純粋とは矛盾色-Necronomicon rule book-

夢と希望をお届けする『エムシー販売店』経営者が描く腐敗の物語。 皆さまの秘めた『グレイヴ』が目覚めますことを心待ちにしております。

カテゴリ:グノーグレイヴ『スライム・寄生』 > 柔軟剤『ろーりこん‼』

      もり…

「なにするのよ!?」

 ぷつりと頭の奥でなにかが弾き切れた衝動で、裕次郎は千秋をベッドに押し倒ていた。

「はぁっはぁっはぁっ、言わせておけば、もう我慢できない」

 息を荒げ、目が血走り、自制が外れた裕次郎は千秋に襲い掛かる。運動着の裾を力任せにあげ、細いお腹まわりをその目に覗かせる。

「いやあ!きみって本当に屑ね!」
「千秋ちゃんが好きだったのに、千秋ちゃんが悪いんだ!」
「やっぱりそうじゃない!私たちのファンはこういうことしたかったんでしょう?普通じゃない!」

 彼女が目の前で変わっていくことに耐えられず、必死の抵抗を見せ、ファンとしての意思表示だと自己正当化して暴走を繰り返す。
 大好きな千秋を犯してでも、変わらないでいてほしかったというささやかな願いだ。昔のように環境が変わらないでいてほしいという、現実逃避。

「あっ!なにするの、やめて・・・っ」
「ふ、ふへへ・・・こ、これが千秋ちゃんの、オマ〇コ・・・ここにチ〇コ入れたら気持ちいいんだろうな。オナニーなんかよりもずっと。も、もう我慢できないよ」
「いや、いやああっ!」

 恍惚とした表情で千秋のブルマーをずらし、小さな膣穴にいきり立った逸物を宛てつける。今までは身体を使われ、千秋に愛撫をされたことあった裕次郎だが、自分の意志のまま身体を動かし、千秋を犯すという興奮は、今まで溜まった束縛を解放したことにより歯止めが利かなくなっていた。

「ああんっ!やめてっ、これ以上はっ」
「はぁっ、はぁっ、やめられないよ」
「ふぎいいぃぃぃぃいいいいぃぃぃ!!?」

 千秋の膣に入ってくる太い異物の感覚。肉棒を呑み込んだ瞬間に捻れる膣肉の締め付けに裕次郎は感嘆の吐息をついていた。

「ああぁ~これがオマ〇コの感触・・・っ。気持ちよすぎて、で、でるぅっ」

 小さな身体の中に収まる自分の逸物に感動してはしゃぐように腰を叩きつける。前後に動けば動くほど膣がじわりと濡れてきて、ヌメリ感が増して滑りがよくなっていった。

      ベッドと思ったらマットプレイ

「こわいよぉ~だれか、助けてぇ~!」
「フ、ヒヒ・・・。嫌がっていたって抵抗が弱くなってるよ?千秋ちゃんも本当は感じてきてるんでしょ?下の口は正直になってるよ?」
「き、キモい!バカなこと言わないで!」
「キヒヒ!そらぁ!どんどん本音を出させてやる!そらっ!」

 一突きごとにピタッと止まり、衝撃を受けながらピストン運動を繰り返す。ぶちゅるっ!と、結合部から溢れる混合液が裕次郎と千秋が感じていることを示しており、千秋と繋がった裕次郎の快感は限界に押し広げられていた。

「いやあっ!中に出さないで!!」
「くぅぅ~で、射精るよ!!千秋ちゅあんんぅ!!!」

 ――ドピュドピュ、ビュッビュッ!ドクドピューーーー!!!

