純粋とは矛盾色-Necronomicon rule book-

夢と希望をお届けする『エムシー販売店』経営者が描く腐敗の物語。 皆さまの秘めた『グレイヴ』が目覚めますことを心待ちにしております。

カテゴリ:グノーグレイヴ『立場変換』 > 名刺『自分勝手な立場入れ替わり』

『立場』が変わり、僕からいじめが無くなった。対して、いじめに耐えきれなくなった三人は間もなく学校から来なくなった。
 結局、僕が彼女たちにやったのは最初の話だけで、その後は僕じゃない、他の男子たちが彼女たちにとどめを刺したのだ。『立場』が変わっても早々にいじめられていた奴がいじめることが出来るわけもなく、いじめる奴にも相応のセンスがあるのではないだろうか。
 そんなことで、僕は一人中庭で昼食を食べる。友達もいない、平穏な食事である。

「お役御免だね。本音を言えば、もっと彼女たちをいじめたかったんじゃないの?」
「むふぅ!?」

 食パンが食道に詰まり咽る。彼女たちの存在をお役御免の一言で済ますのもまた、可哀想である。
 気がつけば、僕はまた正体不明の少女と一緒の時間を過ごすことになるのだった。

 「僕にはそんなことできないよ。いや・・・、できなかったんだよ」

 蕾たちにいじめられて根っからのM属性になってしまった僕に、誰かを叩くとか、殴るとかに抵抗があったんだ。
 暴力反対の日和見主義なんて、男として格好良いことじゃないのかもしれない。

「女の身体を弄ることは好きなのに?」
「・・・」

 コメントし辛い。ノーコメントでお願いします。

「しっし。 素直になればいいのに。この場でなにか我慢することがあるのかい?」
「『僕、女の身体を弄ることが好きなんです』って、開き直って告白することになんもメリットがないだけだよ」
「自分の身体を弄ることは好きなのに?」
「・・・」

 好きでやっているわけじゃないけど・・・コメントし辛い。ノーコメントでお願いします。

「そういううじうじしているところが嫌いだな。・・・この蛆虫!!」

 さらっと酷いことを言う。虫けら呼ばわりされる理由がどこにあるんだよ・・・うう。

「めそめそして男らしくない。・・・この泣き虫!!」
「きみは僕の味方なの?敵なの?せっかくいじめが無くなったと思ったけど、今度はきみが僕の敵になるの?」
「僕が敵になったら敗北宣言待ったなし・・・。よわっ!弱虫!」
「虫虫いうなら、これ以上は僕、きみを無視するよ?」
「しょうがないな・・・。じゃあせっかくだから聞いてほしいんだ」

 口調を変えて、ようやく僕と会話をする気になってくれた。僕もようやく心を落ち着かせて喉に詰まっていた食パンを胃に落とすことが出来た。

「ボクがまだ夜の蝶をやっていた時の話――」
「・・・」

 魅惑も魅力もあったもんじゃない。だって、彼女まだ子供だし・・・。作り話と疑わざるを得ない。どこかに腑に落ちない。

「お客さんにお酒を飲ませながら、色仕掛けで口説きながら、ホテルにいってはボクの愛をたっぷりと注いであげるの」
「完全に違法だよね?」

 うちの県警は仕事をして下さい。

「甘い蜜と交換に、金品を貢ぐのよ」
「社会は汚いな。ドブ闇だ」
「でもね、そんな二面性にこそ人は惹かれるんだよ。普段いじめてくるガキ大将がピンチの時にかけつけてくれば、まるで今までのことはすべて許してしまいそうな気分になるよね?」
「・・・ん、うーん・・・確かにそうだけど」

 そんな時は映画の時だけだったりするんだけど。

「アイドルの出来る声優。俳優のできる歌手」
「マルチで活躍できそうだね・・・」

 二面性どころか四面性まで可能性が広がっているよ。ファン層で内乱が勃発しそうだけど。

「松たか子の『Let It Go~ありのままで~』とMay J. の『Let It Go~ありのままで~』
「僕は挿入歌も好きだけど、EDのバージョンも好きなんだけどな」

