純粋とは矛盾色-Necronomicon rule book-

夢と希望をお届けする『エムシー販売店』経営者が描く腐敗の物語。 皆さまの秘めた『グレイヴ』が目覚めますことを心待ちにしております。

タグ:水晶

『純粋とは矛盾色』に足を運んで下さった皆さまへ。エムシー販売店総支配人の村崎色です。


 クラウドファンディングを開始してあっという間に残り一週間となりました。
 ここで一度再アップをしてご紹介したいと思います。


”グノーグレイヴ クラウドファンディングプロジェクト!!”

バナーかな

”グノーグレイヴ 紹介ページ記載”


      神保町

”グノーグレイヴ 応援プロジェクト第一弾”


      フリー素材から公式キャラへ

 グノーグレイヴの体験版(※)もブラウザで遊べる紹介ページ
 ※体験版はパソコンのみ正常に起動します。

 グノーグレイヴは二次創作も受け付けております‼

 そして、


『グノーグレイヴクラウドファンディング』は2月2日のPM23:59まで開始いたしております。


 ご支援いただける皆さまに素敵な商品グッズをご用意いたしました。

      兄妹で

 (画像をクリックすると、より細かな詳細ページへ飛びます)



pixivにて画像を公開しております!

https://www.pixiv.net/artworks/78279121



 更新が少なくて大変申し訳ございません。グッズ制作のご報告しながらお手元に届きますよう誠心誠意頑張って参ります!

『純粋とは矛盾色』に足を運んで下さった皆さまへ。エムシー販売店総支配人の村崎色です。


 元号が「平成」から「令和」に移行し、『純粋とは矛盾色』は10年の節目を迎え、今年は原点にしておりました企画を始動したいと思い募っておりました。
 1年間全力でブログ更新をしながら、1年間全力である企画を並行して進めて参りました。
 そして、2019年最後の月に間に合うことが出来ました。


 これまで多くの方のご協力を得て、多くの方に支えられて続けてこられた
『グノーグレイヴ』の本編の物語が遂に始まります。


――ご覧ください、グノーグレイヴ関連告知第三弾!!

”グノーグレイヴ クラウドファンディングプロジェクト!!”

バナーかな

”グノーグレイヴ 紹介ページ記載”


      神保町

”グノーグレイヴ 応援プロジェクト第一弾”


      フリー素材から公式キャラへ

 グノーグレイヴの体験版(※)もブラウザで遊べる紹介ページ
 ※体験版はパソコンのみ正常に起動します。

 グノーグレイヴは二次創作も受け付けております‼

 そして、


『グノーグレイヴクラウドファンディング』を本日のPM0:00より開始いたします。


 ご支援いただける皆さまに素敵な商品グッズをご用意いたしました。

      兄妹で

 (画像をクリックすると、より細かな詳細ページへ飛びます)


 今までと環境が変わり『グノーグレイヴ』は同人から全年齢に向けたすべての人に愛される作品を目指し制作して参ります。『グノーグレイヴ』は期待を裏切らないクオリティをもって今後とも活動して参ります。
 これからも変わらぬ声援をお願いしながら、『グノーグレイヴ』に興味を持つ方々に世界観を届けながら、一緒になって同人界を盛り上げていきたいと思っております!


 そして、目標であります――コミケ・・・コミティア・・・


 来年からは表舞台に立ち、制作者一同ブースにお越しくだる皆さまとお会いできることをとても楽しみにしております!

