純粋とは矛盾色-Necronomicon rule book-

夢と希望をお届けする『エムシー販売店』経営者が描く腐敗の物語。 皆さまの秘めた『グレイヴ』が目覚めますことを心待ちにしております。

カテゴリ:グノーグレイヴ『入れ替わり』 > 粉薬『おかると部』

 一週間後。
 入れ替わった身体は元に戻り、オカルト部に私は赴いていた。
 私の予想通り部室を明け渡す様子は微塵もなく、関くんとの一件以降、私の顔を見ながらニヤニヤ笑っているオカルト部に私自身弱気になってしまっていた。

「今日中に部屋を明け渡してもらわないと困ります。速やかに退出を――」

 建前を述べる私に対して、関くんが近づいてくる。無意識に私は後ずさりしてしまった。

「生徒会長さん。一週間前と比べて随分としおらしくなっているじゃないか。また俺と身体を混じり合いたいのかい?」

 関くんの声に入れ替わった時の記憶が脳にフラッシュバックして思い出されてしまう。

「冗談言わないでください!私は廃部の件のみお伝えするためにココに・・・・・・決して、それ以外の目的で来ようとなんて思いません」
「いや。会長は知らないだろうけど、ここ一週間毎日会長の身体はオカルト部に来ていたんだよ。『入れ替わり』によってね。そして毎回俺たちと身体を交えていたんだよ」

 オカルト部員が語る真実に私は悲鳴に似た否定を叫んでいた。

「嘘言わないで!」
「あっ、そっか。会長は寝ていたから覚えていないよね?でも本当なんだよ。これが証拠ね」

 彼らの携帯に収められたオカルト部での乱交写真。その中心にはオカルト部員とハメ撮りしている私の姿が映っていた。

「じゃあ、最近の身体の疲れは・・・」
「生徒会長がこんなに乱れてて秩序もなにもないよね?俺たちみたいな汚らわしい手で触れてほしくなかったみたいだけど、この身体はもう俺たちの手触りを覚えているんだよ」
「いやああぁぁぁ!!!」

 オカルト部の話が理解できないのに、まるで呪いのように耳に纏わりつく。
 知らない間に私の身体が犯されていただなんて、そんなことを表沙汰にすればオカルト部員だけじゃなく、私の経歴にも傷がつく。
 プライドが無い人間は無敵で強い。
 オカルト部に近づくなと、前会長が言っていた意味の本当の理由が分かった気がした。

 彼らと関わったら、プライドも自尊心も全て失‐な‐くなってしまう――

「じゃあ、今日も俺たちがこの身体を可愛がってやるぜ。会長。今日で廃部になるんだっけ?そう思うと残念だな。この一週間が一番活動内容的に楽しかったぜ」
「本当に終わらせていいのか?会長さん」

 なんで私に聞いてくるの?規則に習い、生徒会長として学園の秩序を守るために、オカルト部の廃部は決定事項。今更撤回・先送りなんて出来ない。

「いや、できるさ。会長が権限使って守ってくれよ。俺たちを守ってくれないとどうなるか、わかるよな?」

 生徒会長である私を脅迫してくる。関くんの目は本気だった。携帯で撮影した私のポルノ写真をばらまくつもりだ。
 写真の中の北上静乃はどのようにして撮られたかなど知る由はない。こんな写真が学園中に知れ渡ったら私はもう生きていけない。

「・・・わかりました。オカルト部の撤回は白紙に戻します」
『イヤッホー!!』

      陥落

 オカルト部が大喜びではしゃぎ回る。部の存続が決定したオカルト部は今後さらに調子に乗ることは明白だと分かっている。
 でも、決定してしまった以上私にはもう手に負えない。
 それが勝ち負け。負ければすべてを奪われる。

「次はどうします?料理部の遠野美凪、ソフトボール部の浅桜実波、風紀委員長の最上さおり、前生徒会長の伊澤裕香も候補に入れましょうか?」
「待て待て、慌てることないだろ。ゆっくり決めようぜ。この学校はレベル高い女子多いからな」
「資金繰りだって使いすぎ厳禁だろ。あーでも決めらんねぇ。全員とセックスしてえぇぇ~!」

『粉薬』を買うための資金の問題について話し合うオカルト部。相手のことなど考えもせず、己の私欲だけを貪る。人間のエゴが凝縮した話し合いから逃げ出すしかなかった。
 しかし、

「おい、待てよ」
「・・・・・・えっ」

 私に対して関くんが話を振る。

「ちょうどいいじゃねえか。生徒会長に相談してみようぜ。俺たちの活動資金を増やしてくれって」
「ま、まさか貴方たち――!廃部だけじゃなくて、活動資金まで横流ししろって言うの!?生徒会長である、この私に――!」
「嫌とは言わないよな?」

