純粋とは矛盾色-Necronomicon rule book-

夢と希望をお届けする『エムシー販売店』経営者が描く腐敗の物語。 皆さまの秘めた『グレイヴ』が目覚めますことを心待ちにしております。

カテゴリ:グノーグレイヴ『立場変換』 > 名刺『認め淫してクラスの担任』

「ただいまー」
「おかえり。洋平。牛乳いる?」
「いらない」
「そう・・・。じゃあ、欲しくなったらいつでもお母さんに声かけてね」

 希沙の散歩から帰って、聖子に無愛想に応えて部屋に戻っていく『洋平』。しかし、扉の前で一度扉を開けるのを躊躇った。
 それは――『洋平』は、この中にいる人物に対しての一つの礼儀だと感じたからだ。

 コンコン。ノックをした『洋平』が声をかける。

「ボクだよ。入るよ?」

 返事はない。しかし、『洋平』は気にすることなく部屋に入った。
 扉を開けて洋平は部屋を見渡す。
 そこにいたのは、床に倒れこんだ――本物の洋平の変わり果てた姿だった。

「ぅぅっ・・・」
「ただいま、洋平くん。すっかり弱り切ってるけど、大丈夫かい?」

 『洋平』・・・少女は洋平に近づき座り込んで顔を覗かせる。『洋平』として学校に溶け込んでいる少女に、ここ数日間誰も気付くことはなかった。

「ど、して……誰も僕に気付いてくれないの……」

 部屋から出ることも出来ず、衰弱している洋平にさえ誰も気づかない。母親である聖子ですら気付かない。
 少女が見せる『名刺』。塚越洋平の『名刺』には、こう描かれていた。

「小さなほこり」と。

「それがきみの今の姿だよ。部屋に入ったところできみは誰の目にも気付かれず、掃除したところで吸えなかった微かなほこり位にしか思われない。
 声も届かないし、触れられたってなにも感じない。残念だけどきみはこの部屋から出たところで誰にも気付かれることはないよ」

 少女にもらった『名刺』から、洋平の生活は一変した。
 誰からも気付いてもらえなくなった洋平は、自らの心の安らぐ場所がなくなった。自分の部屋でさえ、自分の心を慰めてはくれない。極めつけは少女だ。洋平の代わりに『洋平』として生活をするようになった少女に、自分の部屋を奪われていく。居場所をなくし、少女により部屋を占領されていき、自分でないものが追い詰めてくる恐怖に洋平はすっかり弱り切ってしまった。
 ご飯だって食べようと思えば黙って食べられる。しかし食欲すら湧かない絶望感に、洋平は衰弱し、死を決意していた。

      
黒幕


「きみ・・・は・・いったい、なにを考えているの・・・?」
「愚問だね。きみの存在を奪ったボクに対して、いったいその質問に何の意味があるのさ?」

 ニヤリと少女が少女らしくない笑みで嗤う。それは既に人間じゃない。侵略者としての笑みだ。

「でも、きみが質問したことに対してボクは答える義務があるだろう。だから、ボクはこう言おう。
 ――ボクの存在を認めてもらいにきた。そのためにボクはボク自身の欲望のためにきみ達を殺しに来た。――ボクは、未来からきた―――――」

 少女は今まで聞かせたことのない声、胸の内に秘めた本性を晒していた。
『宇宙』よりも濃く、暗黒よりも深い少女の心の闇。
 ここから先は洋平の耳には伝わらない言葉で少女は嬉々として喋っていた。


「Je suis un étranger. La capacité est l'univers. Le.. boîte qui n'est pas décodée dans l'homme.」


 会話など不要。それは人間ではないから。
 言葉が解読できないのは勉強不足だからでは、きっとない。
 理解など不毛。一方的に知られる脳の解剖手術。

「さあ、まだ死なないでくれよ。楽しいことは、これからすぐに訪れるんだから」
「・・・・・・・・・・・」

 少女が部屋で嗤っている。少女の言う楽しいことが、洋平の想像する範囲で収まるものなのか定かではない。
 でも、少女の見せる笑みに含まれた快楽が、期待させるものではなく。恐怖を誘うものであるのは間違いなかった。
 そう思いながら、洋平は静かに目を閉じた。


