純粋とは矛盾色-Necronomicon rule book-

夢と希望をお届けする『エムシー販売店』経営者が描く腐敗の物語。 皆さまの秘めた『グレイヴ』が目覚めますことを心待ちにしております。

タグ:いじめっ子

 その日は部活が終わる時間にまるかに学校の中庭に来るよう呼び出された。
 既に日は落ち辺りは暗くなっており、人影はほぼいなくなっている。校内で明かりがついていても、誰かが見回りに来ない限り人影も現れない雰囲気を醸し出していた。
 そんな中で俺はまるかと落ち合った。

「来てくれたんだね」

      ねぐりじぇ

 まるで来なかったら一人寂しく泣いているような声で、俺が来たことに逆に安堵している。
 あの強気な本庄さんの姿はそこにはなかった。
 付き添っていた女子生徒も日に日にまるかの周囲にはいなくなっていった。それでも一人強気な態度で俺を虐める姿はとどのつまり裸の王様のようで、それに付き従う俺を憐れに思って話しかけてくれる生徒が現れたほどだ。俺のクラスでの信頼回復の好転の兆しは徐々に見え始めていた。
 対して俺とは逆にまるかは孤立していき、そして挙句の果てに今夜エロ下着の格好で俺を呼び出している。

「見て。今日はこの格好で犯してあげる」

 もうまるかはいじめというか自虐行為で脅すことしか考えていない。本当にまるかの考えが分からない・・・。

「ふふっ、もうアンタを虐める子は他に誰もいなくなっちゃったわね」

 自分で言っている通りだ。自分の身体をいけにえに捧げてでも俺と性行為をしたいのか?いじめというのはただの狂言で、本当は俺を好いているだけについた照れ隠しの嘘なのではないか・・・。
 そんな都合のいい解釈以外納得できなかった。

「どうしてだ・・・?」

 俺はもう我慢できずに思わずまるか本人に聞いてしまう。

「こんなことをすれば、俺なんかよりまるかの方がドン引きされているじゃないか!俺をいじめるために自分の身体を傷つけてるだなんて、横暴すぎるだろう!!」

 俺を嫌っていたくせに急に性行為したいとか意味が分かんねえ。まるかにとって貞操概念が低いということなら、そんなことに振り回されるいい迷惑だ。
 俺ですら軽蔑する――そう思っていると、まるかはポツリとつぶやいた。

「私、気付いちゃったんだ。私は西永を甚振りたかったんじゃないんだって。甚振って嘆く西永の姿に私自身が共感してたんだ。どれだけ甚振っても満たされないのも同じ理由なんだよ。そのために私は――私が望んでいたんだって!だから私は西永に操を捧げたい・・・!」

 まるかは虐められている俺の姿を見ながら、自分に投影して興奮していたのだという。
 そして、俺を貶すことを性処理の一つでしか思っていなかったのが、耐えられなくなった。
 まるかはショーツの上から恥丘をなぞりながら、自ら感じるところを擦りあげて喘ぎ声をあげていた。

「あぁんっ・・・ね?これからは二人で愛し合いましょう。まわりからは虐められているように見えるかもしれないけど、私たち二人だけが分かっていれば関係ないわよね?だって私たち、いじめる側でもあり、いじめられる側でもあるんだから」

 今後のいじめは本心ではなく、愛情の裏返しといいたいのか――お互い相手の姿に自信を投影して興奮を覚える変態なのだということを告白してくる。
 本庄まるかという女性の真意を俺は垣間見た――はずだった。

「ウソだよ」

 でも、俺が本庄さんに告げたのは否定的な言葉だった。

「だって、本庄さんはそんなことを言う人じゃなかった」

 いじめられている人にしか分からない、本気でいじめてくる人の神髄。嘘、偽りなど無く、本気で相手の嫌なことをしてくるのがいじめだ。ただ自分の感情だけで相手を貶めることもそうだ。
 そこに一切の余念はない。本庄まるかがそこまで考えて俺をいじめているとは考えられなかった。
 つまり、いま彼女が言った告白こそが本庄まるかに成りすました者のウソなんだ――。

「きみは一体・・・ダレなの?」

 本庄まるかの姿として現れたきみは一体・・・誰なんだと逆に問いかける。
 いじめる者といじめられる者に信頼関係なんてあるわけない。そう簡単に言い表せる関係じゃないし、からかわれたらふざけるなとブチ切れる。
 俺は本庄まるかのことを世界一理解している人物なのかもしれない。

「そんなこと、どうだっていいじゃない」

 そんな俺に対して、まるかはクスリと嗤った。

「いじめもなくなったわけだし、アンタは私を好きに出来るのにどうして戸惑うの?散々虐められてきたっていうのに、この期に及んで恨みを晴らさないの?・・・いいんだよ?私、本庄まるかがいいって言ってるんだから、気にすることなんかないじゃない。フフフ・・・」
「本庄・・・さん・・・・・・」

 それは、今までまるかが見せたことのない、下卑た不快な笑みだった。その笑顔、俺はどこかで見覚えがあった気がしたが、どこだったのか思い出せなかった。

「あっ、顔赤くなってる。素直なんだから、西永くんったら」
「この口調・・・きみは・・・・・・ひょっとして・・・・・・」
「他人に余計なこと言わないでくれる?もし約束してくれるなら、西永くんが望むことならなんだってしてあげるよ?」

 そう言うと、まるかはは俺の手を掴み、自分の胸へと宛がわせる。そして、さらに力を込めて自分の胸に押し付けていった。

「こんなことだって・・・」

 それは倉田さんの時と同じ様に、手のひらに柔らかい胸の感触をゆっくりと確かめていた。五本の指は倉田さんの時よりは平たくなっているものの吸いついてくる胸の触り心地を蘇らしていた。

