純粋とは矛盾色-Necronomicon rule book-

夢と希望をお届けする『エムシー販売店』経営者が描く腐敗の物語。 皆さまの秘めた『グレイヴ』が目覚めますことを心待ちにしております。

カテゴリ:グノーグレイヴ『洗脳』 > 水晶『イヤリングで彼女をリモコン操作』

 縺れる二人の女体。奈津子がイッタ後、茂美も逝ったようで、二人はベッドで荒い息を吐いていた。
 意識を失うかのような脱力と最愛な人と一緒に絶頂を迎えた達成感が至福の時間を知らせてくれる。

「気持ち良かったね」
「……うん」

 供に微笑む二人はいつまでも放れないように肌を合わせあっていた。

 ……と、『リモコン』で見ていた稲葉が遂に動き出す。教室から席を外して保健室へと向かう。その間に奈津子にかかっていた補正をすべて断ち切った。


 ・・・・・・・・・
 ・・・・・・
 ・・・

 プツンと切れたかのような感覚があった。私の中にあった茂美に対する熱い感情が急激に冷やされていくのを感じていた。
 違和感である。どうして私は、あそこまで茂美に熱くなってしまったのか?
 どうして私は茂美を愛してしまったのか?
 どうして私は茂美と、愛してしまったのか……

「――――っ!!」

 息を飲んだ。

(そうだ。わ、私…………)

 我を忘れてしまった。絶対に踏み越えてはいけない一線を越えてしまった。
 やってはいけない行為をやってしまった。
 絶対に伝えてはならない好意を伝えてしまった。

「どうしたの?なっちゃん?」

 なっちゃん?私をなっちゃんなんて呼んだこともない茂美がそこにいた。先程の私のように、イヤらしい目で私を見つめる木下茂美がそこにいた。

「ねえ、こっち来てよ。せっかくだから、先生が来るまでもう一回してみない?」
「あ――」

 茂美?…………茂美!?そんなこと言うキャラじゃなかった。

「今度はショーツの上からじゃなくて、おまんこに直接いじってほしいなあ。なっちゃんの手だもん。きっと気持ち良いんだろうなあ。――来て、なっちゃん。指を舐めて濡らしてあげる」

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 茂美の方がやる気になっていて、まるで現実に戻ったのは私だけという感覚にとらわれる。
 立場が逆転している。私をとめるはずだった茂美が狂い、私が今度は茂美をとめる立場になっている。

「茂美。も、もうやめよう」
「ええ~?どうしてぇ?」

 トロンとした目で私を見ないで。本当に茂美が別人に見えるから。

「だって、ほらっ、頭が痛いって言ってたじゃん。私、それで茂美を保健室に連れて来たんだよ?裸になったら、きっと症状が悪化しちゃうよ」

 今更ながらに当然のことを伝える。今まで思い浮かばなかったのが不思議なくらいで、でも、その提案すら茂美には通らなかった。

「ああ。そうだったね。でも、大丈夫。アタマ、もう全然痛くないよ。だから、なっちゃんもショーツを脱いで♪」

 茂美がショーツを脱ぎだして愛液に濡れたおまんこを曝け出す。毛の生えている茂美の恥部を見てしまった。
 私は、たまらなくなって保健室を飛び出してしまっていた。


 どうして?どうして?


 今まで快楽だったものが、今では嗚咽を伴う苦痛に感じてしまう。
 煙草を吸っていた喫煙家が久し振りに吸ったら気持ち悪くなったと似たような感覚だ。

 あれは茂美じゃない。私の憧れる茂美じゃない。もう、茂美は別人だ。
 私の初恋はこうして終わった。

「ぅ……うう――!!」

 泣き声を隠したくて、顔を隠して涙と顔が見えないように廊下を走っていた。
 茂美になにがあったのか分からない。当然、私になにがあったのかもわからない。わからなのに昨日と全く違う場所で過ごしているかのようだ。
 パラレルワールドと言ったら信じたい。それくらい、茂美を失ったのが私にはショックだった。
 ――誰か教えて。茂美になにがあったのか、私に教えてよ!

