純粋とは矛盾色-Necronomicon rule book-

夢と希望をお届けする『エムシー販売店』経営者が描く腐敗の物語。 皆さまの秘めた『グレイヴ』が目覚めますことを心待ちにしております。

カテゴリ:グノーグレイヴ『他者変身』 > 鏡『反響広がる福音鏡』

「あっ・・・」

 友子(隼人)が小さく悲鳴を上げたので、いったいなにが起こったのか分からなかった。ふと、私は鏡を覗くと、そこに映っている姿を見て同じように小さく声をあげた。

「わ・・・たし・・・・・・わたしのからだ・・・・・・・」

 私の姿に戻ってる。久し振りに戻る自分の姿に、思わず身体を抱きしめて喜ぶ。緊張していた身体が急に軽くなり、紐を解かれたように自由の身になる。

「……一回イったから、変身が解かれちゃったのかな?残念だなぁ。アソコに挿入する感覚を味わいたかったのにな」

 名残惜しそうに呟くもう一人の私。友子(隼人)はメイド服を脱いで裸になり、お腹も引っ込ませると私とまったく同じ姿に戻った。
 目の前に佇むもう一人の私に、鏡に映せば双子が並んでいるように見える。同一人物とは思えないほどに、私は友子(隼人)の表情に怯えていた。

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「なにをするつもりなの?」
「ナニって、分からないかな?僕は満足していないよ。きみがこのまま逃げるようなら、この格好で外を出歩くよ?」

 裸のまま外に出る――?そんなことしたら、また私に変な噂があがっちゃう。
 そう、友子(隼人)が今まで私にしてきたことを、今の私はすべて理解できる。

「お、脅すつもり?卑怯よ!私に変身して、みんなを利用して・・・ほんと、最低。あなた、人間の屑よ!」

 声の続く限り彼をなじる。貶して、蔑んで、罵倒をかける私に、友子(隼人)はにこやかにほほ笑んだ。

「フフ。でも、そんなことしなくたって、川上さんだってまだ興奮しているんだろう?さっきまでチ〇ポぎんぎんにそそり立てて、今すぐにでもおま〇こに挿入したいっていう表情していたじゃないか?」
「っ――!そんな表情していない!」
「強がるの?身体が元に戻っただけで僕から逃げられると思ってるの?」
「・・・・・・」

 目を逸らした一瞬の隙をついて――、

「んぐ――!?」

 友子(隼人)は私の唇を奪った。
 目の前まで近づく私の顔に、うっすら目を開けて私の表情を盗み見て楽しんでいた。
 
「んっ・・・んんん・・・ちゅっ・・・はぁ・・」
「んぅぅ・・・んっ、んふぅ・・・ぅぅ・・・」

 舌が私の唇に滑りこんで私の舌に絡んでくる。同じ柔らかさ、同じ触感・・・ザラザラとした、私と同じ味覚を持つ、私の舌が犯してくる。

「ぺろ・・・れろ・・・ちゅっ・・・ちゅるちゅる・・・」
「ふうぅぅ!ふっ、ううぅっ!」
「ん・・・んん……ふぅ…」
「はぁ……はぁっ、はぁっ、はぁ……あ、あなた――」

 震えが止まらないのは、彼との二度目のキスだからじゃない。怒りを向ける前に友子(隼人)が私に満面の笑みを向けていた。

「自分とキスするなんて誰も経験できないよ?彼氏を作ったらきみはきっとこういう表情でキスするんだよ?」
「やめてよ!わたしは、あなたみたいにそんな下品なキスをしない!」
「そうかな?エッチに上品も下品もないと思うよ。感じればそれで良いじゃん。川上さんだって、オナニーはしたことあるだろう?」
「お、オナ――」

 私の口から、私の声で、そんな言葉が飛び出るなんてショックだった。それだけじゃなく、友子(隼人)は私の姿でベッドにもたれかかると、両手を両胸へと持っていって、本当にオナニーを始めたのだ。

「ふあっ……あっ、あんっ・・・」

 小さく喘ぐ私の声で、乳房を弾ませるように揉みながら、乳首を爪で引っ掻いて声を震わせる。誰にも見せたこともないけど、自分でも見たことのないオナニーの姿を、私はまじまじと見入ってしまった。
 ふくよかな乳房が形を変えてもみくちゃにされて、両側から寄せたりあげたりされて谷間を深くしたりして遊ばれている。
 ぷっくりと膨らんだ乳首がまるで小指くらいに大きくなって、摘ままれる度に身体を震わせて歓喜をあげさせる。
 ――乳首だけでイきそうな顔している私の表情が、自分の姿と重なりそうで怖くなる。

