純粋とは矛盾色-Necronomicon rule book-

夢と希望をお届けする『エムシー販売店』経営者が描く腐敗の物語。 皆さまの秘めた『グレイヴ』が目覚めますことを心待ちにしております。

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「梨央!」

 伊集院詩奈-いじゅういんしいな-が目を覚ますとすぐに弟の梨央-りお-の部屋へと向かった。怒りのままに扉を開け放つ。部屋には、梨央のベッドの上でオナニーの真っ最中の梨央がいた。学校から帰ってきた制服姿のままで自慰行為をしている詩奈の姿をした梨央に、詩奈は絶句した様子で眺めていた。

「なにしてるのよ?」
「あっ、お姉ちゃん」

 突然の来客でオナニーを辞めた梨央。スカートを正してベッドから起き上がった梨央は詩奈を見ながらニヤニヤと笑っていた。
 詩奈に対して侮蔑な笑みを浮かべている梨央。その表情を詩奈の顔が繕っていた。そう、二人の身体は入れ替わっているのだった。

「アンタ、私の身体返しなさいよ!」

 普段なら弟というだけで詩奈の尻に敷かれていた梨央。そんな彼が学校から帰ってきた詩奈に対して渡してきた『粉薬』。その匂いを嗅いでいくうちに意識が遠くなり、二人の身体は入れ替わっていたのである。
 梨央の策略に嵌った詩奈。弟の身体にされてしまったが、怒りをみせつけて詩奈(梨央)を叱りつけるように怒声を張り上げていた。

「最初はお姉ちゃんになって立場が変わればいいなって思っただけなんだ」

 姉に対しての不満をぶちまけながら『粉薬』を使った経緯を話している。しかし、梨央は詩奈が知らない事実を既に掴んでいるように態度を改めようとしなかった。

「なんのこと?」

      強気でいこう!

「でも、やーめた。お姉ちゃんはこんな気持ちいいことを知っているんだもん」

 突然、梨央(詩奈)の目の前で両手で胸をがっと揉みし抱く。制服の上からでもわかるくらい柔らかな乳肉の形が手の動きでプリンのように柔らかく崩れていた。もともと自分の身体を好き勝手に扱われている――普段の詩奈なら取り乱して怒鳴りつけるところだ。

「なにしてるのよ?」

 しかし、それを見ながら梨央(詩奈)は冷静に訪ねる。
 まるで詩奈(梨央)がなにをしているのか分かっていないように。

「・・・くすっ。忘れちゃったんだね、お姉ちゃん。当然か。ぼくだって知らなかったことだからね」

 憶測は確信に変わる。詩奈(梨央)が優しく梨央(詩奈)に答える。

「オナニーって言うんだけど。知ってるよね?」

 その響きを詩奈は知っているし、一人夜な夜なやっていた行為だ。
 しかし、今の詩奈はオナニーがなんのことだか完全に忘れてしまっていた。

「知らない・・・ううん、知って・・・・・・わからない!」
「オナニーだよ。オナニー。お姉ちゃんが大好きなオナニーってなんだったっけ?」
「いや・・・やめて!言わないで・・・・・・あっ、あっ・・・」

 自分でも何故思い出せないのか分からず困惑している。ただ、答えられないという事実に詩奈は自分の身になにか大変なことが起こっていることに気付き始める。
 梨央が先に知った事実とはこれだ。

「じゃあ、赤ちゃんがどうやってできるかも忘れちゃったんだ。自分の身体に知識置いてきちゃったもんね!」

 身体が入れ替わっただけで知識はその身体に残ったまま。詩奈の知識はもともとの梨央の知識にまで減ってしまい、逆に梨央の知識は詩奈の知識まで得たことになる。『粉薬』によって詩奈は立場だけじゃなく、知識まで奪われてしまったのだ。