「や、やめてくれ!」
「そんなこと言って、ずっと私のカラダ見てるじゃない?」

 ネグリジェに包まれたまるかの身体が否応にも目に入る。高級なレースでシースルーのネグリジェはただ普通に裸を見ているよりも色っぽい。お嬢様育ちのまるかにとって身体が物足りなくても、その視感は倉田さんのときより興奮を覚えるものだった。

「ねえ、正直に言ったら。本当なら『本庄まるか』とは一生こんなことできないんだよ?」

 彼女はもう正体を隠そうとしない。俺も目を閉じて必死に歯を食いしばるだけだ。

 ・・・わかってる。わかってるさ、そんなこと!
 いじめっ子がいじめられっ子に操を捧げるなんて、催眠術という奇術でも使わなければ現実にあり得ない!つまり・・・きみは――

「西永。これで私を好きにしていいのよ。今日は逆転してアンタが私を好きにしていいよ♡」

 俺は・・・俺は・・・・・・っ!



続きを読む

 その日の放課後・・・
 俺はまたまるか達女子生徒にいじめられていた。復讐してやりたいという気持ちもなく、ペットとして服従を誓ってから俺はまるかに対して諦めという気持ちが強くなっていった。
 俺を助けようとしてくれた倉田さんに『飲み薬』を使って憑依してくるような常識で語れない方法を使ってくるやつだ。
 良心がないやつに説得しても無意味なんだと、俺はまるかという人間に対して何かを抱くという気持ちはすでになかった。これ以上誰かに迷惑がかかるくらいなら、俺が耐えてまるかのやりたい様にさせてやるのが一番いい解決策だと思っていた。
 俺はまるかと違い、心までは自由でありたかった。

「てゆーか、よくこれだけまるかに言われているのに学校来れるよね」
「普通ここは気を利かせて退学するところじゃないの?」
「ほんと、どういう神経してんのかしら?」

 グリグリグリと、ズボンの上から足で踏まれ、玉袋ごと逸物を震わせていた。

「ぐ・・・ぎ、ぎゃああぁぁぁ!!た、玉が潰れるぅぅぅ!!」
「ふんっ。どうせあんたの汚いモノなんて一生使うことないんだからセーフでしょう?」
「ふふ、人間諦めて家畜にでも相手してもらったらどう?」

 好き勝手言いやがって・・・日に日にいじめの強さもあがっていっているせいか、まるかは俺のズボンを下ろして勃起した逸物を取り出していた。
 それを見て狂気的な悲鳴を上げる女子たち。

「うわっ、見てよ。ズボンの上からでも分かるくらい勃起してるんじゃない?マジ、ドM?」

 面白おかしく笑う女子たちに何も出来ない俺。羞恥心と背徳心の精神攻撃を受けてノックアウト寸前だ。男子生徒の性器を公に見せびらかすことをなんとも思わないように躾けたまるかの親を見てみたいものだ。そこまでして俺を貶めて面白いのかよ、こいつらは・・・。
 つうか、こんなことがこれから年単位で続くと思うと本当に億劫だった。


「そーだ。いいこと思いついた。今日はこのままお口で遊んであげるわ!」

      本日のいじめの内容は――

「・・・・・・・・・えっ?」
「・・・・・・・・・はっ?」

 まるかの思いもよらない発言を聞いて、俺と同じく笑っていた女子たちまで同じ素っ頓狂な声をあげていた。
 聞き間違いじゃなかったのように、まるかは舌をだして、誰よりも先に俺の逸物を舌で這いずってみせたのだ。 

「うおッ!」

 思わず腰を引いてしまう俺。しかし、まるかは自ら顔を前に出して逸物から放れないように口を亀頭に吸い付いて見せたのだ。

「ほら。大人しくしなさいよ」
「・・・・・・・・・ッ?!」

 こいつ、なにしてんの?
 俺と同じ疑問を抱きながら、いつしかまるかの行動を見ながら女子たちも言葉を失っていた。

続きを読む

「ただいま~!」

      清潔な部屋作り

 学校からも近く、徒歩5分程度のところにある本庄家。意気揚々と帰宅したまるかは部屋に戻ってくると早速制服から私服に着替えていった。
 白い壁紙の部屋にはピンクのものが溢れており、可愛らしい小物やパンダやうさぎといったぬいぐるみがあちらこちらに並べられている。
 容姿だけじゃなく少女趣味全開のまるかの部屋だが、思っている以上に統一感があり、白とピンクと黒の色彩のバランスは高校生になっても子供っぽさが抜けない無邪気さがあり、無意識に彼女にはお似合いの景観を見せていた。
 まるかは机に座るとパソコンを開いてネットサーフィンを始めたのだった。これがまるかの日課になっている。帰宅したらパソコンを開いたらまずはネットサーフィン。マウスを動かしながらカチカチとクリックを押してお気に入りのサイトや動画を眺めていく簡単な作業で有意義な時間を過ごしていた。

「~~♪~~♪」

 まるかは鼻歌交じりに独り言をつぶやいている。それくらい今日のまるかは機嫌が良かった。
 西永圭吾と倉田彩夏の二人を潰したのだから機嫌が悪いわけがなかった。気に入らないものを叩きのめして優位に立ってきたまるかにとって、『飲み薬』はさらなる高みへ昇らせてくれる正真正銘の道具だったのだ。
 女子生徒に身長を馬鹿にされたこともある。男子生徒からは力で勝てないと罵倒されたこともある。しかし、そんな勝てない相手にも乗り移ることで精神を蹂躙させれば、相手を言いなりにすることも容易だった。相手に憑依して恥ずかしい格好を写真に収めて脅迫材料を仕込んでしまえば、さらに舐められることもなくなるだろう。

