純粋とは矛盾色-Necronomicon rule book-

夢と希望をお届けする『エムシー販売店』経営者が描く腐敗の物語。 皆さまの秘めた『グレイヴ』が目覚めますことを心待ちにしております。

カテゴリ:グノーグレイヴ『他者変身』 > 鏡『幻想殺しの妄想鏡』

 雛乃とセックスを終えた廉治は、あまりの気持ち良さにしばらく呆然としていた。
 それは、今までの綾瀬家の雰囲気を一変させてしまった体験をしたから。今まで通り仲良く過ごすことの出来なくなったことを確信し、これからは雛乃に対してセックスしたいと言う感情を持ってしまう自分がいる。
 それは仕方がないこと。実際雛乃とセックスをしてしまったから。だからこそ、廉治はもう戻れない。

「雛乃ちゃん!僕、まだセックスしたい!雛乃ちゃんの体力が回復したら、セックスしよう!」

 まるで眠れる獅子が快楽で目覚めてしまったように目をぎらつかせている。それを見て、

「あはは……おまえ、本当に面白い奴だなあ!」

 雛乃は思わず笑ってしまった。それはどう聞こえても雛乃の喋り方とは似ても似つかなかった。

「ちょっと、亮太?」
「いいじゃねえか。別に困ることなんかないだろう?いっそのこと全部喋ってこいつを仲間にしてみたらいいじゃん」

 雛乃と育代の会話を眺めている廉治。そして、雛乃は改まって手を差し出した。

「勘づいてるとは思うけど、俺はおまえの彼女の雛乃じゃない」
「えっ!?」
「むしろ、俺は男だ」
「えええっ!?」

 次々飛んでくる爆弾発言に廉治が絶叫している。
 頭の整理がつかない様子に雛乃(亮太)が高笑いをしていた。

「俺は高田亮太。で、こいつは谷口俊平」

 誰かも知らない名前で自己紹介する雛乃を受け入れろと言っても廉治には無理な話だ。しかし、男性二人が廉治でも見分けがつかないくらい綾瀬家の親娘に姿を変えているのを見て、驚きながら興味が湧いてきていた。

「ほんとうなの……ど、どうやって?」
「はぁ……しょうがないな」

 せっかく成りきっていたのに育代(俊平)も緊張感が解けたのか、裸のまま服を漁って『コンパクト』を取り出すと、廉治に『鏡』を覗かせた。

「この『鏡』に向かって誰でも良いから、変身したい子のこと思い浮かべるんだ」
「変身・・・」

 廉治が『鏡』を見つめて呆然とする。その『鏡』に映る摩訶不思議なオーラが廉治に瞳を釘づけにさせた。

「どうせ、彼女―ひなの―のことしか頭にないだろ?どうせなら俺が前に立っていてやろうか?」

 ポーズをとりながら被写体になる雛乃(亮太)。チラリと見た廉治であったが、すぐに思いなおして目を閉じて自分の世界に入り込んだ。
 イメージする……妄想である。廉治は誰よりも雛乃のことを知っているという自信がある。
 だから、亮太以上に完璧を求めるように強く想う。

「――――あっ……」

 目を閉じていたのが一瞬だったと感じるほどに短かった、自分の髪の毛が背中に当たっているのを感じた。背中が小さくなり、肩幅が狭くなっていた。顔も小顔で『鏡』を見つめる瞳が大きく見開いていた。
 『鏡』に映っているのは、『鏡』を覗くとしてはなんの不思議もない、少女そのものだった。

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「ひ、雛乃ちゃん……僕、雛乃ちゃんになっちゃった」

 雛乃(廉治)が自分の姿を見て驚いていた。彼女である雛乃が『鏡』を見つめていた。でも、『鏡』を見つめているのは本当は廉治であり、『鏡』に映る人物と見つめている人物に矛盾が生じている。
 それを証明するのはただ一つ、廉治が雛乃に変身したと言う事実のみである。

「おめでとう!これできみも俺たちと同じ立場というわけだよ!」
「まるで双子みたいだね」

 育代(俊平)と雛乃(亮太)が歓迎している。雛乃(廉治)は呆然としているだけだったが、はっと、慌てて股間を抑えると、今までついていた逸物の感覚がまったくなくなっていることに違和感を覚えた。

「ない!おち〇ち〇がない!?」
「あたり前だろう?女の子なんだから」

 女性であることを認識していることに慣れてしまっているからだろう、雛乃(亮太)は軽く言う。しかし、雛乃(廉治)の女々しい対応が新鮮に見え、育代(俊平)には雛乃(亮太)より可愛く見えた。

「ねえ、せっかくなら味わってみたいんじゃないの?」
「なにを?」
「彼女の快感。女性側のセックスってやつ?」

 それを聞いた瞬間、雛乃(廉治)の身体がビクンと跳ねた。雛乃としての快感を味わえること、それは怖いと思いながらも知りたいと言う欲求が駆り立てる。
 これを知れば雛乃本人を知ることができ、本当にセックスする日が出来れば雛乃を喜ばせることが出来るのだ。
 知恵の実。禁断の果実である。

「ほんとうに、いいのかな?雛乃ちゃんの身体なのに好きなことして」
「いいに決まってるだろう!自分の身体なんだから!」

 雛乃(亮太)が雛乃(廉治)の不安を笑い飛ばす。そうだ。たとえ雛乃の身体だとしても、それは今自分の身体で好きに動かすことが出来る。
 それは雛乃の身体にとてもよく似た偽物だ。だから、本人にはまったく影響がない。
 だから、おもいっきり楽しめる!

