私の足が・・・力はいらないよぉ~!」
「梨沙っ!」

 足だけじゃない。まるで梨沙の背中の切り口から空気が抜けていくように、梨沙の身体の筋肉が徐々に萎んでいた。それを俺は眺めていることしかできない。
 ふくらはぎ、二の腕、両胸、そして――

「あっ、あっ、あっ」

      伽藍洞

 理沙の顔が萎み始めていく。既に気を失っているのか、梨沙の弱々しい言葉を最後に何も聞こえなくなってしまった。
 ベッドでひしゃげる梨沙。いや、もうそこにいるのは梨沙と呼べるものではなかった。それは梨沙だった『皮』が残っているだけだった。

「さてと・・・」

 べろんべろんとなり、骨も筋肉もなくなってしまった梨沙を永知は軽々と持ち上げていた。体重と呼べるものも当然あるわけがなかった。そして、永知の仕組んだ悪魔の所業はこれからが始まりだった。

「なにをするつもりだ?」
「決まってるだろ。着るんだよ」
「着るだと?」

 梨沙と身長も体型も違う沢村が、梨沙の『皮』をあろうことか着ると言ってくる。
 Sサイズの服をXLサイズの人間が着れるわけがない。それでも着たいと願うのは常人には理解できない、ストーカーの歪な思考なのだろうか。俺の疑問を無視して永知は梨沙の『皮』を伸ばしながら背中から突っ込んでいく。

「こんなに伸びるから破れることはないよ。それにしても中は凄くヌルヌルして、ムワッとしていて・・・梨沙ちゃんの匂いが凄い充満しているよ」

 興奮しながら、まるで作業着を着こんでいくように足を通していく。
 梨沙の身体は沢村には小さくてギチギチに膨らんでおり、見るも無残な姿になっていく。
 原型を留めない梨沙の足になんとかつま先まで入れ込んでいく。

「くー、きっついなぁ」

 永知はもう片方の足も、ビラビラだった梨沙の足の中に突っ込んでいった。
 華奢な梨沙の両足は今にも破れそうなほど永知の太い足が入ってパツンパツンになっていた。男の足は女性の足と全然違うのだ。
 内側から押し広げられている梨沙の足を永知は皺を伸ばすように両手でゆっくりと撫で上げていく。永知の大きな足が梨沙の足の中になんとか納まっていた。

「梨沙ちゃんの足が僕に吸い付いて馴染んでくる・・・っ」

 永知の両足は、梨沙の足の中に入っていた。そして、永知が立ち上がる。
 すると、今までよりも明らかに永知の身長が低くなっていた。その身長差は梨沙の背丈と同じであり、永知の両足は異様なまでに細く華奢なものに変化していた。
 この身長や見覚えのある華奢な足——これって、まさか・・・!

「あっ、すごい!着ていったところからどんどん体型が変わっていくのか!えへへ・・・これが梨沙ちゃんの足!ウィッヒッヒ。僕はなんてアンバランスな身体になっちゃったんだ!でも、ヤバイ!またチ〇コがおっ勃ってきた!でも、まだだ、まだ我慢して楽しみを取っておかないと・・・!」

 興奮冷めやらない永知はお構いなしに梨沙の『皮』を腰までぐっと引き上げた。下半身と上半身で一気に体型が変わっている。まるで二人の身体が合体されているかのようなアンリアルを目の当たりにしている。

「沢村、おまえ・・・なにやってんだよ・・・っ!」

 俺は半狂乱になって叫んでしまった。永知の下半身についた女性器。股間はまだうっすらとしたものしか生えていない梨沙のものになっていた。
 間違いない。梨沙の『皮』を着ることで、永知は梨沙になろうとしている。そんなあり得ないはずの事態を俺は目の当たりにして戦慄している。

「僕の足がこんな細いなんて信じられないよ。それに、ココも・・・おま〇こもすごいツルツルしていて、挿入したら痛そうだ」

 がに股になって梨沙のおま〇こを太い指で弄っている。

「んふぅ~。でも、どうやらもう濡れているみたい。触ってみたら感度も良いし、ひょっとしてオナニーは経験あるのかな?最近のJCはオマセさんだなぁ~」

 梨沙の秘部を太い指で擦りながら、そう俺に聞かせることで永知は含み笑いを覗かせていた。

「梨沙ちゅぁん・・・・・・ぶちゅぅ~~~」

 意識のない梨沙の皺だらけの顔に唇を押しつける。顔が皺だらけになってもそれは梨沙だ。妹の唇を無理やり奪われているのを見せられていい気分がするものではなかった。永知は唇を梨沙の唇から離した。

「梨沙ちゃんのファーストキスを奪っちゃった」
「沢村、いい加減にしろ」

 しかし怒りに満ちた俺に動じるでもなく、永知は残りの梨沙の『皮』を見ながらにやにやしていた。

「ちょうどいい。青崎くんは黙って見ているといい」

『ナイフ』で切り目をうなじまで伸ばしていき、永知は右手、左手と続けて梨沙の腕の中に片方ずつ通していく。男の指が梨沙の腕の中を通ってその指先までもぞもぞと動いていくのが見た目にもわかる。
 まるで梨沙というトレーニングウェアを着るかのような動作だ。男の太い腕を詰め込まれて小さな梨沙の腕がむくむくと太いものに変わっていくも、しっかりと奥まで入った手は脂肪で膨らんでいた腕が華奢なものになっていく。梨沙の手のサイズに変わり、拳を握ったり開いたりしていた。
 胸回りも腰もしゅるしゅると目に見えて肉が削ぎ落ちていった。腕も胴の部分も一杯に引き伸ばされ、ゴムのようにピンと張り詰めていて、思わず破れると思っていた梨沙の『皮』のサイズに永知が体型を変えさせられていき、梨沙と同じ体型になったのだ。
 それを、永知本人が望んでいるという狂気――梨沙への憧れ、自分が梨沙そのものになりたいという願望。
 なんなんだ・・・、なんなんだよ、これはぁぁ!?

「本当、綺麗な指だなぁ。クラスメイトでこんな可愛い妹がいるなんて羨ましいよ。でも、今日からこのカラダは俺のモノになるわけだけど」

 顔だけを残して梨沙の身体になってしまったクラスメイト。否定したくて目を背けていたら、永知は梨沙の『皮』を着こんでいくだけだ。そうなったら最後、永知はどんな姿になってしまうだろう――

「これを被れば・・・僕は完全に青崎くんの妹に・・・」

 永知が垂れ下がっている梨沙の頭を持ち上げて自分の頭に被せていく。少しずつ梨沙の頭の中に永知の頭が入っていった。

「さすがに小顔な梨沙ちゃんはきついな、よいしょっと」

 永知の顔がどんどん梨沙の頭の中に潜り込んでいく。
 完全に収まるも大きく膨らんだ梨沙の顔は想像もつかないほど醜悪なものとなっていた。手足もそうだけど、顔の歪みは想像以上に衝撃を受けた。

「うん?ちょっと、ずれているかな?」

 永知が自ら目鼻の位置を調節するように両手で顔をずらしている。果たしてズレは直るものなのだろうかと、疑問に思っているも段々と梨沙の顔の歪みがなくなり、顔もまた身体と同じように変化が起き始めた。

「ういっ、ヒィ!締まるぅぅ~!」

 顔が小さくなり皺を伸ばすように両手で顔を伸ばしていくとみるみる皺がなくなっていき、若い肌と潤いが戻っていた。変化が終了すると同時に、先ほどまで大きく開いていた背中の切れ目もなくなっていたのである。
 全てが終わり、ゆっくりと目を開ける。そこにはすっかり元通りになった梨沙がいた。

      梨沙?

「えっ・・・・・・梨沙?」

 永知がいなくなった。元々いるはずのなかった存在だ。
 今までのことが全部夢だったのではないかと疑いたくもなるような出来事だった。悪夢だったらどんなにいいかと現実逃避したい気持ち一心で出た言葉に梨沙は答えた。

「デュフフ・・・。そうだよ、今日から僕は青崎くんの妹の梨沙だ。これからよろしく、なんてな」

 梨沙がニチャァって下卑た笑みを浮かべる。その声色は梨沙のものだが・・・梨沙が永知であることは間違いなかった。
 梨沙が永知と同じ笑い方、喋り方をしているなんて、それ以外信じたくなかった。

「あーあー。うん、声もバッチリ。どこからどう見ても、青崎梨沙だろ?お兄さんから見てもそう思うよね?」
「ふざけるな!おまえは沢村だ!梨沙を返せ!」
「えーなに言ってるの?お兄ちゃん。私は梨沙だよ?沢村さんはお兄ちゃんが退治してくれたんだよね?」

 梨沙(永知)の口から出たのは昨夜の夕食の際の出来事で、まだ永知が知るはずのないことだ。永知の口から兄妹の会話が出てくることはあり得ないはずだ。

「・・・っ!なんで、お前がそのことを知ってるんだ!?」
「昨日私からお願いしたんだよね。お兄ちゃん、ちゃんと私の言ったように沢村さんに言ってくれたんだよね?ありがとう、お兄ちゃん!・・・でも、そのおかげで僕も覚悟が決まったんだけどね」
「沢村ぁ!!」

      本物を着た偽物

「お察しの通り、梨沙ちゃんの記憶を引き出したんだ。梨沙ちゃんの記憶も情報も僕はいつでも取り出せるんだよ。だって、僕が梨沙ちゃんだから」

『皮』を着た永知には理沙のすべてが手に取るようにわかるということか。梨沙が隠したい想いや秘密も筒抜けにされて、黙っていられるほど兄妹の絆が冷え切っているわけじゃない。
 梨沙が怒れない変わりに俺が永知に怒らなければ誰がこいつを裁いてやれるだろう。