『エムシー販売店』と『グノーグレイヴ』に温かいご支援をどうぞよろしくお願い致します!


pixivにて画像を公開しております!

https://www.pixiv.net/artworks/78279121

 縺れる二人の女体。奈津子がイッタ後、茂美も逝ったようで、二人はベッドで荒い息を吐いていた。
 意識を失うかのような脱力と最愛な人と一緒に絶頂を迎えた達成感が至福の時間を知らせてくれる。

「気持ち良かったね」
「……うん」

 供に微笑む二人はいつまでも放れないように肌を合わせあっていた。

 ……と、『リモコン』で見ていた稲葉が遂に動き出す。教室から席を外して保健室へと向かう。その間に奈津子にかかっていた補正をすべて断ち切った。


 ・・・・・・・・・
 ・・・・・・
 ・・・

 プツンと切れたかのような感覚があった。私の中にあった茂美に対する熱い感情が急激に冷やされていくのを感じていた。
 違和感である。どうして私は、あそこまで茂美に熱くなってしまったのか?
 どうして私は茂美を愛してしまったのか?
 どうして私は茂美と、愛してしまったのか……

「――――っ!!」

 息を飲んだ。

(そうだ。わ、私…………)

 我を忘れてしまった。絶対に踏み越えてはいけない一線を越えてしまった。
 やってはいけない行為をやってしまった。
 絶対に伝えてはならない好意を伝えてしまった。

「どうしたの?なっちゃん?」

 なっちゃん?私をなっちゃんなんて呼んだこともない茂美がそこにいた。先程の私のように、イヤらしい目で私を見つめる木下茂美がそこにいた。

「ねえ、こっち来てよ。せっかくだから、先生が来るまでもう一回してみない?」
「あ――」

 茂美?…………茂美!?そんなこと言うキャラじゃなかった。

「今度はショーツの上からじゃなくて、おまんこに直接いじってほしいなあ。なっちゃんの手だもん。きっと気持ち良いんだろうなあ。――来て、なっちゃん。指を舐めて濡らしてあげる」

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 茂美の方がやる気になっていて、まるで現実に戻ったのは私だけという感覚にとらわれる。
 立場が逆転している。私をとめるはずだった茂美が狂い、私が今度は茂美をとめる立場になっている。

「茂美。も、もうやめよう」
「ええ~?どうしてぇ?」

 トロンとした目で私を見ないで。本当に茂美が別人に見えるから。

「だって、ほらっ、頭が痛いって言ってたじゃん。私、それで茂美を保健室に連れて来たんだよ?裸になったら、きっと症状が悪化しちゃうよ」

 今更ながらに当然のことを伝える。今まで思い浮かばなかったのが不思議なくらいで、でも、その提案すら茂美には通らなかった。

「ああ。そうだったね。でも、大丈夫。アタマ、もう全然痛くないよ。だから、なっちゃんもショーツを脱いで♪」

 茂美がショーツを脱ぎだして愛液に濡れたおまんこを曝け出す。毛の生えている茂美の恥部を見てしまった。
 私は、たまらなくなって保健室を飛び出してしまっていた。


 どうして?どうして?


 今まで快楽だったものが、今では嗚咽を伴う苦痛に感じてしまう。
 煙草を吸っていた喫煙家が久し振りに吸ったら気持ち悪くなったと似たような感覚だ。

 あれは茂美じゃない。私の憧れる茂美じゃない。もう、茂美は別人だ。
 私の初恋はこうして終わった。

「ぅ……うう――!!」

 泣き声を隠したくて、顔を隠して涙と顔が見えないように廊下を走っていた。
 茂美になにがあったのか分からない。当然、私になにがあったのかもわからない。わからなのに昨日と全く違う場所で過ごしているかのようだ。
 パラレルワールドと言ったら信じたい。それくらい、茂美を失ったのが私にはショックだった。
 ――誰か教えて。茂美になにがあったのか、私に教えてよ!