 携帯を翳すオカルト部に私は俯いてしまう。なんという一方的な搾取だ。どうしてここまで他人に対して非道なことが出来るのだろう。同じ人間とは思えないほどの悪の権化だ。でも、想像を超える悪人は世の中には存在するのだ。
 それが私の場合、同じ学校内でいてしまったこと。ただ、それだけの最悪の隣人だ。

「写真は使うな。このままじゃ生徒会に取り繕って貰えなくなる。会長さんとはこれまで通り良好の関係を築きたいんだ、俺は」
「なんて勝手な言い分を――っ!そんなことできるわけないじゃない!」

 憤りを露わにする私を前に、卑屈にほくそ笑むオカルト部。

「どうするんです、兄貴?」
「簡単さ。俺たちの活動内容を会長に理解させればいいんだよ。女が嫌悪している快感をオカルト部が会長直々に教えてやるよ」
「ちょっ、ちょっと・・・・・・」

 関くんの言葉に感化された部員たちが歩み寄る。逃げなくちゃと、私が身の危険を感じるより早く、私の身体を縄が纏わり縛りついてきたのだ。


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「・・・・・・それじゃあ、そろそろ挿入れてもらおうかしらね」

 腰を擦りつけて男性器を刺激してくる。カウパー液に濡れた静乃の足のお肉に刺激されて逆に気持ちよくなる。敏感になった男性器の快感はこんなに気持ちいいなんて・・・。

「あぁ、何、この感じ」
「それが男の感覚さ。どうだい、こうされると気持ち良いだろう」
「いや!気持ち良いなんて、そんな」 
「困惑してても身体は正直のようだよ」

 静乃(憲武)の言う通り男性器は段々と大きく、硬さを増している。まるで憲武も元の自分の男性器を勃起させているという行為に興奮し、静乃の股間を濡らしていた。

「あぁ、これから体の中から俺のおち〇ち〇を会長の中に挿入するんだ。いったいどんな感じがするのかな?」
「いや・・・もう、やめて・・・」
「フフフ。・・・関くん、挿入しちゃうわよ」

 抱きついている静乃(憲武)が腰をゆっくり持ち上げて位置調整しているように亀頭を擦りつけてきた。仰向けに寝転がされた私の上に馬乗りになって、硬くなった男性器を持ち股間にあてがうと、その先端を少しずつ膣口へと飲みこませていった。
 ぞくぞくした身震いが静乃(憲武)の身体を襲った。

「うひ、ひゃぁ!・・・はぁ、はぁ・・・これが・・・会長のおま〇こに挿入していく感覚なんだ!・・・ぅっ、ううっ!」

 静乃(憲武)は、痛みを快感に変えてさらに腰を沈めていく。ぐっしょりと湿った膣内は大きく膨らんだ男性器に押し広げられている。苦痛に歪む表情を浮かべながらも、一気にそれを飲み込んでいった。

「入ってくる~。おち〇ち〇熱ぅい~。会長の身体が焼けちゃうくらい熱くて・・・気持ちいい~」

 静乃がセックスに歓喜しながらゆっくりと身体を上下させて、ちゅぷちゅぷとカリ首が擦れる感触を楽しむようにピストン運動を早くしていった。
 露出させたおっぱい上下に跳ねる度に激しく揺れている。静乃(憲武)の艶やかな表情を見上げながら、快感に溺れる私は成すすべなく膣内で扱かれる男性器をさらに勃起させていった。

「あん、あん、ほらっ、憲武くんのおち〇ち〇が私の中を出たり入ったりしてるよ!よく見て~」
「いや、そんなこと、あ・・・ああ、なにこの感じ・・・いやぁ、やめて、動かないで!」
「あ、あん、あ、あ、あん」

 私の声を聞かず、静乃(憲武)はひたすら男性器を扱き続ける。その気持ちよさは上昇し続け、先ほど吐きだせなかった分と合わせて海綿体の奥から凄い勢いで快感が膨れ上がってくるのを感じていた。

「いや、なにか来る・・・で、でちゃう~~!!」
「あ、あはっ、だしちゃえ・・・思い切り私の膣内にい~っぱい射精しちゃいなさい!!」
「いや、出るぅ、いやぁ~、いやぁ~!!」

 ギュッと膣内が射精管理した手のひら以上の締め付けで男性器を逃さなかった。私は限界になり、腰が反射的に跳ねながら亀頭の割れ目から大量の精液が噴き出していくのを感じた。

「いっ、いく、イく!いクイク!!いっくううぅぅーー!!!」
「あああ、でてりゅ!せーえき、なかにビュッビュでてりゅ、はあぁぁぁあんんぅーーーー!!!」

 精液が勢い良く子宮内に噴出していった。静乃が目の前で喘ぐ姿を眺めながら、私は意識を失ったのだった。


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 意識が少しずつ戻ってくる。私を呼びかける声が聞こえる。

