純粋とは矛盾色-Necronomicon rule book-

夢と希望をお届けする『エムシー販売店』経営者が描く腐敗の物語。 皆さまの秘めた『グレイヴ』が目覚めますことを心待ちにしております。

カテゴリ:グノーグレイヴ『洗脳』 > 水晶『宿る水晶の種』

「ねえ、純彦くん」

 放課後、私は純彦くんを呼びとめる。皆が帰る中で純彦くんは私が何を言おうとしているのか重々承知している顔だった。

「朝、あなたが見せた『石』……あれはなに!?」

 朝に純彦くんが取り出した『石』のせいで、私は今日一日おかしなことばかりをした。
 私の意志だ。でも、認めたくない自分がいる。
 だから全部、あの『石』が悪い。
 そう結論付けるしか、私には残されてなかった。

「…………典型的なスイーツ脳だね」
「えっ?」
「自分は悪くない。自分可愛い。周りが悪い……でも、ただ一つ間違っていないのは――」

 頭が真っ白になる。純彦くんの言葉の半分も理解できていない。

「そうじゃない――」

 そうじゃない。どうして純彦くんは、私のおもっていることを、
 私が喋っていないことを――

「――どうして、私の思考を呼んだの?」

 純彦くんが私を嘲笑った。その笑みは、もう一人の私が浮かべていた笑みにそっくりだった。


「美央が自分の信念を貫いたことだよ」


 純彦くんが真実を語る。

「確かにあの『石』はただの意志じゃない。俺の意志が入った欲の塊の『石』なんだよ。その『石』はいま、美央の頭の中に取り込んだ。まるでマイクロチップのようなものさ。『石』はきみとは別の、もう一つの自動回路として起動した」

「――――っ!!?」

 怖い。純彦くんの言葉が私の思考を巡り遮る。

〈逃げなきゃ!!〉
(逃げちゃだめだよ)

 もう一人の私が止めに入る。逃げようとする心と純彦くんに近づこうとする回路がぶつかり、結果私は立ち往生してしまう。

「あ……あ……」

 震えながらその場で無防備になる私。そんな姿を、純彦くんとは別の、もう一人の女子生徒が見ていた。

「そう、逃げちゃだめだよ、美央さん」

 教室に入ってくる影。その正体は、私の部活の後輩の横川千早―よこかわちはや―だった。

「ち、千早!」

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 普段は私の後ろにくっついて小さい身体を大きく見せる華麗なダンスを踊る彼女が、動けない私を見て楽しそうに笑っていた。
 それは今まで見たことない千早の笑顔だった。そして、その笑みは、あろうことはもう一人の私と同じ表情をしていた。

「美央さんがあんなにエロエロだったなんて思わなかった」

 千早は今日の私のすべてを知っている。私が何をしていたのかを把握している。それはきっと、彼女にも純彦くんの『石』が植えられているからだ。
 千早は私に植えられた『石』をリンクして、私の行動を笑って過ごしていたんだ。
 そして、それは――
 千早の小さな身体を疼かせるには十分なおかずだったんだ。


 私が『石』の解説をしている。思考が純彦くんと交わっていく……




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「ちがう……」

 私、こんな子じゃなかった。人の下着や運動着を盗んだり、学校でも自分を慰める、破廉恥なことをする子じゃなかった。
 今日の私は何処かおかしい。思考が別の方向に持っていかれる自分がいた。

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 頭の中に、もう一人の私がいる。私も見たことのない、えっちな私。

