純粋とは矛盾色-Necronomicon rule book-

夢と希望をお届けする『エムシー販売店』経営者が描く腐敗の物語。 皆さまの秘めた『グレイヴ』が目覚めますことを心待ちにしております。

カテゴリ:グノーグレイヴ『他者変身』 > 鏡『フォーチュンミラー』

 海藤結弦がいない後で起こった、前川先生と生徒たちのやり取りである。
 結弦が保奈美に『変身』して悪戯を起こした花壇での排尿騒動は、保奈美に生徒達との大きな障壁を作り上げてしまっていた。
 見損ない、裏切り、信頼度ガタ落ち、モラルの無さの指摘。つまり、先生として視ることのできない侮蔑な眼差しを突きつける。
 授業が終わるとすぐに生徒たちは保奈美の元へ駆けつけ、自分の見た事実を真実に暴言を吐きかけた。多くの目撃証人を出した一件は保奈美に不利な状況にさせ、慌ててスマホで写真や動画を回した生徒たちがいたことでさらに強固な証拠が出来上がっていた。

「ほら!これってやっぱり先生ですよね!」
「ち、違うのよ。私はそんなところ行ってないの!」
「でも、それを証明する人はいないんですよね?」
「最低だ!こんな先生に教わってたのかよ」
「先生やめろ!雌犬!」

 その時間、休みだったのは保奈美だけであり、トイレに立った一回以外、誰とも会っていない。それなのに、前川保奈美らしき人物がその時間に花壇前に出没して、生徒たちが大切に育てた花を滅茶苦茶にしたというのだ。その形跡の後も現場にはしっかり残されていた。

「先生」
「教頭先生」

 保奈美は居合わせた教頭先生が鬼のような形相で睨んでいるのを見て、顔色を青くした。そのまま腕を握られると引っ張られるように生徒たちの波をかき分けるように退散させられる。

「今すぐ職員室まで一緒にきてもらいます」
「ま、待ってください!教頭先生!」
「説得できると思ってるんですか?いまの先生に叫ばれる生徒の声が聞こえますか?」

 教頭先生の言う通り、生徒たちは保奈美を罵り叫んでいる。勝ち組が負け組を罵倒するように、生徒たちは束になって年上の保奈美を蔑んでいた。そんな立場に追いやられて聞く耳を持つわけがない。負け組はなにを言っても負け組で生徒たちは聞く耳を持ってはいなかった。

「今のままでは先生にとって辛いだけですよ。生徒と距離を取ることも時に必要です」

 しかし、それは先生の立場である以上苦渋の選択になる。学校の教師が生徒と放れることは保奈美にとっては何よりも辛いことだった。何故なら、保奈美は生徒一人一人のことを心配して、大事にしていたからだ。
 生徒にどう思われようと関係ない。怖い先生と思っていても、保奈美自身は生徒の為に思って尽くしていた。生徒を自分の子供のように親身に接して、愛情にも近い愛を与えてきたつもりだった。
 そして、それは今でも変わらない――。

「信じてください、教頭先生!私はやっていないんです!決して、嘘じゃないんです!」
「誰も信じてなどいない!!」
「ぅぅ・・・」

 崩れ落ちる保奈美の腕をそれでも引っ張ろうとする教頭先生。しかし、まるで意気消沈した様にその場に膝をついて表情を曇らせる保奈美に、優しい言葉をかける者など一人もいなかった――


「待ってください」


 ――いや、いたのだ。この状況でただ一人、保奈美を援護するように立ち塞がる女子高生が現れたのだ。
 クラスは二年C組。普段無口で友達と付き合わず、一人本を読んでいる印象しかない生徒である。
 保奈美は彼女の名前を思い出す。

「なんだよ、片霧。お前は現場を見てたのかよ?」
「あんな先生をまだ信じてるの?」
「・・・・・・私も前川先生を信じてません。そして、あなた達も信じてません。私が信じるのは証拠のみ」

 彼女はそうはっきりと言った。

「あなた方の動画も写真も、すべて携帯で撮影されています。それは証拠としては決して弱い」

 生徒たちが一斉に素っ頓狂な声を荒げた。

「編集したって言うのか!こんな短時間に、それは無理よ!」
「馬鹿か!そんな手間やるひど俺たちは暇じゃねえぞ!」
「だとしても事実です。それ以上に決定的な矛盾をつけば証拠能力は劣ります。それとも他にカセットテープで録画した人はいないんですか?」

 カセットテープという聞きなれない言葉に困惑する。学校にそんなものを持ってきているはずがない。しかし、状況証拠が物語っている以上、彼女の言う『決定的な矛盾』が無ければ覆ることは容易ではなかった。

「あるって言うのか?写真以外に、先生がその場にいなかったって言う証拠が」
「今は可能性でしかないけれど・・・・・・」

 彼女は改めて、保奈美に振り向いた。あるものの提示を求めたのだ。

「先生。ハンカチを持っていますか?」
「ええ・・・持っているわ」

 保奈美はポケットからハンカチを出し、彼女に手渡した。そして、生徒たちを前に掲げてみせた。

「あなた達の発言から、先生は事を済ませた後にハンカチで拭いたと言っておりました。しかし、それが本当だとしたら・・・・・・」

 生徒たちは口をそろえて言っていた証言。そこから矛盾を見つけ出すための道具こそ、今回保奈美のハンカチだった。
 トイレットペーパーでもポケットティッシュでもなく、先生のハンカチで後処理をしたという事実を確かめるように、彼女はハンカチに顔を埋めて鼻で大きく息を吸い込んだ。