「アハッ!いいサイトを知っちゃったなぁ~!ネットは怖いなぁ~なんちゃって!」

 学園生活を謳歌するために『飲み薬』を手に入れたまるかは、今も彩夏に憑依した時の出来事が抜けないでいた。
 彼女の大きな胸を使ってパイズリフェラをした時の記憶が生々しく残っていた。自分の胸ではパイズリなんかできない。Bカップほどの胸とEカップを比べて肩にかかる負担が楽であることが良いことでもあり悪いことでもあった。

「・・・・・・・・・」

 まるかはしばらく彩夏の胸を思い出すように両手を胸の前に差し出して彼女の胸を揉みしだくように動かしてみた。しかし。今やその胸の柔らかさは空を切り、自分では味わえない物足りなさを感じていた。
 同じ女性として羨ましくもあるまるか。気がたったのか、まるかはパソコンを操作して画面に巨乳の女性がオナニーをする動画を映しだしていた。
 絶対に他の部屋には聞こえない微かな音量で見始める。その映像は素人モノらしく、女優とは見劣りする者の、作り物丸出しのAVとは違うリアル感を見せる通好みの動画となっていた。

「はぁ・・・・・・はぁ・・・・・・んふ・・・・・・」

 しばらく動画を眺めていたまるかだったが、モニター越しの素人だけではなく、まるか自身が艶やかな吐息を漏らし始めていた。そして、まるかはスカートを外すと、自慰行為をし始めたのだ。

続きを読む

 床に蹲りながら俺は倉田さんに踏みつけられる。それはまるで、本庄まるか率いるいじめっ子たちと同じ手口だ。

「キャハハハ~~!!」

 倉田さんがまるかと同じような笑みを浮かべながら何度も俺を蹴りつける。痛いという感情と供に、今まで助けてくれていたはずの倉田さんに裏切られた気持ちの方が強くて感情が込み上げてしまう。倉田さんは俺をいじめるような人じゃないのに、現状倉田さんにやられているのだ。
 倉田さんを信じたいと思う自分と、一種の諦めている自分の二人が心の中にいた。
 半場諦めながら倉田さんの猛攻が収まるのをただじっと待ち続ける。せめて彼女と話をするまでは我慢するしかなかった。
 それでも、俺は倉田さんを諦めきれなかった。

「西永のくせに私に指図するなんて生意気なのよ!!」

 調子に乗って軽口を叩く倉田さん。その言葉を俺は聞き逃さなかった。
 その言葉は倉田さんに言った発言じゃない。倉田さんから出てくる言葉じゃない。
 俺が対峙した相手は倉田さんじゃない!

「そ、それって・・・倉田さん、きみは・・・まさか本庄さん!?」

 俺の言葉に倉田さんはピタッと足を止めた。まるで、自分の正体を見破った俺に対して敬意を表するように嘲笑ったのだ。

「そうよ。私は本庄まるかよ。アンタと同じくらい生意気なことを言った女に憑依してやったのよ」

 倉田さん・・・いや、まるかは正体を明かした。姿は倉田さんなのに、その正体がまるかという事実に俺は自分で発言しておきながらあまりに非現実だと思い必死に状況を呑み込もうとしていた。

「憑依だって・・・!?」

 神や仏が依り代に憑くことを憑依というが、本庄まるかというクラスメイトが同じクラスメイトに憑依するほど憑依は身近な存在なのか!?もしまるかがそんな技を取得したとするならまるで神の所業だ。後ずさりどころか平伏したくなる衝動を抑えて俺は彩夏(まるか)と対峙していた。

「それにしても、重い身体ね。特にこの胸。でかけりゃいいってもんじゃないわよ。温室育ちなお嬢様だか何だか知らないけど、本当にムカつく身体つきよね」

 自分の身体じゃない、むしろ嫌いな相手だからか、難癖をつけて倉田さんの胸を揉みし抱いている。まるかの胸がないからって好きに弄っていいものじゃないだろう。倉田さんだって同性も異性も勝手に胸を触られていいもんじゃないはずだ。

「か、返せ!倉田さんの身体だろ!?本庄さんが使っていい理由にならない!」

 憑依だか何だか知らないけど、倉田さんの身体を使っていいのは倉田彩夏だけだ。人権を無視して手荒に扱っていいものじゃ決してない!
 俺は彩夏(まるか)に叫ぶが、彼女は決して耳を傾けようとしなかった。

「どうしようかな~?ねえ、どうしてほしい~?」
「はっ——!?」
「ただで返すわけないでしょう?西永の一番嫌なことしたい。そうすればアンタだって二度と逆らわなくなるでしょう?」

 彩夏(まるか)の口から紡がれる自分勝手な理屈に怒りを覚える。そんな理由のために倉田さんをぞんざいに扱っていい理由になんかならない。

「俺が憎いなら俺に憑依すればいいだろ!?なんで倉田さんなんだよ!?」
「その方が西永が嫌がるかと思ったから。現に嫌がってるでしょう?キャハハ!!」

      人質

 ああ、そうだな。どんな理屈だろうが、理由だろうが、現に俺は彩夏(まるか)の言う通り嫌がっている。倉田さんに憑依されて困っている。手を出しても傷つくのはまるかではなく倉田さんだ。それくらいまるかの術中にはまっている。それはもう、彼女に今後一切勝てないと、反骨精神の根元をぽっきりと折られたような気分だった。
 そうとわかれば、俺はもう彼女に手を出せない。怒らせれば誰かが傷つくくらいなら、今後俺はまるかのペットにでも下僕にでも成り下がろう。
 ごめんなさい・・・俺は彩夏(まるか)に土下座した。