「あ・・・あ・・・」
「お姉ちゃんが教えてあげようか?」

 意気揚々と梨央(詩奈)の前に立った詩奈(梨央)はおもむろに上着とズボンを脱がして全裸にさせて、小っさな男性器を取り出した。

「ちょっと!?」

 恥ずかしそうに逸物を隠した梨央(詩奈)だったが、詩奈(梨央)の手に阻まれてしまうと、そのまま逸物を刺激される。

「れろ」

 詩奈(梨央)の舌に舐められた逸物がビクンと反応を示す。それは梨央(詩奈)にとって初めての刺激だった。

「な、なに・・・?この感じ・・・」
「こうするとおっきくなるんだよね?お姉ちゃんだってよくやってたんでしょ?」

      ふぇら

 梨央(詩奈)の逸物を咥えて顔を前後に動かし呑み込んでいく。すると、逸物は詩奈(梨央)の口の中で勃起していき、成人男性のように太くて硬いものとなっていった。

「ぢゅぶぢゅぶ・・・れろれろ、ちゅっ、ちゅぅっ・・・・・・はぁ・・・いまならぼくにもわかるよ。おちんちんすごい興奮するよね?このにおいでお姉ちゃんのお股もジンジンしてくるんだよね?」
「あっ、あんっ、やあっ・・・なにこれぇ・・・いやぁっ!」

 逸物を美味しそうに頬張りながら敏感な性器を刺激していく。それに耐えられずに梨央(詩奈)は苦しそうに呻くも、詩奈(梨央)のフェラが止むことはなかった。

「はむっ。ちゅぱちゅぱ・・・ぢゅるるる・・・ぢゅぶ・・・ちゅぶちゅぶ」
「あっ・・・やっ・・・やめっ・・・ああああっ!」

 ドビュドビュっと、梨央にとって初めてとなる射精をしてしまう。口の中で受け止められる濃い精液に眉間に詩奈(梨央)は皺を寄せていた。

「うえっ・・・なんだよこれ・・・自分のものなのに美味しくないな。記憶だと美味しそうに飲みこんでいたのに・・・・・・」

 舌に粘つく精液の滓を取り払いながら高揚とした表情を浮かべていく。詩奈は初めての射精感に動揺しながらも、自分がいま何をしたのかさえ分かっていない様子だった。それくらい性知識を失ってしまったのだ。

「いまのなに・・・?おしっことは全然違う・・・」
「でも、射精できた。人生で初めての射精だ」
「しゃせい?射精ってなに?」
「あとで教えてあげるよ・・・」

 戸惑いを見せる梨央(詩奈)の顔は普段の梨央そのものだった。
 詩奈-あね-の言いなりになった梨央(詩奈)の逸物は、一度の射精だけじゃまだ硬さを保ち続けていた。

「じゃあ次は本番。ここにおち〇ち〇を挿入れるわよ。・・・いいわよね?お姉ちゃんの言うことは絶対よね?」

 梨央(詩奈)をベッドに押し倒し、詩奈(梨央)は上に跨る態勢を取った。
 オナニーと立場が逆転した興奮で詩奈(梨央)の秘部はぐちょぐちょに濡れていたのだった。続きを読む

「勝弥!アンタ、私の身体でナニしてるのよ!」
「ね、姉ちゃん――!?」

 急に入ってきた勝弥(理紗)に驚いた理紗(勝弥)は身体をベッドから起こした。

「だって、姉ちゃんの身体、今日一日中疼いて痒かったんだもん」
「だからって、私の身体でお、おな……オナニーして良いと思ってるの!?本当、サイテー!弟だって軽蔑するわ」

 その言葉にカチンときた理紗(勝弥)。今まで我慢してきた弟も堪忍袋の緒が切れたのだ。

「そんなこと言っていいの?」
「なんですって?」
「今の僕はお姉ちゃんの姿なんだよ?この身体がどうなっても僕の自由なんだよ?」

 強気に出る理紗(勝弥)に気を悪くする勝弥(理紗)。根負けしないためにも、強気になった理紗(勝弥)をさらに超強気でねじ伏せようとする。

「アンタね!変な気を起こしたら許さないんだから!」
「あんた、弟のくせに私に指図しないでくれる!」
「・・・・・・・・・・えっ?」

 急に口調が変わり、理紗本人の口調で咎める理紗(勝弥)に目を丸くする。それはまるで本当に勝弥(理紗)を叱る姿そのものだった。
 その姿が以前の自分に重なり、強気に出ていた勝弥(理紗)の動きが完全に止まってしまった。

