純粋とは矛盾色-Necronomicon rule book-

夢と希望をお届けする『エムシー販売店』経営者が描く腐敗の物語。 皆さまの秘めた『グレイヴ』が目覚めますことを心待ちにしております。

タグ:ゲーム

      サークルカットカラー


GWコミに『エムシー販売店』のサークルスペースをいただきました!!
場所は
5月5日 4日目 火曜日 南地区“ク”ブロック-03a

『グノーグレイヴ』本編となります、『 鏡 』編でございます。
キーホルダー、ポスター、アクリルボード CD etc…

多数グッズを用意してお待ちいたしております。

コロナの影響が懸念されますが、私から出展を取り下げることはございません。
皆さまの体調を心配しながら、元気な姿でお会いできますことを楽しみにしております。
当日はよろしくお願いします!

webカタログはこちら↓

      3年振り

 ティラノビルダー『グノーグレイヴ』
画像をクリックしてね)

 4年前に制作して、いったん掲載不可になっていた自作ゲームが、『バラ色プリンス』のべろ様のお力を借りてこの度復活しました!!



 声が出るのでスマホで閲覧の方はご注意ください。本作品は成人向け憑依モノになっております!!10分ほどのゲームですので、プレイして頂けましたら嬉しいです。

 最後に残っていた再掲載作品がようやく投稿できました(感涙)
 べろ様にこの場を借りて御礼申し上げます。

 18禁ゲーム。また作りたいですね(*´Д`)ハァハァ

 世の中は、『ゲーム』で溢れている。
 画面の中でキャラクターになりきるRPG。シナリオを進めて回春するAVG。
 オンラインで多くの人が参加して攻略していくMMORPG――。

 彼らはゲームをしていると同時に、『ゲーム』に支配されている――?
 現実世界と仮想現実が曖昧になり、『ゲーム』が影響を与えて事件を引き起こす―?

 『ゲーム』は悪――?だとしたら、この世界は悪で支配されている。
 修正され、粛清されるべきだ。
 そう知りつつも、誰もが無言の了承を下して毎日を過ごしている。

「コスプレ喫茶です~。すぐ近くですからお立ち寄りください!」

 そうやって店のカードを渡してくる彼女も、コスプレの衣装に身を包んでいる。

「ちなみに、このキャラって?」
「お店の看板キャラ、神奈備です~。お店ではコミケで販売したゲームが売ってます~」
「また、『ゲーム』か」
「えっ・・・?」

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 俺は彼女を無視して踵を返した。

「おい、見ろよ。あれって、SIUの茨蓮花―いばられんか―じゃないか!?」
「本物だぜ、マジかよ!今日イベントあったのか!?」
「はっ!拙者忘れてたでゴザル。脚立を持っても撮ること―ベストショット―が出来ない―インポッシブル―でゴザル!」
「見ろよ、あそこに貴明がいるぞ!さすが貴明!今度現像して焼きまわして貰おうぜ」
「でも貴明に頼むとタダじゃないんだよな~トホホ・・・」

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 確かに人だかりの中央は簡易ステージになっており、SIUならぬ声優の一人、茨蓮花がグループの輪で踊って歌っていた。彼女は歌もダンスも上手いが背は小さい。一番皆が撮影したい人物は人だかりに囲まれて俺ですら見ることができなかった。

「えっと、今度12月9日に発売されるゲームで、私たちのファーストシングルが発売されます!是非皆さま買ってください!よろしくお願いします!」
『うおおおおおおおおおおお!!!!』

 大勢の人がゲームの予約に殺到し、グループたちの握手会と供にシングルの予約に走る。
 そんなやり取りが毎日起こっているのだ。


 ――『ゲーム』は悪?ゲームは人生に影響を与える?・・・ああ、それは間違いない。
 良い意味でも悪い意味でも印象を与え、俺の記憶に残る名作がある。
 俺の人生にはゲームのような転換や、未来に飛ぶようなことはないちっぽけな人生だ。
 ゲームになったらクソゲーで、面白さの微塵もない低評価だ。しかも設定は強くてニューゲーム。コンティニューなしのムリゲーだ。
 仲間を助けて悪を倒す、なんて主人公には絶対なれない。今や妹すら悪改造する根源だ。
 でも、――それでも俺は、夜艶の兄なのだ。


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「――あにぃ」

 いつの間にか俺の後ろに夜艶はいた。『ゲーム』に支配された夜艶だ。
 ゴスロリ姿ですっかり町の雰囲気に溶け込んでいる夜艶は、俺を見てムスッとしていた。

「どうしてあにぃは私を構ってくれないんですか?私は夜艶でしょう?」

 ああ、おまえは夜艶だよ。起動した瞬間に、おまえは夜艶となった。それが『ゲーム』の始まりなのだから。
 偽物でもない、本物を奪い取ってしまったからおまえは夜艶と信じて疑わないだろう。
 でも、俺ははっきり断言しなければならない。

「おまえは夜艶じゃない。俺が買った、プログラミングされたデータだ」

 ゲームのROMから現れた、人間そっくりに行動するデータの存在。
 『人間』じゃないことを理解させなければならない。
 はたして伝わるかさえ疑問だが、俺の言葉は夜艶に届いたのか、ぐっと俺の言葉を飲み込んでいた。

「それでいいじゃないですか。私ならあにぃの好きな夜艶になれるのに、それを拒むんですか?あにぃ想いになりますし、あにぃと毎日セックスだってします。それでもあにぃは、会話のない可愛気のない妹を好むんですか?クーデレならぬ、クーがあにぃの好みなら、私が演じてあげますよ?」

 『人間』には不可能なことを夜艶は可能にできる。色々な夜艶をこれからも演じ、毎日、毎週tがった夜艶を楽しめる、そんな日常を提供することが『シス☆プレ』の醍醐味だ。俺も一度味わった快感。病みつきになる前に示さなければならない・・・。
 
「俺は生まれる前から夜艶の兄だった」
「・・・なんの話ですか?」

 夜艶が訪ねてくる。

「俺はなんの取り柄のない兄だ。頭が良いわけじゃないし、コミュニケーションが得意なわけじゃない。平凡で、中の下の存在だ。そんな俺の元に妹は生まれた。俺の元に、『夜艶は妹として生まれてきてくれた』」
「――――」
「俺は先に生まれた。夜艶は後から生まれた。なんの接点もなかった俺たちが兄妹になった。これってもの凄い奇跡だよな?」

