純粋とは矛盾色-Necronomicon rule book-

夢と希望をお届けする『エムシー販売店』経営者が描く腐敗の物語。 皆さまの秘めた『グレイヴ』が目覚めますことを心待ちにしております。

カテゴリ:グノーグレイヴ『憑依・乗っ取り』 > 飲み薬『呑まれた飲み会には、飲み薬』

 おれは身体を脚の間に割り込ませて、ギンギンに勃起している逸物を早姫さんの割れ目に押し当てた。 正常位で挿入しようとしているおれが濡れている割れ目に逸物の先端を擦りつけてよく濡らし、腰を突き出そうとすると、ヌルンと逸物は膣口の中に入らずにクリ〇リスをかすめてしまった。

「ン・・」

 恥ずかしいことだけど、挿入に悪戦苦闘してしまう。童貞の悲しい運命だ。早姫(足立)さんの呻き声を聞く余裕もないくらい焦ってしまう。
 どうしよう・・、腰を浮かせてもらおうかな?

「ふんっ。下手糞だな」
「す、すみません」
「仕方ないな。それじゃあバックにしてやるか」

 早姫(足立)さんがベッドの上で体勢を変えて髪の毛の靡く綺麗な背筋を覗かせる。膝をついて四つん這いになると、お尻を持ち上げておれに挿入口をむけさせた。
 早姫さんの背後位もまたそそられる体制だった。

「すみません」
「いいってことよ。・・・お願い、長瀬さんの逞しいおち〇ぽ早くぶち込んで!!」

 「わかりました」と、力強く頷くと、おれは逸物を持ちながら、早姫(足立)さんの膣口へ滑りこました。
 ぬぷぅっと、簡単に飲み込まれた逸物が、早姫(足立)さんの膣内に根元まで入り込んだ。それほど抵抗もなく、入り込んだ逸物全体に、早姫さんの温かさが包み込んだ。

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「あぁぁ・・・早姫さんのなか、あったかい・・・」
「はぁ、はぁ・・・お、おまえのち〇ぽ・・・で、デカイな。腹の中まで食い込んできて・・・あ、はぁん・・・」

 顔を歪めて、目を細める早姫(足立)さん。上司で一緒に働いている足立さんと繋がっているなんて考えられないと思いながらも、実際、おれはそれを体験している。
 早姫さんのカラダを借りて、おれは足立さんとセックスしている。
 萎える・・・?いや、むしろ興奮しているおれがいる。
 早姫さんをおれ達二人で犯しているんだ。早姫さんが知らない間に、おれ達二人でセックスを愉しんでいるんだ。
 絶対に繋がることのない足立さんに、おれは童貞を捧げてしまったんだ。
 なんというプラトニック・セックスだろう。 
 なんという同性愛者だ。純粋におれは足立さんを求めた結果なんだろう。そしておれは、ここまで辿り着いた。
『飲み薬』という、早姫さんの肉体に憑依するという一つのカタチを。
 ああ、なんて社会は面白いんだろうね――。

 ヌチャ、ヌチャ・・・

 おれはピストン運動を始める。早姫さんの膣壁を擦りつけながら、前後に腰を打ちつける。

「あっ!あっ、はぁっ、はぁっ、はぁっ・・・す、すごい・・・あぅぅっ!」

 奥まで一気に打ち付ける度、早姫(足立)さんのカラダがビクビクと揺さぶられる。乳房が激しく揺れながら、痙攣するように膣内が激しく締めつけてくる。

「ぐ、ぅぅ・・・!」

 おれはすぐにイキそうになるが、簡単にいってはダメだと思い、イキそうになったら腰を止め、また動かすと言う戦法を取った。
 止まった瞬間に逸物に絡みつく早姫さんのヒダヒダが、カリに引っ掛かって絶妙な快感を生み出していた。そして、動かす時に、絡みついてきたヒダを引き剥がしていくので、早姫(足立)さんの口からは喘ぎ声が漏れだしていた。

「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ」
「うん、ふぅ、ふぅ、はぁ、はああぁぁ!」

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 ま、まずい・・・もう、限界だ。
 爆発寸前にまで膨らんだおれの逸物は、もう寸分の余裕もない。
 それだけはまずいと、おれはナカに出すのはやめて、最後の力を振り絞って逸物を早姫(足立)さんの膣から引き抜いた。

 ――びゅるるるるっ!!どぴゅ、どぴゅ!ぴゅるるるっ!!

