純粋とは矛盾色-Necronomicon rule book-

夢と希望をお届けする『エムシー販売店』経営者が描く腐敗の物語。 皆さまの秘めた『グレイヴ』が目覚めますことを心待ちにしております。

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「はぁ~~はぁ~~・・・・・・♡」

 前川先生の身体で絶頂を繰り返し、噴き出した愛液で指がベトベトだ。艶らかに光る先生の指を見つめながら、アクメの心地よさに酔いしれる。

「こんなに感じるのか・・・・・・病みつきになりそうだぜ・・・・・・」

 保健室に香る静けさの中に、自分の出した女の匂いまで漂っているみたいだ。その匂いを嗅いでいると発情してくるのか、再び下腹の辺りが熱くなってきた。
 ぶるぶると震える前川先生の身体に、込み上げてくるものがあった。

「はっ・・・!そんだか急に、おしっこしたくなってきたな」

 オナニーした後で感じる尿意。おしっこの穴のすぐ近くを弄っているせいか、緩んだ穴から感じる尿意に、慌ててスーツを穿きなおした。このまま女子トイレに向かい駆け足で廊下をひた走る。保健室を出てまっすぐ進んだ先が女子トイレだ。
 しかし、あと少しというタイミングで二階からおりてくる人物が現れた。それは紛れもなく、前川保奈美だった。

「どひぇ~っ――ほ、本人!?」
「・・・・・・あん?」

 声が聞こえて振り返る。俺はすかさず柱の影に隠れて見つからないことを祈った。なにをしに降りてきたのかと思ったが、前川先生も何事もなかったように歩みを進め、女子トイレへと入っていった。

「なんだ・・・・・・たまたまトイレが重なっただけか・・・・・・」

 本人と一緒に女子トイレで済ます。一枚壁の向こうに同じ人物が用を足しているなんて想像も出来ないだろうが、それは逆を言えば大変リスクが高い行動であり、鉢合わせするより安全を心掛ける俺は、別の方法を模索することにした。
 ここから次に近いトイレは二階にある。しかし、階段を昇る手間が面倒だと考えているとき、俺の中でナイスアイディアが頭の中に閃いたのだ。

「そうだ!せっかく今俺の姿は前川先生なんだし、少しくらいみんなを驚かしてやるとしよう。むふふふ・・・・・♪」

 あくどい笑い方を見せて肩を揺らすと、俺は女子トイレとは別の方向へと歩みを進めていった。


※以降、放尿シーンありますので、閲覧にはくれぐれもご注意してください。続きを読む

 コンコン。強く扉がノックされ、大浦可南子‐おおうらかなこ‐は返事をした。扉が開き保健室に入ってきたのは、前川先生だった。

「前川先生。どうしたんですか?」

 正直言って前川先生は怖い。生徒と親しい関係を作るという雰囲気はなく、生徒に自分の与えられた使命だけを叩きこんでいくというオーラが全開なのだ。それは、生徒だけではなく、先生たちにも同じような態度を強要してくる。時に私は、このことでよく前川先生と衝突するのである。
 今日もまた前川先生はなにかお冠だった。

「1組の布施くん。今日もまた1限目の授業抜け出していましたよね?」
「ええ、そうね。具合が悪いって言って保健室で休ませましたけど、少し寝たら体調が良くなったって言って戻っていきましたよ」
「戻ってないんですよ」
「えっ・・・?」
「それに、体調が悪くて早退しますって伝言を残したらしいんです」
「それは・・・・・・」

 布施くんは私に嘘をついて学校をサボった・・・・・・。そのことで前川先生は私のところにやってきたのだ。

「既成事実を作っているんですよ。生徒たちに聞いたところ、アイドルのライブに行く準備をしていたみたいです」

 でも、例え私が裏切られて布施くんが学校をサボろうと、布施くんには布施くんの考えがあって行動しているのなら、それを私は怒るつもりはない。だって、布施くんには布施くんの人生があるから。

「生徒には生徒のプライベートがあるんですよ。そんなところまで先生が加入しない方が・・・」
「分かってます?だから貴女は生徒に舐められるんです。先生としての威厳を出して生徒に真面目に向き合ってくださいっ!」

 そんな私を前川先生が真っ向から否定する。大人同士の、生徒教育の意地と意地とのぶつかり合いを強いられ、思わず涙が出そうになる。何故前川先生にそんなこと言われなくちゃいけないんだろうと、人格否定されると堪えるものがある。

「わ、私だって真面目に向き合ってます」
「だったら、今すぐ布施くんの家に行って、ちゃんと生徒と向き合ってください。こんなことを繰り返していては将来碌な大人にならないでしょう」
「そうかもしれませんけど・・・」

 保健の先生が学校を抜けていいものだろうか。ここは担任に任せた方がいいのではないかと目で合図をしていると、

「ここは私がしばらく見てあげます。幸い、次の授業は空いてますから。あと、このことは他の先生には黙っておいてあげるから、さっさと布施くんの家に行ってあげなさい」
「そうですか。助かります」

 なにが助かるというのだろうか。でも、前川先生と一緒に保健室にいるくらいなら一度席を外したい気持ちもあった。私は白衣を脱いで車の鍵を手にすると、保健室を出て布施くんの家に向かうのだった。



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 俺は悩んでいた。
 色物の話になってしまうが、俺には前田亜衣子という彼女がいる。クラスメイトであり彼女なのだから・・・・・・少しは大人の階段を登っていいと思うんだ。