 雛乃(廉治)が一回頷き、雛乃(亮太)の意見を受け絵入れたことを確認すると、雛乃(亮太)は大変気に入ったように一歩前に出た。

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 廉治(亮太)と雛乃(廉治)は夜になっても綾瀬家にいた。
 俊平は『鏡』だけを置いて帰り、二人は綾瀬家で何度も身体を交えて遊んでいた。それは当然、一晩をこの家で過ごすつもりであり、二人は既にベッドの中で裸で抱き合っている状態だった。
 何度も絶頂を迎えては男女交互に入れ替わって、互いを犯し続けた。

「あふぅ……も、もぅ、こんな時間なんだね」
「時間なんてあっという間さ」


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 このベッドはもともと雛乃が寝ているベッドだ。今や二人が交えた大量のシミで、ピンク色のシーツがびしょびしょである。
 においも落ちないほどにこびり付いている。変身しては体力を戻して何度も犯すことが可能だったので、二人は狂ったほどに愛してその証拠だけはこの家に残していた。

「しかし、彼氏さんも変身の魔力に堕ちてしまうなんてな」
「しょうがないよ。雛乃ちゃんの身体がこんなに気持ち良いなんて、知らなかったんだから」

 雛乃(廉治)が恥ずかしそうに漏らしていた。しかし、彼女に変身するだけでも興奮するだろう廉治にとって、さらに雛乃の快感に病みつきになってしまうのはもはや必然であった。
 それは亮太が雛乃に変身する以上に感じてしまい、それほど雛乃に対して愛情を持っていることの裏返しであった。

「おまえ、違う子に変身したいとか思わないの?世の中にはもっといい女がいるぞ?」
「今は良いよ。むしろ、雛乃ちゃんのことがもっと好きになっちゃったし」

 雛乃(廉治)が雛乃を褒めると、自惚れにしか聞こえない。しかし、繋がったままの逸物を締める感覚はさらにきつくなり、愛液を充満させて子宮口を開いて奥へと逸物を注ぎ入れる準備をととのえる。

「うはぁ、スゴイ……また、イっちゃうよ」
「うふふ……んっ……はぁ…、いい……雛乃ちゃんのおま〇こにゴリゴリっておち〇ぽが擦られる感覚……んあっ!キモチ良いっ!」

 濡れている膣内に雛乃(廉治)は自ら腰を振って逸物を奥へと注ぎ込んでいた。廉治(亮太)が動かなくても勝手に上で動いてくれる雛乃(廉治)に楽でいい。布団の中で熱くなっている身体がさらに敏感に刺激に反応し、一度イっている逸物を再び勃起させていった。

「俺も、気持ち良い……ふんっ、はっ!んんんっ……」

 廉治(亮太)が抱きつく雛乃(廉治)のスベスベの肌。触るだけで気持ち良く、何度も触りたくなるほどモチモチとした感触に嫌な顔一つせず触らせてくれる。まるで雛乃を性奴隷にした気分である。

「いつでも出していいから。もっと気持ち良くさせて」

 照れながら呟く雛乃の声は、まるで本人が言っているようにしか聞こえない。雛乃の部屋で雛乃(廉治)とセックスしているのだ。廉治(亮太)が興奮しないはずがなかった。

「んああっ!また……なかで、おっきくなった…!ああんっ、子宮に、とどいて……ひゃぅっ!…身体が震えるよぉ!」

 快感で目を閉じて喘ぐ雛乃(廉治)。それでも、腰を振るのをやめない。イきたくて仕方なくて、もう火照った身体が止まらないのだということを知らせる。雛乃の身体で激しくイク、二度目の絶頂を味わう。

「い、いい……いくぅっ!いくイク、イクッ……!いっくううぅ―――!!