 冗談交じりに笑って振り返ると、夜艶は今まで見たことのない表情で呆然としていた。言葉が変換できないように、理解できなくなったことに戸惑う夜艶。当然だ。人間だって『奇跡』を理解できるものじゃないのに、機械が奇跡を理解できるはずがない。

「なにを言っているのか分かりません。確率論ですか?それとも転生論ですか!?」
「そういうことだよ。夜艶はどう思っているか知らないけど、『俺の妹として生まれてきてくれた』んだから、俺が夜艶のことを嫌いになるわけがないんだ。どんなに夜艶が俺のことを嫌いになったって、――俺は夜艶のことが好きだ」

 『ゲーム』のようにシナリオを進めて、好きになって彼女になる――?
 馬鹿か!俺にはシナリオなんて不必要だ。『ゲーム』のような分岐による進展も、人生にメリハリも、攻略本すら一切いらない。

「始めた瞬間に高感度マックスなんだよ!それが夜艶の攻略だ!」

 完全攻略し終わった『シス☆プレ』を箱に仕舞う。そして蓋をして閉まっておこう。
 もう二度とやることはないかもしれないけど、――俺の人生に影響を与えた、印象に残るゲームだったぜ。
 ――『ゲーム』終了。

「わからない!!親に認められないと知っていながら、ゲームクリア!?それのどこがクリアなの!?・・・・・・わからない!?わからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからない―――!!!」

 最後は言葉を羅列に並べた夜艶が急にその場に崩れ堕ちた。俺が急いで駆け付ける。

「夜艶――!」

 意識を失った夜艶を支えながら叫んだ。人だかりに囲まれて注目を集める俺が、そんなことに気付くことなく夜艶に叫び続ける。すると、夜艶の目が微かに震え、ゆっくりと目を開いて俺を見つめた。

「大丈夫か、夜艶?・・・よつや!!?」
「・・・・・・おにいちゃん」
「元に戻った!?」

 口調が変わり、昔のままの呼び方に変わっていた。俺は夜艶が帰ってきたことに、町中だったのにも関わらず、隠すことなく男ながらに涙を流してしまった。

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 夜艶は子供の時から俺と話をしない性格だった。
 兄よりも母親や父親にべったりで、困ったら両親に訪ねる。これが子供心に当たり前なのかもしれない。
 でも、俺は何故か一人疎外感を感じていた。
 妹と両親、家族団欒の時間を過ごす傍らで俺は一人ゲームで引き籠る。家族よりもゲームで遊んでいた方が当時は楽しかった。だから俺はだんだん家族と過ごす時間を失くしていった。食事も外食で済まし、家にいる時間を減らしていく。
 俺は逆に、子供の時から両親には頼らなかった。頼りたくないという意地を張っていたのだ。親の助けなんかいらない。将来は一人で生活し、自由気ままに生きていたい。親の目に付く場所には住みたくなく、一人暮らしをして自立してやっていける男になりたかった。
 だから――俺はもうすぐ大学へ行く。
 親の目から放れて生活できる、夢のような日々がすぐ近くに迫っていた。
 
 夜艶ともお別れになる。別段、特に淋しいという感情はない。俺たちはお互いによく知らない兄妹なのだ。
 親睦を深めることもなかった。
 関わりを持つこともなかった。
 兄妹とは親友よりも、クラスメイトより、疎遠な関係なのだろう。
 結婚もできないし、困ったときに助けを求められる人数が増える程度の存在。
 ・・・血は繋がってるのにな。
 俺たちは似た者同士になっているのだろうか。
 夜艶を今更知ったところで、もうすぐ会えなくなるのだから遅すぎる。
 本当に、俺の妹はこんなに可愛くない。
 17年間なにをしていたのだろうか。すれ違い、会話もなく、思い出もない。

 ――だから、最後に。
 俺は夜艶を『ゲーム』に閉じ込め、弄ぶことが出来るのだ。
 夜艶は俺を蔑むだろうか?これが俺の家族の接し方だと思う。

「悪いな、こんな兄ちゃんで――」

 ぶっちゃけ、今更夜艶となにを話したらいいのか分からないというのが正直な感想だ。
 話すのが苦手な訳じゃない。話をするより、聞き手に回った方が楽なだけだ。
 『ゲーム』のように、会話がポンポンと浮かんで出てくるものじゃない。なにを言っているか分からないと、困惑させることだってある。
 恥をかくことだってある。嘘をつくことだってある。揚げ足を取られることだってある。兄として情けない姿を見せることだってある。
 夜艶が恥ずかしくならないか心配になる。
 夜艶はそんな兄を見て、俺の妹だと胸を張ってくれるだろうか?

「――――情けねえな、俺は・・・」

 そうして今も俺は『ゲーム』に逃避しているんだ――――。


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 エムシー販売店が発売したゲームソフト、『シスター☆プレイング(略してシスプレ)』を手に入れる。
 どこのお店にも置いてなく、中古店にもあるわけもなく半分諦めていた幻のソフトを手に入れ、早速プレイをする。
 12人の妹たちが――(ry

「おっ、これなんかうちの妹に似てるな。栗色の髪で活発な性格なんて当てはまり過ぎ。えっと、名前は・・・夜艶―よつや―・・・・・・・・・」

 ・・・なんでこの字なんだよ。なんで漢字まで同じなんだよ!そこは名前が四葉にしろよ!!この当て字は妹の名前とまったく同じなんだよ!!!この当て字で女性にしようと考案した人は今すぐ名乗り出なさい。俺がぶん殴りに行ってやる。
 さらに驚いたことに、なんと12人の妹たちの名前が、何故か全員『夜艶』という恐怖・・・

「誰も愛でれねえええ!!」

 だって、恋愛シュミレーションで攻略する相手がまさかの血縁と同名だったら、名前を呼んだ拍子にふと現実に引き戻されて、感情移入できなくなるじゃないか。
 泣くシーンが笑うシーンに変えられたら作者だって悲しむでしょう?
 なんで登場人物が全員同じ名前なんだよ!?同じ顔かよ!?何故妹と同じ名前なんだよ、うおおおお――!!?
 絶対、妹の名前はどこのメーカーも使われるはずがないと思っていたのに、まさか使ってくるメーカーが現れるとは。エムシー販売店恐ろしい、恐ろしいエムシー販売店。

『ああっ、あんっ、兄ちゃま・・・!はげし・・・はぁっ!!』

 ああ、それでも俺はやってしまうんだな。恐ろしい俺、悲しいな俺。
 まるで俺の無言のプレイがフツフツと湧き上がる闘志になって、まわりの音がなにも聞こえなくなってきた。
 そこはまるで仮想―ヴァーチャル―世界。
 ゲームの世界を味わうように、ゲーム内に入り込んで妹と同名の夜艶を犯す。
 無心になって右手でムスコをシコリ続け、夜艶の喘ぎ声が俺を高みへ昇らせる。 