「なあ、前田」

 放課後、俺は人気のない廊下に亜衣子を連れ出した。

「なんですか、正雄くん」
「俺さ、ずっと前から・・・前田の・・・、触れてみたかったんだ」
「え、ええええっ!?」

 大声を荒げた亜衣子を負いこむように、壁ドンのポーズで黙らせる。効果あったようで、亜衣子は顔を真っ赤にして声を押し殺した。

「なあ、いいじゃん。ちょっとだけだから・・・」

 耳に息を吹きかけて小声で喋るとさらに顔を真っ赤にする。

「そんな・・・恥ずかしいです・・・」
「大丈夫だって。誰にも言わないから」
「でも、きっとばれちゃう・・・ダメです・・・」
「ダメでももう、俺・・・我慢できねえ」
「正雄くん、きゃ・・・・・・んむぅっ!」

 彼氏なんだから少しくらい強引な方法を取る俺の耳に聞こえてくる微かな風の鼓動。
 静かな殺意を感じて零れる一筋の冷汗が熱い・・・・・・。
 喉が、乾く。
 ヤバい。奴がくる。

『刀八毘沙門天』」

 ――ドーーーーーン!!!

 まるで大砲を直撃したかのような衝撃が俺を襲い、壁にめり込んだ。その衝撃は確かに存在し、俺が激突した壁の痕跡は蜘蛛の巣のように張り巡らされた糸のように螺旋を描いていた。
 例えるなら、コメディ漫画で100tハンマーを受ける某主人公のような跡が残っていた。

「おいっ!マジで具現化したのかよ!!!」

 幻影の気迫のはずの
『刀八毘沙門天』がこんな威力を与えるんじゃない。と、言いつつも、振り返れば最強の『軍神』上杉謙信が俺の目の前に鬼気迫っていた。

「つうか、今のを受けて無傷でいるなんてちょっとショックよ。主人公補正でも入ってるんじゃないの
?」
「主人公・・・うっ、頭が」

 なにか思い出したくない記憶が脳裏をかすめるが、次の瞬間には霞のように消えていた。

「ちょっと、なに言ってるかわかりませんね?」
「そんなことより、あんた!私の亜衣子に気安く触らないで!」
「誰が『私の』亜衣子だ!」

 最初から全力で本音をぶつける謙信。しかし、理想が現実に追いついていない!

「亜衣子は『俺の』亜衣子だ。間違えないでくれるかね!ダーハッハッハ!」

 亜衣子と俺は彼氏彼女。所詮同性の亜衣子と謙信では友達以上恋人未満の関係止まり。
 勝敗は既に決している。謙信の悔しがる顔が小気味良い。
 しかし、亜衣子のご厚意で献身との約束は守ってるとはいえ、その契りを破ろうとした途端に見つかっているのは詰めが甘かったかもしれない。

「及川ぁ、亜衣子になにもしてないだろうな?」
「な、ななななにもしてないよ?」
「さっき、私の手を触ろうとしました」
「亜衣子ぉ~・・・・・・ぐえぇぇ!!!」

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 もう一発、
『刀八毘沙門天』を受け壁に叩きつけられる。壁ドンって骨が軋むんですね・・・。

「ふ、不謹慎な!まだ高校生の私たちが・・・異性と、て、ててて・・・手を繋ぐだなんて!!!」
「普通のことじゃねえか!お前のせいで俺たちは恋人同士なのにキスも出来ないんだぞ!」
「き、きキキ、キスぅ~~~!!?貴様はそんな不埒な行為を企てているのかあぁ!」
「ちょ、まっ!
『刀八毘沙門天』待って!!!」

 謙信の亜衣子擁護に関しての母性愛は異常に強く、校内では触ることすら禁止されているのである。箱入り娘に対する母親のようなまでの愛情であり、恋人以上に強い友情がここにはあるのである。

「おまえは何時代の人間だよ!思考が古いんだよ!」
「なんだと!?」
「今時、高校生だってキスや手を触るくらい普通なんだよ。当然セ――」
「正雄くん。不謹慎」

 亜衣子に怒られちゃった・・・。ここで謙信は威厳あるように踏ん反り返って見せた。

「私の考えは古くないぞ。亭主関白は時代錯誤だと勉強した。時代は両親共働きの時代だとな」
「私たち女性だって働かなくちゃ生計立てられない時代ですから。ちゃんと女性が社会に進出できるように政治が動いてくれてます」
「そうだな。このご時世男性の年収600万なんて稼げるわけがない。特にこんな田舎なんて尚更な。いったい統計でどれだけ都会が平均年収を上げてると思ってるんだよ」
「今や子育てだって男性が率先してやるそうだ。仕事だけしていればいいわけではないみたいだな」
「・・・えっ?」
「ちゃんと料理や洗濯だってやってもらわないとダメです。掃除や後片付けだって協力してやってもらわないと女性が倒れちゃいます」
「・・・えっ?・・・えっ?」

 あっれぇ~おかしいぞ。なんか、風当たりが強くなってません?

