純粋とは矛盾色-Necronomicon rule book-

夢と希望をお届けする『エムシー販売店』経営者が描く腐敗の物語。 皆さまの秘めた『グレイヴ』が目覚めますことを心待ちにしております。

カテゴリ:グノーグレイヴ『入れ替わり』 > 粉薬『どうしようもない彼妹』

 久が退院した日。母親が病院まで迎えにきたが、そこに妹の真昼の姿はなかった。
 気になった久が真昼の部屋を訪れる。そこはもぬけの殻で、真昼の姿はなかった。

「・・・まっ、いつまでもお兄ちゃんって言われても困るか」

 真昼はブラコンだが、久はシスコンではない。妹に甘いだけだ。
 いつも久とべったりしていた真昼だけに、友人関係がうまくいっているのか心配でもあった。休みの日まで友達より兄を優先していた真昼だけに、少しでも兄妹として離れなくてはいけない時期に入っただけのこと。
 足の怪我は真昼を久から離れさせるきっかけであっただけに、こうして兄の退院に真昼が病院に現れなかったことは成功を意味していたような感覚があるのだが、どうもひっかかる。

「それにしてもあいつはどこにいったんだ・・・?」

 久が真昼の部屋を訪ねてくるのを計算していたかのように、テーブルの上に置かれた一枚のDVDを発見した。
 ご丁寧に、『お兄ちゃんへ』と、真昼の字で書かれた置き手紙と一緒だ。
 久はDVDを見るためにDVDプレーヤーを開いて再生を始めた。

 そこに映し出されたのは、どこかの薄暗い部屋のベッドの上でくんずほぐれず取り乱れる一組の男女の姿だった。
 裸のふたり。男性が後ろ姿で一心不乱に腰を振っており、おま〇こに逸物を何度も挿入させていた。膣口から愛液が溢れており、くちゅくちゅと卑猥な音をマイクが拾っていた。ベッドの上に倒れている女性が腰の打ち付けに合わせて喘ぎ声を響かせている。
 その声――幼い、甲高い声で大人顔負けの蕩けた表情を浮かべている女性が、ビデオカメラのレンズに見え隠れする。

『あん、あん、いい・・・すごい!きもち、いい!ああん!』
『はぁ、はぁ・・そ、そうかい?』
『うん!またぁ、またいっちゃうぅぅ!いっくぅううう!!』

 絶頂を知らせる女性の感極まった声。その表情を映すレンズはまるで、久の瞳のように女性の姿を目に焼き付かせていた。

「真昼!!?」

 ビデオに映っている女性は妹の真昼だった。股を開いて男性の精液を膣内に浴びながら痙攣している姿を、録画で収められていることに兄として驚愕していた。
 そして、真昼の相手をしている男性が、ようやくカメラの正面を向く。そいつもまた、久の親友だと思っていた、最悪の裏切者だった。

「臨――!」

 なんということだろう。久にとって妹の真昼と、親友の臨のセックスシーンが映像で送られていたのだ。
 どういう理由でなんて考えたくもない。最低の行為に怒りがわいてくる。
 拳を握り、震えが止まらない久に、映像の中の真昼がくすりと笑っていた。

『お兄ちゃん』
「っ!?」

 真昼に呼びかけられたのだ。これもまたびっくりすることである。そこまで久は真昼の掌の上で踊らされているのだ。

『見てくれた、お兄ちゃん?私のセックスシーン。お兄ちゃんがいなくなってから私、ずっと臨さんに身体を弄られていたんだよ?おかげで私の身体、こんなに感じるようになっちゃった!すごいでしょう?まだおま〇こヒクヒク疼いてるの?お兄ちゃんも入れてほしい?私のセックス見て欲情しちゃった?くすくす・・・でも、ダメ。お兄ちゃんなんか絶対入れてあげない!だって私はもう、臨さんにメロメロなんだもん!』

 久にとって、真昼の告白は一種の敗北感を覚える発言だった。臨は親友であり、真昼は妹だ。素直に二人の幸せを祝福できるならそれに越したことはないのだ。
 しかし、久は臨に劣っているとは思っていない。身体も鍛えているし、見た目だって整えている。だらしない姿の臨に対していつでも優っているという優越感を常に持っていた。それが、真昼の告白によって完膚無きにぶち壊されたのだ。
 男として敗北したのだ。
 そんなこと、黙っていろというほうが無理だ。
 久は戦ってもいない。
 臨と戦ってもいない。映像を見せられて、戦うこともできずに敗北するだなんて、納得できるはずがない。

「のぞむううぅぅうぅぅぅ!!!!」

 久は治りかけの足で全速力で走った。
 悪魔のような笑みを浮かべる、親友だった奴との絶縁をするために。


 
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 大好きなお兄ちゃん。
 笑顔が素敵なお兄ちゃん・・。
 スポーツしているとき、輝いているお兄ちゃん・・・。
 私の自慢のお兄ちゃん・・・・・・

 そんなお兄ちゃんが・・・どうして・・・どうして・・・・・・。

 私は外に出ていた。
 真冬の雨だ。雪になってもおかしくないのに、私の頬に伝って流れる雨は、あふれ出る涙を一緒に洗い落してくれる。
 私の心は冷え切ってしまっていた。
 言葉が出ないほどに喉の奥が焼けてしまっていて、身体が重く、意識が朦朧としている。 
 どこに行く宛てもなく、どこを目指しているのかもわからない。
 ただ、ふらふらと、外に出て歩いているだけだった。
 風邪を引いているかもしれない。頭が割れるように痛い。熱っぽい・・・。

 ――ドン!

