純粋とは矛盾色-Necronomicon rule book-

夢と希望をお届けする『エムシー販売店』経営者が描く腐敗の物語。 皆さまの秘めた『グレイヴ』が目覚めますことを心待ちにしております。

カテゴリ:グノーグレイヴ『状態異常』 > 下剤『陣保町アンダーグラウンド』

 和泉は男性の中から一度抜けだし、紗姫の思考へと潜り込んだ。そして紗姫の思考や記憶を読み取ると、紗姫という女性のテクニックの多さに驚いていた。

「(うわ。やっぱりこいつここが初めてじゃないんだな。しかも、結構遊んでいるぞ。どうりで男を知っているような動きを見せるわけだ)」

 和泉は紗姫(本名:紗希)という女性の行動を読み取ると、早速紗希の思考を弄り始めた。

「(・・・ん?あれ。なんだか、このお客がとっても格好良く思えてきちゃった。ちょっとくらい、サービスしてあげても良いかな)」

 紗希の瞳が潤み、まるで片思いをしているような目で男性を見つめ出すと、和泉は思考変化を終わらせて男性の中へと戻っていった。
 マットプレイを始めて30分。男性はそれに見合った料金しかはらっていなかったので、本来ならば時間がきて終了のはずだった。
 アラームが鳴り、マットプレイを終わった男性がローションを落とすために身体を洗い始める。紗希もそれを手伝いながら、ベッドに座ってタオルで身体についた水滴を拭っていた。

「今日は普段より楽しかったよ。また利用させてもらうね」
「えっ!え、ええ・・・」

 時間が無情に過ぎていき、男性が着替えようとスーツに手を伸ばした瞬間、まるで別れることを淋しく思った紗希が思わず声をかけてしまった。

「あの!もう少し、時間ありますか?」
「あるけど?どうして?」
「ちょっと待ってください」

 紗希は慌てて下に待つ店員に内線をかける。そして、次のお客の予約がないことを確認した。

「はい・・・。はい。・・・じゃあ、お客様、1時間延長で・・・。はい」
「ええええ!!?」

 姫から延長を強要されたことがなかった男性は逆に声を荒げて驚いていた。電話を切った紗希が男性に話しかける。

「あの。わたし、このあと暇なんですけど、一時間くらい、私と遊んでいきませんか?もちろん、お代はいりませんから・・・。私のカラダ、好きにしていいよ?」
「えっと・・・マジ?」

 いつの間にか紗希の方が熱をあげてしまった様子に、男性はタジタジになってしまっていた。その様子を見ながら和泉はひとりほくそ笑んでいた。


 
続きを読む

 佳織と晴美と別れ、自らの身体に戻ってきた和泉。すると、下半身に激痛を覚えてしまったようだ。

「イテテ・・・。さすがに、二人も相手にすれば使い物にならなくならぁ」

 加えて、妹の蜜柑とも一日でヤっているのだ。童貞には三人もの女性を相手にするのは大変だったようで、息子は既に疲労困憊であった。

「でも、かといってこのまま帰るのも忍びねえな」

 時刻は夜。ネオンの灯る歓楽街を去るにはまだ早い時間帯。『下剤』の効果が残っている間に、まだまだ遊びたいという欲求は抑えられない。

「そうだ!別の男の身体に潜り込めばいい。そうすれば、俺の身体にはなんの支障もなくイケる快感を味わえるぞ!」

 和泉はよからぬことを思いつくと、早速、『下剤』の効果が残る内に地下世界―アンダーグラウンド―へと潜り込んだ。
 階段で下りる、壁で遠回りをする行動を取る必要のない地下世界は、ラブホからソープ店への道を最短で到達できる。

「いらっしゃいませ」

 和泉の上では、一人のサラリーマンがソープランドへ来店し、お気に入りの女の子を呼んで待合室で声をかけられるのを待っていた。
 和泉は早速、その男性に潜り込み、準備は整った。