「正雄くんも対応できてます?」
「私だって対応する努力はしていくつもりだ。貴様はまさか、亜衣子を苦しめたりはしないだろうな?」
「ちょっと待て!なんでお前が亜衣子との付き合いを見定めようとしてるんだよ!小姑かよ!死ぬまで付きまとうつもりじゃないだろうな!」
「あんたが心配だからでしょう!口だけ軽い人間で実力が中途半端なのがいけないんじゃない!少しは私を安心させるような行動をしてみなさいよ!」
「イテテテテ!!!」

 何故だろう。最近誰かに同じようなことを言われた気がするのに覚えていない。

「関白宣言が俺の理想だったのに・・・お前のおかげで良い人生だったと俺が言うから、必ず言うから・・・」
「私がオバさんになっても本当に変わらない?とても心配だわ。あなたが若い子が好きだから」
「二人とも、歌詞が古いです」
「いや、もっと古風な生き様をしている奴がいる!見ろ!!」

 廊下でありながら俺が指をさす方向に二人が顔を向けると、そこには武田信玄率いるメイド&メイドガイが布団を引いて床に就いていたのだ。まるで病弱の様子の信玄を心配そうに見守るメイド&メイドガイに、生涯最後の時間を過ごしているかのような雰囲気を醸し出していた。

「いいか。家臣たちよ。我が遺言を聞け」
『御意』
「3年の間、我死たるを隠して、其の内に国をしづめ候へ」

 それは遺言。信玄が国の為に残した言葉を家臣たちに伝え息絶える。目に涙を溢れさせる諷と倫。しかし、メイドガイこと香山は一人立ち上がった。

「畏まりました。この香山・・・必ずや・・・・・・忠義を尽くし信玄さまの意志を受け継いで見せますわ」

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 香山は信玄とそっくりな姿に成り、遺言通り信玄の死を隠したことは有名な話――。


 ・・・そんな、子芝居を見せられた謙信は一人いきり立っていた。

「とにかく!私の目が黒い内は絶対に亜衣子に指一本触れさせないから!それは貴様が恋仲だろうが関係ない!」

 亜衣子を引き連れて学校から帰る謙信。あいつがいたのでは、俺と亜衣子の薔薇色の高校生活が破断してしまう。謙信の亜衣子に対する愛情を崩さなければ、粉砕骨折は免れない。

「・・・仕方ねえ。こうなればだ・・・・・・」

 俺は禁断の手段を使わせてもらう。亜衣子の愛情をゲットした『粘土』によって、謙信さえ愛情を歪ませてもらおう。
 手に持った『粘土』に謙信のイメージで捏ねあげる。すると、『粘土』は意志を受け取ったように上杉謙信そっくりの『像』を完成させた。
 後は自分の髪の毛をこの『像』に植え込めばいい。そうすれば、亜衣子の時と同じように視界は暗転するはずだ。

「さて、今回はうまくいくか?」

 自分の髪の毛を謙信の『像』に埋め込む。一般だけ違う髪の毛を呑み込んだ『像』は一瞬青白く光り、瞬間世界が一転した。

「・・・・・・でね、謙信ちゃん」

 隣にいる亜衣子の横顔を見ながら帰宅途中の通路で立ち止まる。先程まで校内だったはずなのに、振り返れば遥か遠くに校舎が見えた。
 優しい風が長髪を靡き、スカートの中を撫でていく。
 この視界。この景色。

「謙信ちゃん?謙信ちゃん・・・?」

 隣で呼びかける亜衣子の呼び方から察する通り。俺は今――上杉謙信になっているに違いない。

「う、うおおおお!!!成功したぜ!!!」

 グッとガッツポーズを決める謙信(俺)に亜衣子が唖然としていた。

「謙信ちゃん?大丈夫?」
「あっ、なんでもない。大丈夫よ」

 あははと愛想笑いを浮かべてはぐらかそうとするも、亜衣子はちょっと混乱しているみたいだ。なにかを察したのか、謙信と普段接しているせいで、微妙な変化で気付いてしまうと後々勘付かれてしまう後ろめたさがある。
 今は亜衣子と別行動することが先決と判断し、俺は一足先に帰ることにする。

「御免。亜衣子。ちょっと用事思い出したから先帰るね!」
「えっ!?け、謙信ちゃん!!?」

 ドピュ~と、脇目も振らず一目散に帰る謙信(俺)の姿を見て亜衣子は何を思うだろう。しかし、今の俺には亜衣子のことよりもまずは憎き邪魔者の身体を手に入れたことに対する仕打ちを考えることでワクワクしているのだった。



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「信じられない。自分の出したモノ飲み込むなんて・・・」

 私はそう言わずにはいられなかった。誰か知らないおじさんの精液を自分の口の中に入っているのを見るだけで吐き気を催す。普段の私だったら絶対にやらない行為を、おじさんと入れ替わったせいで真琴のイヤらしい行為を見せられている。
 自分で吐き出したせいもあるけど、この身体だって元はおじさんの身体。一概にすべて私のせいだって言えないのだから、私が悪いわけじゃない。

「お願いだからかえして。私の身体でヘンなことしないでよ」

 私は縋り付くようにおじさんにやめてもらうようにお願いした。それでも、真琴(伴典)は「イヤだ」と首を縦には振らなかった。

「言っただろ。会うのはこれで最後だって。お前の身体も人生ももう俺のものなんだよ」
「そんなぁ・・・」
「俺の人生も腐ったようなもんだけど、親のすねをかじって生きていられるし、誰とも会話しないことを苦に思わなければ楽な人生だったろうよ」
「そんなのイヤだよ!」

 私は日陰に隠れて生きていたくない。お外にだって遊びに行きたい。誰とでも会話したい。
 おじさんの言う人生に賛同なんか絶対しない。私は私の信じる人生を歩きたい。
 そのために、元の身体に戻りたい。和泉真琴に帰りたい。
 だって私は、――私が和泉真琴なのだから。
 叫んだ私をつまらなそうに見ていた真琴(伴典)は、ある結論に辿りつき、不敵に笑った。

