純粋とは矛盾色-Necronomicon rule book-

夢と希望をお届けする『エムシー販売店』経営者が描く腐敗の物語。 皆さまの秘めた『グレイヴ』が目覚めますことを心待ちにしております。

カテゴリ:グノーグレイヴ『悪堕ち』 > 錠剤『躍動の錬金生物』

「ンっ・・・」

 失神から目を覚ました私に、お姉はずっと寄り添っていた。長く寝ていたのか、それともすぐ起きたのか、時刻は何時で、今日は何日?時間の感覚が麻痺していて頭が痛かった。

「おはよう、楓子」

 私の記憶にまた新たな記憶が植え付けられる。お姉とレズ行為をしたという記念日だ。そして、新しいことを覚えると同時に、昔の記憶を一つ忘れていた。
 大切なことだったと思うのに、この身体には不要な情報を選んで捨てる。思い出したくて必死に躍起になろうとしても、既にその記憶は霞がかってしまい、もう二度と思い出すことはできなかった。

「私、お姉と・・・」

 古い記憶なんて覚えていても大したことがないものだ。実際私の記憶の話なんてどうでもよかった。今はお姉とレズ行為を及んだことで頭がいっぱいだった。
 姉妹で味わう性行為が強く印象に残って恥ずかしさでいっぱいだった。でも、背徳感を味わった私はアクメして失神してしまうほど感じてしまったのだ。
 それくらい、お姉とのレズ行為は気持ち良かったのが私の本音だった。

      レズ

「私っておかしいよね・・・女の子同士で、姉妹なのに・・・こんな行為を犯しちゃうなんて・・・」
「いいよ。私も楓子と結ばれたかったから」
「お姉・・・あっ・・・」

 お姉はそのまま私のあごを持ち、フレンチな口づけをする。蕩けた表情を浮かべた私はそのまま受け入れていた。
 すると、お姉が態度を変えて再び舌を入れてきた。私の小さな口の中を隅々まで舐め回し、じっとり、ねっとりと舌に絡みついてきた。お姉のキス顔を細目で見ながら、なんてキスが上手なんだと思っていた。

「クチュクチュ・・・」

 いやらしい音を立てながらディープなキスを続けている。私もおずおずと小さい舌をお姉の唇に這わせていく。お互いが舌を出し、今度は外で交わり合う。二人の唾液が糸を引いて滴り落ちていった。
 すでに私はかなり興奮している。姉妹で交わす熱い口づけに顔が熱くてたまらなかった。運動以上に鼓動も早く、なにもしていないのに股間が再燃してウズウズしてきたかもしれない。
 お姉はそのまま首筋から勃起している乳首へ舌を向かっていった。

「はぁあん!!」

 全身に雷を受けたように私は身体をのけぞり取り乱した。私の胸を気に入ったのか、そのまま乳首を嘗め回していく。コロコロと舌先で突起を転がされたり、甘噛みされたり、もう片方は指で摘まれたりして勃起した乳首を弄ばれる。
 お姉は同時に乳房全体を揉みしだいて、私の胸を弄ぶ。

