純粋とは矛盾色-Necronomicon rule book-

夢と希望をお届けする『エムシー販売店』経営者が描く腐敗の物語。 皆さまの秘めた『グレイヴ』が目覚めますことを心待ちにしております。

カテゴリ:グノーグレイヴ『憑依・乗っ取り』 > 電波『ヨアソビ』

 街の一角にある某有名飲食チェーン店。多くのお客が急いで食事を済ませ入れ替わりに席に付く姿が目立つ中、とある一角の席を陣取り小一時間ハンバーガーとジュースで粘る子供がいた。そこにやってくる同じ年の子供に、俊喜は手を振って呼び掛けた。

「おい、友樹―ともき―!『PITA』買ったか?」
「うん、俊喜の言う通りに手に入れたよ」

 小学生の宮迫俊喜―みやさことしき―は、その友達でお金持ちの宮坂友樹に『PITA』の存在を教えて無理矢理隠しルートを使わせて二台手に入れたのだ。
『PITA』を持った俊喜は早速ゲームを起動させる。さらに俊喜は友樹にも『PITA』を起動させるように声をかけたのだ。

「強力プレイしようぜ!」
「強力プレイってなに?」

『PITA』には独自のネット回線を繋いでいる人をキャッチして、憑依する対象を二人に増やすことができるのである。これにより、一人ではなく、親友同士や家族同士にも仲良く憑依することができるのだ。
 俊喜と友樹がこの機能を使うと、たまたま街に買い物に来ていた双子の姉妹に憑依することができるようだった。

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「へえ、宮坂佐織―さおり―と香織―かおり―だって。友樹の姉妹か?」
「ちがうよ!僕は知らないよ」
「なんだ。近親相姦も楽しそうだったのによ」

 冗談なのか、本気なのか分からない屈託ない笑顔でごまかす俊喜である。今からそんな考えを持っている小学生など将来が不安である。

『憑依しますか?』

 そのコメントに同時にボタンを押した。二人の意識は瞬時に双子の姉妹に乗り移り、街に出ている陽気な気温と暖かな空気を感じた。

「えっ、あれ・・僕はいったい・・・あ! 声が・・・!」

 妹の香織に憑依した友樹がなれないスカートと姿に恥ずかしさを覚える。白の服と髪を束ねたヘアーリボンで可愛く清楚にまとめられた香織の姿が、自分が女の子になっていることを明白にしている。香織(友樹)はなんともいえない気持ちになってその場にしゃがみこみ、表情を隠すように蹲った。

「本当にこんなことあるんだ・・・」
「おいおい、なに恥ずかしがってるんだよ」

 自分と同じ声で、はっきりと強い口調で話す姉の佐織が、香織を起こすように手を差し伸べていた。その表情は陽の光が逆行して影を落としていたが、まさしく俊喜が浮かべた笑みと同じ表情を見せていた。

「せっかく憑依したんだから一緒に楽しもうぜ。だからこうして友樹に頼んで『PITA』を買ってもらったんじゃんか!」
「俊喜・・だよね?よく僕だって分かったね」
「そんなの様子を見てたら一目瞭然だっていうの!もっと俺みたいに堂々としてろって!誰も俺たちが本人とは別人だなんて分かんねえんだからさ!」

 憑依した人物にしかわからない。たとえ警察だって本人だと言う証明が見抜けるはずがない。
 香織(友樹)は一瞬寒気を覚えたが、次第に香織に憑依していることに興奮して、身体が火照っていることに気付くのも時間の問題だった。


 
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『PITA』があれば誰でも簡単にお目当ての娘に憑依できてしまう。
 ネットに接続し、狙った女性に繋がるのを待つだけである。しかし、『PITA』の基本設定は成人以上に接続するようになっているのである。憑依してセックスをしても大丈夫と言う大人の都合上の安心設計。
 だが、都合などお構いなしなのが人の繋がりというものだ。

「これがこのコードと繋がって・・あとは、こうして・・・よし、できた!・・・・・・はずっ!」
 
『PITA』を手に入れた男性の中には、成人女性だけじゃなく、未成年にまで憑依を拡大するように改造コードを作り出す猛者まで現れた。
 この男性が『PITA』を改造し、電源を入れて憑依する女性の年齢層を格段に下げ、さらに『電波』を受信しやすいようにアンテナの内容を拡大すると、画面には多くの女性の名前が現われてきたのだ。
 電子工学、電気科で培われた技術をフルに生かすこの男性は、拳を震わせて歓喜の雄叫びをあげていた。 

