純粋とは矛盾色-Necronomicon rule book-

夢と希望をお届けする『エムシー販売店』経営者が描く腐敗の物語。 皆さまの秘めた『グレイヴ』が目覚めますことを心待ちにしております。

タグ:変身

 ただいま、「TS解体新書」様で開催中の"令和元年変身モノ祭り"にて、私の作品が掲載しました!

 変身モノ作品 "猫の恩返し" です!

            詳しくはTS解体新書へ

 妹+猫の癒し作品に、なゆたろ様からロリ猫変身挿絵をいただいての投稿になります。

 無口な子の責めはエロい(恍惚)。
 単発モノではございますが、"令和元年変身モノ祭り"を皆様が少しでも楽しんでいただけましたら幸いです。
 願わくば、祭りを楽しんでもらえる一つの力になれましたら、私そして絵師共々嬉しく思っております。
 好き・・・すこ・・・しゅき・・・しこ・・・シコれ!!(暴言)

"令和元年変身モノ祭り"



 感度を生奈と共有していた雲雀だ。見ているだけでも十分に発情していた。動きたくても動けなかった身体。その封印を解き放つ。

「雲雀は動くことが出来るようになった」

 俺の声で雲雀は身体が動かせるようになった。そして、完全に火照った身体を静めるために、指をおま〇こに入れてかき回す。

「ハァ……ハァ……!」

 いやらしい水音が響く中で、雲雀は初めて俺の存在に気付いた。目の前に立つ男性。誰だかわからない素姓の知らない人物であるにもかかわらず、雲雀の瞳は俺に訴えかけた。

「熱いの……身体の奥が、燃えるようなの。……アナタに…静めてほしい」

 雲雀の瞳がそのまま声を出すかのように、俺に向けて身体を捧げる。

「ああ、いいとも」

 俺は雲雀の誘いをうけることにした。

 ………
 ……
 …

「ふわあ、キモチイイ」

 雲雀のモチモチでタプタプの巨乳に包まれた俺の逸物が、声を吐き出させる。パイズリなんて夢のようだ。優しい挟む雲雀の乳房に逸物はすっぽり包まれてしまった。谷間は深く、俺の逸物の亀頭部分だけが顔を覗かせる光景を見る。隠れた竿の部分全部が喜んでいるようだった。

「乳首……カリの部分に押し付けると………んんっ!」
「うはあ!」

 乳首で亀頭をなぞられると、身体中ゾクゾクして感度が高まる。
 雲雀は何度も乳首を擦りつけるように逸物に擦りつけ、互いに感じ合う声をあげていた。
 涎を垂らして亀頭を濡らしながら、自身の乳房にも流れ落ちて濡れていく様を見て思わず喉を鳴らしてしまう。
 涎を石けんに、乳房をスポンジに見立てて逸物を洗うかのように転がしていく。それがたまらなく気持ちいい。
 ヌルヌルで擦れた逸物に亀頭は赤く火照っていた。ギンギンに勃起した俺の逸物を、雲雀は大きく口を開いて咥えこむ。

「ふぅん…、ちゅっ…ちゅるっ…ぅんんっ、ぢゅっ…ぢゅるっ…くちゅ…ぺろっ、ぢゅるり…ちゅっ、ちゅぷっ……!」

 生奈にも咥えられた逸物は、今度は雲雀の口の中で泳ぎ始める。口内という不思議な空間に酔いしれ、ただひたすらに快感だけを味わう。

「ぺろびちゃっ……ちゅぶっ……じゅるじゅる……ぐぼ…、ぅえっ……!じゅぶっ…んぐっ……ごく…ごく……」

 イマラチオで奥まで咥えこんだせいか一度咽る雲雀だったが、口内では涎がさらに蔓延し、大量の唾液が塗りつけられていく。口の隙間から涎が垂れて床にこぼれたことにも雲雀は気付いていない。温かく湿った雲雀の唾液や吐息が、逸物を優しく包み込んでくれる。

「ああ、いいよ……すごく、いい……ひばり……」
「じゅぼじゅぼ……むぐ…レロ……はぁん……ごく、ぺろ……ぢゅるっ、ぢゅるり……」

 口から出たかと思えば亀頭の下からそっと舌をなぞらせて、睾丸を口に含んで玉を舌で刺激してくる。こんなところいじられたことがなかったので、それだけで絶頂に達してしまいそうだった。
 
「ぐっ……雲雀……もう、我慢できない!」

 ベッドに寝かせた雲雀の身体を俺は逸物を手に持っておま〇こに宛がう。毛の生えたアソコにも関わらずじとりと年甲斐もなく濡れている。俺のを咥えたいのを今かと待ちわびているようだ。
 その要望に応えるように、俺は腰を押し込んだ。ぐちゅりと、簡単に挿入でき、生奈よりも広く温かな空間に快感の波が押し寄せる。

「あっ、はあん!入ってくるわあ!……アツイ」

 雲雀が歓喜する。俺に手を伸ばしてぐっと抱きしめ身を寄せると、逸物は奥へと進んでいく。途中、つっかえることもなく、適度に膣壁に触れて小波が立つと、俺と雲雀は同時に身体を震わせ合う。

「はっ、はあっ……ひ、ひばり……さ……」
「あんん!!うぅ……くうぅ」
「あ、……ぐあああ――!」

 雲雀が力をこめると、膣内がぎゅっと縮まったかのように逸物を締めつけてくる。先程とは違い精液を絞り取ろうとしているかのようで、我慢して振り切ろうとするも声を荒げてしまう。
 さすが雲雀だ。自分の身体を使いこなせるお年になっているようだ。ならばお返しとばかりに俺の方からも腰を引いて逸物を一気に奥まで突き上げる。すると雲雀の身体に激震が走り、天を仰いで喘ぎ声をあげた。