 私の肩が大柄の男性にぶつかる。男性はムッとして言ってくる。

「いってえじゃねえか!気をつけろ!」
「・・・・・・」

 確かに今の私は、外に出ても迷惑をかけているのかもしれない。
 目的を持って歩いている人にとって、意味のない行動をとる私は邪魔でしかない。
 それでも私は、家にいたくなかった。
 三井家にいたくなかった。
 三井家の娘でいたくなかった。
 お兄ちゃんなんか嫌い・・・大っ嫌い。
 暴力を振るお兄ちゃんが本当のお兄ちゃんなの?今まで私の憧れていたお兄ちゃんは、全部ウソだったの?
 虚像を愛していたんだ。こんな恥ずかしい話はないよね?
 愛は盲目だから。私は兄妹愛を信じたかったんだ。そんな関係を許せてくれる場所でいてほしかったんだ。
 残酷だよね?現実、気持ち悪いよね・・・。
 寒いよ・・・夢から覚めちゃったんだ・・・。
 私はお兄ちゃんを愛しちゃいけないことを知っちゃったんだ。
 今までの私をすべて否定しなくちゃいけないんだ。 
 冷たい・・・。その態度。
 私が全部悪いんだよね?私が全部いけないんだよね?
 どこで間違えちゃったのかな・・・どうしてこんなことになっちゃったのかな・・・。
 私はお兄ちゃんを愛していただけなのに、誰か教えてよ・・・。
 お兄ちゃんを・・・忘れさせてよ・・・。
 ・・・・・・・・・・。
 ・・・・・・。
 ・・・。

 ――ドン!

 また当たった。本当に今の私って、通行人の邪魔しかしてないな。
 避けたはずなのに身体が思うように歩けない。ニハハ・・・。・・・ごめんね。 

 ――グン。

 身体が思うように歩けない。私の右腕を掴まれているような気がする。
 ・・・実際そうだった。私を引きとめるように必死に右手首を掴んで離さない、高砂臨さんの姿があった。

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「なにやってるんだよ・・・」
「・・・・・・」
「どうして勝手に消えちゃうんだよ」

 彼もまた泣いてるみたい、震えた声で私を叱っていた。
 私の行動を叱ってくれる。迷惑をかけていることを諭してくれる。
 つかんだ手首を引っ張ると、私の身体は簡単にバランスを崩した。そして、まるでヨーヨーのように彼のもとへ引き返されて、そのまま腕の中に包まれた。力いっぱい振るった割に優しい抱き心地に、彼の人肌の温もりが伝わってきた。

「どうして、俺を頼ってくれないんだよ!辛いなら辛いって言ってくれよ!俺が駆けつけて話を聞いてやるから!」
「・・・・・・」
「こんな体系だけど、きみの兄さんなんかより全然格好悪いけど、俺は真昼ちゃんのことが好きだから!一人で背負いこむようなことをしないでくれよ!悲しくさせないでくれよ!!」

 雨に濡れながら告白する臨さんは、本当に格好悪かった。私の理想とは全然違う告白だ。
 陽の光もない、祝福の雪でもない。地面は水たまりの最悪の環境で、自己を主張する臨さんは、最も格好悪い告白だった。
 それなのに・・・それなのに・・・・・・私のことを想ってくれる・・・。 
 私のこと・・・好きって言ってくれる彼のことが・・・
 あつい・・・身体があつい・・・。
 心が、歓喜してる・・・。私のほしかった言葉をくれたのが・・・彼で・・・うれしい・・・。

「・・・・・・・ぅ」

 ――うえええぇええええええぇぇぇぇぇぇぇぇん!!!

 彼の胸の中でわんわん鳴く。
 シャツを掴んでめいいっぱい当たり、泣き散らかす。
 ごめんなさい・・ごめなさい・・。
 格好悪いのは私なんだ。ごめんなさい・・・、ごめんなさい!今だけは許して!
 お兄ちゃんを忘れるために、私のわがままを許してください。

「わあああああああああああああああああああああぁぁぁぁぁああん!!!!」
「・・・いいんだ。それでいいんだよ・・・。きみは間違っていない。きみの人生はこれから始まるんだ」

 そう、兄妹愛は終わったんだ。
 私はようやく、始まることができるんだ。
 恋の季節。春はきっとすぐそこまできているんだ。





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 兄の逸物が妹の処女膜を破ろうとしている。
 真昼は目を閉じて歯を食いしばり、初めて味わう激痛を耐えようと待ち構えていた。久が腰を推し進め、ピタッと触れる逸物の感覚が、自分のスジマンに宛がわれるのを感じる。 亀頭にたっぷり愛液を塗りつけたとしても、それでは覆えない大きさの逸物を、これから自分の膣内に入れるのだ。
 それはまるで、ドーナッツの穴に大根を入れるようなものだ。それで一体どうやってドーナッツが傷つかないで済むだろうか。

「ふぐぅ!!」

 途端に身体を貫く逸物の衝撃が襲いかかる。身体の中を押し進む、逸物のドリルが膣を広げながら奥へと入ってくる。
 苦しくて、痛くて、耐えられないと、真昼は目を閉じて我慢していた・・・。

「い・・い・・・・・・ん・・・んんぅ?」
「どうした?」
「な、なんでもないよ、お兄ちゃん」

 真昼が照れ隠ししながら愛想笑いする。

「お兄ちゃんと一つになれたんだね・・・ん・・・しあわせ・・・」

 声に出して幸せを共有する。声に出して兄と一つに繋がっていることを共感する。
 声に出すことで、兄とセックスしているのだと、自分を納得させていた。

「(わたし・・・いま、セックスしてるんだよね・・・?なのに・・・・・・ぜんぜん痛くない・・・)」

 初めてのセックス。兄とする最高のセックスになるはずだった。
 それなのに、真昼の身体には今一つ物足りなさを感じていた。
 当然、処女膜が破れた感覚はない。
 兄の逸物をいとも簡単に受け入れ、奥へと難なく飲み込んでいく。
 初めてのセックス。初めての性行為のはずなのに。

「あん、あん、あん、あん」

 まるで、セックス常習犯の女性のように、物足りないセックスをあえぎ声を出して誤魔化している。
 そうすることで男性のモチベーションを上げるように。兄の逸物をさらに奮いたたせるように。