「う、ウソだろ・・・信じられない・・・」
「そこまでする?」

 それを見て、悲鳴をあげる生徒たち。しかし、ハンカチから顔を放した彼女は未だ水滴が付いて濡れてしまっているものの、凛とした涼しい表情を崩していなかった。

「誰か、私以外に確認したい人はいますか?」

 自分以外にも同じように確かめたい生徒を探すように一歩近づいたが、生徒たちは一歩退いた。

「濡れているじゃない!」
「匂いが飛んだのかもしれないだろ?」

 生徒たちは自分の証言を疑わずに叫び続ける。彼女はさらに証言を崩すように、ポケットから理科準備室に備品として置かれていたはずのリトマス紙を取り出した。

「では、すぐにでもリトマス紙に当ててみましょう。渇いてもいないなら、リトマス紙に当てればアルカリ性が含まれていれば色が変化するはずです。もし、変化がなければ中性。そのハンカチはただの水って判断ができます。それがより確実な検査結果だと私は思います」

 真実に近づくために一つ一つ理論で責めていく彼女に生徒たちの何人か呻き声を上げていた。ハンカチとリトマス紙。二つを手にした彼女が合わせるようにくっつけさせて色の変化をしばらく見続けた。
 検証の結果。いつまでもリトマス紙は色の変化を見せなかった。
 保奈美は息を呑んだ。

「教頭先生っ!」

 教頭先生が彼女に近づく。彼女はハンカチを教頭先生に渡し、リトマス紙の実験を確認させた。

「・・・・・・中性。これは・・・・・・ペロ」

 教頭先生が保奈美のハンカチに染み出す水滴を指に付着させて舌で舐めていく。
 生徒たちはドン引きした。

「み、水です!これはただの水です!」

 保奈美が手を洗った時に使ったハンカチ。水の勢いを強く出し過ぎたせいで普段よりも水滴を多く含んだ分だけ、結果的に自らを救う証拠に成し得たのである。
 100%立証できる事件は数少ない。ゆえに、合理的疑いを越えて有罪を立証しない限りは無罪が鉄則。疑わしきは罰せず、なんぴとも犯罪の積極的な証明がないかぎり、不利益な裁判を受けることがないようにすること。


『招き対峙する裁判劇場-act trial order-』――彼女によって開かれた裁判劇は中立で忠実な判決を下す。その正義は被告人を守ることである。彼女は検事であり、弁護士であり、無作為に暴挙暴言で叩く悪意の敵だった。


「この謎が解けない限り、先生を黒だと言うことは断じて出来ない!これ以上先生を疑うのなら、新たな証拠や供述を用意しなさい!」

 彼女が叫ぶ。その姿は同じクラスメイトですら見たことがなく、一同が言葉を失って無に帰っていた。保奈美を叩くことを止める者、またある者は彼女を標的に罵り、またある者は彼女の言う通りに証拠や再供述の準備を始めようとするものまで現れる。
 しかし、それでも彼女は再び争い続ける覚悟は出来ている。彼らの悪意が終わるまで――。

「だけど、あなた達の証言が間違っているとは思わない。これだけ多くの人が同じ間違いをするのはおかしい。きっとこれは、なにかあるのよ」

 いや、既に彼女にとって生徒たちには興味を示さなかった。譫言の様に独りつぶやいていた。
 生徒たちもまた被害者。この学校で何かが起こり始めていることを予感していた。今回救えた生徒はほんの一握りでしかない。しかし、ちゃんと生徒たちは保奈美に頭を下げて自分のした行動を詫びていた。

「先生・・・・・・私たち・・・・・・」
「いいのよ。分かってくれたら」
「俺たちも、騒ぎをでかくして・・・・・・変な噂を立ててしまって・・・・・・」
「急げ、火消し隊!今すぐ全校放送で注意を呼びかけろ!」
『ごめんなさい!先生!』
「大丈夫よ。分かってるから」

 噂は飛び出てしまっている以上、すぐに消えることは出来ない。しかし、生徒たちが反省して外に漏れることを最小限にしようとしてくれる行動を見せてくれることに、保奈美は感動を覚えていた。
 今まで通りの関係に戻れる可能性を示してくれたことに、教頭先生も表情を和らげていた。

「教頭先生。お騒がせいたしました」

 頭を下げる保奈美に、教頭先生は首を横に振る。

「私は初めから先生のことを信じてましたよ」
「ウソつけ!」

 生徒が野次る。
 そして、一番の功労者に保奈美は改めて頭を下げた。生徒だろうが関係ない。
 困っている人を救う気持ちに、上も下もないと保奈美は思ったからだ。

「ありがとう。片霧橙子-かたぎりとうこ-さん。助かったわ。先生の無実を証明してくれて、先生嬉しい」
「でも、まだ謎があります。私は解けない謎に興味があるだけです」