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 あれから希沙は洋平の奴隷となった・・・。
 しかし、四六時中希沙は洋平の奴隷になったわけじゃない。皆の前では先生と生徒と言う立場を崩さず、学校が終わる時間まで希沙は『人間』でいられる。

「先生、さようなら!」
「みなさんさようなら――」

 HRの挨拶も終わり、生徒たちが教室から飛び出していく。笑顔で手を振り、お別れを交わす希沙。しかし、その心では既に――。

「(――ああ、また一日が終わっちゃうのね・・・)」

 一日がとても短く感じるのは、年を取ったからではない。
 希沙にとって一日は、本当に時間ないのだ。

「―――先生」

 ビクッと震えて希沙は見る。洋平が手綱に繋がられた首輪を持って一人待っていたのだ。
 首輪をつけろと言わんばかりに手を挙げて差し出してくる。

「イヤよ・・・。首輪なんてしたくない・・・」
「先生・・・、いや。希沙。きみは僕の奴隷でしょう?ペットがご主人に逆らうの?」

 二人きりになると、生徒と先生の立場ではない。上下関係は逆転し、洋平が希沙の主となる。

「あ」

 唐突にあげる声に希沙が顔を上げる。いったいなにを思いついたのか、洋平が無邪気な顔で希沙をみていた。

「せっかくだから、服も全部脱ぎ払ってよ」
「え・・・」

 着ている衣服を全部脱げと命令される。その嫌悪感が思わず声になって現れた。

「なに?もうきみは『人間』じゃないんだから、服なんていらないでしょう?全裸になって、僕と一緒に散歩に出かけようよ!」

 首輪を付け、手綱に繋がれ、全裸で校内、校庭を駆け回される。
 『人間』だったら死んでしまうほど恥ずかしい行為を強要されるのなら、別の何かになるしかない。
 自己催眠をかけるように、『名刺』に書かれた文字を黙って見つめる希沙に洋平は語りかける。

「希沙は、『犬』だよ」


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 琉と雅喜が二人を置いて指導室から出ていってしまう。

「待って!行かないで!」

 『洋平』が声をかけても見向きもしない。再び二人きりになり、『希沙』は自らの絶頂に打ちひしがれ、未だに心此処にあらずと言う様子だった。

「はぁ・・・先生・・・・・・。先生ってこんなに感じるんだぁ」
「塚越くん・・・あなた、最低よ!」

 誰にも知られたくない、自分だけの快感を知られ、琉や雅喜にも憐れもないイキっぷりを見られたのだ。かつて三人に見られたことのあることを知らない希沙にとって、洋平がした痴態は『希沙』にとって汚点でしかない。悔しくて涙が止まらなかった。

「どこまで私を愚弄すれば気が済むのよ・・・。私を先生と認めてくれないのなら、いっそ言ってくれた方が気が楽よ!」

 洋平がやっていることは先生いじりをする生徒の悪気ない行為。しかし、悪気はなくても悪意はある。
 やったことに対して先生がどう思うのか考えないこと、それが悪意。
 困ったこと、イヤな思いをさせること、それを思いつかないで悪気はなかったなど通用しない話である。

「僕は先生を認めているよ?僕だけじゃないか。先生を可愛がっているのは。僕だけの先生なんて、名誉なことじゃないか」
「私は塚越くんのペットじゃない!迷惑よ!」

 『希沙』を拒む『洋平』。身体は奪われても精神だけは自由であり続けたい現れなのか――それすら独占したい欲が『希沙』の中にはある。

「先生と一つになりたいんだ。いいえ、今は僕が先生なんだ。だから僕の方から先生を襲えばいいんだ!」
「な、なにするのよ・・・?やめて――!」

 『希沙』が『洋平』に襲いかかる。もつれるように倒れ込んだ『洋平』の上に『希沙』が跨ったのだ。

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「いい加減にして!!」

 洋平に対する怒りが最高潮に達した希沙は、『名刺』の誤認認識能力を乗り越えてきたのだ。洋平が驚き、子供のように慌てふためく様子が見えた。

「先生、意識があるの?」
「今度変なことをしたら、絶対許さないから!洋平くんにキツイお仕置きしてしっかり更生させるから」

 やはり、先生という立場、生徒を叱ることだってしなければならない。
 生徒は先生には勝てないのが道理。なんでも好き放題にやっては学級崩壊を生んでしまう。
 先生として強さを示す必要があるのならと、希沙は初めて洋平に手を上げようとした。