「梨沙になんの恨みがある?お前のやってることは逆恨みだ!お前は最低の屑だ!梨沙から出ていけ、悪魔!お前が僅かにでも人間だと思う気持ちがあるなら、その『ナイフ』を素直に寄越せ!」
「えーやだなぁ。中には誰もいないよ?血を見せれば証拠になるかな?」
「血なんか出るわけないだろ?またお前が出てくるだけだろ!」
「あ~やっぱ信じないか。デュフフ・・・!まあ、信じないならそれはそれで面白いことになりそうだ」

 怒りを逆撫でするかのように含み笑いを浮かべる梨沙(永知)は、ゆっくりと俺に近づいてきた。

「その怒りは梨沙ちゃんのためだと思うなら間違ってるよ。・・・だって、あたしが梨沙だもん。お兄ちゃんはあたしに怒ってるの?」

 また梨沙になりすまして動揺させようとする永知の精神攻撃。確かに目の前にいるのは永知じゃない、梨沙だ。だけど、梨沙が永知であることは間違いないんだ。

「それでも、お兄ちゃんはあたしに手を出せないでしょ?この顔を殴れるの?お兄ちゃん」
「――――ッ!?」
「例え怒りが本物でも、その拳をぶつけることは出来ないよね?だから、そんな物騒な話は無しにして、いまは兄妹同士仲良くしようよ、お兄ちゃん」

 怒りを覚えても、振り上げた拳をおろすことは――妹の身体に出来るはずがなかった。
 梨沙の身体を奪われた以上、後手に回った俺が攻撃的になることは梨沙にとって都合が悪い。永知の願望を叶えながら隙を見て『ナイフ』を奪った方が賢い選択だと思った。

「望みは何だ?」
「デュフフ。青崎くんったら分かってるくせに惚けちゃって」

 全裸で上目遣いに俺を見ながら、ズボンの上から男性器を擦ってくる。
 梨沙(永知)の狙いは俺の逸物だった。

 ズボンを脱がしてパンツを下ろし、逸物を取り出す。
 梨沙の手で軽く扱かれただけで、俺の意志とは関係なく反応を示した逸物は勃起していく。

「青崎くんのチ〇コはおっきぃな。それに・・・・・・スンスン・・・・・・このにおいだけで、お腹がキュンキュンしてくるよ」

 目を閉じて、梨沙の淫語を聞き流すようにしていたが、突然、敏感な亀頭に感じた冷たい感覚に思わず腰を引いてしまう。
 梨沙(永知)が本格的に逸物に刺激を与え始めたのだ。口を開けて亀頭を咥えて、顔を前後に動かし始めた。

「や、やめっ!!うわっ!?やめろっておいっ!」
「ちゅぅ、ちゅっ、ちゅぱっ、ちゅっ、ちゅく、ちゅぱちゅぱ」

 ただでさえ敏感な刺激だけじゃなく、舌を使ってねっとりと肉竿を絡みついてくる。梨沙がやるはずもないテクニックを使ってくることに驚きを隠せない。永知のエロ知識に困惑していた。

「どこでこんな舌使い覚えた?お前が覚えてなんの意味があるんだよ?」
「んぅ~~?意味はあったでしょう?ぷちゅぴちゃ、れろれろ」

 完全に勃起した逸物は梨沙の小さい手で持ちやすくなり、激しいフェラと手コキでイかされそうになっていた。他の誰でもない、妹の梨沙によって――。

「ダメなのに、身体が反応してしまうっ。このままじゃ、マジでヤバイッ!」
「妹にしゃぶられて喜んでるなんて・・・青崎くんはホモなのかな?」
「ぐっ!」
「デュフフ!ウソウソ♪お兄ちゃんをからかっただけよ。でも、これからは毎日エッチなことして過ごしていこうね、お兄ちゃん♡」

 永知がまた喋り方を梨沙に変えてくる。本当に表情も梨沙っぽく、本人に襲われているように錯覚してしまいそうだ。

「やめろ、沢村。梨沙の身体でこんなことするな」
「えーひっどーい」

 シュッ、シュッ、シュッ、シュッ。
 シコシコシコシコ。

 激しい手コキとフェラの猛襲で、普段よりも亀頭が真っ赤になっていた。ぷくりと膨らんだ亀頭の先が種を噴き出すのが本能的に分かった。

「や、やめろぉぉぉっ!」

 ドピュルッ、ドピュ!ピュルルルル~~~!!

 梨沙の手の中で俺の逸物が暴発した。白濁色の精液が梨沙の手にべっとり付着してしまった。

「わぁ!でた、でたぁ~!噴水みたいにピュッピュッ射精したねぇ♡」

 歓喜に沸く梨沙が手に着いた精液を口に持って行き、ずずずぅ~と舐めとっていく。
 対して俺は自らの手で妹を汚してしまったことに罪悪感が芽生えていた。

「梨沙・・・ごめん。俺が、梨沙の身体を・・・」
「なにそんなにムキになってるの?もしかして、青崎くん。梨沙ちゃんのことが好きなの?拗らせてるなぁ」
「うるさい!沢村に言われたくない!!」
「それなら、あたしのおっぱい触っていーんだよ?ほら、ほらぁ!」

 身体を寄せて胸に唇を宛がわせる。舌を伸ばせば梨沙の鴇色の乳首を舐められるも、俺は必死に抵抗して妹の乳首舐めを躊躇った。

「お兄ちゃん。ちゅーしよ」
「や、やめ・・・っ!」
「んっ♡んちゅっ♡んぅ~~♡♡」

 梨沙の身体で好き勝手に操って俺に迫る沢村に利用される。
 血のつながった妹に迫られ、道徳に反して行われる梨沙(永知)の妖艶な仕草に萎んできた逸物もすぐにムクムクと頭をもたげてきた。

「大好きな妹に迫られてどんな気持ち?気持ちよすぎておかしくなっちゃった?」
「そんなわけ――」

 視線を合わせた瞬間、潤んだ瞳で逸物を欲しがる梨沙(永知)に言葉を失ってしまう。ベッドに四つん這いになった梨沙が自ら秘部を弄り始めると、透明の液体が太腿を伝って滴り落ちていった。

「このカラダも下のお口で飲みたくなっちゃった。涎でちゃってるでしょ?」

      お尻フリフリ

 まるで、俺に見せるように、サーモンピンクの膣内を拡げて見せつけてくる。
 興奮が昂ぶり、心臓が高鳴った。

「触ってぇ、お兄ちゃん~。指で弄ってよぉ」
「そんなこと出来るわけないだろ?」
「嫌ならぁ~別に外歩いてるサラリーマンでも捕まえてもらうだけだけどね♡」
「ぐっ!」

 梨沙(永知)の言っているのはお願いではない。脅迫なんだ。
 強制的に梨沙の秘部を弄るように命令してくる永知に俺は逆らうことが出来なかった。
 しかし妹を守るためとはいえ、梨沙を穢していいのだろうか・・・。

「はやく~お兄ちゃぁん!あたし、もう待てないのぉ~!」
「(こいつ、梨沙の真似なんかしやがって・・・)」
「あたしのおま〇こに指入れてグチュグチュにかき混ぜてほしいのぉ~!」

 命令するままに俺は梨沙の秘部に中指をおっ立てて第一関節まで挿入した。
 入れた瞬間、ちゅくりと温かくねっとりした液体が付着してくる。梨沙もまた濡れているのがよく分かる。少ししか挿入していなくてもキツイ膣内は容易に想像できる、これが梨沙の膣口というだけで衝動が駆け巡ってくる。

「あぁぁ、いいぃぃ~お兄ちゃぁん♪」

      お口クチュクチュ

 梨沙が力を入れれば指に膣壁が絡みついてくる。この中に逸物が挿入したらさぞ気持ちよさそうだという邪な考えが浮かんでしまう。
 俺は梨沙の言われた通り、指を曲げて膣をかき混ぜるように関節を曲げて膣を拡げていく。グググと膣が拡げられる度に、梨沙がビクンと身体を震わせてくる。

「お兄ちゃんの太い指が入口でかき混ぜられて、クチュクチュイヤらしい音が聞こえてるよ~」

 チュクチュクチュクチュク・・・・・・

 梨沙の言う通り、俺の指の動きに合わせて梨沙の秘部からくぐもった水気の音が聞こえてくる。
 弄れば弄るほど水気の音は大きくなり、梨沙の喘ぎ声が脳に響いてくる。
 俺 が 梨 沙 を 感 じ さ せ て い る ん だ 。
 そのことに俺自身も興奮してしまう。これ以上したらどうなってしまうかわからない。
 俺が怖くなっていく。

「一つになろう、お兄ちゃん」

      宛がい

 狂喜に塗れた梨沙(永知)が自ら性器同士を触れさせる。我に返った俺は身体が強張ったのを感じた。

「そ、それだけはダメだ!梨沙っ!」
「えー、これだけのことをシテるのにまだそんなこと言うんだぁ?膣内で思いっきり射精したら、今よりもっと気持ちいいよぉ?」

 お尻を振りながら亀頭を無理やり膣口に押し拡げていく。焦れったくなって右手で支えた逸物を膣へと導こうとしている。

「今度射精するなら膣内で出してね」
「デキるわけないだろ!俺が・・・妹の・・・なかに・・・・・・」

 心の中にどうしようもない欲望がどんどん込み上げてくる。
 梨沙に挿入したいという気持ちが――、
 梨沙に自分の欲望をぶつけたい――?
 自分の逸物を――?
 梨沙の処女を――?
 でもそんな心の葛藤とは裏腹に、梨沙の膣口を見ていると、逸物ははちきれんばかりに大きく硬いものになっていた。

「お兄ちゃん!あたし、お兄ちゃんのおち〇ち〇が欲しいよぉ!」

 梨沙の声で甘えた声をかけられる。俺の心は梨沙が奏でる甘い声につられるように、身体は素直に反応を示してしてしまっていた。

「り、梨沙っ!」

 俺は身体の奥から湧き上がってくる欲望にもう抵えなくなっていた。それは本能が突き動かしているのだろう。俺自らが最後は梨沙を迎え入れるように、突き出されたお尻に手を置き、両足の間に身を挟むと、極限まで膨らんだ自分の逸物を梨沙の膣口に勢いよく押し込んだ。

 ぬぷ・・・にゅるんっ

 すでに潤っていた梨沙の膣口は俺の逸物を受け入れた。そして、何の抵抗もなく根元までくわえ込んでいった。

「あっ、やぁ、はぅーん♡挿入っちゃったぁ♡ヴァージン、お兄ちゃんに奪われちゃったぁ☆ああん、すんなり入っちゃう♡・・・ひん♡すっごい、きもち、イイ♡」

 決して触れることのできなかったはずの梨沙の小さな穴に。俺の汚れた欲望がこじあけめり込んでいく。
 ああ、なんて気持ちいいんだ!