「分かった。俺が悪かった、ごめんなさい!もう二度と逆らわないから倉田さんに身体を返してあげてよ」

 高校生活が今後まるかのペットになろうとも、倉田さんは最後まで俺を助けようとしてくれていた。
 彼女のおかげで俺は救われた。その気持ちがあれば俺は3年間くらい生きていける気がした・・・。

「10万でいいわよ」

 彩夏(まるか)は早速金銭要求を突きつける。
 夢だけ抱いていても生きていけない。資本は行動の源だ。まずは枯渇させていこうというのか、この女‐まるか‐は。

「それはっ・・・!」
「出来ないなら、今すぐ裸になって校内を駆け回っちゃうかな~」
「なに考えてるんだよ!そんなことしたら——!」
「別に私の身体がないもの!やろうと思えば出来ちゃうわよ?いいのかしら?下手したら退学かもしれないわね」

 最後の最後まで倉田さんを人質に取るのか。悪女の風格を見せる彩夏(まるか)に一瞬でも反抗しようとする。でも、少なからず絶対悪は存在するのだ。俺の想像を超える条件を見せつけて優位に立とうとする。倉田さんを人質に取られている以上、俺がまるかの言い分に勝てるはずがないのは明白だった。

「わかった。払うよ。親に借金しても、明日までに用意する。それで許してあげてよ」
「賢明な判断ね。約束だからね」

 彩夏(まるか)と約束をした後、倉田さんはふっと表情を緩めて全身の力が抜けていったのだった。

続きを読む

「あははっ!」

 教室には本庄‐ほんじょう‐まるかの笑い声が木霊していた。彼女率いる女子生徒たちに壁へと押しこまれた俺、西永圭吾‐にしながけいご‐。既に彼女たちは俺を囲みこみ、男子の弱点である逸物を取り出して、滅茶苦茶に蹴り上げていた。

「いてっ、いてっ、いっっっっっっ!!」

 エロ漫画で見るような生易しい足コキレベルじゃない。まるでサッカーのボールキープのように転がしながら足を擦りつけているかと思えば、ドリブルをするように容赦なく足蹴りを喰らわす。
 女子に逸物の扱いなど分かることもなく、力いっぱいに逸物を蹴りあげるので思わず悲鳴を上げてしまう。その声がさらにまるか達を喜ばせた。

「こういうのがいいんでしょう?これ、足コキって言うんでしょう?」
「いいわけあるか!!足コキと全っっっ然、ちがう!!」
「お金じゃ払えないからって精液で払ってもらえるなんて、他の男子から見たら羨ましく思っちゃうんじゃない?」

      近い・・・

 まるかの黒のパンストに包まれた右足が容赦なく亀頭を擦りつけていた。

「ほーら。いつも通り足で扱いてやるわよ」
「あぐあぁぁ!!」

 今までの女子たちの中で唯一優しく扱っているかのような足コキに思わず唸り声を上げてしまった。その声色の違いを察して女子生徒たちはクスクスと俺を見下していた。
 まるかの足の裏がカウパー液で濡れてくる。それを察しているだろう、まるかはさらに激しく足の裏で竿まで扱きあげて濡れたパンストを逸物に擦りつけていった。
 伝線が痛いのに、どこか気持ちいい。蔑まれた視線を浴びながら、恥ずかしくて死にそうになるのに、本能だけはまるかの足の裏で悦んでいる。
 これはもう俺の感情では止められなかった。

「お願いだから。もう・・・めてっ・・・」
「ん~?まんざらでもないような顔して、説得力ないんだよなぁ~」

 まるかのパンストの裏にある素足の温かさを感じつつ、激しく踏まれる刺激が、あ、ああ・・・・・・!
 俺は思わず喘ぎ声を出してしまった。

「うっ、ああっ・・・うああああぁぁ!!」

 ドピュ、ドピュ、ビュルルルル~~!!!

 まるか達に弄られた俺の逸物は、容赦なく精液を噴き出してしまった。
 それを見て女子たちが歓喜の悲鳴をあげる。皆がドン引きし、その視線が俺に向けられているのを感じて死にたくなった。

「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・」
「相変わらずの早漏ね。それにしても出し過ぎ~」

 汚い、臭いとばかりに即効でストッキングを脱いでみんなに見せつけて女子たちはキャッキャッキャッキャと逃げ惑う。まるか達は俺の精神的にも体力的にもダメージを与えてくる。
 こんなことは初めてでもない。まるか達にいじめの標的にされて以降、時々味わう屈辱だ。
 時々というのは今回以外は暴力で解決するという意味だ。
 俺が金を出せなければ、まるか達は先生たちに気付かれないように暴力と精力を根こそぎ削いでいく。既に俺の恥ずかしい姿は写メで収められているせいで、脅迫材料として俺はまるかの言いなりにされているのであった。

「はぁ・・・こんなの二度と履けないからメルカイにでも出してお金に変えといて。jkってだけでなんでも金になるんだから世の中ラクショーよね!」

 丁寧に袋にいれられてラッピングされる。それはものの数分で売り飛ばされるのであった。まるかにとって金を集める方法はいくらでもあると言わんばかりである。元々金持ちの一人娘でありながら貧乏な俺に金をせびるというのだから腹の虫がおさまらない。なんて世の中不条理なんだ。

