純粋とは矛盾色-Necronomicon rule book-

夢と希望をお届けする『エムシー販売店』経営者が描く腐敗の物語。 皆さまの秘めた『グレイヴ』が目覚めますことを心待ちにしております。

カテゴリ:グノーグレイヴ『感度操作』 > 電波『シスプレ攻略のテンプレ』

 ちょっと待ってと待たされてから10分は経過している。
 決心がついたと言うのに、その想いは時間と供に薄らいでいく。
 妹がせっかく背中を押してくれたと言うのに、いったいこれはどういうことなのか――

「・・・・・遅いぞ、夜艶ぁ・・・・・・?」

 と、ようやく待たせていた妹が登場した。今まで見たことのない格好をして、手には今まで見たことのない大きな黄金の杖を持っていた。

      
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「……なに、その格好?」

 俺が声をかけると夜艶が恥ずかしそうな表情をしていた。
 
「コスプレ・・・。裏葉祓―うらはらう―」

 裏葉祓とは既に廃販された『ゲーム』の登場人物で、神奈備という神に仕える魔法使いで、まだ声優として開花する前の茨蓮花が起用された、マニアなら喉から手が出るほど欲しい作中の人気キャラって、ええええええええええええ!!!?

「おまえ・・・、コスプレに興味あったのかよ!?」

 まさか、また『シス☆プレ』の別人格ってことはないよね?と、疑惑の目でつい見てしまうが、夜艶が小さくコクンと頷いた。
 そんな趣味があったなんて知るわけもなく、俺ですらネットでしか見たことないキャラを見事に模倣した出来栄えのキャラで登場した。杖なんか本物さながらで、凝った作りをしている。
 生地も一から作っているのだろうか、ナイロン生地のマントと帽子の完成度の高さに手先の器用さがうかがえる。

「・・・・・・・・・毎日、こんなことしてたの?」
「他にも何着かあるの。誰にも言ってない、私だけの秘密……」

 まさかコスプレが趣味だったなんて知らなかった。それを兄の俺に伝えてくるなんて――

「でもね、コスプレに興味ある人って結構いるんだよ。先月なんてハロウィーンだったし、多くの人たちがコスプレの格好して町を一緒に歩いたんだよ?あっ――――」

 俺は夜艶に抱きつきながら、そのままベッドへ倒れ込んだ。ベッドに沈んだ夜艶が緊張と期待を重ねた表情で俺を見つめていた。
 せっかく作ったコスチュームだけど、今の俺の前に着てきたってことは、つまりそういうことだろう。

「服、皺になるかもしれないけど、いい?」

 俺は一応確認をする。夜艶が小さく息を飲んだ。

「・・・いいよ。きっと、もう着ることはないと思うから」

 やっぱりコスチュームを作っても、着る機会は一度だけなのだろう。自分の自己満足と達成感に浸りながら二度と着ることもなくクローゼットに仕舞われていく。
 それはきっと悲しいこと。でも、悲しみの先には次のキャラになりきる為に衣装を再び作り始める。
 『ゲーム』の登場人物になりきり、衣装まで仕上げる。
 意欲。やる気。
 明日への活力を生み、未来への希望を産む。それが――『ゲーム』。
 この社会に『ゲーム』は必要だ。
 夜艶のような女の子がきっと世界にはいるはずだから。

「それに、お兄ちゃんだってこういうの、好きだと思うし」
「なに?」
「ううん、なんでもない!」

 ボソッとつぶやいた夜艶だが、俺はしっかり聞こえていたぞ。
 大好きだ。
 そのゲームのキャラクターを抱いているみたいで、たまらない。しかも――

「あぁ・・・」

 マントの上ボタンだけを外して胸をさらけ出す。夜艶は胸がでかい。コスチュームのマントの奥は身体を締めつける白いコルセットになっているのか、溢れんばかりの乳房がマントの隙間から零れおちてきた。
 乳首は既に触らなくてもピンと立っていて可愛らしい。緊張しているのが丸見えである。
 俺が乳房を左右から寄せてみると、左右の胸がぶつかって大きく揺れた。それを何度か繰り返すと、夜艶の吐息が大きくあがった。