 ずんッ、ずりゅ、ずりゅッ。

 ゆっくりピストン運動をしながら奥へ奥へ進めていく。梨沙の身体が小刻みに震えながら、膣内が捻れるのがすごい快感だった。

「はあんっ!奥まで・・・挿入ってくるぅ♡お兄さんの硬いおち〇ち〇♡ふああ~♡皮がヒダと絡み合って、捲れるのが分かるよぉ♡」

 狭くても逸物が傷つくことがないほど濡れている梨沙の膣内。中学生でも十分濡らしており、抽送を繰り返す度に愛液が溢れて胴体部へと伝わり流れ落ちていく。
 初々しい妹とのセックス。気持ちよくないはずがなかった。

「ああ~、いいよ~♡お兄ちゃぁん~♡もっと腰を動かしてよぉ~♡」

 梨沙に言われるまでもなく、俺はすでに男の本能の赴くままに腰を動かし始めていた。

「はっ♡はっ♡うっ♡」

 そのピストン運動に合わせて俺の口からは喘ぎ声が漏れ始めた。梨沙の身体が大きく揺れながらセックスの生み出す快感に兄妹呑み込まれていった。

「いいよぉ♡きもちぃ、お兄ちゃん♡お兄ちゃんのおち〇ち〇ビクビクするぅ♡」
「うんっ、はっ、はっ、はぁ~」
「梨沙。お兄ちゃんのことずっと・・・好きだったの!お兄ちゃんとセックスしたかったの♡♡」
「俺もだっ!梨沙っ!」

 感度が最高潮に達し、絶頂に向けて激しく腰を突き動かす。猫のポーズをして固まる梨沙も涎を零して快感に震えている。

「お兄ちゃん。あたしのおま〇こ気持ちいい?私はすごい気持ちいいよ♡ふあああぁぁ♡♡お兄ちゃんのおち〇ち〇が、あっ♡あっ♡奥ぅ・・・引っ掻いて、ビリビリくるよぉ♡♡お兄ちゃんのせーし、ぜんぶ梨沙の中にだしてぇ♡♡」
「梨沙!梨沙!梨沙ぁ!」

 性器同士を擦り合わせながら腰を打ちつけ、空気を何度も破裂させる。熱く滾った精液が海綿体から噴き出してくるのは時間の問題だった。
 それに合わせるように、梨沙の膣が締め付けて逸物を外に抜けないようにしっかりと咥えこんでいた。

「イク♡イク♡イクぅ♡♡はあんっ、すごいのっ♡いやぁん、くるの♡い、イクの♡初めてなのにイッちゃうっ♡♡ふあぁぁあああぁぁぁ――――ッッ♡♡」
「梨沙の膣に、でる!でる!射精する!ああああぁぁぁ!!!」
あんっあぁぁんっあ、あ、あっあっイクっなかに中出しされてイっちゃううぅっ・・・ひあぁぁっ♡♡あ、だめだめ、だめぇっ♡♡♡ああっんんんんんーーーーーーっっ♡♡

 ビュルルルッ!どくどくっ!びくん!ドピュッ!

      射精

 次の瞬間、梨沙の中に大量の精液を注ぎ込んだ。
 俺の分身がびくん!と収縮を繰り返すたびに、彼女の中も精液を吸収するかのようにビクビクと蠢いていた。
 幼い身体に大量の精液は収まりきらず、膣から吐き出される分身たちが足元に付着するのもイヤらしい。
 息を絶え絶えに呼吸を繰り返す梨沙の目は俺を見ながらうっすらと嘲笑っているのだった。

「お腹いっぱい・・・すごい量出したね、お兄ちゃん」

 次の瞬間、俺は酷い罪悪感に苛まれたのだった。

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「真由。助けて」
「どうしたの?」

 私、近重麻美-このえまみ-は大学の親友の道繁真由-みちしげまゆ-に縋りついていた。
 震える私が真由に抱きつく様子から、切迫している状況だということを察していた。 

「・・・彼・・・日塔誠-ひとうまこと-からストーカー被害にあってるって言ったでしょう」
「うん、言ってたね」

 先月まで日塔誠という大学のサークルで知り合った男性に気に入られてしまい、帰り道に後つけられたり、深夜に何度もインターホンを鳴らされたりストーカー被害にあっていた。
 非通知で電話かけてきて「好き」だの「愛してる」だのずっと言われてたりして気が狂いそうだった。

「でも、警察には連絡したはずよね?」

 真由の言う通り、警察に相談して一回誠は捕まったことがある。警察に厳重注意を受けてからは被害がなくなったし、それだけじゃなく警察はさらに周辺のパトロールを強化してくれてようやく安心してたの。
 だけど――

「――最近私って悠真と付き合い始めたでしょう?」

 先日、私は田中悠真-たなかゆうま-という年下の子に告白され、正式に付き合うことにしたのだ。男性と付き合うのは少し怖かったけど、サークルの中でもイケメンだし、お金持ちだし、なによりストーカー被害からずっと私のことを気に掛けてくれていた優しい心の持ち主だった彼に惹かれていた。それが――

「――そのことが誠の耳にも届いたみたいで、いまナイフで襲い掛かってきて・・・必死で彼から逃げてきたのよ!」

 思い出しただけで身震いしてしまう。
 目が据わっていて、何かを決意したような殺気を漂わせる雰囲気で、手に持ったナイフを私に振りあげていた。
 その特徴あるナイフの形は今でも忘れない。その光景が焼き付いて放れない。

「もう、うちに帰れない・・・私、怖くて・・・」
「そうだったんだね・・・」

 私を抱く真由の手が頭を撫でる。私と違ってかわいい系の真由だけど、その包容力に心が救われそうになっていた。

「よく頑張ってうちに来たね」
「お願い真由。しばらく私を匿ってもらえないかしら?」

 泣き顔の私は怖くて泣いているのか、嬉しくて泣いているのかもう分からなかった。
 でも、真由に甘えるようにさらに頭を下げていた。

「お願い。半年家賃折半でもいいから。一人にしないで。私怖いの・・・しばらく一人じゃ眠れないわ」
「安心して、麻美。真由が守ってあげるから」
「真由・・・」

 穏やかな声を発する真由に顔を向ける。すると、顔の上に電気の明かりに反射してなにかが光ったのが見えた。なにと思いながら目を細めた。

      笑顔が怖い

「悠真より真由のことを選んでくれて嬉しいなぁ。俺の読みは当たったんだ」

 真由の私を見ている目は穏やかではなく据わっていたんだ、細めた瞳が見たそれは、誠が持っていたナイフの型と同じだった。
 真由の手が振り下ろされる、私の背中に低い音が響いた。

「そのナイフ・・・誠と同じ・・・どういうこと・・・」

 私の背中にナイフが突き刺さっていた。不思議な感覚だったけど、全然苦しくなかったのだ。

「イヒヒッ。俺を裏切った女が恐怖に歪むのはたまんねえなぁ」

 真由の顔がいびつに歪む。狂気に笑う彼女の顔が解れていった。

「・・・あなた、ダレ?」

 私は真由に思わず訪ねてしまった。

「まだわかんないのか?俺だよ、俺、誠だよ」

 真由はナイフを抜いて舌なめずりしている。私の背中に大きな穴が空いているが、不思議なことに血は一滴も流れなかった。
 
「日塔くん・・・ど、どういうこと?」
「意識があるうちに教えておいてやる」

 ニヤニヤ笑って私に話した真由はおもむろに両手を顔に持って行く。すると、左右から挟んだ顔を思い切り引っ張り、まるで仮面でも剥ぐかのように顔を取ろうとしているようだった。
 でも、その例えは実際当たっていた。真由の顔は剥がれ、その下からもう一つ顔が現れたのだ。その顔は紛れもなく彼、日塔誠だった。

「きゃああァァァ!!?」
「お前の友達に成りすましてたんだよ。きっと麻美のことだからいつか泣きついてくると思ってな」

 真由の身体に誠の顔が付いている状況に金切り声をあげてしまった。真由の顔はまるで空気が抜けたように萎んだ状態で首からぶら下がっていた。身長も体型も違う誠が細くて小さい真由の中に入っている時点でパニック状態だった。
 真由の体型を維持して真由になりすまして私を待っているなんて、信じられない。酸素が脳に回っていなかった。
 シューッ、シューッ
 微かに聞こえてくるなにかが抜けるような音は、まるで私の欲する酸素の音のように聞こえてしまった。

「真由はどこ・・・?真由ぅ!」
「ここに居るじゃないか。この皮を着れば誰にでも真由ちゃんになることが出来るんだ。麻美だって着てみればすぐに真由ちゃんに早変わりだ。彼女が君のことをどう思っていたかすぐわかるよ?」
「お願いっ、もうやめて!真由を元に戻して!」
「イヒヒ。麻美もすぐに同じ運命を辿るんだから安心しろよ」
「どういうこ・・・と・・・・・・」

 誠の目の前で私の身体もなにかおかしいと気付き始めた。急に私の両足に力が全く入らなくなったのだ。

「ほらっ、そろそろ変化が出てくるぞ」
「あ、あれ・・・身体が・・・」

 腰が抜けたというのはもちろんだが、地面を蹴って逃げることすらできなくなっていた。私が違和感に思えた足を見てみると、自分の足が空気が抜けたように萎んでいるのが見えたのだ。