「あああん!!ひさしぶりの……おちんちん……からだが気持ちいい……こころが満たされるわあ……もっと、ほしいのぉ」
「ああ、ひばりさん!ああ、がはあ――!」

 繰り返す様に腰を引いておま〇こに突き刺す。膣内の締まった肉壁がえぐられ、削られるかのような攻撃に雲雀はたまらず涙がこぼれる。それでもその涙は嬉し涙だ。嬉しくて笑顔がこぼれてくる。

「ああ、イイ……奥まで突いてええ!!もっと、もっと!」
「はっ、はっ、はああ!あっ…ふんっ…うう……はっ、はあっ……」
「きゃあああ!いいわ!ソレ、あっ、ああっ……くるわ。あ、ああん!!」

 パンパンという腰を打つ音が響く。雲雀の声がさらに高音になる。逝きそうなのだ。

「ひばり……俺も、いくよ!一緒にいこう!」
「中に出してええ!あつい精液を、ちょうだい!!」
「はあっ、あ、ああああ!イク!」
「ああああああんん―――!!!イク!イクイクイク、ああああああああ―――――!!!!!」

 二人で硬直し、一気に脱力する。子宮へと排出する俺の精液。一滴のこらず絞り取ろうとする雲雀の締めつけが心地いい。
 ゆっくりと逸物を取り出すと、コポポと精液と愛液も供に流れ落ちた。

「はぁ……ああん……あっ…ふぅ……」

 女性の体力は底なしと聞く。雲雀は既に息を整えつつあった。俺と目を合わせ、もう一回戦を望むかのような視線を送っていた。
 ――本当に素晴らし―エロ―い身体だ。

「ああ、気持ちよかった。最高だったよ、雲雀さん……」

 俺は『鏡』を持ち出すと雲雀の前に差し向けた。『鏡』の中を雲雀が覗いた瞬間、悪魔の手が伸びてくると、雲雀を掴んで『鏡』の中へと連れていってしまった。

「じゃあ俺が次は雲雀さんを演じるから、鏡の中で彷徨え」

 現実に雲雀が消えた。つまりそれは、俺が雲雀に変わったということだ。
 自分の身体がどうなっているのか見ることが出来ないので、変わりに生奈に見てもらう事にしよう。
 生奈を揺すって起こすと、気絶していた生奈がゆっくり目を開けた。

「ん……にゅう……?」
「起きなさい、生奈。こんなところで眠っていたら風邪をひいてしまう」

 生奈には俺がどう見えるだろうか。
 生奈が俺を見た。そして、フッと笑顔を向けた。 

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「はい、おかあさま……」




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 ――――バァン!!
 けたたましいドアの開く音が部屋中に響き、そこから瞬く間に大量の人が押し寄せてくる。
 特殊警備服を身にまとい、POLICEという文字をちらつかせている者たちに『佳奈』(一秀)は目を疑った。
 そこから現れる40代の女性と、還暦間近に見える初老の男性が入ってくる。

「警察だ」

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 事態は緊迫している状況で、やけに女性の声は耳に響いた。同時に胸の内で鳴らす警報が最大音で鳴り響く。
 なぜ・・・どうしてっ!?
 警察だと!?やってくるには あ ま り に も 早 す ぎ る ! ? 

「おらぁ動くな!容疑者覚悟。被害者を守れ!!」

 男性の怒鳴り声が部屋中に響くと、そこにいた者たちが全員打ち震えた。しかし・・・と、言わんばかりに警護班が戸惑いを見せる。そこには、被害者と同じ顔した女性が二人いたのだ。
 その時、容疑者が被害者に『変身』していたのである。間違えて確保してしまえば警察の面子は保てない。

「しかし、どちらを保護すれば・・・」
「はっ?お前たちは今まで何を見てきた? 右 の 子 を 確 保 だ ! !」

 それはあまりにも当然と言わんばかりに、男性は佳奈本人に指さした。警護班は男性の言う通りに右の子を守るために駆け付ける。
 まるで、この男性には、『変身』していることが無意味であるように。
 無事佳奈を保護すると次は『佳奈』・・・一秀の逮捕へと引き続く。

「なんでだよ・・・俺がなにした!なんでおまえ達がココにやってこれたんだよ!」

 警察に逮捕?ふざけるな!俺は何も悪いことなどしていない。これは佳奈ちゃんを救う話だぞ。
 美談の物語にどうして警察が現れる?そんな要素は一つもないじゃないか!

「宮村佳奈という少女が誘拐されたと通報があった。おまえのやっていることは立派な犯罪だ」
「違う!これは誘拐じゃない。束縛からの解放だ。自由のための改革だ!」

 幸福になるためにどれだけ多くの快感を得られるか。それは若ければ若いほどいいに決まっている。
 それだけ多くの幸福に気が付けるのだから。

「それが彼女の望んだことか?」

 例えそれが、俺の心理に基づいた者であっても。しかし、それに間違いはない。正論こそ正義なのだから。

「そうだ!これが彼女の望んでいたことだ!俺は確かに聞いたんだ!」

 隣の壁の向こう側から、俺は確かに彼女の初めて感じた快感の声を聞いたその日から――。

「彼女の口から聞いたのか?」

 初心な喘ぎ声に興奮し、眠れなくなった日から――俺の計画は始まっていた。

「お前が彼女を救う理由がどこにある?」
「・・・なん、だよ・・・・・・」
「お前が彼女を守る理由がどこにある?」
「・・なん、なんだよ・・・・・・」
「お前が彼女を救いたいという理由が私には理解できない」
「なんなんだよ!お前は!五月蠅いよ!お前に俺の何が分かる!?好きになった女性の幸福を考えちゃいけないのかよ、ええええ!!?普段の生活をしていて幸せか?なんの危険も冒さない人生は面白いか?セックスしたことあんのか!?オナニーしたことあんのか!?快楽を教えてやってなにが悪い?あああん!!?」