「―――っ!」

 覚悟を決めて洋平に平手打ちが飛んでくる――刹那、洋平は『名刺』を取り出した。

「なにをするつもり?」
「・・・意識があるのなら面白いものを見せてあげるよ、先生」

 洋平も本当ならするつもりはなかった。『希沙が手を出してくる』のなら、こちらも覚悟を決めて対峙しなければならない。
 すべては自らのお楽しみのため――
 洋平の『名刺』が光り、眩い光が教室内を照らす。夕焼け空よりも眩しい光に包まれる希沙の目の前には、一枚の『名刺』が身体の中から飛び出してくる。

「『名刺』は交換する道具だ。・・・先生の『名刺―カラダ―』は僕が貰ったよ。だから、先生には僕の『名刺―カラダ―』をあげる」
「なにを言ってるの!?塚越くん――――つ・・・・・・」

 『名刺』の説明を流暢にこなす洋平からも『名刺』が自らの浮かびあがる。『名刺』は勝手に交換され、希沙の『名刺』が身体から放れていった。そして自らの名前を示す『名刺』を受け取った希沙は眩暈を起こして気を失ってしまった。


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 放課後、希沙は洋平を生徒指導室に呼びだした。
 楽しい放課後に先生からの呼び出しを受けて洋平は面白くない。ムスッとした表情でぶっきらぼうに先生に対して「なんですか?」と尋ねた。

「・・・・・・塚越くんが持っている、妙な『名刺』のことなんだけど、あれ誰にもらったの?」
「わかんない。知らない女性」

 知らない女性と言うフレーズに希沙の表情が険しくなる。

「先生、知らない人からものを貰っちゃダメだって言ってるよね?もしこれがお菓子で塚越くんがお菓子につられてどこか知らない場所に連れていかれたら、先生どうしたらいいの?」

 口を酸っぱくして言っていることを聞かない洋平につい怒鳴りたくなってしまう希沙。今は生徒指導室で洋平しかいない。手が出てもなんの不思議もなかった。

「先生に『名刺』を預けなさい」
「ヤダ!」

 強気に出た希沙が洋平の手から『名刺』を奪おうとする。洋平が拒むと遂に希沙も怒りが込み上げてきた。

「いい加減にしなさい!その『名刺』のおかげで私は何度も大変な目にあわされたんだから!」

 マネキンにされ、売春婦にされ、男性にされ、すべて痴態を曝されてきた。
 恥ずかしいと通り越して汚点であり、希沙には我慢できなかった。くんずほぐれずの状態で洋平の掌と重なり『名刺』を奪い取ろうと必死になっていた。

「そんなこと言って、先生が『名刺』を欲しいだけでしょう?あげないよ!これは僕のものだ!」

 洋平も男として負けられない。例え年齢が希沙の方が上でも、必死に食らいつこうと『名刺』を放さない。
 結末は――

「あっ――!」

 洋平が『名刺』を奪われる。名刺ケースに入った『名刺』の束を希沙に奪い取られたのだ。

「これは先生が預かります。・・・・・えっ!」

 表情がほっとしたのお束の間――希沙の動きが鈍る。ビリビリと身体に電流が流れたと思うと、希沙は一歩も動けなくなってしまったのだ。

「なに?身体が動かない?」

 重い身体。膝をついて膝立ちの状態で佇む。自分でなにをしているのか分からない。『名刺』がポロリと落ち、洋平の手の中に戻ってニンマリと笑った。

「先生がきっと『名刺』を奪いに来ると思って保険をかけていたんだ。これで先生は僕の『肉便器』だよ」

 希沙に見せつける『名刺』には、『肉便器』と書かれた文字が書かれていた。『名刺』に描かれたものになってしまい、希沙は受け取ってしまった。
 一気に希沙の顔が真っ青になった。