「美央、本当に大丈夫?具合悪そうだよ?」
「あ――うん……」

〈愛子。たすけて!私は具合が悪いの〉

「大丈夫だよ。心配掛けてごめんね」

 思いとは逆の言葉をかけ、愛子は素直にそれを信じる。

「栄養を取って、午後に備えよう」

 給食の時間、愛子と一緒に席をくっつけた私は、お弁当のふたを開けた。

「わぁ。美味しそうなたこさんウインナー」
「あ……」

〈まただ、頭の中で巡る思考。ウインナーの形から、私が大好きな男性の性器を連想しちゃう〉

 喉が鳴る。箸でつまんで持ち上げてみると、赤く茹ったウインナーを口に半分だけ咥えてみた。

「ちゅぱちゅぱ……」
「やだ、美央。たこさんが口に出たり入ったりしてるよ。食べるときは落ち付いて食べようね」

〈ちがうの、愛子……食べたいわけじゃないの。味わいたいだけなの。肉汁の味から、カウパー液の味を想像しているの〉

 カリッと、ウインナーを噛むと口の中で香ばしさが広がった。
 そして立て続けに二本目のウインナーに箸を伸ばした。

「でも、本当においしそう。私も食べたいな」

 心臓が高鳴った。

〈ダメ――!!!〉

 同じようにウインナーを半分だけ咥えていた私は、その言葉を聞いた瞬間、椅子から立ち上がり、愛子の唇に残りの半分を渡すように、

 ――愛子と唇を交わした。

「んふぅ……あ、んん……」

 唇を交えながらウインナーをかみ砕く。ウインナーの肉汁が愛子と私の口の両方に広がり、涎を増やして舌で絡ませ合う。
 教室の中、皆がみている中で、私と愛子は長くキスをし続けた。
 ゆっくりと唇が離れる。歓声がわく教室で愛子が笑いながら――

「美味しかったぁ……」

 涎を掬い取りながら私に話しかけてきた瞬間、私は自分が怖くなって愛子のもとから、教室から飛び出していった。


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 最後に駆け込んできた美央の姿にクラス一同唖然としていた。

「み、美央!?」

 美央は来週に控えている大会時に着るレオタード姿で体育館に現れた。皆が運動着の中、一人だけ浮いている美央は、皆の前に出て初めて恥ずかしそうに足を閉じてモジモジしていた。

〈やっぱり、みんなの前に出たら、恥ずかしい……〉

 部活でも大会でもない。体育の時間でレオタードだ。愛子も目を丸くしている中、男子たちは美央のレオタード姿に釘付けになっていた。よく見るとレオタードの生地が透けていることに気づいた男子たちは凝視して美央に熱い視線を向けていた。

〈そんな目で見ないでぇ……〉

 そんななか、体育の先生が咳払いして皆が驚いていた。

「荻月さん。大会が近かったかしら?」
「えっと……そ、そうなんです!だから、この格好でやって本番さながらの練習がしたいって……おもい、まして――」

〈く、苦しい言い訳だなあ……〉

 美央の声がしぼんでいく。

「それなら部活でやりなさい」

〈もっともです……〉

 どうしようか迷っている中で先生はフット表情を和らげた。

「……いいわ。美央さんだけ特別練習してなさい。せっかくの大会ですから、実力を発揮できるよう最高のコンディションで挑みなさい」
「は、はい!!」
「他は体力測定だ。まずは1500m走」
『えーーーーー』

 先生から許可が得た美央は授業中、皆と離れて部活の練習をしていた。柔軟体操や股割りで身体を柔らかくしながら頭の中で曲を流して、コンビネーションの練習をする。
 踊る美央の頭の中で、純彦は美央の身体の軽さに驚いていた。

(やっぱり美央の身体って柔らかいよな?股割やられた時なんて悲鳴を上げるかと持ったけど全然余裕だったし、足のつま先が頭より高く上がるなんて信じられねえよ)

 特に気に入ったY字バランスを美央にやらせる。コンビネーションの途中で全く関係ないY字バランスをした美央は自分に驚いていたが、周りの目はさらに美央に食いついていた。

「なあ、美央のレオタード、やっぱり透けてるよな?」
「おぅい!!それは黙って見学だ!」
「さらになにも穿いてないよな?」
「おおい!それがどういう意味は皆まで言うな?」
「………あそこ、濡れてるよな?」
「ぬおおお!!あれは汗だ!汗が伝って陰部を濡らしているんだっよ!?」
「イヤらしい男子~」
『うるせええええ!!!』