 決して口では人付き合いが苦手な印象を受ける。
 しかし、彼女――橙子の表情は保奈美と同じように普段よりも綻んでいるように見えたのだった。


 Fin

 ――後日談というか、今回のオチ。

「琴音」

 授業が終わり、帰宅するために席を立った琴音に愛莉から声をかけられた。

「今日部活休みなんだ。久し振りだし、一緒に帰らない?」

 美味しいガレット屋を見つけたの、と買い食いをしながら楽しく帰宅することを疑っていない愛莉に、琴音は申し訳なさそうに断った。

「ごめん。今日は帰るね・・・」
「えっ・・・どうして・・・・・・?」

 琴音の表情になにかを察する。

「琴音。具合悪かったの?保健室一緒に行こうか?」
「やめて!!」

 身体を触れた瞬間にビクンと震えた琴音の様子はなにかおかしい。しかし、それを愛莉に隠すようにゆっくりと歩を進めていく。
 まるで、ついてこないでと言わんばかりに体調を悪そうにして身体を引きずっていた。

「琴音・・・・・・」

 隠し事をしている琴音に、愛莉は教室で立ち尽くしていた。でも、すぐに我に返って琴音の後を追う。こういう時だからこそ親友が悩みを聞いてあげなくちゃいけないと思ったからだ。

「琴音!!・・・・・・あれ?」

 しかし、驚いたことに琴音の姿は廊下で見ることはなかった。愛莉が目を離した数秒の間に琴音は忽然と姿を消してしまったのだった。


 ・・・
 ・・・・・・
 ・・・・・・・・・

 琴音が向かった場所は教室から出てすぐの女子トイレだった。
 我慢できなくてうずくまる身体でなんとか個室トイレに入り、鍵をかけることでようやく安心するように一回大きく息を吐きだした。

「はぁぁ~~~立つとすぐに抜け落ちてきそうだよ」

 琴音はスカートの中をまさぐり、ショーツの上から今にも抜け落ちそうになっていたモノをなぞった。ショーツの中で盛り上がっている物体。普通の女子生徒にはない謎の異物が琴音の体内はいっており埋まっているようだった。
 琴音が体調を悪そうにしていた原因はこれだ。琴音は入れ直すために一度ショーツを脱いいく。すると、ソレはひとりでにツルンと抜け落ち、床に落ちて転がってしまった。
 ソレはアナルストッパーだった。アナルを拡張する道具を何故か琴音は自ら仕込んでいたのである。

「ああ・・・腸液でビチョビチョになってる・・・・・・。これが琴音ちゃんの腸液なんだ・・・・・・」

 そんなことを言いながら琴音は恥ずかしく口を塞ぐ。誰かが聞かれてたらマズいと思ったのだろう。急いでアナルストッパーを広い、再び自分のお尻の穴に挿入する。
 幸いなことに大便も出る様子もなく、ローション代わりに濡れている尻穴は簡単に挿入できるまでになっていた。

「ううぅぅん~~。お、お尻にはいってくるぅぅ~~!あ、あはぁ・・・へ、ヘンになる。これ、きもちいい~~」

 その顔はとてもいい笑顔だった。腸の中を押し上げるアナルストッパーに琴音の身体が開拓されていくのを感じた。

「んほおおおおおぉ~っ⁉」

 お尻に太いモノを咥えこまされ、反射的に腰が跳ねた。これ以上自分の手じゃ薦めないと思い、お尻に挿したまま壁にアナルストッパーを当てつけ、腰をさらに押し付けていく。そうすると、アナルストッパーだけがどんどん奥深くまで突き進んでいく。

「おっ、んほっ、おほおぉ・・・・・・んあっ、あっ、あーっ・・・・・・」

 呼吸するのも一苦労のように、天を仰いでお尻に力を込めていた。しかし、おかげでお尻の穴からアナルプラグは顔をのぞかせている。しっかり琴美のお尻の穴に挿入されたのである。
 脚がガクガクと震え、もどかしげにお尻が揺れる。否が応でもお尻の穴を満たす異物感に琴音は悶えていた。アナルストッパーが子宮を押し上げ、お腹が苦しい感覚を再び与えていた。
 お、お尻の穴がいつまでも締まらなくて拡がったままになってる感じを今日一日ずっと一人で感じていた。

「お尻ぃ、おかしくなるぅ・・・・・・!くぅぅ~~~っ!!!」

 油断しているとまた抜け落ちそうになって腸内からゆるゆると出てきてしまう。それを止めようと力を踏み込むと、アナルストッパーはまた腸内へぬるぬると挿入ってくる。その繰り返しが琴音に魅惑的な感覚を与えていた。

「う・・・うんちが出たり入ったりしてる、みたい・・・・・・いやあぁぁん・・・・・・はあぁぁん・・・・・・」

 お腹がゴロゴロなるのもそのせいだ。行き場のなくなった大便が生成されていくのを感じる。しかし、再び挿入してしまった以上抜きたくない想いの方が強く、琴音は急いで帰ろうと家路に向かう。
 しかし、その歩幅は普段より全然遅い。気を付けて歩いているとはいえ一度公園に立ち寄って、ストッパーを入れ直し、ファーストフード店に立ち寄ってお手洗いを借りて、ストッパーを入れ直す。