 そのタイミングに合わせて廉治(亮太)も精液を吐き出す。絶頂を迎えた雛乃(廉治)の身体が、精液を搾り取る様にぎゅっと締めつける。

「はぁ……あんっ……あっ……ぃぃ……」

 息を切らせて身体を預ける雛乃(廉治)。このまま眠ってしまいそうなほどの睡魔に襲われ、逸物を抜くこともなく意識を失った。
 逸物が抜けそうなほどに快感を味わった廉治(亮太)は、幸せに包まれながら、そのベッドで身体を合わせて眠りについた。


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 烏丸廉治は動揺していた。
 旅行に行っていると聞いていた二人が家に残っているのは嬉しいのだが、その様子は普段の家族とはまるで違っていたことについていけない。
 性欲が盛んな二人はまるで発情したメス猫のようだ。そんな知識を持っていない廉治は、ただ頭を真っ白にして状況に流されるしかなかった。

「じゃあ、次はセックスね。……烏丸くん。 セ ッ ク ス よ」

 甘い言葉で誘惑するように二度言う育代に、廉治は言葉の響きだけで興奮してしまった。
 セックス……廉治の年齢には神秘の言葉で興味を持ち始める年頃。辞書で言葉を見つけては蛍光ペンで印をつけるほどの卑猥な隠語である。

「セックス……」

 廉治も同じ言葉を繰り返す。その言葉だけで逸物がビクンと跳ねあがった。

「あらっ、烏丸くんったら若いわね。もぅおち〇ち〇硬く勃起しちゃって」

 育代の声で『勃起』といわれるだけでも興奮する。普段なら絶対に使わないだろう言葉である。それを簡単に発する今日の育代に廉治は違和感を覚えていた。

「雛乃ちゃん……今日のふたり、なんかヘン……」
「えー?」

 雛乃は廉治の彼女である。信頼しているからこそこっそりと育代の変化を聞こうとしていた。

「だって、普段と様子が違うもの。なにかあったの、雛乃ちゃん?」
「……ちっ、なんもねえよ」

 雛乃が舌打ちをする。廉治に対する非道な態度に廉治は凍りついてしまった。

「せっかく楽しみにしてるんだからよ。気にせずに雛乃ちゃんのココにおまえのチ〇ポぶち込めばいいんだよ」


 他人事のように自分のことを『雛乃ちゃん』という。そして下着を脱ぎ去ると、イヤらしくベッドに寝そべってМ字開脚をして自分の秘部を廉治に見せつけたのだ。信じがたい言葉遣いに廉治の頭がグルグルと回っていた。

「雛乃。ダメよ、そんな言葉使っちゃ。烏丸くんが困惑してるわ」
「おっと、……えへへ。ごめんなさい~烏丸くん」
「ひ、ひなの、ちゃん……?」
「びっくりさせちゃったでしょう?気にしないで。時々こういう口調になっちゃう病気なの」
「びょうき……なんだ……」

 廉治の中で何かがカチリと音を立ててピッタリ合わさる。まるで現実を信じたくなくて、都合のいい解釈を見つけて逃げてきたように胸をなでおろしていた。
 やっぱり子供であると、雛乃と育代は顔を見合わせた。

「烏丸くん。雛乃が勇気を出してあなたにセックスを求めているのよ。今は状況が混乱しているかもしれないけど、それだけは分かってほしいの。わたしの娘があなたを求めているの。親として応援したい気持ちがあるからなのよ」

 育代が廉治に納得できる言い訳を始める。それは親心を逆手に取ったものだった。子供の廉治には未だ分からない親心。娘の愛した人物になら、セックスを教えるのが親の務めであると言いたげな解釈だった。
 そんなはずがない……そんなはずがないのに、廉治には親の気持ちが分からない。
 だから――

「そうなんですか…。だから僕を、男にしようとしてくれているんですね?」
「ええ、そうよ。烏丸くんになら雛乃を任せられると思ってるわ」
「……お、おかあさん!雛乃さんを大事にします!僕、雛乃の婿になります!よろしくお願いします!!」

 ――廉治は二人に対して頭を下げた。それはまるで、親に結婚報告を承諾に来た彼氏のような儀式であった。涙を流して喜ぶ代わりに廉治の逸物がさらに大きく勃起していた。
 二人がソレを見て歓喜していた。廉治の太い逸物が挿入ることを想像するだけで、二人の表情が蕩けていた。

「くくく……ちょろいぜ」

 その様子を見ていた雛乃がぼそりと呟く。迷いも惑いもふっきれた廉治の逸物が雛乃のおま〇こに宛がわれた。




 

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「――なんてことがあったのさ」
「へえ、そうなんだ……」

 俊平が亮太に『鏡』を貸してからそんなことをしていたのかと呆れてしまう。そして今――その証言をもとに、二人が訪ねた場所は、なにを隠そう綾瀬家の家の中だった。
 今日は亮太の証言によると綾瀬家は家族で旅行に行ったということだ。一泊二日でも家を留守にする間に、俊平と亮太は不法侵入を犯して勝手にあがりこんだのだ。
 鍵の場所を聞きだした亮太が花壇の下から鍵を取り出して玄関を開けた。静まりかえった家の中で二人の明るい声が木霊する。

「でも、不味いんじゃない?ばれたらどうするつもりなの?」
「ばれるわけないだろ。そのために『変身』してるんだからよ」

      
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 亮太の声に俊平はこのために二人に『変身』したのかと感づく。確かにこれなら本人に成り済まして空きになった家を好き勝手にできる。近所から見ればまさか綾瀬家本人たちが旅行に出ているなど思いもよらないだろう。