 ずっとずっと泣いていたけれど
 きっときっと幸せになれる
 もっと輝くの

 いいフレーズです。でも、それって二面性じゃないよね?・・・あっ、歌詞の二面性ってことか。
 分かりづらいよ・・・。

「ファンレターをもらったんだけど、その内容が『そんな駄文を描くなら辞めちまえ』ってほどの酷い文でした。でも、その手紙を描いたのは、拙い文章を読んだファンなのでした」
「どんな内容でも、ファンレターには変わらないってこと?」
「ボクが言いたいのはね――!」

 そう言って一度、話の節を折る。どうやら、彼女にとってそこは大事なところらしい。

「――ツンデレっていいよね」

 やはり、彼女に期待をした僕が浅はかでした。もうちょっと一般人にも通じる言葉で締めてほしかったよ。

「ヤンデレもいいよねぇ~。クーデレもいいよねぇ~。デレだけじゃダメなの!デレばっかりだと飽きちゃうの!好き好き言ってるだけだと、男の子だって百年の恋が冷めちゃうの!」
「そんなことないよ?僕に好いてくれる人がいるならどんな困難だって頑張れるのが男子だよ」
「そんな男の子いない!!!」
「全否定された・・・」
「どうせ顔でしょう?どうせ性格でしょう?ただし、美女に限るんでしょう?自分が蛆虫だって気付いてないの?」
「野獣でもないんだ・・・」
「当り前でしょう!ワイルドでダンディな格好良い王子様があなたと釣り合うと思ってるの?馬鹿なの?アンタなんてただの蛆虫よ!!」
「蝶が付くくらい蛾のつよい子・・・」

 こんな子がクラスにいたら、いじめが無くならないのも頷けるよ。

「ふぅ・・・。でもね、そんな蛆虫のあなたでも、女の子三人からいじめられている姿を見て、ときめく女子だっているかもしれない」
「助けてあげたいっていう、母性愛に満ちている子・・・?」
「ううん。『女の子にやられるなんて情けない、クスクス』ってほくそ笑んでいる私可愛いって子」
「見て愉しんでいる子じゃん!」

 むしろいじめに加担してる側じゃん!

「知ってる?女の子はね、好きな人には自分だけを見てもらいたいけど、好きな人のまわりには彼を狙う女で溢れかえっていてほしいものなのよ」
「超優越感に浸ってますね!?」

 その子、甘い蜜を吸いまくってるよ。暗闇の中で眩く光ってそう。ってか、そんな子にあったら闇に連れてかれて殺されそう。
 黒死蝶か。病ンデレラか。

「そう、女の子が一番憧れるキャラクターは・・・ドキンちゃんよね」
「はっ?」
「コキンちゃんじゃダメなの!常に『ちゃん』づけで呼ばれたいの!バイキンマンにおばかーって言いながらも、ピンチになったらバイキンマンが必ず助けに来てくれるなんて・・・羨ましいツンデレキャラだよね・・・」
「・・・・・・」

 この子、ひょっとして、ドキンちゃんがバイキンマンとくっついていると本気で思っているのだろうか?食パンマン一途という致命的な欠点を完全排除している気がするのを指摘してあげた方が本人のためなのだろうか?
 でも、それをいったらドキンちゃん、ツンしかなくなるし。
 さすがに可哀想な気がしなくもない。 

「だから、ボクがここまでツンな態度を取るんだから、そろそろデレても良いと思うよ」
「僕が取るの!?きみはツンのまま!?」
「当たり前でしょう?前回デレたんだから、今回はずっとツンでいくことにしたの」
「あからさまだよ!」

 わかった。もういい。きみはツンデレにはなれないよ。
 二面性なんていらない。少女はずっと、大人になれない少女のままでいい。

「ん・・・じゃあ・・・」

 僕がデレるの・・・。少女が望む、デレってなに?
 食パンが欲しい?
 会話が欲しい?
 休みが欲しい?
 愛が欲しい? 