「そうか。お前はまだこの身体に戻れるって希望を持ってるんだな。元通りに生活が戻るって願望を抱いているから楽しくないんだ」
「えっ・・・」
「まだお前は女の子だと思ってるけど・・・お前は誰がどう見ても40歳過ぎたオジサンで、越智伴典って人間ってことを忘れるな!!!」

 真琴(伴典)が私に叫んだ言葉が心臓を貫く。途端に呼吸がしずらくなり、息が上がり、心臓の音が五月蠅く聞こえる。

「・・・んふっ。だから、今夜は和泉真琴がやってきてあげたよ♪ロリロリの女の子がやってくるなんて滅多にない機会だもんね?」

 私の口調、私の仕草、私の声で真琴(伴典)は語り掛ける。普段の私と寸分変わらない、屈託ない笑顔は、先程とはあきらかに別人に見える。

「ほらっ、見てよ。今日の水着のあと。炎天下でプールやっちゃったからくっきり跡が残ってるでしょう?」

 フリフリのネグリジェを脱ぎながら焼けた肌に浮かび上がる水着の跡。しかし、私の見る視線は、真琴の小さな乳首に目移りしてしまう。
 元の自分の身体を見ながら欲情している自分がいる。荒々しく吐く息に呼吸が乱れ、悶々としてくる心境に駆られていく。

「見た目とは裏腹にロリっ娘がたまらなく好きなんだよね、オ・ジ・サ・ン・♪」

 真琴(伴典)の声は男の野生を呼び起こす。この身体に染みついた、伴典の本能が私を突き動かそうとしている。

「ちがう。私は・・・」
「だから本当は今すぐ私を襲いたいんでしょう?おじさんの目は私をどう狩ってやろうと考えてるみたいで生き生きして見えるよ♪」
「そんなことない・・・わたしは・・・」

 真琴(伴典)の言葉を否定したくて、視線を外して首を横に振る私の前で、真琴(伴典)は全裸になってベッドに腰を下ろした。そして、誰にも見せたことのない自分の秘部を、私にマジマジと見せつけたのだ。


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 パルティアが洞窟に閉じ込められて数日が過ぎた。シリルガレンの元へ『スライム』が帰ってきたのだった。偽カディルとしてシリルガレンに跪く姿に、シリルガレンは興奮を覚えていた。

「おお。戻ってきたか、『シェイプシフター』」
「・・・・・・シェイプシフター?」

 『スライム』にとって聞いたことのない名だった。それは名前なのだろうか?
 誰の・・・?
 誰に・・・・・・?
 名づけられた・・・・・・・?

「おまえの名前だ。数多の『スライム』から俺様はおまえを生み出した。そしておまえは俺様の命じた通り、さらに強くなって帰ってきた」

 いちごから魔力を手に入れ、レスカから体力を手に入れ、カディルから××を手に入れて帰ってきた――

「魔道具から魔族を作れるのは魔を統べる俺様しかいない。 おまえの誕生こそが次の新たなる魔族を生み出す糧となる!最強、最恐、最凶。こんな小さな化物に恐るべしパワーを持たせるとは末恐ろしい。これで再び世界は混沌の世界へ戻る。世界の終末がすぐそこまで来ている!」

 シリルガレンの恐るべき計画。終末を齎す魔道具の魔物の製造の成功。
 変身、略奪、強姦などその計画の一つに過ぎない。
 いずれは強制操作による心の破壊。肉体―うつわ―のみが残り精神の入れ替えを可能にし、望まない結婚を強要する。
 目に見える幸福と不幸の確立。――格差。一方的な幸福。そして不条理な平等。
 目に見えない曖昧さによって救われていた部分がある。
 目で見てしまうと自分がいかに不幸であると思い知らされた。
 知らないことで、世界は平和に見えた。見たくなかった現実を見てはじめて思い知らされる、そこにある罪を。

「ディルは!?」

 パルティアが叫んだ。『シェイプシフター』が答えた。

「・・・死んだ。俺が殺した」
「・・・・・・う・・・ううぅぅ・・・」

 目の前が真っ暗になった。洞窟の中よりも深いどん底にパルティア姫は落ちた。
 その目に涙を滲ませ、霞む景色を拭い取ることができなかった。パルティアはそれでも否定したくて偽カディルを見ていた。彼が死んだことを否定したくて、偽カディルに姿を重ねて救いを求めている姿が痛々しい。

「そんな悲しそうな目で俺を見るなよ、姫」

 偽カディルに冷たくあしらわれたパルティアはその辛い真実を受け入れるしかなかった。
 その現実を見るしかなかった。
 そこにある罪を知るしかなかった。
 世界は平和じゃない。嘘なのだ。

 その嘘の中で、パルティアを救おうとしたカディルを一掃した。
 仲間たちを一閃した。
 殺した。
 コロした。
 コロシタ。
 ダマシタ。
 ナリスマシタ。
 リョウジョクシタ。
 ウバッタ――――。
 ノウリョクヲ。
 サイノウヲ。
 イノチヲ。
 カケガエノナイモノヲ。 

 ――――ウソだ。
 『シェイプシフター』がココに居る意味。
 幸福と不幸が確立された世界――――ウソだ。
 幸福を奪った――――俺―つみ―。
 命令通りに動き、任務のために遂行し、実行してきた。それが幸福・・・・・・自分の存在価値?
 ・・・ホントウに?

