純粋とは矛盾色-Necronomicon rule book-

夢と希望をお届けする『エムシー販売店』経営者が描く腐敗の物語。 皆さまの秘めた『グレイヴ』が目覚めますことを心待ちにしております。

カテゴリ:グノーグレイヴ『他者変身』 > 鏡『祝福される鏡のきみ』

 放課後――、
 蓮は麻生に言われたとおり、教室で補習を受けるために一人残っていた。赤羽早苗―あかばねさなえ―先生を待ちながら一人退屈そうに待つ。

「っていうか、なんで麻生がいねえんだよ!あいつバッくれやがったな!」

 真面目で通っている麻生がいないのはとても珍しいが、人間だもの。180度心変わりして補習をサボる時もある(はず)。一人だけ残って補習を受けるのがばからしくなった蓮も、教室から出ていこうとした。

「どこに行こうとしている?」

 それを阻止する様なタイミングで赤羽先生がはいってきた。最悪なタイミングで逃げる機会を失った蓮は、自分の席へとおめおめと戻っていった。
 教壇の前に立ち補習開始の礼をする。

「あの、先生……」
「なんだ?」
「補習、俺だけですか?」
「ああ、麻生は急遽出席できないと連絡があった。だから補習は望月だけだな」

 やはり補習は出席しなかった二人だけだということだ。しかし、蓮は急に補習に来られなくなった麻生のことが気になった。

「麻生が欠席?なにかあったんですか?」
「ああ、まぁ、私用だ」

 それだけ言って言葉を濁す。いったい何かあったのだろうか。

「(まぁ、補習が終わったら本人から直接聞けばいいか)」

 蓮はそう思い、ノートに視線を落とした。
 先生との一対一の講義。普段睡眠学習を取っている蓮にとって苦行でしかない。しかし、今回そんな学習が出来るはずがない。何度も眠くなり、意識が堕ちそうになる度に赤羽先生からキツイ一撃が頭上から振りおろされていた。

「いってえ~!暴力反対!」
「言いたいことだけは一丁前ね。態度が伴ってないわよ」
「ぐっ――」

 最近の若者は口だけは達者と言うのか。口で物言いするならまずはそのブーメランの態度を改めろって――

「余計な御世話だわ!!」

 思わず先生に喰ってかかってしまう蓮。やはり子供である。
 赤羽先生はタイミングよく一度授業の内容を区切ると、蓮を真っ直ぐ見つめた。

「……そうだな。区切りも良いし、いったん休憩をはさむか」
「おっ。先生にしては話が分かるじゃん。6時限目まで授業を受けた後で放課先生とのタイマン50分間も集中力が続かないっていう――――えっ?」

      
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 休憩に入った瞬間、赤羽先生は何を思ったのか、蓮の目の前で普段着ているスーツを脱ぎ始めたのだ。そして、スーツの奥に穿いていたイヤらしい下着を全開にした姿をマジマジと見せつけたのだ。

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 麻生が遅れて教室に到着する。『鏡』を使って准を朝比奈先生に変身させたとはいえ、二人が鉢合わせするのは非常にマズイと考えていた。出来れば准(蓮)には一刻も早く教室から抜け出していてほしいと思っていた。
 教室をそっと覗くと、准(蓮)が仁王立ちしていたのだ。
 久美子や朝比奈先生(准)がいるのも確認でき、いったいなにを考えているのかと慌てて教室に入ってきた。

「もう、蓮!なにしてるんだよ!早く逃げるんだよ!」

 麻生は准(蓮)を捕まえて必死に教室から引っ張っていく。准(蓮)は麻生の登場に驚きながら、床に転ぶ明音(准)が目の前にいるのに何もせずに教室を出ていこうとしている麻生の腕を振り払おうとしていた。

「待て!まだ俺自身が満足してねえ――!」
「いいから来い!」

 グイグイと、准の力では麻生の腕を振り払うことが出来ないのか、やがて教室から押されるように出て行ってしまった。授業が始まった廊下に准(蓮)の絶叫が響き渡っていた。
 残された久美子は一連の流れが理解できず、一人唖然として残っていた。しかし、准に身ぐるみ剥がされて落ち込んでいる朝比奈先生を思うと、ゆっくりと駆け寄って安否を気遣ったのだ。