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「今日の授業かったるかった」
「金鉄―きんてつ―先生、マジ硬すぎ。宿題忘れただけで廊下に立たされるかよ、普通?」
「体罰もんじゃね?訴えれば勝てるんじゃね?」

 洋平たちは休み時間になって廊下を愚痴をこぼしながら歩いていく。

「でも、仕方ないだろ?授業忘れる雅喜が悪いんだし」

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 そういうのは洋平たちの仲間に加わった桃成希沙だ。しかし、その様子はどこかおかしく、口調も普段と違い、まるで洋平たち男性口調に思えた。

「なんだよ、やっぱりおまえ先生の肩を持つのかよ?」
「別に持ってるわけじゃねえよ。悪いところがあったと思うからそこを指摘してるだけだろ?世の中には勉強したくてもできない人がいるんだぞ!そういう人たちのためにも宿題なんて忘れちゃいけないんだぞ!」
「・・・・・・はぁ。やっぱり先生は先生か」

 三人は同じ溜め息をついて希沙を見つめた。

「なんだよ、俺の顔になんか付いてるか?」

 今の希沙は洋平達と同じ年齢にまで下げられており、性格も男性になっている。
 洋平達には希沙の姿が先生の姿のまま立ちつくしているように見えるが、他の生徒や先生には洋平達と同じグループに属する男子生徒にしか見えないのだ。
 だから、希沙の口調のことを誰も咎める人もいない。親しくしていた葛西先生ですら希沙のことを黙って通り過ぎていた。

「ぼく、トイレ」
「おれもトイレ」
「じゃあみんなで連れションだ!」

 そういうと三人は廊下の奥にある男子トイレに立ち寄った。

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 洋平は琉と雅喜を仲間に連れて退屈な美術の時間を過ごしていた。
 絵の才能も芸術も知らない洋平たちにとって、なにを描けばいいか分からない。
 空は青の絵の具一色で塗りつぶすほどの実力しか持たないのだから当然である。

「ねえ、才能もいらないから早く『名刺』の能力で遊ぼうよ」
「また先生で遊ぼうぜ~」
「そうだね。先生をどうしようか」

 希沙を標的にした視線を受け、まるで呼ばれているような気がした希沙が三人に近づく。
 決して好きじゃないとはいえ、『先生』として『生徒』を放っておくことが出来ないのだ。

「そこの三人、なにを描こうとしているの?」

 希沙が三人のキャンバスを覗くとまだ何も描かれていなかった。他の生徒たちは好きに絵を描き始めているのだ。スタートに立ったままの三人にピッチを上げるように促した。

「なんでもいいのよ。一本松でもいいし、彫刻でもいいのよ。なんでも好きなものを描いて感性を豊かにしなさい。あなた達は普段何を見ているのかしら?」

 希沙の優しい声に三人の視線が注がれる。先生を見つめる生徒の純粋な瞳が希沙は好きだった。

「先生っ!」

 雅喜の声に希沙は驚く。

「私を書くの?いいけど、私だって動かなくちゃいけないから大変よ?静止しているものの方が描き易いわよ?」
「ええ~。先生を描きたいの!」

 駄々をこねる琉に手を焼く。

「困ったわね」
「じゃあ、先生。しばらくの間、止まっててよ」

 突然洋平に渡された『名刺』を条件反射にもらってしまった希沙。『名刺』に描かれた文字を見てしまう。

「・・・・・・マネキン・・・?ひぅ――!」

 希沙の全身が強張ると瞳に光が失っていく。そして、突如希沙の身体が崩れ落ちた。自分の体重を支えることなく、まるで糸の切れたマリオネットのように地面に転がった。

「せ、先生!大丈夫!?」
「・・・返事がない。ただの屍のようだ」
「屍じゃないよ。マネキンだよ。先生は僕たちのマネキンになったんだ。これから好きなポーズ取らせて絵を描こうよ」