「今日はここでやろうぜ!本人たちの私物が置いてある家でなんて妙に興奮するな」
「す、スゴイ性癖だ……」

 もはや執念である。怨念である。亮太が事故で命を落としたら、色々な紆余曲折が合って綾瀬家の守護霊となっていそうな気がして怖い。

「どこでヤる?その前に引き出しの中を片っ端から開けてこようぜ。中にナニが入ってるかとか、下着を物色するいい機会じゃないか」

 雛乃(亮太)は綾瀬家を好きにできることでもはやテンションがハイになっている。家の中を駆け回って走る姿は雛乃そのもの。たとえ俊平でも真似はできない。

「――お母さん!」

 突然、育代(俊平)を呼ぶ亮太が雛乃のマネをして呼んでいた。そう呼ばれるだけで、まるでの家の住人で、本当に育代本人になったかのような錯覚を覚える。

「二階に行こう!早くしないとお母さんの寝室に勝手にはいっちゃうよ?キャハ!」

 リビングを出て廊下を走る雛乃(亮太)。その元気さにやれやれと思いながらも――

「わかったわ、雛乃。お母さんを置いて行かないで」

 ――雛乃(亮太)の後を追うように育代(俊平)はリビングを出た。
 ドタドタと家の廊下を歩く音が聞こえる。
 外に漏れたのか、不審に思った人物が綾瀬家に立ち寄り、玄関の呼び鈴を鳴らした。

「っ!?」
「なにビビってるんだよ?呼び鈴だろ?ハーイ!」
「出るの?大丈夫?」」

 『変身』したといえども、記憶を受け継いでいるわけじゃない。育代(俊平)は誰か分からないのなら居留守を使おうとするも、雛乃(亮太)の好奇心がそれを上回った。ドアを開けて外の人物に顔を出すと、そこにいたのは雛乃と年齢が近い少年であった。

「・・・・・・・・・・・・・あれ?」

      
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 少年が困惑した表情を浮かべていた。それは、家にいないはずの二人の姿を目の当たりにしているからだ。

「今日、旅行に行ってるんじゃないの?」
「ドキ―――ッ!」

 二人の顔が慌てだす。願わくば誰にも関わらず、静かに一日を家の中で過ごしていたかった二人。しかし、この少年は育代と雛乃が旅行に行ったことを知っていた。

(だれ、こいつ!?)
(何者なの……?まずいよ……)

 育代(俊平)が目で合図をすると、雛乃(亮太)が嗤いながら冷や汗をかいていた。

「ああ、うん!旅行は今日じゃなかったんだ。本当は明日だったんだ!」

 苦しい言い訳である。
 しかし、家の中の嵐が止むか、謎の少年の手に委ねる。誤魔化しがきくかどうかの緊張の瞬間が訪れる。

「そうなんだ。そそっかしいなぁ、雛乃ちゃんは」
(ホッ)
(よかったぁ……)

 少年は納得してくれた。屈託のない笑顔をみせる少年に命拾いする二人であった。

「でもよかった。雛乃ちゃんに会えないのが辛かったから、家にいてくれて安心したよ」
「(馴れ馴れしく『雛乃ちゃん』、なんて呼ぶんじゃねえよ)」
「(亮太、ここは落ちついて。ね?)」

 顔が崩れそうになるのをなんとか隠して笑顔を繕う。それでも、ビキビキと怒りマークが見え、笑顔が引きつっているのが見え見えで怖い。早く少年が帰ってくれたら嬉しいと思っていたが、逆に少年は雛乃(亮太)の手を掴んで外に引っ張り出そうとする。

「触るんじゃねえよ」
「えええっ!?」

 雛乃の声にびっくりする少年。早く去ってほしいと思っていたのに、逆に雛乃(亮太)を連れ出そうとしたことについ我慢の限界がきたらしく、雛乃(亮太)が険しい視線を少年に向けていた。

「おまえ、誰だよ?」
「えええっ!!?」
「『え』しか言ってくれないんじゃ分かんねえっつうの!」
「お、俺だよ……からすま、です」
「からすまぁ?そんな奴知ら――、えええっっ!!!?」