 俺の右手が真っ赤に萌える。おまえを倒すと轟き叫ぶ!!
 ・・・ああ、俺が言うとなんだか違った意味に感じられる不思議~。泣きそう。

「……ゃん?」

「もう少しでイクからな、夜艶」
『うん・・・、兄ちゃま・・・一緒に、よつやと、いき・・・ふああっ!』
「うおおおおっ!!夜艶ああああ!!」

      
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「おにいちゃん!なに私の名前を叫んでるの?気持ち悪いわ・・・ね・・・」
「はっ!よ、よつやああああああ!?!?!?」

      \(^0^)/

 夜艶が俺のやっているパソコンゲームを見ている。何故か俺は固まってしまい、『夜艶』と表示されたキャラの台詞で文字を止めていたところをバッチリ見られていた。
 見る見る青ざめていく夜艶の表情――

      反転まで入ったああ

 ――反転まで入っちゃったよ。
 ムスコが急速冷凍保存していく。時が凍っている。でも、このまま凍っていて永遠に溶けてほしくないな。
 そう言うわけにもいかず、時間は動きだし、妹が吐き気を催す様に口元を抑えた。

「きもちわるい・・・」

 二度言いやがった。しかも、二度目の方は間違いなく俺の見方を変えて言っていた。
 終わった・・・。俺の人生終わった。
 今日の夜は家庭裁判行きだ。
 妹による罵声と母と父からの阿鼻叫喚による地獄絵図が繰り広げられることだろう、アーメン。

「夜艶。そろそろ腹を割って話し合わないか?」
「その前に、まずそのDVD-R叩き割っていい?」
「そ、それだけは勘弁してくれえ!まだ買って誰もクリアしてないんだよおお!!最近のゲーム、コピーガード強すぎてDISC入れないと認証してくれないんだって!」
「話にならない!!!」

 夜艶が部屋から出ていこうとする。しかし――、

「んっ、あ、あれ?出られない・・・?」
「・・・はっ?」
「なんで?このドアおかしいよ!?なんで出られないの?」

 一人テンパっている夜艶。俺から言うことがあるとすればこの一言を贈ろう。

「気でも狂ったか、妹よ」
「うるさい、気違い!」
「ぐはっ、可愛くねえ~」

 俺は妹に変わってドアの前に立ち、部屋から出ていく。なんの苦労もなく部屋から出ることが出来た。

「なんでこいつは部屋から出ることが出来るのに私はできないのよ~!」
「兄にむかってこいつ呼ばわり・・・」

 へこむわぁ・・・妹の評価が-100下がってるのは分かっていたとはいえ、親しんで「お兄ちゃん」と呼んでくれた妹の顔が走馬灯のように流れてくるじゃないか。・・・1分前だけど。
 そんな俺のことなど気にすることなく、夜艶は未だ部屋から出られないことに悪戦苦闘していた。なんとか出ようと試みるものの、見えない力に押し戻されて結局部屋の外から出ることが出来ないでいた。

「なんでよ!?」

 夜艶が部屋の中で叫ぶ。

『それはもうあなたは出ることができないわよ?』
「えっ?」

 夜艶が誰かに呼ばれた様に振り返る。振り返ってもパソコンしかないのにだ。夜艶はパソコンとにらめっこするように凝視していた。
 パソコン画面に映るゲームソフトの『夜艶』も夜艶を見つめているような気がする・・・ハハッ、そんなわけないけどな。

『だって、私とあなたはもう一緒なんだから』
「あ、あなたはダレ!?」
「おーい、おまえは誰と話をしているんだ?」

 俺の返事に応えず夜艶は一人震えていた。様子がおかしい。良い方なのか悪い方なのかはわからないけれど、夜艶の顔が青ざめていった。

『わたしは夜艶』
「ひ―――!?」

 次の瞬間、パソコンの画面が光った。部屋中に眩しい光りが立ち込め、一切部屋の様子が見れなくなった。
 パソコンが爆発したのだろうか?中には俺のお気に入りフォルダが入っているのに!?うおおおお―――!!?パソコンが壊れたらどうしよう。
 ・・・違うか。まずは夜艶の心配をするべきだよな、うん。

「夜艶!?」

 部屋の光りがおさまってくる。目が慣れてくるとようやく夜艶の姿が確認できるようになった。俺は夜艶を抱きしめると、一度自分に振り向かせ怪我がなかったかを確かめる。
 未だに光にやられて呆然としている夜艶だが、虚ろな瞳に光が戻ると、俺に向かって満面の笑みを浮かべた。

「妹の身を案ずる格好いい兄の姿をようやく捉えたか、俺に惚れ直したと言ったところか、フッ」
「兄ちゃま」
「・・・・・・・・・・・・・・・兄ちゃま・・・?」

 聞いたことのない呼ばれ方をされて鳥肌が立ってしまった。どうしたこいつ?光りで頭がやられたのか。

「兄ちゃま。夜艶、お風呂入りたい!汗かいちゃった。一緒に入ろう、兄ちゃま!」

 夜艶が俺と風呂に入りたい、だと?俺と風呂など頑なに拒み続けた夜艶が、遂にこの年齢になって一緒にお風呂に入りたいなんて言ってきた。

「・・・えっ、いいの?いいの?」
「夜艶が兄ちゃまの身体を洗ってあげます。行こう、兄ちゃま!」

 俺の身体を引いてお風呂に行こうとしている。本当に良いらしい。っていうか――

「部屋、普通に出られるじゃねえか!」

 いったい騒いだ一連の流れは何だったのか。
 俺たちはお風呂へ一緒に向かっていた。
 パソコンの画面は光にやられてブラックアウトしていた。『シスプレ』が今度起動した時、果たしてちゃんと動くか心配であった。

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「佐奈子・・・」

 俺は家まで訪ねて佐奈子の様子を見に行った。
 心配でたまらなかった。
 俺とは違い、いきなり家族を失った佐奈子の傍にいなければいけないと考えてしまった。
 電気の消えた家の中に入り、佐奈子を探してリビングに入ると、そこに佐奈子が一人ポツンと佇んでいた。

「さな――」

 声も掛けられるような状況じゃなく、ただ床に散らばった写真を見つめながら呆然としている佐奈子。
 ひょっとしたら俺に気付いてさえいないかもしれない。
 暗闇そのものが佐奈子の心境そのものを映しているようにさえ見えた。

