純粋とは矛盾色-Necronomicon rule book-

夢と希望をお届けする『エムシー販売店』経営者が描く腐敗の物語。 皆さまの秘めた『グレイヴ』が目覚めますことを心待ちにしております。

カテゴリ:グノーグレイヴ『悪堕ち』 > 錠剤『裏切りの正義』

 アルテメシアがマイホームへやってくると、既に中にはセンリが待っていた。そして、アルテメシアの顔を見るとほっと胸を撫で下ろしたように安堵の表情を浮かべていた。

「よかったですぅ。アルテメシアは無事だったんですね」
「無事って何が?」
「今朝、私たちの使用しているサーバーを狙った通信障害が発生したんです。下手したらキャラクターのデータが損傷するほどの強い障害だったそうで、今も復興は一部で止まっている状況なんです」

 サーバーが損傷するのであれば運営管理からすれば由々しき事態である。 アルテメシアはセンリの話と毛様でに起こった話の内容を繋ぎ合わせれば、このゲーム内で起こったことの内容が大分理解出来た。

「(そうか・・・ダゴン様が飛び出してしまったからサーバーを傷つけたのかも・・・)」

 ゲームのキャラが世界を飛び出すことなど通常ありえない。アルテメシアの話を鵜呑みにする者は一人もいない、しかしそれが事実であることに変わらない。信じられない話は簡単に人は認めない。だからこそ、その話を受け入れられる、 ア ル テ メ シ ア は 既 に 異 常 な の だ。

「センリはなんともないの?」
「はい!私は運営側なのです!皆さまに安全なゲームをお届けするのが仕事なんですよー」
「安全・・・」

 既に運営側から手の離れた場所に行ってしまったアルテメシア。センリが笑顔でアルテメシアを迎え入れながらも、既にアルテメシアにとってセンリは敵側に当たる存在である。
 感情や思い出をなくさなければいずれやられてしまう。何故なら、『アルテメシア』というデータそのものが既にゲームの運営を脅かす病原菌―ウイルス―なのだから。

「(いずれセンリにも知られてしまう・・・。私に残された時間はないのかもしれない・・・)」

 そう思うと、もう旅に出ると言うことはなくなる。上を目指すのではなく、消えるまでの時間を静かに待つのみ。ただし、タダでやられるわけにはいかないので、『海魔王』の住みやすい世界を用意しなければならないのだ。

「お風呂入るね」
「はい、どうぞですー」

 旅から疲労困憊のような表情を見せるアルテメシアのために、センリはお風呂を沸かせて待っていた。アルテメシアが浴室に向かう前に、センリは小さく何かを思い出したかのような声を荒げた。

「そうです、アルテメシア。忘れてました」
「なに?」
「はい。いま、このゲームはメンテナンス中で入ることは基本出来ないんですよ。アルテメシア、いつからサーバーに入ってたんですぅ?」
「――――」

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 センリの目は明らかにアルテメシアを疑う眼差しで見ていた。昨日別れた後から一度ログアウトした。そのデータがもし管理側に残っていたとしたら、アルテメシアがログインした記録もはっきり出てしまっているだろう。
 ありえない方法でログインしたことが知られたら、センリはアルテメシアをBANする。 ゲームをしている以上ルールがあり、そのルールに従わない行動をした者にもルールにのっとった社会的制裁が待っている。
 それが、仮想現実の法だ。

「実は、センリと別れた後、そのまま落ちて・・・」
「なるほど、寝てしまったんですか!じゃあ、ログインしっぱなしだったんですね!安心しました」

  アルテメシアを信じて疑わないセンリ。ニッコリ笑顔を見せると、浴室へいくアルテメシアを置いてリビングへ戻って行ってしまった。
 愛くるしい笑顔に嘘をつくのがアルテメシアはとても酷だった。真実が如何に残酷だから、センリとの関係を続けたくて一生懸命に嘘で塗り固めるしかなかったのだ。