「らめぇぇ・・・・・・もぅ、あるけにゃい・・・・・・おしりぃぃ・・・・・・ジンジンしゅるぅぅ~~うんちぶりゅぶりゅでちゃいしょう~~~」


 歩き続けた琴音の脚は、自らの腸液と愛液の滴りでびしょびしょになっていた。
 限界を感じる身体のまま、なんとか家まで辿り着くよう踏ん張って帰るのだった。


続きを読む

「はぁ・・・はぁ・・・」

 琴音ちゃんの身体でアクメに達した俺は火照り続ける身体の疼きが未だ抑えきれずにいた。琴音ちゃんには悪いけど、彼女の細い指では満足いくものではなかった。もっと太いバイブを挿入して、本気の絶頂を味わいたかった。
 琴音ちゃんの身体には際限がないのか、イっているはずなのに、どんどんと欲求が膨れ上がっていく。
 とろりと滴る愛液が乾くまで、しばらくは休んでおかないとこのカラダで暴走してしまいそうだった。

 そんな俺を見ながら琴音ちゃんは俺の制服から唯一残っていた形見の『鏡』を取り出していた。俺の『変身』道具であり、誰かに持ちだされるとしたら、例えそれが琴音ちゃんであったとしても許されることじゃない。

「な、なにするんだよ、琴音ちゃん!?」
「いいから、黙ってみてなさい」

 琴音ちゃんが何かを決意して目を閉じる。そして、彼女の身体が眩しい光に包まれる。
 何度も『変身』してきたから分かる。これは――

「琴音ちゃんと『鏡』が共鳴しているっ・・・!?」

 琴音ちゃんが誰かに『変身』しているのだ。『鏡』を使い、他人に『変身』することを琴音ちゃんが厭わない理由が俺には分からない。
 いったい誰に『変身』しているのか――そんな疑問は光が消えるとすぐに導き出された。
 琴音ちゃんが『変身』した姿が誰なのか――そんな答えは誰よりもすぐに分かっていた。

「お、俺だと・・・・・・!?」

 そう、琴音ちゃんは海藤結弦の姿に変身していた。俺たちはお互いの姿を入れ替え、『変身』したのだ。

「そうだよ。この方が海藤くんも興奮するでしょう?」
「それって、どういうことだよ・・・・・・」

 わざとらしく聞いてみる俺に、不敵な笑みを浮かべて近づいてくる結弦(琴音)ちゃんは、興奮冷めやらないとばかりに見せつける勃起チ〇ポを向けて、力任せに俺の上に覆いかぶさった。

「海藤くんのチ〇ポで私を犯してあげるって言ってるの!大人しくしなさい!」
「ひぃぃぃっ!!?まっ、本気なのか!?」
「マジよ。大マジっ!感謝してよね、私の処女をあげるんだから!」

 俺たちはお互いの姿を入れ替えて、セックスしようとしていた。
 自分を犯すことに目を輝かせる結弦(琴音)ちゃんは、今まで見せたことのないくらい生き生きとしていた。



続きを読む

 俺は火照った身体を引きずりながら誰もいなくなった教室へと連れていかれた。
 事の発端は、俺が屋上で「はっくしゅん!」とくしゃみをしたことだった。体温と気温の温度差が違い過ぎたせいで一瞬温度調整ができなくなってしまったのだ。
 室外ではこれ以上は支障がきたすと判断した琴音ちゃんの気遣いだろう。

「ここでやりましょう」
「あ、ありがとう・・・」
「勘違いしないでよね!自分の身体で風邪ひかれたくなかっただけよ」

 照れ隠しのように俺の制服を乱暴に脱がしていく。自分と全く同じ制服。そして、まったく同じ下着を見て琴音はさらに驚いていた。

「・・・・・・この制服ってどうやってできてるの?」
「よくわかんない」
「下着だって同じ素材でできてるじゃない・・・本当に海藤くんが穿いてたわけじゃないのよね?」
「同じサイズはたぶん穿けないと思う・・・」
「それもそうね・・・」

 琴音ちゃんの手で下着とソックスだけにされた俺はドキドキだった。今まで琴音ちゃんに近距離まで接近したことは一度だってなかった。
 姿が変わるだけでここまで気を許してしまえる者なのか、興味本位然り、本能をくすぐる玩具を見つけた子供のような無邪気さを見せながら、俺に警戒心を全く持っていないのが不思議でならない。
 琴音ちゃんは本当に、自分に目がない、

「待って。私も脱ぐわ」
「琴音ちゃんも!?」
「その方が海藤くんも興奮するでしょう?」

 スルリと、制服が肌を擦れる音が耳に響く。そして、琴音ちゃんは自分で制服を床に落として俺と同じように下着姿を教室内で曝していた。

 全く同じ体型をした二人。全く同じ容姿をした琴音ちゃんと琴音(結弦)。
 同じように息を呑み込み、同じように二人感嘆の息を吐きだした。

「綺麗・・・・・・」
「私もそう思う」

 琴音ちゃんも自画自賛の芸術。それはまるで、突如現れた鏡に映し出されたようにお互いが相手の身体を見つめている。俺が舐めるように琴音ちゃんを見るように、琴音ちゃんも舐めるように琴音(結弦)を見ている。
 見られるってこういう気持ちなんだと、視線が刺さってゾクゾク感がたまらなかった。

