純粋とは矛盾色-Necronomicon rule book-

夢と希望をお届けする『エムシー販売店』経営者が描く腐敗の物語。 皆さまの秘めた『グレイヴ』が目覚めますことを心待ちにしております。

カテゴリ:グノーグレイヴ『立場変換』 > 名刺『授乳鑑定士』

 ご覧いただけただろうか?
 『覚せい剤』により覚醒した『名刺』には、人の識別を誤認させることができるようだ。それは職業から性別、生身まで。
 俺の『名刺』に書かれたことが俺に付与効果の恩恵をもたらすのだ。
 物は試しだ。いったい俺はどのように映っていたのだろうか。 アイドルとして輝く乙成麻友―おとなりまゆ―の名前を借りて、俺の『名刺』に彼女の名前を描きこんだ。
 名前を描きこんだところで俺の身体に別段変化があるわけじゃない。実際、変化が起こっているのかは俺自身わかることができないのだ。視覚を変化させているのだから、客観的に見てもらわなければ俺自身なにが変わっているのかわからない。 しかたなく、鏡を探しに部屋を出ようと思ったが、俺の目にハンディカメラという便利なものが映ったので、これでいいと手に持つと撮影モードにして俺は自分を撮影した。

「さて、どう映っているかな・・・?」

 ハンディカメラのモニターを自分に向ける。レンズに映っている自分の姿を客観的に見た俺は、思わず唸り声をあげてしまった。

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「おぉぅ。本当にまゆゆになってらあ。今の俺はこう映って見えるのかぁ」

 普段テレビに映っている彼女がいま、自分のハンディカメラの中に映している。しかも俺の部屋で、寸分違わぬ麻友の姿で映っているのだ。
 きめ細やかな肌の白さ、くびれのある腰、ふくよかな胸、そして、誰にも見せたことのないアソコまで、彼女の全部をカメラのレンズには収められていく。自分の胸板を触って右手を動かしているはずなのに、モニターでは麻友が自分の乳房を触っているのである。胸の硬さも大きさも違うはずなのに、胸を触る動作は同じように映っていた。

「不思議なもんだな。俺がいるはずのところにまゆゆがいて、俺と同じ動きを取ってるんだからな。こんな動画が世に流れたら、アイドル生命終了だな」

 俺は破壊主義者じゃないのでそんなことはできないが、己の性欲にはもっぱら貪欲である。こうしてまゆゆとしてカメラに映っているのなら、普段見せない彼女の行動をカメラに収めて永久保存版の宝物にしようという欲求が湧いてきた。
 
「あーオナニーしたくなってきたぁ!」

 カメラを置いて、自分のベッドに飛び込んだ俺は、カメラに全体が映る体制になって、意気揚々とオナニーをし始めたのだった。


 
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「こんにちは、授乳鑑定士です」

 そんな職業が果たしてあるのだろうか。俺がそう名乗ると、陽菜は頭を下げた。

「ごめんなさい、先生。今日が診察日だったってすっかり忘れてましたわ」

 先生だなんて言われて悪い気がしない。完全に信頼しきっている陽菜に俺は思わず吹き出しそうになった。

「いいんですよ。俺もちょうど赤ちゃんに授乳している時だったのでやりやすかったですからね」
「まぁ、うふふ・・・。今度は家の中でお願いします」
「気にしてたんだ!?むしろ、公園内で授乳する姿に露出の癖があるのかと思ってたよ」

 まあいい。得しているのは俺だけだ。そして、これからも得をするのは俺だけだ。
 態度を改め、陽菜の乳の味から鑑定士としての責務を果たさなければならない。

「いかがでしたか、先生?私の乳は健康ですか?」

 心配そうに聞いてくる陽菜に、俺はゆっくり口を開く。神妙な面持ちで聞く陽菜。

「ごちそうさまでした」
「はい?」
「じゃなくて」
「はい。それで、結果は・・・」
「美味しかったです」
「はい?」
「じゃなくて」
「はい・・・」

 ダメだ。あの味を思い出すと、逸物が勃起する。興奮剤でも入ってたんじゃないのか、ムスコが元気に育つ栄養素が詰まっているに違いない。
 だからこそ、言ってやる。

「少し、栄養素が薄くなってますね」
「えっ?」
「ここ最近セックスしてますか?」
「それは・・・今は、夫とはしていません。日和が育ったら、二人くらいは作りたいと思ってますが・・・」
「時期が違うと・・・しかしですね、セックスは怠ってはいけませんよ。男性の濃厚な精液には健全な母乳に必要な栄養素がたっぷり入っていますからね」
「そうなんですか?」
「それは女性では作ることが出来ません。男性から得ることで完璧で美味な母乳が完成するのです」
「なるほど。勉強になります」