「うううう………………!!!」

 嗚咽が苦しい声で漏れだし、なにを言っているか分からない。でも、そんな私の声を聞いたのか――、

「なにがあったか教えてあげるよ」

 ――稲葉くんが私に真実を教えてくれた。 


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 身体が動かない。自分の身体なのに、思うように動かない。
 まるで自分の身体に制御装置が入れられて、停止ボタンを押されて動きができなくなったようだった。
 頑張っても頑張っても動くことが出来ない。なんなのよ、これ。茂美に助けを求めたいのにそれもできない。
 謝りたいのに、それもできない。

 と、急に身体がふっと軽くなった。身体が動き出したのだ。助かったと思った。

 でも、大きな間違いだった。私の身体は思った通りに動いたわけじゃなかった。勝手にベッドに腰掛ける茂美に向かって、唇を交わしていた。

「んんん!?ん……はぁ!な、なにをしたの!?」

 驚く茂美の表情。キス、しちゃった……それが私の心情。
 憧れの茂美に対する私の思いを、誰かが勝手に答えを出す。

『好きなら、襲っちゃえばいいだろ?』

 好きだけど、それは何かが違う気がする。女の子同士でナニをさせようというの?襲うって、――ナニを?――ダレを!?

『手伝ってやるからさ』

 私の身体は勝手にカーテンを閉め、制服を脱ぎ始めた。私の意志じゃない。身体が勝手に動いている!?帯を外してボタンを外し、首から一気に脱ぎ去ってしまった。
 ブラまで外し、上半身裸を茂美に見せつける。この上なく恥ずかしかった。

(見ないで、茂美。――やあっ!!?)

 茂美の制服を脱がし始める。私が脱いだから茂美も脱がせようと、そんな意図を感じてしまう。そして、その役割を私に押し付けている。

(ごめんね、茂美――!!)

 細い身体にほどよく染まった桃色の乳首。茂美は私の思った通りの綺麗な子だった。

(お願い。これ以上、茂美に何かしないで!お願い!!)

 その願いが届いたのか私の両手が、乳房を揉みだす。こんなことしたくないのに、自分の手なのに誰かにいじられているかのような刺激に敏感に反応してしまう。
 茂美が見ている。言葉をなくし絶句していながら、高揚した頬を染めて真っ赤になっている。
 私の手が下に降りる。

(ダメ!!それ以上は――!?)

 自分への抑制も出来ず、心の中で叫ぶしかない。驚きが隠せない。茂美の前で、お、オナニーをするなんて、シミを作るくらい感じているだなんて、死にたくなるほど恥ずかしかった。

「その、わ、わたし……あまり、こういう状況、得意じゃないんだけど……どうして、わたしなの?」

(ち、ちがうの、茂美。わ、わたしは――)

「こんなことされると――」

 私は茂美に抱きつくと、耳元で叫ぶ。

「た、すけ、て……からだが、かってに動くの……しげみ、たすけて……」

 はっきりと叫んだはずの私の声は、機械的で時々途切れるほどの、苦しげな声だった。



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 次の授業の時に驚くことが起きた。茂美が急に体調不良で授業中倒れたのだ。
 場は騒然となって先生が保健室に行くように勧めていたので、菜津子は率先して茂美に付き添い、保健室へと連れて行ったのだ。

「今日あんまり体調が良くないんだ」
「そうなんだ。保健室でゆっくり休んでよ」
「ほらっ、朝からびっくりしちゃったでしょう?なんか、身体が火照るんだ」

 ドキッとすることを軽く言う茂美である。

(それって私のことだよね?潔癖すぎるよ茂美ぃ。でも、ちゃんと謝んなきゃ)

 保健室で茂美をベッドに休ませる。先生も会議ですぐにいなくなったためか、茂美と菜津子だけが保健室にいた。謝るタイミングは此処だと思い、茂美に頭を下げた。

「ごめんね。茂美。本当にごめんね!」
「あはっ。いいですよ、そんなに謝らないで」
「あ、ありがとう!茂美!びっくりさせてごめんね!」
「ほらっ、また。謝らないでって言ってるのに」