「うううう………………!!!」

 嗚咽が苦しい声で漏れだし、なにを言っているか分からない。でも、そんな私の声を聞いたのか――、

「なにがあったか教えてあげるよ」

 ――稲葉くんが私に真実を教えてくれた。 


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 身体が動かない。自分の身体なのに、思うように動かない。
 まるで自分の身体に制御装置が入れられて、停止ボタンを押されて動きができなくなったようだった。
 頑張っても頑張っても動くことが出来ない。なんなのよ、これ。茂美に助けを求めたいのにそれもできない。
 謝りたいのに、それもできない。

 と、急に身体がふっと軽くなった。身体が動き出したのだ。助かったと思った。

 でも、大きな間違いだった。私の身体は思った通りに動いたわけじゃなかった。勝手にベッドに腰掛ける茂美に向かって、唇を交わしていた。

「んんん!?ん……はぁ!な、なにをしたの!?」

 驚く茂美の表情。キス、しちゃった……それが私の心情。
 憧れの茂美に対する私の思いを、誰かが勝手に答えを出す。

『好きなら、襲っちゃえばいいだろ?』

 好きだけど、それは何かが違う気がする。女の子同士でナニをさせようというの?襲うって、――ナニを?――ダレを!?

『手伝ってやるからさ』

 私の身体は勝手にカーテンを閉め、制服を脱ぎ始めた。私の意志じゃない。身体が勝手に動いている!?帯を外してボタンを外し、首から一気に脱ぎ去ってしまった。
 ブラまで外し、上半身裸を茂美に見せつける。この上なく恥ずかしかった。

(見ないで、茂美。――やあっ!!?)

 茂美の制服を脱がし始める。私が脱いだから茂美も脱がせようと、そんな意図を感じてしまう。そして、その役割を私に押し付けている。

(ごめんね、茂美――!!)

 細い身体にほどよく染まった桃色の乳首。茂美は私の思った通りの綺麗な子だった。

(お願い。これ以上、茂美に何かしないで!お願い!!)

 その願いが届いたのか私の両手が、乳房を揉みだす。こんなことしたくないのに、自分の手なのに誰かにいじられているかのような刺激に敏感に反応してしまう。
 茂美が見ている。言葉をなくし絶句していながら、高揚した頬を染めて真っ赤になっている。
 私の手が下に降りる。

(ダメ!!それ以上は――!?)

 自分への抑制も出来ず、心の中で叫ぶしかない。驚きが隠せない。茂美の前で、お、オナニーをするなんて、シミを作るくらい感じているだなんて、死にたくなるほど恥ずかしかった。

「その、わ、わたし……あまり、こういう状況、得意じゃないんだけど……どうして、わたしなの?」

(ち、ちがうの、茂美。わ、わたしは――)

「こんなことされると――」

 私は茂美に抱きつくと、耳元で叫ぶ。

「た、すけ、て……からだが、かってに動くの……しげみ、たすけて……」

 はっきりと叫んだはずの私の声は、機械的で時々途切れるほどの、苦しげな声だった。



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 次の授業の時に驚くことが起きた。茂美が急に体調不良で授業中倒れたのだ。
 場は騒然となって先生が保健室に行くように勧めていたので、菜津子は率先して茂美に付き添い、保健室へと連れて行ったのだ。

「今日あんまり体調が良くないんだ」
「そうなんだ。保健室でゆっくり休んでよ」
「ほらっ、朝からびっくりしちゃったでしょう?なんか、身体が火照るんだ」

 ドキッとすることを軽く言う茂美である。

(それって私のことだよね?潔癖すぎるよ茂美ぃ。でも、ちゃんと謝んなきゃ)

 保健室で茂美をベッドに休ませる。先生も会議ですぐにいなくなったためか、茂美と菜津子だけが保健室にいた。謝るタイミングは此処だと思い、茂美に頭を下げた。

「ごめんね。茂美。本当にごめんね!」
「あはっ。いいですよ、そんなに謝らないで」
「あ、ありがとう!茂美!びっくりさせてごめんね!」
「ほらっ、また。謝らないでって言ってるのに」