 雛乃(亮太)が悲鳴をあげる。ひとり育代(俊平)が置いてけぼりである。

「(誰?)」
「(あ、ああ……。か、烏丸廉治。雛乃の彼氏だ)」
「ああ、かれし…………えええっっっ!!!!?」

 育代(俊平)まで続く。こんな草食系男子筆頭のひょろい、なよい、おさない人物が……雛乃を射止めた人物だったことに、二人はもう一度悲鳴を上げた。


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「へへへ・・・」

 俊平と一戦終わり、余韻に浸っている雛乃(亮太)が微笑む。
 よほど気持ち良かったのか、その笑みさえ蕩けているように見えた。

「気持ち良かっただろ?俊平」
「ま、まあね・・・」

 素直に感想を言う俊平。雛乃の身体を抱けたことで新たな一面を開拓できたようだ。

「ロリに目覚めるだろ!?」
「それは・・・うーん・・・それは違うんだよなあ」
「なにが違うんだよ?」

 思っていたのと回答が違っただけに雛乃(亮太)が騒ぐ。俊平も言葉を選びながら紡いでいた。

「なんって言うんだろうな・・・。やっぱり、家庭がしっかりしているとそこで育つ人もしっかりすると言うか・・・、貞操が固い分だけ清潔というか――」
「ん・・・まあ、育代さんといい雛乃ちゃんといい、あそこの家は貞操的な意味ではしっかりしているだろうな。雛乃ちゃんなんて箱入り娘だもんな。結婚は絶対二十代じゃなきゃ許さないだろうな!」

 処女じゃないとはいえ、清潔感を保っているだけに遊んでいる訳ではないというのだけは締まり具合からも分かる。育代さんみたいな母親のもとで育つ娘だ。悪い子に育つわけがないと俊平は断言していた。

「だからこそ、今、このカラダを味わえるっていうのが良いんだよな!ギャップって言うの?もし綾瀬さん宅が淫らだったら、なんてことを想像すると、もっと気持ち良くなるんだ」
「へえ~」

 拘りだろうか、『変身』した上でさらにそこに物語を作る俊平。雛乃とセックスしている時にも、普段なら絶対出来ないと知りながら犯しているのだ。『変身』という、雛乃本人ではないと知りながらも本人同様の快感を味わえる雛乃(亮太)を犯すのだ。
 ノーリスクハイリターン。
 それが『変身』だ。危険性がないのだからどこまでも妄想を膨らませられる。考えれば考えるほど快感を得られるのだ。
 それが俊平にとってたまらなく心地良いのだ。

「なあ、やってみないか?」
「なにを?」

 突然、雛乃(亮太)に言われた俊平が振り向く。雛乃(亮太)はニヤリと笑って俊平に語りかける。

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「もしも綾瀬家の母娘がとてつもなくエロに前向きだったら」
「―――――――」

 それは、俊平のためにつくられた妄想―タイトル―だった。

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「行ってきまーす!」 
「遅くならないうちに帰ってくるのよ」

 雛乃を塾に送りだした育代。目の前から消えていくまで手を振り続ける雛乃を見届ける育代の姿はまさに母親の鏡。娘を心配するあまりに過保護になってしまうのは仕方ないが、女手一つで雛乃に何不自由なく過ごさせてきたことが誇りであった。
 もちろん、帰ってくるまえに夕食を作ってあげなくちゃいけない。雛乃の大好きなロコモコを食べさせてあげようとこれから料理に取り掛かる。
 雛乃がロコモコを好きにったなのは、ハンバーグだからではなく、発音が可愛かったからである。

「さてと。腕によりをかけて作らないと」

 育代が家の中に入ろうとした刹那。ふと顔を向けると――

「おかあさん!」
「ええっ!?」

      
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 そこにいたのは、他でもない雛乃であった。東に送ったはずの雛乃が西から帰ってきたことに違和感を覚える者の、その姿は先程送りだした雛乃に他ならない。

「どうしたの、雛乃?あなた、塾へ向かっていったわよね?」

 なにか忘れ物をしたのではないかと優しく聞く。すると、雛乃の口からは驚くべき言葉が投げかけられた。

「今日は塾行かないことにしたの」

 ずる休みである。親に面と向かって休むことを宣言するも、いくら育代が雛乃に対して過保護と言っても、聞ける相談と聞けない相談がある。

「ダメよ、雛乃。休むなんてお母さん許さないわよ」

 今すぐ塾に行くように怒ろうとする前に、雛乃はさらに言葉を繋げた。

「それよりもお母さんに教えてもらいたいことがあるの」
「なによ?」
「うちの鍵って、いつもどこに入ってるの?」

 もし、家を留守にしていた場合、どこに鍵を隠してあるのかを聞いてくる。それは雛乃と一緒に決めた場所なので、雛乃が鍵の隠し場所を聞いてきたことは今まで一度もない。それが綾瀬家の当然のことだと思っていた。

「いつもって、やあね、雛乃。鍵ならここの花瓶の下に隠してあるじゃない」

 玄関前の小さな花を植えてある花瓶の下に、家の鍵を隠す空間があった。雛乃が鍵を見て感心していた。

「あっ、そんなところにあったんだ。へぇ~」
「それだけ?だったら、早く塾に行きなさい。今ならまだ遅刻しないで間に合うから」
「ううん。あと一つお母さんに教えてもらいたいことがあるの」