「先生……大丈夫ですか?」
「はぁ……はぁ……」

 久美子にも答えられないほど朝比奈先生はそれほど落ち込んでいるのだと思っていた。親友とはいえ、准があんなことするのは久美子でも信じられない。
 でも、久美子自身もまた准に弄られてしまった経緯から言葉を掛けづらいものがあった。女性同士での行為を味わった二人は、これから先どうしたらいいのか困ってしまっていた。

「はぁ……いまの……」
「えっ?」

 朝比奈先生がグッと力を入れた。叫びたい言葉を堪えてゆっくり立ち上がると、まるでゾンビのようにゆらりと廊下へと消えていった。

「………ぜったい、許さないいいいぃぃぃ!!!」

 前言撤回。朝比奈先生の絶叫が廊下から大きくう木霊して久美子は思わずビクンと肩を震わせてしまった。



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「朝比奈先生……」

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 久美子が教室のドアで立ちつくしている朝比奈明音―あさひなあかね―先生に気付く。朝比奈先生は今年配属となった新人の先生である。二十代前半の若い年齢でありながらその内気の性格と運動音痴から、講義が体育だとは最初思えなかった。服装も気にしないのか、運動着を着ている姿しか印象になく今日は珍しくタイトスカートを穿いた保健の授業スタイルの格好をしていた。その格好は麻生ですら一度しか見たことがなかったのだが、きっと印象に残っていたのだろう。

「久美子……なにしてるの……?」

 朝比奈先生が飯塚久美子を呼び捨てで言う。先生と生徒という関係である以上、上下関係があるのが普通だ。久美子は先生に見つかったことでばつが悪そうに乱れた衣服で身体を隠す。

「あ、あのですね……これは……」

 助けを求めるかのように准(蓮)を見る。そして朝比奈先生も同じ人物を瞳に映していた。

 ――驚愕した表情で、一瞬言葉を失ってしまっていた。
 朝比奈先生が見るもう一人の生徒は――

「あ、あなた――!!?」
「先生、どうしたんですか?」

 准(蓮)が素早く言葉を遮る。すっと立ち上がり、満面の笑顔を朝比奈先生に向けた。

「私達がどうして教室に残っているか不思議な表情してますね?」
「・・・ちがう――」
「でも、それを言ったら先生だってどうしてこんな場所にいるんですか?授業始まっちゃいますよ?クラスメイト達が待ってますよ」
「わ、わたしは先生じゃな――!」

 タイミング良く鐘の音が鳴り響いた。朝比奈先生の声が再びかき消された。

「あ、・・・た……レ!?なんでわた――――!!」

 朝比奈先生の怒声よりも鐘の音が大きく聞こえる。鳴り響くその音に耳を傾け、鳴り終わるまでには心をすっかり落ち着かせてしまった。
 それは、一つの方向性を決めたこと。
 鐘が鳴り終わった時には、准(蓮)はすべてを悟ったのだ。

(――こいつ、朝比奈先生じゃないな)

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 窓からのぞいたグラウンドには、ちょうど鐘の音と供に黄色い運動着を身に付けた朝比奈先生が現れたのだ。授業が始まり、生徒たちと一緒に体操を始めるだろう。
 つまりこの朝比奈先生は偽物。おそらく麻生に渡した『鏡』で朝比奈先生に変身したのだろう。
 そんな必要があるのは、学校の中でたった一人だけだ。

(――准本人か)

 久美子を心配で教室に戻ってきたというところか。しかし、先に麻生と出会ったことで変身させられたのだろう。
 ……本人は気付いていないのだろうか。背丈も緑色の髪の毛も服装も違うのに、別人に『変身』させられたなんて普通は信じられないだろう。
 つまり准にとって朝比奈先生と言われていることが理解できないだろう。しかも准の姿をした人物が目の前にいるのだ。混乱しないはずがない。
 そこで准(蓮)はさらに悪戯を思いつく。准本人に対して悪戯を決行するのだった。