「お待たせしました、お客様」

 待合室で声をかけられた男性が立ちあがり待合室をでると、そこには指名した女性がドレスアップして待っていた。

「ありがとうございます。紗姫―さき―です」

 写真うつりと変わらない容貌と容姿の持ち主の、美人がそこには待っていた。


  
続きを読む

 佳織の中に入っていた和泉は、先程まで佳織と一緒にいた晴美のことを思い出していた。
 佳織よりも和泉のことを馬鹿にしていた彼女に復讐したいと考えていた。

「(そうだ。いっそのこと彼女もここに呼び出せばいいんじゃないか?)」

 佳織に連絡を取らせて晴美を呼び出す作戦だ。晴美がやってきたら乗り換えればいいと和泉は考えた。和泉がいなくなれば佳織の行動は全部自分がしたことになる。佳織をこの場に残しても別段問題ないと踏んだのだ。

「(よし、晴美ちゃんを呼び出してもらおう!)」

 和泉は佳織に念を送り、晴美に連絡をさせる。携帯電話で晴美を呼ぶと、すぐに連絡が繋がった。

『はい、もしもし?佳織?』
「そうだよ。今どこ?」
『それはこっちの台詞よ。佳織こそ今どこなのよ』

 ふてくされながら何かを食べているような音が聞こえる。どうやら佳織と別れた後に一人でファミレスに入ってストレスを発散しているようだった。場所を聞くとそれほど遠くないところにいた。

「晴美。今からこっち来てくれる?」
『私がいくの?・・・はぁ~。で、どこ?』
「えっとね・・・そこからだと・・・」

 晴美は渋々佳織の言う場所を目指す。一人で行動することを嫌うのが女子高生だ。集団で歩くために佳織を迎えに来るようだった。

「(でも、やってくる時にはびっくりするだろうな)」

 和泉は内心ニヤニヤが止まらなかった。佳織は何気なく伝えているけれど、ここは歓楽街のラブホの中。普段だったら立ち入ることも躊躇するはずの場所だ。佳織の案内通りにやってくる晴美も、穏やかではきっとない。
 そして、扉が開くと佳織を迎えに来た晴美が血相を変えて現れた。

「あっ、晴美!」
「はぁ・・はぁ・・。佳織・・・。アンタここで何してるのよ!」
「ここって、別に・・・えっと・・・」

 チラチラと和泉を見ながら助け船を求める佳織。和泉は再びおどおどした態度になった。

「えっ、俺が悪いの!?」
「アンタね!佳織になにしてくれるのよ!」
「えぇぇぇ、ちがう!ご、誤解だ!俺は彼女に言われて仕方なく・・・!」
「はぁ、佳織のせいにするつもり?」
「そうだよ、晴美。この人が格好良いから、私から誘ったんだよ」
「佳織・・・」

 一瞬、佳織が和泉を弁護したことで口籠った晴美だが、ここで引く訳にはいかなかった。

「こういう行為って、女じゃなく男の方が罪になるんだって。しかも私たち未成年よ?それを分かっていながら不純な行為を行ったら、あなたの人生終わりよ!」
「ひぃぃっ!俺のニート人生が終わるぅぅ!」
「働いてもないの?ただの屑ジャン!」
「お、俺は悪くない、俺は悪くないぞぉぉ!!」
「自分のせいに出来ない人間って、ほんと目触りなのよね。外にも出てこないで欲しいわ」
「あわわわ・・・あわわわ・・・」

 晴美の強い口調に、気落ちする和泉。追いやられ方が半端なく、遂には住所や名前まで聞こうとしていた。

「じゃあ警察に届けるから。名前と住所、それと番号を教えて」
「や、やりすぎだよ晴美」
「今回は黙ってて。佳織も少しは自分を大事にした方がいいわ、病気がうつったらどうするの?」
「人の純愛をとやかく言わないで」
「はぁ~。『純』愛ね・・・。少し佳織のことが分からなくなってきたわ」

 これ以上話すと大事なモノを無くしそうな気がした晴美は再び和泉に集中する。その間に佳織の目で見ていた和泉が佳織のもとから放れて闇の地下―アンダーグラウンド―に戻ってきた。地下から覗く三つの影。晴美の伸びる影に触れて今度は晴美の中へ忍びこんだ。

「(よし、うまくいったな)」

 晴美の視点で見ていることを確認した和泉。無事に晴美の中に潜り込んだことで不敵に笑った。

「(覚悟しろよ、こいつ!)」

 ちょうどノートに和泉の住所と名前を書き込んだ。

「これでいつでもセックスしたい時に連絡が取れるわね・・・・・・はっ?」
「ひいいぃぃぃ・・・・・・はっ?」
「えっ、晴美?」 
「ち、違うわよ!なにバカなこと言ってるのよ、わたし」