「(お兄ちゃんのおち〇ぽぜんぜん気持ちよくない・・・これじゃあ物足りないよ・・・)」

 益体無し。男の価値無しと妹に言われたら落胆するだろう。真昼は声には出さないまでも、表情がそれを物っていた。 

「真昼。おまえ、きもちいいか?」
「ふぇ?!・・・う、うん!すごく気持ちいいよ。お兄ちゃんのおち〇ぽ、おっきくて、堅くて、太くて、だいすき!」
「嘘つくな!!!」
「きゃあ!」

 突如、真昼の顔に 久の拳が飛んでくる。頬を殴られた真昼の身体が吹っ飛ぶ。殴られた部分が赤くなり、今までで一番の痛みが襲いかかった。

「・・・お兄ちゃん・・・殴った・・・。真昼の顔・・・」

 信じられない、と蒼白した顔で真昼が言葉を詰まらせた。兄に初めて殴られた。本気でぶたれた。 
 セックスしている人生最高潮のときからの絶望感。ジェットコースターで一気に突き落とされるように、テンションが一気に冷めていく真昼がいた。

「俺じゃ物足りないんだろ?膣の具合がゆるゆるのヤリマンのくせに嘘ついてるんじゃねえよ」
「う、嘘なんかじゃないよ・・・真昼は本当に初めてで・・・」
「身体は正直だな。全然満足していなかったくせに猫なで声で甘えてくるんじゃねえよ」
「おにいちゃん・・・」

 嘘じゃない・・・それでも身体は開拓されているように、久の逸物を咥えていく。 
 真昼の身体なのに、処女喪失の痛みを真昼は知らない。
 辛い・・・兄を喜ばせてあげられなかったことが、真昼には一番の不幸だった。

「ご・・めんね・・・ごめんなさい・・・ごめんなさい!」

 ただただ謝るしかない真昼。涙が止まらず、感情が爆発している今の真昼は、不幸の少女以外の何物でもなかった。 

「いいんだ、真昼。おまえがそんなに俺を想ってくれているんだろ?安心しろ。お兄ちゃんはその気持ちを十分受け取った」

 久がやさしい声で真昼に語りかける。兄の表情、兄の姿でやさしく頭をなでてくれる。
 一瞬だけゆるんだ真昼の表情。涙目の真昼に映った兄の姿――

「真昼は俺を喜ばせたいんだろ?だったら、お前を好きなようにさせてもらうからな」 
「――――」

 ――張り付いた笑顔で天高く振り上げられた兄の大きな手のひら。
 真昼は、その手が自分に振り下ろされる瞬間をスローモーションで見つめていた。

 ――ビターーーーン!!!

 身体を鞭うつ乾いた破裂音が、真昼の部屋に炸裂した。


 
 
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 真昼は次第に兄に対して愛情という感情が薄れていくのを感じた。
 思春期なのか、それとも反抗期なのか真昼にもわからない。好きな人ができたわけじゃない、かといって兄に対して憎みもしていない。それなのに、身体がどんどん兄に対して興味を湧かなくなっていたのだ。

「おかしいな・・・全然ときめかない・・・」

 身体を入れ替え、病院へ向かった臨(真昼)だが、何故わざわざ兄の顔を見に来たのか分からなくなっていた。それはもう習慣づいた行動なのか、好きという感情が冷めてしまった病院内は、やけに殺風景な風景に思えた。

「どうしたんだ?臨」 

 普段と同じ笑みを向けている久。真昼の大好きな笑顔だったはずなのに、自分の中でもうその笑みにときめかない真昼がいた。屈託のない笑みを疑っているわけでも、笑みに騙されていたわけでもない。
 真昼が久から離れてしまったのだ。
 変わったのは久ではなく、真昼なのだ。それが寂しい。
 わずかに残る久に恋焦がれる自分を奮い起して、昔のように兄に甘えたいと思う真昼が手を伸ばした。

「・・・・・・おにいちゃん!」

 その手をつかめば、きっと真昼は踏みとどまっていられた。
 まだ、『悲劇のヒロイン』を演じられた。
 でも、その手を久はさっと避けて、真昼の手をつかむことはなかった。

「気持ち悪いな、おい」

 真昼の、いや、臨の堅い手で掴まれることに冗談でも一歩下がってしまったのだ。
 それが、真昼にとっての致命的な行動となった。

「ご、ごめんね・・・」
「アハハ。あっ、そうだ!退院が決まったんだ。あと一週間だそうだ。もう少しで帰ってこられるって、そろそろ真昼の耳にも聞かせてあげてほしいんだ」

 久が期待を持たせる声で臨に頼みごとをしていた。
 久の退院が迫っている。兄の帰宅が決まったことをいち早く聞かせてあげることを。
 でも、その頼みを聞く必要はない。もうすでに、臨(真昼)は聞いていたのだから。

「そっか・・・。じゃあ、楽しみにしてるよ」
「うん。よろしく頼むよ」

 自分の足が動けないまでも、真昼に会いたいという希望が行動力を回復させる。
 久はベッドで目を閉じながら、夢見るように眠りについてしまった。
 一週間。果たして人にとって一週間は長く感じるものだろうか、それとも短く感じるものだろうか。
 真昼にとって一週間は――


「もう、遅いんだよ・・・お兄ちゃん」


 ・・・
 ・・・・・・
 ・・・・・・・・・

  もう一度問おう。・・・一週間。果たして人にとって一週間は長く感じるものだろうか、それとも短く感じるものだろうか。
 臨にとって一週間は―― 

「おっはー!久くん。・・・おや?眠ってるのかい?せっかく、『久しぶり』に会いに来たというのに、愛想がないね。・・・聞いたよ。きみ、あと一週間で退院らしいね。でも、一週間は長いね!あと俺に一週間も猶予をくれるんだからね。病院が無能なのか、それともきみが無理したからか。残念だけど、きみが眠っている間に、真昼ちゃんは俺がいただくことにしたよ。動けないことを悔やむがいいよ。ああ、それと・・・これは俺だけが知ってることだけど、きみの足、もう動けるほどに回復してたって知ってた?」