 適当!俺の超適当な言い分を陽菜は完全に真に受けてる!資格ってすげえ!授乳鑑定士すげえええ!『名刺』すげえええぇぇぇ!!

「それでは、日和ちゃんの為に、今夜は早速夫と・・・」
「違いますね」
「えっ?」

 面食らったようにきょとんとしている表情の陽菜に、俺は催眠をかけるように語り掛ける。
 
「美味しい母乳を作るには若い精液の方がより美味しくなります。夫よりも若い男性から精液をもらうことをお勧めします」
「そうなんですか。私、若い男の人って苦手なんです」
「何を言ってるんですか、陽菜さん。あなたみたいな御美しい人妻に声をかけられて喜ばない男性は古今東西いません。自分に自信をもって下さい」

 瞳を輝かせて自信満々に言うのは俺の本心だ。
 俺は嘘をつかない。自分に素直なだけだ。

「で、でも・・・他の男性と、その・・・性行為だなんて・・・」
「違うでしょう?これは性行為じゃなくて、美味しい母乳作りです。 性行為としてカウントされません」

 それでも俺は性欲に一番貪欲だ。陽菜とセックスするためなら偽りの真実を植え付けよう。

「そうでした。若い男の人の精液は美味しい乳を作るために必要なものですものね。夫にも分かってもらえますよね?」
「ええ、そうです。安心してください」

 ほっとしたように表情を和らげる陽菜に、俺はさらに優しく声をかける。

「もし万が一、男の人に声を掛け辛いのでしたら、俺に声をかけてください。喜んで協力しますよ(ニッコリ」

 
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 春――
 温かくなった季節に目を覚ます動物たち。寝ぼけ眼を擦りながら蕩けていた脳を起こす者もいる中、この時期に一際忙しなく動き続ける者たちがいることも忘れてはならない。
 営業職に就職した新人社員。俺、及川正雄―おいかわまさお―も大人への第一歩を進んでいる。上が黒と言えば黒であり、自分は会社の一つの駒になり、朝7時に出社して退勤は日を跨ぐのが普通と教えられている。上司からは毎日怒られて、常識からは逸脱しているはずの生活は洗脳されたように最良企業を淘汰する。
 頭の中で会社が絶対で、社会に切り放されることが嫌で、昔のことを忘れようと必死になって働いては実績が取れずに外に出る毎日を繰り返す。
 残業三昧の素晴らしい毎日を送っているのだ・・・。

「・・・・・・あれ?なんか時間がたつの早くない?」

 そもそも俺はまだ高校生で、基本設定は高校二年生で、就職なんてまだまだ先の話のはずだ。それなのに気づけば就職しているのはどういうことだ?
 ああ、そうか。これは夢なのだ。そうじゃなければ悲しくて死んでしまう。大卒相手に高卒の俺が社会に挑もうとしているのだからムリゲーじゃないのか。
 現実に心が折れそうだ。家には帰れず、正午の日差しをよけるために木陰の公園のベンチで休むことにしよう。

「・・・あちぃ。もう嫌だ、親が死ぬまでニート生活を満喫するお。裏口合格の超ホワイト企業内定乙だお」
「どうしたの?ブルー入ってるじゃん?話してみなよ。楽になるよ?」