「どう?似てたでしょう・・・?」
「あ、あんた・・・今のモノマネ・・・よね?」

 震える声で聞いてみると、理紗(勝弥)はニヤリと嗤って首を横に振ったのだ。

「ううん、モノマネじゃない。本物なんだよ。さっきオナニーしたでしょう?そして僕がお姉ちゃんの身体で初めてイった瞬間、お姉ちゃんの記憶や口調、全部が僕の頭に流れ込んできたんだよ。だから今じゃ自然と言えるようになってるんだよ。ウフフ・・・今はお姉ちゃんと喋っているから口調が変わらないみたい。よほど僕にとってお姉ちゃんはトラウマだったみたい」
「記憶が・・・流れこむ・・・?あ、あはは・・、そんな、ありえないわよ」
「ありえない?お姉ちゃん、男性三人と付き合って、それだけじゃなく初枝さんとも一度やったことがあるなんて、僕よりもえっちじゃない?」
「どうしてそれを――!?」

 初枝が理紗に好意を寄せているのを知っていた。だから一度だけ理紗は初枝としたことがある。レズ行為である。今まで誰にも打ち明けたことがなかったはずだ。それなのに弟の勝弥の口から告げられることに、急に身の危険を感じていた。

「へえ・・・セックスも経験済みなんだ。二人目の和博―かずひろ―が一番良かったんだね。格好良くてセックスもうまかったけど、二股かけられてたなんて・・・くすっ、そう言えばお姉ちゃんが沈んでいた時期あったよね?」
「やめ、やめてよ!勝手に記憶覗かないでよ!!」

 勝弥(理紗)が叫ぶと理紗(勝弥)が勝ち誇ったように笑みを見せた。
 それはまるで弱者を痛めつけるように見せる悪者の笑みだ。姿だけじゃなく、立場も逆転したように理紗に対して強気に責める勝弥。

「でも、おかしいよね?まわりには僕たちの姿はいたって普通に見られているんだよ?・・・私が弟をいじめるなんて日常茶飯事だったもんね!だから今日もあんたをいじめてあげるわ!ウフフ・・・」

 そういうと、理紗(勝弥)は勝弥(理紗)の上に跨ったのだ。


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 夕刻――
 学校から帰ってきた理紗―りさ―がなかなか下に降りてこないのを気になった勝弥―かつや―が部屋を訪ねに行った。しかし、勝弥は足音をたてないようにそっとした足取りで廊下を進み、理紗の扉の前に立ちゆっくりと扉を開けた。
 覗いてみたのだ。すると――

「…ぅ……うふぅ……」

 理紗は私服に着替えず、ベッドの上でなにか小さく背中を丸めてうずくまっていた。具合が悪いのか、呻き声を漏らす声に勝弥が心配したのは束の間――コロンと寝返りをうって勝弥の目に理紗がなにをしていたのかが入ってくる。

「あ……あ……」

 勝弥の表情がみるみる青ざめる。理紗は、オナニーをしていたのだ。制服姿のまま、こともあろうか制服の上から胸を揉みながらスカートの奥の大事なところを、指が入りやすいように大きく股を開いて弄っていた。
 スカートが乱れているせいで勝弥の目にも理紗がショーツを穿いていないのが見え、直接弄っているのだと分かってしまう。揉んでいる胸も形を変えているほど強く揉んでいるのだ。きっとブラも外しているのだろうと予想が出来た。
 制服姿でも裸同然に触られているのと同じなのだ。狂ったようにオナニーに没頭する理紗に勝弥は扉の前で戦慄いていた。

「あいつ、なにしてるの……私の身体で!!」

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 勝弥(理紗)は扉の奥で叫んでいた。自分の身体を好き放題に触られているのだ。身体を入れ替えられてしまい、姉弟同士しか言えない秘密を持つ勝弥と理紗。勝弥(理紗)は毎日事あるごとに確認して、弟にそれらしい動きがないか見張っていたつもりだった。しかし、勝弥もまだ子供である、オナニーを知らないと思っていた理紗は数日間の見張りで変な動きをしないことに緊張の糸を軽く解いたのだ。見に行く回数を減らしていき、今日も理紗(勝弥)が着替えに行くと言って部屋に消えたもののすぐにおりてくるだろうと確認に行かなかった勝弥(理紗)の落ち度があった。
 やはり男性であり女性の身体に興味あるのだろうと、弟とは言え勝弥(理紗)は怒りが湧いてきていた。