 顔を真っ赤にして慌てふためく。急に口を突いた言葉に一番動揺しているのは晴美だった。

「(やだ、こんな時にどうしてセックスなんて言っちゃうのよ・・・。きっと環境のせいよ!)」

 急きょやってきたラブホの独特の匂いや空気に汚染されたように身体が熱くなる。セックスを求めるように脳内で妄想を描く自分に、晴美が悶々とし始めていた。

「(やだ、なんなのよ、これ・・はぁ・・。変よ・・・。なんで私、急にセックスしたくなるのよ・・・)」

 二人に顔を逸らして動かなくなってしまった晴美。今すぐにでも立ち退かなければおかしくなりそうに、足をきゅっと閉じてその場を離れたくないもう一人自分がいるような気がした。

「(佳織・・・ここでセックスしたのよね・・・っ!わたし、なに考えてるのよ!佳織のせいよ!) 」
「(やれやれだぜ。こいつだって他人のせいにしまくりじゃねえか。 まっ、原因は俺にあるかもしれねえけどな!ししし・・・。今のおまえの思考は俺と同じゲスになっているんだぜ?)」

 和泉がえっちをしたいと思えば思うほど晴美の喉が渇いていく。火照り出した身体から汗が滲み、疼き出して表情を蕩けさせていく。

「ひょっとして、晴美もセックスしたいの?」
「はぁ!?別にしたくないし!」

 佳織に言われ瞬間的に否定する。しかし、口調が強くなってしまった分だけ動揺までも大きくなってしまった。明らかな我慢だと佳織が気付くと、今まで見せたことのない優しい笑みを浮かべて佳織は晴美に近づいた。

「そうなんだ。佳織もセックスしたいよね?いっそのこと処女喪失すればいいんだよ!そうすればストレスもなくなるんじゃないかな」
「ええっ、そんな・・・あっ!」
「そんな力まないでよ。おかしなことじゃないよ。みんなやってるもん」
「やめて・・佳織・・・」 
「リラックス、リラックス~♪」

 佳織が晴美の胸を揉みながら後ろから耳に息を吹きかけていく。自分がセックスに誘いこんだと思いこんでいる佳織はセックスに対して強気に責めるビッチに変化してしまった。それだけじゃなく、親友の晴美さえも巻き込むことも平気で厭わなかった。

「大きいね、晴美の胸。どうしたらこんなに大きくなれるの?」
「知らないわよ」
「部活の先輩の気持ちがよく分かるよ~。だって、私だって晴美の胸が羨ましいもん」
「だめ、佳織!ああっ!」
「うふっ。乳首、コリコリしてる・・・すごく感じちゃってるじゃない。そういう素振り見せなかったからびっくりだよ。晴美って普段もこんなに感じやすいの?」
「ちがう・・・ちがう・・・!ふぁぁ・・」

 急に欲情した自分を呪いながらも、佳織の行動を抑え切れない自分がいた。親友だから許してしまえるのか、舌を交えてキスをする自分に、たまらない恥ずかしさを感じていた。

「ん~ちゅっ・・ちゅく・・れろ・・・んっ・・ちゅむ・・・」
「はっ・・あっくぅ・・・ちゅ・・・んぅ・・れる・・・ちゅっ・・・」

 傍で見知らぬ男性、和泉が見ているにも関わらず、まるでレズ行為を見せつけるように行為を進めていく二人。脳が蕩けるくらいの甘美に酔い、スカートの奥で疼きだす秘部が、その先の行為を訴えかける。