「ねえ、まぁだ?」
「・・・わかったよ。じゃあ、きみが一番望むモノをあげるよ」

 少女が微笑む。僕も微笑む。
 きみと僕。そして、きみは僕だ。
 きみの望むものは僕の望むモノ。

 飽くなき欲望を。貪欲に望む。

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 夏休みが終わり、僕、及川正雄―おいかわまさお―には億劫な新学期が始まった。
 今日もまた一人、お昼休みには中庭で淋しく焼きそばパンを齧る。

「美味しそうだね、その焼きそばパン」
「・・・えっと、焼きそばパンに喰い付かれると正直困るんだ。問題はそこじゃないから」

 新学期になって、昼食だけ一緒に過ごしている新しい友達が僕に言った。
 同じクラスではなく、今年はいった一年生の僕から見ても先輩という雰囲気ではない。
 どっちかって言うと、お昼休みに狙ってくる、キャッチセールスに来た飛び込みの営業職にも見えなくはない。
 ・・・だからと言って、見た目からも大人には全く見えないんだけど。

「じゃあ、この後メロンパンがやってくるんだね?」
「違うよ」
「チョココロネ?」
「パンから放れようよ」
「チョココロネって見た目、オームだよね?」
「もう今日からチョココロネ食べられなくなる人がいるからやめようよ」
「確か、天空の城ラ――」
「風の谷のナウシカだよ」

 そうやって名作はニワカがぶち壊していくんだ。

「その者青き衣をまといて金色の野に降りたつべし。失われし大地との絆をむすびついに人々を青き清浄の地に導かん。・・・ババ様」
「絶対知ってるじゃん!」
「ボクが言いたいのはね――!」

 そう言って一度、話の節を折る。どうやら、彼女にとってそこは大事なところらしい。

「――ナウシカ2が楽しみなんだ」
「そ、そうだね」

 拍子抜けだよ。ええ、本当に。

「ちっちっ。分かってないな、きみは。僕がどうしてそこまで楽しみにしているか教えてあげるよ。実を言うとね、僕は既にナウシカのその後を知っているからなんだ」
「えっ、そうなの?あれで終わりじゃないの?それとも、まだできてないものを知っているってことは・・・きみは未来からきた未来人なの?」
「正解!」

 当たっちゃった。未来人?って問いかけに正解って答えられると疑惑しか出てこない。
 問いかけてなんだけど、信じられない。

「それとも、まだできてないものを知っているってことは・・・きみは見たいからきた見たい人なの?」
「正解!」

 当たっちゃった。そうなんだ。やっぱり名作の続編ってだけで見たい人は見たいよね?
 それが駄作だったとしても、面白そうだよね?

「ちょっと、なんかさっきと問いかけが変わってない?」
「気のせいだよ」
「それに、名作の続編を馬鹿にしたら僕が許さないよ!僕、怒ると怖いんだよ」
「はは、きみが怒ったってちっとも怖くないよ」
「まずはジブリに謝れ!」
「規模がでかいよ」

 どうして僕と彼女の世間話で僕が謝らなければならないんだろう?もしかして、この会話は誰かに聞かれてるのかな?・・・盗聴されてる?!

「そして、ナウシカファンに謝れ!」
「きみだって名作を間違えたじゃない!ニワカが!」
「なんだと!そこまでいうなら、ボクがどこまでナウシカのファンか教えてあげるよ。きみの知りたい、ナウシカ2の話だよ」
「えー。そんな話があるの?」
「・・・ひょっとして、きみ、原作を読んでないの?」
「・・・・・・ごめんなさい!!!」

 原作があるの?!すごい読みたい!小説なの?漫画だと嬉しいんだけどな!

「そうだよ!ナウシカ2はすごい、『殺戮シーン』だよね!」
「もういいです」

 そんなネタバレ、嬉しくないよ!!! 
 もういいでしょう?話を元に戻そうよ。

「チョココロネってワームみたいだよね?」
「そこに戻るの?」

 そこじゃ話が元に戻らないよ。話が既に脱線してるところだもん。

「ワームってなに?」
「虫でしょ?モンスターファームで芋虫みたいなモンスターいたでしょ?」
「オームじゃん!」

 結局、話が変わらないじゃん!

「ちっちっ。今回は違うんだよ」
「どこらへんが?」 
「ぬーべーに寄生虫って話があってね――」
「完全にトラウマ話じゃん!!!」 

 もう今日からチョココロネ食べられなくなる人がいるよ!
 さすがに僕から彼女に関する言葉に誤りがあったと訂正しないと、チョココロネ認定委員会から処罰されそうで怖いよ! 
 ごめんなさい、チョココロネ。これからはらき☆すた大好き話で盛り上がるようにします!