 洋平は悪気もなく崩れる先生を起こそうと奮闘していた。雅喜がそれに続き希沙の服を脱がせ始める。琉はそれを眺めていたものの、自分も欲望の求めて加担することに決めたのだ。



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 塚越洋平が不思議な『名刺』を手に入れたのは先日のことだ。

「ねえ、きみ――」

 少女だった。洋平と同じ年にも見える子供っぽい子だった。
 いつから玄関先にいたのか分からない。チャイム鳴らして入らなかったのだろうか。

「きみでいいや。『名刺』いる?」
「めいし・・・?」

 洋平はこの時は『名紙』と書くと思っていた。

「アハハ・・・きみ、いい線行ってるよ名医師と書かないだけ耳が良いよ」
「それは耳が悪いでしょう?「い」を二回聞いちゃってるじゃん」
「迷意志と捉えないだけマシだよ。『名刺』の説明のし甲斐があるってもんだよ」
「それだだの挙動不審じゃん」
「迷遺志」
「死んじゃってるじゃん!」

 どうして少女のボケに付いていかなければならないのかわからない。洋平は『名刺』すら貰わないまま立ち去ろうとしたが、少女は――

「どうして無視するかなぁ?」
「きみのボケに付き合うほど暇じゃないんだ」

 子供は遊ぶのが仕事だ。ゲーム機でめいいっぱい遊んでいる洋平は仕方なく少女に付き合ってあげているのである。

「・・・子供なのに?」
「きみだってそうだろう?」
「ボクはこう見えても働いているんだ。だから今も営業中なんだよ」
「…………なんか、ごめん」
「どうしてそんなこというかなぁ?」

 娯楽を仕事と言ってなんか悪い気がした洋平だけど、少女はそれほど気にしていない様子だった。
 少女は働いているというより、仕事が遊びみたいなものらしい。
 それを思えば逆に羨ましかった。

「で、本題に入るけど・・・この『名刺』に――」

 少女の話を聞いて分かったことは、この紙に相手になりたいものを書けば、相手はそれになってしまうという。

「『なりたいもの』って、わかんないな。ざっくりすぎるよ」
「そんなに驚かなくてもいいのに~」
「びっくりはしてないよ!」
「ひええぇ!!きみ、この話を聞いても驚かないなんてボクがびっくりだよ!」
「きみの説明が伝わらなかったんだよ!」