「(どうして・・・どうしてこんなに感じちゃうの・・・?もう、止められない・・・)」

 羞恥心と背徳感に苛まれながらの親友とのレズ行為。男性に見られながらのキスに疼く身体は止められない。

「はぁ・・・佳織・・・」
「この後、どうしてほしい?」

 佳織は晴美の方から促してもらいたいようだ。これで晴美は逃げられない。
 一度和泉の顔を見ながら、目線を落として小さく口を漏らした。

「・・・セックス、したい」


 
続きを読む

 和泉は一度蜜柑から抜け出して自分の身体へと戻っていった。妹とのセックスでお先真っ暗な人生を進むような顔をしていた和泉が、ぱあっと明るい顔をしてムフフと笑った。

「おっしゃあぁぁ!これは凄いモノを食べてしまったみたいだ!」

 和泉が食べたアイスにより、和泉はいつでも自分の意識を闇に『落』とすことができるようになっていた。その意識は相手の意識に溶け込むと、自分の思っていることを相手に混ぜこむことができるようになったようだ。 
 無意識に相手を操作することができるのだ。
 目的が見つかれば人は外に出たがる。ニートに和泉が久し振りに出掛ける準備を始めていた。

「よし、これでこの町の女性を俺のモノにしてやる!ハーレムの街なんて最高だぜ!!」

 服を着て出掛ける和泉。
 夏の暑さに負けないくらい、和泉の妄想で暑苦しいほどの熱気オーラを放っていた。 

「うわっ、なに、あの人。黒いわ」
「怖いよ、おかあさ~ん」
「しっ、見ちゃダメよ」

 出歩いただけで警察に呼ばれるほどの警戒心を持たれる和泉。 ハーレムを目指して皆が和泉に寄ってくることを夢見ながら、現実は誰一人和泉に近づくこともしない。
 妄想が顔に出てしまうのか、にやけた瞬間に携帯をかけられる始末だった。

「やっぱりお外は怖い!!」

 元々コミュ力がない和泉。家に閉じこもる和泉が外に出ても、駅前の商店街までが限界だった。
 夢を持っていても行動できない制約がある。

      1dd4d087.jpg

「くすくす・・・」
「笑ったらダメよ、晴美。はやく行こう」

 和泉の顔を見ながら笑う女子高生がいた。和泉は自分を侮辱していることに腹を立てた。

「なんでお前たちに笑われなくちゃいけないんだよ!ド畜生ぅ~!!」 

 一先ず退散した和泉。人影のいない路地裏に身を潜め、陽の当らない闇の場所に融けるように闇の地下―アンダーグラウンド―にもぐっていった。

「俺を笑ったことを後悔させてやるぅ!」

  和泉は笑われたことに復讐する。闇の地下から先程の女子高生の影を見つけると、追いかけるように後ろについた。当然、女子高生たちは和泉に気付いていない。

「まずはお前からだ!」

 女子高生の一人に溶け込むように影潜りを始める和泉。

「ん・・・?」
「どうしたの、古海?」
「えっ・・・なんでもない」

 ピクッと違和感を覚えたものの、別段特に変わった様子もなかった、古海佳織―ふるみかおり―。止まった足を再び動かし、 もう一人の女子高生の横に並んだ。

「(くくく・・。気付かれなかったようだな。当然か。まさか、俺が忍びこんだなんて夢にも思うまい)」

 和泉は佳織の頭の中に入り込み、彼女と同じ視界でその様子を見ていた。佳織が会話を愉しんでいる間に少しずつ彼女の記憶を盗み見ていた。

「(そうか・・。この子は古海佳織っていうんだな。そして、隣にいる子は青葉晴美―あおばはるみ―か。あっちの方が俺を笑ってたけど、こっちの子の方が可愛いな。・・・さて、行動してもらうとするか)」

 和泉にとって凌辱より純愛らしい。会話を弾ませている佳織にそろそろという感じで思念を送り込んだ。

「(俺の顔を頭の中に送り込んでやる!)」
「でさ、部活の先輩からしつこく付きまとわれてるの。部活に集中できなくて」 
「いろいろ大変だね。部活って楽しいイメージあるけどな」
「そんなことないわよ。部活終わったら食事に行こうとか言われてるんだから。目を輝かせて言うからちょっと怖くて」
「(あれ・・・?)へー。そうなんだー」
「それに、型がちがうって触ってくるんだから!口で言えば分かるっていうの」
「・・うん、そうだよね・・・」
「佳織だって急に触って来られたら嫌でしょう?」
「うん」
「その触り方だって気持ち悪いんだから」
「うん」
「下半身から触ってくるのよ。腰から身体のラインをなぞっているみたいでほんとイヤ!」
「うん・・・」
「・・・・・・佳織?」