 茂美も笑ってくれると菜津子にとってようやく心から笑うことができる。

「じゃあ、仲直りの握手しましょう。これで仲直り」
「うん。ありが――」

 差し伸びた手を菜津子は掴むはずだった。いや、そうしたかった。
 でも、菜津子の手はまたも、自分の意思とは無関係の、茂美の胸を揉んでいた。

「きゃあ!」

 朝と同じようにびっくりした茂美が身を強張らせる。

「えっ、あ、ごごご、ごめん!そんなつもりじゃ……」
「う……唐澤さん。わたしに何か恨みでもあるの?」
「な、ない!ないよ!わ、わたしは……えっ?」

 ベッドの上に乗って茂美との距離を縮めていく菜津子。手を這い、膝で布団を押しつけて、茂美の顔を瞳いっぱいに映しながら、菜津子は茂美と口づけを交わした。



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 今月お金がなくてピンチ。これで13日連続晩飯抜き。明日の朝も朝食抜かせば夜と朝連続飯抜き記録更新となる。うあ、辛すぎる。喋る気力すらなくなってしまう。
 学生は昼食だけ出るのでそれで餓死だけは免れているが……どうしてうちの親は何もしてくれないのだろうか。他のみんなは親の敷いたレールの上を歩けば何とかなってしまう道を進んでいる。それに気づかないで毎日楽しそうに笑っているのだから羨ましい。
 親の七光とか、浮き沈みが激しいとかじゃなく、きっといま、夜の7時に家に俺以外に誰もいないことがきっとさみしいのだろう。
 冷たい家庭だ。引きこもりたくなるよ。パソコン見て自作自演で釣るのを楽しんだり、成功者を小馬鹿にしてみたり、とにかく馬鹿をやることが楽しかった。無駄な時間かもしれないけど、無駄って大事なことだと思うよ。だって、今の時間も結局無駄なことなんだ。
 将来なんて結局、自分の思うようにならないものなんだから。
 世論と同じだ。周りに流されて削られて、反発して、負けて……出る杭は打たれて希望をなくしたものが今の自分だ。だとすれば、今の俺は…………もう、なにも残っていないんだ。

 だからこそ声を大きくして言う。
 俺だからこそ出来ることがある。人生の勝ち組になりたければ、世論を自分のものにすることだ。
 全員はできないかもしれないが、一人くらいだったら、レールの上から突き落とすことくらいは簡単だろう。
 部屋に閉じこもって時刻は23時。作業していたものが完成した。
 あとはこれを――

 ぐううぅぅ~と腹の虫が鳴った。ここまで食べないとお腹が鳴ると激痛が襲ってくる。
 結果は翌日出すとして、今夜は就寝しようと布団をかぶった……。
 翌朝、学校に来ると、

「お誕生日、おめでとう~!」

 「ありがとう~!」と、みんなに歓迎されている唐澤菜津子―からさわなつこ―の姿があった。クラスのリーダー的存在で明るく人気もある。自分の意見も言うが、独占しているわけではなく相手の意見をちゃんと聞く。その結果が今日、みんなに祝ってもらえているという結果になっているのではないだろうか。

「はい、なっちゃん。お誕生日おめでとう」
「ありがとう、しぃちゃん。うわあ!手帳じゃん!わたし欲しかったんだ!」
「ふふ、よろこんでくれてよかった」

 葛原椎子―かはらしいこ―から貰った手帳を大事そうに抱える菜津子に続いて男子テニス部に所属している橋爪勇樹―はしづめゆうき―が名乗り出た。

「俺のはこれだ!軟式ボール!」

 男子テニス部らしいプレゼントである。というよりも汚れ具合から使用済みである。

「ええ。なんか即席で作ったっぽくない?」
「馬鹿!お前怒ったら何でもかんでも投げつけるじゃねえか。だから、軟式ボールなら痛くないだろう?」

 そういう理由でプレゼント決めちゃう男の人って……

「それはどうかしら?……試してあげようか?」
「か、唐澤さん……どうして距離を縮めてくるんでしょうか?ちょ、待て!!!話せば分かる!!けっこう苦労を!!ぎゃああああ!!!!!」

 ボールを投げたと同時に廊下に飛び出す勇樹。廊下で軟式ボールが凄い勢いで跳ねていた。(実はスーパーボールだったとは……勇樹は策士だ)
 さて、一通りプレゼントが出なくなったところでいよいよ俺が菜津子のところへ顔を出す。手には昨日作ったモノを持って――。