 怒りに爆発させた佳奈(一秀)の言葉を警察が青ざめながら聞いていた。一方的なまでの愛情。これが救いと信じて疑わない独断。凶悪犯罪すら許される思考回路。

「なんなの、こいつ・・・まるで会話が成立していない」
「正義感に溺れた悪人って感じですね」
「これ以上は埒があかない。さっさと連行するぞ」

 ジリっと警察が歩みを始めた瞬間――

「俺は捕まるわけには行かない。絶対に逃げ切ってやるんだ」

 一秀にはその自信があった。なんたって、手には誰にでも変身できる『鏡』を所持しているのだから。

「しまった!」

 一瞬の光に包まれた後、一秀の姿はいなくなっていた。

「消えた・・・消えてしまいました!」
「冗談じゃないわ。私たち警察がまわりを囲んでいるんのに。逃げられたで済む問題じゃない!!」

 若い警察官までこの事態に驚き、容疑者の消えた場所になにか痕跡が残っていないかを探し回る。しかし、この部屋を隅々まで探しても、宮澤一秀という男性が見つかることはなかった。

「ええい、まんまと逃げられたか」
「・・・・・・」

 警察をまとめる女性がなにかを思いながら、何かを告げて消えていく。そして、彼女が消えてしばらくすると、新米警官と供にやってきた佳代と一真が佳奈と再会を果たした。

「お姉ちゃん!!!」
「佳奈ぁ~!!!」

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 姉妹は抱き合ったまま無事に再会出来たことを喜ぶ。佳奈は終始姉に抱き付いたまま、ぐしゅぐしゅっと、顔を潰してただ泣き続けていた。「怖かった」と、辛かった寂しさを姉に伝え、姉はそんな妹を安心させるまで抱きしめ続けた。

「ありがとうございました。佳奈が無事で本当に良かったです」
「あなた達がすぐに事件に気付いてくれたからです。私たちは連絡がなければ動けませんので」

 自分たちのスピード解決を誇るわけではなく、異変にすぐ気づいた一真たちを称賛する女性警官。そして――

「辛かった中、助けを信じて希望を失わなかった佳奈ちゃんを私は誇りに思います。よく頑張ったね」
「ふ・・・ふええぇぇぇ・・・・・・」

 ――佳奈の頭を撫でながら優しく声をかける女性警官、小池陽乃はかつて自分もその言葉に元気をもらった言葉を佳奈に送り掛けた。

 決して事件は減ることはない。しかし、最悪の状況を回避するために迅速に解決することが警察官である者の宿命である。平和な日常を守るために戦い続けなければならない。
 一秀が逃亡している限り、事件は終わらない。しかし、ここに最悪の事態は回避できたことを誇ろう。逮捕はもう目と鼻の先にあることは変わらないのだから。


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「あっ――んん!」

 細くしなやかな指が佳奈の身体の上を這っていく。触れるか触れないかという絶妙なタッチに、くすぐったさのようなものを感じて思わず佳奈は声をあげた。

「フヒ。可愛い声。私と同じ声なんだけどね」
「ちょっと、待って」
「いいんだよ、怖がらなくて。とっても気持ちいいんだから」

 自分でも浮かべたことのない、ぞくっとするような笑みを浮かべて、『佳奈』が佳奈の身体を舐めまわすように見つめてくる。その怪しい微笑みにみつめられたせいか、それとも突然のパニックを起こしているからか、まるで身体が金縛りにあったように動かない。
 まるで蛇に睨まれた蛙のようだ。
 そんなことを考えていると、すっと、細くて長い指が胸に向かって伸びてくる。

「やっ!んんっ!?」

 きゅっと乳首を摘まれて、佳奈は思わず声が飛び出す。すると、ますます嬉しそうに微笑んで、『佳奈』が掌を胸全体に押し付けてきた。

「それに、胸も可愛らしい・・・・・・ちゃんと柔らかくて、手のひらにすっぽり収まるのが好み」
「あ、あううう」

 ぐにぐにと、その手の平が胸を揉みしだく。さらには、いつの間にか股間がピタリと合わさっており、そこからお互い熱い感触が伝わってくる。

「あはっ。イヤらしい音・・・・・・んっ」

 嬉しそうにつぶやきながら、『佳奈』はすり合わせるように秘部を押し付けてきた。

「ああ、ほら・・・私のアソコと、あなたのアソコが、くちゅくちゅって、重なって・・・あ、ふあぁぁ」

 『佳奈』の言葉通り、卑猥な水音が部屋に響いていく。執拗に角度を変えたりしながら、何度も何度も佳奈の秘部に自分の秘部をすり合わせてくる。すると、次の瞬間、まるで全身が雷にでも打たれたかのような電流が走った。