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 廊下を准と一緒に歩いている俺だけど、その足取りは校庭に向かっているのではない。もと来た道を戻っているように、更衣室から教室へ歩いていっているみたいだ。

「ねえ、どこ行く気なの?」
「教室よ。久美子待たせてるの」

 准は久美子と待ち合わせをしているみたい。でも、それは言い換えれば久美子の元へ皆が集合しているに他ならない。
 俺にとってとても都合が悪いことだ。久美子は先に准(蓮)と会っているはずだ。それなのに、准が向かってしまっては准(蓮)と准が鉢合わせしてしまうことになってしまう。教室から移動していてほしいなんて都合のいい解釈をしない。
 教室にいるであろう准(蓮)と久美子のもとに准本人を送らないために、俺は残り短い距離を最長距離へと変えなくてはならない秘策を考える。

「飯塚さん?」
「もう、早くしないと授業始まっちゃう。麻生くんは先に校庭行っていいわよ」
「あっ……、それは困るんだよね~……」
「……ん?」

 一度立ち止まった俺に振り返った准も、踵を返すと一人で教室へ向かって行ってしまった。
 俺は准の後ろ姿に向かって、蓮から預かっていた『鏡』を差し向けた。『鏡』には准がばっちり映り込んでいた。
 その『鏡』に映る人物を変身させるのなら――こういう使い方だってできるはずだと、俺は准に向かって言った。

「――グレイヴ、グレイヴ、朝比奈先生になあれ!」


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 すぐそばの学校に到着した俺たちは、ニ時間目が終わった休み時間のタイミングに合わせて皆と合流することができた。
 次の授業は体育だが、それまで少しばかり休み時間が他より長い。生徒はまばらになり、先に着替えに更衣室にいく生徒や休み時間を最後まで満喫する生徒までいる。

「……なにを考えてるの?」

 隣で鼻歌を交えて軽快に歩く准(蓮)。いったい何を考えているのか、俺には嫌な予感しかしない。

「そりゃあ、この姿で女子更衣室にだな~!」
「だと思った」

 男子にとって無縁の禁断の花園。中ではクラスメイトが生着替えをしているのだろう。女子に変身出来たら、一度は入ってみたいだろう。

「でも、もし准本人がいたらどうするの?本人とばったり鉢合わせなんかしたら最悪だよ?」
「あっ――」

 足踏みを止める准(蓮)。考えなしの行動が時には取り返しのつかない状況になりうる。そう、俺たちは未だに准と会っていない。教室にも顔を見せてもいなかったということは、この時間准がいるであろう場所は限られてくる。その最も高い可能性として、更衣室なのである。
 もちろん、体育の授業に本人がいる以上、准(蓮)が参加することも控えさせた方がいいだろう。
 准に成り済まして悪戯を考えていたとはいえ、やはり制約を課せられるものである。本人に会ってしまっては強制終了。その後制裁が待っているのが目に見えているのだから。

「……更衣室はお預けだ」

 重々しい口調で准(蓮)が言う。かなり名残惜しそうである。

「作戦を変更する。麻生、おまえは准の足止めをしろ」
「なにするの?」

 准(蓮)が次に考えた作戦を聞きだす。

「久美子いるだろう?准の親友の」
「うん、いるね」

 飯塚久美子。説明した通り、准の親友であり俺たちのクラスメイトだ。自分から先導することは滅多にないが、必ず准の後ろを付いて動き、時に准の行動を抑制させることもある、物腰の落ちついた生徒である。
 そんな俺が持った彼女の第一印象は、「彼女、乳でけえ」だった。
 見て分かるくらい制服の上から弾む胸の大きさに目を奪われることがあった。久美子は巨乳と、どのクラスメイトの男子に聞いたところで同じ感想を持っていたのである。そういう意味で、准(蓮)が久美子の名を出した理由も分からなくない。

「彼女を襲ってみようぜ。うまくすれば久美子も乗るかもしれないしな。麻生にはその間、准を監視していてほしいんだ」

 准になりすませて親友を襲うなんて、蓮は悪人だと思う。
 しかし俺はそんな蓮と付きあってしまっている以上、パートナーとして役目を果たさなければならない。准(蓮)が行動を起こす。有言即実行――、