 その瞬間、フラッシュバックしたおれの視界から、白濁色の精液が噴き出した。濃厚で熱い精液が早姫さんのカラダに降り注ぐ。

「ああっ!!・・・あっ!・・・はっ!・・・はぁっ・・・・・・はぁぁぁ~」

 精液を浴びながら身体を激しく痙攣させた早姫(足立)さんも絶頂を味わい、ベッドに倒れ沈み込んでしまう。
 動けないほど体力を使い、疲れ切った身体に酸素を取り入れるように呼吸を荒く吐き出していた。

「いったぁ・・・このカラダ・・・きもちぃぃ・・・」

 余韻の引かない早姫さんの身体で、火照りが冷めるまで動けなくなっている。おれはまだ若いからとはいえ、ここまで絶頂で余韻が違うのかと思うほど、早姫(足立)さんは気持ち良さそうに空間に酔っていた。
 そうはいっても、早姫さんとセックスできた体験をおれは忘れることがないだろう。


 ・・・
 ・・・・・・
 ・・・・・・・・・

 一回のセックスを愉しんだおれは、これで終わりと思っていた。

「おい、待て。これで終わりでいいのか?」
「え?」

 おれは思わず早姫(足立)さんに目を向けると、むくりと置きだした早姫(足立)さんが、持ってきたバックを手に取っていた。
 なにか秘策があるらしく黙って固唾を見守る。すると、バックの中から取り出したのは、早姫さんの生活用品ではなく、黒いエナメルレザー生地で作られた、バニースーツだった。

「えっ、そっ、それって・・・?」
「さっきのクラブの私物だ。着替えの際持ってきたんだよ」

 間違いない。早姫さんが実際使っていたバニースーツだ。着替えの時に一緒に持ってきたのだと言う。

「そんなものをもってきて、なにを・・・」
「なにをってお前・・・これを着てやるんだよ」

 おれの目の前で再びバニースーツを着こんでいく早姫(足立)さん。御丁寧に網タイツまで穿いて、背中で止めるチャックをあげていく。
 もともとバニースーツは身体にぴったりするよう作られる。彼女の私物であるのだから、身体にジャストフィットしたバニースーツは、より魅惑的に、より魅力的に輝いていた。

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「えへへっ・・・いいなあ、バニーガールは。このカラダでパフパフし放題だぞ」

 先程まで早姫(足立)さんとセックスしたばかりのはず。だけど、おれの逸物は、早姫さんのバニー姿を見た途端にすぐに力を取り戻していた。

「お客様ぁ~?今日はなにを望みますか?セックスですか?それとも、このお口でおしゃぶりですかぁ~?」

 ああ、そんなこと言われたら、気分は再び上々になってしまう。
 たまらない姿だ。男心をくすぐりすぎだ。 

「そうだなぁ~おれは・・・」

 どうせ電車はないんだ。こうなったらおれは時間が許す限り、早姫(足立)さんに付き合うことを決めた。



 
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 ――ムニュ。
  柔らかい胸の感触。柔らかいと感じるほど押し込むことのできる早姫さんの胸の弾力。おれが押しつけているわけじゃなく、早姫さん自ら、自分の胸に俺の手を押しつけているんだ。頭が焼けるほど熱く、平常心が保てないほどショート寸前。思考回路が焼けきれそうなほど、顔が真っ赤になっているのが分かる。
 おれの顔を見つめながら、俺の手を胸から放してもう一度同じように胸へと押しつけていく。
 男性の胸ではここまでの柔らかさと弾力を味わうことはできない。おれはこのままだと、本当に早姫さんと・・・セックスできそうだ・・・。

「ほらっ、どうですか?私の胸?柔らかいですか?」
「あ、ああ・・・」
「くすっ。そんな固くならないでください。じゃあ、今度はあなたの方から揉んでください」

 ゆっくり手の放して、俺の腕は早姫さんの胸にくっついたまま固まっていた。

「(早く放してやらないと失礼だろ!)」

 なんていう、俺の理性が訴えかけるが、まるで俺の掌は早姫さんの胸にくっついたように放れず、重力に逆らって落ちることもしなかった。

「(・・・違う。俺がそうさせてるんだ。俺の本能が、早姫さんの胸を触りたいって言ってるんだ・・・)」

 それはもう、間違いない。だって、酔っている状態のおれに、早姫さんなんていう可愛い娘が、ラブホにつれていって胸を触って良いなんて誘ってくれたら――触らずにはいられるかよ!!
 ラッキーハプニング?プラグ?そんなの関係ない!これはゲームじゃなくて、現実だろ!
 おれなんかに惚れる女がいるはずないって言うモテない男の幻想を、現実がぶち壊してくれるなんて最高だろ!
 これは夢じゃない!これは非現実じゃない!意識をしっかり持て!早姫をしっかり見ろ!
 現実を謳歌しろ!