「許さない・・・すぐに部屋から連れ出して小一時間説教しないと気が済まない――!」

 扉のノブを強く握ったその手。押せばすぐに扉は開くのだ。
 でも、勝弥(理紗)はそれ以上動くことが出来なかった。

「・・・・・・・・なんで?」

 勝弥(理紗)が視線を落とす。自分の股間に生えている逸物が、ズボンの上からでも分かるくらい膨れ上がっているのが見えたのだ。
 ムクムクと反応してパンツを押し上げる逸物は、勝弥(理紗)に変な気持ちを増幅させる。悶々とした想いの中で理紗(勝弥)の様子を見続けていた。
 目を閉じて快感を貪っている理紗(勝弥)の姿を見ていると、さらに逸物が大きくなっていく。

「・・・・・・私、自分のオナニーに反応しちゃってるの!?」

 自分でも信じられないと、目を見開いて驚く勝弥(理紗)。

「あいつ・・・、ココロだけじゃなくてカラダも変態じゃない!もぅぃゃ・・・」

 全部あいつが悪いんだと、勝弥(理紗)はズボンの奥が収まってくれるまで扉の前で待ち続ける。

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 粉薬を吸いこみ身体を入れ替えた姉弟。
 かつて気の強かった姉も立場が逆転したかのように気が弱くなり、弟にすら勝てなくなっていた。学校も行かなくなり、部屋に閉じこもっていた毎日だったが、ふと理紗―りさ―はおもむろに部屋から抜け出し、かつての自分の部屋へと入っていった。

「ああ、私の部屋・・・・・・」

 自分のもと部屋は入れ替わった時と配置は未だ変わっていない。勝弥―かつや―は短期で自分からは基本何もしない性格だった。まさか『粉薬』で身体を入れ替える暴挙に出るとは理紗は考えてもいなかった。
 部屋の配置は変わっていなくても、掃除もしないので埃がたまっていた。
 お気に入りの蛙の人形がベッドから落とされていたのを見てショックを受ける。
 理紗はタンスから自分の衣服を物色した。
 かつてお気に入りで衝動買いした服の数々がタンスの中で眠っている。今はもう着ることのないものだ。

「私の……ものだったのに、どうして……こんなことになっちゃったの……」

 下着をもって泣きそうな顔をする理紗。これだってそうだ。安くても可愛くてつい買っちゃったお気に入りの下着だ。使われなくてタンスに仕舞っているくらいなら、いっそのこと自分が穿いてあげたいくらいである。でも、そんなことできない。
 男の子に女子の下着なんか似合わないんだから。

「なにしてるの、お姉ちゃん?」

      
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 急に声が聞こえて理紗が振り返ると、制服姿の自分の姿があった。
 理紗は泣くことを止めて驚いていた。

「勝弥!?学校は?」
「サボっちゃった。だって、授業分かんないし、つまんないんだもん」
「それが学校でしょう!戻りなさいよ」
「お姉ちゃんがそれを言うかなあ?学校休んでいるのに」
「あんたと違って私は本当に落第させられるのよ!」
「でも、お姉ちゃんの友達って本当に綺麗な人ばっかりだよね?なにもしなくてもスキンシップしてくるし。あはっ!女子高って飢え過ぎ。びっくりだよ」

 理紗は友達の初枝のことが脳裏によぎった。可愛くて人懐っこい初枝は理紗に好意を寄せているのを知っているからだ。

「あんた、まさか・・・初枝―はつえ―になにかしてないでしょうね?」
「僕は何もしてないよ。『僕は』ね」

 勝弥の笑みが物語っており、理紗は歯をぐっと噛み締めた。

「あんた、さいてえ・・・・・・」
「なに、私に逆らうの?勝弥の分際で生意気なのよ!あなたは私の言うとおりにしていればいいのよ!そうしたら元に戻してあげてもいいかなあ」
「くっ・・・っ!」

 『粉薬』は二人が満足するまで効力を発揮し続ける。勝弥を満足させない限り、身体が元に戻らないのだ。強気に出る勝弥は自分を満たす欲求を理紗に命令する。
 それがたまらなく快感だった。

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「きゃああ!!」
「うわああ!!」

――ダレか。

 世間は私に恐怖する。あっという間にパンデミック。

「事件が起きたのは向陽大学在学の柊聡子さんと、佐田順二さん。いずれも同じテニスサークルに入っており、恋仲であったとの証言も出ております二人にいったい何が――きゃあああ!!」

 ――誰か気付いてよ。私はここよ、此処にいるの。

「本当に幽霊はいるのか?」

 ザワザワ・・・

 ――幽霊なんていない。私がいるだけなの!