「ああ、そうか・・。私、センリのことが好きなんだ・・・」

 一緒に旅を続けてきた仲間だから、ずっと苦楽を共に分かち合ってきた間柄だから。
 別れたくないから、嘘をつく。

「そんな嘘すら許されないと神さまが説くのなら、わたしは教えにだって背きます。――死ぬのは決して怖くない」

 アルテメシアの正義は既に死んでいるから。それでも、アルテメシアに残された、センリとの愛は死なないから。

 
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 仮想現実世界へ戻ってきた『アルテメシア』。現実では意識を失っても、ゲームの世界では『アルテメシア』は意識を持ち続けた。

「はぁ・・はぁ・・・ん・・はぁ・・」

 現実世界で裕香に反映された、『海魔王』の虜にされた状態で既に欲に塗れている状態だった。
 戦うために『深き洞窟の深淵』 を訪れたのではなく、『海魔王』に会うためにやってきたのだ。

「待っていたぞ・・・いや、話ち詫びたか?」

『海魔王』が『アルテメシア』に言う。『アルテメシア』もまた『海魔王』のいる最深部まで到達するまで、ずっと色情を抱いていたのである。欲情に塗れた行動はすでに常軌を逸している。『アルテメシア』の閉じられた足からは、既におびただしいほどの愛液がスカートの奥から滴り落ちていた。

「あひぃ・・えへ・・はっ・・・はぁん・・・」
「あははは!このこ、スカートの奥にローターを仕込んでいるわ。歩いている間、ずっとイキっぱなしだったでしょう。もう頭の中はセックスしか出てこなくなっているはずよね?」
「はぁ・・・ち・・がぅ・・・。わ、たしは・・・あるて、めしぁ・・。あなたたちの卑劣な罠に、負けない・・・」

 例え『海魔王』に忠誠心を植え付けられても、正義の心がある限り、最後の柱は折れることはなかった。アルテメシアがここにやってきたのは、『海魔王』を倒し、強力な催眠術から解放されるためだった。

「ほぉ・・。ゲームの世界の方が自制心が強いと言う訳か」
「ですが時間の問題でしょう。もう、イキかけの死に体です」
「それも良い。こちらの世界でも精神ごと崩壊させてやれ」
「はい」

 『人魚姫―マーメイド―』との会話を終わらせた『海魔王―ダゴン―』。『人魚姫』は『正義の使者―アルテメシア―』におねだりする様に命令させた」

「ダゴン様ぁ・・おち〇ぽ・・おち〇ぽいれてぇ・・・。もう、おっきいのが欲しいの。このカラダでも、私を犯して。・・・やめろぉぉぉ!」

 口でも思ってないことを呟いてしまう、言うことを聞かない身体。アステロッサにとって精神的にも追い詰められる催眠攻撃は、『海魔王』を刺激する釣り針になる。
 甘い声で鳴くアルテメシアに、『海魔王』は己の持つ真の逸物を海底から取り出した。禍々しい四つの肉塊にも似た触手。それが全て『海魔王』の急所であり弱点だった。
 その逸物がそれぞれアルテメシアに絡みつく。そして、両手両足の動きを封じて身動きをとれなくすると、一本がアルテメシアの口の中に滑りこんでいった。

「おまえは俺様の逸物が大好きなんだ。好きなだけ咥えるがいい」
「ふざけるな!やめ、はなせっ!誰がこんな汚いものを咥えるものか!」

 目の前に晒された巨大なペニス型の触手。吐き気を催す異臭を漂わせていた。

「こんな汚らしいものを口にするなんて・・・!嫌なのに・・・止められない・・」

 目を閉じ、覚悟をしながら口がゆっくり開いていく。「あーん」と開いた大きな口で、触手が入ってくるのを待っていた。

「そんな嫌な顔しないで。『ちゃんと物欲しそうに、自分から誘うのよ、アルテメシア』」
「あっ、はい・・。わ、わたしは・・ダゴン様のおち〇ぽが大好きです。私の下賎なお口でご奉仕させていただきます。・・・あーーーーはむっ・・ちゅっ・・ちゅぶ、ちゅぶ・・・」

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 自分の意志ではどうにも動かせず、『人魚姫』の声の通りの行動をしてしまう『正義の使者』。完全な操り人形になってしまったアルテメシアは、触手を受けいれて海底についた生臭い香りと供に、先走り汁や垢までも丹念に舐め取っていった。