「あっ」

 おれの指がぴくんと動いただけで、早姫さんが小さく声をあげた。普段よりも色っぽく、まるで吐息にかすめるような声を乗せた音は、おれの耳に小気味良く聞こえた。

「(ああ・・・ブラの締めつけの中で胸が躍ってる・・・)」

 おれの手の動きに合わせて早姫さんの胸が動いてる。ブラの下の胸から揉みあげ、乳首を擦る。

「んふぅ・・・ぁ・・・はん・・」

 ――もみゅもみゅもみゅ!

 胸を揉むのに夢中になってしまう。異性の胸を揉むだけで気持ちよくなれるのは、男性の特権ではないだろうか。うう・・、ち〇こが勃起してきた。

「男の人に揉まれるって・・・こんな感じなんだ」
「それって、どういう意味?」
「どういう意味でしょう?」

 逆に質問されると、おれはなんだか恥ずかしさと期待感にさらに顔を赤らめた。

「乳首が勃起してる・・・」

 早姫さんは自分でブラのカップを引っ張り中を覗き込んでいた。当然、おれも覗きこめば早姫さんの頭の上から覗きこむことができた。ブラに隠れているピンク色の乳首が、ツンと上を向いて勃起しているのが見えた。

「(おれが勃起させたんだ・・・早姫さんを気持ちよくさせたんだ・・・)むっはぁ!」

 おれの手で早姫さんを気持ちよくさせたに違いない!興奮が鼻息で表れてしまう。
 
「あっ、ご、ごめん!」
「いえ。私、あなたにおっぱい揉まれて気持ちよくなっちゃいました」

 本人からそう言われると悪い気がしない。むしろ、こっちの方がありがとうと言いたいくらいだ。

「・・・見たいですか?私のちくび」
「う・・うん!」

 まるで子供のように、二つ返事で頷いてしまったおれ。目を見開いて顔を前に出して早姫さんがブラのホックを外している様子を眺めていた。フロントホックを外して左右に開くと、胸が全面に押し出してくる。そのついでに肩紐を外してブラジャーを足下に落としていた。
 上半身裸の早姫さん。勃起した乳首は見るからに硬くなっていた。

「すげぇ・・・」

 ほっそりとした両手の人差し指と親指が、勃起した乳首を摘まむ。指の腹でコリコリと転がし始める早姫さんが、その乳首から発する快感に、気持ち良さそうな声を出し始めた。

「あ、ああん・・・乳首を、摘まむと・・・ビクビクって、身体が震えるの!」

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 早姫さんがおれをそっちのけでオナニーを始めた。それも一種のプレイとしても興奮する。その間におれは衣服を脱いで、ボクサーパンツから勃起した逸物を取り出して扱き始める。

「うっ、はぁ・・はぁ・・。ちくび、めちゃくちゃ気持ちいい・・・んひぅ・・!ピリピリして、立っていられない・・・」
「はぁ・・はぁ・・」

 内股になった早姫さんが今にもその場に座り込みそう。よく見れば、早姫さんの穿いているショーツの股間に張り付いている部分は、 愛液を染み込んでぐっしょり濡れているようだった。
 女性のオナニーはこんなに濡れるのか、いや、それとも早姫さんが濡れやすい体質なのか。
 プライベートの早姫さんは、仕事の時に見せた相手に合わせる様な印象はなく、自分から相手に迫っていくほど大胆な性格に変わるのか。 

「(・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ほんとうに、そうなのか?)」

 性格が仕事とプライベートで変われる人はほとんどいない。『仕事をしている時もプライベートの時も、全部自分なんだ』。
 だとすれば・・・目の前にいる早姫さんは、 別人かもしれない。

「あんん・・・もっと弄ってぇ!長瀬さんにもっと胸も、アソコも、弄ってもらいたいのぉ!」
「はぁ・・・・・おれ、早姫ちゃんに名乗ったっけ?」
「ん・・・んふふふ」

 一瞬、言葉を詰まらした早姫さんが、細い眼をおれに向けて嘲笑う。

「なにを言ってるんです?足立さんが自己紹介してましたよ?」
「あれ?そうだったっけ?」
「そうですよ?そんなこと気にしないで、もっと私と楽しみましょうよ~?」

 騙し騙され、騙し合い。・・・これでおれも早姫さんと同じ舞台に立ったわけか。
 面白い。・・・オッケー、付き合ってやるよ。おれも口を釣り上げて早姫さんを嘲笑った。

「そうだな。じゃあ好きにさせてもらうからな」

 おれは早姫さんをベッドに寝かせて美脚をM字に大きく開いて見せた。


 
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「あ、足立さん・・・?ま、マジですか・・・?」

 おれは早姫さんに向かってありえない会話をしていた。頭の中が働いていないのが分かる。酒のせいかもしれないが、状況についていけなくて困りながら、絞る様な声で確認している自分がいた。
 