「ち、ちくしょう・・・まるかの奴、いつも人のことゴミ扱いしやがって!」

 まるかが俺の愚痴を聞いてピクンと肩を震わせる。
 嫌な予感がすると悪寒を覚えた瞬間、まるかから笑みが消え、俺の顔に足の裏が飛んできたのだった。壁に頭を強打して割れそうだった。

「現にゴミじゃない!キャハハハ~~!!」

 ストレスを発散したまるか達が俺の元から放れていった。そして、そのまま教室へ出て行ってしまった。
 むくりと体を起こした後も頭の裏が痛い。
 これはたんこぶが出来ているに違いない。頭を撫で、蹴られた鼻を擦りながら血が出ていないか確認した。

「いっててて・・・あのヤロー・・・」

 強がりなことを言いながらも声は泣き声だった。目には涙が滲んでいて、正直まるかに対して悔しさを覚えていた。
 しかし、俺なんかがまるかに勝てるわけもなく、ただこの怒りをうちに収めるしかない。
 自分の力ではどうしようもないこともある。下手に騒げば俺が悪人扱いになってさらに状況は悪化するように仕向けられるのが関の山だ。
 ただただ、俺はため息を吐くしかなかった。
 そんな俺の元へ——教室に帰ってきた一人のクラスメイトがやってきた。

「どうしたの、その傷っ!誰かにいじめられたの?」
「倉田さん・・・」

 倉田彩夏‐くらたあやな‐は俺を見ると自分のハンカチを取り出した。
 俺に関わろうとしているのだろうか。でも、倉田さんにも迷惑がかかると思って俺は弱音を言えなかった。

「べつになんでもないよ。ちょっと転んだだけで」
「転んだだけでこんなになるわけないでしょう!いいからじっとしてて」

 俺の言い分を聞かず、強引に倉田さんは自分のハンカチを取り出して俺の鼻を拭いてきた。そして、「大丈夫?他にどこか痛くない?」と、優しい言葉をかけてくるのだった。
 やめてくれよ、そんなに優しくされたら泣いてしまいそうだ。

「一緒に保健室いこう。私も付いていってあげるから」

      泣いちゃう!!

 ズボンを拭きながら肩を貸して俺の手を回して立ち上がると、ゆっくり俺の足に合わせて保健室へと向かっていく。
 クラスメイトで特に俺と倉田さんは何の接点もない。会話なんかしたこともなかった。
 むしろ、倉田さんは他の男子にも人気のある女子生徒だ。美人で可愛い、彼女と付き合えたら誰もが『俺の彼女は世界一ぃ!!』と自慢するレベルだ。
 つまり俺が何を言いたいかと言えば、俺なんかと比べ物にならない人物だということだ。
 美女と野獣。提灯に釣鐘。猫に小判。月とすっぽん。
 だから、こうして彼女が俺に付いて保健室へきてくれることが俺には嬉しかった。

「(捨てる神がいれば拾う神もいるな)」
「どうしたの?急に笑って?」
「ううん。なんでもない」

 同じ教室に天使と悪魔がいるかのようだ。
 クラスメイトでありながらどうして対極的な態度を取る生徒がいるのだろう。
 クラスメイト全員が倉田さんみたいな天使のような性格で満たされれば、いじめなんて無くなるに違いないのに・・・・・・。

「・・・・・・・・・」

 俺が顔をあげると、目の前にはトイレから帰ってきたまるか達とすれ違ったところだった。俺の顔を見てまるかが苦虫を噛み潰したような顔を見せていた。

「どうしたの?まるか?」
「ううん。なんでもない」
「そう?」

 他の子にはばれていないだろうけど、間違いなく彼女は俺を見て不快な表情をしていたよな。
 ヤバい。なにがヤバいか分からないけど、とにかく嫌な予感がする。
 先程以上に危機感が背中を駆け巡っていた。ひしひしと感じる警告音に焦りながらも、隣には倉田さんの柔らかい笑みがすぐ傍にある。それだけで俺は生きていけそうだ。

「もう少しで保健室だから。頑張ってね」
「(は~!倉田さんって本当にいい子だな~。マジ天使。この学園で俺に優しくしてくれるのは彼女だけだ。彼女がいてくれればそれでいい・・・)」

 倉田さんの声を聞いていると心の底から甘えたいと思ってしまう。俺は警告音を無視して倉田さんと供に保健室へと向かっていった。

続きを読む

「やだやだぁ。恥ずかしいよぉ!」
「恥ずかしがらなくていいのに。私は貴女なのよ。 別に隠すことないじゃない」

 体育館の裏で同じ肌、同じ形、同じ姿の二人の芽唯沙が、裸になって組んず解ぐれつの様を曝している。

「ちがうっ!あなたは市川くんでしょう!私じゃない!」
「ううん。今の私は八萬芽唯沙。どこが感じるかだって全部分かるんだから」
「私の真似しないで!その声で喋らないで!」
「ひどい。私を否定するだなんて。そんなこというと虐めたくなっちゃうじゃない」
「ひゃぅぅっ!」
「本当に感じやすい、私の性感帯はクリ〇リスっ!」
「言わないでぇ!」

 芽唯沙に迫る偽芽唯沙がその指で芽唯沙のクリ〇リスを引っ掻き回す。ジンジンと肥大化するクリ〇リスが空気に当たり、快感が溢れて身体が敏感に熱くなっていく。

「ひゃああっ!」
「あと、耳も弱いのよね?れる・・・ちゅむちゅぷぅ・・・」
「あっ、あっ、あっ・・・」

      02ab61d3.jpg

「んふふ。濡れてきた。えっちなお汁が溢れてきた。こうしてみると、自分の濡れそぼったおま〇こをじっくり観賞したこともなかったわね。へぇ~、イヤらしい。エッチな匂いが漂ってきた」