「まるで鏡ね・・・」

 琴音ちゃんがやっていて俺に身を寄せ合う。そして、何を思ったのか、胸を押しつける仕草をし始める。ブラに宛がい乳首を擦りつけて、何度も乳房を揺らしていく。

「ん・・・はぁ・・・」
「・・・・・・なにやってるの?」
「胸の柔らかさも同じかと思って」
「気になる?俺の身体?」
「それはそうでしょう?光の屈折とか、目の錯覚を利用してるのかなと思って」

 そこまで考えているのか・・・・・・でも、そんな理屈じゃなくて、この現象は『変身』なんだよな。
 俺が一番理解していることだ。説明できないけど、この身体は琴音ちゃんそのものだって理解できる。
 琴音ちゃん本人が確かめようと、俺の勃起チンポはどこにも出てこないはずだ。
 それが分かると琴音ちゃんは身体を放した。
 解放された小動物のように、俺は緊張を解いて身体を楽にした。

「じゃあ、次は四つん這いになって」
「えっ?えええっ!?」

 琴音ちゃんは俺に要求する。言うのは楽かもしれないが、実行するには想像以上に難易度が高かった。

「早くして。別に恥ずかしいことじゃないでしょう。恥ずかしいのは私なんだし」

 そうかな。確かに姿は琴音ちゃんだけど、やる身としては恥ずかしいんだけどな。

続きを読む

 運動部に所属している愛莉と別れ、琴音は一人帰宅部らしくまっすぐ家路に着こうと下駄箱を開けた。
 すると、一通の手紙が入っていたことに気付いた。差出人不明であったが、中身を読んでみると、それはラブレターだった。

「わわ、私にラブレター?!」

 こんなことあるのかと、人生で初めてもらったラブレターについ興奮してしまう。差出人不明というのも想像力を掻き立てられるポイントの一つだった。つい、頭の中で付き合えたらいいなという人の顔が出てきてしまうものである。

「いったい誰からなんだろう。・・・気になるぅ~・・・・・・う~~ん・・・・・・」

 こういう時に頼りになる愛莉はいなく、一人で考えても埒が明かない。
 不安もあるけど、相手は同じ学校の生徒なのだから、付き合うにせよ断るにせよ、一言感謝の言葉を言って綺麗にこの件を終わらせることは出来るだろう。
 そう自分に説得すると、軽い足取りで屋上へ向かったのだった。
 昼食でも向かった屋上は、すっかり夕焼け空に変わっていて、春の桜が咲いているとはいえまだ少し冬の肌寒さは残っていた。
 授業も終わり、用がなければ屋上に上がる人はいない。きっとこの場にいるのは、琴音自身と手紙を置いた相手だけだろうと思っていた。
 少し歩いた先に、予想通り、一人の人影が見えた。夕陽に当たって見えなかった相手に自分の存在が分かるように歩を進めると、相手には琴音がやってきたことが分かったようだった。

「ごめんね。待たせちゃって・・・・・・あなたが手紙をくれた人だよね?」

 琴音が少し声を明るく語り掛ける。

「そうだよ」

 相手は答える。琴音はドキドキして、いったい誰が手紙をくれたのだろうと薄目にして差出人の顔を捉えた。
 夕陽の光が少しだけ弱まった。相手の輪郭が見えてきて、琴音にも相手が誰なのかはっきりしてきた。その人物とは――

「(・・・・・・ゲッ。海藤くん・・・・・・)」

 琴音は声には出なかったと思うが、露骨に表情に現れた。
 すっかり頭の中から存在を忘れていた要注意人物。むしろ、琴音にラブレター渡すとしたら彼かその他の生徒かに分かれるくらいの覚悟をしておいた方が良かったと思うほど気にしなければいけなかった人物だった。
 不覚にも墓穴を掘ったと、琴音は後悔した。

「来てくれたってことは、俺がなにを言いたいのか分かるよね?」
「ええまぁ・・・」
「琴音さん。俺と付き合ってください!」
「ごめんなさい!」

 撃沈までわずか1秒もしない早業。結弦の冒険はここで終わってしまったのだ。
 そして、その時にはもう、琴音が胸に仕舞いこんでいた感謝の言葉はすっかり忘れこんでいたのだ。

「あ、あのね・・・でもね・・・・・・クラスメイトなんだし、これからも仲良くやっていこう・・・・・・ね?」

 なんていう慰め言葉を言うことも、結弦は計算に入っていた。何故なら――

「――そういうのは、自分のためだろ?」
「えっ?」
「琴音さんが人から嫌われたくない、人から好かれたいから言うんだよね?だって、琴音さんは自分が一番好きだから」
「・・・・・・なにそれ。ちょっと、それどういう意味?」
「言葉通りの意味だろ?自分が一番の理解者だから、自分の事を知っているように言われると腹立つんでしょう?」
「はぁぁ!?海藤くんに言われたくないんだけど!!」

 腹の虫が起こされて激情してしまう。その通りかもしれないけど、やっぱり琴音には我慢できない。
 他人のことなんて誰にも分かんない。だから自分のことを一番信じてあげるのが一番の良き理解者だ。
 琴音にとって付き合う相手の理想を下げるつもりはない。妥協は絶対しないのだという強い意志で彼を断る。

「私帰る」

 踵を返し、結弦から離れる。その一瞬目を離した瞬間だった――

「ちょっと待てよ」
「・・・・・・えっ?」

 もう一度振り返る。その相手の声は、今まで会話していた相手と明らかに声色が変わっていたから。
 甲高い女性の声で、今まで何度も聞いた声がした。
 それは、他ならない、他でもない――