「・・・・・・てる?起き・・・!・・・・・・ょうさん。・・・・・・会長さん起きてよ」

 ――このお香は吸いこんだ者たちの魂を入れ替えるものなんだ。

 その聞き覚えのある声と眠らされる前の言葉を思い出した瞬間、私は勢いよく目を開けた。すると、そこには信じられない光景が飛び込んできたのだ。

 わたしだ。
 私と全く容姿をしている北上静乃が私を見下ろしていたのだ。
 鏡とか、幻とか、そんなものでは決してない。
 意識をしっかり持った状態で、私の顔をした偽物が、ニヤニヤと下卑た歪んだ笑みを向けているのだ。

「わ、私が目の前に・・・!?こ、声が・・・コホッ、コホッ!」

 私の声が低くなっている。まるで、男性のようなテノール声だ。普段落ち着きのある声が、私の心境を投影するように慌てふためくように声を裏返して焦っている。
 じゃあ、今のは私の荒げた声かもしれない。・・・それに、よくよく見ると私は女性用の制服ではなく、男性用の学生服を着ているのだ。
 ペタペタと顔を触れる私。硬くなっている身体付き、におい、濃い顔つき、大きな腕、長い脚、声、髪質、筋肉質の胸――私が五感から判断するよりも、第六感という感知能力の方が先に私の身に起こったことを予感させていた。
 目の前に現れた北上静乃は偽物でもない。あれは本物の私の身体だ。眠らされる前まで私といたはずのオカルト部部長の関憲武くんと身体が入れ替わってしまったのだ。
 自分の予想が非現実的過ぎて認められないと言わんばかりに悲鳴が漏れてしまう。しかし、その声は間違いなく関くんのものだった。私が行動すればするほど、予感は確定に変わっていく。

      夕焼けの幽霊

「やっと目が覚めたね。見て分かるけど俺と会長の身体は入れ替わったんだよ。このお香の能力でね。俺がいま会長の身体を使っているし、会長が俺の身体を使っているんだよ。しばらく会長の身体を使わせてもらうよ」
「勝手なこと言わないでよ!私の身体を返して!」
「このまま素直に返したらオカルト部を廃部にされちゃうからね。それじゃあ困るんだよ。生徒会にはうちに部費を送ってくれなくちゃ。学生の時には思いっきり部活に精を出して遊ぶことをしないといけないよね?それがうちの高校の標語じゃないか」
「部費の内訳を決めるのも生徒会です。そんな横暴な使い方をしていたら持ちません。生徒を脅して水増ししていたやり方を変えるつもりはないのですか?」
「ないね。遅かれ早かれ生徒会には部費を冷やしてもらうよう直談判をするつもりだったんだよ。そのためにこのお香を手に入れたわけだけど、まさか計画を前倒しにして廃部危機に使うことになるなんて思わなかったよ」
「あなた・・・まさか、最初から私と・・・・・・」

 私は関くんの考えに身震いを覚えた。前会長から引き継ぐ際にオカルト部に近づくなという噂は当たっていた事実に気付いてしまった。野心のためなら生徒会すら利用することを厭わない。生徒会の最高責任者の私の身体を奪う暴挙を食い止める方法を知る由もなかった。


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 神保向陽高校は今年から新入生の減少、部費の削減から部活動を一つ削られることとなった。
 生徒会長の北上静乃―きたがみしずの―含め生徒会では数ある部活動のうちどれを無くすかを決めていた。
 当然、どの部活をなくすかの参考として活動報告というものが毎月提出するよう義務付けられている。部活動によっては経費がかかるものがある。経費と活動費が釣り合っていない部活を削ることが一番学校にとって利益になる。生徒会たるもの、部活すべてを監視しているわけではない。しかし、管理している以上決断が必要な場面がある。
 報告書を見ながら候補に挙げた部活を見比べながら、さらに書類に目を通していく。やはり運動部よりも文化部の方が削りやすいのか、残った書類はほとんど文化部になっていた。

「りょうり部の部費で払っているお米券は削っても良いのではないでしょうか?毎月3万って多すぎですし。卵焼きが辛い時点でお察しですし、改善の兆しが見られないならなくしてもよろしいのではないでしょうか?」
「いや、それよりもなんですか?ひょうい部って。なんの意味があるのでしょうか?人数が多いだけ部費が掛かるのは分かっていますが、毎月10万はどこに消えていくんですかね?」
「ひょうい部といえば、部長、副部長はアイドルにのめり込んでいるようですが、まさか――」
「決まりですかね・・・」