「(ぅぅ・・くさい、吐き気がするぅ・・・)」

 微かに残る自我が耐えられずに消滅しそうになる。触手が『アルテメシア』の身体を好き放題に弄りだし、乳房に絡みついて、中央に突起した可愛い乳首を先端から開いた口で吸い始めた。

「(やめろ・・・こんな状況も、こんな仕打ちも耐えられない・・・)」
「どうだ、俺様のち〇こはうまいか、アルテメシア」
「ちゅびぺろ・・・ハァッ・・・はい、おいひいです・・・ダゴン様のおち〇ぽ、とってもおいひいです・・」
「(そんなこと、絶対言いたくないのに・・・)」

 口マンコで奉仕するたびに、舌に絡みつく『海魔王』のネチョネチョしたカウパー液を、まるで生クリームを舐め取るように掬って味わう『正義の使者』。舌の上で転がる風味は、人間の時とは全然違って不味いのに、その風味を残すように自らの唾液と絡めて喉に落としていった。

「れろれろ、れりゅ、れろん・・・」
「そうだ。裏側をもっとクリクリするのだ。・・・ああ、気持ちいいぞ」 

 正義を僕にした下種な表情で悦ぶ『海魔王』に、アルテメシアも視線だけを向けて目に涙を溜めていた。

「(やめろ・・・私にそんな顔を見せないでくれ。私の行動に悦ばないでくれ・・・)」

 本当はやりたくない自分がいるのに、催眠によって強制的に行動されているはずなのだ、そこに愛も恋もないのに、それで満足する『海魔王』。まるで、セフレのように肉体関係だけを求めて逸物を口の中で膨らませている。

「(・・・私だって、もう・・・こんなになっているのに・・・)」

 肉体に火がついているアルテメシアの秘部から、夥しい愛液が零れ落ちる。抗うことができず、自らのおま〇こも開いて男根を求めていた。

「さて、そろそろ頃合いだな、アルテメシア」

 逸物が口から放れ、一時的な開放を許されるアルテメシア。火照る身体はいくら洞窟の水を浴びたところで冷めることはなかった。

「あ・・あぁぁ・・・」
「これをどうしたい?どうしてほしいんだ?」

 アルテメシアに言わせる『海魔王』。『人魚姫』も何も言わず、アルテメシアにその行動を委ねようとしている。
 悔しさで拳が震える。しかし、精神的の欲求と肉体の火照りが沈められるには、その身に逸物を入れてもらうしかなかったのだ。
 どうしようもなく、選択肢は一つしかなかった。

「・・・お願いします。おち〇ぽ・・・わたしの、イヤらしい肉穴に・・・挿入れてください・・」

 
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「裕香。お客さまよ」

 扉の奥から母親の声が聞こえてビクリと肩を震わせた。イキそうになっていた時だけに一気に熱が冷めていき、冷静さを取り戻すように興奮を抑えていった。

「は、はあい!今いく」

 そう声をかけた裕香だが、扉は勢いよく開けられ、お客と呼んでいた二人の人物が裕香の前に現れた。
 裕香よりも歳が上の男女。なにより、裕香にとって彼らと出会った記憶がなかったのだ。

「えっ・・。あなたたち、ダレ・・・?」

 初対面のはずなのに、客として持て成すわけにはいかなかった。急に裕香は身を強張り警戒心を向けた。同時にお客のうちの女性が、裕香を見てニヤリと笑った。

「間違いないな」
「ええ。彼女です。アルテメシアの情報の痕跡から、彼女であると特定できます」
「よし」

 男性が一歩前に出る。そして――

「『他言無用―Cyber Net Shutdown―』 

 ――ブツリッと室内から音が完全に消え、裕香の部屋だけが現実から遮断された。 仮想世界のように廊下へ続く扉の奥がまったく見えない。裕香にとって普段の家、普段の部屋のはずが、二人の来訪者によってまったく別の世界へ飛ばされた様な感覚に陥っていた。