「ちょ、ちょっと!やめなさいよ!」

 私は乱暴に彼の手を塞いでオナニーを辞めさせる。邪魔された友子(隼人)は不満そうな表情を浮かべるも、すぐに冷静に私を見つめて、再び私の耳に噛みついた。

「ひゃぁ――!?」
「ウフ、そんなに混じりたいなら言ってくれればいいのに。手加減しないで、好きなだけイかせてあげるからね」

 身体から放れるも友子(隼人)は覆いかぶさるように襲いかかり私をベッドに抑えつける。
 見上げるもう一人の私の表情に――私は、私に犯されることを覚悟した。


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 私の目の前に現れたのは――

 メイド服を着て、頭にはカチューシャを飾り、ミニスカートとオーバーニーソックスの絶妙な絶対領域に、さらにガーターベルトまで付けて男性の気をこれでもかと引こうとする――私の姿があった。
 肩にかかる緑色の髪の毛は、私の目の前で上下に靡く。  

「ちゅっ・・ちゅぱっ、ちゅぶっ・・・ちゅるちゅる・・・ふぅ・・」
「はうっ!」
 
 鼻にかかった甘い吐息が私の興奮を自ずと高める。彼女が私のおち〇ぽを啜っている。それに対して反応してしまう私は、一刻も早くやめさせようと思った。

「ちょ、ちょっと!やめなさいよ!」
「うふっ、やめれいいのかひら・・・?れろれろ・・・」

 余裕を見せるもう一人の私に、頭に血が上って力ずくでやめさせてしまう。
 おち〇ぽから口を放した私が残念そうな顔をする。
 手に取る細い腕、その表情、眉毛、瞳――
 私が鏡を覗いた時に見る姿で、彼女は私の前に現れたのだ。

「あ……あなた……誰なの!?」

 怖くなって叫び声に近い大声で私は叫んだ。それが彼女を冷静にさせたのか、ふっと表情を釣り上げ不敵に笑うと、私に向かって言った。

「私は……川上友子よ」
「ウソ・・・だって、友子は私――私なのよ?」

 私の叫びに彼女は首をかしげた。

「何を言っているの?あなた、碇くんでしょう?碇隼人くん」

 私の姿を見て彼女は疑問に思う。今の私の姿は碇くんだ。川上友子と言っても性別すら違う。私の声は声変わりが終わり低くなった男性の声しか出てこないのだ。私が叫べば叫ぶほどに気持ちが悪い光景に見えるのだろう。滑稽な姿にもう一人の私が笑って見ていた。

「ちがう、ちがう!――違うの!?こんな格好しているけど、私本当は――」
「碇くんじゃなかったら、あなた、なんで碇くんの家に居るの?不法侵入?」
「ちがうの!?これは――!」
「大丈夫、碇くん?」

 錯乱している私をなだめるように、彼女は私のおでこにおでこを重ねてきた。ピトッと触れた瞬間に伝わる冷たい温度が、私の熱に伝わっていく。

 ……私の顔が目の前にある。
 私の顔が私をなだめる光景が怖くなって、次の瞬間に自分の身体を突き飛ばしてしまった。

「きゃ!?」

 ベッドから落ちる私の身体。・・・震える身体でベッドから覗いてみると、床に転がる私が蹲りながらお腹を抑えている姿があった。
 本当に痛そうだった。表情だけで伝わるお腹の張れ具合に私は、女性として身を案じてしま――――って、・・・えっ?ちょっと待って……なんで、おかしいでしょう?
 あのお腹の張りって・・・まさか――――

「いたい・・・お腹の子が流れたらどうするつもりよ?」

 もう一人の私から突然の告白が飛び出し、私は目の前が真っ暗になった。
 子供って、私の身体よ!?いったい誰の子供!?なんであんなに膨らんでるの?生後5ヶ月は過ぎているようなお腹しているじゃない?
 でも、あれは間違いなく・・・お腹に赤ちゃんがいるお腹・・・理屈とか原理はおいといて、あれじゃあまるでマタニティよ。

「ウソでしょう・・・私のお腹の中に・・・子供がいるなんて……どうしたらいいの……?」

 今の私の顔を見たらきっと血相を変えて蒼白しているのだろう。
 高校も辞めなくちゃいけなくなるし、働かなくちゃいけなくなる。
 自分の時間を裂かなくちゃいけないし、赤ちゃんに母乳も与えなくちゃいけない。

 ――そんなの無理よ!
 親にどうやって説明したらいいの?知らない間に赤ちゃん出来ちゃったなんて、言えるわけないよ!
 そんなんじゃ誰も助けてくれない・・・
 恭子やあかりに、なんて説明したらいいの・・・?
 せっかく入学できた双見学園も、出会ったみんなもお別れしなくちゃならないなんて……
 
「あんまりよ!!」

 そこから先のことはあんまり覚えてない。
 泣いて、彼女をなじって、狂って、壊れて・・・
 
「わたしのカラダが・・・わたしのカラダを・・・かえして・・・・・・わたしのセイカツを・・・かえして・・・・・・」

 何度も呟いていた。


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 信じられない、信じられない、信じられない――

 私の頭の中がどうにかなっちゃいそうだ。

 なんで――?どうして――?
 ――私が碇くんとキスしてるのよ――!?