「ジャーン!」

 隣の准(蓮)が何時の間にか制服姿から運動着姿に変わっていた。その早技に思わず声を荒げてしまった。

「いつ着替えたの?」
「うーん、着替えって言うよりは想像でなんでも着替えられるんだよ」

 『鏡』は覗いている間に想像した姿を写しだすようなものと准(蓮)は言う。着替えというよりは着せ替えに近いのだろう。一瞬で衣服も思いのままにできるというのは凄いものだ。

「じゃあ行ってくるぜ。久美子は教室にいたよな?なんかあったらすぐ知らせろよ!」

 長い脚で廊下を駈け出していく准(蓮)。本当に思いついたら実行が早い。

「麻生くん!」

 前を行く准(蓮)の姿を見つめていると、後ろから俺を呼ぶ声がした。
 思わず身構えてしまった。

「その声は――!」

 その、先程まで隣で聞いていた声が、今も廊下の奥で走っている姿が見える人物の声が、後ろから聞こえてくるのだ。
 ゆっくり振り向くと、そこには永森准がいたのである。蓮が変身した姿と同じ、運動着姿で立っていたのだ。唯一違いをあげれば髪の毛だけだ。

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「ナニ?」
「なんでそんな片言なのよ?」

 蓮から頼された使命感が逆に俺の身体を固くする。准以外に出会えればこんな風にならなかったのに、せめてもう少し時間を置いてから准を登場させてほしかった。恨むよ、カミサマ。

「ナニか用?」
「蓮いなかった?」
「さあ~?俺は見てないよ~?」
「……ウソが下手ね」

 動揺しすぎの俺。パートナー大失敗かも。

「言いなさい!あいつ、今日のテストの為に私のノート借りといて返さなかったのよ!しかもテストの時間出席しなかったし、最低よ!」

 今日のテストのことを怒っているようだ。小テストといえ、赤点取った人はもちろん補習がある期末テストさながらの、赤羽早苗―あかばねさなえ―の授業である。

「・・・・・・・・・テスト」
「そうよ!……あれ?そういえば麻生もいなかったわね。よかったの?サボり二人だけよ?」
「……えええええええええ!!!???」

 聞いてないよ!本編に全く出てきてないよ!
 そんな裏設定、つうかテストなんていらないよ!!



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 イったばかりだというのに准(蓮)は身体を起こした。自分の愛液で濡れたショーツとスカートを脱ぎ棄て裸を惜しげもなく見せつけた。

「どうだ。准の身体が目の前にあるんだぜ?」
「うん……」
「興奮するだろ?」

 ふくよかな乳房を押し潰すように揉みほぐす准(蓮)に目を奪われる。目を反らすこともできず、見れば見るほど目の前にいるのが准本人に見えてくる。
 高揚した表情でオナニーをしている准の姿に、さすがの俺も下半身を抑え出す。限界が近かったのだ。

「ふっ……っ!」
「ニヒヒ……。なんだよ、ずっと我慢してきたから触ってほしそうな視線を飛ばしてよ」
「そんなこと……ないけど……」
「隠すなよ。……いいぜ。触ってほしかかったんだよな?」
「あっ――!」

 准(蓮)の手が俺のズボン越しに逸物に触れる。
 白いしなやかな手で俺の逸物を撫でているんだと認識すると、「ふわあ~」とヘンな声が出てしまった。

「アハハ……麻生、おまえ面白いな」

 笑いながら俺の逸物を触る准(蓮)に、逸物をさらに固くしてしまう。
 わかっている。俺の逸物を触っているのは、准ではなく、親友の蓮だちいうことが――。
 でも、いま俺の逸物を触っている手が果たして男性の手触りと思えるだろうか?