「はぁ・・・お、にいちゃん。私の胸で遊ばないで・・ふぁぁ・・・」
「少しくらいは良いだろう?夜艶には感じてもらわないと困るからな」
「お兄ちゃんったら・・・」

 くすりと笑って目を閉じる。俺たちは再び自然と顔を近づけキスをした。
 今度は俺の方から舌を差し出し夜艶を招き入れる。

「ふぅ・・んっ・・・ちゅ、ちゅくっ・・・あはぁ・・はっ・・ぁぁ・・・」

 夜艶の甘い声が耳たぶを撫で、舌の感触が交わる度に快感を生み出す。
 キスをしながらも乳房への愛撫を怠らない。勃起した乳首を摘まんで人差し指と親指の肉で強く潰してみると、夜艶の身体が一瞬硬直したのがわかった。
 痛かったかもしれない。でも、その痛みは一瞬ですぐに快感を生み出す魔法になる。

「んん・・・ふぅ・・んふっ・・・はぁん・・・」

 目を蕩けながらも次第に大胆になっていく夜艶。夜艶の方から身体を求める様に抱きついて放さない。胸を潰して俺の胸板に押し付けると、俺もまたその柔らかい感触に酔いそうになる。
 互いが互いを求めあう。俺は夜艶の穿く短パンを脱がした。黄色い短パンが夜艶の脚を滑り下りていくと、白くて細い下半身が丸見えになった。無駄のないお肉、毛の生えていない生足だ。俺がその足を見上げていくと、脚の付け根にある夜艶の大事なところを覗きこんでいた。

「濡れてるな・・・」

 パイパンの夜艶のアソコを指で軽くなぞってみると、とろりと愛液が染み出してくる。俺の指に付着した夜艶の汁に、何度か指で入口付近を弄ると、くちゅくちゅと淫らな音が卑猥に響いてきた。

「あっ・・ああ・・・おにいちゃん、それ、だめえ・・・・・・」 

 感じている夜艶は敏感に反応してしまう。きっと入口をなぞられるのが弱いのだろう。くすぐったくも気持ち良い愛撫に表情を蕩けてベッドに沈む夜艶に、俺は自分のいきり立った逸物を見せつけた。

「わあっ・・・・・・おっきい・・・・・・」
「夜艶がこんなにしたんだぞ」
「そうなんだ……」

 満更でもない表情でうっすら微笑む。俺の逸物も先端が若干濡れており、いつでも準備は万全な状態だ。夜艶の入り口に逸物を宛がうと、夜艶は入れやすいように腰を浮かせてくれた。

「よつや・・・・・入れるぞ」
「んっ・・・・・・んんんっ――!!」

 ぶちゅっと、俺の逸物が夜艶の膣内に挿入した途端、体内に侵入してきた異物に反応を示したようにぐいぐいと逸物を締めつけてきた。
 無理もない。夜艶の膣内は俺の逸物では狭すぎたのだ。キツキツに締めつける膣内に夜艶の表情が険しくなり、奥に進めば進むほど逸物が膣壁を抉っていく感触が続いたのだ。

「ふあっ・・ああっ!・・・んんっ、くふぅ・・・うっ・・ああ・・・」

 泣きそうな高い声。表情が歪んで涙がにじむ夜艶。なんだか可哀想で俺は一度進むのを完全に止めてしまった。

「大丈夫か?」
「――――――っ!」
 
 頷いては見せるものの、逆に声も出ないほどの苦痛に耐えている証拠だ。

「大丈夫だから・・・もっと奥まで、お兄ちゃんのおち〇ぽいれて欲しいの」
「・・・・・・わかった」
「ふぎっ!」

 俺は夜艶に応えるためにも奥へと行動を再開した。突き動かす逸物が膣壁を抉り進んでいく。膣内にある無数の触手が逸物に吸いつく感覚がたまらない。
 防衛本能で粘液がさらに溢れ、膣内は充満していき、逸物をぐちょぐちょに濡らしていく。そのおかげもあって、俺の逸物は遂に夜艶の奥にまで到達した。
 コツンと当たる感触があった。ここが子宮口だ。

      
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「ああんっ!」

 パンパンに膨らんだ夜艶のお腹。俺の逸物が完全に入って、根元から先まで見えなかった。夜艶の体内は温かくて気持ちいい。俺は思わずため息をついてしまうほど感激していた。