 あの不細工で、誰からも嫌われて、近寄るだけで気持ち悪くて、うじうじしていてムカついて、
 いいところなんか何もない彼の顔が、私の視界を覆い尽くしていた。
 彼の舌。彼の唾液。彼の味。
 口の中を犯されて味あわされる屈辱。凌辱とも言っていい。
 一分が永遠とも思える、公開処刑の終身刑そのものだった。


 私がなにしたっていうの?
 なにもしてない!高校生活を楽しんでいただけでしょう?
 誰かに恨みを買うこともしていない――。誰かを蔑んでいることもしていない――。
 どうして、みんながわたしの元から放れていったの!?

 変なうわさが流れて、あっという間に浸透して、私が私じゃない誰かに汚されていく。
 本当ならこの時に私の口からみんなに、「違う」って言っていたら、ひょっとしたらみんなは信じてくれたかもしれない。でも、私はそうしなかった。噂なんてみんな聞き流してくれると思って、そのままにしていたら、私が気付いた時にはどうしようもないほどに拡大していた。

 川上友子は遊んでいる――。男も女も見境がない――。ガバ〇ンのヤリ〇ン――。

 誹謗中傷はまるでネットのようで、これがみんなの口から出ているのだと知ると、きっとこれが本心なんだと私は衝撃を受けた。

「違うの……わたしは、そんなことしていない。みんなウソよ!!」
「そんなことないでしょう?」
「恭子・・・?」

 頭の中で恭子が私に呼び掛ける。妄想のはずなのに、声もリアリティがあって、目の前に本当に本人がいるみたいだった。
 でも、今更恭子を目の前に何をしたいというのだろう?ごめんなさいと謝りたいのだろうか?
 そう思っている私に、恭子が一枚の写真を渡してきた。

「ひ――――っ!」

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 恭子をベッドの上で弄っているのは、他でもない私の写真――
 こんな写真、知らない。誰がとって、誰が渡してきているのかもわからない。
 でも、この写真があることでクラスメイトは私を見る視線を変えてしまい、非難するように私を仲間外れにした・・・。
 いったい誰が――?
 何のために私をいじめるの――?
 このねつ造の写真を作ったのは・・・

「あ、あなた、ダレ!?」

 私は恭子に叫んだ。この写真を生んでいるのは――、私の如何わしい噂を流しているのは――目の前にいる恭子なんだ!
 恭子が睨む私に驚きながらも、今までの表情を豹変させるように、口元を釣り上げた。

「わたしは――――」

 ――次の瞬間、目の前から恭子の姿がなくなった。
 いいえ、なくなっていない。姿を変えたと言った方が正しいのかも。
 ホログラムのように、一瞬ぼんやりと宙に浮かんだ姿が、光りの加減によってまったく別の姿に変わっていく。
 恭子じゃない。紫色の髪の毛は、次の瞬間に緑色へと変化して、長さも違えば質感もだいぶ変わっているのがわかる。
 顔の輪郭から身体つきまで違うのに、制服だけは一緒であることから、同じ学校の生徒なのだろ私が察した。そして、顔のパーツ一つ一つまでくっきり見えるようになって、最後に小さなホクロができると、その姿は私にも誰なのか分かるまでに完璧な体型に変身していた。

「(わたしだ・・・)

 目の前にいるのはわたし・・・川上友子本人。

「そう。私は川上友子。自分自身の本当の姿――」

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 私の目の前でイヤらしい表情を浮かべている本心のワタシ・・・?
 私はきっぱりと否定した。

「違う!私は、あなたじゃない!そんな汚らわしい目で私を見ないで!」

 他人を見下した目で卑しい本心を剥き出しにしているワタシを、肯定することなんか絶対に出来ない。だって、私はそんな目を向けたことがないのだから。
 ワタシがほくそ笑んだ。

「それこそ間違いよ。私はそんな目で『あなた』を見ているのよ。この目はかつてあなたが彼に向けていた視線」
「・・・何を言ってるの?」
「まだ分からないの?自分の立場が?『あなた』、いま自分がどんな顔面になっているか分からないの?」
「えっ?えっ?」

 話が噛み合わない。一体わたしは、どんな顔になっているの・・・・・・?


「――――はっ!」

 私は顔をあげる。
 長く洗面器に溜まった水に顔を付けていた気がする。吐き気を催し、お手洗いで済ませ、楽になろうと水を飲んだまま意識を失ったのだろうか。
 いったいどのくらい時間が経ったのか分からない。
 息が続く限りだから、そう長く時間が経ったとは考えられないけど――。
 

『まだ分からないの?自分の立場が?『あなた』、いま自分がどんな顔面になっているか分からないの?』


 最後にワタシがぶつけた言葉が頭に響く。
 頭が痛い。
 体調も良くないのだろう。今日は早退したい。学校にいたくない。
 ――そんなことを考えながら、私はゆっくり顔を上げた。