「わ・・・私の足が・・・ぺしゃんこになってる!?」

 筋肉があれば足は丸みに包まれているはずなのに、その筋肉はなくなってしまい平べったくなっていた。それが両足だけじゃなく、両手の爪までべろんと筋と骨がなくなり、『皮』だけになってしまうようだった。

「ナイフを刺しただろ?空気が抜けてるんだよ。身体の中に入っていたものを抜いていくようにな。そう・・・きみの意識を外に追い出すようにね」
「うそ・・・私の手が・・・ッ!いやよ・・・いやぁ!私の身体が・・・」

 シューーーーッ

 水分があるのに、空気が抜けていくように私の身体がどんどん萎んでいく。人の形を維持できなくなり、皮だけを残して消えてしまいそう。

「イヒヒッ。『皮』になるまで少し時間がかかるが、その引きつった顔をみるのが最高だァ」

 身動きも出来ず、声を出すことも出来ず、ここまで来たら私はもう自分でどうすることも出来なくなっていた。

「俺を警察に突き出した挙句にあんな男と幸せそうにしやがって!見せつけとばかりに裏切りやがって!だからしばらくは俺の言いなりになってもらうぜ」
「(そ、そんな・・・)」

 視力を失ったのか、視界が真っ黒になった。しかし、耳の機能は生きているのか漏れる部屋の音が聞き取ることが出来た。
 私はまだ生きていた。でも、何が起こっているのかも見えなければ悲鳴を上げることも出来なくなっていた。何が起こってしまったのか分からなくなってしまった。

「(あ・・・ぇ・・・?力がはいらない・・・)」

 一切身体が動かないので、私一人でどうすることもできない。すると、ひょいっと私の身体は持ち上げられた感覚があった。

「これが、麻美の皮かぁ。ふが、ふがぁ~!ふ、ふひ、フヒヒ・・・香水のいい匂いだ」

 その声は誠だ。すぐ傍に彼がいることは分かる。

「(それじゃあ、私を持ち上げているのは彼なの・・・?)」

 片手で私の体重を持ち上げている彼は馬鹿力の持ち主なのか知る術はない。一体彼はなにをやっているのかと思うと、髪の毛をおもむろに引っ張られ、何やらむしゃむしゃ口を動かしている音が聞こえた。

「(ひぃっ!?こいつ、髪の毛食ってる・・・)」
「おいちぃっ・・・ちゅむちゅむっ」

 まるで草を食べる山羊のように、私の髪の毛に噛みついている。私の髪に彼の唾液が付いているに違いない。今すぐ振り払いたくても、私の手は指一本思うように動かすことが出来なかった。

「はぁ、はぁ・・・こ、これが・・・麻美の中身・・・ぐちゅぐちゅで蒸れた雌臭と体温が残ってる・・・!」
「(な、なにしてるの・・・?)」
「よ、よし。それじゃあ、そろそろ・・・麻美の中におじゃまするか~」
「(なんなの・・・な・・・ひやぁっ!!?)」

 突然、ゾクゾクと背中から電撃が走った。まるで自分の身体の中に何かが入ってくるように、今まで感覚がなかった右脚に突然一本の筋が入ってきた。でも、その筋が大きすぎてとても痛い。それに、ちょっと毛が硬い。

「(ひぃっ!やっ!足に何か入ってきてる!?)」
「すね毛が引っ付いてなかなか入らねえ。はぁ・・・はぁ・・・きっつ・・・真由より小さな足だな」

 ジョリジョリと、身体の内側が彼の毛に擦られる。ストッキングだったら絶対破れちゃってる!血だらけになっててもおかしくないくらい脚の中がパンパンで痛いよ。

「ふぅ~なんとか先まで入ったぞ。それじゃあ、もう片方も」
「(いや、なんなの・・・助けて!たすけて!!?)」

 音にならない悲痛な声で叫んでいるけど、今の私は涙すら流せなかった。脚が重いし、一回り太い感覚があった。
 信じたくないけど、私のなかに誠が入っているのが分かる。彼が真由の中に入っていたように、私の中に入ろうとしている恐怖を表現する術はなかった。
 彼の吐く荒い息が私の髪の毛を揺らしていた。

「(あっ、ぐっ・・・)」
「おぉ・・・すっげ。ぐへへ・・・中はぬるぬるであったけぇ~」

 痛い、痛いと何度も嘆きながら耐えるしかない私の脚に彼の両足が入ってしまった。
 靴下のように、爪の先まで合わせていく。すると、今までむくみを感じていた私の脚から痛みがなくなっていった。

「おっ、きた。きたな。足の筋肉がどんどん吸い付いてくるみたいだ。おぉう!?」
「(なにが起こったの・・・?)」

 彼は私以上に歓喜の声を喘いでいた。両脚の感覚は戻ってきて来るや否や、誠は私の足を触ってきていた。

「(イヤ・・・ゃぁ・・・汚い手で触らないで)」

 彼の手を避けようと脚を逃がそうと思っても不思議なことに自分の意志で動かすことは出来なくなっていた。
 私の脚を彼に触られている感覚だけが何度も押し寄せてきて気持ちが悪かった。

「俺の両足が麻美のスベスベの足に包まれてるぜ。あぁぁ~すごい綺麗な脚だぁ!」
「(えっ?・・・なに?・・・なに・・・??)」

 視界を失っている私には彼の呟きがなんの意図を含んでいるのか分からない。
 そのつぶやきの不気味さに寒気を感じてしまう。
 私の脚を十分触った彼は、どんどん私の感覚を取り戻していった。

「ハァ・・・ハァ・・・この感覚がたまらん!キンタマの皺から尻の穴までぴっちり皮がくっついてくるんだよな!」

 下腹部の裏には彼の硬くなった肉棒の感覚が残っている。しかし、私の感覚が戻ったとき、私のアソコが同じくらい濡れているのが分かった。

「ハァ・・・ハァ・・・徐々に身体が変化していく感覚が癖になるぜ」

 私の身体に触れるより先に、彼は私の感覚を取り戻していく。

「ハァ、ハァ・・・ほんとに俺が麻美を着てる・・・このまま着ていけば、いずれ俺自身が麻美に・・・ッ!」

 両手、両胸、腰、うなじまで。
 私の感覚は戻っていく。しかし、もう身体の部分一つ一つは脚と同様に私の意志では動かなくなっていた。
 『皮』にされた私の中に入ってきた誠は、入れ替わりに手足を操り、動かせるようになっていた。
 耳だけが生きていて、私は自分の身体を彼に奪い取られていく屈辱を感じていた。
 そして、最後に残っている顔の部分――。

「このまま顔を被れば、麻美になることが出来るんだ」

 その時にはもう彼の声は一番よく効く私の声色になっていた。顔を掴まれた私の頭に、誠の頭が挿入される。その時、私の脳は彼の脳と同期しはじめた。

「んひぃぃぃいいいいいぃぃぃぃぃ♡♡♡♡♡」

 私の意識が書き換えられていく感覚が込み上げてくる。脳と脳をかき混ぜられて混在させられてどっちの記憶も引き出せるようになっていた。
 誠の苦労も苦痛も私は知ることもできたし、彼は私の記憶を知ることも出来た。
 いまの私は日塔誠でありながら、近重麻美でもあった。

「ハァ・・・ハァ・・・ハァ・・・・・・はあぁ~」

 先ほどまで一歩も動かなかった私の身体が、何事もなかったように動き始める。そしておもむろに鏡の前に映った自分の姿を晒してみた。

「おお!俺の目の前に麻美がいる・・・!」

      服ごと着ちゃった

 今までと変わらない自分の姿にも関わらず、新鮮で興奮するもう一人の自分が混在していた。
 自分の身体を映しながら、様々なイヤらしいポーズを取ってみる。普段なら抵抗ある胸元を強調させるセクシーポーズも抵抗なく見せることが出来た。

「おれ・・・麻美になってるんだ!声も・・・麻美のものになってるんだ・・・すごい・・・。ずっと嫌煙されていた麻美がすぐ近くにいるんだ・・・あぁ~可愛いよ、麻美ぃ・・・」

 今の私は麻美であり、誠くんでもあった。彼が喜んでいる声を聞いていると私も嬉しくなってしまう。それってつまり私が誠くんを愛してやっているんだ。まるで彼のことが愛おしくなっていくようだ。

「好き。誠くんのこと、大好きよ。うふっ♪誠くんなら、私の身体好きに使っていいわよ」

 そんなことを言わせちゃうことも出来るけど、私が言っちゃってるのよ。
 いやぁん、恥ずかしい。でも、嬉しい♪

「ああ、我慢できない!誰にも麻美を渡さねえからな!この身体は、私のモノなんだから!」

 私は自らそんなことを言ってしまっていた。


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 ヤリマン・・・美姫が・・・?
 誰からも好かれているから魔性の女という噂がたっても、噂は所詮噂。証人がいなければ立証もできないことで、彼女の噂を証明することは今まで誰にもできなかった。
 噂と現実の二面性が入り混じる彼女で、清楚で潔癖な純粋無垢な姫を僕を含めた男性たちは信じていた。
 それを・・・こんな形で――彼女の口から真実を聞かされるなど夢にも思わなかった。

「俊哉くん、ごめんね。私は俊哉くんが思っているほどの清楚な女性じゃないんだ。一週間前はサッカー部部長の三宅くんとしたし、一昨日は家庭ゲーム部部長の亀田くんに負けて罰ゲームで挿入れちゃったな」
「・・・・・・やめろ」
「亀田くんったら私の全身を舐めまくって本当に気持ち悪かったわ。んーでもぉ、おちんちんは臼田先生よりも大きかったから超気持ちよかったんだけどね」