「ふああっ・・あ、あんん・・・」

 震える夜艶の声。
 苦痛を乗り越えて若干余裕が生まれたのか、吐く息にも再び甘さが戻ってきたように思えた。俺を見る夜艶の表情は、兄ではなく、一人の男性として身を任せている安心感に映って見えた。俺もそうだ。夜艶を妹ではなく、一人の女性として守りたいと思って見ているのだから。 
 だから、優しく傷つけることのないようにゆっくりとピストン運動を開始した。
 くちゃっという濡れた水音が響き、大きく腰を引いた後で再び奥へと一気に突き刺す。腰と腰がぶつかり、空気が破裂した音が耳を突いた。

「くああっ!」

 目を見開いて衝撃と振動にぶるぶる身体を震わせる夜艶。きっと軽く絶頂したのだと思った。夜艶がイっている間にもさらに腰を動かし続け、何度も奥へと逸物を挿入していく。

「はっ、あっ、あっ・・ひんっ・・・うっ、くふぅ・・、はっ、あぅ・・」

 途切れ途切れに漏れる夜艶の喘ぎ声。夜艶が上下に振れる度にコスチュームが乱れて皺を作る。腰がぶつかる度にずしんと響く快感に脳が麻痺して俺に目で合図するのだ。シーツをぎゅっと握って我慢しているのに、俺にだけは喜ばせる様に笑みを浮かべてくれるのだ。

「き、きもち、いい・・・・あたまがまっしろになっちゃう――」
「はぁ・・よつや・・・ああ・・!」
「おにいちゃん、いっしょに・・・イこう・・。わたしも、もぅ、どうにかなっちゃいそうなの」
「ああ・・・、あっ、うああ!」

 夜艶の膣内がまた狭まった。夜艶がイク度に逸物をぐいぐいと締めつけてくるので、俺にも余波が襲いかかってくるのだ。
 もう、どうにもなりそうもない。夜艶と一緒にイク・・・俺は大きく腰を引いた。

「あああああ!!イク、イク・・・いっくうううううううう――――!!」
「よつやあああ!!ああああ――――!!!」

 頭が真っ白になった瞬間、俺は夜艶の膣内から出した逸物を、コスチュームに身を包んだ夜艶めがけて性欲を吐き出させていた。
 熱く滾った精液が夜艶を汚し、白く染めていく。夜艶の着たコスチュームにまで飛び散っており、濃く変色している箇所が生まれていた。

「はぁ・・はぁ・・あんっ・・はぁ・・・」
「あっ、ああ・・夜艶・・・大丈夫か・・・?」

 俺が心配すると夜艶は気を失いそうになりかけながらも、脱力した身体で首だけを向けて頷いて見せた。
 疲れ切った身体でお互い動くこともできないながらも、俺たちは確かに繋がった。
 切っても切れない関係。それは姉妹の絆よりも深かった。
 俺たちは今日から分かり合えたのだ。


「夜艶?あなたさっきからなに部屋でやってる・・・の・・・・・・?」

 ガチャッと扉が開く。俺たちは一瞬で顔だけを向けて扉の奥から覗く人物に危機感を持った。

「はっ!お、おかあさんんんんん!?!?!?」
「開けちゃダメえええええええ!!!!」

 全身が警告を鳴らす。扉が完全に開かれ、母さんがベッドで裸になる俺を見て、顔を真っ青にしていった。

「なに・・・してるの・・・・・・?」

 最悪の状況。母さんが俺を見て、この状況を見て、どういう風にとらえたのか分からない。
 扉の前で崩れ落ち、いきなり泣き喚いた母親に、俺の声は愚か夜艶の声も届かなかった。


 ・・・
 ・・・・・・
 ・・・・・・・・・

 その日の夜。
 両親と俺の家族裁判が急遽執り行われることになった。
 母親から父親に一部始終を伝えたらしく、紆余曲折もあったのだろう、最初にされたことは殴られたことだった。

「おまえは妹に何をしたのか、わかってるのか!?」
「わかってるよ。でも――」
「最低よ!夜艶を穢して・・・あああっ!!」

 夜艶を好きだと言ったところで、妹である以上通じないのは分かっている。
 俺は一線を越えてしまった。その罰を受けているんだ。
 そう割り切るしかない。・・・いい訳なんかなんの意味も持たない。母と父からの罵詈雑言、阿鼻叫喚に狂った地獄絵図が小一時間に渡り繰り広げられた。
 最初からわかってた。やってはいけないことだと知りつつも罪を犯してしまった。
 必死に耐え凌いで、精神的、肉体的にもボロボロにされた俺に、最後は判決が下された。