「…………えっ?」

 私は、自分の目を疑った。
 トイレの『鏡』に備わっている私の姿が…………ウソ……い、いかり、はやとくんが映っていた。
 川上友子の姿が何処にもいない。
 『鏡』の中には、碇隼人くんしか映っていない。
 私は驚愕した。
 私の行動、私の言動。全てが碇くんの動きに移る。
 私が手で口を覆い隠すと、碇くんが口を覆い隠し――、
 私が後ずさりすると、碇くんが後ずさりして『鏡』から遠く離れた。

「えっ、あっ……なにこれ……こんな……」

 声まで変わっている。碇くんが女性のような口調で戦慄いている。気持ちが悪い。

「うっ――――!」

 私はトイレに駆け込み、戻したはずの胃液が逆流してふたたび吐き出していた。
 喉が詰まって苦しい中、口の苦さが私を冷静にさせる。
 わたし、わたし……本当に碇くんになっちゃった――――
 そんな事実を受け入れるしかなかったのだ。


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 友子に関する噂で連日持ちきりだった。

「ウソじゃないんだって!本当だってはしゃいでるんだぜ?」
「まさか、・・・鶴見だぜ?それが本当だったら、マジでショックなんだけど」
「いや、こうは考えられないか?鶴海とやったとしたら、この世の男なら誰とでもやらしてくれるんじゃね?」
『ΩΩΩ<なんだってー』
「女の子だけじゃなくて、男の子も食べちゃったなんて、とんだ淫乱じゃない?」
「川上さんってあんなに澄ませて見せているのに、裏では結構すごいんだね」
「なんだか汚さが滲み出てくるようね・・・。近づかないようにしようよ」
『うんっ!』

 男子も女子もそれぞれに友子を遠巻きに見ている。
 いつの間にかクラスの輪の中から外された友子は、教室内で一人静かに机に座っていた。
 屈辱が耐えられるものではないが、現状が変えられない以上、耐えるしかないのである。逆にこの場でいなくなってしまったら、噂に拍車をかけて手がつけられなくなってしまいそうで、友子も怖かったのだ。

「友子・・・」

      
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 そんな友子に近づくのは、池上恭子である。友子を一番に理解した親友である彼女が、同じようにつらそうな表情を浮かべていた。
 それは、友子が本当に噂通りのことをしたのか不審に思っている証拠であった。火のつかないところに煙はあがらない。
 友子にそっくりな人物がこの世にいない限り、友子の非を認めることができないのだ。

「恭子の言いたいことは分かるよ・・・。でも、信じてほしい。恭子だけでいい。私はやってないの」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・うん」

 表情変えずにこくりと頷く恭子。気休めにもならず、二人は顔色をうかがいながら落ち込んでいた。
 どうしてこんなことになったのか――、
 友子にも分からない疑問に、誰も答えてくれない。
 日常が気付けば非日常に――、
 噂が広がり、自分の居場所を殺された友子にとって、怒りがないわけじゃない。でも、その怒りすら表出せない状況に、くやしくて涙が浮かんでくる。でも、泣くこともできない。泣いたらクラス全員の笑われ者にされるだけ。
 仲間も今や敵と同じ――、
 信じられるのは――――。


 ・・・
 ・・・・・・
 ・・・・・・・・・

「もうやめなよ!!」

 僕の声は教室の騒音を一気にかき消した。クラスが総出で僕を見る。こんなに注目を浴びたのは生まれて初めてだった。

「川上さんは無関係だ!僕の知っている川上さんは、みんなの言うイメージはない!」
「碇くん・・・」

 今まで気持ち悪いとあしらっていた昔からの知人の僕に、友子は何も言わずにただ驚いていた。
 まさかの援護射撃にどうしていいのかわからない表情を浮かべていた。
 しかし、援護しているのはあくまで僕。クラスから浮いている存在には変わらず、小さな力がほんの少し(具体的には1から10%だけ)あがっただけである。

「なんだぁ、碇?おまえ、川上の肩もつのか?調子乗るのも大概にしろや!」
「あぅっ!」

 男子に突き飛ばされて背中を強打する。弱い、弱すぎる僕。友子だったらなんとか良い返せたり、手を出すことを退いたりできたかもしれないのに・・・。友子が出てこれなくなっちゃったし、援護して逆に弱くなってしまったんじゃないか?ダメ援護だぁ・・・。

「・・・でも、おまえ達が川上さんの何を知ってるんだ?高校はいってまだ日も浅い僕たちが、噂だけで人をこうだと思いこんじゃうなんて都合がよすぎるね」
「なんだとっ!?」

 苛立つ男子が僕の首根っこを掴んで殴り飛ばそうと拳を握っている。振り上げたその瞬間を待っていたように――

「おまえが手を挙げるとこは全員が『見ている』。おまえの印象は最悪だな」

 僕の言葉に男子がクラスの視線を浴びていることに気付く。明らかに非難されるその視線を感じ、男子がたまらずに僕を投げ捨てた。
 ――賭けは僕の勝ちだ。友子が僕に近寄ってきた。数少ない仲間を助けるように庇おうとする友子の勇士は女性ながらに立派だった。