「・・・旅行に、行ってもいいよって、私の方から誘ったの」

 佐奈子が独り言のように呟いた。俺に語りかける様子でもなかったが、俺はその言葉に耳を傾けていた。

「いつまでも子供じゃないんだからって、たまには羽を伸ばしてきてって言ったら、お父さん悲しそうにしてて。でも、お母さんが嬉しそうに「じゃあ、そうしようかしら」って・・・翌日から両親、旅行の計画を始めたの。「佐奈子にうちを任せて大丈夫かしら?」とか、「いつの間に大人の階段登って・・・」って、私の成長をきっと喜んでいたんだと思うの。だから私も「来年に旅行いってくるね」って、今の内から両親に言っちゃったの。そしたらお父さん、また騒いで・・・最近の家はほんとうに賑やかかった・・・」

 まるで、話す内容全てが見えるかのようだった。
 明るい家庭で箱入りに育てた娘の父離れに騒ぐ――旅行がきっかけで佐奈子の家も変わっていくことになるはずだったのだ。
 そんな矢先の今日の先生からの連絡。一瞬にして希望が絶望に変わる様子に、俺はなにも言えなかった。
 でも俺まで落ち込んでしまったら、佐奈子はもっと沈んでしまう。
 俺なんかより佐奈子の方がもっとつらいのだから。

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「私が旅行なんか切り出さなければ、お母さんたちは今も家にいてくれたんだよね・・・?」
「佐奈子がそのことで悲観的になることはない!旅行に行かせてくれた佐奈子を両親が恨むはずがないだろう?」

 娘が贈る初めてのプレゼントだ。物や気持ちではなく、成長を贈る大切なプレゼントだ。
 それをどうして両親が恨むことが出来ようか、できるはずがないじゃないか。

「事故だ。予測できないものだろう?」

 たとえ、事故が『偶然的』に起こったとしても。
 だが、その『偶然的』によって、いま佐奈子は泣いていた。
 泣きだしていた。
 写真を見つめていたはずの虚ろな瞳を俺に向け、潤んだかと思えば、大粒の涙をぽつぽつと床に零しながら。

「わたし・・・ひとりぼっちになっちゃった・・・うぅぅ・・・うわあああああぁぁん!!」

 俺は――
 俺は――無力だ。
 優しい言葉をかけてあげたい。

 「俺がいる!ずっと傍にいる!」

 抱きしめて一人じゃないことを強くしめしてあげたい。
 そんな優しさを佐奈子にあげればあげるほど、――俺の中の良心が締めつけられる。
 俺の中の良心が囁いてくるのだ。


 ――佐奈子を、こんな状態にしたのは―――――――おまえだろう!
 

「――っ!」

 運命的出会い、好感度上昇、幸福な結末、悲劇な物語。
『GS』によってゲーム感覚で彼女を作ってしまった俺には、どんなに好感度があがっても佐奈子を彼女にする資ことはできなかった。
 好感度よりももっと大切なものに気付いたから。
 人が付き合うって、好感度が足りないとか、物語が感動的だとか、そんなことじゃない。
 もっと一番大事なこと。それは琴子と話していた時にも、俺は声を大にして叫んでいたはずだ。
 そんなことを忘れてしまっていたなんて。
 ほんと、お笑いだ。

「―――――」

 俺は佐奈子を抱きしめた。とても息苦しく、胸が締めつけられる状態だった。
 佐奈子とは違う痛み。
 俺しかわからない痛み。

「だいじょうぶ。もう、苦しまなくて大丈夫だから――」

 俺が佐奈子の痛みをすべて持っていく。
 次に見たときには、いつもの笑顔をみせてくれるように――

「・・・傍にいる。――俺は佐奈子のことが好きだから」

 たとえ、この世界がゲームの世界だろうと、この言葉に偽りはない。
 佐奈子と付き合いたいのなら、俺は佐奈子に面と向かって告白すればいい。
 『GS』なんかに頼らなくても、俺はもう羞恥心―悲劇の物語―を乗り越えて、付き合うことが出来ると思うから。


 ・・・
 ・・・・・・
 ・・・・・・・・・

「これ、返すわ」

 浩平は琴子に『GS』を返した。

「えっ?なんで?どうして?」

 琴子は分からないとばかりに猛抗議をしていた。

「佐奈子と付き合いたいんでしょう?だったらちゃんとクリアしなきゃ!」
「人の付き合いにおまえはどれだけの物語性を望んでるんだよ?」

 琴子は完全のゲーム脳である。ここまでいくから規制が叫ばれるのではないだろうか。

「いいか?人が付き合うってのはな、そんな大それたものじゃなくて、もっと、あたりまえのことなんだよ。普通のことで凄いことじゃないんだよ」
「童貞の遠吠え?」
「ち・が・う・!」
「ヤりたいならヤりたいって言えばいいじゃない!」
「それ普通に逮捕だから!」
「仕方ないなぁ。浩平にだったら私の処女を――」
「いらねえええええぇぇ!!」
「だって今の浩平って、穴があったら入りたいんじゃないの?」
「おまえはどの穴に俺が入るつもりだ!」

 はっと、俺と琴子のやりとりを見て、気付けばクラスメイトの痛い視線が注がれていた。
 その中には――

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 ――千葉佐奈子の視線もあった。
 仲間と一緒にチラッとだけ見て、雑談を交わしてまた普段の生活に戻っていった。

「はぁ・・・」

 浩平はため息をついた。
『GS』の中で楽しい思いをしてきたとは言え、好感度もなくなり何もかも振り出しに戻された世界で、佐奈子は俺と付き合っていた記憶を失っていた。
 その代わり、両親が事故にあったと言うこともなく、今も楽しく学校生活を送っていた。
 遡及性というやつだ。なにはともあれ本当に良かったと俺は思う。


 たとえ佐奈子は忘れてしまっていたとしても、あの瞬間、浩平と佐奈子は確かに繋がっていた。


 『GS』はそんな記録をしっかりと書きこんでいた。

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「浩平」

 琴子は思い出に浸る浩平を見て声をかけた。

「なんだよ?」
「佐奈子と付き合わなくて、本当に良かったの?」

 浩平はふっきれたように、「ああ」と強く頷いた。

「男なら、告白するより告白されるような男になってやるんだ」

 威風堂々とした態度で断言する浩平。それを見て琴子が次に考え込んだ。
 会話をしながらも散々浩平に貶されていた琴子であったが、琴子もまた自分の心に向き合い浩平と向き合った。
 その目は少し潤んでおり、今にも泣きだしそうであった。