 彼女の口から告げられる爆弾発言。自分の知っている生徒、先生たちの名前が次々に暴かれ、顔と名前が一致してしまう僕にはものすごい吐き気が込み上げてくる。

「あ、そう言えば私、この件は誰にも言たことがなかったけど、一回子供だって下ろしたことが――」
「やめろおおおぉぉぉぉ!!!」

 僕は思わず叫びあがってしまう。美姫が告げる真実がリアルすぎて、僕の頭の奥をぐちょぐちょに掻き混ぜていた。口の端から粘り気の強い唾が垂れ落ちていった。

「・・・・・・ね?私って俊哉くんが思っている以上に波乱万丈の人生を送っているんだよ?」

 自分が起こしてしまった事実。本人が隠しておきたかったことを悪魔の力を借りて赤裸々に告白する美姫は清々しいほどの笑みを見せていた。
 僕はもう、美姫の姿が霞むほど涙で前が見えなくなった。

「ぅぁ・・・ぁぁ・・・・・・」
「この歳でやっちゃいけないことってあると思うけど、でも、実際遭遇したらどうしようもなくない?だって、感情に流されてナマで犯してほしいってどうしようもなくなる時が私にはあったんだよ。そしてそれは、今も変わらない。ピルを飲んで避妊はするけど、大好きなセックス依存症はどうしても止められないのよ、私は」
「そんなことない・・・・・・僕は・・・・・・」
「信じてくれないの?私自身が直接教えてあげてるのに?」
「悪魔の声に耳を傾けるなんて・・・・・・」
「優しすぎるね、俊哉くんは。でも、それだと人生損するよ?」
「ふざ、けるな・・・・・・おまえ、なんかに・・・・・・」

 震える拳と供に湧き上がる感情。悟っている表情をする美姫と悪魔の道化師の表情が重なり合う。
 一緒にいた時の想い出も、美しい過去も、彼女の告白ですべてが消えていく。いや、消えるわけではない。美しい想い出が、どす黒く汚れていくのが分かった。

「俊哉くんだって、本当は望んでいるんでしょう?ねえ、素直になろうよ?私を犯したいんでしょう?」
「くっ・・・」
「いいんだよ。私を犯したって。だって、私にとって俊哉くんもただ一人の男の子っていう印象でしかないんだから」
「本じょう・・・・・・美姫っ!」

 いい。分かった。僕の勘違いだ。
 美姫を救おうとした。頑張った。
 でも、ダメだった。彼女はもう、救えない。
 悪魔じゃない、人間として救えない。
 表に出てこない闇を悪魔は露呈させた。むしろ、悪魔の方が正しいことのように思える。
 僕も彼女に騙されていたのだから。
 下手したら僕も一生彼女に騙されて生きていたのかもしれない。
 他の男子生徒、先生たちと同じように魅了されていたのかもしれない。
 それほど彼女は最低の人間だった。
 人を殺しているような人間だった。
 許さない。僕は、本条美姫を許さない――。

「きゃっ!」

 力いっぱい壁に押し付ける。細い華奢な美姫の身体は簡単に動いて僕に引きづられて供に細道の影に隠れていった。そして、力いっぱいに彼女の制服を破りすて、豊満な乳房にしゃぶりついた。
 僕自身ここまで美姫に横暴な行動ができることに驚いた。

「け、ケキャキャ!そうだよ。それでこそ俊哉くんだよ。私なんか気にすることなく、自分のやりたいことをやればいいじゃない。大好きな私を犯したいって思ってたんだよね?」
「はむ。むぐむちゅっ。ちゅぱ・・・ちゅぺ・・・」
「ひぅん、は、はぁん・・・。気持ちいいよ、俊哉くぅん。あはぁん」

 五月蠅い、黙れ。僕の心を決め込むな。
 好きとか、嫌いとか関係ない。
 これは当然の報い。当然の裁き。
 しっぺ返しが来ればいいとか、他人の力を借りるまでもない。
 僕自身が彼女を犯す、ただそれだけのこと。
 大好きなセックスとか言っていた彼女が嫌いになるほど、セックス狂いをさせてやるんだ。

「むぐぅ!むちゅ!ちゅぶぶぶぶ!!?」

 彼女の頭を掴んで強引に喉奥までいきり立った逸物を突っ込ませる。イラマチオだ。

「えほ、えほ、ふぐぅ!?ふごごごぅ!!」
「歯を立てるな。奥まで飲みこめ。唾液を絡ませろ」
「ふご、ふご・・・ぉぇっ・・・ぐふぅ」

 涙目を浮かべながら僕の逸物を指示通りに飲みこむ美姫。彼女を支配している感覚が頭の奥で鋭く刺さった。

「ちゅぶちゅばっ・・・えふっ、えぐぅ・・・ふぅぅ・・・」

 今まででかい態度を取っていた彼女がしおらしく僕に従い身体を差し出す。露出した乳首も突起しており、Mっ気質の高いことが伺える。
 散々男性を誑かしていた彼女を僕が正すんだ。狂った者同士、落ちるとこまで落ちてしまうように最後の仕上げを整える。

「んっ、ぐぅっ・・・んんっ・・・!」

 美姫の片脚を持ち上げ、彼女の口で舐めさせた逸物を突き上げるように挿入する。立位プレイだ。

「き、きつい・・・ん、ふぅ、ふぅ・・・」

 慣れていないプレイのせいか、顔をしかめ、大きく呼吸を整えようとする美姫。僕は腰をゆすった。

 ――じゅぷじゅぷと、卑猥な音と供に愛液が溢れだす。

「あっ、はぁ・・・んっ、んっ、んくっ・・・あ、んんっ」

 息を荒げ、控えめではあるが快感の声をあげる。美姫が声を殺しているのはそれでも世間体を気にしているのもあるのかもしれない。誰が入ってくるか分からない状況で、長くセックスを楽しもうとしているのかもしれない。
 腰を振るたびに揺れる美姫の胸。密着している状況で繋がる僕と美姫の吐息がお互い相手にかかるのだった。

「ひくっ、うあっ・・・ああんっ!」

 挿入する逸物がまっすぐ美姫の膣奥に潜り込み子宮口に当たると美姫は痙攣し、僕の逸物を締め付けていった。

「ふぐぅ!ぅ、んんうぅぅぅん!!」

 一際強く奥まで突き上げると、我慢できない美姫の喘ぎ声が漏れだしていた。一度零れた快感に彼女は流されていくだけだ。世間体も関係なく、次第に人々に聞こえるくらい大きな声を出すようになっていた。

「これぇ、しゅごいのぉぉ!!俊哉くんのおちんちんがぁぁぁ!一気に奥まではいってくりゅのぉぉ!!たまらにゃい!!きもちひぃぃ!!」
「うるさい、だまれ。黙って僕に犯されろ」
「ひぃっ、ひぃぃ!むりぃ・・・こんな気持ちいいセックシュ、我慢できにゃいぃぃ~!」

 泣き、悦び、震え、悲願する。

「お願い、いかせてくらしゃい!ううっ、が、我慢っ・・・が、まん・・・・・・でき、うぅぅうっ、うぐっ、んぐくぅぅううぅぅっ!」

 歯を食いしばり、白目を剥いてまで堪えようとし、そのまま絶頂に達しようとしている。
 その美姫の姿は滑稽で、僕の支配欲を最高に満たしていた。

「らひて・・・・・・おくに・・・・・・俊哉くんのせーえき。ほひいのぉぉぉ!!!」

 欲しかったらくれてやる。これで最後だ。
 これで決別だ。
 大きな塊が逸物の奥から競りあがってきた。そのまま美姫の最奥に、精液を送り込んだ。

 どびゅるるっ!びゅるぅ!びゅぼぶぅぅぅっ!

「ひぅぅぅん!!!あちゅいせーえき。お腹にはいってくりゅううぅぅ・・・・・・」

 美姫が痙攣し、何度もイキ続けるのを押え込みながら、最後の一滴まで彼女の意志関係なく僕の精液を飲み干すように彼女の子宮が動いていた。

「はぁ、はぁ・・・・・・、んっ、ふ、ふふふ・・・・・・」

 僕の精液を啜り取った彼女が笑みを浮かべる。あれだけ横暴な行為をした僕に対して、美姫は何事もなかったように制服を脱いで変わりの体操服へと着替えていった。

「お互い利害が一致したね。あなたは私の身体を。そして私は貴女のカラダを。一時の至福をありがとう」

 彼女にとって僕はただの男子生徒。そして、セックスフレンド。
 ただ、それだけの関係。
 そういうプレイを済ませた彼女は、役目を終えた僕の元から姿を消していった。

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 道化師――サーカス等見世物でお客を楽しませる人のことを指す言葉。滑稽な格好と曲芸的な行動、言動が得意とする彼の活躍でお客は日常を脱し、非日常的な世界に連れ出してくれるのだ。
 しかし、そんな彼が本当に日常に現れるとこんなに恐怖するのだろうか。夕焼けに染まる仮面。股の別れたピエロハットと血のように赤い全身コスチューム。
 彼を目撃した瞬間僕の身体は瞬間的に凍り付いた。毛が逆立ち、震えが止まらない。それは対峙する以前の問題で、今の僕は捕まっている美姫と全く同じ表情を浮かべていたに違いない。

「たすけて……」

 美姫がもう一度僕に助けを求めたが、僕は耳に入っても声を出すことは出来なかった。 

「あー?なんだいきみは?」

 彼の方が僕に訪ねてくる。きみはだれ?それはこちらの台詞として返したいくらいだった。

「あーあ、本当は誰にも見られずに事を済ます予定だったんだけどな。駄目じゃない。観客が楽屋にやって来ちゃ」

 道化師に楽屋というものがあるのだろうか。彼はそんな大層な役者なのだろうか。そう、彼にとって僕と対峙している状況は、まだ裏方なのだ。表に出てくる時の姿ではないのだ。道化師としての格好をしていながら、それはまだ非日常の格好なのだと知っているのだ。