「もうやめて!私は大丈夫だから、彼だけは助けてあげて――!」
「いいんだ、川上さん・・・」
「・・・えっ?」

 友子の後ろから前に出てくる僕は、クラスのみんなに一つの提案をする。
 それは友子を救う案であり、友子を非日常か日常へと帰させるもの。
 その提案を聞いて――友子の表情がみるみる青ざめていった。


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「はぁ・・・はぁ・・・」

 肩を揺らして大きく息を吸い込む僕。まだ体力が戻らないのは、僕が今まで感じたことのないオーガニズムを味わったからだろう。普段以上に疲れてしまった身体に、回復が間に合っていないのだ。
 僕よりも先に、鶴海の方が顔を起こしていた。友子の愛液にベトベトに汚れた顔でせせら笑うと、身も毛もよだつホラー映画のワンシーンのようだった。

「川上さん、僕の愛撫にイったんですね。すごく気持ちよさそうな顔してますよ」

 初めて女性をイかせた興奮からだろう、鶴見は驚くべき大胆な行動をとっていた。動けない僕の身体を強引に引き寄せた。

「えっ、ちょ、ちょっと――!?」

 なにをするのかわからない。と思っていると、彼は僕をうつ伏せにひっくり返してベッドに倒すと、腰を持ちあげて四つん這いにさせたのだ。

「ちょっと、なにするのよ、恥ずかしい・・・」
「後背位はまじめな川上さんには恥ずかしすぎるのかな?僕はこういうプレイに憧れていたんですよ。ちなみに僕もこの態勢はゲームで学んだんですよ」

「(このゲーム脳が――!!)」

 思わず叫んでしまった。
 彼に主導権を取られるのは初めてであり、彼も興奮しているのが分かる。癪ではあるが、彼にこの場を預けていた方がより凌辱的で友子を苦しめられると思い、僕は静かにこの空間に流されるようにサドからマゾへと心変わりするように口調を変えていった。

「そんな、鶴見くん・・・おねがい、許して・・・・・・」

 涙声で喋る僕に鶴海はさらに鼻息を荒くしていた。

「自分から誘って置いて、今更逃げられると思っているのですか?もうぼくを止められませんよ?たとえ神であってもね!!」

 面白いくらいに理解不明のことを言いだす鶴海であった。つまり、そそられると翻訳し、彼の逸物を覗いてみた。
 『鞘から抜けない伝説の剣―Excaliper―』を持つ彼である。

「はうぅ・・・後ろからだなんて・・・」

 さりげなく自分でお尻を持ち上げ、彼の肉棒を入れ易いように角度を合わせた。鶴海は逸物をおま〇こに擦りつけて挿入を意識させた。

「ふあ・・・あ・・・あぁあ・・・」
「嫌がっていても、身体は十分に反応してるよ?」

 愛液を分泌させる友子の身体は、すでに準備が整っていた。

「いくよ」

 潤ってきたところで、入口に先端を押しつける。軽く力を入れただけでズブズブと逸物は膣内へと挿入していった。
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 ――翌日、
 あかりの努力の甲斐があって、友子のレズビアン疑惑が噂で飛び交っていた。

「ぉぃ、やっぱりそうなのかよ?マジ話ぃ?」
「それがマジらしいよ。なんか昨日、教室であかりにキスしたって――」
「えっ?俺は一昨日くらいかな。恭子とやってたって話を聞いたぞ」
「池上さんと仲良くなるの早かったもんね。まさか、調教したのかな?」
「男よりも女が好きらしいぞ」
「どっちも相手を想ってこっそり校内でオナニーしてたなんて話も――」

 ――――バァン!!!

 けたたましい音を立てて友子が机から立ち上がった。
 恭子も友子の苛立ちを知って手を差し伸べようとするが、今の状況では恭子が近づいたら逆に噂が広まってしまう可能性がある。恭子は顔を背けて友子が教室から出ていくのを黙ってみているしかなかった。

「・・・・・・言っときますけど・・・、私だってちゃんと男性を好きになるわよ!馬鹿にしないで!」

 出ていく直前に友子が泣き声で叫ぶ。クラスメイトが一斉に静まりかえるも、友子が走り去った後で再び話題に花を咲かせていた。

「(高校もまた中学と同じだ。噂好きの幼い奴ばかりだ)」

 僕はクラスメイトの輪の外でそんなことを考えていた。
 煙があがるから噂が広まるのだ。消すことなどできるものじゃない。風化するまで待つしかない、友子にとって苦しい時間を過ごさせるには十分だ。
 それとは別に僕はさらに友子を追いつめる作戦を思いつく。

「そうか、男性が好きか……」

 女性だけじゃなく男性も好きという友子に、理想的な女性になってもらうことにしよう。
 僕は早速『鏡』を使い、再び川上友子へと変身した。
 二回目の変身を難なくこなし、発声練習を兼ねてしゃべってみた。

