『時計』を手に入れた葛城慎二。その『時計』は相手の思考を停止させる道具だった。
 面白いモノを手に入れた慎二が学校の授業中、クラスの皆を巻きこんでの時間停止スイッチを押した。

「――――」

 別段、特に変わった変化はない。森羅眼―しんらまなこ―先生の授業はスイッチを押した前と後で変化があったわけじゃない。
 表向きは――

「先生!」

 慎二が先生の授業を中断させるように大きく手をあげた。眼先生は口を止め、一体何があったのかを聞くように、「はい、なんですか?」と優しく問いかける。

「俺、今の授業が将来役に立つと思いません」
「そんなことありませんよ?社会のほとんどは高等数学から成り立っているんですよ?」
「そんなことよりも、俺、絶対に将来役立つ、性教育を教えてほしいです!」

 クラスメイトが急にざわつきだす。あまりに自我を大開きにした主張に面喰っているようにも見えた。眼先生も顔を真っ赤にして、今にも怒りだしそうなほど震えている。
 発言してしまった後に、失敗したのではないかと言う不安がよぎる。今更ながらに動揺する慎二だった。

「そうね。そうしましょう」

 突如、眼先生は態度を急変し、慎二の意見に賛同を始めた。授業を急きょ取りやめると、黒板に大きく『性教育』の文字を描き始めた。

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「みなさん。これから性教育の授業を始めますよ。静かにしてください」

 皆がざわつく中始まった性教育の授業に、慎二は口元を釣り上げた。


 
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