「事を済ます……?」

 美姫は震えた声で聞き返す。その彼が発した台詞の言い回しの真意を――

「ああ。お前さんは俺様と相性が合いそうだからな。しばらくお前と供に行動させてもらうことにするんだよ。俺様だって未だに生まれてこの方時間が経ってないからな。この世界の状況を知るための隠れ蓑にさせてもらうんだよ」
「隠れ蓑……?」

 彼の言うことがまるで理解できないでいた。生まれたばかりで世界の状況を知るとか、彼がいったい何者なのかも理解できない。なにが目的なのかも理解できない。
 美姫をどうするつもりなのかも理解できないでいた。
 疑問を解決するために話し合う。僕は彼のことを理解したくて自ずと口を開くことが出来た。

「待ってよ。貴方の言うことが分からない。貴方はいったい何者なんです?なにが目的なんですか!」
「アヒャヒャ!俺様は『早着替えの曲芸師』。言ってしまえば『悪魔』さ」
「悪魔・・・・・・はあ!?」
「あーあ。やっぱり分からないか。悪魔なんかこの世にいないって言うのかね?」

 僕の叫びを聞いて、彼は全てを悟ってしまった。しかし、彼は落胆はしていない。むしろ楽観していた。

「残念ながら『悪魔』はこの世に無数に存在してるぜ?俺様の仲間もそこかしこに散らばっている。おまえ達『人間』なんて『悪魔』である俺様たちにとって雑魚なんだよ。アヒャヒャヒャ!!!」

 人間と悪魔……そこに分かり合う必要などない。別種であり、 異端であり、次元が違うはずの存在なのだから。

「まだ俺様の言うことを疑ってるんだろ?それならこれを見れば一目瞭然だろう。・・・・・・ほれえ!」

 彼はさらに自分の言うことに間違いがないと、立証するように彼の仮面を外した。素顔を見せた。
 見せたはずだった。
 顔はなかった。
 目も、鼻も、口も、前髪も、全ては闇に消えていた。
 仮面によって顔を作っていた。それが彼の正体だった。その衣装の中も、そのピエロハットの奥も、全ての答えは闇に消えた。
 僕も美姫も声を失った。叫ぶ気力すら湧かなかった。恐怖が凌駕すると人は青ざめることも脱力することも、泣くことも息をすることも失うのだと、この時知った。

 「アヒャヒャ!いいねえ、その表情。絶望―かんき―するその表情が俺様の生きる糧となるのよ!俺様人の歓喜する表情大好き!もっともーと驚かせてやるんだよ!」

 彼は善という感情はなかった。悪意に満ちて、嫌がらせをすることに長けていた。見たくない、聞きたくない。触れたくない、嗅ぎたくない――そんな恐怖を体現することを無理強いにしてくるように、 無理やりショーの開幕を知らせたのだった。

「観客はたった一人。だけどお前さんのために特別に見せてやる。俺様の最も得意とするショータイム――『高速かみな脱皮』!」

  
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「『正義』は誰の心にも存在すると思うのだ」

 村崎色はそう語り始めた。 

「当然だろ?人が『行動』するのに目的も目標も持たないはずがないだろう?今日一日何かをするために目を覚まし、何処かを目指して歩みだす。誰に言われるわけではなく、自分の目標のために人は行動を起こす。――つまりそれは『正義』の心だ」

 誰のためではなく、自分のため。自分の幸せのために行動する。それが人。それが本能。
 思考があり、思想があり、理想があり、私欲がある――

 しかし、そこにはダレもいないのだ。 
 自分の、自分による、自分のための幸福――そのために犠牲になるダレか。
 ダレが傷つこうと――、
 ダレが泣こうと――、
 ダレが痛もうと――、
 自分だけが幸福なら、それは 世 界 で 只 一 人 の 成 功 者 なのだと――

――貴女は、それも『正義』だと思いますか?

「ああ、思うね」

 色は即答した。迷いなく答えた。「それも一つの『正義』だ」と。
 自分のみの幸福を追求し、味方が全員瀕死の重症を負おうと、見方を変えればそれは一つの『正義』の在り方なのだ。
 彼女の前に敵はいない。
 彼女の横に味方はいない。
 彼女の後ろには誰もいない。
 誰と比べることのない幸福なら 世 界 で 只 一 人 の 生 存 者 なのだと――

――貴方は、それが『正気』だと思いますか?

 戦場に残された彼女に笑顔はない。
 戦場に残された彼女に悲壮はない。
 戦場に残された彼女に表情はない。 
 そうやって生まれた彼女に、『正義』はない。 

「ただね、私は思うんだよ」

 唐突に色はつぶやいた。私の質問に答えは言わなかった。

「『正義』がいるなら、『悪』だって存在するんだよ」

 色の声色は先程と変わっていた。悲観とは違う、真逆。何かを期待する吉報を聞いた興奮に口走る声だった。

「当然よね?『正義』が存在するなら『悪』だって存在してなくちゃいけないんだ。『正義』に倒される『悪』が存在してこそ世界は成り立つ。逆に『悪』が居なくなれば『正義』なんて価値が生まれないだろ?」
「そんなことない。『正義』に価値はあって『悪』には負荷の価値が既に存在している。世の中は±0じゃない。そうじゃなければ、世界は歴史を繰り返すだけ」

 より良い未来を築くために人は歴史を学び過去を勉強する。世界を変えるために人は勉強する。
 戦争のない世界を――
 笑顔が絶えない世界を――
 誰も悲しまない世界を――

「貴方は、それが正気だと思うのか?」

 自分のためではなく、誰かのため。誰かのために自分の行動する。それが人。それが本能。
 思考があり、思想があり、理想があり、私欲がある――

 しかし、そこには私はいないのだ。 
 皆の、皆による、皆のための幸福――そのために犠牲になる自分。
 自分が傷つこうと――、
 自分が泣こうと――、
 自分が痛もうと――、
 皆が幸福なら、それは 世 界 で 只 一 人 の 犠 牲 者 なのだと――

「貴女は、それも『正義』だと思うのか?」

 ええ、思います。

 私は即答した。迷いなく答えた。
 皆の幸福を追求し、自分が瀕死の重症を負おうと、見方を変えればそれは一つの『正義』の在り方なのだ。
 私の前に敵は泣き。
 私の横に味方は痛み。
 私の後ろには皆が苦しむ。
 私と比べることで皆が幸福なら 世 界 で 只 一 人 の 不 幸 者 なのだと――
 戦場に眠る私に笑顔はない。
 戦場に眠る私に悲壮はない。
 戦場に眠る私に表情はない。 
 そうやって生まれた私に、『悪』はない。

「無知とは愚かだな。お前は『悪』を 知 ら ないだけだ。自分を不幸にしておきながら他人全員が幸せだと勘違いしている。お前は『悪』そのものなんだよ」
「ち、ちが――」
「いや、『悪』そのものが既に固有化して『正義』を振り翳しているのか。私のもとへやってきた目的はそれか」
「ちがう!私は話し合いをするためにやってきたんだ!決して貴女を〇〇に来たわけじゃない!」
「別にお前の目的などどうでもいいんだ。 既に『悪』がすぐそこまで来ているってことが分かればいい。私は救わなければならない。――この世の『悪』に苦しむすべての人を」
「きゃっ!」

 室内に吹き荒れる突風。まるで色を中心に生み出される暴風は本に埋もれる室内を深緑生い茂る密林に風景を変えた。

「あ、ありえない……」

 今まで居た場所が変わったこともあり得なけば、摩訶不思議な現象すらあり得ない。
 ココが魔法や魔術の世界はあり得ない。列記としたリアル、日本。
 種も仕掛けもあるはずの社会なのに、私は闇社会に足を踏み入れてしまっていた。
 日常から脱し、非日常世界に迷い込み、そして私は〇〇される。

「お前を救おう――」
「あ…ああ……」

 こんな場所に来なければよかった。
 そうじゃなければ、悪も、正義も、生まれなかったのに……




続きを読む

 偽芽唯沙が懐から取り出したのは、別の『粘土』だった。
 それは既に準備を整えてあり、ある者の皮となっている状態だった。それを偽芽唯沙は、気を失っている芽唯沙に着させていく。

「くくく・・・。目を覚ました時には君はもう、八萬芽唯沙じゃない。芽唯沙は俺なんだ。そして、きみは、空いた席の人物にならなくちゃいけないんだ」

 芽唯沙に皮を着つけていくのは手間ではなく、気を失っているだけ想像よりはるかに楽だった。皮が伸びやすかったこともあるだろう。そして、その皮は芽唯沙よりもはるかに大きなサイズだっただけに、着付けに窮屈さを覚える場面が一度もなかった。
 今まで大輔が着ていた皮はどれも自分よりも小さいサイズのものだったから手間取らせたのかもしれない。しかし、実際この皮はサイズなど関係なく、Sサイズの子供でもLサイズの大人を着ることができるのだから、どっちが手間かは一目瞭然だ。
 偽芽唯沙がやったことは、眠っている芽唯沙の上に皮を被せ、手と足、顔をその皮に着させることだけ。
 それで後は皮の方が芽唯沙を包み、形を完成させていったのだ。 
 偽芽唯沙の前で皮が元の姿に戻っていく。その人物は他でもなく、市川大輔その人だった。芽唯沙は偽大輔となり、その姿を大男へと変身させていった。

「ああ、外見は完璧な俺だ。後はこいつを起こして――内面を確かめるだけ」

 偽芽唯沙に緊張が走る。これで、すべてが――皮同士の入れ替わりが完成する。

「起きろ!おいっ!」

 偽芽唯沙が大声で偽大輔を起こす。目を覚ました大輔は、芽唯沙に起こされて目を丸くしていた。偽大輔――本物の芽唯沙にとって、目の前に自分が居ることに疑問を抱くはずである。ここで叫ぶなり、怒鳴るなりの行動を起こすことが、芽唯沙としての正しい行動になる。
 しかし、大輔の用意した皮は特注品――自分の皮であると同時に、念入りに自分の記憶を植え付けた特別の皮である。