 隣から話しかけてくる相手の顔を俺は見ない。それどころか、優しい言葉をかけてくる人物を俺は拒絶した。

「うっせえ。ほっといてくれ!泣きたくなるだろ!」
「うんうん、分かるよ。今と昔の社会は似て非なるものだからね。消費者の好みは複雑になって多様化して、社内の情報ばかり収集していても意味はなくなってるんだよ。社外の情報や人脈、多様なアイディアをみんなで共有しないと企業間競争にこれから勝ち残っていけないよ?お偉いさんにはそれが分からないんだよね。凝り固まった自信は過信になって、プライドが信念を曲げることを拒むから。若いきみたちの言葉を聞かず、自分たちのやってきたことを若者たちに同じように与えていく。苦痛や苦汁をね。いったい何度同じことを繰り返すんだろう。面白いよね、『人間』って」
「・・・・・・」
「きみは同じ場所に居座って一つのことしか見えなくなっているんだよ。会社が正しく、他の会社が間違っているんだって、一種の洗脳を受けているんだ。だから、ボクが言えることは一つだけ。――残業なんかしないで、定時に帰っていっぱい遊んで、お酒を呑もうよ!」
「せ、先輩ぃぃぃぃ!!!」

 俺の不満に思っていることをすべて貫いた少女。自分が間違っているのじゃなく、社会が間違っているのだと、非現実こそが正しいと、少女以外誰が言えるだろう。
 少女・・・俺よりも先に営業に就いている自称宇宙人の女の子に俺は抱き付いていた。刹那、俺の身体は無重力になってベンチからふわりと浮き、地面へと叩き落とされた。
 少女にやられた。地面に倒れる俺の顔を蔑んだ顔で見下ろしていた。

「気持ち悪い!男の子が簡単に泣くんじゃない!」
「お、おう・・・」

 顔を覗く見慣れた少女に俺は手をあげた。・・・そう、見慣れた少女だ。見慣れているけど毎日顔を合わせているわけじゃない。もちろん、顔を観たくても毎日会えるわけじゃない。
 少女の気まぐれだ。俺は新社会人で、少女は既に社会に出て働いている。
 俺よりも社会の先輩の、宇宙人だ。

「おまえ、いたのかよ」
「知った顔を見つけたからね。会いに来てあげたんだよ」
「営業が油売ってていいのかよ」
「会話もまた営業の大事なスキルの一つだよ。でも、きみと会わなかったらパチンコでも行って一儲けするつもりだった」
「仕事してくれないかな?」

 少女との会話が俺の高校時代を走馬灯のように思い出させてくれる。少女と会っている時だけ俺は昔の学生に戻ることが出来るのだと思うと涙がジワリと滲んだ。

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「いや、実際きみが社会に出て働くのは今回だけだからね。次回はまた学生に戻ってもらうからそのつもりでよろしくね」
「・・・なんだよそれ!今までの俺の人生はなんだったんだ!就職難民は!?美しい高校生活は!?」
「それもまた一つの話だよ。アハハ、まったくきみは便利な役者だね」
「じゃあ、俺はまだ学生だったんだな、そうだったんだな!やっぱり就職なんていつまでもやりたくねえよな。あっぶね!」

 就職をやめた瞬間、俺は自由を手に入れたように羽ばたいていた。両手を広げて日差しを浴びた。
 超気持ちいい。

「って、おまえは台本の監督かよ!人の設定を勝手に変えるんじゃねえ!」
「監督じゃなくて宇宙人だよ。まだボクを認めてくれないの?」
「たい焼きを無銭飲食する奴を人として認めるわけにはいかない!」
「うぐぅ。ちゃんとお金は払ったよ」
「どっかで聞いたことある台詞だが聞かなかったことにしてやろう」
「うわ、学生に戻るとわかった瞬間態度が激変。ネット弁慶並みの性格の悪さだね」
「いや、今の俺は仏のような寛大な心を持っているぞ。だからこそお前の台詞をスルーしてやってるんだ」
「スルーしないでよ!ボクの話を聞いてよ!ボクは宇宙人だよ、宇・宙・人・?」
「悟っちゃえよ。宇宙人なんてやめて社会人に染まっちゃえよ」
「つまり、認めないわけだ。どうやらきみはボクを子供扱いしているね・・・」
「見た目が見た目だからな。お前がもう少し大人の美貌を持ってたら対応が変わったかもしれないけどな」
「あ、そうそう。子供で思い出したんだけどね――」
「人の話を聞けよ!」