 泣き叫ぶ千秋の耳はもう裕次郎に届かない。限界を感じた裕次郎は一番奥まで逸物を突き挿し、彼女の子宮内に大量の精液を吐き出させていった。

「ひいぃぃん!で、でてりゅ、わたひの、なかに、せーえき、うふぅぅ・・・・・・」
「ああ~信じられない・・・ボクが千秋ちゃんにオマンコの中で射精できるなんて!」

 一度の射精感でさえ興奮が冷めやらず、逸物は未だ硬さと長さを保っていた。敏感な状態でハイテンションを維持したまま、裕次郎は一心不乱に腰を振り続けた。

「やだやだ、抜いてよ!妊娠しちゃうよ!」
「そ、そうか。生でセックスしたら妊娠させちゃうかもしれないんだよね?に、妊娠っ、ふぅぅん!」
「いやあ~~~っ!!」

 まるで千秋を妊娠させるように、さらに子宮内に二度目となる射精を吐き出した。

「あ~~~射精るぅ!!」

 千秋の中に吐き出す射精感がたまらず、身震いしながらその快楽に包まれていた。千秋の身体から噴き出す白い塊が、幼い少女を大人になった証拠を示すものとなった。

「はぁっ。はぁっ。膣内でボクの精液いっぱい出てる・・・千秋ちゃんのせいで信じられないほどたくさん出た。すごく、心臓がバクバク言ってる・・・」
「いやなのに・・・またぁ、イっちゃうぅぅ・・・・・・このカラダ、感じてちゃって、あはあぁぁん!!」

 その後も裕次郎は幾度となく千秋に射精を繰り返し、本能のままに欲望に忠実となって千秋の身体を開拓させていったのだった。

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 その後も、裕次郎は『Gypsophila』のために行動するようになっていった。
 今までは自由だと思っていたライブは強制され毎回顔を出すようになり、CD、アルバムが発売されれば指定された枚数を購入するよう義務化された。
 ATMとして心さえも無にならなければやっていけない。それはもう彼氏なんていう気分にはなれなかった。
 たとえ、性知識皆無の
『Gypsophila』の彼女たちに性教育と題して身体を交えたところでそれは同じだった。談笑トーク交えながらのオナニー観賞、ハメたまま食事をして、一緒にシャワールームで身体を洗いっこ――。ファンからすれば羨ましく思える行為さえ、裕次郎には虚無でしかなかった。身体だけ提供して、実際動かしているのは裕次郎ではなく、『Gypsophila』のアイドル達。『柔軟剤』で男性の身体を奪った後でメンバーと戯れる姿を裕次郎は黙って見ているしかなかった。それが、裕次郎の与えられた役割だった。
 三人は以前と変わっていない、アイドルとしての笑みを向けて性教育を学んでいるだけなのが本当に辛い。
 悪もなにも知らないのだ。全てはプロデューサーの意向に従っているだけなのだ。
 恋も愛もそこにはない。
やればやるほど興奮はなくなり、彼女たちのまえで射精して見せる裕次郎。いつしかファンではなく、性教育としての教材に成り果ててしまった。道具以下の境界線ができ、親衛隊としての熱意も熱気もなくなってしまった。本当ならこの場で静かに去るのがお決まりだ。アイドルに迷惑かけず、親衛隊として足並みをそろえられない裕次郎は消えていく方がいい――しかし、その選択肢すら裕次郎は持たさていなかった。
 瑞姫に束縛された裕次郎は今日もまた彼女たちのライブハウスに通うしかなかった。

「・・・・・・ぅさん・・・・・・じろうさん・・・・・・裕次郎さん」

 裕次郎が自分のことを呼ばれていることに気付いて振り返る。嫁の梨華‐すずきりか‐が裕次郎の異変に心配になったのだ。

「どうしたんだい?」
「どうしたじゃないです。・・・裕次郎さん、なんか苦しそうです。最近なにかありましたか?」

 ライブまでの時間は普通に仕事に出て働いている裕次郎。その顔がやつれてきたことに仕事が辛いのかと梨華が短い時間で会話をしにきたのだ。梨華もまた朝から看護職で働きながら晩ではバイトを入れてまで働いている。忙しい時間であるにも関わらず、梨華と会話するのも裕次郎には久し振りだと感じていた。

「大丈夫。なにもないよ」
「本当ですか?本当なら、私の目を見てください」

 じっと見つめる梨香に目を背けてしまう裕次郎。当然だ。梨華という嫁が入るにもかかわらず地下アイドルを追いかけているだけでも勘当ものなのに、最近ではもっと凄いことをやっているのだ。

「ボクが人と目を合わせるの苦手なの知ってるだろ?」
「・・・・・・そうですね」

      ヲタク、世帯主だった…普通だな。

 冗談っぽく笑う梨華に対して、隠し事をしている事実が突き刺さる。

「梨華は夜遅くまで働いて一緒に生計たててくれるし、
アイドルの追っかけを許してくれるし、ボク自身もともと顔だってよくないし、性格だって破天荒だ。なんでボクを選んでくれたのかわかんない。梨華はボクには十分すぎる幸せをくれただよ」
「私もです。内気な私に、一緒に頑張ろうって言ってくれたじゃないですか?だから、辛いことや悩みがあったら一人で抱えないで一緒に頑張って乗り越えていきましょう。不満があったら、おっしゃってください」