 副部長までひょうい部の廃部を決定している。後は静乃の判断が下ればひょうい部は廃部になる。
 静乃はしずかに様子を伺っていた。そして、重い口を開いたのだった。


「オカルト部ね!」



『はぁぁぁ~!!?』

 オカルト部員が奇声をあげた。

「なんで俺達が選ばれるんだよ!ふざけんな!これは贔屓だ!どこの部にいくら積まれた?おぉん?」
「陰謀だ!幽霊は存在しないと根拠のない持論を展開してくるエセ科学者と同じ暴論だ!」
「学校の裏で蔓延る悪の組織が真実を暴くことを恐れて動き出したか。やはり、生徒会は既に悪に堕ちていた憶測が確信に変わった――」
「勝手なこと言わないでよ」

 ギャーギャー騒ぎ立てるオカルト部の面子に静乃は頭を抱えた。

「あなた達と違い憶測で言っているわけではありません。ちゃんと証拠を持ってきました」

 静乃が持ってきたのは活動報告書ではない。オカルト部の活動報告書は成績優秀。活動費10万に対して100万円の奉仕活動を学園に献上している優良部である。それでも静乃はオカルト部を潰そうとしているのだ。その理由は部に対するクレーム。その嘆願書の多くがオカルト部によるものだった。

「あなた達オカルト部は学園内で恐喝行為をしているようですね。その金額を部費の収支に貢献して提出しているようですが、そんな金額を貰っていることが私からすれば許されざる行為です」

 疑似科学をオカルト部と称して噂や悪評を吹きかけ、部活内の環境、人間関係を改悪させる非道な行為を横行しているというものだ。それを解除するために金品を要求し、御払いをしなければ呪われるという非道な脅迫までしているというのだ。

「クレームと言っていますが残念ながら事実ですよ?それが違うというなら証明してもらいましょうか?」

 まるで悪魔の証明だ。白いカラスを見つけてこいみたいな無茶な要求をしてくること事態、静乃には耐えられない行為だ。

「それが事実だとしても知らなければいいでしょう?予言だが知らないけど、勝手に難癖をふっかけて人の幸運を吸い取ろうとする行為は善意ではありません」
「嫌なら聞かなきゃいいだけだろ?俺たちは善意で教えてやってるんだからよ。生徒のため、学園のために部活動して、しっかり活動記録として学園の貢献をしているなら不問にするのが正しい生き方ではありませんか?」
「なにを言おうと、言葉巧みに生徒を誑かし、詐欺行為をしているあなたの正しさを認めるわけにはいきません。それに気付いていないのだとしたら、私が生徒会長として責任を持ってオカルト部に廃部勧告を突きつけます」

      正義感強そう

 静乃が会長権限を持ってオカルト部に迫る。オカルト部の部長、関憲武‐せきのりたけ‐が眼鏡をもちあげた。

「まったく、うちみたいな弱小部を潰すのに正義感を見せて・・・厄介な存在だよ」
「あなたを恨んでいる人を大勢知ってるのよ。私は部活とは学園ではなく生徒が中心になって活動するものだと思ってます。そんな生徒を傷つける部活なんてあってはならないのよ。私は生徒代表として不要な部活の排除をするだけです」

 善意と偽善。正義と正義を譲らない二人。
 戦い、負けた方が偽物の正義だ。その為の権力。その為の武力。その為の資金力。
 火花を散らして両者は静かに戦っていた。

「オカルト部は一週間以内に部室を生徒会に明け渡してください。本日は以上です」

 権力がある分強気に出る静乃が部屋から出ていく。憲武は消えていった静乃を最後まで見つめ続けていた。

「威勢がいい。まっ、会長みたいな強気な女の方が俺好みなんだけどな」
「あ、兄貴・・・」
「どうします?」

 慌てふためく部員たち。いかに暴力的であろうと、それはオカルト部の力が発揮していたからに他ならない。呪い、信仰、宗教――信じる者がいるから救われる者がいる。それに対して対価が発生し、上下関係が生まれる。この学園の中に潜む階級社会。社会構図の仕組みの枠に捕らわれた神と信者。
 憲武が作り出した理想郷があと少しで完成するというのに、オカルト部の計画を邪魔しに来るというのなら後悔させてやろう。

「安心しろ。俺に任せておけ」
「兄貴!」
「フフフ・・・(生徒会長さんよ。アンタは勘違いしてるぜ。俺が何のために恐喝行為をしているのか。純粋に学園のためなわけねえだろ。恐喝の一部分を貢献しただけで正義感を見せているようだが、俺からしてみれば幸せな頭してやがんぜ)」

 憲武はほくそ笑む。結果とは全て偶然に生まれるものではない。オカルト部に所属しているものなら、呪いとは結果より先に来るものではなく、後に来ることがあることを知っている。

「(本当はよ・・・欲しいものがあったんだよ。それが先日手に入ったんだよな)」

 オカルト部が部費を溜めこんで調達したものは、既に憲武の手の中に握られていたのである。


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