「川上友子は、男性のおち〇ぽが好きな女子高生よ。もう誰でもいいから、私のぐちゅぐちゅに濡れたおま〇こに、ぶっといおち〇ぽ突っ込んでほしいの」

 そう言うだけで、まるで本人がそういう性癖があるように聞こえてならない。僕は友子の姿で、言った通り誰でもいいから、手当たりしだい声をかけることにしたのだ。
 友子の容姿を持ってすれば、引っかかる魚は当然でかかった。誰に掛けてもまずO,Kするだろう。二つ返事をする男性だっているだろう。
 しかし、それじゃあ面白くない。
 誰でもいいのだから、普段誰にも声を掛けられない、ヲタク顔した人を標的にする。
 当然、双見学園にだってそんな顔した人はいる。
 A組の鶴海―つるみ―くんだ。
 いかにも一人でいるのが好きそうな顔した、インドア派の少年である。

「ねえ、鶴見くん」
「は、はい、なんでしょう?」

 鶴海くんは僕に声を掛けられて如何にも緊張しているような声を発した。当然だ。上位にいる友子が何の因果関係もない鶴海に突然声をかけるなんて、奇跡に近い確率である。
 地面に落ちている無数の小石の中から選ばれる確率と同位くらい珍しい。それが分かっているのか、鶴見はチラチラと僕に顔を覗かせていた。

「あのさ、今日の放課後、時間ある?」

 放課後に開いていると言えば普通はデートを予感させるだろう。鶴海は顔を真っ赤にしながらも、でも、最終的には首を横に振った。

「えっ、放課後は、帰ってアニメ――」

 おいいいいいいいいいいいいぃぃぃぃ!!!?

「あなたね!アニメと私どっちを取るの!?」
「アニメ」
「どっちもアニメじゃない!!」
「ひ、ひぃぃ」

 ・・・と、まあ、無理やりにデートをこぎつけた僕は、放課後に彼とラブホへと訪れたのだった。

「・・・い、いいの、川上さん?」

 鶴海は優しさからか、いつにも増して友子を庇うような声をあげていた。ひょっとしたらラブホを前に怖気づいてしまったのだろうか、二次元しか愛さない彼がセックスを体験してしまったら、もう二次元を愛せなくなってしまうことに繋がっているのだろうか。
 面白い人である。

      
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「いいのいいの。私も、鶴見くんとやりたかったしね」
「えっ?それって・・・」
「もぉ。女性をこの場所で待たせるなんて、よくないぞ」

 そこまで言わせたら鶴海も下がるわけにはいかない。勇気を出してラブホの扉をくぐっていった。
 僕もまた鶴見の後を付いていった。

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 なんとか今日の授業を終わらせた友子は急いで教室を出ようとしていた。

「あれ、友子。帰っちゃうの?」

 こういう時に声をかけるのは親友である恭子である。午後から様子のおかしかった友子に気付き、我慢できなくなって放課後に声をかけたのだ。友子は赤い顔をしている。風邪でも引いたのかと思った。

「う、うん・・・。今日は暑かったし、お風呂入りたいかな、なんて」
「そうなの?せっかく駅前の美味しいクレープ屋に一緒に行こうと思ったのに」

 恭子が言うと友子の表情を明るくなる。甘いものには弱い友子である。

「私も行きたい。・・・じゃあ、一回着替えてから行きましょうよ。制服より私服で。ね?それでいいでしょう」

 その様子に恭子は安心するように表情を緩ませる。食い意地があればきっと病気ではないのだろう。また明日は普段通りの友子に戻っていると確信したのだ。

「わかったよ。じゃあ駅前に集合ね」
「うん。それじゃあね!」

 恭子を置いて友子は一人ひた走る。玄関口から出ていき校門を抜け家に向かう友子に一陣の風が吹いた。

「きゃっ!」

 スカートが捲れて友子の下半身が曝される。友子はショーツを穿いていないのだ。それを見た男性の表情が完全に停止した。

「もぉ・・・・・・!!!」

 恥ずかしくなってさらに加速して全速力で家に駆けていく友子。ノーパンノーブラで午後の授業を過ごしていた友子は、顔から湯気が出るくらい恥ずかしい半日を過ごしていた。

「お気に入りなのに・・・明日、篠原先生から返してもらおうっと」

 友子が校庭から出ていったことを確認した僕は、続いて恭子がゆっくり歩いて帰っていくのを窓の外を眺めながら見ていく。
 二人が帰った先で行動を開始する。僕は男子トイレに駆けこみ、誰もいないことを確認するとコンパクトを取り出して『鏡』を覗きこんだ。
 次の『変身』をおこなう為だ。その人物を僕は頭の中で思い描く。

「川上友子になりたい・・・川上友子になりたい・・・川上友子になりたい・・・・・・」

 復讐する当人に『変身』する。それこそ本当の報復だ。想像しなくたって拭えない印象だけで『変身』できるだろう。
 目を開けて『鏡』を覗くと、僕は川上友子になっていた。緑色の髪の毛と黒子がチャームポイントの友子にばっちり『変身』していた。制服姿をしっかり着こなした姿はどこから見ても川上友子本人である。