「あっ!?んんんんっ!」
「あはっ!本人通しだから分かるのよ。あなたの気持ち良い所が。ほら、クリちゃん同士が擦れて、気持ちいいでしょう?」

 自分とまったく同じ身体の自分とまったく同じ姿の『佳奈』に犯される佳奈。自分でも弄ったことのない指使いやテクニックで佳奈の身体をどんどん昂ぶらせていく。

「これが、クリ〇リスの刺激・・・」
「ひょっとして、クリ〇リスは初めてなの?まさか、自分で弄ったこともないの?」
「そ、それは・・・・・・」
「自慰もしたことがない女の子が、私の腕の中にいるなんてね。本当に可愛いなぁ」

 だんだんと擦り合わせる動きが激しく、そしてリズミカルになって行く。最初は模索するような動きが、快感を目指して一点突破してくるような動きに変わる。

「あっ!あ、あぁっ!だ、ダメ・・・そんな、されたら!?」
「ああ。わかるよ。あなたのアソコが、ビクンビクン痙攣してるのが。気持ちいいんでしょう?だったら遠慮なんてしないで、ほら、イっちゃいなさい。ほらっ、さあ、早く」

 ぐちゅぐちゅと、水音がさらに激しさを増した。同時に下半身がガクガクと震えて、今までに感じたことのない快感に佳奈は戸惑った。まるで身体がお腹に向かって萎んでいくようだ。身体全体が弾けてしまうような快感に、全身をビクビクと震わせたのだった。

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 佳奈ちゃん・・・。
 きみを救う準備は出来た。
 きみと戦う準備は出来た。
 きみと戦う覚悟は出来た。
 きみを救う覚悟は出来た。

 きみが自由のままに生きられるために。きみが本能のままに生きられる社会のために。

 世界とは不条理で、ナニカを得ようとするためにナニカを犠牲にしなければいけない。
 ナニカを欲求すればナニカを代償にしなければならない。
 スポーツ選手であれば青春を犠牲に練習時間を――。
 商社であれば担保を犠牲に資本を――。
 命を差し出し、努力に注ぎ込む。野心が強ければその分見返りだって強い。
 無能の俺にとっては十分な覚悟を、きみを救うために全てを賭けよう。
 つまり、そういうことだ。俺はきみを救う物語に溺愛しているのだ。
 無職で無能の俺に未来などない。光の中にいるのは未来ある佳奈ちゃんなのだ。俺がきみに惚れたのは、俺に持たないモノをきみが持っているからだ。
 輝かしい未来――
 希望ある将来――
 羨む夢――
 それこそ活力。それこそ原動力。
 きみに憧れることで俺は行動できる。勇気ある行動に踏み出せる。
 その覚悟を恐れない力をきみのおかげで持つことが出来た。
 もう、ナニモ恐れない。
 きみは俺のモノ――すべては俺のモノ――

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「フヒヒ・・・おかえり、佳奈ちゃん」
「・・・えっ?」
「待ってたんだ。きみのこと」
「あの、あなたはいったい誰ですか?」
「俺はね、きみを救いに来たんだ」
「きゃあああああああああああああぁぁぁぁぁぁ!!!!」


 ・・・
 ・・・・・・
 ・・・・・・・・・

 有森一真が学校から帰宅していると、先に帰ったはずの宮村佳代からの電話が鳴った。

「はい。もしもし」
「一真!今どこ!?」

 なにやら慌ただしい佳代の声に耳が痛い。尋常じゃない慌てぶりを察してしまう。

「な、なんだよ、いったい?」
「・・・佳奈が居ないの」
「はっ・・・?」
「家にいないのよ!玄関に佳奈の靴が片方だけ残ってて、家の中にはいないし、もしかして、誘拐されたんじゃないかって」
「・・・・・・マジ、なのかよ?」

 誘拐?この穏やかな町で誘拐事件が起こり、しかも当事者が彼女の妹だって・・・
 世間の狭さを体験するような、嘘みたいな本当の話を、電話越しに聞くことになるだなんて信じられなかった。
 夢であってほしい現実の話だ。ましてやこれが真実であるなら、佳奈ちゃんはいったいどこに連れ去られたというんだ。

「とにかく、俺も急いでマンションにいく。佳代も落ち着け。大丈夫だから、まずは警察を呼んで――」

 泣きながらうん、うん、と頷く佳代を安心させるように声を掛けながらも全速力でマンションに向かう。

「無事でいてくれ、佳奈ちゃん」

 心中慌てているのも一真も同じだった。

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 彼女を救う――他人が人を救うにはどれだけの労力と時間が必要なのだろう。
 勝手に助かったり、自分で助かる方がよほど楽だ。
 助けを必要としていないというのが最も質が悪く、不変を望むことや永遠を信じることと同類の悪質さだ。
 不幸な現状を幸福と勘違いしていることの罪を認識させなければいけないために、自分を客観的に観られる状況を作り出す。そして佳奈ちゃんが救済信号を出したところで――俺が彼女を救い出す。
 それを可能にするアイテム、『鏡』という道具なのだ。
 この道具は相手のことを想い耽ると、相手に変身する道具だ。つまり、上記にあたる、自分を客観的に観られる状況を作り出す――ということが可能になるのだ。