「えええっ!!?なな、なんで私がいるの?!!」

 ――先程まで結弦がいた場所に、朝桐琴音が立っていたのだ。
 琴音と全く同じ容姿、同じ姿で。
 双子でもコピーでもない、同一人物の琴音。それは本人が見ても見分けがつかない紛れもない、本人と同じ成りをしていたのだ。

「やっぱり驚いてる。俺だよ、琴音ちゃん」

 姿は同じでも口調が変われば雰囲気が変わる。そこから滲み出る変態の出汁。

「えっ、あっ、まさか・・・・・・海藤くんなの?」
「そうだよ、琴音ちゃん」
「し、信じられない!私の姿になって、ナニしようとしてるの!?」
「これが俺の手にした道具の能力なんだよ。誰にでも変身することができるんだ」

 琴音に『変身』した結弦が『鏡』を見せつけてその能力を説明する。普通のコンパクトにしか見えない道具を玩具にして他人に成りすましている結弦に、琴音は初めて人としての興味を惹かれた。

「まさか・・・・・・お昼にあった愛莉って・・・・・・」
「俺だよ。雨夜さんとして近づいて、情報収集してたんだよ」
「なんなのよ・・・・・・なんなのよ~!!!」

 怒っているのか困惑しているのか分からない声を張り上げる。それほどまでに琴音は驚いていた。

「琴音ちゃんが愛しているのは、琴音ちゃん自身でしょう?なら、俺が琴音ちゃんになれば愛してくれるよね?」

 などという、相手に好きになってもらうために、一番好きな人物に変身することを厭わない結弦。琴音が自分が好きなナルシストなら、結弦は琴音に変身して愛されることを優先する。それが果たして結弦にとってメリットがあるのか分からなくなっていた。朝桐琴音に愛されるためなら海藤結弦という器を捨ててでも厭わない精神はストーカーの域を超越したものだった。

「・・・・・・それが、海藤くんの示す問いかけなのね」

 琴音は一度喉を鳴らした。そして、

「いいわ。付き合ってあげる」

 琴音は結弦の告白を受け入れたのだった。


続きを読む

 授業を終えて昼食時間に入る。
 教室を飛び出し、食堂に向かう生徒やパンを買いに購買に走る生徒、外に出てコンビニに向かう生徒も多い。
 琴音と愛莉はいつも屋上でお弁当を食べている。屋上が解放され、正午の一番高い太陽から浴びる陽射しを浴びながら食べるお弁当が好きだからだ。他にも多くの生徒が利用するので、席は食堂と同じくらいの激戦だ。そのために授業が終わった後の即行動が重要であり、先をいったものが有利なのである。
 特に体育の時間を終わった後の昼食は早着替えを要する時間を加味しても勝敗は五部と五部。決して有利に働くわけじゃない。しかし、今回は授業が早く切り上がったおかげで着替えの時間を多くとれた。普段通り早着替えすれば屋上の特等席は余裕を持って座れそうだと琴音は確信していた。
 着替えを済ませて教室に帰ってきた琴音と愛莉は、鞄を持って急いで屋上へと向かおうとした。

「あ、あれ・・・・・・?」

 そんな時、愛莉が鞄からなにかを慌てて探している。

「お弁当がない!おかしいな。ちゃんと入れてきたはずなんだけど・・・・・・」
「ええ~。寝ぼけて忘れてきたんじゃない?」

 鞄の中身を全部出してもお弁当箱は出てこない。他の場所を探せば屋上の席は誰かに取られてしまうかもしれないと、愛莉は琴音に先に行ってもらうように促した。

「ごめん。先行って。パンでも急いで買ってくるから」
「わかった。席取っとくね」

 二手に分かれて愛莉と別れて琴音は屋上へ向かった。廊下をひた走り、階段を二段飛ばしで駆け上り、鉄扉を開けて陽の下に飛び出す。
 そこには多くの生徒が座っていた。やはり、愛莉のやり取りで時間を取られたせいか、座るのに手頃な席やひな壇はすべて埋まっていた。
 琴音のことなどお構いなしに食事をしながら談笑する生徒たち。
 間に合わなかったのだ。

「そんな・・・・・・どうしよう・・・・・・」

 困っている琴音のもとに――

「琴音~!」

 手を振って合図をする人物がいた。琴音は呼ばれて驚いた。

「愛莉?」
「そうよ。私は愛莉よ」

 琴音に返事をする愛莉が手招く。そこは屋上を使う生徒たちの中でさらに激戦区の、一番陽当たりのよく、景色が一望できる”特等席”と呼ばれる席だった。

「お弁当がないって購買に行ったんじゃないの?」
「お弁当ならココにあるよ」

 忘れたと言っていた弁当を入れた包みを持ち上げて見せる。一体、あの時間はなんだったのかと琴音の頭に疑問符が浮かぶ。

「えっ?あっ、あったんだ・・・・・・」
「そうだよ。だから琴音がくるのを待ってたんだ」

「座って」と言って琴音を横に座らせて一緒にお弁当を広げる。最短距離を駆けてきた琴音を追い越し、誰も座らず特等席を取っておくことが、果たしてできたのだろうという疑問を持っても、実際にできているという結果をありありと見せられては琴音は何も言うことができなった。