「某Hさんって剥げたって本当?」
「敵を作りすぎいぃぃ!!!」
「そう言わないと、ボクの声が急なキャスト変更で変えられるかもしれないもんね」
「なんの話かさっぱり分かんない」
「上からの圧力って怖いよね?」
「きみの方がよっぽど怖いよ」
「ボクは堀江由衣ちゃん!」
「譲れないのね」
「ボクが言いたいのはね――!」

 そう言って一度、話の節を折る。どうやら、彼女にとってそこは大事なところらしい。

「――ドラマ版ぬーべーが楽しみなんだ」
「そ、そうなの?」

 ドラマ好きなの?アニメからドラマになっただけで毛嫌いする人がいるけど、彼女は気にしない人なのかな?

お色気妖怪パウチ』回、楽しみだな」
「きみ、本当に女の子?」
「男の子が全員パンツにされるシーンは見物だよね?」
「キャストでも眠鬼は紹介されていないよ?」
「ホムンクルス回の潮吹きシーンは見物だよね!」
「ドラマで放送できる範囲でお願いします!」
「もう、きみは本当に健全な男の子?」
「真っ当な男の子でありたい」
「ドラマは高校生の設定だけど、きみがドラマに出ていたら間違いなくきみは寄生虫入りのパンを食べそうだよね?原作通りに」
「ボクは腐ったパンを食べません!」
「ううん。原作通りに、間違いなくボクがきみにパンを食べさせるよ!」
「いじめじゃん!!・・・はっ!」

 ようやく、ようやく話が元に戻ってきた。
 とても長い、脱線だった。

「そうなんだ。僕は苛められているんだ」
「そんなきみにアイスバケツチャレンジの資格をプレゼント!!!」
「やめてくれ!たのんでなくてもトイレでやられたことがあるから!」

 トラウマだよ。

「あれはもともとALS患者と患者団体を支援するイベントであっていじめじゃないんだよ。知らなかったでしょう?」
「知らなかったけど・・・。でも、やることが幼稚なんだよ。もっとこう、あるだろう?」
「一言で言って・・・募金すればいいのにね」

 彼女は一言で言いきった。一言で言いすぎた。
 
「人の考えは人それぞれだから、やる方にも理由があるんだから、ちゃんとそこは分かってあげないと駄目だよ?」 
「理由があるか・・・。だったら・・・!」

 僕は彼女に言おうとした瞬間――。『正雄~』と僕の名前を呼ぶ声が聞こえてきた。その声を聞いた瞬間、トラウマのように顔が青ざめた。

「だったら教えてくれよ」
「なにをだい?」
「人はどうしていじめが無くならない?いじめをする理由を、僕は知りたい」

 同じクラスメイト、同じクラス。たまたま同じ教室に選ばれた初めて顔を合わせる僕たちが、
 一学期まで間に全てを知って、その結果いじめをするに至る理由を僕は知りたい。

「まさお~」

 僕を呼ぶ声が聞こえてきた時、血の気が引き、寒気がした。
 そこには期待も希望もない。相手が僕を呼ぶのは、自分勝手の我儘な塊だけ。
 いじめっ子がいじめられっ子を見つけて喜ぶ表情。裏側にはどうしてやろうかと楽しむ表情を隠した、下衆な作り笑顔を向けた女子生徒たちが待っていた。
 一ノ瀬蕾―いちのせつぼみ―はロリ体型でありながら、その容姿を利用して甘えん坊を装い、男たちに貢がせる小悪魔な性格。
 対して二宮葉月―にのみやはづき―は本当に美人であり、頭も良い。才色兼備の持ち主で男たちに人気があり、自信に満ちたその様子が彼女そのものを露わしていた。、
 そして、六戸花織―ろくのへかおり―が二人を統べるリーダーである。三人比べると、まるで家族のようにも見えるほど身長も見た目も違うのだが、どこでウマが合うのかは女性グループの謎の一面である。
 まぁ、蕾が問題を起こして残りの二人がその後始末をすると言うのが大半だ。だから、僕の件もまた、蕾のせいで厄介なことに巻き込まれたと思っている。