「あーあー。私は川上友子・・・・・・うん、バッチリ」

 発声練習も兼ねて声を出すと、本人と同じ声が出た。見えない声帯まで変わっているのだ。妄想というより連想も兼ねている素晴らしい道具である。

「あっ、そうだ。出ていく前に……」

 僕はポケットに仕舞っていた、友子本人から預かった染み付きショーツとブラを取り出した。温もりはほとんど感じることはなくなったが、友子が出した濡れ具合は放課後になっても感じることができた。
 僕は足を通してショーツを穿いた。平べったい女の子の下腹部を隠すショーツは、何の突っかかりもなくすんなり穿くことが出来た。

      
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「あっ、ちょっと冷たい・・・・・うへぇ、なんだか気持ち悪いな」

 足を開く度にぴっちりアソコに張り付く感覚になれないながらも、その感覚が女性独特のものだと言う興奮を覚える。
 友子が濡らしたんだ。友子のにおいを染み込ませたショーツを、僕が穿いていると言う征服感。
 それだけで復讐の達成感を少しだけ味わうことが出来た。
 ショーツだけじゃない。ブラも取りつけて形を整えると、これで本当に友子本人に『変身』が完了した。
 鏡に映る僕は友子の姿をして少し赤らめている。潤んだ瞳は僕に向けて何かを期待しているように見える。実際そんなことないというのがわかっているので、それ以上のことを考えないことにしよう。

「それじゃあ教室に戻って、準備でも整えようかな」

 男子トイレから出てくる友子を見てビックリする生徒がいたが、気にすることなく教室に帰る。
 教室では誰も残っておらず、部活や家路に向かった生徒で構成されたクラスで本当に良かった。
 僕は一人カメラを教室に忍ばせる。ちょうど友子の机に焦点が当たるように調節し、怪しまれないように小型カメラを放送スピーカーの中に隠した。

「これで、よし。あとは友子の教室でのオナニー姿でも撮影すれば・・・・・・っ!?」

 ふと人の気配を感じて僕は振り返った。すると、教室に白河あかりが入ってきたのだ。水泳部のはずの彼女がこの時間に教室に戻ってくるのは珍しかった。

「あれ?友子まだいるの?」
「う、うん。もう帰ろうと思っていたところ」
「そうだよね?クレープ食べに行くって言ってたよね?間に合うの?」

 心配するように時計を見上げるあかり。時間は大丈夫じゃない時間であるが、僕には関係ない話であった。

      
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「それより、白河さん――」
「そんな他人行儀で呼ばないでよ。あかりでいいって言ったじゃん」
「・・・あかり。部活動はどうしたの?」
「サボり」
「いいの?」
「いいのって、大会終わっちゃったからね。しばらくは休養かねながら筋肉トレーニングで十分よ。だから今日は私だけ先に帰ることにしたの。もう後輩に伝えたしね」

 そういうことか。あかりだって普通の女子高生だ。部活を休んで遊びにいって羽根を伸ばしたい時もあるだろう。
 これからあかりも帰るだけ。タイミング良く鉢合わせできたということか。
 僕の表情が歪んでいく。

「友子も帰るんでしょう?一緒に走って帰ろうか?体力ありあまってるし」
「体力使いたいなら、私に良い方法があるわ」
「えっ?なになに?でも、身体を痛めるのは勘弁ね」
「大丈夫。痛めないように優しくしてあげるから」

 僕はあかりに近づいていく。次の一言を待ち侘びるあかりに対して、僕は不意打ちとも言える口づけを交わして、あかりの口を塞いでいた。

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「篠原先生――?」

 赤羽先生が僕の顔を見て驚いた表情を見せている。
 先程まで具合悪そうにしていた人物が目の前で明るく廊下を駆けていれば信じがたい光景として目に映るだろう。

「大丈夫ですか?具合悪そうにしていましたが――」
「はい、もう治りました」

 ケロリと言う僕に、赤羽先生はそれ以上何も言わなかった。心配していたのが取越し苦労だったというのがどうも気に入らないように、機嫌を悪くしてその場を立ち去った。

「さて、川上さんはいるかな?」

 僕は辺りを見渡す。すると、廊下の奥でタイミング良く友子を発見する。

      
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「川上さん」
「はい――?」

 遠くから僕に呼ばれると思っていなかったのか、友子は身体を震わせて驚いた表情をしていた。僕からして見ても友子に声をかけるのは初日以来である。
 少しだけ足がすくんで震えてしまう。

「なんでしょう、先生?」

 僕の様子に友子が逆に落ちついたのか、僕に頬笑みを浮かべて返答を待っていた。

 ――先生――――。

 友子の声に僕は自分の姿を思い出す。

「(そうだ。今の僕は篠原先生なんだ。大丈夫。絶対に僕だってばれない――!)」

 『鏡』は完璧なんだ。他人に変身できる鏡を使えば、――少しの勇気と多くの性欲で困難だって乗り越えられる!