「俺はダレだ。何の為に生きている?」
「おまえは世界を混沌の世界にするために生まれてきた」

 シェイプシフターの初めての疑問に答えを出すシリルガレン。その絶望的な事実を突きつける。
 生まれることが他人を不幸にするという存在意義。
 混沌―カオス―の存在。罪そのもの。

「殺すことは誰にでもできる。しかし、生み出すことは俺様にしかできない。まさに魔族の勝利だ」

 誰も生んでほしいと頼んだわけじゃない。
 生きることが罪なのか。
 生まれたことが間違いなのか。
 自分という存在に意味はない。自分という存在に価値はない。
 他人がいくら誉め称えようと、自分の生が恥る存在と思うなら、生きる必要があるのだろうか。

「俺はダレだ。何の為に生きている?」

 もう一度『シェイプシフターは尋ねる。シリルガレンは二度は言わなかった。
 いや、言わなかったのではなく、言えなかった。
 その言葉を紡ぐ前に、『シェイプシフター』の異変を察したからだ。カディルの姿でシリルガレンと対峙する『シェイプシフター』。剣を取り出し魔力を込めて、自らの存在を否定する。

「なにをする!?」
「実際のところ、俺自身もなにをしているのか理解できない。でも、しなくちゃいけない気がするんだ。誰の目に見えることなく、再び影として消えることを俺は望む」
「自爆する気か?何故だ!?最恐を生み出した俺様の夢が・・・っ!どうしてこんなバカなことをする!!?」
「最恐?それは勘違いだ。俺は他人に『変身』するだけの雑魚キャラだ。それ以上でもそれ以下でもない」
「馬鹿物があぁぁぁぁ!!!」

 世界を混沌へ導く化物を理解できない。それは例え生みの親であっても――


「『混沌と悪魔の終焉‐Chaos Devil End‐』」


 偽りの平和と供に、世界は音を立てて崩れ落ちていった。


 ・・・
 ・・・・・・
 ・・・・・・・・・

 洞窟は崩壊した。
 しかし、 瓦礫に埋もれた僅かな空間の中で、『シェイプシフター』は目を覚ました。
 頭の下から温もりと柔らかい肉感を感じる。目を開けると、『シェイプシフター』の顔を覗き込むパルティアの姿があった。
 大粒の涙を今も流し、『シェイプシフター』の頬を濡らしていく。

「死なないで」

 パルティアはそう『シェイプシフター』に言った。

「俺を気遣っているのか?俺はお前の仲間を殺した」

 カディルの姿で告げる『シェイプシフター』にパルティアはまた苦しそうな表情を浮かべていた。

「ええ。だから私はあなたを絶対に許しません」
「・・・意味が分からない。許さない相手を死なせないのか?」

 生きる必要などない『シェイプシフター』に命など惜しくない。しかし、パルティアはその命を見殺しにさせなかった。

「――もう、ディルを失いたくない」
「・・・・。そういうことか」

 子供のようなことをいう姫に苦笑し、『シェイプシフター』は彼の代わりに、パルティアの膝枕で目を閉じた。決して『シェイプシフター』を放そうとしないパルティアに、しばらくした後身体を起こした。

「俺が帰ってきた水路を使おう。洞窟内は道が塞がれ誰も脱出できないだろうし、この地下水を通っていけば迷うことなく出られるはずだ。後はどこまで道が塞がっているか。魔力と体力が持てばいいけど・・・」
「・・・・・・・」

 きょとんと、呆然と『シェイプシフター』を見つめるパルティア。

「どうした?せっかく救われた生命をみすみす手放すつもりなのか?」
「い、いえ!」
 
 我に返ったパルティアに手を差し出し、パルティアは『シェイプシフター』の手をつかんだ。
 二人は魔力で明かりを灯し、下半身を水の中に浸かりながら、洞窟の脱出を試みていた。決して容易くない水路は問答無用で体力を奪い、いつ天井が崩れるかもわからないぎりぎりの状況を二人は足早に進んでいった。
 塞いだ岩や檻は魔力と剣さばきで突破していく。奪った仲間の能力で姫を救うとは幸運にも皮肉なものである。
 『シェイプシフター』はシリルガレンが生んだ最凶の夢。しかし、それは今や最強のパーティの力を持った頼もしいパルティアの護衛になっていたのだった。
 いつ死んでも構わない。
 いま死んでも構わない。
 そんな二人が生きようとしている。
 脱出を試みようとしている。
 何の為に生きている?
 生きて何をするつもり?
 辛い現実を生きて何になる?
 流れに身を任せれば楽に死ねるのに?

「あ――」

 足を取られたパルティアの身体が濁流に流されそうになる。しかし、間一髪のところで『シェイプシフター』がパルティアの手をつかみ難を逃れた。

「大丈夫か?」

 二人ずぶ濡れの格好。否応なく寒さが体温を奪い続ける。しかし――

「はい!」

 パルティアは強く頷き歩みを進めた。

「よし。いこう――」

 ――二人は絶望のなか、希望もなく、必死に生きようとしていた。
 今はそれでいい。
 何故なら、前に進みさえすればいつか必ず光は差し込んでくるのだから――。


 
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「いたいっ」

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 体育館裏に呼び出された市川大輔―いちかわだいすけ―は、待っていた者たちに歓迎の一発を喰らっていた。