 晴美との会話中にきょろきょろし始めた佳織。晴美はそれでも会話を続けていたが、次第に佳織の方が話の内容が入らないような曖昧な返事をし始めたのだ。

「佳織!」
「えっ!?な、なに?」

 急に声をかけられてびっくりする。再び足を止めた佳織に晴美は怒っているようだった。

「古海、どうしたのよ?ちゃんと話を聞いてよね!」

 今日は晴美の愚痴に付き合うだけに、話半分に聞かれただけで晴美は佳織に怒る。佳織は聞き上手なので、晴美にとって話しやすいだけに、佳織が人の話を聞かないのは珍しかった。

「なにかあったの?」
「ちょっと・・・。あの・・・」
「ちょっとじゃわかんないわよ。さっきからキョロキョロしてさ」
「そう・・なんだけど・・・(さっきの人のことが、どうしても気になっちゃうんだもん)」 

 和泉に雑念を送り込まれている佳織は、晴美の会話中に和泉の姿を探していた。

「(どうして、さっきの人の事が気になるんだろう・・・?)」
「(さっきの男性のことが気になる。こいつのことなど放っておいて、急いで後を追いかけよう!)」
「(私、あの人のことがどうしても気になる・・・晴美も大事だけど、晴美は彼のこと笑った!)」

 会話に集中できなくなり、居てもたってもいられない様になった佳織は、晴美に頭を下げた。

「ごめん、晴美!」
「えっ、ちょっと!どこ行くのよ!?」

 晴美が止めようとしても、佳織は引き返して商店街を走りだす。そして、和泉の姿を探して走り回った。

「(えっと、俺の居場所はだいたいわかるぞ!さっきの場所から動いてないな!)」

 本体と繋がっている和泉は自分のもとへ佳織を誘導していく。それはまるで、佳織にとって運命的な出会いを予感していた。

「はぁ・・はぁ・・いたぁ」

 和泉は路地裏に隠れるようにたっていた。人影に見つからないように隠れている影に見つからないようにこっそり近づいた。

「お兄さん」
「うわあ!?お外怖いぃぃ!!」

 突然、女子高生に声をかけられた和泉は奇声を発していた。

「知らない女の子に声をかけられる事案が発生しました、110、110~!!」
「そんなことで警察呼んだら警察の方が大変だよ~」

 和泉の辞書にナンパという言葉はないらしい。さらに言えば逆ナンという概念すら存在しないようだ。

「(まあ、普段なら声をかけられるはずがないもんな)」

 佳織の目でおどおどしている自分を見ると、苛めたくなってしまう自分がいる。Sっ気のある和泉が佳織の目を細くさせて嗤った。

「お兄さん、今お暇ですかぁ?私と、ちょっと付き合ってくれませんかぁ?」

 果たして自分が何をされるのか分かっていない和泉。しかし、嘲笑う女子高生に和泉は拒否権が無いのだということを感じていた。


 
続きを読む

 蜜柑の身体でイった後、すぐに和泉は違和感を覚えた。

「(なんだ・・・身体が動かなくなってきたぞ・・・)」

 疲労とは違い、まるで自分の支配力が身体から弱まっていくみたい。身体が徐々に動かせなくなっていくのを感じていったのだ。そして――

「・・・ぅん・・・あれ?ここ、私の部屋」
「(げっ!?)」

 蜜柑が起きたのだ。蜜柑の身体が動かせなくなっていったのも、蜜柑の意識が起き、身体の持ち主が表舞台に戻ってきただけの事だった。闇から身体を借りただけの和泉は、宿主が眠っている間だけしか身体が操作できないのだと知った。

「(まずいな。もっと楽しんでいたかったけど、こうなると面倒になりそうだしな)」

 せっかく蜜柑に憑依できた和泉だが、厄介事は御免。家での厄介者にとって、これ以上蜜柑との仲が悪くなると面倒なので、悪戯心ははたらかない。しかし、十分しでかした後である。

「わたし、なんで制服着てるの?それに、ベッドが水浸し。・・・私の身体だって熱いし、まさか、わたし・・・」

 部屋の状況に自分の身になにが起こったのか勘付きだす蜜柑。その言葉だけでも和泉は焦りたじろいでしまう。

「(マズい・・。俺のせいにされたりしないだろうなぁ)」

 憑依に辿り着くことは限りなく0に近いが、やがて『真実』は明らかにされる。『蜜柑が和泉のせい』だと結論づくことを勘弁したい和泉にとって、 真 実 を 捻 じ 曲 げ な け れ ば な ら な い 。 闇 に 葬 り 去 る ほ ど の 強 い 力 で ― ― 。