 
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 お兄ちゃんが入院してから、お兄ちゃんに熱愛していた私の心が、冷め始めていることを感じていた。
 お兄ちゃんと会えなくなると、淋しくて一人夜な夜なオナニーをしていた私だ。今もこっそり身体を慰めているけれど、その想いはもう――

「んんぅ・・・!な、なんで、わたし・・・こんなに身体が火照っちゃうの・・?・・・んぁぁ・・」

 お兄ちゃんを想って弄っていた私のオナニーは、今や私が身体の疼きを沈めるために意図的に行う一日の習慣的動作に成り果てていた。
 臨さんと入れ替わって、お兄ちゃんと毎日会えることに熱が冷めてしまったからなのかな?お兄ちゃんと毎日会える安心感が私から不安を取り除き、とても心地良い快感を与えてくれる。
 身体を弄る手の動きは、自分の手じゃないみたいに勝手に動く。知らない内に力の強弱を加えて、微妙な手触りで身体の感じるところをいじっていく。
 私の胸も触られることを期待するように膨らんでいて、指が当たった瞬間にピリッという微かな電流を生みだし身体に快感を駆け巡らせる。
 
 「あぁ!・・・なんでだろ?これ、気持ち良いの・・・」

 甘い息を吐きながら、幼い声と色気の混ざり合った甘い息を吐きながら、私のお股からは透明な粘液を垂れ流していた。

「あぁん!あはぁ・・・」

 自らほのかにピンク色に染まった幼い裸体を晒し出して、最も敏感な部分を擦っているのだ。声も普段よりも大きい。お母さんたちに聞かれないか心配なくらい、私は喘ぎ声を洩らしている。
 抑えなくちゃいけないのに、抑えることが出来ない。私のカラダ、敏感になってる。なんで・・・?どうして、こんなにおち〇ぽを求めてるの・・・?

「ほしい・・・ほしい・・・」

 お兄ちゃんのおち〇ぽ?・・・ううん、今は『お兄ちゃん』じゃなくてもいい。誰でもいい、この身体の疼きを沈めてくれる人ならだれでもいい。
 それほどお兄ちゃんが重要じゃないんだ――。

 くちゅくちゅくちゅ――

 弄れば弄るほど溢れ出る愛液。私の求めているのは、男性のおち〇ぽ。指先がクリ〇リスを刺激する度に、背中からうなじへ、電流が流れるような快感が湧き起こってきた。
 ベッドに仰向けになって、乳首を転がしながら、割れ目をなぞっていく。人差し指を咥えこもうとする私の膣口の衝動に逆らえず、私は指を挿しこんでいく。お汁を含む私の指は入れても痛くなく、むしろ指を咥えこんだ方が気持ち良いぐらいに思えた。
 割れ目に挿入した人差し指へ、膣壁の肉と、空間を満たしている粘液が絡み付いてくるのを感じた。指をくにゅくにゅと動かし続けていくと、脳まで直接貫く刺激が体の内側から込み上げてきた。

「あはぁ!あはぁ・・あへあ・・」

 気持ち良すぎて笑いが込み上げてくる。毎日弄ってきた身体の成長が、このところ急激に成長をしているみたい。日に日に敏感になっていく中でも、今日の感じ方は、今まで以上だ。
 人差し指の動きがはっきりと感じ取れる。その度に、全身が熱く火照り、身体をつりそうなぐらい張っていた。

「でも・・・まだ、イケない・・・イきたいのにイケないの!」

 本当なら、何時いってもおかしくない。いや、イってなくちゃいけないはずの快楽なんだ。それなのに、イケない身体になっているのは、それほど私の身体が貪欲に快感を貪っている証拠だ。
 どうしたらイケるの?このまま満足できない身体になっちゃったら、一体なにを楽しみに生きていたらいいの・・・?
 お兄ちゃんで埋めてくれていた私の心を、ナニが埋めてくれるの?
 ――その時、私の頭の中で思い浮かんだ光景が見えた。
 陽の高い昼間に私が自ら身体を弄っている光景。気持ちよく絶頂を迎えている姿が思い浮かんだ。
 いったいそれが何時からの話なのかは今はどうでもいいの。
 いったいそれが誰からの差し金なのかも激しくどうでもいいの。
 だって、今の私にとって、『昼間の私は気持ちよく絶頂へいっている』んだもの。
 イケない私にとって、それはどんなに羨ましい光景だっただろう。
 どうやったらイケるようになるのか、私は自分の記憶を思い出そうとしていた。

「・・・そうか。そこの引き出しにある――」

 記憶を読んだ私は、ベッドから起き上がり、机の引き出しから有るものを取り出す。
 媚薬の入った容器。こんなのいつ買ったのか覚えていない。でも、 私 の 記 憶 は 、 私 が 買 っ た こ と を 覚 え て る ・ ・ ・ 。 
 私 が 使 っ た こ と を 覚 え て い る ― ― 。 

 蓋を開けてば使用済みのように使った形跡が見られる。私はそれを見て息を不規則に吐き出しながら、ぐっと決意して人差し指にクリームをつけた。

「これを・・・どうすればいいんだろう・・・?」

 初めて使うはずの媚薬なのに、身体は勝手に媚薬を自分の感じやすいところに塗っていく。白いクリームが透明になって肌に染み込ませていくくらい刷り込ませていく。
 膨らんだ胸がさらにムクムクと熱くなって、乳首が淡いピンクから赤に近いくらい燃える色をしている。媚薬を塗り込んだ場所からは次々と熱は湧きあがり、身体中は熱を帯びて焼けるくらいになっていた。