「おれ・・・勉強してきてよかった・・・・・・」

 目に涙を浮かべながら感動する男性、高野長英―たかのちょうえい―。 天を仰いで男泣きするその様子は実に気持ちが悪かった。

「よりどりみどり、選びたい放題だぜ・・・おっ!」

 長英が小さく声をあげると、検索した中に、近所に住む小学生の原田知佳―はらだちか―の名前があった。知佳と長英は親同士が仲良く、一緒に遊びに行ったこともあるほどの仲である。

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もちろん、知佳のお世話係として同行させてもらっていただけに、知佳は長英のことを兄のように慕っていたこともあった。高校に進学してからしばらく会っていなかっただけに、長英の脳裏には知佳との思い出が走馬灯のように流れていた。
 知佳の名前を他にも多くの女性の名前が出てくるのだが、知佳の名前を見た瞬間、長英は「この子だ!」とばかりに指定してボタンに手を押した。

『憑依しますか?』
「イエス!イエス!イエス!」

 『はい / いいえ』という表示が出る前にボタン連打。
 興奮が昇る長英の意識は、ボタン連打と供にゆっくりと視界がぼやけていき、一瞬頭が呆然としたかと思うと、視界が暗転したのだった。

 
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『和氏。元気でやってる?ちゃんとご飯食べてる?』
「うい」

 一人暮らしを始めて一ヶ月になる俺、濱和氏―はまかずし―。しかし、親からの電話が定時に毎日来る。

『仕事遅刻してない?悩みはない?お母さんはいつも和氏のことを心配してるのよ』
「うい」

 子を心配する気持ちはわかるが、子離れできない親を子は心配する。
 ゲームをしながら電話をしているためか、返事もそっけないものだ。それに勘付き親が気付くと、急に態度を変えてきた。

『またゲームなんかしてない?最近の若者がコミュニケーション取れないのは、ゲームのせいだってテレビで言ったわよ!いい加減、ゲームから卒業しなさいよ』
「うぃ・・・うぅぅ・・。うるせえよ!」
『短気なのもゲーム脳よ。だいたい、若いのに我慢を知らないから『キレる若者』なんて言われるのよ・・ぶつぶつ」

 やれやれ・・・この親、完全にテレビに洗脳されてやがる。電話越しでもゲームのことで怒られていたら、なんのために一人暮らししたのかわかったものじゃない。
 結局、親の説教を聞いているうちに、時刻は夜の11時に差し掛かっていたのであった。

『あら、もうこんな時間。お母さんももう寝なくちゃいけないわ。いい、和氏。あなたもはやく寝て明日に備えなさい。社会人なんだから、わかった?』
「うい」

 母親との電話を終わらせ、ゲームに集中する頃には、自らのプレイヤーの屍の山を築いていた。クソゲ―?いえ、ムリゲーです。俺はそっとさじを投げた。

「ダクソッ!!毒つよすぎぃ~!白ファン役に立たねえ!!おまえ、なにしてるの?なにすればいいんだよ!?」

 最近の若者はマゾゲーが大好きです。今回はふて寝を決行し、電気を消す。
 ボフッ!と布団に沈む身体が癒しを求めるように眠る姿勢になる。仕事に疲れ、ゲームに疲れてストレスのたまる一方。休まる日がないようなものだ、ふぅ~。

「・・・でも、俺からゲームは放れられないものなんだよね~」

 俺は第二のエンジンを発動するように、布団の中で『ゲーム機』を起動させた。
 GS『PITA』である。
 『PITA』が起動するとしばらくして、ネットに接続する。そして、『接続する相手を探しています』というメッセージが画面に流れてきた。

「 今 日 は 誰 に な ろ う か  な ~ ?」 

 俺が一人暮らしを始めたのはこの『ゲーム機』のせいである。しばらくすると、接続した相手の名前が表示された。


『1件ヒットしました。秋葉法子―あきばのりこ―』


「いよぉぉし!」

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 俺はグッとガッツポーズを決めた。秋葉紀子は同じアパートに暮らしている結婚したばかりの女性である。挨拶に言った時に顔を見てとても綺麗な人だったことが覚えていたので、俺は名前と顔が一致したので、『PITA』のボタンを早速おした。

『憑依しますか?』

 次に『PITA』が表示したのはこれだった。――そう、この『PITA』というゲーム機は、特殊な『電波』を発信し、ヒットした相手に乗り移れるという代物だったのだ。『電波』の有効距離はせいぜい街区間。決して受信は広くはないと言えど、その効力に魅力を感じて即買いしてしまったのだ。
 そして――、

『はい / いいえ』

 ――俺は震える手でボタンを押した。『はい』が光り、選択されたことでしばらく通信待機中になっていると、俺の意識も次第に薄れていくように眠気が襲ってきたのだった。


『送信完了しました』


 その言葉が薄れゆく意識の中で見た途端、目の前の景色がガラッと変わった。


 
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