「さて――」
裸のまま琉花が話を切った。
「このまま放っておけば俺はこのカラダから出ていくけど、まだ憑依出来る時間が残っているんだ。まだこのカラダの快感を味わいたいんだよね」
「そんな勝手なことしないで!琉花を返してよ!」
「そんな口出していいと思うの?この身は俺の好き放題にできるって言っただろう?もちろん、このまま命を断つことだってできるんだよ」
「――っ!?」
琉月が息を呑んだ。事態が最悪の状況を飲み込み、どこの誰か知らない男に琉花を人質に取られたことを察してしまったのだ。
「そう。・・・きみは俺の言う通りにしないと、大好きな妹を失うことになるよ?」
「あなたって・・・琉花だけじゃなくて、私までも操ろうとしてるの?」
「操るだなんてしていないじゃないか!きみが俺の命令に従うかどうかなだけだろ?・・・きみの意思で選ばしてあげるよ」
「強制じゃない!!妹を人質にとって、私の意思を尊重することなんて――」
「できるじゃないか?きみが妹を見捨てれば簡単なことだ」
「そんなこと・・・・・・」
唇を血が出る勢いで噛みしめる。唯一の肉親を見捨てることなど、琉月にできるはずがなかった。
「(やらせたくない、琉花を好きにさせたくない・・・そう思いながら、私に選択肢は残ってないの・・・。ごめん、琉花。どうしようもないの!」
脱力して、涙を止めて琉花に従う。琉花がニヤリと笑っていた。
「・・・なにをさせるつもりなの?」
「さっきまでの強気な発言が嘘のようだ。でも、今きみが俺をとても憎いと言う 感情が伝わることが出来るよ。いいよ、その表情。その顔に免じて、今は大好きな妹のカラダを弄ることは止めにしてあげる」
「えっ・・、それってほんと?」
犯人に命乞いをするように、一瞬だけ這いあがった希望の目で琉花を見つめる。しかし、それはすぐに分かる事だった。琉花が琉月を持ち上げたのは、希望を与えるためではなく、絶望への落差をあげる事だったのだと。
「今日はこれから買い物に行ってきてよ。俺が言うものを明日までに買っておいてくれよ」
「これからって、深夜じゃない!お店なんかとっくに閉店してるよ!」
「安心して。ちゃんと夜にしか開いてない店で揃えられるものだから。いいかい? ち ゃ ん と お 店 に 行 っ て く る ん だ よ」
紙をとってペンを走らせる琉花。琉月はそのリストの内容を見て、目を見開いて驚愕したのだった。
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裸のまま琉花が話を切った。
「このまま放っておけば俺はこのカラダから出ていくけど、まだ憑依出来る時間が残っているんだ。まだこのカラダの快感を味わいたいんだよね」
「そんな勝手なことしないで!琉花を返してよ!」
「そんな口出していいと思うの?この身は俺の好き放題にできるって言っただろう?もちろん、このまま命を断つことだってできるんだよ」
「――っ!?」
琉月が息を呑んだ。事態が最悪の状況を飲み込み、どこの誰か知らない男に琉花を人質に取られたことを察してしまったのだ。
「そう。・・・きみは俺の言う通りにしないと、大好きな妹を失うことになるよ?」
「あなたって・・・琉花だけじゃなくて、私までも操ろうとしてるの?」
「操るだなんてしていないじゃないか!きみが俺の命令に従うかどうかなだけだろ?・・・きみの意思で選ばしてあげるよ」
「強制じゃない!!妹を人質にとって、私の意思を尊重することなんて――」
「できるじゃないか?きみが妹を見捨てれば簡単なことだ」
「そんなこと・・・・・・」
唇を血が出る勢いで噛みしめる。唯一の肉親を見捨てることなど、琉月にできるはずがなかった。
「(やらせたくない、琉花を好きにさせたくない・・・そう思いながら、私に選択肢は残ってないの・・・。ごめん、琉花。どうしようもないの!」
脱力して、涙を止めて琉花に従う。琉花がニヤリと笑っていた。
「・・・なにをさせるつもりなの?」
「さっきまでの強気な発言が嘘のようだ。でも、今きみが俺をとても憎いと言う 感情が伝わることが出来るよ。いいよ、その表情。その顔に免じて、今は大好きな妹のカラダを弄ることは止めにしてあげる」
「えっ・・、それってほんと?」
犯人に命乞いをするように、一瞬だけ這いあがった希望の目で琉花を見つめる。しかし、それはすぐに分かる事だった。琉花が琉月を持ち上げたのは、希望を与えるためではなく、絶望への落差をあげる事だったのだと。
「今日はこれから買い物に行ってきてよ。俺が言うものを明日までに買っておいてくれよ」
「これからって、深夜じゃない!お店なんかとっくに閉店してるよ!」
「安心して。ちゃんと夜にしか開いてない店で揃えられるものだから。いいかい? ち ゃ ん と お 店 に 行 っ て く る ん だ よ」
紙をとってペンを走らせる琉花。琉月はそのリストの内容を見て、目を見開いて驚愕したのだった。
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