「俺は市川大輔。そのことに疑問を抱かない。俺は市川大輔。一生この姿で生きていく。俺は市川大輔。『粘土』に関する記憶全てを目を覚ました瞬間に忘れる・・・」

 『粘土』で出来た皮は記憶を受け継ぐ造形品。故に、その記憶を弄ることで着ている相手に認識誤認を与えることが可能になる。

 ――目を覚ました偽大輔は芽唯沙を見て目を丸くして驚いていた。

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「おまえ・・・なんで裸なんだ!こ、これは・・・いったい・・・。俺はいったい、何をしていたというんだ!!?」

 芽唯沙の姿に対する疑問。そして、自分の姿に対する疑問。
 お互い裸でいることに対する疑問であり、自分のあるべき姿に対する疑問ではない。

「(成功だ・・・)」

 偽芽唯沙は口元を釣り上げた。芽唯沙は完全に、市川大輔になりきっていた。



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「やだやだぁ。恥ずかしいよぉ!」
「恥ずかしがらなくていいのに。私は貴女なのよ。 別に隠すことないじゃない」

 体育館の裏で同じ肌、同じ形、同じ姿の二人の芽唯沙が、裸になって組んず解ぐれつの様を曝している。

「ちがうっ!あなたは市川くんでしょう!私じゃない!」
「ううん。今の私は八萬芽唯沙。どこが感じるかだって全部分かるんだから」
「私の真似しないで!その声で喋らないで!」
「ひどい。私を否定するだなんて。そんなこというと虐めたくなっちゃうじゃない」
「ひゃぅぅっ!」
「本当に感じやすい、私の性感帯はクリ〇リスっ!」
「言わないでぇ!」

 芽唯沙に迫る偽芽唯沙がその指で芽唯沙のクリ〇リスを引っ掻き回す。ジンジンと肥大化するクリ〇リスが空気に当たり、快感が溢れて身体が敏感に熱くなっていく。

「ひゃああっ!」
「あと、耳も弱いのよね?れる・・・ちゅむちゅぷぅ・・・」
「あっ、あっ、あっ・・・」

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「んふふ。濡れてきた。えっちなお汁が溢れてきた。こうしてみると、自分の濡れそぼったおま〇こをじっくり観賞したこともなかったわね。へぇ~、イヤらしい。エッチな匂いが漂ってきた」

 顔を芽唯沙のおま〇こに持って行く偽芽唯沙に、芽唯沙は恥ずかしくて目を開けられなかった。自分の恥ずかしいところを見ているもう一人の自分。誰にも見せたことのない大事な場所を、もう一人の自分が見ている心境に耐えられそうになかったのだ。

 チュク・・・チュク・・・ピチャ・・・クチュ・・・

 偽芽唯沙が指で膣内をかき混ぜる。イヤらしい音が指の動きに合わせて響き渡る。

「んあっ・・やっ!んっ、んぅっ・・・ふわぁ・・・」
「そんな我慢しないで。喘ぎ声を響かせてもいいのに。ここには私しかいないんだから」
「ムリぃ・・・そんなの・・・誰かきちゃう」
「そうなの?んふぅ・・でも、イヤでも声を出させちゃうんだけどね」

 愛液の分泌量の増加と供に膨らむクリ〇リスを指が触れると、指に絡みついた愛液の滑り感を覚える。チュクチュクとした痛々しい刺激と供に、否応なく芽唯沙は嬌声を発した。

「ふぁっ、ふああああんっ!」
「そんなに感じるんだ。私だって普段オナニーでやってる事なのに」
「そ、それとこれとは違うの」
「ああ。手加減はしないもんね。今どんな気持ち?気持ちよかったかしら?・・・じゃあ、もっと責めてあげる」

 積極的にクリ〇リスを責める偽芽唯沙。片方でクリ〇リスを刺激しながら、もう片方で膣口をかき混ぜる。
 ピチャッ、ピチャッ、ピチャッ、ピチャッ!
  芽唯沙のおま〇こから溢れる愛液の音がどんどん大きくなっていく。芽唯沙の感じるところを的確に責めるもう一人の芽唯沙。 その姿は、大輔を虐める時の自分よりもサドの素質を覗かせていた。

「ぺちゃっ・・ぴちゅっ・・・ちゅっ・・ちゅむ・・・」
「あああ・・・やぁ、舐めないでぇ・・・汚いからぁ!」
「ちゅっ、ちゅっ・・・ぴちゃっ・・・ぺちゃっ・・・んっ。なに言ってるの?もっと舐めてもらいたいって顔してるくせに」
「そんな、顔・・・」
「今の自分の顔、凄く蕩けて気持ちよさそうな表情してるのよ。本当は弄られて感じちゃってるんでしょう?Sッ気を見せる表情の裏では本当は誰かに弄られたかったんだって・・私にははっきりわかるのよ」 

 SではなくM気質。芽唯沙はその言葉を否定もせずに聞き入っていた。 

「はぁ・・はぁ・・」
「ねえ、もう快感に身を任せて、私に身を委ねてイっちゃおうよ。自分にイかされるなんてめったにできない経験じゃない。さあ、早く、出しちゃえっ!」
「あっ・・・あああっ・・・!」

  乳房を揉まれ、乳首が擦られ、膣口を責める指の動きが加速する。間違いなく芽唯沙をイかせようとしている動きに、我慢できずに、腰をビクンと浮かせていった。

「イク・・・イクぅ・・・こんなところで、ダメ、いやぁ・・・でるぅ!イ・・・いっくぅぅううううぅぅ!!!!」

 ビュッ!ビュクッ!ビュクビュクッ!ビュッ、ビュッ! 

 激しく身体を痙攣させてつま先だしになる芽唯沙が腰を浮かせ、潮を噴いて愛液を遠くの地面に飛ばしていた。


 
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 全ての準備を整えた大輔は復讐の内の一人である八萬芽唯沙を呼び出した。
 普通で呼び出して当然来るわけがないだろう。そこで名前を伏せて、内容をラブレターにすることで、無理なく一人で来させることを企てたのだ。

”突然のお手紙申し訳ございません。僕は貴女のことが大好きです。ずっと貴女のことを見ていました。手紙ではなく、本音で僕の気持ちを貴女に伝えたいので、 放課後一人で体育館裏まで来てくれませんか?できれば誰にもこの内容を伝えないでくれませんか?内気な僕からのお願いです”

 と、まるでショタな後輩が描いたような手紙の内容をすっかり信じきり、うきうき気分で一日を過ごしていた芽唯沙。

「ねぇ、なにかあったの?」
「んんん?なんでもない♪」
「何でもなくないでしょ?絶対何かあったでしょう!言いなさいよ~」
「きゃあ~!」

 律儀にも親友にも口を滑らせることなく、どこにもいない後輩の手紙を信じ切り芽唯沙。もうすぐその期待を裏切る絶望の行為が始まるというのだ。

 
 放課後、一人でやってきた芽衣沙。しかし、 そこにいたのが後輩ではなく、嫌っている大輔の顔を見て表情が曇る。

「あんた、なんでこんなところにいるの?」
「それはこっちの台詞だよ。なんでこんな場所にやってくるの?」
「うっさいわね。十数える間にどっか消えてくんない?じゅう・・・きゅう・・・」

 会話を拒む様に勝手に数を数え始める。しかし、大輔は慌てることなく芽唯沙に言い放つ。

「ここには誰も来ないよ」
「はー・・・・・・・はっ?」 
「だって、その手紙を書いたのは俺だから」
「はあぁ!!?」

 大輔なんかに騙されたことに芽唯沙が発狂していた。同じ内容の手紙を見せて嘘ではないことを証明する。

「期待に胸膨らませて残念だったね。でもよかったね、二人にこのことを話をしていたら、『大輔なんかに騙された』って馬鹿にされてたと思うよ」

 大輔に主導権を取られる芽唯沙。騙され、一日抱いていた期待感を裏切られ、感情を逆なでされて黙っていられるはずがかった。すぐに眉間に皺を作り、指を鳴らして大輔にジリジリを迫り始める。

「どういうつもりかわかんないけど、私を怒らせたいの?上等じゃない。もう二度とバカなことはやらせないようにその身体にきついお仕置きを叩き込んでやる」
「冗談。今まで大人しくしていたけど、今度はこっちの番だ」
「どういう意味?・・・きゃっ!」

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 大輔が逆に詰め寄り、芽唯沙を壁に押し付ける。
 ドンッ!と壁を殴る音と供に芽唯沙を追い込んだ。 

「逃げんなよ。今までの借りを返すためにお前ひとり呼んだんだからよ」
「それって・・・」

 顔を真っ赤にして、まるで観念した様に項垂れる。芽唯沙が今までより幼く見えたが、大輔には既にその想いは届かなかった。

「うぐぅっ!?」

 芽唯沙の顔に『粘土』を押し付けられる。ぐりぐりと強く『粘土』を顔に押し込められ、顔の型を取られてしまう。しばらくして、芽唯沙の顔から『粘土』を離す。息が出来ずに苦しかったのか、二、三回と堰き込んだ後に大声を出して大輔を非難した。

「なにするのよ!」
「まあ、見てなって。もうすぐ変わってくるぞ」
「だから、なにが・・・えっ?」

 芽唯沙がその『粘土』の変化を見るのは初めてのことだ。
 先程までただの粘土色だったものが、次第に肌色に変わりながら、その形を変えていった。インプットされた姿に自ら形を変えていきながら、足りない裳のは自ら補い姿を完成させていく。

 今まで見えなかった繊細な繊維。青色の繊維が無数生えたそれは、芽唯沙の言葉をなくしていく。

「(それって・・・髪の毛?)」

 長い部分についた丸い部分に生えた無数の繊維。それはまるで女性の髪の毛のように見えた。
 ロングヘア―の髪の毛。それは、ツインテールをしていなかったらちょうど芽唯沙と同じほどの長さと本数はあるであろう。
 そう、その姿は――『粘土』が自然に形作っているソレは、まるで女性の肉体を連想させるものだった。
 色だけではない。姿や形はまるで青春時代を過ごす芽唯沙と同じほどの身長に見え、腕や足、指の本数は人間と同じ。そして、 その中央には萎んだ胸と、女性器が形作られていた。