 梨華が裕次郎の内心を突く言葉を投げかける。裕次郎の硬く閉ざされた心が動揺し、少しずつ開きかけていった。

「梨華のおかげでボクはいま幸せだよ。その言葉に嘘はないよ。こんなに充実している日々はない」
「・・・・・・裕次郎さん・・・?」

 震える唇、潤む瞳、揺れる心。梨華に対して感謝の言葉を投げかけずにはいられなかった。アイドルの追っかけどころかATMになっていることを知れば、梨華はどういう態度をとるだろう。こんな裕次郎の正体に幻滅するだろうか。搾取されるだけの存在に成り果てた裕次郎自身、こんな姿を望んでいたわけじゃない。行き過ぎた行為を裕次郎がしていたことも認めるが、
『Gypsophila』の行為を否定しなければ、生計が破たんしてしまう。

「ボクが本当に守らなくちゃいけないものがなんなのか・・・ようやくわかった気がする」
「裕次郎さん・・・・・・はい」
「(終わらせるんだ。勿体ないと惜しんだところで、間違いは訂正しなければならない)」

 裕次郎は強く一歩踏み込んだ。
 本日をもって、鈴木裕次郎はドルヲタを卒業するために。



 

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 希美より体格的に一回りも大きい裕次郎なら幼い身体を抱きしめ包み込むことは出来るかもしれない。しかし、体内に通過し浸透することは不可能だ――そんな常識すらすり抜けて、希美の身体が裕次郎の中にすべて入ってしまった。
 目を見開き、我が目を疑った裕次郎の身体から感覚というものが希薄になっていく。意識だけを残して裕次郎は身体が動かせなくなってしまった。
 しかしその時、裕次郎の身体がびくんと動いた。それは裕次郎の意志によるものではなかった。

 首を回し、肩を回し、その場に立ち上がり、屈伸をして見せたのだ。

「(なにが起こってるんだ!?俺の身体が勝手に動くだと・・・!?)」

 止まろうと思っても身体が言うことをきかず、勝手に動き出す。さらに驚かされる理由はそれだけではなかった。

「すごーい!男性の視点ってすごくたかーい!」

 裕次郎の意志とは関係なく勝手に喋り始めたのだ。

「でも、この身体すごくおもーい。この体重で踊ったらすぐに息が続かなくなるよー」

 裕次郎の声なのに、幼女の口調で感想を呟いていく。まるでおかまみたいな仕草と相まって、裕次郎は自分が気持ち悪く見えた。

「(な、なんだこれは!?た、助けてくれ、千秋ちゃん!)」

 声にならないのに裕次郎は千秋に助けを求めてしまう。消えてしまった希美と様子があきらかに変わった裕次郎を前にしても千秋は全てを理解しているように屈託のない笑みを向けているのだ。それは彼女が見せた、初めても卑しい笑みだったのかもしれない。

「プロデューサーが言ったことは本当だったんだね。希美ちゃん」
「(希美ちゃん?どこかにいるのか?)」
「うん、そうみたい。千秋ちゃん」

 希美に語りかけた言葉に裕次郎が返事する。実際のところは裕次郎は自分が返事していたのを黙ってみているだけだった。裕次郎の身体に寄生し、同化した相手が千秋に応えて見せたのだ。
 今のやり取りで、裕次郎は察してしまう。希美ちゃんは消えたのではなく、裕次郎に同化し、身体を支配して動かしているのだと。

「鈴木さんも驚いたでしょう?いまお兄さんの身体に希美ちゃんが入って動かしてるんだよ」

 千秋が優しい声で恐ろしいことを言っている。身体の所有権を奪われて、誰かに勝手に使われ動かされて、操り人形にでもなってしまった気分だ。

「鈴木さんはちゃんと聞いてるの?返事がないから分かんないよ」
「大丈夫。意識が沈んで表に出てこれないみたいだけど、ちゃんといるのはわかるから」

 希美とは意識が共有しているのか、裕次郎の立場を談弁するように口が勝手にしゃべりだした。しかし、希美の口調で話しかけている自分を見るのは恥ずかしさを通り越して絶句してしまう。