「(俺が悪いわけじゃない。これは蜜柑がやったことなんだ。・・・やったことなんだー)」 

 きた、『自分が悪くない、社会が悪い―SEKININTENKA―』。ニートの所業、ここに極まり。
 しかし、極めた業物は鋭く突き刺す。

「・・・わたしが・・・やったんだもんね・・・」
「(・・・・・・・・・おっ?)」

 急に顔を真っ赤にして、後始末を始める蜜柑。ティッシュで付着した粘液を拭い、シミをつくったシーツは洗濯機に入れて布団は干し始めた。そのてきぱきとした動きを蜜柑のカラダの中で見ながら、和泉はなにが起こったのかびっくりしていた。

「(蜜柑のやつ、自分でオナニーしたと思っているのか・・・?)」

 和泉がオナニーしていた時の記憶にないはずの蜜柑だが、 記憶を混同したのか、それとも記憶を新しく創作したのか、蜜柑がオナニーの処理をしてくれたことがとても楽だった。
 これによって蜜柑が和泉を疑うことはない。後始末を終えた蜜柑が一息つき、自分の部屋に戻ってベッドに座り込んだ。

「疲れたぁ。・・・なんで急にしたくなっちゃったんだろう・・・。普段は寝るときだけなのに・・・」

 独り言のように、自分がオナニーしたことに対して罪悪感を抱く蜜柑。和泉と違って蜜柑はオナニーに抵抗があるらしく、急にしおらしくなった蜜柑に声をかけることもできなかった。

「制服だってシミになっちゃったし・・・。セーラー服を着てオナニーするなんて変態だよ」
「(そんなことないぞ!セーラー服はJK、JCに与えられた聖なるアイテムだぞ!セーラー服を着ているだけで若返る、セーラー服を着ているだけで男性の視線を奪える。それは、その時、その時間でしか得られない快感なのだ――!いつの時代も色褪せることのないセーラー服。人が姿を変えたってセーラー服は変わらない。人はその女子高生に惚れるのか、それともセーラー服に惚れるのか?今では学校だってセーラー服に力を注ぐ。セーラー服で行きたい学校を決める女子高生だって少なくないんだぞ!男性だってセーラー服が可愛ければすぐにパソコンで検索して学校名を調べる。わざわざその学校に通わせるために転勤する紳士だって少なくないんだぞ!(ソースは〇ch)。例え卒業しても残るセーラー服。20年経った時に引き出しから見つけたセーラー服で回春する熟年淑女だって少なくないんだぞ!永遠に使用される若さのアイテム!それがセーラー服だ!viva,セーラー服!sieg,JK!)」
「・・・・・・」

 頭の中に流れてきた熱い演説を虚ろな目で聞く蜜柑。それが解読できたのか、身体を起こしてセーラー服姿の自分を鏡にうつした。

「うん!別にセーラー服着てオナニーしたっておかしくないよね。こんなに可愛いんだから許されるよね」

 セーラー服姿の自分に自信を持った蜜柑。蜜柑は和泉の思い通りに、変な自信を持ち始めてセーラー服の自分の姿に欲情していた。

「(蜜柑のやつ、俺の言う通りに制服着てオナニーを正当化しやがった。じゃあ・・・胸を揉んでみろよ)」

 頭の中で蜜柑に語りかける和泉。すると、蜜柑の手がゆっくりと動きだし、制服の上から自分の胸を揉み始めた。

「ああっ!・・・一回イってるから、まだカラダ敏感なのに・・・んぅぅ」

 優しく、それでもゆっくりと、外から肉をかき集めるようにして中央に寄せる蜜柑。それが普段の蜜柑のオナニーなのか、和泉の時とは違い、女性特有の柔らかい手つきで優しく胸を弄り始めた。

「おかしいな。いつもは一回イったらやらないのに・・・はあっ・・・。今日はどうしてこんなに、感じちゃうんだろう?」

 それは和泉が裏で蜜柑を支配しているから。しかし、表で見える蜜柑の痴態を、裏で潜みながら見つめる和泉は、先程とは違った快感が込み上げていた。
 裏で手を引く反逆者の気分だ。裏切りこそ至高の快感。
 