「キャハハハ!転がったよ、こいつ。マジ達磨みたい」

 クラスメイトであるにも関わらず、大輔が受ける仕打ちは決して同等の立場ではない。同じ年、同じクラスメイトでありながら、人と人という対応では決してない。

「つうかさ、なんで学校きてんの?菌が移るって言ってるよね?」

 大輔は決してインフルエンザや風邪など引いていない。健康そのもの、至って普通の男子生徒。
 学校に来て当然の権利を、女子生徒は否定する。

「俺はばい菌なんかじゃない――」
「菌だって言ってるの、『大〇菌』。わかんない? 学校に流行って見なバカになったら困るの」
「そんなぁ・・・」
「臭い!近づくな!『大〇菌』が移るでしょ!」 
「グエェ・・・」

 いじめる側といじめられる側。目に見えないモノすら使い、それを武器に相手を虐める道具にする。
 空気感染。パンデミック。

「だから、おまえは家に引き籠ってろよ!」
「キャハハハハ!!」
「くそっ、くそっ」

 ただ、見た目がキモいだけで女子たちの人気は皆無。男子からは犬猿され、一人で過ごす学園生活は邪魔者を排除するかのようにクラス全体が団結する。そこはまるで小さな社会の縮図のようで、対応できない者たちの居場所を否応なしに消し去っていく。

「俺だって、好きでこんな顔になったわけじゃないのに・・・好きで学校に来ているわけじゃないのに・・・」
「だったら学校来なきゃいいじゃん?」
「イカ臭い匂いが充満している部屋の中でどうぞご自由に生きて下さい」
「じゃあ、さようなら」
「こいつら・・・」

 人として外見が汚れているのと、人として内面が汚れているのと、同罪ではないのだろうか・・・。
 大輔は三人のクラスメイト、千葉咲夜―ちばさくや―、八萬芽唯沙―はちまめいさ―、柏崎百子―かしわざきももこ―を心の底から許せなかった。


 
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 アイドルの卯月有理栖―うづきありす―と犬狛侑香理―いぬこまゆかり―はライブコンサートに大忙しだった。着々と準備をしてきた二人の集大成を魅せる日、プロデューサーにも応援された二人は一度着替えに戻っていった。

「いよいよこの日がやってきたね。卯月ちゃん。頑張ろう」
「うん・・・」

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 侑香理がはしゃいで着替えを終わらせる中、卯月は深刻な表情を見せていた。

「どうしたの?なにか悩みがあるの?」
「・・・実はね、犬狛ちゃん――」

 有理栖が最近起こった出来事を侑香理にだけ伝える。

「――昨日、自宅に帰る途中で襲われて」
「ええっ!」
「誰かは分からなかったけど、無理やり暴れて逃げ出したから相手を傷つけてしまって」
「なんで相手のことを気にかけているのよ!正当防衛の傷害事件じゃない」
「前々から誰かに付けられているような気がしていたけど、気のせいだと思っていたのに・・・手紙を貰ったのも気のせいだと思っていたのに・・・」
「ストーカーがいたんじゃない!どうしてそれを前々から言ってくれなかったのよ、もぅ!警察呼ぼう!け――ああ、いま呼んだら、コンサートに支障でちゃうか」

 警察を呼べず、これからなにが起こるか分からない状況に有理栖が不安になる。しかし、辛気臭い表情を見せていたら、せっかくコンサートを楽しみにしていたファンが悲しみ、コンサートが失敗してしまう。
 侑香理はこれ以上有理栖を不安にさせないために、彼女の両手を自分の両手で包み込み、冷たい両手に温もりを与えていった。

「大丈夫。卯月ちゃんは私が守るわ」
「犬狛ちゃん!」
「だからこのコンサートは絶対に成功させよう。余計なことは考えないで、集中しよう」
「うん、うん!」 
「うふふふ」

 誰にも言えなかった不安から解放されたように、有理栖はうっすら涙を浮かべて微笑んだ。しかし、有理栖の知らないところで、侑香理が抱える不安はまた一つ増えることになったのだった。



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 私は気を失ってしまったらしく、目を覚ました時には夕方になっていた。
 春休みは最悪な形で終わりに向かう。出会いを楽しみ、別れを悲しむ心境の変化を私は受け入れられずにいた。

「夢・・・じゃないのよね・・・」

 夢だったらいいのに・・・。しかし、夢だったら私は気を失うこともないだろう。足取りは重く、頭は整理が間に合わず、ガツンガツンと頭痛は容赦なく襲ってくる。
 こんな状態でいったいどうやって新学期を迎えればいいのだろう。
 リビングに下りた私にお母さんはびっくりした顔を見せていた。

「恵美、どうしたのよ、その顔。 風邪?」
「うん・・・そんなもの・・・」

 ちらりと視線を流せば、横には菜摘がいる。私を見て鼻で笑うようにすまし顔でお母さんお手伝いをしていた。

「お風呂入れる?」
「入れるよ」
「先に入って来なさい。今湧いたばかりだからあついお湯よ」
「そう。じゃあ入ろうかな」

 私はお風呂に向かう。すると、

「私もお姉ちゃんとお風呂入る!」

 菜摘が大声でお母さんに駄々をこねていた。私が振り返ると、お母さんは無言で菜摘の我儘を了承していた。

「お願いしていいわね?」

 普段なら私も抵抗を見せずに軽く返事をするだろう。でも、間が空いた後、私は頷いた。菜摘がトタトタと寄ってきて一緒に脱衣所に入る。

「・・・てっきり否定するかと思ったのに」

 ニヤニヤと私の顔色を伺いながら本音を漏らす菜摘に成りすましている男性。お母さんには見せられない、私だけに見せる下卑た表情だ。

「変な気を起こしたら菜摘の命はないんでしょう?」
「物分かりが良いじゃないか!でも、頭は理解できても本能的には抵抗あるんだね。どうして普段みたいにすぐに頷いてくれなかったの?菜摘、悲しいなぁ~」
「こいつ・・・」