 雛乃がさらに指を一本立てて育代に聞いてくる。

「まだあるの?なぁに?」

 早く答えて雛乃を塾に行かせようと、育代が耳を傾ける。

「セックスを教えてほしいの」

 雛乃の言葉に耳を疑った育代は、急に娘の口から聞いた隠語に頬を赤く染めていた。

「なな、なんで雛乃、そんな言葉、どこで覚えたの?」
「学校だよ?そんなの普通のことだよ」
「普通じゃありません!」

 子供の時から、そんな言葉を知っていたらろくな大人になりません。
 親の見ていないところで雛乃の裏事情が動いていることを、知っている人物がいる。

「どうして?私、彼氏いるじゃない」
「・・・烏丸くんのこと?」
「そう!烏丸廉治―からすまれんじ―くん!だから、私、ひょっとしたら烏丸くんに襲われちゃうかもしれないしー」
「そんな子じゃないって雛乃本人が言ってたじゃない!それとも、やっぱり烏丸くんってそういう子なの?もしそうだったら速攻で烏丸くんと別れてもらいます」

 急に怒りだす育代に一瞬、躊躇を見せる雛乃だった。しかしすぐに態勢を立て直し、言葉巧みに育代を誘導していく。

「でも、私の身体だって、もう立派な大人になってきてるんだよ?身体が疼いちゃって夜な夜なオナニーしているのに、セックスできないなんて辛すぎるわよ」
「オ、オナニーって……」
「だからお母さん!お母さんが最初に私を犯してよ。そしたら私、烏丸くんとセックスするのもっと後にするから」
「…………」

 最近の子供は成長が早い。いったい、学校で何を見て、なにを話題にして、ナニを読んでいるのか――
 育代は末恐ろしくなった。

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「ただいまっ!」
「おかえり、雛乃。おやつとっといてあるわよ。ちゃんと手を洗ってからたべるのよ」
「ワーイ!ありがとう、おかあさん!」

 家に帰ってきた雛乃がリビングから出ていき手を洗いに行った。学校から帰って家族で団欒。そんな様子を亮太と俊平は庭の茂みから顔だけ出して覗いて見ていた。手作りのカントリーマアム風クッキー。それをみて俊平はお腹をすかせていた。

「いいなあ、おやつ・・・」
「そこかよ!?お前はいったい何を見に来たんだよ?」

 そんなことを言っても、頭の中になにをやっているのだろうと、もう一人の自分が俊平を見ている気がして居た堪れなくなる。

「つうか、なんで俺たちは綾瀬さん宅の様子を隠れてウォッチングしてるんだよ!?そっちの方が疑問だろうが!」
「ばぁか!おまえが俺を三十路のお姉さん達の良さを教えたように、俺も十代の少女たちの良さを教えてやろうと思ってだな――」

 亮太が気を利かせて今度の目的は育代ではなく、娘の雛乃を観察しに来たのだ。
 俊平はロリコンではない。雛乃を見てもなにも感じない。むしろ、三十近い男二人が十代を相手にするなんて今のご時世では負けのような気がする。
 警察に鉢合わせしたらどうしてくれるんだ・・・。

「ほぉ、そのためのこの寒空の下でコソコソ人目を忍んで盗撮ですか?」
「盗撮なんかするわけねえだろ!見ろ、雛乃ちゃんの可愛い姿。もう見ているだけで癒されるだろう?」

 カントリーマアム風クッキーを頬張って笑顔になっている雛乃。無邪気な表情に亮太も釣られてにこやかになっていた。
 亮太の感情移入の仕方が良く分からなかった。

「わかんね」
「てめえ!」

 突如、扉が開いて育代がきょろきょろと辺りを見渡す。

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「さっきから外で男の人の声が聞こえる気がするんだけど・・・」
「えっ?気のせいじゃないの?・・・うん、このお菓子おいしいー!」

 雛乃と育代の声が窓を開けたことでより近くに感じる。茂みの奥で身を隠し、声を出さずに指をさして合図する二人。

「(帰るぞ)」
「(いいの?)」
「(もう、十分、雛乃ちゃんの姿は目に焼きついたからな)」

 亮太がニヤッとさわやかに微笑む。
 どうやら十分に妄想を形作ったようだ。二人は早速俊平の家へと戻っていった。


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「ふおおおお―――!!!」

 育代の姿に変身した俊平が亮太と同じように自らの性器を見せつける。男性ではなく、女性の性器を肉眼で見る亮太にとって、目を惹きつけられる姿だった。

「見える、亮太?」

 育代の声で亮太に聞かせる。亮太は言われることもなく特等席とも言える目の前で育代の性器を見ていた。

「ああ、見てる・・・すげえ・・・」

 感慨深く答える亮太。中のヒダヒダが無数に覗かせ、小さな穴が口をパクパクさせている。
 濡れているのか、潤んだピンク色の肉が光っていて亮太の欲求をそそる。

「外側の部分が大陰唇。内側のビラビラが小陰唇・・・小さな突起物が陰核で――」

 育代(俊平)が自らの性器を説明してくれる。難しいで言われながらも、陰核―クリ〇リス―という事を知っている亮太には、これがクリ〇リスなのかと興味深々に見つめていた。