「ふああぁぁ!!か、ゆい・・!い、たいよぉ!」

 感じすぎる身体は、空気に触れただけで敏感になってしまう。全身性感帯になっちゃったみたいに、私の身体は全身が疼いていた 。
 悶え、苦しみ、痛く、心地良い。
 辛さすら快感にしてしまう私の表情は、淫乱顔負けの反応を見せていた。

「はぁ・・はぁ・・・これを・・・クリちゃんに塗ったら・・・どうなるんだろう・・・?」

 こんな強力な媚薬を手にしてしまったら、どうなってしまうのか分かっている。それなのに、どうして思っていることを止められない自分がいるんだろう。
 もう一人の自分が、『ダメ!やっちゃダメだよ!』と必死にせき止めているのが分かる。
 でも、私は恐れと怖さとは真逆の期待と好奇心に逆らえれなかった。
 媚薬をたっぷりつけた人差し指が、すぅっと降りていき、クリ〇リスに触れる。
 じわっと熱くなるクリ〇リスが、ムクムクと大きくなったと思ったら、触っていないのに皮が剥けてきてビンビンに勃起した姿を見せていた。

「ひぎぃぅぅぅ!!?あはあっ!あっ、あっ、あっ、はぁっ!・・ああっ!」

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 身体を逸らし、クリトリスを弄るだけで全身がすぐに痙攣する。まるで、男性のおち〇ぽみたいに勃起しているクリ〇リス。裏スジのように硬くなった部分をコリコリと刺激すると、ゾクゾクっと寒気と熱気が同時に込み上げてきた。

「やっはっ、やだぁっあっあっ!はぁぁ!裏スジぃ・・・!くるぅぅ!・・・イクッ!イクイクッ!!クリ〇リス!いっちゃううぅぅぅうぅぅ―――――!!!」
 
 私はようやく湧きあがってきた絶頂に抑え切れず、身体で波を打っていた。そして――

「イッんぐぅぅぅ―――――!!!!!」

 ヘンな声を漏らして、絶頂を迎える。その瞬間、私のアソコからは大量の愛液とおもらしが噴き出していた。部屋中に降り注いだ私のイヤらしい香りが漂う。
 そんな中で私は涙をこぼしながら、最高の絶頂の味を噛みしめていた。

「はぁ・・はぁ・・・すごい、おなにーしちゃった・・・。わたし、どうなっちゃったんだろう・・・」

 今まで感じたことのない絶頂。脱力感も比じゃないくらい強いのに、快感の方が勝ってしまう。今までのオナニーがお遊びだったような気がする。物足りなさを知ってしまった私は、大人の感じるオナニーを覚えたいと思い始めてしまったんだ。

「もう、おさまらない・・・そうか、指サックも一緒に買ってるんだ・・・今度一緒に使ってみようかな・・・」

 イボイボのついた指サックも媚薬と同時に買っていたことを記憶から引っ張り出す。媚薬オナニーを覚えてしまった私は、お兄ちゃんと言う純粋な光景より、不潔なおじさんの巨根のち〇ぽを思った方がオナニーは気持ちいいと言うことを知ってしまったのだった・・・。


 
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 その日の夜――

 お兄ちゃんのお見舞いが終わって、私はいつものようにお兄ちゃんを想いながらオナニーに耽る。
 就寝する前、電気の消した部屋で皆が寝静まったのを見はからって始めるオナニー。 暗闇の中、まるで自分の手が大きくなって、お兄ちゃんに弄ってもらうつもりになって自分の弱いところをくすぐっていく。

「んふぅ・・・くふ・・・」

 身体を丸め、どんどんと身体が温まってきたら弄り方を強くする。興奮してきてからの方が身体がより敏感に刺激を受けて気持ちが良くなる。早くおっぱいが大きくなるように、乳房を持ち上げてマッサージするように円を描いて揉んでいく。

「あ・・・はぁ・・・」

 家族が寝ているとはいえ、自分の喘ぎ声で誰かが起きてこないとも限らない。漏れる小さな声を殺しながらも、緊張と興奮がさらに身体を蒸気させる。温かく吐き出される吐息に、下の口から疼く感覚を覚えていた。滑らすように腕を下ろして、ズボンの中に忍ばせる。ショーツに隠れる秘部を自分で弄りながら、絶頂までの時間を堪能する。 

「お兄ちゃん・・、お兄ちゃんが欲しいよぉ・・大好きなお兄ちゃんに弄ってもらって気持ちよくたいよぉ・・あっ、あっ、わたし、いっ、いっちゃう・・あっ――――!!?」

 自分で弄りながら、イク寸前、急にお兄ちゃんの顔が消えていく。そして、お兄ちゃんの浮かんでいた顔の代わりに私の頭の中に現れたのは、高砂臨さんだった。
 私は、『臨さんの顔を想い浮かべながらイってしまった』のだ。
 そんなこと今までなかった私にとって、とってもびっくりした絶頂で、普段よりも気持ちよくない絶頂で、訳が分からない状態で今夜のオナニーが終わってしまった。

「どうして臨さんの顔が出てきたんだろう・・?よくわかんない」

 もともと嫌いな部類のはずの臨さん。『粉薬』がなかったら、関係を持つこともしていなかった人だ。
 彼の顔で、彼の身体で、私はまだイクことが出来ない。格好良くないんだもん。それなのに、毎日会っているからって私の頭の中に入ってくるほどの感情も持っているとは思わなかった。

「はぁ・・・憂だ」

 好きな人じゃない人でイってしまったことがショックだった。
 さらに思っている以上に感じちゃっていることがショックだった。
 立ち直れないくらいショックだったから、明日もまたお兄ちゃんに会いに行って慰めてもらおう。

 そんなことを考えながら、使用済みのショーツを洗濯機の中に入れる為に、こっそり部屋を抜け出す私なのであった。


 
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 臨さんと入れ替わった私がお家に帰ってくると、リビングで家族と仲良く食事をしている真昼の姿があった。