「ん~?なんなら直接触ってやろうか?普段触っているもんだから俺は別にオチ〇ポに触ることにまったく抵抗ないしな」

 ズボンのチャックを開けてその手を直接トランクスの中へと潜りこませる。

「ふああ~!!!」

 俺の、俺の逸物が、俺以外の手で触られている!?その華奢な手で逸物を弄ぶには十分すぎるほど太く長くなっているので、好き放題にいじっていた。
 確かに、逸物を握る強弱や瞬間的に弱いところを責める准の手つきはとてもうまい。「何人の男性と遊んできたの?」と聞いてしまいそうなほど慣れている。

「あはは!!」
 
 そんなの当然だ。俺の逸物を触る准は、本人じゃないんだから。
 でも、それなのに、俺の身体はココロとは対照的に感じてしまっている。そして、身体に感化されてココロもまた准を受け入れようとしている。
 そこにアナがあるのなら挿入したいと思えてしまっている。
 獣のような本能。
 親友といえどこの場を抑えられる自身は、互いにありそうになかった。

「そうだ。せっかくだから口で咥えてやるよ」
「えっ、ええっ!?ほんとうに?」
「准に咥えてもらえるなんて幸せもんだろ?へへ……はむっ…………ちゅっ、ふぇら……んふ……」

 准(蓮)が俺の逸物を咥えてる。アイスキャンディーのように舌をペロペロと差し出して、お口に咥えて呑みこんでいく。口内に消える逸物に准の涎が絡みつく。口内は先程触った准の大事なところと同じ湿り気と温かみを帯びていて、気持ちが良かった。

「おち〇ぽ咥えて、平気なの?」
「んっ……へーき……へひうか、くわへてみたいってほもった……」

 咥えながら喋ると、口内が震えて絶妙なところに感じてしまう。ザラザラな舌の感触が逸物を本当にアイスキャンディーを溶かすかのように押し寄せてくるので、できることなら口の中で溶けてしまえればいいのにと思えた。

「んっ、んっ、ちゅる、ぢゅるぢゅる……ジュボジュボ……」
「あっ、准!それ、ヤバイ!」
「んっ、んっ、んんっ……はんっ……んふっ……んんっ」
「あっ、す、すごいっ……ああっ!……そんなに吸ったら……ああああっ!!」
「んんんっ!」

 生暖かい准の口に咥え込まれた俺の逸物は、限界寸前で外へと吐き出された。それでもカウパー液の味は広がったのかもしれない、准(蓮)は手で口を抑えながらも、その苦みを噛み砕くように味わっていた。

「はぁ~はぁ~……まい……おれ、我慢できねえよ」

 准(蓮)が俺を見つめる視線は、今まで准をみた中で一番艶やかな表情を浮かべていた。

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「う、うわっ!?」

 准が俺の上に乗っている。俺はその、童貞で、もちろん女の子が上に乗ったこともない。
 初めてのことで、気が動転している。それは、准が俺に乗っているだけの理由じゃない。

「れ、蓮だよね?」

 さっきまで俺の部屋にいたのは、親友の蓮だ。様々な質問をして、変な呪文を唱えたと思ったら、蓮が消えて変わりに准が現れたんだ。
 蓮が消える前に言っていた『変身』という言葉が本当なら、俺の目の前にいるのは、准の姿をした、蓮だということだ。
 そう本人だって言っていた。でも、姿だけではまったく本物の准と見分けがつかなかった。女性ものの制服を着こんだ准が蓮だと思う確証が得られなかった。
 准がピクッと動きを止めた。

「……もし、准って答えたらどうする?」
「えっ……?」

 准が自分のことを『准』って答えることは当然だ。でも、俺は准に『蓮』って答えてほしいことを望んでいる・・・?
 他人に『変身』できることを羨ましく思うと同時に、にわかには信じがたいことをこの場で確認したかっただけなのだ。
 准がこの世に一人しかいないのではなく、他にもう一人『准』がいたら――、
 俺はその人を准だと受け入れられることが出来るだろうか。

「ぷっ、あはは……おまえなぁ。そんな質問の意味になんの意味があるんだよ?」

 准が笑いながら言った。確かにその通りだ。余計なことを考えるなんて野暮なこと。俺はいま准とヤらしてもらえる。そんな性欲を目の前で発散できるこの状態で、健気だ、謙虚だ、正論だなど余計なものだ。
 もし、目の前にいる相手が准本人だったとしても、俺は今の性欲を収められることは出来なかっただろう。