 俺が佳奈ちゃんの『鏡』になる。それが可能になるアイテムなのだ。

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 目を開けると、『鏡』に映るのは俺の姿ではなかった。コンパクトケースについた小さな『鏡』に映る小顔で整った愛らしさのある幼女の顔。その顔は隣に住む少女、宮村佳奈の顔であり、俺が思い続けた彼女の顔である。
 顔だけじゃない、姿見を見ると、身長から体重、容姿から髪の毛まで何もかも変わっていた。
 綺麗な身体。
 微かに漂うシャンプーの香り。
 物足りなさを覚える肉感。
 細い手足。
 彼女を見て可愛いという言葉が出てくるのは人の本質ではないだろうか。小動物、愛くるしさ、動作、仕草・・・子供を見て自分に足りないモノを称賛する大人たちの感想こそ、純粋で素直な美しさを秘めている。
 子供の時に分からないことを、大人になって失ってしまう。それに気付いた時には遅すぎるため、後悔だけが残ってしまう。
 だから、彼女にはそんなことをさせてはならない。佳奈ちゃんの持つ素晴らしい才能を俺が引き出してあげなければならない。
 誰からも愛されることを武器に、誰よりも快感を得てもらいたい。
 それが彼女にとっての幸せなのだから。

「あ・・・あ・・・私は宮村佳奈。・・・・・・うん、佳奈ちゃんの声になってる」

 声だけじゃない。自分の動作すべては佳奈ちゃんの手足。自分の仕草すべては佳奈ちゃんの行動になる。
 佳奈ちゃんが学校に行っている間にまさか誰かに成りすまされているなど夢にも思わないだろう。商店街に足を向かえば佳奈ちゃんの行動として認識されてしまうのは他者変身者にとって快感ではある。危険との隣り合わせにこそ快楽はあるが、危険は常に最低限に留めておきたいと思う俺にとって、買い物は常にネット通販に任せ、人との繋がりを断つ自分の部屋こそ最低の牢獄かつ最高籠城なのである。
 誰も居ない、誰も来ない環境で佳奈ちゃんのために用意された特別な部屋。大好きな人の為に俺が用意した部屋の中で思い存分才能を開花させることが出来るはず。
 まるでAVを撮影する部屋のように用意された玩具を使って思う存分彼女を快感に落としていく。

「まずは服を着ないとね」

 そのための衣装。『鏡』を使用すれば服装もまとめて変身できるけれど、それは勿体ないと裸の状態で変身した。
 彼女に身に付ける衣装をタンスの中から引っ張ってきて、目を見張る衣装の数々の中で今日の一着を決定する。

「今日はスクール水着にしようかな~」

 当然だが、この『鏡』を手に入れてから俺が佳奈ちゃんに変身しない日はなかった。衣装を集め出し、買っては着てを繰り返し、何巡目になったかは分からない。私服から運動着、制服、メイド服、えっちな下着・・・大好きな人に買っ―プレゼントし―たものを身に付けてもらうことはとても嬉しいことだとわかった。そんな彼女は俺の着せ替え人形のように毎日違った衣装をこの部屋で着ては鏡に映して一人ファッションショーを楽しんでいた。

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 鏡に映った姿をつま先から頭までじっくりと視線を往復させた。スクール水着を着た佳奈ちゃんが部屋の姿見に映っている。

「やっぱり佳奈ちゃんはスク水が映えるね。SKって言っても通じる可愛さがあるよ」

 肌に張り付くスクール水着で身体のラインがはっきり分かる。物足りない膨らみではあるものの、女性用のスクール水着を見につける佳奈ちゃんを観賞しているだけで早くも俺は股間が疼いてくるのを感じていた。
 辛抱ならない。この可愛い佳奈ちゃんの身体でさっそく楽しませてもらうことにしよう。


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 有森一真は彼女である宮村佳代と一緒に登校している。

「うぅ~さみぃ。はやく出てきてくれよ」

 今日も寒空で佳代が出てくるのを玄関前で待っていると、ようやく扉が開いた。

「おっ?」
「有森さん。おはようございます!」

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 佳代よりも先に妹の佳奈が顔を出したのだ。佳代と同じように整った顔をしており、その屈託のない笑顔は一真の凍った表情も氷解させていく。

「元気だね、佳奈ちゃん」
「そうですか?えへへ。友達いるし、今日学校で雪投げっこするから楽しみ!」
「友達がいる・・・学校が楽しい・・・」

 そんな無垢な言葉が返ってくることに一真は衝撃を受ける。
 スマホの普及により悪知恵を身に付けたり、ソシャゲのグループ内でのマルチプレイなど、どうしても孤立を生み出しがちな現代社会で、クラス全体で雪合戦を楽しみにしている佳奈を見て死にそうな気持ちになる一真。このご時世にいったいどれだけの子供が無邪気に遊べているのだろう。

「若かりし頃の俺・・・もう、戻れない」
「馬鹿なこと言ってないで行くわよ」

 佳奈と同じように佳代もようやく一真の前に出てくる。佳代が一真と一緒に登校するように、佳奈にも友達が待っている。

「いってきます~」

 先に佳奈がマンションから飛び出していく。通学路では友達と楽しそうに話す佳奈が一真たちの前を歩いていた。

「おまえの家、佳奈に携帯持たせてないのか?」
「持たせるわけないじゃない。まだ早いわよ。私だって携帯は高校デビューなんだから」
「わからんぞ。現代―いま―なんて携帯持ってなきゃ友達からハブられるかもしれんぞ」
「・・・それは分かるわ。昨日だってそれで喧嘩になったもの」

 生まれた時代が違えば考え方も違う。急速な社会の加速の弊害が宮村家にも起こっていた。
 普段から幼く優しい顔した佳奈ちゃんが喧嘩する姿なんか想像つかない。

「へぇ。あの佳奈ちゃんがね」
「でも、私だって携帯欲しかったけど我慢してたのよ。それを佳奈の時にはもう持たせてもらうなんてずるいと思う」
「おまえな。俺の親なんか携帯なんて無かった時代だ。俺たちが携帯持っているっていう方が親からしてみたら面白くないんじゃないか」
「・・・・・・」
「まあ、俺たちが2万で買えてた携帯が今や10万越えするからな。手を出しづらいよな、あはは・・・」