 小さな町に事件は声高に広がる。瞬く間に広がった幽霊騒動に、人々は誰もいない外を怖がった。
 真南に太陽が昇る昼間。外には一人もいなかった。
 静まりかえる町の光景に、私はただただ項垂れてしまった。

 ――――これは悲劇よ。

 そんなつもりはなかった。誰でも良いから私に気付いてほしくて暴れただけ。そしたらもっと人は近寄らなくなった。私はひとりだ。誰にも気づかれることなくじっといていれば、みんなが平穏に暮らすことが出来るんだ。

 ――だから私は、自分を殺そう。

 もう誰かに気付いてもらう必要はない。呼んでも無視すれば、誰も私に気付かないから。

 ――さようなら、みんな。
 ――――しゅんすけ。ごめんね……

 ・・・
 ・・・・・・
 ・・・・・・・・・

 姉ちゃんを探して家に帰ってきた俺は、静かになっている麻希子の部屋を開けた。電気はついておらず、カーテンの閉め切った部屋で、

「・・・・・・姉ちゃん」

 俺は姉ちゃんを呼びかける。応答はない。いるかもいないかもわからない。返事がないなら普通はいないのだ。でも、

「いるんだろ?姉ちゃん」

 俺はもう一度問いかける。

 ――――――どうして

 麻希子は口を塞ぐ。

 ――――話しかけないで。私はいないの。

 固く閉ざした麻希子は頑なに存在を明かそうとしない。

「俺には分かるんだ」
 
 俺はベッドに『鏡』を向ける。真実の鏡には、姉、麻希子の姿は映りこんでいた。
 観念したように麻希子は俺に振り向いた。涙で顔をぐしゃぐしゃにしながら、弟でも久しぶりに見た姉の姿に涙を流してしまった。

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「姉ちゃんは何も悪くない。ただグノー商品に操られていただけなんだ。商品の魅力に取り憑かれていただけなんだ」
「ちがう!わたしが全部悪いの。もう放っておいて!」

 泣き叫ぶ麻希子。俺の優しい言葉は逆に姉ちゃんを苦しめる。
 グノー商品に取り憑かれたのも麻希子。悪戯したのも麻希子。グノー商品に意志はないから、麻希子が全て罪を被らなければならない。
 だが、今の麻希子に背負える罪では到底なかった。

「――私は・・・俊祐の友達を傷つけた」
「うん。それは俺が望んだことだ。姉ちゃんに罪はないよ」
「――私は友達を傷つけた」
「うん・・・」

 それは姉ちゃんが望んだことだ。それを自覚してるなら、俺は姉ちゃんを救ってあげたい。

「だから、俺が姉ちゃんを守っていく。みんなが敵にまわろうと、俺だけは姉ちゃんの味方だ」

 一人じゃない。姉ちゃんも、俺もそうだ。

「・・・お姉さん」

 彼女の結海が麻希子に話しかける。

 
「私はお姉さんのおかげで、俊祐くんとお付き合いできました」

 「ありがとうございます」と丁寧にお辞儀をした結海に麻希子は慌てていた。
 
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「違うわ!それは私がやったこと――」
「姉ちゃんの中ではそうかもしれないけど、俺と結海の中ではこれが真実だ」

 「都合良いよな、俺って」と、ぼやく俺だが、結海と笑っている姿を見て麻希子はほっとしていた。

「俺は一真の様に熱くもないし、場の空気に流される弱虫だけど、こんな俺でも面倒を見てくれた姉ちゃんには幸せになってもらいたい。ダメな男だけど、俺も力貸すから。だから姉ちゃん、幸せになって――」
「しゅんすけえええぇぇ・・・。・・・あああああああ!!!」


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