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「きいてくれよ、麻生!」

 俺に対して望月蓮―もちづきれん―が嬉しそうに駆けつける。高校生でありながら一人部屋の学生寮に過ごしているせいか、蓮はなにかと俺の部屋に上がり込んでくる。

「どうしたの?今日も授業サボりに来たの?」
「バカ言え!俺とおまえの仲じゃないか!」
「……俺のプライベートの空間はないの?」

 珍しく舞いあがっている蓮の話を聞くよりも、蓮の手に持つモノに目が惹かれてしまった。

「なにもってるの?」
「いや、ばれちまった?おっかしいな~ちゃんと隠したつもりだったんだけどな~」

 どうやら蓮が俺の部屋に来たのは、これを見せたかったらしい。もったいつけながらも「ジャーン!」と、効果音を自分で発しながら見せる。

 『鏡』だった。女性が化粧の際に使いそうな、二つ折りになったコンパクトサイズの『鏡』であった。

「来たんだよ!遂に『商品』が届いたんだよ!」
「『商品』ってそれ?……アマゾン?」
「違うよ!エムシー販売店だよ。入荷半年待ちの商品だぞ!」
「なに、そのどっかの個人経営的なお店の名前……」

 聞いたことのない店名が作った『商品』(とはいえ鏡だ。百円ショップにでも販売してそうな陳腐な安物にも見える、鏡だ!)を自慢気に語られても困る。いったいその鏡がなんだというのか、俺には分からなかった。

「で、その鏡がどうしたの?」

 俺が話を進めると、待ってましたと言わんばかりに蓮が「ニヤリ」と不敵に笑う。親友とはいえ、うすら寒い笑みであった。

「麻生。おまえ、准のこと好きだったよな?」
「と、突然なに言うんだよ!」

 蓮が言ったのは永森准―ながもりじゅん―という、クラスメイトの女の子だ。蓮の幼馴染であり、俺とは高校生で同じクラスになって、一目で惚れてしまった女性である。
 可愛くて気が強く、クラスの中心でみんなを引っ張っていく姿がそそられる。蓮とは性格も正反対であり、まじめな准に好意を寄せるクラスメイトは俺だけではない。

「言っちゃえって、気にするな!俺とおまえの仲じゃないか~!」
「い、イヤだよ、恥ずかしい。蓮に言ったら准に筒抜けになりそうだもの」

 信用していないわけじゃないが、蓮と准は幼馴染であり、よく会話をしている場面を目撃している。ぽろっと俺が呟いた発言で蓮は何かと准と俺をくっつけたいと思っているらしく、恋愛の話になるとすぐに准の名前をだす。しかし実際、蓮と准の関係がどういうものなのか分からない。幼馴染で長くいたせいで恋愛に発展しない典型なのだろうか。それともすでに二人は付き合っていて、俺をからかっているだけなのではないかとも疑ってしまう。
 だから俺は必死に蓮に准への想いを打ち明けられずにいた。

「ふ~ん。……もし、准とやらしてやるって言ってもか?」
「・・・・・・え?」

 素っ頓狂な声をあげてしまった自分が恥ずかしい。でも、すぐさま蓮を振り向かずにはいられなかった。

「ヤラシテクレルノ……?」

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 若さ故の過ちに落ちてでも欲求に素直な自分を俺だけは褒め称えようと思う。今までの抵抗を全て翻して心揺さ振られる俺に、蓮は高笑いをみせていた。

「これから質問していくからな。十個の質問全てに答えたら、やらしてやるよ」
「ソレダケデイイノ……?」

 まじでそれだけでヤらしてくれるの?
 准だよ?クラスメイトで蓮の幼馴染の永森准だよ?
 ウソじゃないよね?

「おう!じゃあ、いっくぞ~!」

 心の準備が間に合わないまま、蓮が質問を始める。

(よっしゃああ~!バッチこ~いいぃぃ!!!)

 キャラでもなく、心の中でファンファーレが鳴り響いているのを聞いていた。

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