 冗談で言ったつもりが佳代から返事がなかった。深刻に考え事をしながらも――

「携帯なんか持ったら、危ないじゃない・・・」

 佳代が静かに妹の身を案じた。きっとそれが本心なんだろう。携帯が欲しいと欲を出す佳奈に対して同意ではなく反対するのは、携帯電話の危険を踏まえてのことだ。
 携帯電話だけじゃない、妹に社会の危険性を教えていくの姉の仕事だ。ただ優しく甘やかしているだけでは、本当に佳奈のためにならないことを知っている。
 純粋無垢。それが宮村佳奈という少女だった。一真も佳奈と初めて会った時は、佳奈は自慰行為を知らなかったことを思い出す。


 そう、これは遠い昔――一真たち『鏡』に描いた続編の物語――



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 パルティアが洞窟に閉じ込められて数日が過ぎた。シリルガレンの元へ『スライム』が帰ってきたのだった。偽カディルとしてシリルガレンに跪く姿に、シリルガレンは興奮を覚えていた。

「おお。戻ってきたか、『シェイプシフター』」
「・・・・・・シェイプシフター?」

 『スライム』にとって聞いたことのない名だった。それは名前なのだろうか?
 誰の・・・?
 誰に・・・・・・?
 名づけられた・・・・・・・?

「おまえの名前だ。数多の『スライム』から俺様はおまえを生み出した。そしておまえは俺様の命じた通り、さらに強くなって帰ってきた」

 いちごから魔力を手に入れ、レスカから体力を手に入れ、カディルから××を手に入れて帰ってきた――

「魔道具から魔族を作れるのは魔を統べる俺様しかいない。 おまえの誕生こそが次の新たなる魔族を生み出す糧となる!最強、最恐、最凶。こんな小さな化物に恐るべしパワーを持たせるとは末恐ろしい。これで再び世界は混沌の世界へ戻る。世界の終末がすぐそこまで来ている!」

 シリルガレンの恐るべき計画。終末を齎す魔道具の魔物の製造の成功。
 変身、略奪、強姦などその計画の一つに過ぎない。
 いずれは強制操作による心の破壊。肉体―うつわ―のみが残り精神の入れ替えを可能にし、望まない結婚を強要する。
 目に見える幸福と不幸の確立。――格差。一方的な幸福。そして不条理な平等。
 目に見えない曖昧さによって救われていた部分がある。
 目で見てしまうと自分がいかに不幸であると思い知らされた。
 知らないことで、世界は平和に見えた。見たくなかった現実を見てはじめて思い知らされる、そこにある罪を。

「ディルは!?」

 パルティアが叫んだ。『シェイプシフター』が答えた。

「・・・死んだ。俺が殺した」
「・・・・・・う・・・ううぅぅ・・・」

 目の前が真っ暗になった。洞窟の中よりも深いどん底にパルティア姫は落ちた。
 その目に涙を滲ませ、霞む景色を拭い取ることができなかった。パルティアはそれでも否定したくて偽カディルを見ていた。彼が死んだことを否定したくて、偽カディルに姿を重ねて救いを求めている姿が痛々しい。

「そんな悲しそうな目で俺を見るなよ、姫」

 偽カディルに冷たくあしらわれたパルティアはその辛い真実を受け入れるしかなかった。
 その現実を見るしかなかった。
 そこにある罪を知るしかなかった。
 世界は平和じゃない。嘘なのだ。

 その嘘の中で、パルティアを救おうとしたカディルを一掃した。
 仲間たちを一閃した。
 殺した。
 コロした。
 コロシタ。
 ダマシタ。
 ナリスマシタ。
 リョウジョクシタ。
 ウバッタ――――。
 ノウリョクヲ。
 サイノウヲ。
 イノチヲ。
 カケガエノナイモノヲ。 

 ――――ウソだ。
 『シェイプシフター』がココに居る意味。
 幸福と不幸が確立された世界――――ウソだ。
 幸福を奪った――――俺―つみ―。
 命令通りに動き、任務のために遂行し、実行してきた。それが幸福・・・・・・自分の存在価値?
 ・・・ホントウに?

「俺はダレだ。何の為に生きている?」
「おまえは世界を混沌の世界にするために生まれてきた」

 シェイプシフターの初めての疑問に答えを出すシリルガレン。その絶望的な事実を突きつける。
 生まれることが他人を不幸にするという存在意義。
 混沌―カオス―の存在。罪そのもの。

「殺すことは誰にでもできる。しかし、生み出すことは俺様にしかできない。まさに魔族の勝利だ」

 誰も生んでほしいと頼んだわけじゃない。
 生きることが罪なのか。
 生まれたことが間違いなのか。
 自分という存在に意味はない。自分という存在に価値はない。
 他人がいくら誉め称えようと、自分の生が恥る存在と思うなら、生きる必要があるのだろうか。

「俺はダレだ。何の為に生きている?」

 もう一度『シェイプシフターは尋ねる。シリルガレンは二度は言わなかった。
 いや、言わなかったのではなく、言えなかった。
 その言葉を紡ぐ前に、『シェイプシフター』の異変を察したからだ。カディルの姿でシリルガレンと対峙する『シェイプシフター』。剣を取り出し魔力を込めて、自らの存在を否定する。