「なに!?あなたたちはいったい!?」

 隔離された裕香が恐怖におびえる。携帯電話も圏外で助けを呼ぶことも出来ない。 

「ふっ、仮想現実ではハッキングし放題だというのに、現実とはこうも脆くも安全に守られる。魔法や魔術を非合法にして絶対に認めない。認められるのは能力と才能だけ。ならば俺様も現実世界にのっとって才能を開花させてやるだけのことだ」
「その喋り方は・・・まさか・・・『海魔王―ダゴン―』!?」

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 裕香の表情がみるみる青ざめる。仮想現実の魔王が、現実世界に現れ、こうして人間の姿でやってきたのである。ありえないことが起こっていることに、身体中から危険信号が鳴り響く。

「その通りですわ、『アルテメシア』。私たちはあなたの溜めた情報から必要な材料を集め、地域に適した姿へ再構成させたのです。つまり、現実世界へ適した姿へ生まれ変わり、ネットワークシステム管理者を騙してやってまいりました」
「あなた・・・『人魚姫―マーメイド―』だと言うの・・・?」

 『海魔王』と『人魚姫』が『正義の使者』を連れ戻しにやってきた。しかし、裕香にとってゲームに戻るつもりはなかった。恐ろしい記憶を植え付けられた二人にゲームは封印する予定だったのだ。
 裕香の意志は強かった。

「さあ、俺様のもとへ戻ってくるのだ。『正義の使者―アルテメシア―。二度は言わんぞ」 
「い、イヤよ。私はもうやらない。あなたたちは仮想現実でしか生きられないのだから、ゲームをやらなければ二度と会うことはない!」
「だと思った。・・・でもね、だからこそ、こうして現実世界にやってきたわけよ」
「ふん!そんな格好でも、『海魔王』が不在のゲームなんていずれ誰かが気付く!『管理者―センリ―』にその話が届けば必ずあなた達は連れ戻されるわ」
「なるほど。・・・確かに俺様たちに時間はない。生憎、俺様も気が長い方じゃない」
「ダダを捏ねる時間も勿体ないの。お願いだから、素直に言うこと聞いてゲームの世界に戻って来てくれないかしら?そうしないと、 私 た ち も 面 白 く な い の 」
「甘いわね。私は行かない!絶対に、二度と開くことはないんだから!!!」

『海魔王』の前で頑なにゲームの再起動を拒む裕香。正義の信念が折れた者がこんなに卑屈になることを『海魔王』は侮蔑に嘲笑った。

「甘いのは貴様の方だ。二度言わせるな」

『人魚姫』に合図する『海魔王』。『人魚姫』は頷き歌を口ずさんだ。

「『アルテメシア。服を肌蹴けて胸を見せなさい』」
「はあ、馬鹿なこと言わないで!私がそんなことするわけないじゃない!お生憎さま、現実は法が守ってくれるのよ!あなた達が知らない、ヘンなことを口ずさめば、警察がやってきて現行犯逮捕なんだからね!」
 
 口調を強めて社会の法を諭しながら、仮想現実とは違う制裁があることを仄めかす。仮想現実の住人にはわからない、罪と罰があることを知れ。ここは現実、間違いを犯せば法が罰し、正義が残る階層社会。

「必ず、あなた達を裁いてやるんだから!」
「そうか・・」

 そう言いながら、制服を脱ぎ棄てていく裕香の言葉に説得力はない。身にまとっていた薄い布きれを脱ぎ棄てて白い肌を見せつけていくも、仮想現実とは違い、胸もない幼児体型の裕香に女性の美しさは未だに開花されていなかった。

「そうね、楽しみね・・・『次は乳首でも弄って起たせて見せてよ』」
「人魚姫も、魔王の側近になれば心も汚れるのかしら、最低よ、ド変態!バカなこと・・・んっ・・言ってる暇があるなら、私を早く解放して・・・あっ!んんっ・・・」

 裕香の手が『人魚姫』の言葉の通りに、自らの乳首を摘まんで立たせようとしていた。親指と人差し指で乳首を挟んで力を加えて押しつぶそうとする。コリコリと、硬くなった乳首を指の肉で転がしながら、刺激を受けて身を震わせていた。