 クラスメイトの雑音が美央の曲を揺らして耳に入る。踊っている中で改めて美央は自分の姿を見て火照っていた。

〈ああ、みんなに見られてる……見て、私をみて……〉

 大会以上に緊張する場。知り合いが美央を見ている。そして美央も意識している。
 見るもの、見られるもの、それぞれの思いが交錯する。

(うーん……ここで一度美央を正気にさせてみるか)

 美央の頭の中で曲が止まった。そして、美央が我に返って踊りを止めると、今の自分の状況に――

「えっ……きゃあああああああああああ!!!?」

 叫び声をあげた。何事かと思い皆が美央に注目する。

「み、見ないでええええ!!!」
『………………はっ?』

 クラス一同がポカーンとする。あれほど見せるように踊っていた美央が手のひらを返したような発言をしたことに付いていけなくなっていた。皆が固まっている間に美央は体育館から抜け出し、その後帰ってくることはなかった。

「美央、どうしたんだろうね?」
「今日の美央はやっぱりおかしいかも?心配だなあ」

 更衣室に戻った奈々子と愛子は、汗をかいた運動着を脱いで制服に着替える。
 ロッカーに入れてあった鞄の中を奈々子は目を通す。

「……あれ?愛子。わたし、下着がない」

 奈々子から衝撃発言が飛ぶ。盗みである。

「財布は無事?」
「……それ以外はある」
「奈々子の下着だけ盗んだの?最低」

 奈々子が真っ赤な顔している。愛子に返事も返さないので心配になってくる。

「……一応、先生に言ってみる?」
「それはいや。恥ずかしいもの。……今日はインナーノーブラで我慢するわ」

 奈々子は意地を貫く。裸のまま制服に通す。うっすらと乳房が見えるが、目立つほどじゃないので我慢できる。

「美央に比べれば気にならないでしょ?」
「それは…………まあね」

 ガチャッと扉が開き、美央が更衣室に入ってきた。

「あれ?美央いたんだ」
「うん。ちょっとトイレに。……気持ちが落ち着くまでずっといたんだよ」

 制服姿の美央は笑っていた。だが、その手に持ったレオタードは濡れていた。

「そうだ。美央、更衣室に男子入ってこなかった?奈々子、下着が盗まれたんだよ」
「そうなの?」
「うん。なにか知らない?」

 美央に頼る様に近寄る奈々子と愛子。

「別に、誰も入ってこなかったよ」
「そうなの?」
「じゃあ盗まれたのは私たちが出てすぐってこと?ハラたつなあ」

 新たな情報はなく、奈々子は悔しそうにしていた。愛子も制服に着替え終わり、三人で更衣室を出る。それぞれ鞄を持って教室に戻るのだが、愛子だけ鞄を更衣室においてきていた。

「愛子、運動着は?」
「テニス部でまた使うし、その時に持って帰ればいいよ」
「それでいいの?あそこ全学年共通で使うんだけど」
「今までだれも盗んでいないから平気だよ?」
「わたしが盗まれたんだけど!!今日!!!」

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 愛子はちょっとずれている。中庭を通り階段を上ろうとした時に美央の足が止まった。

「…………ねえ、ちょっと二人、先いってて。忘れ物しちゃったの」
「待ってようか?」
「すぐ教室行くから心配しないで!」

 駆け足で来た道を戻って更衣室に入る美央。誰もいなくなった女子更衣室には、愛子の鞄が取り残されていた。

「ハァ、ハァ……」

 美央の吐く息は駆けてきたからなのか?荒い息使いは更衣室内に響いた。

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 体育の時間。運動着に着替えるために男女分かれて更衣室に入る。
 美央の中に入っている純彦は一人、男子では入ることのできない禁断の領域に足を踏み入れていた。

(クラスメイトの下着姿を目の当たりにして、俺しあわせ~)

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 蒔絵や寛子も制服を脱いでブルマに足を通していた。だが、その際女子たちは一度ショーツを脱ぐ。うちの学校はブルマでもインナーパンツを穿かせるのだ。そのため一度女子たちは下半身を露出させる。