「唐澤さん」
「あ。なに?稲葉くんまで用意してくれてたの?いやあ、まいっちゃうなあ私」

 分かる様にチラッと包装したプレゼントを見せると、菜津子は満面の笑みで喜んでいた。

「俺のは、これなんだけど」

 菜津子に手渡し蓋をあけると、緑色のイアリングが入っていた。

「なに、これ?ピアスじゃん?チョイ悪って感じするよね?」
「うん。でも別に耳に穴をあけるわけじゃないから安心してよ」
「そうなんだ…………どう?うまくできた?」

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 俺に向けて早速イアリングを付けてくれたようだった。怪しく光る緑色の光沢。俺もうっすら笑みを浮かべた。

「うん。ばっちりだよ」

 第一関門通過。後は自分の席について『愉しむ』だけだった。

「ああ、稲葉くん」

 背を向けた途端に菜津子から声をかけられて驚く。何事かも思ったが、菜津子は俺に対して優しく微笑んでくれていた。

「ありがとう。でも、ちゃんとご飯食べないと駄目だよ?」
「……うわあ!今ので一気に空腹感が襲ってき……ぎゃああああああ!!!!!」

 トイレに急いで駆けつける。その光景を菜津子含めた女子大半が笑って過ごしていた。 

 人をレールの上から突き落とすには、自分が新たにレールを敷けばいい。
 枝別れが多ければ多いほど人は魅力のある大きなレールを歩きたくなる。
 堅実な意見を聞く耳を持たず、若さ故の失敗という理由に逃げての挑戦を繰り返させるような魅力あるレールを急ピッチで造り上げる。
 世論を支配するというのはいささか無理でも、一人を傾けることぐらいならやってやれないことはない。
 そして、大きなレールを敷いたら、相手にも大きなレールを歩かせればいい。
 他人の力を使ってでも、自分の腕を使ってでも――

 なに、準備はもう整っている。
 目の前を走るプラレールが、進路変更するにはもう俺の力に頼る以外方法がないように。

 ――彼女はもう、俺の『リモコン』に操られる。
 
 最後に唐澤菜津子に近づいたのは、委員長の木下茂美―きのもとしげみ―だった。普段はまじめに過ごす茂美もクラスメイトの誕生日を宣伝されて(唐澤本人が)いた為に、先生に内緒でピれ前途を忍ばせていた。

「唐澤さん。誕生日おめでとうございます」
「茂美―しげみ―ありがとう。今日みんなから貰ってばっかだよ、あはは」
「そう言う日だし、いいんじゃないの。もらっておきなさいよ」
「んじゃあ遠慮なくー♪」

 俺が上げたピアスが怪しく光る。差し伸ばした手は茂美の手渡すプレゼントを通り越し、茂美の豊満なバストを鷲掴みしていた。

『え?』
「へ?」

 その場にいた皆が固まっていた。菜津子は確かにウィットにとんだジョークをかますことは会っても、下ネタで笑いを取るような子ではない。菜津子の行動は意表を突き、また、潔癖症でもある茂美のバストに触るという行為に、触られた茂美本人すらしばらく唖然としていた。

「…………………………きゃああああああああああああああ!!!!!!!!」

 驚いた茂美は手に持ったプレゼントを宙へ放った。そして、そのまま床に叩き落とされた。
 ――ガチャンと言う音が無情に響いた。

「あ……」

 箱の中で息を止めてしまったプレゼント。ガラス細工の置物であったことを菜津子は知ることはなかった。

「急に何をするんですか?びっくりしてしまいました」
「ち、ちがうの!今のは私の行動じゃなくて、急に手が伸びたんだって!」
「……プレゼント。また、違うの買ってきますね。今度は割れないのがいいかなぁ」
「あぅ……」