続きを読む

「はぁぁ~・・・・・・きもちよかったぁ・・・・・・」

 結局、三回もイってしまった愛莉の身体はホクホクになっていた。女性の身体というのはイく回数に際限はないのか、乳首もビンビンに勃起していて痛いくらいなのに、クリ〇リスと一緒に触ると痛みを通り越して快感に変わるのだから。
 そうなれば、後はアクメに到達するまで一直線だ。おかげで椅子の上は愛莉の愛液でベチョベチョになっていた。
 運動部に所属しているだけ体力は並大抵ではない。愛莉は授業が終わる時間が差し迫っていることに気付くと、すぐさま身体を起こし身なりを整えていった。
 初めて付けるセーラー服だが、愛莉の記憶に任せて着替えると、まるで習慣付いている動きのように簡単に着替えてみせた。

「これで元通りっと」

 スカートを翻し制服に折り目をつけて凛々しさを見せると、普段の愛莉の雰囲気を醸し出す。どこから見ても雨夜愛莉にしか見えないと、変身した俺自身でさえ思うほどだ。

「当然だ。私は雨夜愛莉だぞ」

 鏡に映る彼女はそう言っていた。
 しかし、一瞬ぶるぶると身体が震えた。あれだけイった身体だ。俺は突然の尿意を覚えたのだ。

「まだ時間はあるし、先に行っておくか」

 俺は教室から出て、まっすぐに女子トイレに向かった。記憶を読みこんでいるせいで、男子トイレに間違えるなんて言うことはしない。まるで普段からそうであるように、女子トイレに入ることに躊躇はなかった。



※以降、放尿シーンありますので、閲覧にはくれぐれもご注意してください。



続きを読む

 前川先生で楽しんだおれは、琴音ちゃんに近づくために次の策を模索していた。
 まずは琴音ちゃんがどんな気持ちで俺をみているのかを知る必要があるのではないだろうか。いや、俺たちは互いが想い続けている両想いなのは確定的に明らか。「どうして?」と理由を問われれば、「だって、そういうものなのだ」と、答えざるを得ない。
 間違いないのだが、果たしてそれで納得できるかを問われると面倒くさいので、告白までのワンステップを段階的に踏んでいくとすれば、琴音ちゃんの本心を聞いてみることは必要になってくる。
 初めて琴音ちゃんに俺のことをどう思っているのか・・・そんなことを本人に直接聞くのは恥ずかしい。威厳見せて普段接している俺が男のプライドをかなぐり捨てて相手の顔色を窺いながら様子を見るというのはなんとも締まりがない。

「琴音ちゃんは黙って俺についてこい、しっかり二人の将来設計を切り開いてやるぜ!」
「海藤くん、素敵。・・・・・・私、惚れちゃいそう・・・・・・ポッ」

 それが俺の理想な告白である。
 そこで、デコイとして体よく琴音ちゃんと仲がいい雨夜愛莉を利用することにする。
 愛莉は常に琴音ちゃんと一緒にいる中学からの親友だ。彼女に『変身』すれば琴音ちゃんも簡単に本音を漏らすはずだ。
 この時間男女分かれての体育。校庭で運動する輪の中から外れた俺は体育館に忍び込むと、しっかりと琴音ちゃんと一緒にボール遊びをする愛莉の姿も確認できた。
 俺は体育館から教室に戻る。つまり、その時間は教室に誰もいないからだ。今のうちに愛莉に『変身』して、記憶を読み取る準備に取り掛かる。

 前回、前川先生に変身した時のことを思い出し、段々とその仕組みが分かってきた。
 変身現象の正体は、俺が先日購入した『鏡』によるものだったのだ。どうやらこの『鏡』を所持している状態で強く相手のことを想うと、その相手に『変身』することができるようになるのだ。しかも、
時間がたつと変身した相手の記憶が読めることを知った。
 それならば行動を急ぎ、愛莉に成りすまして機会があれば琴音ちゃんの本心を聞くとしよう。

「・・・・・・・・・」

 ガラララ――

 誰もいない教室に戻ってくる。まだ授業は始まったばかりなのだから、当分誰もやってこない。

「・・・・・・よし、無事に雨夜さんの姿になってるよな、うん」

 教室に戻ってきた時の俺は愛莉の姿に『変身』していた。運動着よりも制服の姿をしているのは、普段見ている愛莉の姿を想像していたからだ。
 クラスメイトに『変身』するのは、前川先生に『変身』する時とはまた違う緊張がある。年齢が同じ女性の身体を好き放題に出来る楽しみに胸が踊らないわけがない。
 運動部に所属しているだけあってスタイルは他の生徒よりも群を抜いて良い愛莉だ。高い身長と細身のウエスト。それでも制服の上からでも膨らみを見せる乳房とお尻は、成長期といわんばかりの若々しさを持つ理想的な身体だ。
 視線を落として愛莉の見ている視点で胸を覗くと、はっきりと膨らみを見せており、制服を持ち上げている様子に思わず鼻の下を伸ばしてしまった。

「でへへ・・・・・・愛莉の身体を好き放題出来るなんて、たまんねえな・・・・・・」

 思わず愛莉の身体を抱きしめたくなって両手で空を切りながら愛莉の身体を抱きしめて身体をくねらせた。しかし、見ているだけではもったいない。急がないと授業は終わっちまう。

