最上―もがみ―さおりは学園の風紀委員長であり、規則に対して誰よりも厳しい。
 風紀の乱れが学園全体を悪に染めるという考えを持っている彼女は、乱れは初期段階で叩くという信念で行動している。
 よって、学園の校門前では持ち物検査をさせられ、必要無いものは没収し、俺たち男子生徒を困らせていた。

「このままじゃ授業中にゲームもできない」
「音楽聞かにあと集中できない」
「暇な授業を聞いていると時間が長いんだよ!」 
「ばっかじゃないの。男の子って本当に集中力ないわよね」
「やめておけ、女子ども。俺たちが授業中静かにしているのはゲームありきだと言うことを忘れるな」
「俺たちをあまり怒らせない方がいい」
「俺たちが『本気』を出したらどうなっちまうかわかんねえぜ?」
「その『本気』を別のところに使ったらいいのに」
「あぁん?畑違いだ馬鹿野郎!!!」
「別のところに『本気』を移せる訳ねえだろう!!!」
「いや、言おうとしていることは分かるんだけどね・・・」 

 苦言も虚しく女子たちは去っていく。俺、堤下兼治―つつみしたかねはる―は二人を落ち着かせながらもこのままでは学園生活がツマラナイことになる危惧に相談を促した。

「最上さおりを倒す!それ以外に解決策はあるまい!」
「生徒会役員に手を出すか?中々の強敵だぞ」
「なに、俺たちが『本気』を出せば倒せない相手などいない!」
「ゲームの中ならいざ知らず、実際に戦うとなるとそれこそ畑違いだろう?」
「うるさい!やってみなくちゃ分かんねえぞ!」

 だめだ、こいつは。暴力ではなにも解決出来やしない。
 実際、風紀乱しているのは俺たちなんだしなあ・・・。

「俺に任せろ」

 ゲーム機も音楽プレイヤーも奪われたが、幸いにも『手鏡―コンパクト―』は奪われていなかった。
 さおりにも、「男子が『手鏡』なんか持って何に使う?ナルシストか?」なんて不審がられていたな。だが、怪しまれていない。
 この道具が、最上さおりに対する復讐になるなど知る由もないだろう――。 


 
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