 というより、少女の驚いた顔がシリアス描写でむしろ可笑しい。

「きみ、ほんとうに営業?」
「営業だよ・・・・・・ん、営業?・・・えい、ぎょ・・・・・・?」

 急に少女の口が籠り始める。

「なんでそこで困るんだよ?」

 まるで自分が営業だったのか、疑い始め、なにかを思い出したように少女がはっとした。


「そうだ、ボク、思い出した・・・・・・」

 とても大切なことを忘れていて、思い出してしまったことな重大な事件。
 少女が利用されていたのか、少女は洋平に向けて潤んだ視線を投げかけた。

「ボクね、実は・・・・・・」
「うん」
「宇宙人なんだ」

 洋平が冷たい視線を突き刺した。少女が何事もなかったように姿勢を正した。

「・・・・・・どうしてそんな顔するかなぁ?」
「元からこんな顔でごめん・・・っていうか、その発言酷くない?」

 笑いすら起きない。つうか、笑えない。

「あらっ、洋平。お客さん?」

      
ムチムチママ

 長々話をしていたせいか、母親の聖子―まさこ―が顔を出した。少女が奥から出てきた。聖子に軽く会釈をして洋平に小声で尋ねた。

「ママ?」
「そうだけど?」

 それを聞くと、セールストークを洋平から聖子に変えるように少女は洋平を退けた。わかっているが洋平は面白くなかった。

「酷くない?」
「初めまして、お母さま。いつも洋平くんのお世話になってます」
「どうしてそんなこと言うかなぁ!?」

 嘘800である。『いつも』ってナニ?誤解されるようなことばっかりである。
 それでも聖子は少女の礼儀正しさに驚いていた。

「まぁ。可愛い子ね。洋平のお友達?」
「ううん。初めて会った子」

 聖子が洋平に顔を見合わせた。そのタイミングにすかさず少女は懐から『名刺』を取り出した。

「申し遅れました。お母さんはこういうものです」
「きみの紹介じゃないんだ」

 聖子に『名刺』を渡す少女。大人の条件反射のように受け取った聖子が名刺に描かれたことに目を向けると、

「ひぅ――!」

 急に全身を震わせた。『名刺』になんて書かれていたのか分からない洋平は不思議そうなひょうじょうで聖子を見た。

「お母さん?」

 呆然としていた聖子が潤んだ目で洋平を向く。なにがあったのか訪ねる前に、聖子が口を開いた。

「洋平?あなた、ミルク、欲しいんじゃない?」
「へ?」

 あまり今の内容と繋がっていない会話だ。しかし、喉が渇いていないといえば渇いている。少女と話していて思った以上に叫んでいた自分がいたのだ。

「まぁ、この子と話していると喉が渇いてくるけど、水でいいよ」
「じゃあ、ちょっと待ってね」

 水で良いと言っているのに、喉が渇いているという部分で聖子は勝手に決めてしまう。
 突然服を脱ぎ始めた聖子に洋平がびっくりしてしまった。その様子を少女がニヤニヤと見つめていた。

      
むち・・・

「なんでお母さん脱いでるの?恥ずかしいよ!」

 洋平の話を聞かず、上半身を次々脱いでいく。茶色の透けた大人のブラを、ホックを外して取り去ると、聖子の大きな乳房がぶるんと前に飛び出してきた。解放された乳房がプリンのように揺れている。
 子供といえど、洋平は聖子の裸を長らく見ていない。
 性に目覚め始めたばかりの洋平にとって聖子の乳房はおかずに匹敵する形の良いものであった。

「んっ・・んっ・・」

 聖子は玄関先で自分の乳房を弄り続ける。乳首をコリコリと指の二区で転がし、乳房を掌全体で包み混むように揉んでいる。そうすると、乳首がプクッと大きく勃起してきて、不思議なことに聖子の長らく出ていなかった乳首から母乳がつぅっと溢れ出てきたのだ。

「さあ、洋平。私のミルクを飲みなさい」

 それを不思議としない聖子が乳房を持ち上げて洋平に近づいてくる。
 赤ん坊をあやす様に洋平の口にまで乳首を差し出すのだ。

「ええ、お母さんのミルク飲むの?」
「濃厚できみだって飲んでたんでしょう?」
「ずっと昔で覚えてないよ・・・」

 それでも、なんだろう。
 洋平に向けられた聖子の母乳を飲みたいとおもう自分がいた。興味本位。決して変態行為じゃない。少女がいるけど、知っている奴にばれなければ飲んでみたいという欲望に駆られてしまう。
 洋平が口を開けて乳首を歯に宛がて甘噛みしてやると、母乳は喉の奥に噴き出すように飲みこんでいった。

      
母乳UMEEE!

 
「ちゅっ・・ちゅぱ・・・ごく・・ごくっ・・・」

  聖子が洋平の頭を抱えて押し付けてくるので、聖子の大きくて綺麗で柔らかな乳房が洋平の顔を埋めながら飲んでいる。

「ん・・あふぅ・・・はぁっ・・・」

 漏れる聖子の甘いため息。胸の先から快感がひろがっているのか、表情を高揚させていく。

「ちゅぅ・・・ちゅぅ・・・ちゅぅ・・・」
「んっ・・はぁ・・・うぅんっ・・・」

 頭がぼぉっとしているのか、洋平は夢中になって乳首にしゃぶりつき、母乳を存分に飲みほしていった。
 誰かに見られたら恥ずかしい親子での赤ちゃんプレイ。
 それなのに、聖子の乳首は硬くとがって、洋平の舌の上で自己主張しているのだ。
 さらに聖子の甘い吐息が耳をくすぐり、性に目覚めたばかりの洋平の理性を崩していく。