 茂美も笑ってくれると菜津子にとってようやく心から笑うことができる。

「じゃあ、仲直りの握手しましょう。これで仲直り」
「うん。ありが――」

 差し伸びた手を菜津子は掴むはずだった。いや、そうしたかった。
 でも、菜津子の手はまたも、自分の意思とは無関係の、茂美の胸を揉んでいた。

「きゃあ!」

 朝と同じようにびっくりした茂美が身を強張らせる。

「えっ、あ、ごごご、ごめん!そんなつもりじゃ……」
「う……唐澤さん。わたしに何か恨みでもあるの?」
「な、ない!ないよ!わ、わたしは……えっ?」

 ベッドの上に乗って茂美との距離を縮めていく菜津子。手を這い、膝で布団を押しつけて、茂美の顔を瞳いっぱいに映しながら、菜津子は茂美と口づけを交わした。



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 今月お金がなくてピンチ。これで13日連続晩飯抜き。明日の朝も朝食抜かせば夜と朝連続飯抜き記録更新となる。うあ、辛すぎる。喋る気力すらなくなってしまう。
 学生は昼食だけ出るのでそれで餓死だけは免れているが……どうしてうちの親は何もしてくれないのだろうか。他のみんなは親の敷いたレールの上を歩けば何とかなってしまう道を進んでいる。それに気づかないで毎日楽しそうに笑っているのだから羨ましい。
 親の七光とか、浮き沈みが激しいとかじゃなく、きっといま、夜の7時に家に俺以外に誰もいないことがきっとさみしいのだろう。
 冷たい家庭だ。引きこもりたくなるよ。パソコン見て自作自演で釣るのを楽しんだり、成功者を小馬鹿にしてみたり、とにかく馬鹿をやることが楽しかった。無駄な時間かもしれないけど、無駄って大事なことだと思うよ。だって、今の時間も結局無駄なことなんだ。
 将来なんて結局、自分の思うようにならないものなんだから。
 世論と同じだ。周りに流されて削られて、反発して、負けて……出る杭は打たれて希望をなくしたものが今の自分だ。だとすれば、今の俺は…………もう、なにも残っていないんだ。

 だからこそ声を大きくして言う。
 俺だからこそ出来ることがある。人生の勝ち組になりたければ、世論を自分のものにすることだ。
 全員はできないかもしれないが、一人くらいだったら、レールの上から突き落とすことくらいは簡単だろう。
 部屋に閉じこもって時刻は23時。作業していたものが完成した。
 あとはこれを――

 ぐううぅぅ~と腹の虫が鳴った。ここまで食べないとお腹が鳴ると激痛が襲ってくる。
 結果は翌日出すとして、今夜は就寝しようと布団をかぶった……。
 翌朝、学校に来ると、

「お誕生日、おめでとう~!」

 「ありがとう~!」と、みんなに歓迎されている唐澤菜津子―からさわなつこ―の姿があった。クラスのリーダー的存在で明るく人気もある。自分の意見も言うが、独占しているわけではなく相手の意見をちゃんと聞く。その結果が今日、みんなに祝ってもらえているという結果になっているのではないだろうか。

「はい、なっちゃん。お誕生日おめでとう」
「ありがとう、しぃちゃん。うわあ!手帳じゃん!わたし欲しかったんだ!」
「ふふ、よろこんでくれてよかった」

 葛原椎子―かはらしいこ―から貰った手帳を大事そうに抱える菜津子に続いて男子テニス部に所属している橋爪勇樹―はしづめゆうき―が名乗り出た。

「俺のはこれだ!軟式ボール!」

 男子テニス部らしいプレゼントである。というよりも汚れ具合から使用済みである。

「ええ。なんか即席で作ったっぽくない?」
「馬鹿!お前怒ったら何でもかんでも投げつけるじゃねえか。だから、軟式ボールなら痛くないだろう?」

 そういう理由でプレゼント決めちゃう男の人って……

「それはどうかしら?……試してあげようか?」
「か、唐澤さん……どうして距離を縮めてくるんでしょうか?ちょ、待て!!!話せば分かる!!けっこう苦労を!!ぎゃああああ!!!!!」

 ボールを投げたと同時に廊下に飛び出す勇樹。廊下で軟式ボールが凄い勢いで跳ねていた。(実はスーパーボールだったとは……勇樹は策士だ)
 さて、一通りプレゼントが出なくなったところでいよいよ俺が菜津子のところへ顔を出す。手には昨日作ったモノを持って――。