 顔を芽唯沙のおま〇こに持って行く偽芽唯沙に、芽唯沙は恥ずかしくて目を開けられなかった。自分の恥ずかしいところを見ているもう一人の自分。誰にも見せたことのない大事な場所を、もう一人の自分が見ている心境に耐えられそうになかったのだ。

 チュク・・・チュク・・・ピチャ・・・クチュ・・・

 偽芽唯沙が指で膣内をかき混ぜる。イヤらしい音が指の動きに合わせて響き渡る。

「んあっ・・やっ!んっ、んぅっ・・・ふわぁ・・・」
「そんな我慢しないで。喘ぎ声を響かせてもいいのに。ここには私しかいないんだから」
「ムリぃ・・・そんなの・・・誰かきちゃう」
「そうなの?んふぅ・・でも、イヤでも声を出させちゃうんだけどね」

 愛液の分泌量の増加と供に膨らむクリ〇リスを指が触れると、指に絡みついた愛液の滑り感を覚える。チュクチュクとした痛々しい刺激と供に、否応なく芽唯沙は嬌声を発した。

「ふぁっ、ふああああんっ!」
「そんなに感じるんだ。私だって普段オナニーでやってる事なのに」
「そ、それとこれとは違うの」
「ああ。手加減はしないもんね。今どんな気持ち?気持ちよかったかしら?・・・じゃあ、もっと責めてあげる」

 積極的にクリ〇リスを責める偽芽唯沙。片方でクリ〇リスを刺激しながら、もう片方で膣口をかき混ぜる。
 ピチャッ、ピチャッ、ピチャッ、ピチャッ!
  芽唯沙のおま〇こから溢れる愛液の音がどんどん大きくなっていく。芽唯沙の感じるところを的確に責めるもう一人の芽唯沙。 その姿は、大輔を虐める時の自分よりもサドの素質を覗かせていた。

「ぺちゃっ・・ぴちゅっ・・・ちゅっ・・ちゅむ・・・」
「あああ・・・やぁ、舐めないでぇ・・・汚いからぁ!」
「ちゅっ、ちゅっ・・・ぴちゃっ・・・ぺちゃっ・・・んっ。なに言ってるの?もっと舐めてもらいたいって顔してるくせに」
「そんな、顔・・・」
「今の自分の顔、凄く蕩けて気持ちよさそうな表情してるのよ。本当は弄られて感じちゃってるんでしょう?Sッ気を見せる表情の裏では本当は誰かに弄られたかったんだって・・私にははっきりわかるのよ」 

 SではなくM気質。芽唯沙はその言葉を否定もせずに聞き入っていた。 

「はぁ・・はぁ・・」
「ねえ、もう快感に身を任せて、私に身を委ねてイっちゃおうよ。自分にイかされるなんてめったにできない経験じゃない。さあ、早く、出しちゃえっ!」
「あっ・・・あああっ・・・!」

  乳房を揉まれ、乳首が擦られ、膣口を責める指の動きが加速する。間違いなく芽唯沙をイかせようとしている動きに、我慢できずに、腰をビクンと浮かせていった。

「イク・・・イクぅ・・・こんなところで、ダメ、いやぁ・・・でるぅ!イ・・・いっくぅぅううううぅぅ!!!!」

 ビュッ!ビュクッ!ビュクビュクッ!ビュッ、ビュッ! 

 激しく身体を痙攣させてつま先だしになる芽唯沙が腰を浮かせ、潮を噴いて愛液を遠くの地面に飛ばしていた。


 
続きを読む

 全ての準備を整えた大輔は復讐の内の一人である八萬芽唯沙を呼び出した。
 普通で呼び出して当然来るわけがないだろう。そこで名前を伏せて、内容をラブレターにすることで、無理なく一人で来させることを企てたのだ。

”突然のお手紙申し訳ございません。僕は貴女のことが大好きです。ずっと貴女のことを見ていました。手紙ではなく、本音で僕の気持ちを貴女に伝えたいので、 放課後一人で体育館裏まで来てくれませんか?できれば誰にもこの内容を伝えないでくれませんか?内気な僕からのお願いです”

 と、まるでショタな後輩が描いたような手紙の内容をすっかり信じきり、うきうき気分で一日を過ごしていた芽唯沙。

「ねぇ、なにかあったの?」
「んんん?なんでもない♪」
「何でもなくないでしょ?絶対何かあったでしょう!言いなさいよ~」
「きゃあ~!」

 律儀にも親友にも口を滑らせることなく、どこにもいない後輩の手紙を信じ切り芽唯沙。もうすぐその期待を裏切る絶望の行為が始まるというのだ。

 
 放課後、一人でやってきた芽衣沙。しかし、 そこにいたのが後輩ではなく、嫌っている大輔の顔を見て表情が曇る。

「あんた、なんでこんなところにいるの?」
「それはこっちの台詞だよ。なんでこんな場所にやってくるの?」
「うっさいわね。十数える間にどっか消えてくんない?じゅう・・・きゅう・・・」