「あっ、ああん・・・あんっ・・・はあっ!す、すごい気持ちいい。胸だけでイッちゃいそうだよ」

 お姉が私の胸を吸って、揉んで、弄んでいた。お姉の愛撫で私の秘部は愛汁でぐちょぐちょになっていた。 

「楓子のおっぱいって小さいのに敏感ね。気持ちよかったでしょ?」
「・・・うんっ!」
「じゃあ、今度はお姉ちゃんも気持ちよくして欲しいな・・・・・・」

 お姉は私の顔に自分の乳房を押しつけるようにして抱き寄せた。

「・・・ちろ、ちろ、れる・・・ちゅぱ、ちゅぱ」

 私はお姉がしたことを真似るように、耳から首筋、喉元へと唇、舌を這わせていった。

「あぁ・・・うんっ。上手・・・・・・気持ちいいわ」

 露出した腹部に舐めている私の頭に手を添えて、目を細めて快感の表情を浮かべている。

「お姉のおっぱいも、吸ってあげる・・・」

 今度はお姉の豊かなお椀型の乳房が、私の手によってゆっくりとその形を変えていく。

「お姉のおっぱい、おっきい・・・・・・」

 感嘆の息を吐いて、その胸に顔をうずめ、感触を味わい、手のひらで心ゆくまで弄んだ。

「んっ・・・んんんっ・・・んぅっ!」

 ビクンと私の愛撫でお姉は鼻にかかったセクシ-な声を殺していた。私よりも上品で大人の声を響かせてベッドの上でお互いの身体は組んず縺れていた。
 私の愛撫でお姉の秘部も愛汁がたくさん溢れていた。お互いとろとろになった秘部から愛液を滴り零し、個性的な体臭が鼻をついていた。私もお姉も、お互いのにおいを嗅いだことで下半身に性的刺激を覚おり、どこからともなく自然に指がお互いの股間をまさぐり始めた。

「あっ・・・!」
「んっ・・・」

 両足をがに股に開き、少し腰を浮かせて淫唇をこじ開け、肉芽を弄ぶ。お姉に弄られる女性器がとても気持ちがよかった。お姉も私と同じような表情を浮かべて一心に私の秘部を掻き出していた。
 お姉の人差し指が膣穴に出し入れするたび、透明な液が溢れ出る。姉妹で淫れる姿に、私も興奮を抑えきれなくなった。

「シックスナインしましょう」

 お姉の提案で、私は上に乗る。お姉は鼻先を私の股間を持っていった。同じように私も顔をお姉の股間に持って行き、鼻先で濡れている淫唇のにおいを嗅いで性的刺激を高めていた。

「一緒にイきましょう」

 お姉は私の秘部を激しく刺激し始めた。舐めたり、指を出し入れしたりして快感を強めていった。

「あぅ・・・んっ・・・すご・・・熱い・・・」
「ふにゃぁ!もっと、激しくして!」
「私のも弄ってくれたらね」
「いやぁぁぁん!お姉ったらずるい・・・」

 手が疎かになる私に釘を刺しながら、お互いが秘部を弄っていた。とめどなく熱い愛液が流れ出て、ぴちゃぴちゃと音をたてていく。全裸で、お互いの股間を貪り合っている姉妹――こんな愛情が他にあるだろうか。

「んふっ・・・くう、うぅん・・・・・・楓子。もっと、奥まで掻き回して」
「いやん・・・お姉・・・あんっ・・・はあっ・・・・・・こ、こう?」

 言われたように濡れた指をさらに奥まで挿入していく。温かく湿った膣内の肉壁が私の爪で引っ掻いてしまいそうで心配していたことを、むしろお姉は引っ掻いてしまったらその痛みが快感と捉えられるほど淫らに喘ぎまくっていた。

「ああんっ!いい。このまま出し入れしていって!私もしてあげるから!」
「あんっ!あんっ!お姉ぇ!」

 姉妹の甲高い喘ぎ声が部屋に木霊した。ぴちゃぴちゃ、ぴちゃぴちゃと愛汁の音が絶え間なく響かせていた。

「あっ、ああ・・・いい・・・・・・はっ、ふうぅん・・・・・・イク・・・イキそう・・・」
「くふうぅん。私も・・・・・・お姉に・・・クリ、いじられてぇ!・・・・・・いきそう、なの・・・・・・んああっ!」
「楓子。あっ、あっ、一緒にぃ・・・いこ・・・イ、イク・・・・・・イクぅ!」
「んんんぅ、あ、あ、あん・・・あああっ!!んんんぅ!!」
「あああああっ――――!」
「んんんんんっ――――!」

 私もお姉も同時に全身をビクッと強ばらせ、狂ったように叫び崩れ落ちた。

「いやぁあああん・・・でちゃう!」
「ああぁぁぁ!・・・・・・恥ずかしい・・・」

 アクメに達したお互いの秘部からはビクビクと激しく痙攣し、とめどなく愛液が滴り落ちている。私はお姉の隣で息を弾ませていた。
 アクメの余韻で不規則に小さく痙攣を繰り返しながら、股間は愛液でぐっしょり濡れ、乳首は痛いほど勃起したままだった。
 だけど、私もお姉もしばらくの間お互いをしっかりと抱き締め合っていた。