「うん。マジマジ」

 マジって言っても信じられねえ。足立さんと早姫さんは年齢も違えば体格も違う。二人を見間違えるなんてありえないことだけど、それを可能にする方法が一つだけあるとするなら、憑依だけじゃないだろうか。早姫さんに『憑依』した足立さんが俺と今会話している。確かに俺と親しみあるし、最初にあった時とは明らかに雰囲気が違う。別物だ。でも、本当に憑依なんて信じられるのか・・・?

「なに難しい顔してるんだよ?まだ飲み足りないのか?」
「完全に酔いが醒めましたよ!」
「じゃ、これから三次会にいくか」

 早姫さんは俺たちが一次会の後に来たことを知らなかった。でも、今の早姫さんはそのことを知っている。三次会と言ったのは間違いなく、俺たちが二次会でキャバクラを訪れたことを知っている人だけだ。

「三次会・・・?いったい、どこへ・・・?」

 おっかなびっくり聞き返す。二次会までなら付き合ったことあるおれが、三次会という未知の領域に足を踏み入れようとしていることに対する恐怖。そして、『憑依』しているという疑惑のある早姫さんからのお誘いの三次会・・・その行き場所を問いかけると、早姫さんはニヤリと笑って一旦スタッフルームへと入っていった。 
 しばらくして出てくると、彼女はバニ―スーツから私服に着替え、既にお帰りモードになっていた。

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「早姫さん、どこ行くの?」
「店長。僕ちん、彼とアフターにいってきます~」
「ちょっと待って!まだ仕事終わってないよ~」
「えー。お金貰えるんだから良いでしょう~?」
「いいわけあるかああああ!!!」
「ケチ!うるさい!俺は帰る!」
「うがああああああ!!!」

 早姫さんの一方的な言い分に店長と険悪ムードになっている。それはさすがに悪いだろうと、おれはすかさず飛び込む。

「すみません!店に迷惑かける分はおれが全額負担するんで、今回だけは大目に見てください!お願いします!」
「はっ、え、ええぇぇ・・・」

 店長も良く分からずも、人間トラブルは避けたいという心理で渋々折れる。請求書を見せつけられて俺も驚愕するが、後で足立さんからも請求するつもりなので、これで早姫さんを連れ出せるならと渋々了承した。

「では、行ってきます・・・」
「いってらっしゃい・・・」

 おれも店長も、早姫さんに振り回されるような形で別れる。ノリノリで夜の繁華街を歩く早姫さんだが、やっぱりパンプスは歩き辛そうだった。

「ええい、くそ。足がいてえ」
「大丈夫ですか?もうフラフラじゃないですか?」

 千鳥足の早姫さんを俺が肩で背負いながら、早姫さんの言う目的地を目指す。柔らかい二の腕、細い腕が俺の首を回っている。

「ありがとう、ありがとう」
「いえ、こちらこそ、ありがとうございます・・・」

 酔っているせいで感謝の言葉を何度も言われるが、良い思いをしているので全然苦じゃなかった。香水の匂いが鼻を突く度、男性ホルモンを刺激されて無意識にズボンの奥がいきり立ってしまう。誰だ、酒を飲めば勃たなくなるって言ったやつ、おれの前でごめんなさいしろ。

「ああ、ここだ。入れ」

 早姫さんがおれを連れてきたのはホテルだった。
 ラブホテルだった。


 
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 会社は窮屈で大変だ。
 そう思うおれ、長瀬純一―ながせじゅんいち―は、まだ大学卒業して入社一年目の新人だから仕方がない。これから社会の付き合い方を知らなければならないのだから、学べることがあるのならはなんでも参加しようと思っていた。
 今日は会社の忘年会。会社の中では人が少ない部署だが、それでも今日は参加する人が多く、老若男女問わず集まっていた。