(美玲のアンダーヘア―、思った以上に濃いな。なんか、知っちゃいけないことまで知っちゃったよ、えへへ……)

「えへへ……」
「美央。なにぼうっと突っ立ってるのよ?早く着替えなさいよ」
「…えっ?あっ、ごめん~」
「なんか私たちを見る目がイヤらしかったよ?」
「そ、そうかなあ?あはは……」

 純彦の思っていることが知らずうちに美央に反映されていたようだ。美央は急いでロッカーを開けると、袋から運動着を取り出して着替え始める。

「美央、体調だいじょうぶなの?」

 先程、授業を抜けたことを気にしているのか、奈々子と愛子が心配して美央に声をかけてくれた。

「うん。全然平気。別に保健室で休んでいたわけじゃないんだよ?」
「じゃあ、授業抜けてどこいってたのよ?」
「あ……」

〈私の馬鹿。そんなの、絶対言えない……〉

 美央の口が籠る。言えるはずがない。トイレでオナニーしていただなんて。
 しかし、奈々子がジト目を向け、察したようだ。

「サボりか。なーんだ。心配して損しちゃった」

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 楽しげに笑う奈々子と愛子。美央もサボりというのもあながち間違っていないので否定しない。

「ありがとう。奈々子。愛子」
「内緒にしてほしかったら帰りにデザート」
「わかった。それで手を打つよ」
「やったね!」

 二人は笑いあって先に更衣室を出ていった。結局更衣室に残ったのは美央だけになってしまった。

〈早く私も着替えなくちゃ――〉

 制服を脱いで運動着に着替える美央。ブルマを足に通す感触を味わいながら純彦は黙って美央の着替えを見ている。自分の身体を見ながら着替える美央だから、純彦は美央の視点で着替える様を見ることができて新鮮だった。

(おっぱいを上から見るって凄いよな。膨らんでいるから足の先が見えないんだもんな)

 おお、と感嘆しながら見ているうちに美央の着替えは終了していた。

「よし」

 備え付きの鏡で着衣の乱れを直しながら美央は鏡の前で頷いた。丁度時間も頃合い。先生が来る前に授業に間に合うことはできそうだ。


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 そういえば、美央が純彦を目に映したのは、俺の声を聞いたのだろうか?それとも無意識に見ただけなのだろうか?それも検証してみなければならない。
 今度は少し分かりやすいカタチで、例えば美央を教室の外に出すことは可能だろうか?
 あれほど先生が気を使ってくれているのだから、外に出ても気にしないだろうと踏んだのだ。
 美央に向かって念じてみる。

(外に出たい……外に出たい…外に出たい)

 結果はすぐに帰ってきた。美央が手を挙げた。

「先生」
「なんですか、萩月さん」
「その、やっぱり、席を外していいですか?」
「もちろんです。他のみなさんは授業を抜け出したりはさせません」
『えーーーーー』

 先生は俺の予想通り、簡単に美央を教室から抜け出る許可を出す。クラスがうめき声を上げる中、美央は言われたとおりに教室を出ていった。
 しばらく廊下を歩いた美央。行き先が決まっていないせいか、右往左往しえいるようにも見えたが、もっと分かりやすい形で――突然美央が正気に戻ったかのようにはっと息を呑みこんだ。

「…………あれ?どうして、教室を出ちゃったんだろう?」

 この言葉が俺の疑問を解決させた。俺が念じたことは美央の思考として反映されたことがわかった。純彦を見たのは偶然じゃない。俺が見ろと言ったから美央は見たんだ。
 だから今回も、あれほど先生の忠告を断ってきた美央が突然、教室を出ていったのだ。
 俺が美央を動かしている。まさに今の俺はロボットの操縦席に座っているようだった。