「・・・浩平」

 身体をくねらせて少し頬を赤らめた琴子が自分の気持ちを伝える。
 ずっと見ていた浩平に――

「わたし、ずっと浩平のことが好きだったよ」
「・・・・・・・・・マジ?」

 思わず呆気にとられる。琴子が今までとは違い冗談ではなく本気で伝えているのが分かったから。

「私と付き合ってください」
「えっ、あっ・・・」

 うつむきながら恥ずかしさをごまかすも、しっかり自分の気持ちを伝える琴子。
 彼女もまた羞恥心に勝ったのである。
 小っ恥ずかしく頭を掻く浩平。
 琴子を今まで女性として見たことなかったのは、彼女にした時に付き合うと大変だろうと考えていたからだ。
 しかし、今は見方を変えて改めて琴子を見直すことができる。
 浩平の相談で『GS』を貸してくれるほどの優しい心を持っている。Myワールドに入るにしても話し上手であるともいえる。顔もスタイルも悪いわけじゃない。
 付き合えるなら二つ返事をしても良いと言う人はきっといるだろう。
 そんな彼女が浩平に告白してきたのだ。
 浩平は、琴子に対してお辞儀をした。

「こっちこそ、よろしく」

 照れながらも、教室の騒音のある中で浩平たちは彼氏彼女になったのであった。

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「こんにちは」

 玄関から佐奈子の声が聞こえて顔をだす。

「おう。あがれよ」
「おじゃまします」

 靴を揃えてあがる佐奈子。俺の部屋まで連れていくと、ペットボトルのお茶とスナック菓子を用意した。
 俺の部屋を一周見渡しながら、「ふぅん・・・」と漏らす佐奈子に緊張してしまう。

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「綺麗に片付いてるね、意外」
「自分のことは自分でやらなくちゃいけないだろ?」
「しっかり屋さんなんだ」

 好感度上昇。といっても、掃除をしたのは佐奈子が家に帰った僅かな時間だけだ。普段から綺麗にしていてよかった。
 テーブル向かいに座って教科書を広げると。それぞれ勉強に

「浩平くんのご両親は?」
「いま、海外へ旅行に行ってるんだ」
「そうなんだ。私の両親はいつも私にべったりだから、離れることが少ないかな?」

 「箱入り娘なの」と、笑いながら告白する。確かに親に可愛く育てられたと俺は思う。

(いずれ、挨拶にいきたいものだ・・・)

「ご両親っていつも浩平くんを置いて旅行にいっちゃうの?」
「頻繁にな。バラバラなんだよ、俺の家族。そっちの方が俺も楽だからいいけどね。学生が終わったら俺も旅に出たいよ」
「・・・じゃあいま、この家に私たちだけなんだね?」

 急に口がどもる。ノートにペンを走らせていた手がピタッと止まった。
 家に二人だけということを意識してしまったせいか、この空気の重さは単に勉強がはかどらないだけじゃない。

「・・・どうした、佐奈子?分からないところがあったら――」
「――浩平くん!ここの英文教えて貰いたいんだけど」
「どこ?」
「ここ」

 ノートを持ってきて英文を差す。佐奈子が分からないという文章を見てみる。

『I love you 』

 思わず噴き出しそうになる。佐奈子が分からないというからどんな難しい文章かと思ったら、中学生でもわかるであろう簡単な文章だった。

「そんなはずがないだろ、さな――」


 顔をあげると、向かいに座っていたはずの佐奈子の顔が目の前にあった。


 佐奈子が俺に抱きついてくる。
 時の流れがスローモーションになったように、俺はゆっくりと床に倒れていった。 
 天井を見上げる俺の視界に、佐奈子が覗いて見えた。
 佐奈子が上に乗っている。その重さや脹脛の太さを感じることが出来た。

「佐奈子・・・」
「ごめんなさい。倒れるなんて思ってなくて」

 確かにびっくりして身体を逸らしてしまったところに佐奈子が倒れてきただけに、体重を支えられなかった。しかし、男としてそれは駄目だったかもしれない。
 佐奈子を受け止めたかったという想いが俺も強くなっていく。

「いいよ。佐奈子が上に乗ってくれるなんて御褒美だ」
「・・・・・・くすっ」

 佐奈子が笑ってくれた。その笑顔が見られるのなら、ずっと上に乗っていてくれていい。
 踏んでくれてもいい。
 でも、蹴るのだけは簡便な。

「わたし、浩平くんのこと――――」

 耳元でささやくような微かな吐息と供につぶやいた佐奈子の言葉は、俺の唇を塞いだと同時に聞こえなくなった。
 唇を交わすだけの初々しいキスであったが、俺は大好きな佐奈子がキスを求めてきたことに興奮を覚えてしまった。
 流れる佐奈子の髪の毛からはシャンプーのにおいがした。きっと家に帰った時にシャワーを浴びてシャンプーで洗ったのであろう。鼻をくすぐると同時に佐奈子の香りを感じていた。
 目を見開いて、身体を硬直させてキスの甘さに酔いしれる。次第にお酒が入ってきたかのように身体が熱く火照ってくると、緊張を緩和させるように表情を蕩けさせてくれる。

 佐奈子の顔が目の前にある。手を伸ばすと佐奈子の腕に届いてしまった。
 細くしなやかな腕。ふくよかな二の腕の柔らかさ。初めて触った佐奈子の手もまた熱い体温を蓄えていた。

「・・・・・・・・・・・・いいのか?佐奈子」

 いや、聞いてしまったのは失礼だったかもしれない。答えを求めるなんてそれこそ野暮だ。
 佐奈子が求めているのなら、俺も素直に求めればいいんだと。
 その手をゆっくりと佐奈子の胸へと移動させていった。
 
「・・・んっ」

 触れた瞬間に佐奈子が小さく声を荒げる。誰かに触られたことなど一度もないだろう、俺の手の平の動きに緊張しながらも、ぐっと堪えるように我慢して、その刺激に酔いしれる。
 バスケをやっていても女性の部分は現れてきている。男性とは違い膨らみのある胸をなぞってみる。手の平全体で優しく押してみると、柔らかい弾力で手の平を弾き返す。
 何度か繰り返していると、佐奈子の息があがっていくのが分かった。
 サロペットを外して上半身を捲ってみると、佐奈子の白いお腹が垣間見えた。無駄なお肉は一切ないが、痩せているわけでもなく、筋肉で割れているわけでもない。とても綺麗なラインを描いたウエストであった。
 そしてもう少し上着を捲っていくと、脂肪が一点に詰まったと思えるほどの大きな胸が見えたのだ。
 下から覗きこんでいるせいか、特にそう思う。