「は・・はぁ・・・ん・・・んぅぅ・・」
「やけに感じ方が良いな。感度だけは大人顔負けか?」
「いいえ、きっと私たちが来る前から一人でやっていたのではないでしょうか?」
「はっ!なんだ、ただの変態か」
「だ、誰が変態ですってぇ・・やんっ!」
「とりあえず、一回いかせてやれ。そして、こいつを快楽の海へ溺れさせろ」
「かしこまりました、ダゴン様。・・・『アルテメシア、おもいっきり自慰でイきなさい』」

 人魚姫の命令に裕香の身体がベッドに沈み、股を開いて右手をすっと下ろしていった。裕香が一番感じる、クリ〇リスを摘まんで引っ張る。愛液を浸み出したおま〇こを掻きわけて、その手にいっぱい愛液を含ませて再びクリ〇リスを弄りだす。

「ふああっ!あっ、あああぁ!!なんで、私、こんなこと・・・あっ、・・だめぇ!!」

 裕香が自分の身がオナニーしていることに気付いてしまった。どうやら、『おもいきりイきなさい』という暗示に、見られていると感じてしまうという要素が含まれてしまったのだろう、『海魔王』と『人魚姫』の前で再びオナニーを強要される裕香にとって、ゲーム内の悪夢の再現である。しかも今回は現実世界である。

「いい眺めだな、『アルテメシア』」
「どうして・・なんで、私の身体が、あなたに操られるの!?」
「『錠剤』によって閉じ込められた『アルテメシア』の情報は現実世界にまで影響を与える。もちろん、あなたの身体と反映させることができる。私たちは現実でもあなたを思い通りにできるのよ」
「ウソよ・・・ウソよ・・・!」

 仮想現実が現実に支配されることがあり得るはずがない・・・?
 しかし、それが事実――
 認めるしか出来ない裕香は絶望のなかで絶頂へイク。

「ふああああぁぁぁ!!あっ・・・ああぁぁあぁあああぁぁぁんんんっっっ!!!」

 一度は耐えていた快感の波が堰き止めていた感情の堤防を越えて爆発する。愛液を噴きだし、ベッドを濡らしてイヤらしい匂いを遮断された空間に充満させていった。
 絶頂へ到達した裕香を見てニヤニヤと顔を歪める『海魔王』。息を絶え絶えにしている正義を見ながら、堕落させていく様を愉しんでいた。

「はぁ・・はぁ・・はぁ・・」
「感情、感度、思考、すべてを操作し描き換えることできる。・・・どれ、お前の私情をすべて描き換えてたっぷり楽しませてやるよ」
「や、やめ――――!!」

 裕香が叫ぶ前に、『他言無用』の世界が終了した。


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 有手裕香は学校に登校してからも気だるさを覚えていた。
 それは、夜遅くまで起きていた事もありながら、やはりゲーム内で起こった異常システムに取り残されたことの恐怖感が拭えずに眠れなかったことが要因だった。
 授業に手が付かず、目を閉じれば訪れる暗闇が恐怖を思い出させて机を音を立てて揺らしてしまう。

「有手さん!廊下に立ってなさい!」
「すみません・・・」

 本調子に慣れない裕香を心配し、親友の茅野千里―かやのちさと―が声をかけた。

「裕香ちゃん。大丈夫?」
「うーん・・・」
「なんだか、普段より疲れているみたいだけど、なにかあったの?」
「うーん・・・」

 項垂れているのは、決して裕香が話を聞いていないからではなく、話をするべきかどうするか悩んでいるためだ。千里が心配しているのを悪いと思った裕香が、意を決して思い口を開く。

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「ゲームのし過ぎで・・・」
「自業自得じゃん!」
「だから話すのが嫌だったんだよ!千里のせいだよ!」
「私関係ないよ~」
「関係なくないよ。千里が貸してくれたゲームのせいだもん」
「ゲームは一日六時間」
「それって朝起きて、学校いって、家に帰ってきて、食事して、お風呂入って、寝る時間以外全部ゲームしてるよね?」
「そんなことないよ~。ゲームしながらパソコン開いて、動画見て、攻略サイト見て、音楽聴いて――」
「ものすごいインドアだよ!」
「私が言いたいのは、ゲームをしながらでも時間は作れるってこと」
「時間を作りたいならゲームを止めれば良いじゃん!」
「やる気になればゲームしながら宿題だってできるよ?」
「 や る 気 に な れ ば ね ! 」
「疲れたらゲームしながら寝てもいいよね?」
「寝落ちは嫌われちゃう!!」
「・・・それにしてもよかった。そんなに私が勧めてくれたゲームを気に入ってくれたんだ」
「ん・・・」