「これから、愛莉の身体を見せてもらうからよ・・・・・・」

 本人に許可を一方的に取るように言い放ったあと、俺は空いている椅子に腰を下ろした。
続きを読む

「はぁ~~はぁ~~・・・・・・♡」

 前川先生の身体で絶頂を繰り返し、噴き出した愛液で指がベトベトだ。艶らかに光る先生の指を見つめながら、アクメの心地よさに酔いしれる。

「こんなに感じるのか・・・・・・病みつきになりそうだぜ・・・・・・」

 保健室に香る静けさの中に、自分の出した女の匂いまで漂っているみたいだ。その匂いを嗅いでいると発情してくるのか、再び下腹の辺りが熱くなってきた。
 ぶるぶると震える前川先生の身体に、込み上げてくるものがあった。

「はっ・・・!そんだか急に、おしっこしたくなってきたな」

 オナニーした後で感じる尿意。おしっこの穴のすぐ近くを弄っているせいか、緩んだ穴から感じる尿意に、慌ててスーツを穿きなおした。このまま女子トイレに向かい駆け足で廊下をひた走る。保健室を出てまっすぐ進んだ先が女子トイレだ。
 しかし、あと少しというタイミングで二階からおりてくる人物が現れた。それは紛れもなく、前川保奈美だった。

「どひぇ~っ――ほ、本人!?」
「・・・・・・あん?」

 声が聞こえて振り返る。俺はすかさず柱の影に隠れて見つからないことを祈った。なにをしに降りてきたのかと思ったが、前川先生も何事もなかったように歩みを進め、女子トイレへと入っていった。

「なんだ・・・・・・たまたまトイレが重なっただけか・・・・・・」

 本人と一緒に女子トイレで済ます。一枚壁の向こうに同じ人物が用を足しているなんて想像も出来ないだろうが、それは逆を言えば大変リスクが高い行動であり、鉢合わせするより安全を心掛ける俺は、別の方法を模索することにした。
 ここから次に近いトイレは二階にある。しかし、階段を昇る手間が面倒だと考えているとき、俺の中でナイスアイディアが頭の中に閃いたのだ。

「そうだ!せっかく今俺の姿は前川先生なんだし、少しくらいみんなを驚かしてやるとしよう。むふふふ・・・・・♪」

 あくどい笑い方を見せて肩を揺らすと、俺は女子トイレとは別の方向へと歩みを進めていった。


※以降、放尿シーンありますので、閲覧にはくれぐれもご注意してください。続きを読む

 コンコン。強く扉がノックされ、大浦可南子‐おおうらかなこ‐は返事をした。扉が開き保健室に入ってきたのは、前川先生だった。

「前川先生。どうしたんですか?」

 正直言って前川先生は怖い。生徒と親しい関係を作るという雰囲気はなく、生徒に自分の与えられた使命だけを叩きこんでいくというオーラが全開なのだ。それは、生徒だけではなく、先生たちにも同じような態度を強要してくる。時に私は、このことでよく前川先生と衝突するのである。
 今日もまた前川先生はなにかお冠だった。

「1組の布施くん。今日もまた1限目の授業抜け出していましたよね?」
「ええ、そうね。具合が悪いって言って保健室で休ませましたけど、少し寝たら体調が良くなったって言って戻っていきましたよ」
「戻ってないんですよ」
「えっ・・・?」
「それに、体調が悪くて早退しますって伝言を残したらしいんです」
「それは・・・・・・」

 布施くんは私に嘘をついて学校をサボった・・・・・・。そのことで前川先生は私のところにやってきたのだ。

「既成事実を作っているんですよ。生徒たちに聞いたところ、アイドルのライブに行く準備をしていたみたいです」

 でも、例え私が裏切られて布施くんが学校をサボろうと、布施くんには布施くんの考えがあって行動しているのなら、それを私は怒るつもりはない。だって、布施くんには布施くんの人生があるから。

「生徒には生徒のプライベートがあるんですよ。そんなところまで先生が加入しない方が・・・」
「分かってます?だから貴女は生徒に舐められるんです。先生としての威厳を出して生徒に真面目に向き合ってくださいっ!」

 そんな私を前川先生が真っ向から否定する。大人同士の、生徒教育の意地と意地とのぶつかり合いを強いられ、思わず涙が出そうになる。何故前川先生にそんなこと言われなくちゃいけないんだろうと、人格否定されると堪えるものがある。

「わ、私だって真面目に向き合ってます」
「だったら、今すぐ布施くんの家に行って、ちゃんと生徒と向き合ってください。こんなことを繰り返していては将来碌な大人にならないでしょう」
「そうかもしれませんけど・・・」

 保健の先生が学校を抜けていいものだろうか。ここは担任に任せた方がいいのではないかと目で合図をしていると、

「ここは私がしばらく見てあげます。幸い、次の授業は空いてますから。あと、このことは他の先生には黙っておいてあげるから、さっさと布施くんの家に行ってあげなさい」
「そうですか。助かります」

 なにが助かるというのだろうか。でも、前川先生と一緒に保健室にいるくらいなら一度席を外したい気持ちもあった。私は白衣を脱いで車の鍵を手にすると、保健室を出て布施くんの家に向かうのだった。



続きを読む

↑このページのトップヘ