「千秋ちゃーん!!」

 トテトテと近づいて抱き付こうとする裕次郎(希美)に、千秋は「ひやあああぁぁ!!」と言って悲鳴を上げて逃げ回っていた。

「どうして逃げるのよ。いつもなら私が抱きついても許してくれるのにー」
「だって、下半身露出して襲い掛かってきたから、つい怖かったんだもん」

 変質者の格好そのもので部屋内をグルグル循環する二人。場所が場所だけにそういうプレイに見えなくもない。キャッキャウフフしているアイドルの二人のうち一人でも成人男性に姿が変わってしまうと秘密の楽園が閉ざされてしまう光景を垣間見た。

「そうじゃなくて、私たちはプロデューサーに言われてたでしょう?成長するためにしなくちゃいけないことがあったじゃない」
「そうだったね。成長するためだもんね」

 希美は思い出したように裕次郎の身体で再びベッドに座りこんだ。

「(俺の身体でなにをするつもりなんだ!?)」

 そして今度は千秋が隣に寄り添い、裕次郎(希美)の顔と逸物を見比べていた。

「私たち、男性というのを知らないといけないの。大人になって相手を意識して、国民から愛されるアイドルにならないと。その為には偏った男性層じゃなくて、一般にも広く認知されるアイドルを目指さいないといけないの。一般人が当たり前のようにすることを、アイドルだって知らないといけないの。そのために、鈴木さんの身体を使って男の子の性的事情を教えてもらうの」

 それが瑞姫プロデューサーがアイドルである彼女たちに伝えた指示だった。ファン層を調べ、別のジョブ層にも応え、規模を拡大していく戦略を彼女自身にやらせること。そのためには彼女たちの持ち味すら奪っても構わない。
 歌は出来る、ダンスは出来る、しかし知識がないアイドルに、夢ではなく現実と戦わせることを厭わない。

「(だ、駄目だ、希美ちゃん!そんなことファンは望んでないよ!千秋ちゃんにもやめさせてよ!俺の身体から出ていかないと・・・これ以上は――!!)

 アイドルもファンも望んでいないこと瑞姫は強要する。アイドルはプロデューサーに従うしかない。良いことなのか悪いことなのか、そんなことはプロデューサーが考える。だからこそ、ファンの声が届かない――。


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 翌日、ライブハウスでの講演が終わり大盛況で『Gypsophila』が幕に消えていった。
 楽しみにしていた親衛隊も帰っていき、千村貴明、布施義也もライブハウスから帰っていった。
 しかし、親衛隊の中には最後まで残り、『Gypsophila』がライブハウスから出てくるのを待ち続けている男がいた。

 親衛隊No.3 鈴木裕次郎‐すずきゆうじろう‐。緑風千秋を追いかけて毎回ライブハウスに通い、遠征にも付いていってはコンサートのグッズを残ったものを全て買い占める男だ。しかし、その気前の良さとは裏腹に感情の起伏も激しく、野外フェスでは別アイドルのファンと一騒動起こしそうになった危険人物でもある。当然、大きくなったら緑風千秋ちゃんと結婚したいという願望もあり、握手会では100万近いCDを購入してその間千秋を口説き続けている。

「デュフフ・・・おはようからおやすみまで千秋ちゃんの顔を見届けるのはこのボクの務めなのである」

 そして今日もまた一人、ライブハウスから出てきた緑風千秋を電柱の影から見守る簡単なお仕事を始める。

「あぁぁ~千秋ちゃんを瞳に映すだけで、今日一日で目に入った薄汚い毒素の塊がすべて洗い流されていくであります~」

 その至福の時間をいつまでも過ごしていたいと思っていた裕次郎だったが、今日はいつもと様子が違った。

「――――」

 千秋が裕次郎を見たのだ。今まで目に映らないように避けながらライブハウスを出ていた千秋が、明らかに裕次郎を瞳に映し――笑ったのだ。今まで裕次郎に向けなかった微笑みを、初めて千秋が浮かべていたのだ。そんな些細なことに、裕次郎は心の底から救われた気持ちになっていた。

「千秋ちゃん・・・ぼ、ボクに微笑んでくれた・・・今までいっぱいCD買っても喜んでくれなかったきみが、どんな風の吹き回しなのか、ごぽぉ!!?」

 感謝の言葉を述べようとしていると、突然裕次郎の背後から強烈ななにかで殴られた衝撃が襲ってきた。倒れた裕次郎にさらに輪をかけて馬乗りになって動きを封じるように両手を縛ろうとして来る。