 宇宙人の本領発揮する言葉のキャッチボールを完全スルーしやがって。むかつく。

「子供の日にプリキュアの映画を見たんだよ」
「子供か!」
「サイアークが倒しても倒しても復活するなんてびっくり、怖くて手に汗握っちゃったよ」
「ハピネスチャージ!?」
「今の映画は凄いね。『みんなでプリキュアを応援しよう』って言うんだよ。見ているだけじゃなくて応援までできるなんて、子供は大喜びだね!ボクも子供たちと一緒に応援したよ、『ふいきゅあ、がんばってぇ~』!」
「幼児に帰化するな」
「そしたらね、キュアラブリーが『みんな、ありがとう!』って言ってくれたよ!ボクの想いが届いて、キュアラブリー変身したんだよ、きゃあああぁぁぁ~!!!」
「純粋すぎぃ!?」
「もう映画の域超えてるね。一つのミュージカルだよ。子供目線の演劇戯曲。素晴らしいアニメだよ」
「大きなお友達も大喜びだな」
「つむぎちゃんって、ボクと声が似てる気がするんだっ!」
「お前に声は実装されてねえ・・・」

 こいつ、必ずといっていいほど堀〇由衣ネタを入れてくる。高望みし過ぎ。下出にはいるが謙虚さは微塵も感じさせねえ。

「あっ、最近の銀魂女体化してたね!」
「時事ネタは止めろ!」
「女体化はボクにとっても心躍る展開だからね。水曜日は6時に仕事を切り上げてテレビの前でスタンバイしてました」
「ああ、いいなあ。1ヶ月間でこいつ、銀魂とプリキュア見てたんだ。めちゃくちゃ遊んでるじゃねえか。暇してるじゃねえか。アニメ三昧じゃねえか」
「でも、どうしてボクの声がなかったんだろう?女体化と言えばボクの声を使うべきだと思うんだ」
「お、おぅ・・・それは、お、大人の事情があるんじゃないか?」
「DVD爆上げに貢献するよ。1クールの最終回では「あのね・・・」」
「消されるからあ!!お前のやろうとしていることが分かるからあああ!」

 もう、これ以上ネタを入れると、このブログも上からの圧力によって消し炭にされるぞ。病み上がりだよ?更新再開したばっかなのに、もう終わるよ。一発目で終了するからやめてぇぇぇ。

「みんな働き過ぎだよね。アニメを見たい時は定時に帰っていいじゃないか。プライベートの充実なくして仕事の効率があがりません!」
「ホワイト企業自慢乙。所詮私は会社の為に働く哀戦士なんです」
「それでも子供の日は休みでしょう?」
「ん?まぁ、それはそうだな。祝日だからな」
「1月1日は?」
「元旦?休みだな」
「10月10日は?」
「うーん、昔は休みだったみたいだな。体育の日で月曜休みになっちまったからな」
「このように、ゾロ目の日付は行事で祝日の月が多いのです。だから僕は、新たにゾロ目の月日に祝日を入れたいと思います」
「ああ、休みが増えるのならなんでもいい。可能性が限りなくゼロに近くても俺は応援するぞ」
「任せてよ!必ず憲法改正までに間に合わせてみせるよ!」
「その願望を述べている時点で既に間に合わねえと思うんだけど?・・・で、何月を祝日にしてくれるんだ?」