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 申し訳なさそうに茂美が菜津子から放れていく。最後のプレゼントがまさかこんな結末に繋がっていることは菜津子も想像もしていなかった。
 後味の悪い菜津子の誕生日祝い。無情に響く鐘の音が、クラスの悪い雰囲気を散らす絶好のタイミングで鳴り響いた。

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「カット。じゃあ次のシーン行くよ」
「愚民ども、準備して」
『イーーー!!』

 一つのシーンが終わり、緊迫感から解放されてようやく一息つく。

「やれやれ、ようやくか……ん?」

 雑用の俺がふと目を向けると、今日休んでいたはずの田中重信がひっそりと顔を出した。その後ろに――

「な、なんだとうう!!?」

 ――五人の来未を引き連れて。
 会場がざわつき始める。そんな中で重信が叫ぶ。 

「そんなので満足しているのか?ダメだダメだ!全然なってない!特に一ノ瀬来未の動きなんて妥協でしかない!それなら我らミクレンジャーの方がよっぽど良い動きをする。――主役をかけて本物偽物関係なく、勝負しろ!いや、役者全員総とっかえで勝負だ!!」
「な――」

『にーーーーーーー!!!?』と皆が声を揃えて叫んだ。

「シゲ!なにバカなこと言ってる!ほら、謝れ。監督や役者の皆さんに」
「触るな!!俺はもう止められない」
「止まれバカ!すみません、監督。こいつ昔からバカなこと言いだすから――」

 監督が呆れてものも言えないと思い、怒っているようにも見えた。だが、監督はしばらくして顔をあげると、

「承認」

 とだけ呟いた。えっ、それって、つまり、認めちゃうってこと?