「その中でも、新人は俺だけか・・・」

 とは言うものの、新人の参加は俺一人であり、後は平社員でも40歳を超えた酒好きが集まっている。会話に参加するのも億劫なので、酒を注ぐことに集中する。

「おい、長瀬!おまえも飲んでるか?」
「い、いや、おれは――」
「いいから飲め飲め!俺の酒が飲めねえって言うのか!?」

 やれやれだぜ。そういう強制が今の若者を酒の場から遠ざけているって言うのに。
 今の若者は忙しい。っていうより、自分の時間を確保したい傾向にある。

 昇進して会社の為に死ぬ気で働くより、下っ端でも良いから楽に生きたい。

 それは時代であり、仕方がないことなのかもしれない。モノが大量に溢れている時代。昔ほど、一つのことに集中することが出来なくなってしまっているのかもしれない。『〇〇は俺の嫁』のように、最終回を見終わって涙も乾かないまま、新番組のアニメが始まれば、新しい嫁に移行する。そういうニワカが増えていっているのかもしれない・・・。
 悲しいことかな。実際、会社の飲みに参加する新人は俺だけ。実際、新人は俺を含めて三人いるのだが、残り二人は参加を断ったという。

『やることがありますので。・・・残業代が発生するならいきますが?』『飲むの苦手なんで。・・・えっ、強制?それってパワハラですよね?訴えますよ?』

「・・・・・・・」

 やれやれだぜ。上司も上司なら同期も同期だ。これからやってくる後輩を頼りにするのも末恐ろしい。
 酒を飲まなくても気持ち悪くなりそうだ。
 おれは誰からも認められなくて良いから、普通の生活をしていきたい。

「じゃ、お疲れさまでした」
「ありがとうございました」

 一次会が終わり、女性社員が帰っていく。残った男子で二次会どこへ行くという話で盛り上がっていた。一次会まで出れば、おれもお役御免だろうと、颯爽と帰るように上司に連絡を入れる。

「先輩。お疲れさまでした」
「おう、帰るのか?二次会は出ないのか?」
「飲み過ぎです。これ以上飲んだら吐きそうです」
「そうか?ワーハッハッハッハ!」

 先輩たちから別れようとその場を離れる時、こっそり会話する仲の良い先輩がいた。

「おい、足立のやつ、今日参加してたな」
「珍しかったな。いつもは参加を断って一人飲みにいってたのによ」
「どうかしたんですか?」

 おれも先輩たちの会話に参加する。足立邦雄―あだちくにお―さんって言えばもう60歳近くなる、一線退いたッ人物だ。・・・先程、おれにお酒を強制した人だ。

「足立さんって、いつも参加しないんですか?」
「ああ、そうだ。だけど別に酒が嫌いって訳じゃない。キャバクラ通いで借金作るくらい酒豪な奴だ」
「それは入れ込み過ぎですね・・・」
「きっと定年間近だから思い出作りに来たんじゃないか?今日だってベロンベロンに酔ってたしな」
「それでもキャバクラには行くんだろうな、あの足で」
「クラブからすれば扱いやすいだろうな。鴨がネギ背負ってくるようなもんだろ?」
「ちげえねえ!」

 悪い人じゃないんだけど、真面目すぎてやられてしまう典型の人だ。俺は何故か気になって足立さんの後を追いかけた。千鳥足でどこ歩いているのか分かっていない足立さんを追いかけるのは難しいことではなかった。

「足立さんどこ行くんですか?」
「お、おぅ・・・?」
「家まで送りますよ?一人じゃ不安ですし」
「お、おぅ・・・そうか。おめえ、俺と一緒にキャバいきてぇんだな?」

 不安は的中した。

「やっぱりですか!?駄目ですよ、そんな状態で言ったら潰されちゃいますよ?」
「ナニ?!俺のキャン玉を潰すだって!?」
「この場でチャックを下ろさないでください!」 

 ズボンを下ろそうとする動作を止めさせるものの、足立さんの意志は固かった。

「おう、おまえも俺と一緒にキャバいきてぇんだな?」
「二度目の台詞!?」
「わかった。連れてってやるから。可愛い子が入った店を知ってるんだ、俺は」
「ちょっ!おれはそんなつもりで追いかけてきたわけじゃなくて、心配で」
「俺のチンポコは硬てえんだ!」
「既に臨戦モードかよ!?」
「グダグダ言ってないでお前も来い!俺のキャバが行けねえって言うのか?」
「足立さんのキャバじゃないでしょう!?」

 そう突っ込みながらも老人の馬鹿力で俺もずるずる引っ張られていく。

「ああああぁぁぁぁああああ~~~~!!!」

 真面目の人は騙される。不真面目な人は馬鹿にされる。
 普通の生活をしたい人は・・・なんだかんだいって人が良いのかもしれない。


 
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