「・・・それでもおまえはうちの子だ。大学だけは出なさいといけないな。・・・・・・だが、四年間終わったらマンションを借りて働いてもらう。そして、金輪際夜艶との接触は禁止する」
「――――っ!」

 夜艶との接触を禁止ということは、家に帰ってくるなということ。
 一人暮らしで自分の自由気ままに生きることを望んでいた俺が、もの凄い衝撃を受けていた。

「待って!!!」
「夜艶・・・」
「お兄ちゃんは悪くないの!私がいけないの!私がお兄ちゃんを誘ったの!私が罪を受けるわ!だから、これ以上おにいちゃんを叱らないで・・・・・・」
「黙っていなさい、夜艶」
「でも――!」

 夜艶の言葉も届くはずもない、分かり合えるのは当の本人たちだけ。
 夜艶の必死の説得を目の前にして、俺は心が洗われるようだった。
 俺と夜艶は繋がっている。
 それは例え遠く離れていても、決して途切れることはない。

「・・・・・・いいんだ、夜艶」
「おにいちゃん!?」

 夜艶が息を飲んだ。
 諦めたのではない。覚悟を決めたのだ。
 俺は両親の前で深々と頭を下げた。

「・・・ありがとうございます、大学に出させていただいて・・・金輪際、夜艶には近づきません。申し訳ございませんでした・・・・・・」

 俺は両親に堅く誓った。

 人生はゲームの様にうまくいかない。やりなおしが効かない上に難しさは最高レベル。
 失敗の連続こそが人生だ。
 これが俺の夜艶の攻略した結末か。

「・・・最悪のバッドエンドじゃねえか・・・・・・」

 部屋に戻った後で、俺は一人でガチで泣き続けた。


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 世の中は、『ゲーム』で溢れている。
 画面の中でキャラクターになりきるRPG。シナリオを進めて回春するAVG。
 オンラインで多くの人が参加して攻略していくMMORPG――。

 彼らはゲームをしていると同時に、『ゲーム』に支配されている――?
 現実世界と仮想現実が曖昧になり、『ゲーム』が影響を与えて事件を引き起こす―?

 『ゲーム』は悪――?だとしたら、この世界は悪で支配されている。
 修正され、粛清されるべきだ。
 そう知りつつも、誰もが無言の了承を下して毎日を過ごしている。

「コスプレ喫茶です~。すぐ近くですからお立ち寄りください!」

 そうやって店のカードを渡してくる彼女も、コスプレの衣装に身を包んでいる。

「ちなみに、このキャラって?」
「お店の看板キャラ、神奈備です~。お店ではコミケで販売したゲームが売ってます~」
「また、『ゲーム』か」
「えっ・・・?」

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 俺は彼女を無視して踵を返した。

「おい、見ろよ。あれって、SIUの茨蓮花―いばられんか―じゃないか!?」
「本物だぜ、マジかよ!今日イベントあったのか!?」
「はっ!拙者忘れてたでゴザル。脚立を持っても撮ること―ベストショット―が出来ない―インポッシブル―でゴザル!」
「見ろよ、あそこに貴明がいるぞ!さすが貴明!今度現像して焼きまわして貰おうぜ」
「でも貴明に頼むとタダじゃないんだよな~トホホ・・・」

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 確かに人だかりの中央は簡易ステージになっており、SIUならぬ声優の一人、茨蓮花がグループの輪で踊って歌っていた。彼女は歌もダンスも上手いが背は小さい。一番皆が撮影したい人物は人だかりに囲まれて俺ですら見ることができなかった。

「えっと、今度12月9日に発売されるゲームで、私たちのファーストシングルが発売されます!是非皆さま買ってください!よろしくお願いします!」
『うおおおおおおおおおおお!!!!』

 大勢の人がゲームの予約に殺到し、グループたちの握手会と供にシングルの予約に走る。
 そんなやり取りが毎日起こっているのだ。


 ――『ゲーム』は悪?ゲームは人生に影響を与える?・・・ああ、それは間違いない。
 良い意味でも悪い意味でも印象を与え、俺の記憶に残る名作がある。
 俺の人生にはゲームのような転換や、未来に飛ぶようなことはないちっぽけな人生だ。
 ゲームになったらクソゲーで、面白さの微塵もない低評価だ。しかも設定は強くてニューゲーム。コンティニューなしのムリゲーだ。
 仲間を助けて悪を倒す、なんて主人公には絶対なれない。今や妹すら悪改造する根源だ。
 でも、――それでも俺は、夜艶の兄なのだ。


