他人の『石』を使って意思を読み取ったり考えを変えたりしていたが、それだとあまりに面倒くさい。
 俺、矢部純彦―やべすみひこ―はある考えを打って出る。
 自分の『石』をあえて他人に預けるという暴挙である。
 単純に俺は萩月美央―はぎづきみお―とヤりたい。話も出来る彼女を使って、俺は自分の石を彼女に植え込むことにした。

「萩月」
「急に呼んでどうしたのよ?部活のこと?」

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 俺と美央は同じ体操部に所属している。同じ部を引っ張る同士として度々話をかけることはあった。
 ……美央は本当にそう思っているようだから始末が悪い。もう少し男の気持ちを想ってください。

「まあ、そんなもん、かな?これみてよ」

 黒曜石みたいに黒く尖っている塊を美央に見せる。

「…………『石』?あんた、そんなものどこから拾って来たのよ?汚いわね。さっさと捨てた方がいいわよ?」

 きたない……?捨てた方が良いわよ……?
 ちょっと、言葉を失うくらいの衝撃が走った。
 よろしい。美央がそんな態度を取るのなら、俺は同情や哀れを消し飛び自分の欲のままに彼女を実験台にさせてもらう。
 『水晶』を握る手に力が入り――

「ごふん……ま、まあこの『石』をだ、――なあ!!」
「きゃあ!!」

 彼女の額に『水晶』を埋め込んでいく。俺の手を離れた『石』はズブズブと独りでに美央の中に入っていった。

「あっ………ぃゃぁ……」

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 苦しそうに呻き声を上げる美央。身体を抱きかかえるように両手を巻き付き、必死に何かが入ってくるのを防ごうとしているような、そんな気がした。

「お、おい、大丈夫か?」

 加えて俺の方には何も変化がない。それが不思議でたまらない。彼女に『石』を預けたら俺にも何かが起こりそうなものなのに何もないのが逆に不安だった。
 俺はただ、美央が元に戻るのをじっと待つことしかできなかった。

「……………ふぅ……」

 しばらくして美央が息を漏らして楽な体制をとった。だが、その表情は先程と違ってどこかヘンだ。自分の身体を見てニヤニヤ笑いながら、嬉しそうな表情を浮かべているのだから。 
 やがて美央が俺に気づく。そして美央は俺に対して――

「……よお、俺」

 と、おかしな返事を寄こした。




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