 調子乗っている彼に、苛立ちを隠せない。しかし、きっとそれが彼の狙いなんだろう。再び私に首を絞められて家庭内の私の居場所をなくさせるつもりなのかもしれない。
 ストレスを溜めながら彼の言いなりになるしかない。私は服を脱いで裸になる。

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「へえ、綺麗な身体だね、お姉ちゃんって」
「あなたに言われても嬉しくないから」
「ムフフ・・・私もお姉ちゃんみたいに綺麗になれるかなぁ~」

 鏡の前で発育もしていない胸を両手で揉み始める。

「あんっ、あぁん」
「やめてよ・・お母さんに聞こえるでしょう?」
「んふふ。どう使ってもいいじゃない。このカラダは俺のものなんだし」
「・・・・・・」

 菜摘の身体を自分のものだと言い張る彼を私は浴室に入っていった。


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 私、日向恵美―ひなためぐみ―は悲鳴をあげていた。妹の菜摘―なつみ―と過ごす春休みの最終日、新たな季節、新たな新学期、春の風と供にくる出会いを楽しみにしている私たちの家に、見知らぬ男性がやってきたのだ。
 面識のない彼がちらつかせるナイフの脅しに怯える私たちは何もできずに彼の言う通りにするしかなかった。携帯電話で助けを呼ぶことも出来ず、彼がうちにある金目のものを持って逃走してくれるのをひたすら待つしかなかった。
 しかし、彼は私の予想を裏切りお金に興味を持っていなかった。ひたすらに私たちを見ながらニヤニヤせせら笑い、一階のリビングから人の目の届かない二階の寝室へと私たちとともに移動したのだ。私は手足を縛られ、身動きを取れなくされてしまい、彼は妹の菜摘へゆっくり視線を向けていった。

「・・・そうだなぁ~。やっぱり、娘の方がいいかな・・・」

 彼は私から菜摘を引き剥がす。途端にぶわっと涙を滲ませる。

「いやあ!」
「菜摘になにをするの!?」

 菜摘をベッドに投げ込む。菜摘の体重だけベッドが軋む。震える菜摘がその恐怖を物語る。まだ小学生の菜摘を横暴してトラウマを植え付けようとしている男性。普段の実家が彼の登場でぐにゃりと歪んで見える。春休みという特別な時間がまるで私たちを非日常へ放り込んだようだった。

「あ・・・あ・・・」

 彼が菜摘にぐっと近づく。大男の手が菜摘の頭へ降り注ぐ。菜摘になにをしているのか、彼の影に隠れて見えなくなってしまった。

「・・・ん。かわいい」

 彼が離れると、菜摘の頭には猫耳ヘアバンドが付けられていた。彼の着せ替え人形にさせられて菜摘の心境は尋常じゃないに違いない。いつ精神的に限界が来てもおかしくない状況だった。

「この可愛さがもうすぐ俺のものになるんだな。ムフフ・・・」

 独り言を漏らす彼がポケットから栄養補給ドリンクの容器を取り出す。そして、プルトップを開けると袋を握りつぶしながら一気飲みする。

「ゴフッ・・ゴフッ・・ゴフッ・・・・・・ふぅ~。あまりうまくはないんだな。・・・・・・んっ。おっ、きたこれ・・・。間違いない。んん~~~」

 表情を青くする彼が、意味不明なことを言いながら菜摘の元へ歩み寄り、小さな唇を自分の唇で塞いだ。菜摘も目を丸くしながらも彼のキスを受け入れるしかなかった。しかし次の瞬間、菜摘の口の中に彼から吐き出される得体の知れないものが押し流されてきたのだ。

「んー!?んんんー!!?」 

 口移しでゼリーのような柔らかい物体を菜摘の口の中に押し込まんで。必死に抵抗して彼の身体を引き剥がそうとしても、菜摘の力では大男の身体は押し返すことができなかった。

「菜摘・・・っ」 
「ごくっ・・・、ごくっ・・・」 

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 彼からの口移しが進んでいくにつれ、菜摘の抵抗が弱まっていく。いやいやながらもそれを飲み込んでいく菜摘は吐き出された物体全部を流し込まれる。 
 唇が離れる。すると、彼は突然ベッドに倒れこみ意識を失ってしまったのだ。なにが起こったのかわからないけど、逃げ出すなら今しかないと、私は菜摘に声をかける。

「菜摘!今なら逃げれるわ。携帯に電話して、警察に連絡して!」

 私の声を聞く菜摘の様子もおかしかった。お腹を押さえ、苦しそうに呻き声を漏らしながら、目に涙を溜めていた。

「お姉ちゃん・・・くるしい・・・ケホッ!ケホッ!」
「菜摘っ!?」

 急に何が起こったのか分からない。体調を崩した菜摘が表情を青ざめていく。 

「で、でちゃう・・・でちゃうよ。おしっこでちゃうー」

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  我慢できなくなった菜摘がこの場で身体を震わせる。菜摘の身体から液体が噴きだしてきた。幼い菜摘の身体から噴出する粘液は、寝室のベッドのシーツを濡らしていく。しかし、私はそれに違和感を覚えた。尿だとすればそれは固形であり、長い時間放尿は続いていた。シーツを濡らしたといっても思いの外シーツは濡れていない。むしろ、菜摘の身体から飛び出してきた固形物は、一点に集まり塊を形成して小さな山を作っていた。
 プルプルと柔らかそうに揺れる固形物は、まるで『スライム』のようだ。
 そして、ようやく長い時間かけた菜摘の放尿は終わったのだ。