「本当に臨さんが言ってた通り、私のフリをしてくれてたんだ・・・」

 家族に迷惑をかけないでいてくれたんだと、安心すると、真昼(臨)さんが私に気付いて外にやってきてくれた。

「臨さん!ありがとう」
「いいんだよ、これくらい。どうだった、お兄さんとの再会は?」
「うん!それがね――!」

 病院で再会したお兄ちゃんは、臨(私)がやってきたら「おう」と格好よく挨拶してくれた。それだけで私の心がきゅんって高鳴ったの。
 久し振りのお兄ちゃんだ。会わなかった間に髪の毛がボサボサになっていて、「髪を切った方が似合うね」って言うと「おまえは女の子かよ?普通気付かないぞ、男なんて」ってばれそうになっちゃった!
 なんとか誤魔化そうと、やったこともないゲーム機があったからお兄ちゃんと一日中してたよ。『相関遊戯』だって。知ってる?

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 ・・・なんか、時間が経つのあっという間だったな。お兄ちゃんと一緒だったからだよね。
 だから、時が経つのが早くて、楽しかった分だけ、別れがつらくなるんだね。
 私、なんとかばれない様に、涙をぐっと堪えて、耐えて・・耐えて・・「また明日来るからね」って、それだけ伝えて・・・
「わかった。待ってるな」なんて、お兄ちゃんの声が背中から聞こえて・・・
 私のこと待ってるんだって思うと、感情が込み上げて来て・・・
 これ以上いたら涙が堪え切れなくなるって思って――

「――ダッシュで飛んで帰ってきちゃった!」
「俺の顔で可愛く舌出しても可愛くないぞ」
「それもそうだね。それに、走っただけですぐ体力の限界きちゃうし、身体が重いし、疲れやすいよ。臨さんも体力作りした方がいいよ」
「あはは・・・」

 そんな会話をしながら、ようやく私たちは入れ替わる。もとの身体に入れ替わる。

 私は真昼に。臨さんは臨さんに。

 『粉薬』を嗅ぎながら入れ替わりの現象を体感するにつれ、真昼の姿が見えなくなり、代わりに臨さんの身体が見えるようになってくる。
 元の身体に戻った私は、一度自分の身体を抱きしめた。

「ありがとう、臨さん。不思議な体験をさせてくれてありがとう!」

 私の言葉に臨さんは頷き――

「また、入れ替わりたくなったら言ってくれ。真昼ちゃんのためならすぐに駆け付けるよ」
「うん、わかった!」

 臨さんは両親にばれない様に忍ばせながら家を後にする。
 最初は怖くて危険だと思っていた身体の入れ替わり。でも、臨さんしか頼むことが出来ない私の悩み。
 久し振りに心から楽しかった一日が終わる。
 お兄ちゃんと再会し、遊んで、話して、入れ替わってなんていう貴重な一日を、今日で終わらせることなんてもうできない。
 大丈夫。臨さんは私の敵じゃない。本当に良い人。お兄ちゃんの友達だもん。この人なら信頼できる人と、私は臨さんの地位を確立させたのだった。


 ・・・
 ・・・・・・
 ・・・・・・・・・

 翌日、起きてはすぐに臨さんに連絡する。 臨さんは寝ぼけ眼で駆けつけてくれたのだった。

「お願い!今日もお兄ちゃんに会いに行かせてよ」
「もう行くの?」
「うん!だって、朝から会いたいんだもん!」 

 私は臨さんに身体を入れ替えてほしいと頼んだ。臨さんは『粉薬』を用意すると、二人で同じ格好になってその香りを嗅いでいた。精神が浮いて身体から放れていく感覚。別の身体に吸い込まれる感覚に襲われ、私たちは再び身体を入れ替えた。

「ありがとう、臨さん!」
「気をつけて、いってらっしゃい。ふぁぁ~~」

 私の部屋で眠ろうとしている真昼(臨)さんだけど、私は気にすることなく部屋を出た。
 今日はなにをしてあげようかな、とまるで彼女になった気分でお兄ちゃんのことで考えをめぐらしていたのだった。


 
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 高砂臨は兄、三井久―ひさし―と仲良くやっているわけじゃない。久のボケをつっこむキャラでいながら、久の弄り甲斐のある弄られキャラを演じているだけで、弄られるのはたまらなく嫌いな性格である。
 そんな時に、臨がストレス解消として行っているのが、『粉薬』を使った入れ替わりである。少女でも女子高生でも構わない。臨の気に入った女性を見つけては入れ替わって犯すことを楽しみにしているような相手である。
 臨に犯される女性をがたまらなく好きなのである。 
 だから、今回まで久と仲睦まじくやっていたのは、 妹の真昼がいたからだ。臨にとって真昼はお気に入りの女性だった。
 好きだと言える相手である。どうしようもなく愛してしまったのである。
 だからこそ、 臨は真昼に近づいた。臨に犯される真昼を演じる為に――

「しばらくは時間を作れそうだな。まぁ、今日中には返さなくちゃいけなくなるが、やがて・・・うぷぷ!!」

 臨は自分の目的のために真昼と入れ替わり、真昼は自分の目的のために臨と入れ替わった。
 この両者得をする入れ替わりであるが、凌辱的には遥かに差がある。
 不敵な笑みを浮かべたまま、さっそく臨は真昼の身体を弄り始める。

「さて、どれだけ感じるのか確かめさせてもらうとするか~!あっ、はぁん!ああ・・・ん・・ああん!」

 ベッドに座りパーカーの上から胸を触り始める真昼(臨)。ショートパンツのボタンを外し、小さい真昼の手を滑り込ませてショーツに隠れている秘部を撫で始める。

「おふぅっ!あっ、敏感~!クリ〇リスきもちいい~!へぇ、真昼ちゃんの身体は既に開発済みなんだね」

 中学生の真昼にとって開発済みが決して遅いとは言えない。知っていることを試している真昼にとって、クリ〇リスや乳房から快感を拾うことは可能なほどの一人アソビはやっていた。痛みはなく、くすぐったさもなく、いい感じに快感を身体に蓄積することが出来る。それであればあるほど、臨は真昼を犯したくなる。未開発ほど幼い女には興味がないのである。