「(あぁ、たまらない・・。こうして蜜柑の痴態を特等席で見れるなんて最高だ)

      3f40ce52.jpg

 胸を捏ねながら、ぷっくりと膨らんだ乳首を弄る蜜柑。そのまま鏡の前で四つん這いになり、お尻を突き出し、円を描くように振ってみせた。制服姿の蜜柑がいやらしい目つきをしながら鏡に向かってお尻を振っていた。
その仕草にたまらなくなった和泉は、片手をスカートの中に忍ばせた。蜜柑の秘部はぐっしょり濡れていた。

「あぁん!きもちいい・・・きもちいいよぉ!」

 今まで出したことのない喘ぎ声を漏らす蜜柑が、今度は自分でベッドに飛びこもうとしていた。ショーツの穿いていない蜜柑の足から、愛液が滴り零れてくる。ぐちょぐちょに濡れているのならと、和泉は本物の肉棒を入れたくなった。

「(待った!どうせなら、和泉―おれ―のところに来い。そうすれば、セックスしてやるよ)」
「・・・そうだ。お兄ちゃんとセックスしよう。お兄ちゃんなら押し倒したら、きっと私を受け入れてくれるもんね!」

 妹とセックスすることを楽しみにしながら、自分の身体がどうなったのかを思い出した和泉。蜜柑の裏で手を引きながら、蜜柑とセックスできることに勝利の道が見えていた。


 
続きを読む

「あっちぃ・・・」

 夏本番でもないのに、 既に家の和室で疲れ果てている少年、高柳和泉―たかやなぎいずみ―。しかし、彼が疲れ果てているのは、夏の暑さだけではないのかもしれない。

「人生に疲れた・・・」
「ニートのお兄ちゃんが言っても説得力無いね」

 つぶやいた和泉に鋭くつっこみを入れる、妹の蜜柑―みかん―。 アイスを食べながら火照った身体を冷やしているようだ。

「やることがないから熱さを感じるんだ。 この俺の暇な時間を潰してくれ!」
「熱く語らないで。アイス溶ける。ペロペロ・・そんなにやることないならアイスでも食べてれば?」
「んっ!そうだな・・・アイスでも食べよう」

 冷凍庫からアイスを取り出し頬張る兄妹。親の金で食べるアイスがうまい。 
 そんな和泉に天罰が下る。

「・・・冷えた。腹が痛くなってきた」 

 欲張って三つ目のアイスバーを取り出した瞬間、お腹の下る音が聞こえた。
 Warning、Warning、緊急事態の警告音が鳴り響く。

「い、妹!助けてくれ!トイレに兄を連れてってくれ」
「くー」

      f8481fa9.jpg

「寝てるううう!!!」

 一瞬で寝てしまっている蜜柑。女性の寝るタイミングは本当にわからない。

「ヤバい、おれ、もう動けない・・・。こ、こんなところで・・・漏らすのか・・・?」

 ニートとは言え成人。排便の恥ずかしさはこの上ない恥曝し。 それが家の中だったりしたら、外でも居場所がないのに、中でも居場所がなくなってしまう。
 蔑んだ蜜柑の冷ややかな視線が兄の自尊心を突き刺すに違いない。
 足を閉じてなんとか漏らさない様に横歩きをしながらお手洗いに一歩一歩確実に近づいていった。

「ぅぅ・・なんでこんなに緩くなってるんだ・・・うぅぅっ!マジ、ムリ・・・」

 気の緩みは便の緩み。
 はみ出したモノが外に出てくると、 和泉の意識は急に暗闇へと真っ逆様へと落ちていった。

 ・・・
 ・・・・・・
 ・・・・・・・・・

 社会に適さない不適合者。
 表の世界からはみだした者は表舞台に出てくることは一生ない。
 暗い暗い裏世界。
 必要なのは光ではなく、闇。
 闇こそがすべてが好きにできる裏世界。