 千里が微笑む姿を見ると、どうしても本当のことをいうのを躊躇ってしまう。 
 ゲームの中でまさか裕香が敵に襲われたなんてことを知ったら、千里はそのゲームをどうしてしまうだろうのだろう。

「でも、ゲームはゲーム。学校は学校。学校にいる間は勉強に集中しないと駄目だよ」
「さっきまでの発言の後によくそういうこと言えるね」
「私はずっと見てるよ、裕香ちゃんの後ろ姿」
「怖いから頑張って起きてる」
「うん!」

 千里が大きく頷いて自分の席に戻っていった。先生がやってきてまた授業が開始する。
 眠気は取れず、裕香の頭の中で霞がかかるように、今日の天気もまた下り坂だった。
 朝の青空が一変、太陽が雲に覆われる頃に一日の授業が終わったのだった。


 
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アルテメシアの身体を完全に手中に収めたダゴン。
 それは、マーメイドの声に合わせてアルテメシアの操作が奪われた証拠であった。

「ダゴン様。今なら正義を倒せますよ」
「うむ。ではやるのだ、マーメイド」
「はい♪」

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 マーメイドが歌を響かせる。途端にピクリとアルテメシアの身体が反応を示した。

「い、いやっ!今度は何をしようっていうの!?」
「それはぁ~あなたに消せない痣を残す~」
「ひっ!」 
「はぁぁぁぁぁ・・・」

 ダゴンが力を込め、自身を人間サイズに縮小する。そして、男性の型に収まると、水のベッドに寝だしたのだ。
 アルテメシアは強制的に動かされ、ダゴンの元へと近寄っていく。
 それはまるで、美しい男女が肩寄せ合い一つになろうとしているようだった。

「いやあっ!うぐぅ!!」

 ダゴンにキスをするアルテメシア。敵ながら嫌々キスを繰り返しながら互いの唾液を交換させていく。水気の多いダゴンの唾液が自分の喉に落ちていく。

「うぇぇぇ・・・もういやぁ、もうやめてぇ・・」
「まだよ。あなたにはもっと快感に溺れてもらわないといけないわよ?」

 マーメイドの歌声でアルテメシアがダゴンの前で膝をつく。すると、両手が勝手にダゴンの逸物へと伸びていき、両手でしっかりとダゴンの逸物を掴んた。初めて触る男性の性器。硬くて太くて長い、ダゴンが人間サイズに合わせた逸物をアルテメシアは擦り始めた。

「きゃあっ、いやよ・・・こんなこと、したくないのに」
「ほほぅ、人間の手の感覚は実に不思議なものだ。何度も擦りつけられると、次第に感情が高ぶってくるぞ」
「いいえ、ダゴン様。それは憎きアルテメシアが奉仕するからでございます。憎き敵を服従する快感こそ至高と言うものです」
「なるほど。その快感をもっと味あわせろ」
「はい、ダゴン様~」

 ダゴンの命令にマーメイドがさらにアルテメシアに指令を出す。アルテメシアが両手をかざすと、自らの唾液を噴きかける。ベトベトに汚れた両手で、再びダゴンの逸物に触った。

 ヌチャヌチャ・・・クチュクチュ・・・

 唾液の水気が逸物を撫でる度にイヤらしく音を立てる。天然ソープ液を作られたアルテメシアが悲鳴を荒げた。

「いやぁ!自分の唾液を・・こんな使い方されるだなんて・・・」
「ほら、自分で立てたチ〇ボを見るのだ!」
「見なさい、アルテメシア」
「ううぅぅ!!」 

 マーメイドの声でアルテメシアが真っ直ぐに自分の手で扱くダゴンの逸物を見る。目を背けたく現実から逃れられず、涙を流して悔しがる。

「私の身体を・・・こんな使い方して・・・よくも・・!」
「強気にほざくのは嫌いじゃない。次はフェラチオでもしてもらおうか」
「ぐっ・・」

 決して心では負けず、信念を折らないよう耐え続けているアルテメシアだが、次から次へと送られてくる命令に嫌々従い続けるしかない。自ら扱いたことで 、亀頭を覗かせているダゴンの逸物に、舌を差し出して口を付けてちゅぱちゅぱと音を立ててフェラチオを始めたのだ。