「どこでご飯食べてるのかと思ったら、どうして一人で淋しく食べてるの?」

 近づいてくる度に息が詰まる。早く立ち去らないといけないのに、恐怖で竦んで足が動かなかった。蕾に肩を掴まれた瞬間、ゾクッと身震いする身体。それほどまでに彼女たちが恐怖であることを身体に叩きこんでしまっていた。

「私たちも一緒に食べてあげようか?」
「い、いいよ」
「遠慮するなって。焼きそばパンなんか食べてないで。炭水化物+炭水化物の激太りパンじゃん!」
「だから、はい」

 花織が渡してきたのは、メロンパンだった。袋が空いていて硬くなっているのが少し気になった。

「それって、果糖+砂糖の激太り菓子パンだよね?」

 僕をもっと太らせるつもりなのか、でも、今まで彼女たちが僕にしてきたことに比べると、差し詰め優しいレベルの気がした。
 夏休みの間に心を入れ替えたということなのだろうか、そう思っていた僕の耳に、葉月の信じられない言葉を聞くことになる。

「これって、夏休み前のなんだよね」

 一気に血の気が引く。炎天下、誰にも取りだされることなく、机の奥に仕舞われていたメロンパン。
 しかも、開封済みの状態で。
 僕が踵を返して全力で逃げようとした瞬間、三人もまた襲い掛かってくる。
 トラウマ回が蘇る。

「助けて!!!」
「早くあいつを取り押さえろ!!」

 蕾と花織が 僕の手をひっぱる。そして、二人がかりで逃げようとした僕を全力で阻んだ。捕まった僕に葉月がメロンパンを千切る。そして、白い菌なのか卵なのかわからないのと一緒になったパン屑を僕の口に入れようとしていた。

「感謝しなさい。私にパンを恵んでもらったなんて、一生の自慢になるわ。ウフフ・・・。はい、あーん」

 恨むよ、世の男性たち。この光景をみて、さらに敵を増やしたら、今度こそ僕は家に引きこもろう。
 せっかく自分を奮起して頑張ってやってきた学校。それなのに、学校の対応は僕に対して変わらず冷たい。
 なんでだよ・・・。なんで、いじめられる側の気持ちが分からないんだよ・・・。どうして人は平等じゃない・・・分かり合えないんだよ・・・。
 知りたい・・・。

「助けて・・・」

 こいつらが僕をいじめる、理由を知りたい!!
 学校が誰に対しても受け入れるのなら、いじめる側の気持ちを僕は知りたい。
 それだけが、僕の不安要素だから・・・。
 ・・・・・・・・・
 ・・・・・・
 ・・・

「いじめをする理由だって?くすっ、そんなの簡単じゃないか」

 いつの間にか、僕の隣にいた少女が軽く微笑む。
 それはまるで、一片の切り取られた時間の中で、蕾たち三人が静止した中で僕と少女だけが聞こえる声だった。
 異様で奇妙で、異空間な場所で嗤う少女は、今まで楽しく会話していた時とは別の人に見えた。

「じゃあ、知ってみる?」

 少女は僕に問いかける。僕はコクリと頷いた。
 少女は満足そうに微笑むと、三人から抜き取った『名刺』のような紙と、同じように僕から浮かび上がった『名刺』 に、一文だけ描きこんでいた。

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「はい、これできみ達の『立場』は入れ替わったよ。後はきみがこの三人を好きにしていいよ。きみが本当にいじめる側の気持ちを知りたいなら、容赦なんかしたら絶対だめだからね」

 少女がまるで僕に暗示をかけるみたいに抜き取った『名刺』をそれぞれの胸元に返した。
 そして、次第に空間が元の静けさを取り戻す。
 時が動きだしたのに関わらず、静けさが戻ったと思うのは、きっと僕がその間に異世界に旅立ってしまったからだと思う。
 もう戻ることのない、現実世界。逆転世界―あべこべ世界―に紛れこんだ僕にとって、この三人は既に人間ではなく、宇宙人だった。


 
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