「なんだか、恥ずかしいよ・・・」
「・・・すごく綺麗だ」

 直接触ってあげると佐奈子の様子が明らかに変わった。
 俺の温もりの籠った手の平が直接触れられたせいで、佐奈子に触れた場所が敏感に感じていた。

「ああっ・・・、あんっ・・・、んっ・・・ぃゃぁ・・・」

 触れるだけ佐奈子の身体がクネクネ動く。俺の上で動くせいか、俺もゆっくりと佐奈子の動きに合わせて反応を示し始めていた。

「えっ・・・?えっ・・・あっ・・・」

 手を伸ばしてぐっと佐奈子を俺へと引き寄せた。上半身裸の佐奈子が倒れてきて、俺がしっかりと抱きとめる。佐奈子の胸の柔らかさが俺の胸筋に触れ合い、その柔らかさを十分に感じることが出来た。

「やっぱり、こっちの方が楽で良い」
「・・・・・・・・・うん」

 再び俺と佐奈子はキスを交わした。顔を動かし、情熱的なキスをしてみると、身体も僅かながら動き始める。佐奈子の胸が俺の腹から胸にかけて当たり、その感度を滑らせていく。

「ふっ・・・んっ・・・んんっ・・・あふぅ・・・」

 下半身では足と足を絡ませ、脹脛を擦り合わせる。
 スベスベの佐奈子の肌が、俺の上を滑っているうちに、次第に我慢できなくなった俺の一点が、膨らみを帯びて滑りに歯止めをかける。
 コツっと逸物が佐奈子の腰に当たった。佐奈子もまた気付いたようで、盛り上がった下腹部に目を向けていた。

「あっ・・・」
「服の上から硬くなってるなんて、すごいね」

 佐奈子が感想を漏らすが、実際は服の中に留めているのが限界で痛いくらいだ。
 俺はチャックを開けて逸物を取り出すと、逸物は天高くピョコッと飛び出してきた。その大きさを実際に見てさらに佐奈子は目を丸くしていた。
 太くて大きくなった俺の逸物は、既に熱く滾って先端をカウパー液で濡らしていた。

「・・・・・・挿入れてくれないか?」

 心臓が鳴る。佐奈子に請う俺はまっすぐな瞳で佐奈子を見つめた。佐奈子はゆっくりと決意したように、上半身だけじゃなく下半身もゆっくり衣服を脱いでいく。サロペットジーンズの下に穿いていた純白のショーツも脱ぎ終えると、俺と同じように性器を愛液で濡らした自分の秘唇を軽く指を入れて感度を確かめていた。
 指でかき混ぜる度に湿った音を響かせる。
 佐奈子は大丈夫と決めて、俺の逸物に自分の秘唇をまじ合わせていく。

「ふっ・・・あっ、あああっっ―――」

 くちゅりとゆっくりと逸物を呑みこんでいき、肉壁に擦られる度に佐奈子はビクンと身体を硬直させる。
 イってしまいそうなほどの強い刺激を堪えながら、逸物を呑みほして腰に打ちつける。

「はぁ・・・はぁ・・・ぜんぶ、はいっちゃった・・・」

 いま、俺の逸物は佐奈子の膣内にすっぽりと収まっている。滑り具合と湿り具合、その感度全てが佐奈子なんだと思うと興奮も最高潮に達してしまう。

「ふああっ・・・ま、また、大きくなったよぉ・・・」

 切なく泣く佐奈子に俺の方からゆっくり腰を動かし始めた。

「きゃああぁあ!あっ、あああっ・・・」

 思わぬ不意打ちを受けた佐奈子は、落ちそうになった身体をもちなおそうとバランスを立て直す。すると、カチンと型が当てはまった様に佐奈子は俺の上でバランスを取りながら上下に跳ね始めた。俺の突きあげに合わせて佐奈子が伸びて乳房が上下に揺れる。
 それを眺める俺は、佐奈子が騎乗位してくれているのだと言うことに感激を受けていた。

「はぁ・・・はぁ・・・こうへい、くん・・・すごく・・・んんっ・・・イイ・・・」
「あっ・・・はぁ・・・おれも・・・さなこ・・・っ!」

 膣内で十分に濡れたせいか、くちゅくちゅという音が潤滑油の役割を果たして逸物の滑りを良くしていく。逸物は佐奈子の子宮口を軽く叩き、その都度佐奈子に痺れさせるような刺激を与え続ける。
 気持ち良いでは表せないほどの快感の波が、佐奈子を躍らせ高ぶらせていった。

「イイ・・・いっちゃううぅうう・・・・・・!ひやああぁああ!・・・いっ、きそう・・・っ!」

 悲鳴にも近い喘ぎ声で叫ぶ佐奈子に対して、俺は腰を大きく振り始める。スピードをあげてピストン運動を加速させると、涙を流して苦痛を快感に変換させていった。

「あああんっ!あああんっっ!・・・こ、へいくん・・・こへいくん!!」
「イっていい・・・さなこ!うあっ!」
「ああああぁぁあああぁぁぁぁ!!!!いくううううぅぅううぅぅぅ―――――!!!!!」

 天井を向いた佐奈子が大きくのけ反り、絶頂へと到達する。ピクピクと痙攣させて硬直する佐奈子を見ながら、合わさった場所からは精液と愛液の混ざったお汁が流れ零れてきた。

「あっ・・・はぁっ・・・はぁっ・・・さ、さなこ・・・はぁ・・・」

 ひどく体力を使った俺は息を切らしながらも佐奈子に声をかける。すると佐奈子の身体がもう一度倒れこんできた。意識を失ったように、自分では踏ん張りが利かない佐奈子の身体を、しっかりと抱きかかえた。