「ありがとうございます」

『え~~~~~!!!』と会場がどよめく。重信が五人のクルミに声をかけた。

「いくぞ、ミクレンジャー!」

 襲い掛かるクルミたち、慌てる一ノ瀬来未だが、それをカバーする仲間達。

「監督がそう言うなら、私たちも立ち向かおう」
「み、みんな!」

 それぞれ散っていくメンバー。激しい戦いが今、始まる。 


 ・・・
 ・・・・・・
 ・・・・・・・・・

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「えいっ、はっ」

 ソフィが懐から爆弾を投げる。不意打ちを喰らった紫来未が尻もちをつく。

「きゃあ、いたああい」

 口で言いながらも手応えなさそうな表情。まだ紫来未は本気じゃなかった。

「私に手を出したら、『後』が怖いわよ?」
「あとなんかないわよ!これでトドメよ!!八方大火輪――」

 ソフィが大爆弾を放つ前に――

「『あと』……?違うわよ。『うしろ』よ、うしろ」

 紫来未がそう呟いた。はっとソフィが背後に振り向いた先、集められた愚民達が列を成して群がっていた。

「クルミちゃんに手を出すんじゃない!!!」
「ちょっとあなた達!!?」
「問答無用、イーーーーーーーーーーー!!!」

 妙な奇声と供に襲い掛かる愚民たち。

「いやあああ!!」

 ソフィは波にさらわれてしまった。


 ・・・
 ・・・・・・
 ・・・・・・・・・

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「みんなを助けなきゃ。僕が守らなきゃ」

 ウルドが目の前に立つ翠来未を睨みつける。姿は来未そのものだけど、ウルドは敵だと思って必死に自分を奮い立たせ、素早く魔法をとなえる。

「無理しなくて良いのに。キミ、黒魔道士でしょう?逆に守ってもらわないとやられちゃうよ?」
「なんで、僕のことを――」

 翠来未が大きく息を吸い込んだ。

「みんな、助けてえ!!」

 翠来未が悲鳴を上げる。その声に、
 ――ザッ

「イーーーーーーーーーーー!!!」

 愚民どもが終結した。
 ウルドは息を呑んだ。


 ・・・
 ・・・・・・
 ・・・・・・・・・

 マヤが拳を振るう中、蒼来未が必死に防御する。繰り出される重い一撃も、蒼来未は見事に受け流していた。

「その身体でよく鍛えられている」

 敵ながら敬意を表する。

「力だけじゃない。バネのしなやかさ、そして若さこそ強さの秘訣だ」
「……面白い」

 マヤが懐から剣を抜いた。鞘に入っていたとは思えないとてつもなくでかい剣だ。人並では重くて振ることすら出来なさそうなのに、マヤは片手で担ぎあげた。

「魔剣レーヴァテイン。貴様にこの一撃耐えられるか?」

 それを見て蒼来未も『剣』を抜く。その姿にマヤは驚いた。

「なんだ、それは――?」

 ――剣なのに刃はなく、剣なのに滑らかさがなく、
    剣なのに柄はなく、剣なのに長さに際限がなかった。

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「秘剣如意棒。棒だからと侮るな。天地を貫き、世界を真っ二つに両断する剣だ」

 蒼来未が先に跳んだ。振りあげられた如意棒は地平線まで轟いていた。

「――刮目せよ!この身に刻め!であああああああ!!!」
 

 ・・・
 ・・・・・・
 ・・・・・・・・・

「皆だらしないの。回復が追い付かないじゃない」

 愚痴をこぼして安全場所へ避難するリディアに朱来未が追い付く。

「そうやって楽してきて、あんた何様なの?」

 朱来未がリディアを殴った。赤く腫れる頬。リディアは目に涙を溜めていた。

「……殴ったわね!マネージャーにもぶたれたことないのに!」

 それを聞いて朱来未はブチ切れる。我儘で傲慢なリディアに、手を震えていた。

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「だからあなたは甘いのよ!――あなただけには、負けるわけにはいかないんだからあああ!!!」



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 久しぶりにクルミと二人きりになる。
 テレビを見て本物の来未を見ている彼女は今、なにを思うのだろう。
 ――と、急にクルミが立ち上がり俺を外に連れ出した。
 ずっと着ている橙色の戦闘服。すっかり定着して今では脱ぐこともしないくらい肌についている。

「カントクに出会えて、いろんな私を見てきた」

 今まで表立つことも出来なかった様々なクルミ。同じ姿であっても、決してみんな違った個性を持っていた。本当に濃い。皆が一つに合わさるからそれが現場の色なのだろう。

「クルミはどんなキャラになりたい?いや、どんなキャラになったところで、クルミであることに変わりはない」

 俺の言葉を聞いてクルミは微笑んでくれた。

「――可能性は無限大だ。怖がらず前に進めば道は出来る」

 くさい台詞だ。だけど、生涯で一度は言ってみたかった台詞だ。俺なんかが教えられる立場にないことは分かっているし、雑用がお似合いだっていうのも知っている。だけど、俺が磨いた舞台の上を踊ってくれるのなら、俺は喜んでクルミに道を譲ろう。

「カントクに出会って良かった。例え私がもう舞台に上がらなくてもね」
「…………えっ?」

 俺は拍子ぬけた声を漏らしてしまった。笑顔のまま今までの努力をすべて流してしまおうしているのか?一体どうしたと言うんだ。

「カントク。わたし、偽物なんだよね?」
「!?どうして――」
 最初にテレビで出ている来未は身代わりだと言っていたのに――

「あっ、やっぱりそうなんだ。じゃあテレビで出ているのが、本当の来未なんだね?」

 俺はまんまとクルミに鎌をかけられた。そうだ。俺の目の前にいるクルミは『名刺』から生み出した来未の偽物。俺が独りよがりで生み出した、表立つことのない来未なんだ。

「ごめんな、クルミ。俺のせいで迷惑をかけた」
「どうして?私は気にしてないよ。逆に良い思い出が出来たと思ってるよ。本人が聞いたらきっと羨ましがるような体験を、カントクのおかげで私はいっぱい味わったよ。だから、なにも後悔してないよ。――いつか消えることになったとしても」

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 笑顔がふっと曇り始めた。俺は見るに堪えなくなり、来未の小さな身体をぎゅっと抱きしめた。