 だが、ロボットではなく生身の女性、萩月美央という惚れている女性の中にいる。


「戻らなくちゃ――」

 教室のドアを開けようと伸ばした手がピタッと止まった。そして美央はそのまま手を引っ込めてしまった。

「でも、足が気持ちわるいから、少し、トイレで洗ってから戻ったっていいよね?」

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 美央はトイレに向かって歩き出した。俺の指示で、目指すは誰も来ない一階体育倉庫横の女子トイレへ無意識に足を向かわせていた。
 女子トイレまで歩いてきた美央は、鏡で自分の姿を整える。

「もう、なんでわざわざ遠いトイレ選んじゃうかな?」

 ショーツの濡れた感触が気になって仕方がない。おまんこが蒸れて気持ちが悪い。
 ……逆に純彦は肌に張り付く感触を楽しんでいた。パンツが肌にくっつくことは男子は絶対にないせいか、その感触を味わい感激していた。

(うわ、美央のやつベチャベチャじゃん。これはさぞ気持ちわるかっただろうな)
 
 純彦が再び美央に対して命令を送る。

(パンツを脱ぐ……パンツを脱ぐ……)

「…………」

 美央が周りを気にし始め、誰もいないことを確認すると、

「よっと」

 スカートの奥に手を入れて、ショーツを足から脱いでしまった。脱いだショーツは処分できず、美央は仕方なくポケットに隠した。

「うぅ……自分でまいた種だけど、今日はずっとこれで過ごさなくちゃいけないのかな」

 寒気の今日。冷たい風にスカートの奥にあるクリトリスを優しくなぞられ、美央は一気に真っ赤になってしまった。

(ノーパンだとスカートの中がすーすーするよ。これじゃあ普通に歩いてても火照っちゃうよ)

「……もう、いいよね?」

 純彦に無意識に連れてこられた美央だ。何をやりに来たのかのかすら曖昧のせいで、トイレに出るのもどこかぎこちなかった。

(……そう聞き返されると、何かをせずにはいられないな)

 純彦の中にまたよからぬ思惑が渦巻く。

(せっかくトイレに来たんなら――)

 純彦が美央に指令を出した。



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 軽くイったのだろうか?そんな様子を横目で見る。

(確か俺の『石』が入ってるから、美央に意識を入れることもできるんだよな)

 早速俺はやってみる。美央をみつめて数十秒すると、

「うん……」

 俺は小さく声を上げた。と、どうして俺が声を上げたのかもわからなければ、ヤケに声も高かったような気がした。
 ひとまず視界が真っ暗で何も見えないので、なんとかして今の状況を確認したいものだ。

(……あれ?)

 なんだ?身体が動かない。金縛りか?はたまた身体障害か?急に身体が動かなくなると、ものすごく焦るものだ。

(くそっ、動け!――動いてよ!!)

 どんどん泣きそうな声になって叫んでしまう。

(起き上がってよ――!!)

 ふわっと、身体がようやく俺の石を汲んで動き始めた。
 すると、今まで座っていた席とは場所が違っていた。数学の授業や先生と、それ以外は何も変わったところがない。ただ、席が今まで廊下側だった俺が窓側の席に変わっていた。列も同じだったことから、元々此処に座っていた人物を思い出す。

(そういえば、この席って――!?)

 先生が近寄る。そして俺の顔を見て心配そうな顔をしていた。

「顔が真っ赤ですよ?保健室行きますか――萩月さん」

「(えっ?)」

 先生が真顔で俺のことを萩月美央と呼んでいた。




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「美央さん」

 話しかけないでほしい。意識を失ったあとから調子が悪い。
 さっき純彦が見せた『石』のせいだ。あの『石』は一体何だったの?