「ここ触ると、女の人って弱いっていうよな?本当なのかよ?」
「ああん!」

 説明の途中で軽く小突くように亮太が陰核に触れる。途端に育代(俊平)が身体を震わせ喘ぎ声を洩らした。

「亮太!ココはとても敏感な部分だから優しく触ってよ」
「ご、ごめん」

 育代(俊平)に怒られる亮太がしゅんとする。まるで本物の育代に怒られているようで、女の子に怒られたことに切なくなってしまったのだ。
 乱暴な男性は嫌われる。

 『優しく触って』・・・
 
 それでも触られることに対して肯定的とも思える発言をする育代(俊平)に、今度は優しく触ってあげる。

「ンンっ――!」

 ビクン、と育代(俊平)が感じる声を出す。陰核が充血して膨らんでいる様子が、指先の感触でもはっきりと分かる。その勃起した陰核を指先で転がすようにそっと刺激していく。

「くぅ・・・んんっ・・あぁ・・・んっ、あっ!ああっ!も、もう少し・・優しくっ…ふぅ――」
「難しいなぁ、おい」

 艶かしい育代(俊平)の声が耳をくすぐる。亮太にとって優しく触っているつもりだが、よほど刺激が強いのか、育代(俊平)は腰を引いて亮太の手から逃げるように動く。

「あっ・・また、痛かったのか?」
「ううん・・、違うよ」

 育代(俊平)の顔が蒸気している。膣口から透明な液体が溢れ出ているのに亮太は気が付いた。

「濡れてる・・・」

 濡れているのだ。亮太に弄られた育代の身体から、愛液が浸みだしているのである。陰核を刺激しただけで、女性はこんなに濡れてしまうものなんだと、亮太は驚いていた。
 女性フェロモンのにおいを漂わせる育代のおま〇こ。強烈で少しくさいくらいのにおいが亮太にとって興奮剤になっているのがわかった。愛液を吐き出す小さな穴に亮太はさらに興味を湧いた。

「なあ、この穴触ってもいい?」
「穴って、膣口のこと?」

 育代(俊平)の指先が、小陰唇の間へ滑り落ち、そのまま小さな孔を広げる。愛液を吐き出す穴がさらに広げられ、亮太に奥まで覗かせていた。

「穴が見える?うちの小さいのが尿道口だよ」
「おしっこがでるところか・・・ここから・・へぇ~」
「それで、下の穴が膣口だよ。陰核だけじゃなくて、穴の入口付近や奥にあるGスポットでも女の子は感じることができるんだよ」
「へえ~~~」

 説明を入れる俊平の性格が幸いしているのか、まるで育代から女性のつくりを教えられているようで亮太は興奮した。
 自分の身体を使って女性の性器の説明をする。
 テストに出したら100点を取ることができそうなほど、亮太は集中しており、頭が冴えていた。

「触ってもいいんだろ?」
「ん・・・もぅ、仕方ないな」

 濡れ始めている膣口へと指を伸ばしていく亮太。指を穴の中に入れていく。

「んんっ・・んはぁ・・・くぅ・・・あっ、あんっ!」

 くちゅりと濡れた感触。とても柔らかいのに、強く締めつける指触り。内部はまるで吸いついてくるように動いている。

「う、動かしていいよな・・・?」
「んンっ・・・ああ……っ!あくぅっ・・ふあ・・あっ、ああっ!」

      
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 膣内で指を動かし、色々と触っていくうちに濡れ方はどんどん激しくなっていく。
 亮太に弄られた育代の表情は高揚としており、瞳は蕩けたようにトロンとしている。

「うわっ、すげえ・・ぐちょぐちょ・・・こんなに濡れるのかよ・・・・・・」

 熟していると思っていた女性だからこそ濡れやすい。育代の膣内は既に男性の性器を受け入れる準備が十分に整っていた。
 そう、男性の性器を簡単に受け入れられるのだ。
 処女と違って。

「亮太・・・?」

 指を穴から抜いて指よりもさらに大きな逸物に手を添える。
 亮太はこれ以上ないほど興奮し、逸物も弄ったわけじゃないのに勃起していた。
 カウパー液と指に絡んだ育代の愛液を、軽く自分の亀頭に擦りこんで濡らしていた。

「俊平。じゃあ、い、挿入れるぞ」

 緊張と期待を込めた声で亮太は育代(俊平)に声をかけた。





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 高田亮太―たかだりょうた―はインターネットで情報を収集していた。ネタから政治からなんでも情報が手に入るインターネット。今日もまた暇つぶしのように携帯を開いてスレを見る。

「おい、見ろよ。このスレ。『四十代高嶺の華に憧れる二十代の若者』急増!だってよ!ありえねえっつうの!!」

 楽しげに笑う亮太に、部屋のパソコンでなにやら買い物をしている谷口俊平―たにぐちしゅんぺい―がちら見する。

「妄想記事乙!」
「そういうこと言っている内に、彼女の一人でも作ってから言えよ、虚しいな」
「俺は独身貴族で生きると決めてるんだよ!」
「彼女できない男の捨て台詞乙!」
「バーカ!結婚こそ墓場だろ?メリットゼロじゃん」