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 俺は時間が気になって時計を見ると、朝までに時間はまだありそうだった。イったばかりの身体は快感の火照りが続き、いい感じにまだ濡れている。
 イったばかりでほのかに赤く染まった肌を曝している小鳥遊の表情が魅惑的に微笑みを浮かべていた。

「・・・もう一回イってもいいよな。今は俺のカラダだしな」

 そうだ。記憶を読みこんで小鳥遊楓子になりきってオナニーしてみても良いな。
 彼女は普段どんな風にオナニーをするんだろう。マスコミも注目するスポーツ選手が定期的にオナニーする描写を俺はその目に宿したい。
 それだけじゃない。彼女になりすまして生活もしてみたい。女子バスケ部で他の子と絡んでレズ行為を励んでもいいじゃないか。
 俺がいま小鳥遊楓子である――この現象がいつまで続くのかわからない。でも、元の身体に戻るまでは俺が小鳥遊楓子だ!
 女子高生の生活が始まることを期待しながら、俺は再び妄想に耽ようとしていた――。

「楓子っ」

 びくっと、俺は名前を呼ばれたことに驚いてしまった。
 扉を向くと、そこには見知らぬ女性が立っていた。楓子よりも少し年齢は上だろうか、大人びた顔立ちで下着姿で現れたその女性は、ひっそりとオナニーしている楓子(俺)の姿を目撃して恍惚とした表情を浮かべていたのだ。自らもショーツの上からマンスジを擦っており、うっすらとシミが付着しているのが見て取れた。
 見られた・・・自慰行為を誰かに見られるのは誰でもばつが悪い。俺にとっては関係ないが、知られた以上は誤魔化すなり何とかしなければならないといけない。そのためにわざわざ会話をしなければいけない以上はこいつが誰なのかをしっかりと確認する必要があった。

「な、なんだ・・・お前は――」

 しまった――今のは軽率だった。よくよく考えれば記憶を読むという方法があった。分からない状態で話をすれば変に相手に疑惑を持たれかねない。小鳥遊楓子として成りすましていた方がこちらとしては都合が良いからだ。いまの発言で不審を持たれなければいいと思っていたのだが――彼女は楓子(俺)の言葉に不意に笑みを浮かべていた。

「わかんないかな?・・・わかんないの?・・・・・・くす・・・」

 その不敵な歪んだ笑みは、楓子に語りかけているものではない――俺に語りかけているものだった。

「そう。記憶をまだ引き継いでないのね。意識がない状態で『錠剤』を呑ませたから、記憶が混濁しているのかもしれないわね。本当は楓子に成り代わっていると思ったんだけど、それだけ成分が強かったのかもしれないな。くすくす・・・」

 なりすましているのではなく、成り代わっていることが目的だったと、彼女は俺に言う。
 俺の存在を肯定しながら、消失をも望んでいる――まるでそれは、ウイルスに犯されたワクチンのように、犯された身体を正常に戻すことだけに生まれているようなものだった。

「なにを言っているんだ・・・?」

 俺はわけが分からない。彼女は俺に何も言わない。まるで、自分で調べろと言うようだ。
 それなら俺は楓子の記憶を初めてのぞいてみることにした。憑依ならそれも可能のはずだ。

(私は小鳥遊楓子。女子バスケ部に所属している高校一年生。身長176cm 体重48kgのSF。スリーサイズは81-57-83よ。誕生日は――)

 楓子の記憶と供にプライベートが頭の中に流れ込んでくる。

(彼女は小鳥遊鈴子、二つ放れた私のお姉よ――)

 やはり姉か。鈴子に関する情報を読み解いていく。昨日話したテレビの内容、一週間前の喧嘩、楽しいこと、悲しいこと、嬉しいこと――記憶を遡り、鈴子と遊んだときの記憶も知っていく。これだけ知れば普段鈴子とする日常会話を楓子になりきることができそうだった。

「いやだなお姉ったら。なにを言っているか訳が分かんないよ」

 口調、仕草も途端に楓子のものと同じになる。それはそうよ。だってこの身体は――私が小鳥遊楓子だもの!