「なにをする!?」
「実際のところ、俺自身もなにをしているのか理解できない。でも、しなくちゃいけない気がするんだ。誰の目に見えることなく、再び影として消えることを俺は望む」
「自爆する気か?何故だ!?最恐を生み出した俺様の夢が・・・っ!どうしてこんなバカなことをする!!?」
「最恐?それは勘違いだ。俺は他人に『変身』するだけの雑魚キャラだ。それ以上でもそれ以下でもない」
「馬鹿物があぁぁぁぁ!!!」

 世界を混沌へ導く化物を理解できない。それは例え生みの親であっても――


「『混沌と悪魔の終焉‐Chaos Devil End‐』」


 偽りの平和と供に、世界は音を立てて崩れ落ちていった。


 ・・・
 ・・・・・・
 ・・・・・・・・・

 洞窟は崩壊した。
 しかし、 瓦礫に埋もれた僅かな空間の中で、『シェイプシフター』は目を覚ました。
 頭の下から温もりと柔らかい肉感を感じる。目を開けると、『シェイプシフター』の顔を覗き込むパルティアの姿があった。
 大粒の涙を今も流し、『シェイプシフター』の頬を濡らしていく。

「死なないで」

 パルティアはそう『シェイプシフター』に言った。

「俺を気遣っているのか?俺はお前の仲間を殺した」

 カディルの姿で告げる『シェイプシフター』にパルティアはまた苦しそうな表情を浮かべていた。

「ええ。だから私はあなたを絶対に許しません」
「・・・意味が分からない。許さない相手を死なせないのか?」

 生きる必要などない『シェイプシフター』に命など惜しくない。しかし、パルティアはその命を見殺しにさせなかった。

「――もう、ディルを失いたくない」
「・・・・。そういうことか」

 子供のようなことをいう姫に苦笑し、『シェイプシフター』は彼の代わりに、パルティアの膝枕で目を閉じた。決して『シェイプシフター』を放そうとしないパルティアに、しばらくした後身体を起こした。

「俺が帰ってきた水路を使おう。洞窟内は道が塞がれ誰も脱出できないだろうし、この地下水を通っていけば迷うことなく出られるはずだ。後はどこまで道が塞がっているか。魔力と体力が持てばいいけど・・・」
「・・・・・・・」

 きょとんと、呆然と『シェイプシフター』を見つめるパルティア。

「どうした?せっかく救われた生命をみすみす手放すつもりなのか?」
「い、いえ!」
 
 我に返ったパルティアに手を差し出し、パルティアは『シェイプシフター』の手をつかんだ。
 二人は魔力で明かりを灯し、下半身を水の中に浸かりながら、洞窟の脱出を試みていた。決して容易くない水路は問答無用で体力を奪い、いつ天井が崩れるかもわからないぎりぎりの状況を二人は足早に進んでいった。
 塞いだ岩や檻は魔力と剣さばきで突破していく。奪った仲間の能力で姫を救うとは幸運にも皮肉なものである。
 『シェイプシフター』はシリルガレンが生んだ最凶の夢。しかし、それは今や最強のパーティの力を持った頼もしいパルティアの護衛になっていたのだった。
 いつ死んでも構わない。
 いま死んでも構わない。
 そんな二人が生きようとしている。
 脱出を試みようとしている。
 何の為に生きている?
 生きて何をするつもり?
 辛い現実を生きて何になる?
 流れに身を任せれば楽に死ねるのに?

「あ――」

 足を取られたパルティアの身体が濁流に流されそうになる。しかし、間一髪のところで『シェイプシフター』がパルティアの手をつかみ難を逃れた。

「大丈夫か?」

 二人ずぶ濡れの格好。否応なく寒さが体温を奪い続ける。しかし――

「はい!」

 パルティアは強く頷き歩みを進めた。

「よし。いこう――」

 ――二人は絶望のなか、希望もなく、必死に生きようとしていた。
 今はそれでいい。
 何故なら、前に進みさえすればいつか必ず光は差し込んでくるのだから――。


 
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 カディルの寝室までやってきた『偽レスカ』。ノックすると間もなくカディルが顔を出し、疑う様子もなく『偽レスカ』を招き入れた。

「カディル!」

 飛びかかった『偽レスカ』に一瞬身構えるが、カディルに唇を突き出す様子はまるで密会する恋人同士のようである。しかし、レスカの顔を両手で挟みキスを防いだカディルであった。

「ン――――」
「なにをするんだよ、いったい」
「だってぇ。カディルとキスしたいなって」
「バカ。場所が場所だろ。その・・・パルティア姫に申し訳ないだろう」

 寝室といえど城内。仲間とはいえ、いちゃついている姿を傭兵たちが見ていたらよからぬ噂が瞬く間に広がるだろう。男性としては賢明な判断で、女性としては尚早な判断だった。

「ふぅん。カディルって私とパルティア姫どっちを取るのかしら?」
「何の話だよ?」

 唇を尖らせて面白くないことを表すレスカ。

「たとえば、私とパルティア姫の二人が捉えられていて、その前に番人が見張っています。カディルはどちらか一人を助けることは出来るけど、そのあともう一人は番人に殺されてしまいます」
「なんだよ、それ」
「カディルならどっちを助ける?」

 IFストーリーを語りながらも期待せずにはいられないレスカ。ベッドに押し倒しながら尋ねるレスカに、カディルは本気で戸惑いを見せていた。

「そんなの決められるわけがないだろ」
「男らしからぬ言葉だね」

 レスカの瞳が鋭くなる。実に面白くない返答だった。

「仲間を救うか、姫を救うかなんて俺にはできない。もちろん、二人のうちどちらかを見殺しにすることも出来ない。殺されると分かっているのに、はいそうですかって言って二つの選択を強要されるのなら、俺は絶対に選択肢を選ばない。それより俺は二人を一緒に助け出す方法を考えるね」