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・はぁっ、はぁっ・・・」

 佐奈子が戻ってくる。息を大きく吐きながら、快感に波打つ身体を必死に耐え凌ぐ。

「アツイ・・・浩平くん・・・」
「そうだな、はは」

 まるで一試合走り続けたような汗を掻いている俺たち。二人だけの試合を終えてベッドで一緒に横になると、フット表情を和らげる。

「・・・・・・浩平くん」
「んっ?」

 身体が冷めないようにタオルケットに包まった佐奈子が顔だけを俺に向けて訪ねる。

「わたし、まだ聞いてないんだけど・・・」
「なにを・・・・・・・・・・・・あっ」

 俺は思い出していた。このやりとりの根本的の一言の英文を。
 佐奈子はその答えを待ち望んでいる。
 期待に胸膨らませたその翻訳を、俺は口にする。


 ――分からないなんてことはない。
 佐奈子は俺に伝えたかったんだ。
 俺にこの文章を言わせたかったんだ。

「――俺は佐奈子のことが――――」

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 今日の体育はバスケット。
 佐奈子が大活躍する種目である。
 女子バスケもまた男子とは違う面白さがある。同じ5対5のメンバーでフルコートで走る女子たちは、見ているだけでコートが広く感じさせる。全速力で戻り、ボールを死守し、リバウンドを制して再びカウンターに走りだす。
 男子とは運動量が違う女子たちが、一生懸命に走る姿を見ているだけで手に汗握る試合を展開する。
 その中で特に部長でもある佐奈子の動きは一躍目立っていた。
 シュートフォームの綺麗さ、手首のスナップ、ブロックよりも高いジャンプ力――。
 まるでその瞬間だけ、時が止まったように静まりかえる。

「完璧だ――」

 スパッとボールがゴールに吸い込まれるように入り二点が入る。
 歓声が上がり再び試合が動き出す。

「なに普通に試合を眺めてるのよ」

 俺の隣に琴子がやってくる。ちなみに琴子はいま試合中である。

「俺の説明に一気に穴が開く!5対4でやってるじゃねえか!早く試合に戻れよ!」
「いいの。私補欠だし」
「授業に補欠があるか!」
「負け試合は嫌いなの。それなら出ない方がマシよ。ふんっ、まるで私はピエロじゃない」
「それ既に負け犬の遠吠えだから」

 不戦敗だから。

「それよりも浩平は運動着派?それともユニフォーム派?」
「・・・・・・はっ?」
「えっ?なに、聞こえなかった」
「なにも言ってねえよ」

 いきなり何を言うかと思ってびっくりしただけだ。女子の服装なんかあまり興味ないが、運動している時ならいったいどちらが運動をしやすいのだろうか。
 唸りながらジロリと目を細めて女子の服装を眺めていると、ヒソヒソと女子が影で何か言い始めているのが聞こえた。

「はっ!あっぶねえ!」

 まるで俺が女子バスケを見ていて欲情しているみたいじゃねえか。やはり琴子、こいつに心を許しちゃいけねえ。

「てめえにはもう騙されないぞ!」
「どうして私の質問にそんな答えが返ってくるの!?」

 ・・・・・・確かに。
 今まで無言の葛藤の間に、紆余曲折があったことは認めざるを得ない。悪い、琴子。俺はおまえを最初から疑っていたかもしれない。少しは心を開くことにしよう。
 琴子の質問に答えることにしよう。
 シンプルイズベストの運動着と、健全スポーツユニフォームなら俺は断然――

「ユニフォーム、かな?」
「ブルマよりアンスコ派なのね。イヤらしい~」
「・・・・・・」

 もう絶対に琴子に心を開かない。

「いやん~。浩平が私のユニフォーム見て欲情してる!もう思いっきり走れない!」
「俺を理由に負けた時の言い訳してるんじゃねえ」

 だいたい琴子、てめえ・・・

「スコートじゃねえだろう?」
「そんなことないでしょ?見てこのヒラヒラの付いた特注スコート!すごく可愛くない?」
「そんなの付いてたら逆に走り辛いだろう?つうか、琴子の妄想力はすげえな」
「超ミニスコートよ。あっ、アンスコが見えちゃう~。浩平に視姦される~」

 だから、てめえ・・・

「スコートじゃねえだろ!?」
「あっ・・・」

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「えへへ・・・」

 笑ってごまかしてやがる・・・。

「えへへ・・・じゃねえ。何してるんだよ?」
「さっきまで私はアンスコ&スコートを穿いてたのよ。一瞬で短パンに着替えたのよね?残念だったわね」
「なにが?」

 俺は最初から最後まで琴子が短パンユニフォーム姿しかみてねえよ。
 ノリが悪い、俺のせいか。遂に琴子が溜め息をついた。

「あーあ。妄想力に掻きたてられた方が良かったんじゃない?挿絵なんかにしたら喜び半減よ」
「挿絵なんかなくてもおまえはずっとその姿だ。俺が見てるんだから嘘つくんじゃねえよ」
「ずっと見てたんだ。ふーん・・・」

 琴子が珍しく面喰ったような表情を浮かべていた。そしてなにか物想いに耽る様に間を取った。琴子にしては珍しい対応だった。心なしか顔を赤くしている。目を背ける琴子に俺の方が耐えられなくなってしまった。

「なんだよ?」

 琴子に詰め寄ると、琴子は決心したように俺を正面に顔を合わせた。そして口を開いた。

「浩平。私の短パンから覗く生足見てたんだ~イヤらしい~!」
「どうしておまえは俺の評価を下げるんだーーー!!」

 つうか、琴子のせいで授業終わりそうなんですけど――。
 いつの間にか佐奈子の試合終わってしまったんですけど――。
 肝心のところ見忘れた、はぁ・・・。
 試合に勝って喜ぶ佐奈子を一目見たかったな・・・。

「浩平。『GS』使ってるの?」

 琴子が改めて聞いてくる。ボチボチと俺は答えた。

「ちゃんとフラグ回収するのよ。絶対にフwラwグwクwラwッwシwュwwwみたいなことしちゃ駄目よ」
「しねえよ!」

 自分に立ったフラグを自ら壊す奴は層々いないだろう。
 つうかフラグって・・・、佐奈子を彼女にすることは俺にとって・・・・・・、ゲームかよ。
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 授業を流しながら『GS』片手にゲーム画面に目を向ける浩平。
 視界とほぼ同じ。自分の見ている視点で佐奈子を見ている。ゲームとは思えない距離感とクオリティの高さが伺える。
 画面をいじれば佐奈子との距離を縮小にも拡大にもできる。さりげなく佐奈子がシャープペンを唇にあてている。潤んだ唇がシャープペンを押して芯がでる。そんなさり気ない仕草も拡大して見ると心惹かれるワンシーンであった。

(佐奈子の唇って綺麗だよな・・・。いつかキスしてくれないかな・・・)

 心の中で思ったところで、数字として出てしまった好感度。
 落ちるところまで落ちた浩平に佐奈子は振り向きもしない。

(落ちるも何も、始まってないんだから仕方がない)