「唐澤さん」
「あ。なに?稲葉くんまで用意してくれてたの?いやあ、まいっちゃうなあ私」

 分かる様にチラッと包装したプレゼントを見せると、菜津子は満面の笑みで喜んでいた。

「俺のは、これなんだけど」

 菜津子に手渡し蓋をあけると、緑色のイアリングが入っていた。

「なに、これ?ピアスじゃん?チョイ悪って感じするよね?」
「うん。でも別に耳に穴をあけるわけじゃないから安心してよ」
「そうなんだ…………どう?うまくできた?」

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 俺に向けて早速イアリングを付けてくれたようだった。怪しく光る緑色の光沢。俺もうっすら笑みを浮かべた。

「うん。ばっちりだよ」

 第一関門通過。後は自分の席について『愉しむ』だけだった。

「ああ、稲葉くん」

 背を向けた途端に菜津子から声をかけられて驚く。何事かも思ったが、菜津子は俺に対して優しく微笑んでくれていた。

「ありがとう。でも、ちゃんとご飯食べないと駄目だよ?」
「……うわあ!今ので一気に空腹感が襲ってき……ぎゃああああああ!!!!!」

 トイレに急いで駆けつける。その光景を菜津子含めた女子大半が笑って過ごしていた。 

 人をレールの上から突き落とすには、自分が新たにレールを敷けばいい。
 枝別れが多ければ多いほど人は魅力のある大きなレールを歩きたくなる。
 堅実な意見を聞く耳を持たず、若さ故の失敗という理由に逃げての挑戦を繰り返させるような魅力あるレールを急ピッチで造り上げる。
 世論を支配するというのはいささか無理でも、一人を傾けることぐらいならやってやれないことはない。
 そして、大きなレールを敷いたら、相手にも大きなレールを歩かせればいい。
 他人の力を使ってでも、自分の腕を使ってでも――

 なに、準備はもう整っている。
 目の前を走るプラレールが、進路変更するにはもう俺の力に頼る以外方法がないように。

 ――彼女はもう、俺の『リモコン』に操られる。
 
 最後に唐澤菜津子に近づいたのは、委員長の木下茂美―きのもとしげみ―だった。普段はまじめに過ごす茂美もクラスメイトの誕生日を宣伝されて(唐澤本人が)いた為に、先生に内緒でピれ前途を忍ばせていた。

「唐澤さん。誕生日おめでとうございます」
「茂美―しげみ―ありがとう。今日みんなから貰ってばっかだよ、あはは」
「そう言う日だし、いいんじゃないの。もらっておきなさいよ」
「んじゃあ遠慮なくー♪」

 俺が上げたピアスが怪しく光る。差し伸ばした手は茂美の手渡すプレゼントを通り越し、茂美の豊満なバストを鷲掴みしていた。

『え?』
「へ?」

 その場にいた皆が固まっていた。菜津子は確かにウィットにとんだジョークをかますことは会っても、下ネタで笑いを取るような子ではない。菜津子の行動は意表を突き、また、潔癖症でもある茂美のバストに触るという行為に、触られた茂美本人すらしばらく唖然としていた。

「…………………………きゃああああああああああああああ!!!!!!!!」

 驚いた茂美は手に持ったプレゼントを宙へ放った。そして、そのまま床に叩き落とされた。
 ――ガチャンと言う音が無情に響いた。

「あ……」

 箱の中で息を止めてしまったプレゼント。ガラス細工の置物であったことを菜津子は知ることはなかった。

「急に何をするんですか?びっくりしてしまいました」
「ち、ちがうの!今のは私の行動じゃなくて、急に手が伸びたんだって!」
「……プレゼント。また、違うの買ってきますね。今度は割れないのがいいかなぁ」
「あぅ……」

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 申し訳なさそうに茂美が菜津子から放れていく。最後のプレゼントがまさかこんな結末に繋がっていることは菜津子も想像もしていなかった。
 後味の悪い菜津子の誕生日祝い。無情に響く鐘の音が、クラスの悪い雰囲気を散らす絶好のタイミングで鳴り響いた。

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