 会話を拒む様に勝手に数を数え始める。しかし、大輔は慌てることなく芽唯沙に言い放つ。

「ここには誰も来ないよ」
「はー・・・・・・・はっ?」 
「だって、その手紙を書いたのは俺だから」
「はあぁ!!?」

 大輔なんかに騙されたことに芽唯沙が発狂していた。同じ内容の手紙を見せて嘘ではないことを証明する。

「期待に胸膨らませて残念だったね。でもよかったね、二人にこのことを話をしていたら、『大輔なんかに騙された』って馬鹿にされてたと思うよ」

 大輔に主導権を取られる芽唯沙。騙され、一日抱いていた期待感を裏切られ、感情を逆なでされて黙っていられるはずがかった。すぐに眉間に皺を作り、指を鳴らして大輔にジリジリを迫り始める。

「どういうつもりかわかんないけど、私を怒らせたいの?上等じゃない。もう二度とバカなことはやらせないようにその身体にきついお仕置きを叩き込んでやる」
「冗談。今まで大人しくしていたけど、今度はこっちの番だ」
「どういう意味?・・・きゃっ!」

      4af61a01.jpg

 大輔が逆に詰め寄り、芽唯沙を壁に押し付ける。
 ドンッ!と壁を殴る音と供に芽唯沙を追い込んだ。 

「逃げんなよ。今までの借りを返すためにお前ひとり呼んだんだからよ」
「それって・・・」

 顔を真っ赤にして、まるで観念した様に項垂れる。芽唯沙が今までより幼く見えたが、大輔には既にその想いは届かなかった。

「うぐぅっ!?」

 芽唯沙の顔に『粘土』を押し付けられる。ぐりぐりと強く『粘土』を顔に押し込められ、顔の型を取られてしまう。しばらくして、芽唯沙の顔から『粘土』を離す。息が出来ずに苦しかったのか、二、三回と堰き込んだ後に大声を出して大輔を非難した。

「なにするのよ!」
「まあ、見てなって。もうすぐ変わってくるぞ」
「だから、なにが・・・えっ?」

 芽唯沙がその『粘土』の変化を見るのは初めてのことだ。
 先程までただの粘土色だったものが、次第に肌色に変わりながら、その形を変えていった。インプットされた姿に自ら形を変えていきながら、足りない裳のは自ら補い姿を完成させていく。

 今まで見えなかった繊細な繊維。青色の繊維が無数生えたそれは、芽唯沙の言葉をなくしていく。

「(それって・・・髪の毛?)」

 長い部分についた丸い部分に生えた無数の繊維。それはまるで女性の髪の毛のように見えた。
 ロングヘア―の髪の毛。それは、ツインテールをしていなかったらちょうど芽唯沙と同じほどの長さと本数はあるであろう。
 そう、その姿は――『粘土』が自然に形作っているソレは、まるで女性の肉体を連想させるものだった。
 色だけではない。姿や形はまるで青春時代を過ごす芽唯沙と同じほどの身長に見え、腕や足、指の本数は人間と同じ。そして、 その中央には萎んだ胸と、女性器が形作られていた。

「(まさか。これって・・・わたしじゃない・・・?)」

 どことなくのぞく輪郭や肌色が芽唯沙を驚愕させる。顔がつぶれているが、大輔がもっていた『粘土』はいつの間にか芽唯沙そっくりの皮になっていた。


続きを読む

「いたいっ」

      84199e02.jpg

 体育館裏に呼び出された市川大輔―いちかわだいすけ―は、待っていた者たちに歓迎の一発を喰らっていた。

「キャハハハ!転がったよ、こいつ。マジ達磨みたい」

 クラスメイトであるにも関わらず、大輔が受ける仕打ちは決して同等の立場ではない。同じ年、同じクラスメイトでありながら、人と人という対応では決してない。

「つうかさ、なんで学校きてんの?菌が移るって言ってるよね?」

 大輔は決してインフルエンザや風邪など引いていない。健康そのもの、至って普通の男子生徒。
 学校に来て当然の権利を、女子生徒は否定する。

「俺はばい菌なんかじゃない――」
「菌だって言ってるの、『大〇菌』。わかんない? 学校に流行って見なバカになったら困るの」
「そんなぁ・・・」
「臭い!近づくな!『大〇菌』が移るでしょ!」 
「グエェ・・・」

 いじめる側といじめられる側。目に見えないモノすら使い、それを武器に相手を虐める道具にする。
 空気感染。パンデミック。

「だから、おまえは家に引き籠ってろよ!」
「キャハハハハ!!」
「くそっ、くそっ」

 ただ、見た目がキモいだけで女子たちの人気は皆無。男子からは犬猿され、一人で過ごす学園生活は邪魔者を排除するかのようにクラス全体が団結する。そこはまるで小さな社会の縮図のようで、対応できない者たちの居場所を否応なしに消し去っていく。

「俺だって、好きでこんな顔になったわけじゃないのに・・・好きで学校に来ているわけじゃないのに・・・」
「だったら学校来なきゃいいじゃん?」
「イカ臭い匂いが充満している部屋の中でどうぞご自由に生きて下さい」
「じゃあ、さようなら」
「こいつら・・・」

 人として外見が汚れているのと、人として内面が汚れているのと、同罪ではないのだろうか・・・。
 大輔は三人のクラスメイト、千葉咲夜―ちばさくや―、八萬芽唯沙―はちまめいさ―、柏崎百子―かしわざきももこ―を心の底から許せなかった。


 
続きを読む

「みなさん、静かにしてください!!」

 いまは授業中。皆が静かにノートをとって黒板に書かれた重要なところを映さなければいけないときだ。 
 テストに影響あるかもしれない、人生に影響あるかもしれない。
 それなのに、うちのクラスでノートをとっているのは、クラスの半数しかいない。
 もっと厳密にいえば、女子だけだ。
 男子でノートをとっている人は皆無だ。そして、授業であるにも関わらず、休み時間のようにゲーム機で遊んでいたり、席を離れておしゃべりしたりしている男子たち。まわりにちょっかいをして授業の妨げまでしてくる始末だ。
 手におえない。