「う、ああん!私の身体ってイヤらしい・・・、クリ〇リス撫でているだけで・・・気持ちよくなっちゃう~!あん、あん、はぁぁん!」

 真昼の口調を真似て卑猥な言葉や喘ぎ声を響かせる臨。服の中に手を入れて、直に乳房を揉み始め、ショーツの中に手を忍ばせて、直に秘部を苛め始めた。

「あぁん!これぇ、感じすぎるぅ!・・あ、い、いっちゃうぅぅ~!!はぅん!いっくぅぅぅ――――!!!?」

 あまりに早い絶頂。敏感すぎる真昼の身体はあっけなくいってしまった。びっくりしながらも真昼の絶頂に味をしめた臨は、すぐに体力を回復させた。

「もういっちゃった・・。感じすぎるのも問題だな。まぁ、これからは俺が開発していくからその辺も直していくことにするとしよう」

 愛液のついた指を拭った真昼(臨)は、なおも性欲を旺盛にして部屋の中を物色し始めた。
 真昼にとって誤算だったのは、最も信頼してはいけない臨に家を任せてしまったこと。おかげで真昼の部屋の中を荒らされ、真昼の衣服で遊び放題することが出来るようになってしまったのだ。

「おっ、制服があるじゃないか。 着てみるとするか」

 パーカーとショートパンツの休日スタイルから、平日の制服スタイルへ変身させる。乱暴に脱ぎ棄てた私服をそのままにして、ブラウスにリボンをつけて、さらにスカートを身につけた。
 姿見で制服姿の真昼を覗く。じっくりと観賞して中学生の真昼を堪能していた。

「はぁ~!最高だぁ~!真昼ちゃんと無事に入れ替われて良かったぜ。この身体は俺のモノだ!」

 中学生のファッションショーと題して、次々と真昼のタンスから下着やらスク水やらを物色していく。鏡に映してその姿を観賞しながら、臨は真昼の身体を時間の許す限り堪能していた。

 
 
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 私は三井真昼―みついまひる―。大好きなお兄ちゃんと、両親と一緒に暮らしています。高校生のお兄ちゃんはバスケの選手で凄く格好良いんだよ。3点シュートが得意だから、試合じゃ一番目立って、エム・ブイ・ピー選手に選ばれたこともあるんだよ!
 彼女はいないよ。お兄ちゃんも彼女を作る気はないみたい。それよりもバスケットが好きなんだもん。お兄ちゃんの好きなバスケットよりも大好きな彼女が現われることなんて、絶対ないと思うけど、もしあったとしても私が絶対オッケーしないんだもん!
 それくらい、バスケットとお兄ちゃんは切り離せないんだもん!!・・・私なんて、眼中にもないくらいにね。
 でも、そんなお兄ちゃんに予期せぬ事態が起こるなんて、私は予想だにしていなかった。
 お兄ちゃんがバスケットの練習中に怪我をしたの。膝を壊してしまったの。通院じゃなくて、入院しないといけないくらい、酷い怪我だったの。
 お兄ちゃんがなにをしたというの?あれだけお兄ちゃんはバスケットが大好きだったのに、バスケットがお兄ちゃんを怪我させたのよ。そんなの酷過ぎるよ!

「いいんだ、真昼。これはお兄ちゃんのミスなんだよ」

 私に優しく諭してくれているけど、一番苦しいのはお兄ちゃんだよ。それが痛いほど分かるから、私は涙が止まらなかった。

「それに、俺はバスケットが好きだ。だから、この怪我は早く治して、また試合に復帰できるようにする。今は治療に専念するんだ」
「でも・・・だからって・・・そんなのって・・・!」
「・・・ごめんな。真昼」
「い・・・いかないでぇ!!!」


 ――今日はお兄ちゃんが入院する日。しばらく病院に入って安静する毎日を送るみたい。
 つまり、その間、私はお兄ちゃんと離れ離れになってしまう。この淋しさ、この辛さで、涙が昨夜から止まらなかった。

「良い子で過ごすんだよ?朝はいつも通り早く起きるんだぞ」

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 それは違うよ、お兄ちゃん。私はお兄ちゃんを起こしたくて早く起きてたんだよ?お兄ちゃんがいなくなって、起こす人がいなくなったら、私は遅刻ギリギリまで眠っていたい性分なんだよ。

「えぐ・・う・・うぅぅ・・・っ!!」

 でも、それを言ったらお兄ちゃんは悲しむよね?私の本音を聞けば、私を軽蔑するよね?
 私にとってお兄ちゃんがすべてだったら、お兄ちゃんが大学に行った時に困り顔しちゃうよね?
 だから私はお兄ちゃんに言葉を掛けられなかった。これ以上、お兄ちゃんを困らせたくないから、自分の想いを自分の中で仕舞い込むのに精一杯だった。

「泣くな、真昼。あー、困ったな」

 でも、それでもお兄ちゃんは私に困り果てていた。別れの時を、涙で迎えたくなかったのだろう。これ以上いると別れが辛くなると、親友の高砂臨―たかさごのぞむ―に頼んで車を出してもらった。

「いいのか?」
「ああ・・・。これ以上いるとお互い別れがつらくなる」
「今生の別れじゃないだろ?」
「それもそうだな・・・」
「・・・・・・・」
「しばらく、真昼には俺の居場所を教えないでくれ。あいつが来ると病室がうるさくなるからな」
「いいのか?病室教えないぞ?」
「辛くなったらこっちから連絡する」
「妹想いのやつだ」
「恩に着る、臨」