「フハハハ!実にいい気分だ!その口に咥えるがいい、アルテメシア!」
「ぐぶっ!う・・うぅぅぉぅ・・・」 

 自らの唾液を絡めたダゴンの逸物を奥まで咥えるアルテメシア。舌の動きがまるで娼婦のようなイヤらしい動きでダゴンの逸物を舐めている。青臭い味のするダゴンの逸物をしゃぶりながら、激しく顔を動かしながらフェラチオを続けた。

「う・・ヴヴ・・・!ふぅ!んぅぅ!」
「さあ、しっかりと飲み干せ、俺の精液をな!」
「ヴヴヴ―――――!!!」 
 
 アルテメシアの頭を掴んで腰を打ちつけるダゴン。次の瞬間、アルテメシアの口いっぱいにダゴンの精液が吐き出された。その大量の味とにおいに顔が顰めるアルテメシア。涙をこぼして子供のような表情で泣きだしていた。

「いやあ!やめてえ!」
「いやじゃないでしょう?これから下の口にもこの快感を味あわせてあげようというのに?」

 拒否も拒絶もできない強制行為。マーメイドがさらなる快感を引き出そうと指令を出した。
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 再び暗き洞窟の深淵までやってきたアルテメシアとセンリであった。
 海魔王ダゴンを前に臆せず前を目指して叩き続ければ、正義は勝つという必勝パターンに持っていけるはずだった。

「・・・えっ?」

 身体が急に動かなくなるアルテメシア。その瞬間を待っていたかのように、ダゴンは深淵の奥まで潜ってしまったのだ。

「逃がしたの?そんな・・・あと一歩のところだったのに」
「ご、ごめんなさい・・。こんなこと今まで一度もなかったのに・・・」

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 アルテメシアの手加減によりダゴンを仕留め損ねたのだ。センリは驚きながらも、GM―ゲームマスター―としての責務をこなした。

「ううん。こんなの見習いの正義の使者なら日常茶飯事だし!アルテメシアだって毎回うまくいくとは限らないよ」
「それは、そうだけど・・・」
「それともコンティニューする?ダゴンのHPもそのまま引き継ぐから、あと少しで倒せるよ?」
「負傷した魔王を倒したって面白くない・・・って、コンティニューってなによ!」
「確かにおかしな機能よね、『コンティニュー』って。『引き継ぐ』って意味だけど、別に私たちなにかを引き継いでいるわけじゃないし、誰かに引き継ぐわけでもないし。まるで『企画者側の勝手な都合』、みたいな意味合いになってない?」
「強くてニューゲームは誰でも憧れるオプションだと思うけど」
「私たちの方が混乱するわよ!『コンフュ、NEWー』みたいな新たな状態異常でもおかしくないと思うの」
「味方を殴りたくないから『コンフュ』は嫌いなんだけど、それが新しくなったら私は嫌だよ」
「『コンフュ、NEW』は味方を殴らないわ」
「あっ、そうなんだ!じゃあプレイヤーに優しくなるのね!」
「代わりに画面を殴るようになる」
「・・・急にゲームバランス跳ねあがりそうだね」
「敵の強さが『優しい』から『地獄』になるの。ヌルゲーがまさかの阿鼻叫喚の地獄絵図に早変わりよ!」
「初心者に優しくないよ。そんなクソゲー誰もやりたがらないよ」
「たくっ!最近の若者は我慢がないのよ!我慢できずにクソゲ―認定したり、我慢できずに人を殴ったり、我慢できずにブログに中二病全開のエ〇小説なんか掲載したりするのよ!後々見返したら黒歴史確実なのよ!」
「自分を殴りたくなるんでしょうね」 
「そう、いずれ大人になって子供の時の恥ずかしいエピソードを思い出して悶絶するようになるのよ。急に痒みが襲ってきたり、枕に顔をうずめたりしたら、それはあなたが『コンフュ、NEW』にかかってしまった状態なのよ」
「過去の自分から恥ずかしいエピソードを『コンティニュー―ひきつぐ―』 しちゃったら、画面を殴りたくなるよね!」
「・・・いい?これだけは覚えておいて。――ゲームの世界も現実世界も、お金が必要なのよ」
「仮想現実で現実を教えないでくれない?」