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「――あにぃ」

 いつの間にか俺の後ろに夜艶はいた。『ゲーム』に支配された夜艶だ。
 ゴスロリ姿ですっかり町の雰囲気に溶け込んでいる夜艶は、俺を見てムスッとしていた。

「どうしてあにぃは私を構ってくれないんですか?私は夜艶でしょう?」

 ああ、おまえは夜艶だよ。起動した瞬間に、おまえは夜艶となった。それが『ゲーム』の始まりなのだから。
 偽物でもない、本物を奪い取ってしまったからおまえは夜艶と信じて疑わないだろう。
 でも、俺ははっきり断言しなければならない。

「おまえは夜艶じゃない。俺が買った、プログラミングされたデータだ」

 ゲームのROMから現れた、人間そっくりに行動するデータの存在。
 『人間』じゃないことを理解させなければならない。
 はたして伝わるかさえ疑問だが、俺の言葉は夜艶に届いたのか、ぐっと俺の言葉を飲み込んでいた。

「それでいいじゃないですか。私ならあにぃの好きな夜艶になれるのに、それを拒むんですか?あにぃ想いになりますし、あにぃと毎日セックスだってします。それでもあにぃは、会話のない可愛気のない妹を好むんですか?クーデレならぬ、クーがあにぃの好みなら、私が演じてあげますよ?」

 『人間』には不可能なことを夜艶は可能にできる。色々な夜艶をこれからも演じ、毎日、毎週tがった夜艶を楽しめる、そんな日常を提供することが『シス☆プレ』の醍醐味だ。俺も一度味わった快感。病みつきになる前に示さなければならない・・・。
 
「俺は生まれる前から夜艶の兄だった」
「・・・なんの話ですか?」

 夜艶が訪ねてくる。

「俺はなんの取り柄のない兄だ。頭が良いわけじゃないし、コミュニケーションが得意なわけじゃない。平凡で、中の下の存在だ。そんな俺の元に妹は生まれた。俺の元に、『夜艶は妹として生まれてきてくれた』」
「――――」
「俺は先に生まれた。夜艶は後から生まれた。なんの接点もなかった俺たちが兄妹になった。これってもの凄い奇跡だよな?」

 冗談交じりに笑って振り返ると、夜艶は今まで見たことのない表情で呆然としていた。言葉が変換できないように、理解できなくなったことに戸惑う夜艶。当然だ。人間だって『奇跡』を理解できるものじゃないのに、機械が奇跡を理解できるはずがない。

「なにを言っているのか分かりません。確率論ですか?それとも転生論ですか!?」
「そういうことだよ。夜艶はどう思っているか知らないけど、『俺の妹として生まれてきてくれた』んだから、俺が夜艶のことを嫌いになるわけがないんだ。どんなに夜艶が俺のことを嫌いになったって、――俺は夜艶のことが好きだ」

 『ゲーム』のようにシナリオを進めて、好きになって彼女になる――?
 馬鹿か!俺にはシナリオなんて不必要だ。『ゲーム』のような分岐による進展も、人生にメリハリも、攻略本すら一切いらない。

「始めた瞬間に高感度マックスなんだよ!それが夜艶の攻略だ!」

 完全攻略し終わった『シス☆プレ』を箱に仕舞う。そして蓋をして閉まっておこう。
 もう二度とやることはないかもしれないけど、――俺の人生に影響を与えた、印象に残るゲームだったぜ。
 ――『ゲーム』終了。

「わからない!!親に認められないと知っていながら、ゲームクリア!?それのどこがクリアなの!?・・・・・・わからない!?わからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからない―――!!!」

 最後は言葉を羅列に並べた夜艶が急にその場に崩れ堕ちた。俺が急いで駆け付ける。

「夜艶――!」

 意識を失った夜艶を支えながら叫んだ。人だかりに囲まれて注目を集める俺が、そんなことに気付くことなく夜艶に叫び続ける。すると、夜艶の目が微かに震え、ゆっくりと目を開いて俺を見つめた。