「ちゅ、ちゅぅ・・んぷ・・・ちゅ、ちゅぱちゅぱ・・・」

 知らない間に聖子のもう片方の胸に手を宛がっていた洋平。胸を揉んで柔らかくて温かい乳房の感覚を味わっていた。舌の上で踊るとがった乳首。お母さんの母乳を飲んでいる事実に興奮する洋平だった。

「はぁ、はぁ・・うぅんっ・・・!」

 洋平が乳首から口を放すと、聖子は興奮した声おあげていた。乳首が洋平の唾液に塗れてテカテカに光っていた。そんな聖子の姿に僕の逸物がズボンの奥で強調性をみせていた。

「濃くて・・・薄い味なんだね・・・」
「牛乳なんて本当はそんな味だよ。飲みやすいようで味を変えられているんだから」

 あっけらかんと少女は洋平に伝える。洋平は我に返ったように少女に聖子の急変した様子を問い始めた。

「って、なんでこんなことになっちゃったの?お母さんになにしたの!?」

 少女が聖子に渡した『名刺』を見せる。そこには、丸文字で『ミルク』とだけ書かれていた。

「『名刺』で、きみのお母さんをミルク製品に変えちゃったんだよ。ミルクを好きな時に飲ませてくれるんだ」
「そんなことできるの?」
「名前は自分じゃ変えられない尊いもの。名を刺すんだからそれくらい出来て当然だよ」

 『名刺』に描かれたものに相手をさせてしまう。『ミルク』となってしまった聖子は再び――

「洋平。ミルクいる?」

 ――そんな問いかけをかけるのだ。母乳が出てくるのもうなずける。『ミルク』になったのに出てこなかったら捨てられてしまうのだから。

「ちなみに、きみのお母さんのミルクがなくなってきたら、補充してあげれば良いよ」

 少女が『ミルク』の補充を教える。そんなことできるのかと洋平は初めて少女の話を聞きいった。

「補充ってどうやって?」
「どうって、穴から注いであげれば良いじゃないか」

 聖子の開いている穴から注ぐって、ナニを注ぐのだろう――。
 洋平は自分の予想に期待しながら、少女は応える様に口を開いた。

「きみの精液を」

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 桃成希沙―ももなりきさ―はようやく新人研修が終わり、一人前としてクラスを受け持つことが出来るようになった先生だった。

「当初は癖のある授業をすることが多かったきみだが、最近になってようやく落ちついてきたと思う。明日からは一つクラスを預けてみてもいいだろう」
「本当ですか!」
「うむ。私ももう年だ。子供たちの面倒は若い世代に引き継ぐことにして、私は老後に備えることにしよう」

 こういっては何だが、今まで希沙を教えていた老人の葛西―かさい―先生には、副校長の声がかかっていると噂になっている。生徒から学校の面倒を見ることにしたのだろう、いずれにせよ、希沙にとっては偉大な先生であることに変わりない。

「クラスは引き続き一年一組でいいかのぅ?」
「ええ。もちろんです。悪ガキばかりで手を焼きますが、これからは自分の手であやしていきたいと思います」
「困ったら儂もおるんじゃから、そう力まずに頑張りなさい」
「そうですね。色々と面倒を見てくださりありがとうございました。これからもご指導ご鞭撻をよろしくお願いします」

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 しばらく談笑しながら時間をつぶして希沙は指導室を出ていった。すると、とっくに下校時刻が過ぎて夕暮れにさしかかっているというのに、一年一組の男子生徒三人が希沙の前に飛び出してきた。

「先生――っ!」
「あなた達!この時間までいったいどうしたの?」
「先生!これから僕たちの先生になるんでしょう?」
「聞いてたの?」

 早速噂になっているのか、びっくりしながらも生徒たちのにこやかな笑顔は悪いものではない。

「おめでとう!先生!」
「おめでとう!」

 祝福し、歓迎してくれる生徒たちに希沙も笑顔で「ありがとう」と返した。ようやく先生として一人前になったような気分だった。これから生徒たちとの交流を深めて仲良く一年間を過ごしていき、三年間で絆を築きあげて卒業式まで見守ってあげたい。その為にこれからさらに親睦を深めないといけないと希沙も意欲をみせていた。