 ダゴンを逃したことを忘れるかのようにセンリとの会話に華を咲かせたアルテメシア。
 今回は報酬も経験値も得られたのは雀の涙ほどであったが、有意義な時間を過ごせたことで今日のところはセンリと一度別れることにした。

「今日は終わりにするの?」
「うん。また明日もやってくるから」
「そう。じゃあ、『変身を解くね―ログアウトするね―』!またお会いしましょう、アルテメシア!」

 そうして、アルテメシア・・・有手裕香―ありてゆか―は現実世界へと戻っていった。

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「ぐおおぉぉぉ――――!!!オレサマが負けると・・言うのかあああぁぁぁぁ!!!」
「やったね!」
「正義は必ず勝つのです!」

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 海魔王、ダゴンを倒した聖戦士アルテメシアとその妖精センリ。
 最後の戦いに挑み、暗き洞窟の深淵までやってきた二人の活躍で、ダゴンを倒し平和を取り戻したのだった。



 ・・・
 ・・・・・・
 ・・・・・・・・・
 しかし、 悪は何度でも蘇る。
 彼らの望む、永遠の名声―おわりなきさぎょう―と限界の経験値―レベルマックス―の快感を得るまでダゴンもまた戦い続けなければならないのだ。

「(まったく・・・どちらが悪で、どちらが正義だ・・・)」

 永遠に負け戦を味わされる苦痛。面白味もないのは魔王も同じ。
 終わりのないゲームほどクソゲーはない。
 そこに勝負は存在しない。正義が必ず勝つシナリオ。

「・・・分かりますよ。あなたの辛さは痛いほどにね」

 魔王の耳に入る悪魔の囁き。
 暗き洞窟の深淵にやってきた正義とは違う、スーツ姿の格好の男と看護師姿の女性。

「何者だ、きさま・・・」
「申し遅れました、私は茂木飛鳥。この腐ったゲームに迷い込んだ、ツマラナイ藪医者です」
「牧村貴美子。アスモの助手です」

 どこにでも需要があるのなら、やってくるのが『営業』マン。
 そして、病んだ者がそこにいるのなら、急いで駆け付けるのが『医師』の使命。

「あなたの病んだ心を私が直して差し上げます」
「なに?おまえが私の心を癒すだと?くくく・・。魔王と呼ばれたオレサマを癒し、国王でも改心させるつもりか?」
「魔王にしては御冗談が面白いこと。ウィットに富んだジョークは嫌いではありませんことよ?」
「魔王はどこまでいっても魔王。心を治療して闇の部分が抜けることはあり得ません」

 心を改心させるつもりはないとアスモは断言した。
 悪に染まれとキミコは嗤った。

「あなたの望みは、正義をやっつけること。それだけが、魔王の病んだ心を癒すのです」
「その通りだ!・・・オレは勝ちたい。正義を倒したいのだ!この繰り返される永遠の敗北から抜け出したいのだ、オレはあああぁぁぁ!!」

 魔王が叫ぶ。苦労をせずに魔王を倒しに来る正義の娯楽を堕落に変えたい。
 真剣勝負にすらならない戦いに、制限を咥えて難易度をあげる――。

「私が力をお貸ししましょう」

 ――アスモはそれを可能にする。牧村は固有結界を発動した。

「安心して下さい。既に治療薬は完成寸前でございます。後は、成分を『錠剤』に取り込むだけです」

 領域―フィールド―が変わっていく。暗き洞窟の深淵は電脳世界となり作り変えられ、そこは洞窟として見る影も失った明るい電光掲示板の世界へと書き換えられていった。



 
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