「――来未!!」

 来未が息を飲んだ。俺に抱かれる感触を味わったからか。お互い様だ。俺も来未の温かさを感じているんだから。

「俺の中では、お前が本物だ。他の誰もが気付いてくれなくて良い。お前には俺がいる。俺がファン1号だ!!そして、俺の後ろには千人の『名刺―なかま―』がいるんだ!!凄いだろ!?本物にも負けねえファンサービスを考えてくれよ。――だから、来未。消えるなんて、そんなこと言わないでくれ!!」
「…………」

 俺は自然と力が入る。でも、来未は決して苦しいとは言わなかった。

「俺が生み出したってわかってる!罪を犯したかもしれないのも重々承知だ!でも、それは俺が決める!クルミが消えるのは、俺が必要としなくなった時だ!!それまで絶対消えるんじゃねえ!!これはカントク命令だ!!」

 カントクの威厳を出そうにも、涙を流しながら話す俺には全くない。俺は監督失格だ。でも、俺を監督と呼んでくれた五人のクルミだけは俺が守りたいと思った。
 そして、そんな彼女たちを作り出したクルミ、お前だけは――

「他の誰よりも来未が大好きだ」

 ――俺が絶対に幸せにすると心に誓った。

「ありがとう。カントク」


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 紫来未ならぬソフィは謎が多い女性だ。あまりテレビにも出たがらなかった彼女がどうして今回出演を承諾したのかもわからない。だが、今や紫来未として蒼来未と供に皆を引っ張っていくお姉さんキャラ的存在だ。いや、むしろ翠来未や朱来未が頼るのはソフィの方だ。癒しキャラっであり、先導できる紫来未はまさにオールラウンジに対応できるのであろう。
 で、今回。俺は紫来未と一緒に彼女の練習に付き合っていた。

「ひゅーひゅー!いいぞ!」

 カラオケでマイク片手に歌う俺。紫来未がノリよく歌わせてくれたので、一曲丸々歌いきる。

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「熱唱してしまった。なぜこんなことをしているのだろう?」
「いいじゃない。楽しくやらないといざというとき力が出ないでしょう?さ、カントク。飲んで飲んで!!」

 歌い終わった後に笑顔でお酒を勧めてくる。

「お酒は俺――」
「かわいい、かわいい、カントク飲むとこみて見たい。ハイハイハイ♪」

 なんという飲み会のノリ。これは男として飲まなければならない。ぐいっとハイボールを一気飲みする。

「ひゅー!!」

 拍手をして称える紫来未。

「さあ、次は――えっ?」

 空いたグラスの変わりになみなみ注がれたハイボールを持たせる。

「なに持ってるの!?なんで開けないの♪?」

(えええええー!!)

 紫来未、こええええええ!!!



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 朱来未―アカミクレンジャー―ならぬリディアはクルミと同じくして十代にして売れっ子アイドルである。
 出演するはヒットし、今や多忙な毎日を過ごしている。
 だが、クルミと違うところは、人気のせいで少々我儘になってしまったことである。

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「おんどりゃああ!!練習サボって何処に言ってるかと思えばああ!!」

 喫茶店のテラスでくつろいでいる赤来未を見つけた。だが、当の本人は全く聞いておらず、優雅にベノアティーを飲んでいた。

「ねえ、カントク。わたしケーキが食べたいの」
「クルミちゃんの為なら全力で買いに行く――っておい、カントクになに注文してるんだよ」
「あなた、カントクらしくないから頼み易いのよ」 

 ぐむっ、ごもっとも。

「それにわたしって有名人でしょう?マネージャーいないんだから世話しなさいよ」
「他人にすべてやらせるようじゃ碌な大人になりゃしないぞ。そうやってみんな消えていくんだ――ってこらー!人の話を聞けー!!」

 赤来未を見ながらキャーキャー騒いでいる野次に手を振るのも有名人の仕事か。とにかく俺は赤来未に振り回されていた。




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