澤村詠美として過ごす学園生活。
昼食では一人席に座って黙々と食べていたお弁当を、今日はあかり達と一緒に席を囲んで食べる。色彩ある彼女たちのお弁当の中身を、皆分け合いながら食べ比べた。
食事が終われば便も出たくなる。女子トイレに入り個室の中に閉じこもり、初めて女性としての排便を体験した。
すべてが新鮮で、すべてが未体験。興味が尽きることのない詠美としての生活に、時間が過ぎるのはあっという間だった。
「くぅ~疲れました。一日なんてあっという間だな」
人によって時間の流れる速さはちがう。人生を謳歌し、楽しむ人ほど時間の流れはとても早いものだ。オレが男性だった時は一日が長く、何もかもツマラナカッタ。人は確固たる自分がある。例え、精神が身体から分離したとしても、オレが清原智也という記憶は忘れられない。
肉体は本体があるから分離できる。主体さえやられなければオレ自身死ぬこともない。際限のない欲望と無責任な自信。強情な驕りの結果、導かれた最高の豪遊。
だから、オレは人生を楽しむために、他人の人生を――――
「ん・・・あれ?」
おかしい。いま何かを言おうとしたんだけど、その言葉が頭の中で靄がかかり浮かんでこなくなる。
呆け?ど忘れ?それとも記憶障害?
ジョークかよ。
「このままオレが男性だった時の記憶までなくなってしまえばいいのに。そうすれば、オレが詠美に成り変わってやれるのに」
そう、今はなにも知らないオレのことだけを考えれば良い。
深夜寝静まっている間に生まれたオレ。当然オレの本体である智也だってオレの存在を知らないだろう。クラスメイトでいながら一切誰とも口を聞いてこなかったオレに、男子なら放っておかない詠美が話しかけたらどんな対応を見せるのか。その間抜け面を拝ませて貰うとしよう。
「シシシ・・・自分に対するドッキリか。腹の底から笑ってやるとしよう」
人生がつまらないなら自分から面白くしてやればいい。
それがたとえ、他人の身体を利用することであっても構わない。
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昼食では一人席に座って黙々と食べていたお弁当を、今日はあかり達と一緒に席を囲んで食べる。色彩ある彼女たちのお弁当の中身を、皆分け合いながら食べ比べた。
食事が終われば便も出たくなる。女子トイレに入り個室の中に閉じこもり、初めて女性としての排便を体験した。
すべてが新鮮で、すべてが未体験。興味が尽きることのない詠美としての生活に、時間が過ぎるのはあっという間だった。
「くぅ~疲れました。一日なんてあっという間だな」
人によって時間の流れる速さはちがう。人生を謳歌し、楽しむ人ほど時間の流れはとても早いものだ。オレが男性だった時は一日が長く、何もかもツマラナカッタ。人は確固たる自分がある。例え、精神が身体から分離したとしても、オレが清原智也という記憶は忘れられない。
肉体は本体があるから分離できる。主体さえやられなければオレ自身死ぬこともない。際限のない欲望と無責任な自信。強情な驕りの結果、導かれた最高の豪遊。
「ん・・・あれ?」
おかしい。いま何かを言おうとしたんだけど、その言葉が頭の中で靄がかかり浮かんでこなくなる。
呆け?ど忘れ?それとも記憶障害?
ジョークかよ。
「このままオレが男性だった時の記憶までなくなってしまえばいいのに。そうすれば、オレが詠美に成り変わってやれるのに」
そう、今はなにも知らないオレのことだけを考えれば良い。
深夜寝静まっている間に生まれたオレ。当然オレの本体である智也だってオレの存在を知らないだろう。クラスメイトでいながら一切誰とも口を聞いてこなかったオレに、男子なら放っておかない詠美が話しかけたらどんな対応を見せるのか。その間抜け面を拝ませて貰うとしよう。
「シシシ・・・自分に対するドッキリか。腹の底から笑ってやるとしよう」
人生がつまらないなら自分から面白くしてやればいい。
それがたとえ、他人の身体を利用することであっても構わない。
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