 情報によって偏見の塊になっていないだろうか、俊平が溜め息をついた。

「そう言う考えこそ、終わってるだろ?どうせ女性は14歳が至高とか言っちゃうんだろ?だからロリに走るんだろうが。女は年齢じゃない!成人女性にも目を向けてみろよな」
「ほぉ~。断言するとは頼もしい奴だな。いったい、どんなメリットがあるか言ってみろよ」
「亮太にはぶっちゃけ年上の三十代の方がバランス取れると思うぞ。おまえが子供だし」
「俺がマイナス要素かよ!?」
「間違ってないだろ?」
「へっ!俺こそ、ニッパチエリートだぜ?若い娘がわんさか寄ってくる今が旬の年齢だぞ!?」
「高校から言ってることが年齢しか変わんねえ・・・」
「(>'A`)>ウワァァァ 」

 亮太が悶絶しながら床に転がる。
 人には必ず持てる時期が三回来ると言う。
 亮太のモテ期はいつになることやら・・・・・・。

「ハァ・・・。じゃあとりあえず、その思い込みから取り払ってみようか」
「思い込み?」
「そう。まずは『三十代(笑)』とか言っちゃう、そのふざけた幻想をぶち壊す!」
「おまっ――!?」

 俊平が引き出しからコンパクトを取り出す。『鏡』を覗きこみ、俊平が思い描く人物を妄想する。
 すると、俊平の身体が縮んでいき、別の誰かになろうとしていた。
 光りの中で形を崩し、男性から女性に姿を変える。

「――――はっ!?」

 亮太が唖然としている。俊平の姿がいなくなり、目の前に――

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 三十は過ぎているだろう見知らぬ年上のおねえさんが現れたのだ。
 仲間がいなくなりどうしていいか分からなくパニックになる。亮太はとりあえず挨拶しようと、深々と頭を下げた。 

「えっと、初めまして」

 緊張した面持ちで挨拶を交わす亮太。おねえさんはその態度に噴きだして笑っていた。

「なんだよ、その挨拶は!?亮太、さては女性と全く会話したことないな?」

 気軽に亮太を呼ぶおねえさんに、亮太はさてはと思い返事を返す。

「お前、まさか俊平か!?」
「そうだよ。このコンパクトを覗きながら変身したい人のこと思うと、その人に変身できるんだ。ちなみに俺が変身したこの女性は綾瀬育代―あやせいくよ―さんって言って、近所に住んでるんだ」
「なんだよ、それ・・・変身って・・・うえええ!!?」

 驚きがさらに重なる声を上げる亮太。女性が目の前に現れただけでもテンパるのに、俊平が『変身』したというのだから驚きである。幻想をぶち壊すとかいいながら、妄想を爆発させている。そんな発想で亮太の固まった思想を拭いとろうとしているのだ。

「じゃあ、実際育代さんって実在するわけか?」
「そうだね。近所で出歩いて本人に出くわしたら面倒だから部屋の中でしか使わないけど、この『鏡』を覗けば誰にでもなれるからお手軽なんだよ」

 変身できるコンパクトを仕舞う育代(俊平)。さてと・・と、これから更生が始まるのだ。

「じゃあ、俺と会話できる?」
「か、会話・・・?」
「そう。気軽に会話をしてみようよ」
「かいわ・・・・・・?」

 何気なくする会話。俊平とはなんの苦労もなく胸の内を明かすことが出来るのに、育代を目の前にすると話の種が浮かんでこない。
 頭の中がぐわんぐわん回って、なにを喋っていいのかすら出てこなかった。

「えっと・・・う・・・あ・・あうあうあー」
「サイアク・・・」

 緊張でいっぱいになるのも分かるけど、会話をしなくなりコミュニケーションをとらなくなった者の末路の憐れなこと。育代はベッドに腰掛けながら溜め息をついた。育代本人だとしても今の亮太の不甲斐なさに溜め息を吐いたであろう。

「何でもいいから、会話しようよ。いま自分の思ったことを言えば良いんだよ」

 育代の声でフォローを入れる。その声が亮太の耳に入った。

「自分の思ったこと・・・・・・・・・・・・・エッチしよう!」
「サイテー・・・」

 駄目だこいつ、早くなんとかしないと――手遅れになる!!
 聞いている育代(俊平)の方が恥ずかしくなった。

「だって、おまえ誰にでも変身できるんだろう!だったら誰かに変身して毎夜オナニーとかしてるに決まってるだろ!?そうに違いない!!」
「なんで亮太の方がキレてるのさ?」

 嫉妬に駆られた男は怖い。惨め過ぎて良いところがまるでない。
 なんだか亮太をみていると育代(俊平)は悲しくなってきた。

「・・・・・・分かったよ」

 せめて、心の内を晴らすように亮太の欲求を満たしてやるだけのことはして見ようと、同情心に駆られる育代(俊平)だった。


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