「なんだ・・・?」

 あたり一面暗闇で、地平線まで続く闇の世界。
 壁も天井も見当たらない。外も中も区分けされないせいで自分がどこにいるのかわからない。
 家の中なのか、それとも家の外なのか。
 暑さもなくなり、寒さすら感じない身体に悪寒が走り、とりあえず自分が今どこにいるのかを探すしかない。
 つまり、 妹の蜜柑を探すのだ。
 蜜柑が眠っていた和室への道を闇雲に歩く。壁もなくなり、どこを歩いているのかも検討もつかないものの、日常動作から和室への道を進んでいく。
 すると、蜜柑が見えた。 和泉の遥か上で。
 丸まっている身体のラインを見上げながら、まるでそれは蜜柑の寝像を下から眺めているようだった。

「なんか、隠し撮りしているみたいだな」

 暗闇の中で蜜柑が光っている。蜜柑の影が和泉にまで伸びていた。

「影?暗闇に何故影ができる・・・うわっ!?」

  疑問を答える前に、和泉の身体は蜜柑の影と一体化する。和泉の姿、容姿すべてが見えなくなり、暗闇に慣れた途端に光が戻った。

  ・・・
 ・・・・・・
 ・・・・・・・・・

 暗闇の裏世界から一転、光り輝く表舞台に立つと、眩しさで視界が滲む。
 いぐさの畳に転んだ身体を天井に見上げながらゆっくり身体を起こしていく。

「なんだったんだ、今のはいったい・・・?」

 大の字に身体を広げながらぼぉっとする頭の思考。それが急な違和感を覚えて回転を始める。
 ぐわんぐわん働き始める回路。寝ぼけ眼をしっかり開いて、何故自分が畳の上で眠っているのか疑問を持つ。

「・・・なんで俺、和室にいるの?」

 確かに和泉は闇雲に、蜜柑のいた和室を目指して歩きまわった。そして、その場所へ辿り着いた。
 しかし、それは闇の中の話であり、表の自分はお手洗いを目指した後どうなったのかわからない。畳の上で眠っているような余裕はないはずである。

「でも、いまはお腹は悪くない。あれだけ腹くだしてたんだけど・・・・・ん?」

 お腹を擦りながらつぶやく言葉にまたも違和感を覚えた。
 擦るお腹は普段よりも柔らかく、ランニングシャツ+ブリーフで家の中を過ごしていた格好が何故か、Tシャツとポリエステル素材の布切れを穿いていた。
 そして、よくよく思えば・・・いつの間にか畳の上で眠っていた蜜柑の姿がいなくなっていた。 
 先程から聞こえてくる甲高い声。自分の発する言葉が女性の声に聞こえることに、和泉は息を飲み込んだ。

「(これ・・・これって・・・)」

 身体を起こして目線を下ろす。 蜜柑の愛用の服を着て、滑らかな水色の髪の毛が垂れ落ちる。
 Tシャツの生地を盛り上がる二つの胸。 いつもより身体は軽く、胸に重みを感じた。フレアスカートの下から伸びる細い足が和泉の思い通りに動きだした。

「蜜柑・・・俺、蜜柑になっているのか」 

      8a56efec.jpg

 疑問ではない独り言。自然に表情が綻び出す。声だけで分かることだった。和泉の思ったことを蜜柑が発する。蜜柑に言わせているのだと錯覚するほど和泉は嬉しくなって跳ね起きてしまった。

「おおぅ!これって所謂、憑依ってやつか!」

 和泉はTS業界用語に詳しかった。自分の声が蜜柑の声になっていることだけじゃなく、蜜柑の身体を自由に動かすことができることに優越感に浸っていた。
 和室においてある姿見を見て、そこに蜜柑が映っていることに、自分が蜜柑になっていることに確信を持つ。

「えへへ・・私、蜜柑。お兄ちゃん・・・なんちゃって!」

 蜜柑の振りをして喋ろうとしたら恥ずかしくなってしまう。しかし、中学生でもある蜜柑の身体で腰をくねらせ、イヤらしいポーズを取らせて大人びた雰囲気を映し出していた。

「うふぅん・・・お兄ちゃんなら、私のカラダでナニをしてもいいからねっ・・・そうだ!どうせなら蜜柑の部屋にいってみるか」

 思いついたように蜜柑のカラダで妹の部屋に入ろうと和室を飛び出していく。その時には既に、和泉の身体がその後どうなったのかなど頭には入っていなかった。


続きを読む

↑このページのトップヘ