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 すぐそばの学校に到着した俺たちは、ニ時間目が終わった休み時間のタイミングに合わせて皆と合流することができた。
 次の授業は体育だが、それまで少しばかり休み時間が他より長い。生徒はまばらになり、先に着替えに更衣室にいく生徒や休み時間を最後まで満喫する生徒までいる。

「……なにを考えてるの?」

 隣で鼻歌を交えて軽快に歩く准(蓮)。いったい何を考えているのか、俺には嫌な予感しかしない。

「そりゃあ、この姿で女子更衣室にだな~!」
「だと思った」

 男子にとって無縁の禁断の花園。中ではクラスメイトが生着替えをしているのだろう。女子に変身出来たら、一度は入ってみたいだろう。

「でも、もし准本人がいたらどうするの?本人とばったり鉢合わせなんかしたら最悪だよ?」
「あっ――」

 足踏みを止める准(蓮)。考えなしの行動が時には取り返しのつかない状況になりうる。そう、俺たちは未だに准と会っていない。教室にも顔を見せてもいなかったということは、この時間准がいるであろう場所は限られてくる。その最も高い可能性として、更衣室なのである。
 もちろん、体育の授業に本人がいる以上、准(蓮)が参加することも控えさせた方がいいだろう。
 准に成り済まして悪戯を考えていたとはいえ、やはり制約を課せられるものである。本人に会ってしまっては強制終了。その後制裁が待っているのが目に見えているのだから。

「……更衣室はお預けだ」

 重々しい口調で准(蓮)が言う。かなり名残惜しそうである。

「作戦を変更する。麻生、おまえは准の足止めをしろ」
「なにするの?」

 准(蓮)が次に考えた作戦を聞きだす。

「久美子いるだろう?准の親友の」
「うん、いるね」

 飯塚久美子。説明した通り、准の親友であり俺たちのクラスメイトだ。自分から先導することは滅多にないが、必ず准の後ろを付いて動き、時に准の行動を抑制させることもある、物腰の落ちついた生徒である。
 そんな俺が持った彼女の第一印象は、「彼女、乳でけえ」だった。
 見て分かるくらい制服の上から弾む胸の大きさに目を奪われることがあった。久美子は巨乳と、どのクラスメイトの男子に聞いたところで同じ感想を持っていたのである。そういう意味で、准(蓮)が久美子の名を出した理由も分からなくない。

「彼女を襲ってみようぜ。うまくすれば久美子も乗るかもしれないしな。麻生にはその間、准を監視していてほしいんだ」

 准になりすませて親友を襲うなんて、蓮は悪人だと思う。
 しかし俺はそんな蓮と付きあってしまっている以上、パートナーとして役目を果たさなければならない。准(蓮)が行動を起こす。有言即実行――、

「ジャーン!」

 隣の准(蓮)が何時の間にか制服姿から運動着姿に変わっていた。その早技に思わず声を荒げてしまった。

「いつ着替えたの?」
「うーん、着替えって言うよりは想像でなんでも着替えられるんだよ」

 『鏡』は覗いている間に想像した姿を写しだすようなものと准(蓮)は言う。着替えというよりは着せ替えに近いのだろう。一瞬で衣服も思いのままにできるというのは凄いものだ。

「じゃあ行ってくるぜ。久美子は教室にいたよな?なんかあったらすぐ知らせろよ!」

 長い脚で廊下を駈け出していく准(蓮)。本当に思いついたら実行が早い。

「麻生くん!」

 前を行く准(蓮)の姿を見つめていると、後ろから俺を呼ぶ声がした。
 思わず身構えてしまった。

「その声は――!」

 その、先程まで隣で聞いていた声が、今も廊下の奥で走っている姿が見える人物の声が、後ろから聞こえてくるのだ。
 ゆっくり振り向くと、そこには永森准がいたのである。蓮が変身した姿と同じ、運動着姿で立っていたのだ。唯一違いをあげれば髪の毛だけだ。

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「ナニ?」
「なんでそんな片言なのよ?」

 蓮から頼された使命感が逆に俺の身体を固くする。准以外に出会えればこんな風にならなかったのに、せめてもう少し時間を置いてから准を登場させてほしかった。恨むよ、カミサマ。

「ナニか用?」
「蓮いなかった?」
「さあ~?俺は見てないよ~?」
「……ウソが下手ね」

 動揺しすぎの俺。パートナー大失敗かも。

「言いなさい!あいつ、今日のテストの為に私のノート借りといて返さなかったのよ!しかもテストの時間出席しなかったし、最低よ!」

 今日のテストのことを怒っているようだ。小テストといえ、赤点取った人はもちろん補習がある期末テストさながらの、赤羽早苗―あかばねさなえ―の授業である。

「・・・・・・・・・テスト」
「そうよ!……あれ?そういえば麻生もいなかったわね。よかったの?サボり二人だけよ?」
「……えええええええええ!!!???」

 聞いてないよ!本編に全く出てきてないよ!
 そんな裏設定、つうかテストなんていらないよ!!



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