「ちょっと怖いんだけど。『錠剤』だかなんだか言ってたけど、私の寝ている時になにかしたんじゃないでしょうね?」

 俺の成りすましの成果を見て、鈴子はさらに笑みを釣り上げていた。――唇が裂けそうなくらいその笑みは頬を釣り上げて歪んでいた。

「妹の・・・楓子の身体は気持ちよかった?――立野紘‐たてのひろし‐くん」

 その瞬間、楓子(俺)の心臓が激しく脈動した。鈴子は全てをお見通しとばかりに、俺の成りすましに動じることなく俺に話しかけてきていた。

「いいえ、正確にはちょっと違うな。あなたは立野くんの成分を含んだ『錠剤』から生まれた別人格。私が発注させて作ってもらった『錬金生物‐ホルンクルス‐』よ」

 彼女の語る真実は俺が笑って誤魔化せる範疇を越えていた。成りすましが通用する事態ではない。それどころか俺は立野紘でもなければ、偽物だったなんて――そんなことを急に言われて、信じれるわけがない。小鳥遊鈴子に作られた『ホルンクルス』だなんて――

「う、ウソだああああ!!!でたらめを言わないで!!!」

 俺は叫んでしまった。夜で親が寝ているかもしれないのに、その恐怖に耐えようと必死になって躍起になっていた。『錠剤』の成分でしかない俺が小鳥遊楓子の身体を動かしているという――それじゃあ、まるで俺は――

「本当なのに・・・嘘じゃないのに・・・。まあ、いいわ」
「いいわけないじゃない!えっ・・・あっ!」

 いつまで俺は楓子の口調を真似ているのか、我を忘れて叫んだ声も、楓子の口調から戻ることはなかった。憑依のように、好き勝手に記憶を読みこんで成りすましていくものではなく、記憶を読みこんだら俺はもう立野紘に戻ることはできなくなっていた。

「ほら、始まった。これからあなたはどんどん楓子になっていくのよ。私の可愛い妹に」

      暗躍の姉

 記憶を読んだら戻ることは出来ない片道切符。立野紘は消滅して小鳥遊楓子として成り代わってしまう――『錬金生物(オレ)』。
 お姉はまさにそれを望んでいるように、楓子(俺)の身体に覆い被さってきた。

「いやあ!やめて、お姉ちゃん!」
「大丈夫。かわいい、あなたは私の妹だから・・・チュッ」
「やっ・・・・・・やだっ・・・!お姉ちゃん・・・」

 半分涙声になっている楓子(俺)を放そうとしない。むしろ、解放するようにお姉は、楓子の髪を撫で下ろしながら、強引に唇を重ねて舌を差し込んでくる。

「ちゅっ・・・ちゅっ・・・ちゅぶ・・・れる、れる・・・はあぁ・・・」
「ン・・・ンぅ・・・ぁっ・・・ちゅぶ・・・れろ、れる・・・んんぅ・・・」

 暴れる楓子(俺)をベッドに押さえつけて優しくキスを繰り返す。嫌がっているのは俺で、お姉は愛情を持って接してくるのがキスから伝わってくる。心を緩めてしまえば、簡単にキスを受け入れてしまいそうで、本当ならいつ蕩けてしまってもおかしくないキスを、本心に逆らって姉を突っぱねようとする。

「どうしてお姉ちゃんの言うことが聞けないの?」

 何度もキスをしても楓子(俺)からキスを返そうとしないことにじれったさを感じたお姉は、次は曝された状態だった胸をほおばり始めた。

「あっ・・・いやん!」

 お姉の顔を押しのけようとする。だが、お姉はその行為を続けていく。
 お姉のはじめて見る相手を求める顔。姉妹ではなく、女性としての表情で自分の胸を啜り舐めていく。まるで異性を求める感情を妹に向けて責め立ててくる。
 レズ行為で近親相姦だ――!
 そう思うと立野紘だったら異常に興奮してくるはずだ。なのに――。