「ほらっ、もうこんな時間よ。早くお家に帰りなさい!」

 生徒たちを無事に家まで届けることも先生の役目である。遅くまで学校に留まらせていたら親御さんが心配してしまう。希沙は生徒たちを返すよう口調を強めたが、生徒たちは未だ渋った様にその場に残った。
 なにかを企むその含み笑いに、希沙は敏感に感じ取る。

「その前に先生!『名刺』もらった?」
「『名刺』?」

 先生になるために名刺はいらない。それこそ副校長や生徒指導員という特別手当がなければ名刺を貰う機会などない。希沙は名刺を持っていなかった。

「いいえ、貰っていないわ」
「じゃあ、僕たちが先生に『名刺』をあげるよ!」
「いいわよ、そんな『名刺』だなんて」

 そう言いながらも引っ張られるように誰もいない教室へと入っていく。
 生徒たちが『名刺』など知っているのかも疑わしい。画用紙に希沙の名前が入った手書きの名刺が妥当だと踏んでいた。しかし、これは生徒の中で交わす儀式のようなものだと思う。
 これをすることで生徒の中で自分が先生として認めてくれるのなら、希沙も喜んで受けることにしよう。

「(時間も対してかからないはずだしね)」

 教壇の前でまるで校長先生のように咳ばらいをし、卒業証書を受理するように一枚の『名刺』を手渡す。

「桃成希沙先生」
「……はい(普通立場逆じゃない?)」

 そう思いながらも希沙は『名刺』を丁寧に受け取った。彼らの書かれた名刺は紙がしっかりしているものの、やはり手書きでかかれた『名刺』であった。
 綺麗とは言えない字で書かれていた自分の名前に苦笑してしまう。やはり子供に作法などは分からないだろう。
 だが、その『名刺』に描かれた職業を目に通した時、不審な点を発見した。

「あの、塚越―つかこし―くん。これってどういうこと?」

 教壇の前に立つ一番のリーダー格、塚越洋平―つかこしようへい―に訪ねる。自分の職業の場所には、先生ではなく、『娼婦』と描かれていた。意味が分かって描いたのだろうか?酷い侮蔑的な意味を含んでいることに希沙は『先生』として怒らなければならないと思った。

「この意味分かって使っているんですか?先生が『娼婦』って、どういうことです?」
「どうって、言葉通りですよね。先生?」 

 先程までの可愛さがなくなり、だんだん憎たらしくなってくる。
 先生にこんな『名刺』を作って悦んでいると思うと、腹が立ってしまう。

「いい?わたしは年上であなた達より長く生きているんです。目上の人を気遣い、思いやりを自分の中で作りなさい。そうしないと社会に出た時、あなたは本当に一人になってしまいますよ?いいの、それで?友達も助けてくれないわよ?」
「クスクス、また始まった」
「説教だよ。いやだねぇ」

 『先生』としての助言も聞かずに、むしろ希沙が助言を促すのがお角違いと言わんばかりにヒソヒソ話をしている。その態度が希沙も気に食わない。

「あなた達ね――!」

 希沙が爆発しそうになったところで、洋平がお金を投げた。それは百円だった。希沙の目が丸くなった。

「それで僕たちだけの特別ショーをやってよ」
「なんで私がそんなこと――!」

 お金で身体を売るほど希沙は落ちぶれていない。怒りが込み上げて口に出ようとした時、急に希沙の心の中で何かが反転した。
 お金でまわりが見えなくなり、世の中すべてお金が一番に思えてくる。
 たった百円、希沙に投げられた1コインがもの凄く欲しくなり、そのためなら身体を売ってでもよくなってきてしまった。

「・・・・・・いいわよ。じゃあ、ちょっとだけよ?」

 色っぽい声で机に座った希沙が、ゆっくりとボタンに手をかけた。

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