 少女が( ̄ー ̄)と笑う。・・・ニヤリと笑う。既に背筋が寒かった。

「5月5日は子供の日だけど、6月6日はグノーグレイヴの日にしよう。ほらっ、6とGって似てるし」
「悪魔の日だあああ!!!」
「普通の日なら逮捕されるけど、その日に限って『時計』をしている人は時を止められるってことで御触りオッケーにしよう」
「通勤に支障がでるううう!」
「普通の日なら逮捕されるけど、その日に限って『電話』でつながった相手に催眠をかけられるようにしよう」
「仕事に支障がでるううう!!」
「普通の日なら逮捕されるけど、その日に限って『ゲーム』してる人は相手の行動を洗脳できるようにしよう」
「オンライン誰も入ってこねえええ!!つうか、逮捕される事例ばかり作るんじゃない!GG―グノーグレイヴ―は犯罪の巣窟じゃねえか」
「なんで?夢あるじゃん!ドリームストーリーだよ!」
「男性にとっては(*゚∀゚)=3ムッハァな展開だけど、世界の半分は女性だ。社会は複雑なんだよ。自分勝手には出来ないんだぞ」
「ドリームストーリーって言えばシンデレラだけど、愛と優しさがあったから王子様と結ばれたみたいなこと言ってたけど、実際は語学力と社交ダンスができたから結ばれたと思うんだよ」
「身も蓋もねえ!!」
「シンデレラって絶対に貴族様だよ。ボクが言うんだから間違いない」
「夢も欠片もないことを言うなよ!シンデレラストーリーに憧れる女性を悲しませるなよ」
「シンデレラストーリーに憧れる・・・バブル世代?」
「早く女性に謝れ!!どうなっても知らんぞ」
「ボクが言いたいのはね――」

 少女が一旦言葉を大にして遮る。どうやら、今日の一言はこの言葉らしい。

「――シンデレラは男性が見る映画だよ」
「女装男子が加速する!?女体化テレビが加速するぅ!?TSファン歓喜~!ドリームストーリぃぃぃー!!!」
「そういう発想もいいんじゃないかな?シンデレラに憧れた男子が女性顔負けの化粧テクを手に入れたら、いつか美女と野獣で出演できるんじゃないかな?」
「それ明らかに化粧というより特殊メイクじゃないか」
「よくいるよね。会社を変えたいという大きな目標を持ってる新人なんて、会社を崩壊させたいと言ってるのと同じなんだよ」
「新人の大きな夢を崩壊させるなああ!!!」
「大きな夢より小さな進歩を見たいんだよ。むしろ、社会人にはそれしか期待してないし」
「新社会人じゃなくて社会人を全否定しやがったああああ!!」

 大きな制圧だ。少女一人に人間の生き方を否定されるなんてスケールでかすぎ。
 斬新。新しすぎる。むしろ、若すぎる。

「はい、これが小さな進歩だよ」
「なんだ、これは?」

 少女が見せてくれたソレは、白い粉だった。『粉薬』とはまた違う粉薬だった。

「チートアイテム」
「改造コード!?」

 小さな犯罪だ。少女の言うチートアイテムを俺の『名刺』に振りかけると、俺の名刺は真っ白に消え、名前も商社もすべて消えてしまっていた。

「名刺の、『覚醒』(くわっ」
「あ・・・(察し」

 覚醒とか言っちゃった。アプリゲームで誕生した覚醒、もとい後付け。
 後付けの二番煎じって受け入れられるのだろうか。・・・まあ、いいか。この話は今回限りだし。
 何やっても許されると思いたい。
 ・・・・・・そう信じたい。

「グノーグレイヴ『覚せい剤』」
「逮捕されるぅぅ!!」
「大丈夫!サ〇ヤ人もニュー〇イプも、ゾー〇突入も一種の覚醒だ!つまり、売れるアニメには覚醒が必要なんだよ」
「名作の冒涜だ!訴えられる!!」

 白い粉が風に舞う。すると、俺の意識が朦朧としてきた。少女の声がまるで風の音のように運ばれてきて、距離感すらわからなくなる。
 
「だからきみも早く、覚醒―目を覚ま―してね」

 少女の言葉を最後に、俺は目をつぶり、次に目を開けたときには、ベンチでうとうと眠っている俺がそこにいた。
 あれだけ一緒に騒いだ少女の姿はどこにもなく、風に運ばれて消えていったかのように公園には俺しかいなかった。
 どうやら3時間ほど眠ってしまったらしい。俺の時が止まっていたかのように、俺を残して現代社会は動き続ける。
 俺はゆっくり立ち上がる。現実と戦うために・・・上司にこっぴどく怒られるのを分かっていながら被害を最小限に留めるために――全速力で駆け出していく。

「つうか、今回のオチって夢堕ちかよ!!!」

 夢から覚めても今回限りの営業マン―悪夢―は続く。
 


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