「(まさか。これって・・・わたしじゃない・・・?)」

 どことなくのぞく輪郭や肌色が芽唯沙を驚愕させる。顔がつぶれているが、大輔がもっていた『粘土』はいつの間にか芽唯沙そっくりの皮になっていた。


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 妹の美玲の部屋を訪れた大輔。鞄の中に入っているはずのある物を物色する。

「えへへ・・・あったあった」

 大輔が取り出したそれは、学校で美玲が体育の時間に使っていた運動着だ。直帰してバイトに向かった美玲であるが、帰ってきたら運動着を洗濯機へ入れるつもりだったらしい。
 ならば、その前に大輔が借りたところで問題ないだろう。

「またこれを着けるのか。汗吸って重くなっちゃってるけど、別に構わないわよね?」

 大輔はここに来るまで裸の姿だ。喋りながら誰にも許可を貰うこともなく頭から運動着を被り始める。

「うへぇ。つめた」

 背中は汗を擦ってびっしょり濡れている運動着に触れて冷たくなっている。しかし、今の大輔にとって火照った身体を覚ますには丁度いい濡れ加減である。
 妹の運動着を身に着けている大輔であるが、そのサイズは寸分狂うことなくジャストフィットに肌に張り付いている。それもそのはず。今の大輔の姿は、美玲の皮を着た市川美玲そのものになっているのだから。
 体型だけじゃない。記憶もすべて美玲そのものである。外見ではなく内面までも美玲になりきっている大輔は、普段通りに運動着を身に着けていく。しかし、ただ一つ違うところは、下着すら穿かないまま運動着を着こんでいくことだった。
 当然、それは付け忘れたわけではない。大輔が自分で興奮するために、あえてブラもショーツも穿かずに運動着に着替えた結果であった。

「乳首が擦れて・・・あぁん、変な感じ・・・。やっぱりブラって必要なものよね」

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 動くたびにポリエステル素材の運動着が乳首を擦ってくすぐったい。動くたびに乳首を擦ってくるのだから、意識しないという方が無理な話である。運動着の上から押し上げる乳首の存在感が2つのボッチを作る。汗で濡れた運動着はうっすらと乳首を透けて覗かせていた。

「下は・・・スパッツか。へぇ~。もうブルマなんて穿かないんだよなぁ」

 当たり前のことをぼそりとつぶやく。当然、スパッツもまた下着の上に穿かない。直に身に着けていくスパッツは、股の付け根にもぴったり張り付き、美玲のおま〇この形をくっきり浮き彫りにさせていた。

「イヤらしい・・・本当にイヤらしい。私の身体って」

 運動着の上から押し上げる2つの乳房。そしてスパッツに食い込むおま〇こを姿見で映す美玲の姿に大輔はさらに興奮していた。大輔が興奮すれば美玲が高揚し、勃起するはずの逸物が見えない代わりに、愛液が滴りスパッツを濃く変色していく。
 健康そのもの、活気よくベッドに飛び込んだ美玲は、ゆっくりと自らの身体を弄り始めた。

「んああっ・・・わたし、こんな時間から、オナニーなんてしたことないのに・・・今日はもう、我慢できないの」

 大輔は美玲の人格になりながらオナニーに耽る。その動きや手つきは、美玲が普段やるそれと同じだ。

「使用した運動着を着てオナニーだなんて、私って、とんだ変態じゃない・・・」

 すぅ~はぁ~と、鼻を鳴らしながら匂いを嗅ぎ、運動着の汗のにおいと布団の甘いかおりと髪の毛のほのかなにおいを同時に嗅ぐ。美玲の部屋でする美玲のオナニー。この場に誰かがやってきても、大輔がオナニーをしているとはまさか思わない。

「んっ・・・んああっ。乳首、運動着の上から摘まんで、コリコリするの、ダメェ。すごい、硬くなってるのわかる」

 運動着の上でも分かる柔らかい乳房の感触を楽しみつつ、中央に突起する乳首を爪を立てて引っ掻く。そうすることで、ポリエステルの生地が痛みと同時に痒みを与えて、乳首がジンジンと疼いてくるのだ。内股をキュッと締めていないと愛液が零れてきそう。唇を噛みしめて声を殺しながら、乳首責めを何度も行う。

「はっ、んんぅ・・ああっ!はぁはぁ」

 乳首から電気が走るような感覚が身体中を駆け巡る。気持ちよさに蕩けてしまいそうな感覚に陥りながら、大輔はゆっくりと右手を下の方へとおろしていった。
 スパッツに忍び込み、恥毛をかき分けてそっと美玲の割れ目に触ってみる。

「あっ、ふあぁぁぁ」

 そこから味わったことのない快感が発生する。ヌレヌレになっている割れ目に人差し指の腹で何度も押す。甘い樹液がそこから染み出し、指の肉を蕩けさせていく。

「はぁ・・はぁ・・・すごいびしょびしょ・・・私って、すごい感じやすい・・・んんぅ・・・ちゅ」

 一度指し抜いた指を目の前に翳すと、透明のお汁が付着していた。口に含んで味を味わうと、なんとも言えないしょっぱさが口の中に広がっていった。これが美玲の味なんだと、思う大輔はしばらく指をちゅぱちゅぱ咥えてその味を忘れないように味わっていた。

「はぁ・・はぁ・・・ん、んんんぅ!」

 再び指を下ろしてスパッツの中へ忍び込む。さらに快感を求めて秘部近辺を狙っていくと、突起物に指があたった。

「んああ!こ、これぇ!ここが・・・クリ〇リスぅ!」

 大輔が味わいたかった快感は、想像よりも強いものだった。皮に被っているクリ〇リスに触れただけで、割れ目からは滝のように愛液が噴きだしていた。

「いい・・・きもち、いい!」

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 身体が先程以上に火照り、運動着が熱くなった大輔は上半身裸になる。運動着に隠れていた乳房は先程より赤く染まっており、汗に濡れて蒸れているように水玉を発散していた。
 そして、再びベッドに倒れてクリ〇リスを弄る。割れ目がひくつき、腰が浮く。

「いいっ・・・もっと、もっとぉ!」

 スパッツの中で両手が泳ぐ。ぐちゅぐちゅとイヤらしい音をかき分けて美玲の感じるところを念入りに責めあげる。

「んっ、んあぁ・・・はぁ・・・んんんぅ!」

 女性の絶頂。それがすぐそこまで来ている。美玲の持ち物で、美玲の身体で美玲の絶頂を体験しようとしている。指の動きが加速し、動きが大きくなると、スパッツが伸びてしまうほど大きく開いていた。さすがにそれは不味いと思い、腰を上げてスパッツを脱いでいく。愛液が糸を引きながら、冷たい空気の感触を浴びて美玲の濡れたおま〇こが曝されたのだった。

「すごい・・・美玲のおま〇こ・・・初々しいピンク色してる・・・はぁはぁ・・・」

 身体を起こし、美玲の秘部を覗き込む大輔。その目にはしっかりとサーモンピンクの未使用の膣内が覗かせていた。鏡の前で恥ずかしい格好をしたまま大輔はオナニーを再開する。左手で胸を揉みながら、右手で膣内をかき混ぜる。
 快感が全身を駆け巡り、さらには快感を求めて脈動する。

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「ああ、ああぁん!んんぅ・・・も、もぅだめぇ・・・あ、これ・・い、イク・・・イクぅ!まちがい、ない・・・イクうううぅぅぅうううううぅぅぅ!!!」

 鏡に映る美玲が絶頂を起こす。大輔の目の前で激しくイク美玲に、女性の快感を初めて知ることになった。


 
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「いたいっ」

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 体育館裏に呼び出された市川大輔―いちかわだいすけ―は、待っていた者たちに歓迎の一発を喰らっていた。

「キャハハハ!転がったよ、こいつ。マジ達磨みたい」

 クラスメイトであるにも関わらず、大輔が受ける仕打ちは決して同等の立場ではない。同じ年、同じクラスメイトでありながら、人と人という対応では決してない。

「つうかさ、なんで学校きてんの?菌が移るって言ってるよね?」

 大輔は決してインフルエンザや風邪など引いていない。健康そのもの、至って普通の男子生徒。
 学校に来て当然の権利を、女子生徒は否定する。

「俺はばい菌なんかじゃない――」
「菌だって言ってるの、『大〇菌』。わかんない? 学校に流行って見なバカになったら困るの」
「そんなぁ・・・」
「臭い!近づくな!『大〇菌』が移るでしょ!」 
「グエェ・・・」

 いじめる側といじめられる側。目に見えないモノすら使い、それを武器に相手を虐める道具にする。
 空気感染。パンデミック。

「だから、おまえは家に引き籠ってろよ!」
「キャハハハハ!!」
「くそっ、くそっ」

 ただ、見た目がキモいだけで女子たちの人気は皆無。男子からは犬猿され、一人で過ごす学園生活は邪魔者を排除するかのようにクラス全体が団結する。そこはまるで小さな社会の縮図のようで、対応できない者たちの居場所を否応なしに消し去っていく。

「俺だって、好きでこんな顔になったわけじゃないのに・・・好きで学校に来ているわけじゃないのに・・・」
「だったら学校来なきゃいいじゃん?」
「イカ臭い匂いが充満している部屋の中でどうぞご自由に生きて下さい」
「じゃあ、さようなら」
「こいつら・・・」

 人として外見が汚れているのと、人として内面が汚れているのと、同罪ではないのだろうか・・・。
 大輔は三人のクラスメイト、千葉咲夜―ちばさくや―、八萬芽唯沙―はちまめいさ―、柏崎百子―かしわざきももこ―を心の底から許せなかった。


 
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