「いやあぁぁぁ!!!やめて、おねぇ!!」

 優しかったお姉が怖かったのか、姉に性感を責められるのが恥ずかしいのか、色々な感情が混濁して、楓子として俺は完全に泣き出してしまった。

「ちゅぱちゅぷ・・・・・・レロレロ、くちゅ・・・怖くないよ。さっき自分がしたように気持ちよくなっていいから。お姉ちゃんの手が痛かったら、なんでも言っていいから・・・」

 しかし、お姉のその行為は止むことはない。次第に感じてきたのか、楓子(俺)は半分諦めにも似た感情が支配し、お姉の行為を受け入れるだけになると、だんだんと無口になっていった。

「・・・んっ・・・んんぅ・・・うん。はぁ・・・・・・」

 一度イったせいで感度は高く、再びおま〇こは濡れてきていた。 具合を見てお姉の指が楓子(俺)の膣内に侵入して愛液が描き出していった。
 ピチャピチャピチャと、染み出てくるイヤらしい音を響かせて、楓子(俺)の感じるところを同性の感性から察しており、自分でやるよりも一段と気持ちよく責め立てていた。

「あぁん!いいっ!いいよぉ~お姉ぇ!」
「いつでもイっていいのよ」

 楓子(俺)はいつしかお姉の与える刺激に酔い知れ、身体をくの字に曲げながら快感に溺れていた。自分で弄るそれとは違い、他人に責められているせいで自制することもない。ひたすら突きあがっていく快感の連鎖が強さを増して、再び絶頂へと昇らされていく。

「あぁぁ・・・楓子のおま〇こったら、お姉ちゃんの指を咥えて放さない・・・・・・イキそう?イキそうなのね?・・・イって。イけえ!お姉ちゃんの指で、おま〇こびしょびしょにイっちゃえ!」
「ああん!イク!イクぅ!あっ、あっ、あっ、あっ・・・だめ、い、イクウううぅぅぅーーーー!!!」

 プシャアァァーー!ビュッ!ビュッ!ビュッ!

「・・・・・・・・・ハァ・・・」

 おま〇こから勢いよく飛び出した潮噴きでお姉の手が愛液塗れになる。
 絶頂した私の記憶が、今までで一番すごい快感だったと読み込んでしまった。自分一人では辿り着けない境地に達してしまった快楽に、私はまた一つずつ、かつて男性だった記憶を失ってしまった。




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      戦闘民族が混じってる!?

 これから少しの時間、私と妹の話をしたいと思います。

 私は小鳥遊鈴子‐たかなしすずこ‐。楓子‐ふうこ‐の姉でチアリーダーをやっています。
 楓子はうちの学校の女子バスケ部に所属していて、今年の新入部員が入った女子バスケ部は県大会を優勝して全国大会に出場してしまいました。その輝かしい功績は讃えられるべきで、多くの取材人・マスコミ関係者が校内でも多く出入りするようになりました。
 特に全国大会に出場した立役者が全員一年生と言う話題性があり、その中に私の妹も居ることは姉としても誇りだと思っています。
 でも、輝かしい才能は時に妬みや僻みを生むもので、それを面白く思わない人だって当然いるのです。

「楓子。待って」

 練習前に自主練に行こうとする楓子に声をかけます。

「なに?」
「お姉ちゃんね。楓子が頑張っているってことは良く知ってるよ。・・・でも、最近調子に乗ってない?」
「ハア?」
「先輩たちもバスケが好きで辛い練習を頑張ってきたんだよ。楓子の発言はもう少し謙虚になった方がいいと私は思う。いつ誰が聞いてるか分からないよ」

 私は先週、楓子を取り上げた雑誌の内容を読んでしまった。楓子は硬派な実力階級主義で才能がない人はどれだけ好きでも、否定するようなことを言っていた――。

『1%の才能しか持たない人が99%の努力を持ってやっても、99%の才能を持っている人の方が勝つに決まってるでしょう?99%の努力をするなんて誰もがやって当たり前の話でしょう?器が違うってわかんないかな?』

