「ねえ、私をここから出してよ」

 檻の中できみが僕に喋りかける。

「どうして?」
「私は自由になりたいの。檻の中にいたくないの。あなたはいいわよね、外で大きく翼を広げられて、さぞ気持ち良いでしょうね?」

 初めて会った僕ときみ。僕の第一印象で、きみはとても不機嫌そうにしていたね。

「自由だと思う?」
「ええ、とっても」
「……それは間違ってるよ。僕は全然自由じゃない。法だ、権利だ、戒律だ、上下関係だ、――――縛られるものばかりだ」

 拘束が人生だ。生きることが束縛だ。
 きみはそんな僕の発言で、初めて意外そうな一面を見せてくれた。

「僕から見たらきみが檻の外なんだ。僕の方が檻の中にいるんだよ?よく見てよ、――きみは自由だ」

 僕の想いが伝わったのか、きみはフッと微笑んでくれた。

「そう、なんだ。私の方が、自由なんだ」

 一度笑った顔はとてもおかしく、きみはお腹を抱えて笑い転げた。
 そんなに笑ってくれると、僕の想いも馬鹿みたいで可笑しくなって、きみにつられて僕も笑った。

「あはは……こんなちっぽけな檻の中に、大空はあったんだ」

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 きみが見つけた大空。僕が教えてくれたからか、きみは頭を下げて一礼をくれた。

「だから、僕の分まで君は翼を広げて飛び立ってよ。人々の願いを、この大空に叶えてくれ」
「きみは何を願うの?この檻の中なら、私でもひょっとしたら叶えられるかもしれないよ?」
「じゃあ、僕の願いは――」

 考えながら頭上を見上げる。
 見上げた空は青く、僕はなんてちっぽけな存在だろうか。

 それでも、きみと別れた後、僅かな時間だけでも――

 きみからもらった優しさの言葉を持ってまた歩き出す。




 題:『飛べない鳥』




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