 そんな会話をしていることすら知らず、私はお兄ちゃんに会うことが出来なくなってしまった。 


 夜な夜な泣き続ける私。一人でいると、お兄ちゃんとの楽しい思い出が込み上げてくる。
 淋しさだけが増大して、お兄ちゃんを想い続ける毎日が過ぎていく。
 虚無ってこんな気持ちなんだと、私は胸にぽっかり空いた穴を塞ぐことも出来ず、生きているのに死んだような、『平凡』な毎日を過ごしていた・・・。

 ある日――
 両親が留守の時、私のもとに高砂さんが訪ねてやってきた。
 お兄ちゃんの親友だけど、ちょっと怖くて、ちょっとキモい。
 優しい顔してるけど、実は怖い一面を持っている噂を聞いている。
 喧嘩上等とか、暴走族、やくざと繋がっているみたいな、怖い噂を。 
 どうしてそんな人がお兄ちゃんと仲が良いのか分からない。でも、お兄ちゃんはお兄ちゃんで無害だと思っているのならいいけど、私は正直、高砂さんが好きじゃなかった。

「やあ、真昼ちゃん」
「なんで?どっから入ってきたのよ」
「ごめんね。怒らせるつもりはなかったんだ。ただ俺は真昼ちゃんの辛さを癒そうと――」
「帰って!誰にも会いたくない!」

 高砂さんだけに限った話じゃない。最近の私は誰に対してもこんな素っ気ない態度である。面白くないし、突き飛ばす相手に好き好んで寄ってくる相手はいない。
 高砂さんも黙って帰ると思っていた。


「――お兄さんに会わせてあげようか?」 
 

 その言葉を聞いた私は、初めて顔をあげた。 高砂さんを向いて、驚きのあまりもう一度聞き返すように耳を動かしていた。

「お兄さんに会いたい?」

 そういう高砂さんは、今までの噂を腐食し、まるで私に救いの手を差し伸べてきた天使のように神々しく見えた。

「うん!会いたい!」
「でも、お兄さんはきみに会いたくないって」
「ウソだ!!!」
「本当なんだ。・・・でも、誤解をしないように言っておくけど、それは決して真昼ちゃんが嫌いだからじゃない。真昼ちゃんが好きだからこそ、傷つけたくないから会わない様にしているんだ。別れの度に辛い思いをお互いしたくないからって、我慢してるんだよ」
「おにいちゃん・・・」

 そんな風に思ってくれるお兄ちゃんに、私はポロポロと涙をこぼす。
 胸が温かくなるのは本当に久しぶりだった。悲しみの涙と違い、感極まった涙に、私はそれでもお兄ちゃんに会いたい気持ちが強まっていく。

「でも、会いに行きたい!私をお兄ちゃんのもとに連れてって!」
「俺は出来ないよ。俺が連れて言ったら、お兄さんに怒られてしまうからね」

 それが臨さんとお兄ちゃんの約束だった。会いに行けないと分かっているのに、どうして私のもとに臨さんがやってきたのか疑問だった。

「じゃあ、どうして家に来たの?」
「んー。そうだなぁ・・・。契約をしにきたんだよ」
「契約・・・?」

 聞き慣れない言葉に私は身構えてしまった。やくざとのつながりの噂は本当だったのか、強張る私に臨さんが小瓶を取り出していた。

「これ、なんだと思う?」
「・・・まさか・・・麻薬?」 
「そう!『魔』薬なんだよ」

 粉状に粉末した怪しげな薬を取り出した臨さん。『魔薬』っていったいなんだろうか、次第に興味を持ってしまう私がいた。

「『粉薬』なんだけどさ、これをお互い吸いあうと、魂が交換出来るんだって。つまり、心が入れ替われる代物なんだって」
「い、入れ替われる・・・」
「俺は真昼ちゃんをお兄さんの元へ連れて行くことはできない。だから、真昼ちゃんがお兄ちゃんの元へ行けばいいんだ。 俺 の 身 体 で ね 」

 優しく・・・本当に実に染み込ませるような優しい口調で臨さんは『粉薬』を私に見せつけていた。心が入れ替われるなんてまるで魔法だ。魔薬だ。そんな乙女チックな話を信じるくらい、その時の私の心はズタボロになっていたのかもしれない。 

「だから、これは契約だ。この『粉薬』を使いたかったら、俺に連絡をくれればいい。そうしたら、俺が何時でも真昼ちゃんと入れ替わってあげよう。もちろん、真昼ちゃんがオッケーしてくれるならだけどね」
「でも・・・だって、そんなの怖くないの?私に身体を使われるんだよ?自分の身体を他人に使われるなんて、イヤじゃないの?」
「それは怖いよ?だからこそ、ここに契約したいんだ」

 何度も臨さんは私に契約と言う言葉を聞かせる。

「俺たちはお互いを疑ったり、嫌だったりしない。真昼ちゃんの利益のために最大限に俺を利用してくれて構わない」
「利用・・・」
「そう、真昼ちゃんは俺をどんどん利用してくれて構わない。お兄さんに会いたい時いつだって俺を呼んでくれて構わない。『粉薬』を知っているのは俺たちだけだ。だから、俺は真昼ちゃんに扮して家族に迷惑をかけないようにする。だから、好きなだけお兄さんのもとで甘えてくればいい」

 なんて素敵な条件なのだろう。臨さんの話を聞けば聞くほど、私にとって有利な話しか出てこない。
 家族に迷惑かけない。もちろん、お兄ちゃんにも迷惑をかけない。
 誰も傷つかない関係なら、そんな素晴らしい条件はない。 

「ほんと・・・?」
「うん?」
「本当に、いいの?」

 臨さんに初めて甘えるように・・・申し訳ない気持ちでいっぱいになりながらも、自分の欲に素直になって訪ねる。

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「ああ」

 臨さんは、犬歯を見せるように口元を横に吊り上げて嗤っていた。



 
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