「少し、お時間あるかしら?」

 篠原先生はカウンセリングの先生だ。生徒の相談にのって心のケアに努めるのが先生の役目だ。
 物覚えのない友子ではあるが、篠原先生の誘いを無碍に断れない性格から、「わかりました」と言って後についてきた。

「(――よしっ!)」

 第一作戦成功と、僕は小さく拳を握りしめた。
 なにも知らない友子を、篠原先生の個人部屋まで連れてくれば後はこっちのものだ――
 友子に対して個人レッスン開始である。

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 川上友子―かわかみともこ―は僕、碇隼人―いかりはやと―と小学校来の付き合いだ。
 聞こえはいいかもしれないが、実際はそんなことない。
 家が近いことで、たまたまクラスが一緒になっただけで、小学生では煽てられたことがあった。
 僕はそれほど悪い気はしなかった。友子が当時から可愛いこともあったからだ。しかし友子は――

 以来、友子は僕を避けるようになった。会話もしなくなったし、近寄りもしなくなった。
 毛嫌いするその視線が僕に刺さると、子供ながらに心が痛くなった。

 ――僕がブサイクだったのだ。
 僕が友子を悲しませのだ。分かっている。僕が悪いんだ。でも、僕は当時から変わることが出来なかった。

 面倒くさかったのだ、変わることが。
 増える体重を減らす為に運動しなくちゃいけないことも――、
 興味ない服や髪の毛を、今時に着飾ることをしなくちゃいけないことも――、
 勉強することも――

 ――――結果、その結果の積み重ねなのだろう。
 僕は誰からも相手にされなくなった。
 小学生ではからかった奴らも、中学生では誰も見て見ぬふりをしていた。
 気持ち的には楽だったけど、一日が流れるように過ぎていくのもまたつまらなかった。でも、一日が早いと三年もあったという間だった。
 高校になって顔見知りの奴らは全員いなくなった。

 心機一転して新たな門出を迎えて素敵な高校生活にしよう――。
 そんな僕のはやる心は、高校という新たな環境に期待していたのだ。

――新たな顔の中で一人、昔の面影をなくさずに成長した友子の顔を見つけるまでは・・・。

「・・・・・・・・・・・・碇くん?」

 友子も俺の顔を見て驚いた表情を浮かべた。三年振りの再会だ。僕は小さく手を挙げて、「やぁ」と声をかけると、友子は勢いよく席を立った。

「なんで碇くんがこの高校にいるのよ!!?」

 えっ?なんでって・・・。それは地元の高校は顔が知られてるから少し遠い高校なら気分転換になると思ったから。

「私の憧れの高校に碇くんがいることで、すべて台無しじゃない!!」

 聞いた話によると、友子は双見学園に入ることを目標にしていたのだと言う。理由は外見が綺麗ということと、落ちついた雰囲気のある高校に心を奪われたこと。勉強をして高校入試に合格した友子が心の底から喜んだそうだ。
 僕とは全く理由が違い、友子は友子の目標に向かって目指した場所だった。
 それが・・・僕が・・・・・・壊した・・・・・・・・・?

「えっ?ちょっと待ってよ。なんで僕のせいになるの?」

 素敵な高校に一つの『汚点』があるだけでそこまで目くじら立てて怒ることなの?
 それただの八つ当たりじゃない。
 新しい高校でなんで僕が他の生徒の注目を浴びなくちゃいけないの?
 僕はただ静かに高校生活を過ごしたいだけなのに・・・

「当たり前じゃない!はぁ・・・。碇くんが教室同じってだけで溜め息が出るわ。私の視界に入ってこないで。絶対だからね!」
「ちょっとどうしたの、友子?」
「ん、んん。なんでもないの、恭子。ただ、昔の記憶がよみがえってきて」
「彼と何かあったの?聞かせてよ」
「冗談っ!なにもないわよ~」

 早速新たな友達を作ったのか、友子はクラスメイトの子と仲良く会話をしていた。
 ただ、それきり僕は友子と会話をしなかった。
 言いたいことは山ほどあったけど、それをすべて封印して、友子の言うとおりに視界に入らないよう静かに高校生活を過ごしていた。
 しかし、初日から僕を見るクラスメイトの視線は――中学のクラスメイトと同じ目を向けていることに気付くのに時間はかからなかった。
 僕の見た目がそうなのか――、

「こいつ、いじめ甲斐がありそうだ」

 という心の声がどこからともなく聞こえてきそうだ。
 友子は本当に変わっていなかった。綺麗な体型を維持したまま成長して、――僕のことを嫌ったまま、積年の恨みを再開と供にぶつけてきた。


「・・・・・・・・・・・・許せない」


 僕の心に初めて怒りという炎が燃えた。
 友子にとって期待に胸ふくらませていた高校生活のように、僕にとっても高校生活は自分の人生で転機だと思っていたんだ。それを、友子によって踏みにじられ、台無しにされていることに我慢できなかった。

「友子・・・・・・絶対に復讐してやる」

 クラスの輪の中に入り笑っている友子の姿を、俺が台無しにさせてやる。
 そして僕の気持ちを思い知らせてやる。
 お前の居場所を、僕がなくしてやるんだ――――

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