「なに?」
「スカート捲ってよ」

 思わずこけそうになった。この男は……よくも平然と最低なことが言える……。

「するわけないでしょう?ばか」

 純彦が唖然と顔をしている。本気で私がやると思っていたのだろうか?そんな表情をしてもするわけが――

(スカートを捲る……スカートをめくる……)

 なに?急に私の中で、スカートを捲りたいという思いが湧き上がってくる。

(純彦にスカートをめくる……スカートをめくりたい……)

 そんなことしたら、スカートの中が見られちゃう。イヤよ。恥ずかしい。

(スカートをめくるだけ。中を見られないならスカートをめくってもいい)

 ……そうだ。私はスカートをめくるだけよ。それなら、なんの恥ずかしくもない。
 ほんの一瞬、それだけなら……スカートを捲ってもいい。

「……少しの間だけよ!」

 純彦にスカートの裾を持ち上げていく私の姿を見せる。中のパンティが見えるぎりぎりまでなら恥ずかしくない。…まだ大丈夫、もう少し……もう、ダメ――
 
「――はい、おしまい」

 私は見せたよ。スカートを捲ったよ。だから、きっと純彦も満足しているはず。

「もう少し見せてよ」

 そんな……もっとスカートを捲ったら、中が見えちゃうじゃない。そんなの、恥ずかしい……。

(もう少し見せたい、見てほしい……)

 イヤ、ムリよ。そんなの、ダメ――

 思いがぶつかり頭が痛い。私の頭はどうなってしまったの?どうしてこんなに頭の中の整理が付かないの?

「あ、ぐぁ……」
「美央?どうしたんだ!?」
「頭が痛い……」

(……やっぱ止め。中止)

 スカートを捲りたいという思いが急になくなり、ようやく頭の中の整理が付く。頭痛もようやく消えて落ち着いてきた。

「大丈夫?保健室行く?」
「だ、だいじょうぶ。……ありがとう……」

 純彦君が心配してくれている。そう言う優しさが少し嬉しい。だいじょうぶ。次の授業の準備をしないと。しばらくすればいつもの私に戻るから。



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 他人の『石』を使って意思を読み取ったり考えを変えたりしていたが、それだとあまりに面倒くさい。
 俺、矢部純彦―やべすみひこ―はある考えを打って出る。
 自分の『石』をあえて他人に預けるという暴挙である。
 単純に俺は萩月美央―はぎづきみお―とヤりたい。話も出来る彼女を使って、俺は自分の石を彼女に植え込むことにした。

「萩月」
「急に呼んでどうしたのよ?部活のこと?」

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 俺と美央は同じ体操部に所属している。同じ部を引っ張る同士として度々話をかけることはあった。
 ……美央は本当にそう思っているようだから始末が悪い。もう少し男の気持ちを想ってください。

「まあ、そんなもん、かな?これみてよ」

 黒曜石みたいに黒く尖っている塊を美央に見せる。

「…………『石』?あんた、そんなものどこから拾って来たのよ?汚いわね。さっさと捨てた方がいいわよ?」

 きたない……?捨てた方が良いわよ……?
 ちょっと、言葉を失うくらいの衝撃が走った。
 よろしい。美央がそんな態度を取るのなら、俺は同情や哀れを消し飛び自分の欲のままに彼女を実験台にさせてもらう。
 『水晶』を握る手に力が入り――

「ごふん……ま、まあこの『石』をだ、――なあ!!」
「きゃあ!!」

 彼女の額に『水晶』を埋め込んでいく。俺の手を離れた『石』はズブズブと独りでに美央の中に入っていった。

「あっ………ぃゃぁ……」

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 苦しそうに呻き声を上げる美央。身体を抱きかかえるように両手を巻き付き、必死に何かが入ってくるのを防ごうとしているような、そんな気がした。

「お、おい、大丈夫か?」

 加えて俺の方には何も変化がない。それが不思議でたまらない。彼女に『石』を預けたら俺にも何かが起こりそうなものなのに何もないのが逆に不安だった。
 俺はただ、美央が元に戻るのをじっと待つことしかできなかった。

「……………ふぅ……」

 しばらくして美央が息を漏らして楽な体制をとった。だが、その表情は先程と違ってどこかヘンだ。自分の身体を見てニヤニヤ笑いながら、嬉しそうな表情を浮かべているのだから。 
 やがて美央が俺に気づく。そして美央は俺に対して――

「……よお、俺」

 と、おかしな返事を寄こした。




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