「うわなにをする
くぁwせdrftgyふじこlp」

 相手は手際よく手枷をつけ、目隠しをされ、口には猿轡をかまされる。突然のことで何が何だかわからない裕次郎が、自分が誘拐されたと気付くのは後のことだった。
 裕次郎を乗せると、エンジンがかかり、車が走りだす。何時間走ったか分からなくなったときに車から降ろされ、相手に引きずられながら歩かされる。この時にはもう裕次郎は声を上げず、怯えるようにしながら相手の言う事に従うように付いて歩いた。
 相手の腕に絡みつきながら、おどおどした足取りで視界ゼロの状態で歩いていく。
 相手も一切声を上げない。どんな相手に誘拐されたのか分からないが、何故か裕次郎の鼻には甘い香水の匂いと時折腕に当たる柔らかい感触が、ひょっとしたら誘拐したのは女性ではないかと予想をつけていた。
 それでも誘拐をするような相手だ。犯罪者であるには変わらない。碌な人間ではないと踏んでいた。
 やがて、相手は目的の場所に到着したのだろう。裕次郎に腰をつかせるように肩を両手で押さえつけた。腰が沈んだ裕次郎のお尻は、マットの柔らかい感触に驚いてしまった。
 両手の枷を外した相手。両手が自由になれば目隠しも猿轡も自ら取ることが出来そうだ。むしろ、それを相手が望んでいるようだ。

「もう外していいよ」

 裕次郎の耳に入ってきた相手の声は甲高い女性の声だった。女性というには幼い、声変わりする前の声だ。相手は子供・・・しかも、その子供という声の主を、裕次郎は何故か知っている気がした。
 外していいよ――その声で一刻も早く解きたかったはずなのに、一瞬だけ無意識に解くのを躊躇ってしまったくらいだ。
 しかし裕次郎は自分の仮定を確認するために、急いで目隠しを外していった。思っている以上に簡単に解けた目隠しも猿轡。それを身に付けた相手と裕次郎は対面した。
 裕次郎の目に映ったのは、
『Gypsophila』の筑紫希美と緑風千秋の二人がライブハウスの衣装のときと同じ姿で立っていたのである。


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      『Gypsophila』再登場

「みなさん。今日は私たちのライブに来てくれて本当にありがとう!」
『うおおおおお!!!』

 若手アイドルグループ『Gypsophila―ジプソフィラ―』。地下アイドルだった1〇歳の女の子グループが夏の野外フェスにゲスト出演すると、会場には大きな歓声が響き渡っていた。
 ライブハウスとは違い野外の解放感で歌う彼女たち。それと一緒に踊り歌う群がる兵の紳士たち。
 年齢が一回り若い彼女たちを応援する紳士たちの姿に、他のアイドルを見に来たファン達との境界線が其処にはあった。

「なにあれ、キモくない?」
「えーやだぁ~可愛い~」
「そう?SWAPの方がいいわ。どこのオチビちゃんかしら?」

 アイドルグループの中にも様々な層があり、飛び交う罵詈雑言がひそひそと聞こえてくる。

「みんな踊れ!いつも通り踊れって!」
「うわっ、キッツ。強制しないで」
「なんだと!」
「なによ!」

 ライブハウスから屋外へ進出したことで、井戸の中の蛙だったということがよくわかる。そこには様々なファンがいて、一体感を求めようとも決してうまくはいかなかった。むしろ事態は一触即発に。追っかけ、親衛隊、おたく。様々なファンが入り混じるが会場内でのピリピリとした空気が険悪なムードにさせ、亀裂を生む事態に発展。

      WRYYYY!!!

「あはは~ウケる~完璧な振り付けしてる~」

「やっぱり、ああいうグループにはああいう層がつくのかね」
「貴明・・・」
「関係ねえよ。俺たちの踊りを彼女たちに届けてやろうぜ!なあ、みんな!?」
『うおおおおお!咲良ちゃあああああんん!!!千秋ちゃあああああんん!!希美ちゃああああああんん!』

『Gypsophila』親衛隊を見て笑うファン。それを見ながら緑風千秋、桃井咲良、筑紫希美は自分のやるべきことを精一杯やっていた。


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