 部活をしているなら選手として選ばれて、試合に出て結果を残すことができなければ意味がないと、部活において日和見主義派を全否定する意見を飛ばして物議になった。それからうちには脅迫文が送られるようになっていた。

『調子に乗るな』
『ブス』
『死ね!』
『家庭崩壊させてやんよ』
『才能の無駄遣い』

 楓子に対する侮蔑を並べる単語を送りつけられていることを楓子はまだ知らない。

「昔はそんなんじゃなかったよね?楓子だってバスケが楽しくて続けられたでしょ?才能は後から付いてくるものだし、楓子が選ばれたわけじゃなくて、みんなが気付いていないだけなのよ。だから、もう少し謙虚でいて――」
「あーもう、うっさい!!!」

      5番・・・

 私の話に楓子がキレた。

「私は誰よりも厳しいポジションを勝ち取ってきたわ。外野にとやかく言われる筋合いはないわ」

 楓子はSF。最も運動量が多く、最も機敏で大胆さを求められる花形と言われるポジションだ。点を取る場面が最も多く、リバウンドやポストプレー、カットインなど、ゴール下での活躍が必須なうえ、試合を沸かせるためのパフォーマンスすら要求される場所だからです。3PなどのSGのような働きも兼ね備えている性質があって、漫画を見て憧れて入部した生徒に対して残酷なほどの厳しい現実を叩きこんで篩に落とす様な場所です。
 そのうえで生き残った者が最後にSFのポジションを勝ち取るために戦う。既にその場に甘えや相手に対する同情などありません。
 勝った者が強く、負けた者が弱い実力主義の世界。相手に対する非情の精神が楓子に植え付けられていた。

「お姉‐ねえ‐みたいな優しさなら応援なんていらないわ。だって私は絶対に勝つから。勝つことが当たり前なの!私たちチームは学校のために勝たなければならないんだもの」
「そんな重荷を背負わなくても良い。お姉ちゃんは楓子が一生懸命やってる姿をいつまでも応援しているから。辛かったりしたら休んでいいのよ。少し息を抜いて、助けを求めてくれたら、お姉ちゃんはすぐに楓子のために駆け付けてあげるから」
「わかんないかな?誰も私の代わりは務まらない。私に勝てるのは私だけよ」
「楓子・・・」

「いってきます」と、楓子は玄関を飛び出して行ってしまう。この子の中で私なんてどうでもいいのだ。
 昔は楓子の後ろで応援しながら一緒に走ったころを思い出す。チアの格好して応援する私を恥ずかしがって逃げるようにスピードをあげる楓子を追いかけるのが楽しかった。
 でも、既に楓子の目は私を見てはいなかった。高校に入って大好きなバスケは目標ではなく目的になってしまった。連戦連勝して狂喜乱舞する学園の生徒と先生の裏で、姉妹の絆は完全に崩壊してしまっていた。
 意思疎通はそこにはない。それでも私は楓子を見守りたい。姉の活躍をすぐ近くで応援したい。私たちは姉妹なんだからそんなこと当然でしょう。
 一方的な愛だと思う。それはとても悲しいことだと最近特に涙脆くなっていた。妹のすぐ近くに危険が迫っていると思っていても、楓子本人は自分で対応するつもりなのだろう。なにかあったらどうしようと、私は一人悩み続けることしかできなかった。
 私の意見を聞いてくれて、微笑んでくれていた時は素直だったあの子が変わってしまった。私にはどうしたらいいのか分からなくなってしまっていた。妹のために悩み、苦しみ、涙し、それでも守りたいと思う私――この気持ちに嘘はなかった。

「そうか・・・私。楓子のことが好きだったんだ・・・」

 妹として、人として・・・一生懸命頑張る楓子に惚れていたんだ。
 嫌われてもいい。うざがられてもいい。唯一の妹である楓子と心まで放れることが怖かったんだ。
 この気持ちを好きと――異性に抱く感情と同じ気持ちを私は肉親に持ってしまった。妹に。同性に。
 それは、悪いことなのでしょうか?姉として間違ってますか?
 妹を守りたい・・・外部の敵から守る方法がありますか?あるのでしたら、是非私に教えてください――


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