 姫と仲間。異性と異性。好きと好き。
 勇者だからこそ女性が集まるのか、勇者の素質があるからこそ女性が集うのか。
 勇者の血を引くカディルにとってそれは正しい判断である。それが本心であり、それが願い。
 『世界』を救うか、『一人の女性』を救うか、と問われれば現代の勇者であればこう答えるだろう。どっちも救うと――。

「ふうん。そうか、さすが勇者の血を引く者の言葉だね」

 ――たとえ、『一人の女性』を傷つける結果になるとしても。

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「レスカ・・・?」

 レスカはカディルにそれ以上なにもしないまま部屋を後にする。寝ずの番をしている傭兵がいるにも関わらず、カディルの傍には誰も居ない廊下で静まり返り、異質な不気味さを醸し出していた。
 『偽レスカ』はカディルの答えを飲みこむと、化けの皮が剥がれたように歪んだ笑みを崩していた。

「本当に二人を大事にしているのか・・・?それとも、別の思惑があるのか。クスクス・・・その発言に偽りがないか証明してもらおうかな」

 レスカの姿をしていたモノが崩れていった。思い描いた人物像を強く描き、その型に自分を流し込んでいく。レスカから再びパルティア姫へと変身し、ついでに正装まで完璧にこなしていた。

「姫が自ら誘惑して来たらどんな気持ちになるだろうな?仲間と同じ答えを出せるか見物だな、クヒヒ・・・」

 体力が付き、口調が男性口調へと変貌した『スライム』。変身能力と供に進化を繰り返す怪物。

「ディルがいけないんですよ。素直に私を選んでくれなかったから――その血を奪いたくなるんですよ」

 カディルとセックスすることを望み、パルティア姫としてなりすまし再び部屋をノックする。
 記憶も身体も完璧にパルティア姫と同じ状態で、カディルの前に現れた。


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 レスカが自分の秘部から感じる甘美に目を覚ます。直前に『スリープ』を受けて眠らされたことを思い出し慌てて身体を強張らせるも、卑猥な音が響く違和感になにが起こっているのかと上体を起こす。

「んぁ・・ちゅむっ・・ぴちゃぴちゃ」

 そこには誰かがレスカの秘部を舐めとっている姿が覗いて見えたのだ。股座に顔を埋めて濡れそぼったレスカの秘部に舌を這わせて上下に叩いて露を掬い取っていた。その気持ち悪さに性的な条件反射のように身体を捻った。

「なにしてるのよ!やめなさい!」

 レスカが相手の頭を押して身体から引き剥がす。 しかし、体力には自信のあるレスカが普段なら簡単に引き剥がせると思っていたのに、今回の相手は若干の抵抗を示して見せた。しかし、それはレスカが気になった程度であり、すぐに舐めることを止めた相手はレスカの股から顔を覗かせたのだ。

「・・・はっ?」

 レスカはその相手に目を丸くした。思考も止まり、行動も止まった。

「クスクス。なにを驚いているの?」

 それはレスカとまったく顔をした自分と瓜二つの『偽レスカ』だった。自分と同じ顔した者に自分の秘部を舐められていたのだ。

「あなた・・・まさか、パルティア姫だったやつ!やっぱり、『変身能力』があったのか」

 即座に戦闘態勢を取ったレスカ。お互い丸裸の肉弾戦。相手の特殊能力さえわかれば不意打ちは受けない。近接戦闘において実力さえ発揮できれば勝算は高い。相手が『偽パルティア』であれば少なからず抵抗を示しただろう。しかし、レスカにとって自分とまったく外見が同じ『偽レスカ』に変身したことは相手の誤算だった。自分に対する嫌悪感をぶつけられるのだから。

「私に『変身』したことは見誤ったね。はああぁぁ!!!」

 爆裂拳を炸裂させたレスカ。しかし、再び身体のだるさから来る違和感を覚えた。レスカの拳は『偽レスカ』に当たらず、空を切った瞬間隙を見せる。

「避けられた!?」
「まだ分からないの?私は姿を似せただけじゃないのよ」
「なっ!?いたっ!!」

 伸びきったレスカの右腕を抜群の反射神経で掴み、逆に関節技を決められる。レスカの速さについてこられる敵は少ない。単独戦闘ならレスカの前に敵はいなかった。それが今では逆にやられているのはレスカ自身信じられないことだった。
 身体から来る違和感の正体が分かり始めていた。敵の強さの秘訣は決して敵自身の能力が強いわけじゃない。

「私は『変身』した時から、あなたの自慢の体力をもコピーしているのよ」

 外見だけの未完成の『変身』ではない。内面の鍛え抜いた体力をも相手は完璧に『変身』してみせる。そのために『偽レスカ』はレスカを眠らせ、体内の情報を得ていたという。レスカが培ってきた努力も肉体も奪われている。身体から来るだるさや違和感は外見は依然と変わらなくても、内面をすべて無くしてしまった虚無感から来るものだった。

「体力を奪われたあなたは普通の女の子。私と力で勝負しようなんて考えない方がいいわよ?」
「あぐぅ!」

 力押しに壁に追いやる『偽レスカ』。現状を思い知り、偽物に全てを奪われたレスカが弱々しい声を荒げた。

「さあ、見せてもらうわよ。頑なに隠している胸の奥の感情を」

 『偽レスカ』の手がレスカの胸をまさぐる。そのイヤらしい手つきにまるで男性に犯されるかのように身震いするしかなかった。


 
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