 しゃーねえ!と、浩平は好感度を上げる前にやっておくことがある。
 好感度0である。嫌われても大丈夫だと開き直り、どうせならと普段出来ないことを佐奈子にしてもらおうと考えたのだ。


 催眠凌辱である。

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「はぁ・・・」

 田上浩平―たのうえこうへい―は溜め息をついていた。朝のHRの間で三回目となる溜め息である。

「気持ち悪いんだけど・・・」

 親友の樹下琴子―きのしたことこ―がつぶやいた。

「うっせえ。純情な男の気持ちが女に分かるか」
「男が純情って、草食っぽいよね?童貞っぽい」

 ヌガンと、漫画の描写のようにショックを受ける浩平。

「始まって早々二言目でいう台詞じゃねえよ・・・童貞って・・・」
「・・・ああ。童帝?」
「そんな帝王嫌だああああ!!」
「そっちの方が素敵じゃない!帝王よ、帝王!童貞を統べる帝王みたいで格好いいじゃない?」
「そんな従者いらねえええ!!」
「女は力に弱いのよ・・・。権力のある人って格好イイ~」
「精力ある奴はお断りじゃねえか・・・」
「男割りだなんて、すばらしい~。想像力掻き立てられちゃう~」
「明らかに線引きしてるじゃねえか!おまえの願望丸出しじゃねえか!」

 その場合、俺はどっちだ?とは口が裂けても言えない。

「御琴割りだなんて、イヤらしい~。私をどうするつもりなの~?」
「明らかに間引きしてるじゃねえか!いったいお前にナニがあった?」

 だから『御』なんて尊敬語使ってやがるのか。どんだけ自意識過剰なんだよ?とは口が裂けても言えない。

「とにかく!それぐらいワイルドのほうが女性にはモテルわよ?・・・ハイ。じゃあ本題に入りましょう」
「やりずれえ・・・」

 琴子のMyワールドにはまってしまった浩平であったが、どうやら脱出できたようである。

「で、いったい何に溜め息ついてるの?三秒以内に応えないと、クラスの女性全員に浩平はキモイと噂立ててやる」
「最低だよ、おまえ!」

 それだったら脱線なんかせずに素直に聞いてもらったほうが随分話やすかったと浩平は思う。
 浩平の悩み、それは・・・恋の悩みであるのだから。

「・・・俺って、格好悪いよな?」
「キザ!?なにその余韻残す台詞、超キモイ~」
「・・・お前は俺が何か言えば絶対にキモイというな」

 まわりには格好良いと言ってくれても、浩平に対してのみ琴子はその台詞を言ってくれない。
 いまのはさり気なく決まったと浩平も自負していただけに、琴子の台詞が胸に刺さった。
 
「キモイとか格好悪いとか言われると、本当に俺って魅力がないって自身がなくなっちまうじゃねえか」
「格好悪いって言ったのは浩平だけどね~」

 そうでした・・・。思わず琴子に言われたと思ってました。

「ちなみに自信ね。まぁ、掛言葉で面白かったからスルーしようかと思ったけどね~」
「スルーしてください!!」

 おk。分かった。琴子には勝てないことが十分承知した。このままペースを握られると、いつまで経っても魅力がまったく引き出せない。
 浩平においても――、話においても――、 
 浩平は琴子のMyワールドを切り裂くように話を切り出した。

「佐奈子いるだろう?」
「ああ、千葉ちゃん?」

 佐奈子と言われて千葉ちゃんと答えられても誰だか分からないだろうが・・・。

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 同じクラスに千葉佐奈子という女性がいるのだ。背は琴子よりも小さいが、運動神経は抜群でバスケ部の部長でもある。そのせいか、時々クラスのリーダーシップを発揮する場面があるくらい活動的な子である。
 女子だけじゃなく、男子にも人気の高い女性の一人である。

「可愛いよな?」
「そう?」
「合わせろよ!まったく」

 琴子は協調性がない奴である。

「そんなことないわよ!私だって協調性あるもん」
「字分を読むな」
「あはは・・・そうね。千葉ちゃん可愛いよね!私の次くらいに可愛いね♪」
「一言余計!!」
「わたしの次くらいに――♪」
「大事な場所消したーーーーー!!!」

 そこ物凄く大事だろ!?読解力がねえのか?それとも、独占欲が異常に強いのか!?

「・・・だから、なに?」
「読解力がねえ!!」

 もう一度中学生からやり直せ!現文を嫌って言うくらい読んで俺の心の声を読みとれよ。

「・・・っと、あっぶねえ!」
「?」
「いや、危うくまたMyワールドに嵌るところだった」
「Myワールド?浩平、頭おかしくなった?」
「琴子。てめえ、殴りてええええ!!!」

 震える拳を抑えて、一旦深呼吸した後、ようやく浩平は想いを伝える。

「告リてえ」
「佐奈子に手をあげたら許さないわよ!」
「殴りてえなんて言ってねええええ!!」

 おまえじゃないし、絶対に殴らねえよ。

「告白したいって言ってるの」
「そんな、急に困るわ。私もまだ心の準備が――」
「おまえじゃねええええ!!」

 絶対に、ぜぇ~ったいに告らねえよ。

「ムリだよ。佐奈子と浩平じゃタイプ違うし」
「いきなり絶望与えるなよ、うわああぁん!!」
「うーん・・・。でも、相性はいいかもしれないわね」
「おっ。珍しく褒めてるじゃねえか。良いところもちゃんとあるんだからそこを褒めて伸ばせよ」
「セフレにしたらいいんじゃない?」
「最低だよおおお!!」

 相性って、シモの話かよ!?・・・性格じゃないのね・・・・・・?わかんねえよ!onz

「佐奈子ちゃんって引き締まった足してるのに全然ゴツゴツしてないし、スベスベしててすっごく気持ち良いんだよ」
「おっ?」
「感度もすごくいいし、ちょっと触れただけで可愛い声あげてくれるし・・・。ぎゅって抱きしめるとすぐに赤くなるんだよ」
「マジかよ・・・。琴子、まさか・・・佐奈子とそんな関係に・・・」
「ううん。そんな気がするだけ」

 全部妄想かよ!漫画にしたら見開き2Pは使えそうな絡みシーン描写を一瞬で無に帰しやがった!16Pの大事なページ数に裂いた時間と労働力を今すぐ返しなさい!

「琴子。てめえは男か!!」
「琴子は琴子だよ」
「だからおまえは琴子・・・・・・あれ?」

 「もういい・・・」と、結局浩平の方がMyワールドに取り込まれてしまったのであった。
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