「ヌフフ・・・ようやく手に入れたぞ」

 その奇抜なデザイン。子供に大人気の『面妖ウォッチ』をいち早く手に入れた大きなお友達、葛城慎二―かつらぎしんじ―。子供たちに紛れて近所のおもちゃ屋に仕入れたという情報を嗅ぎつけ、最後の一個を手にとってレジで買い物を済ましたときの買えなかった子供たちからの批難の目線の凄さを思い返す。
 まるで、世界の注目を一片に浴びたかのような栄光の瞬間。しかし、なんとも大人気ない話である。

「でも、こんなデザインであったかな?」

 太く毛深い腕に『時計』をはめる。まったくもって似合ってないのだが、これで小学生から人気者になれると思っている慎二は、公園にでも行って女子S学生に見せつけようなどと考えながら歩いていた。すると、目の前を歩いてきたのは母親のいつきだった。

「慎二!あんた、ちょっと来なさい」

 いつきが慎二を見るやすぐさま手を引っ張って家路に向かう。そして、家に入るや否や慎二をリビングに座らせた。 

「あなた、今までどこにいたの?」
「はっ?別にどこだっていいだろ?」
「おもちゃ屋で並んでいたらしいわね」

 さすが小さな町。噂はすぐに耳に入ってくるらしい。

「しかも子供たちが並んでいるものに入って最後の一個買ったらしいわね。子供たちが『大きなお兄ちゃんが買った』って泣いて騒いでるのよ」
「俺にだって買う権利がある」

 腕を差し出して身につけている『時計』を見せる。別に格好良くないし、似合わない。良い大人なら時計は『ロレックス』や『セイコー』を身につけたいものである。

「いつまでもそんなモノにはしゃいでいる年じゃないでしょう!?大人なんだから子供たちにあげなさい」
「これは金になる!大量に仕入れてオークションで売ればぼろ儲けだ!うひゃひゃ!」
「アンタって子は・・・もぅ、私まで外歩けないわよ――!」

 悪い大人の見本。駄目人間ぶりが垣間見えていつきは頭を抱えていた。
 既にいつきの説教タイムに。聞き流しているつもりで手持無沙汰で『時計』を弄りだす。情報を信じて買いに走った慎二であったが、実際見てみると、デザインが違う気がした。

「(やっぱりなにか違う気がする。偽物を掴まされたか?)」

 転売厨としてのあるまじきミス。見たこともない摘まみを見つけて試しに押してみる。


 ――空気が一瞬、凍りつく。まるで時そのものを凍らせるように。


 だけど、それもまた一瞬。寒気はすぐに温かさを取り戻し、いつきに関しては時が凍ったことさえ気付くことなく説教をし続けていた。

「(なんだ、いまのは?)」

 慎二にだけ感じた別世界。垣間見た時の止まった状況は今も続いている――。

「――ちょっと、聞いてるの?慎二!?」
「あぁん?」
「人の話をちゃんと聞きなさい。お母さんは怒っているのよ!」
「うるせえな。黙れよ」

 売る言葉に買い言葉。怒れば怒るほど口調は強く尖ったいい方しか出来なくなる。命令口調で怒鳴った慎二に、いつきは急に黙り込んでしまった。

「・・・・・・・・・」

 なにもしない。ただ黙り、睨みつけたまま慎二を見つめているだけだった。急に説教は終わったのかと思った慎二だったが、どうもいつきの激変ぶりが腑に落ちなかった。

「・・・なにしてるの?」
「黙ってるのよ。これでいい?」
「・・・はっ?」

 慎二は怒りを通り越し、呆れて素っ頓狂な声を出した。

「(こwいwつw馬w鹿wだw!w俺wのw言wっwたwこwとwをw真wにw受wけwてwやwがwるw) 

 ぷぎゃあああと心の中で母親を笑っている自分。しかし、表情は冷静に状況を把握していた。

「こいつ、『思考が停止してやがる』 ・・・」

 人の言う通りにする人とは、自分の考えを持たない。
 自分の考えがないから責任もいらない。
 考える必要もない。
 思考が『停止』している・・・。

「・・・かあさん。服を脱いでよ」
「なんですって!」
「うわああ、ごめんなさい!」

 失敗だったか?そう思った慎二だが、いつきは慎二の目の前でおもむろにロングセーターを脱ぎ捨てた。そして、ワイシャツもボタンを外して外すと、赤いブラジャーに包まれたDカップの胸が現われた。深く刻まれた谷間。揉めば柔らかそうな巨乳は慎二の目を釘づけにした。 

 「お母さんだって言われたら服ぐらい脱ぐわよ。これで真剣に話を聞いてくれるわね」

 既に真剣に話を聞ける状況じゃない。慎二の胸は高鳴り、いつきを性欲の標的として捉え始めていた。
 思考が停止していても、いつきにとっては未だに説教は続いている。別世界からの干渉のように、自分が服を脱いでいることに気付いていないようだった。

「(おもしろい)」

 慎二の口元が歪に曲がる。

「怒らないで。ちゃんと反省するからさ」
「そう。それならこの話はおしまいにするわ」

 反省するという言葉を鵜呑みにしたいつきがようやく説教を終わりにした。
 いや、『慎二が終わらせた』と言った方が正しいのだ。面倒だからという理由で。

「それよりさ、お母さんのおっぱい揉んでいいよね?」

 反省の色が全くない発言である。しかし、慎二にとって確信があるから、いつきの返事を待たずしてブラに包まれた胸を勝手に揉み始めた。

「好きにすればいいわ」

 思考が『停止』しているから、いつきの身体を触りたい放題。慎二の言葉をすべて鵜呑みにするため、絶対に『怒らない』。

「うひょぉ、やわらけぇ・・」

 慎二の手の中でぐにゅぐにゅ揺れる胸。思い肉質と温かみが体温を触っているという事実を教えてくれる。母親と言えど女性。異性を触ることに興奮を覚える慎二は心行くまで愛撫を堪能する。

「たぷんたぷんしてらぁ。しかし、ほんと、デカい胸だな」

 慎二を育ててきた分だけ大きくなった胸を弄り続ける。すっと手をブラの中に忍び込ませて硬くなった乳首を弄り始める。

「んふぅ・・」

 急に喘ぐ母親の甘い吐息。ドキッと思うほど脈が激しい。身体が熱い。下半身から男性の性器が目を覚ます。ズボンの奥でテントを作る慎二の逸物は、いつきを犯したいという欲求が駆け巡っていた。
 簡単に――
 確実に――
 今なら母を犯せられる――

「かあさん」
「なに?」
「俺とセックスしようか?」




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