「先生を困らせないで!」

 学級崩壊というのだろうか。宮内紀子―みやうちのりこ―先生の声も無情にもかき消される。
 
「・・・(イライラ)」

 授業なんか好きじゃない。勉強なんて学生にとって億劫だ。私、倉田紗南―くらたさな―もみんなと同じだ。
 それでも、先生の授業を妨害されることに対して面白くないし、授業の、眠気を誘う静かな空間と窓から入ってくる風の心地よさが好きな私にとって、男子たちの声が五月蠅くて仕方ない。
 机を叩いて、席を立ちあがると、私は大声で叫んだ。

「ちょっと男子たち、五月蠅いよ!もうちょっと静かにできなさいの!?」
「うわ、先生の仲間してやんの」
「正義気取りかよ、うぜえ」
「あんた達が悪ガキなだけでしょう!」

 男子からの非難の視線を跳ね除け、男子をまとめる人物に問い詰める。
 一番後ろの席であるにもかかわらず、その席に座っている生徒はいなかった。さらに後ろにあるロッカーに腰かけて静かに読書して、耳にはイヤホンをつけて音を遮り、周囲のことなどお構いなしと遮断している男子のリーダーで最悪の、水戸陽斗―みとはると―だった。
 イヤホンを外して私は男子たちの暴走を止めるように訴えた。

「あんた、男子たちのまとめ役でしょう!この状況をなんとかしなさいよ!」
「しらない。あいつらが勝手にやってることだろ?」
「勝手にやるわけないでしょう!あんたが入れ知恵したに決まってる!」
「入れ知恵?俺が小耳にはさんだのは、『宮内先生って、春日先生とできてる』って話をしただけだ。そしたら、『じゃあ、愛を深めてあげないと』って躍起になったんだ」
「はぁ?!」

 途端に扉があき、隣のクラスで授業を受け持っていた春日友城―かすがゆうき―先生がやってきた。

「おまえたち、授業中だぞ!静かにしないか!」
「おっ!本当にやってきたぞ、婚約者!」
「先生!甘えた声で『助けて』って胸に飛び込むチャンスだ!」
「早くやれよ!俺たちがお膳立てしてやってるんだぞ!」
「で、できるわけないでしょう!」
「大人をからかうんじゃない!」
「なに、できないの?それじゃあつまんねえだろ?」
「やっちゃう?」
「やろうぜ?」
「イイね!二人まとめてヤっちゃおうぜ!」
「なっ!」

 水鉄砲を出して先生たちめがけて襲い掛かる。たまらない宮内先生が教室から飛び出していく。

「う・・うぇぇぇん・・・びしょ濡れ・・・」
「先生、こっちに」
『ヤーイ!ヤーイ!ざまぁみろー!』

 男子にとって、大人の恋愛はからかい甲斐のある材料でしかないのだ。泣いて逃げる宮内先生を見て、私は悲しくなった。

「やめさせなさいよ!」
「知るかよ」 
「あんたが火付け役でしょう?どうしてそんなに無関係に装えるの?」
「実際無関係だろ?俺には関係ない」

      82fa53b9.jpg

 自分が一切手を付けたわけじゃない。自分の言葉でまわりが反応し、行動を犯したことを予想できたとしても、実行犯が別にいるのなら、 そ の 事 件 は 自 分 が 犯 し た こ と じ ゃ な い 。 

「そんなの・・ひどすぎる!あなたは、なんとも思わないの?自分が悪いと思わないの!?」 
「あいつらに聞いてみろよ。先生を称えてるんだぜ?わざわざ自分が悪役にまわって、大人事情の愛を深めるなんて早々できるもんじゃないだろ?宮内先生だって、昼が寒い授業だった分だけ、夜に熱く燃え上がるんじゃねえか?くくく・・・」
「最っ低!」
「見方を変えれば正当性ある行為さ。お前も、自分がすべて正しいと思うなよ。いずれ自分の身体が傷つくぞ」
「余計なおせっかいよ!」

 私は怒って自分の席に戻っていった。私のことに忠告しようなんて何考えてるのか本当にわからない。
 水戸陽斗・・・私のとって最低最悪のクラスメイト。
 こいつをどうにかしなければ、授業が進むわけがない。このクラスがまともになれるはずもない。
 そのためには陽斗をどうにかしなければいけない。
 無関係だと自称している陽斗を、関係有にしなければならない。
 先生を泣かせていることを自覚させなければならない。
 そんな・・・こと・・・を思いながら・・・

「・・・なによ・・・。私にできることはなにもないじゃない・・・」

 私はこの状況に対して無害。無関係。
 部外者であり、首を突っ込んだところで泣いている先生に『お願いですから授業を進めてください』と、首を絞めるような行為を犯すことしかできない。
 先生をさらに苦しめてしまう。そんなの、私の胸も苦しくなる。
 私が大人だったら・・・私が、男子たちに言って聞かせられるような立派な大人になれたら、よかったのに・・・。

「無力だ・・・わたしは・・・助けられない・・・」

 先生を助けたくても、私は正義の使者じゃない。
 男子たちをやっつける力もない。男子たちを丸め込める力もない。
 だから学級崩壊なんだ。誰も崩壊を止めることはできないんだから。

「おい、雪合戦しようぜ!」
「石を詰めたら反則負けだからな!」

 廊下に飛び出し、校庭へ向かう男子たちを見送りながら、自習になった教室で私は静かに肩を震わしていた。


 
続きを読む

↑このページのトップヘ