「大丈夫か、夜艶?・・・よつや!!?」
「・・・・・・おにいちゃん」
「元に戻った!?」

 口調が変わり、昔のままの呼び方に変わっていた。俺は夜艶が帰ってきたことに、町中だったのにも関わらず、隠すことなく男ながらに涙を流してしまった。

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 夜艶は子供の時から俺と話をしない性格だった。
 兄よりも母親や父親にべったりで、困ったら両親に訪ねる。これが子供心に当たり前なのかもしれない。
 でも、俺は何故か一人疎外感を感じていた。
 妹と両親、家族団欒の時間を過ごす傍らで俺は一人ゲームで引き籠る。家族よりもゲームで遊んでいた方が当時は楽しかった。だから俺はだんだん家族と過ごす時間を失くしていった。食事も外食で済まし、家にいる時間を減らしていく。
 俺は逆に、子供の時から両親には頼らなかった。頼りたくないという意地を張っていたのだ。親の助けなんかいらない。将来は一人で生活し、自由気ままに生きていたい。親の目に付く場所には住みたくなく、一人暮らしをして自立してやっていける男になりたかった。
 だから――俺はもうすぐ大学へ行く。
 親の目から放れて生活できる、夢のような日々がすぐ近くに迫っていた。
 
 夜艶ともお別れになる。別段、特に淋しいという感情はない。俺たちはお互いによく知らない兄妹なのだ。
 親睦を深めることもなかった。
 関わりを持つこともなかった。
 兄妹とは親友よりも、クラスメイトより、疎遠な関係なのだろう。
 結婚もできないし、困ったときに助けを求められる人数が増える程度の存在。
 ・・・血は繋がってるのにな。
 俺たちは似た者同士になっているのだろうか。
 夜艶を今更知ったところで、もうすぐ会えなくなるのだから遅すぎる。
 本当に、俺の妹はこんなに可愛くない。
 17年間なにをしていたのだろうか。すれ違い、会話もなく、思い出もない。

 ――だから、最後に。
 俺は夜艶を『ゲーム』に閉じ込め、弄ぶことが出来るのだ。
 夜艶は俺を蔑むだろうか?これが俺の家族の接し方だと思う。

「悪いな、こんな兄ちゃんで――」

 ぶっちゃけ、今更夜艶となにを話したらいいのか分からないというのが正直な感想だ。
 話すのが苦手な訳じゃない。話をするより、聞き手に回った方が楽なだけだ。
 『ゲーム』のように、会話がポンポンと浮かんで出てくるものじゃない。なにを言っているか分からないと、困惑させることだってある。
 恥をかくことだってある。嘘をつくことだってある。揚げ足を取られることだってある。兄として情けない姿を見せることだってある。
 夜艶が恥ずかしくならないか心配になる。
 夜艶はそんな兄を見て、俺の妹だと胸を張ってくれるだろうか?

「――――情けねえな、俺は・・・」

 そうして今も俺は『ゲーム』に逃避しているんだ――――。


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「ウワッハッハッハ!!わが社の製品の素晴らしい効力に目を輝かせていることだろう」
「スゴイですね、博士。妹ちゃんが可哀想なほど淫らになってますね」
「可愛くない妹など好きにカスタマイズしてしまえばいいのだ!時代はまさにデジタルの時代だ。妹だってデジタル化してしまえ!」
「〇〇は俺の嫁、ですね。やはり、虹は最強ですね!」
「 (」・ω・)」うー!(/・ω・)/にゃー! 」
「・・・あれ?博士?」

(注:この作品は、村崎色版『俺の妹はこんなに可愛いわけがない』でお送りしています)

      
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「しかし、博士。今作は『ゲーム』でカスタマイズしているのですが、『ゲーム』で人を変えることなんかできるのでしょうか?やっぱり『電波』を交えての強力催眠なのでしょうか?」
「なにを言っている。ゲームで人が変わったなど話題にも出ないほど溢れかえっておるわ。ゲームで人生が変わった、なんて人もいるじゃないか。今やオンラインに繋いで仮想現実に溺れる素人たちの増加。大量課金による転落破綻者も別段驚くことじゃないだろう」
「人が変わった(悪い意味で)・・・」
「それに比べれば妹をカスタマイズできるなんて朗報じゃないか。可愛くない妹を可愛くするには、首根っこを掴んででも自分好みの着せ替え人形にするのが手っ取り早い。まっ、そういう製品だな。ゲームやアニメのキャラクターに惚れたことのある人は果たして催眠かかっていると言えるか?『現実に存在しない人物』に恋をすることを、目を覚ませと言って否定できるか?そんなこと言っていたら、今の世界で生きていけなくなるかもしれないぞ」
「でも、妹ちゃんにとってはいい迷惑ですね」
「長寿の者の話を聞いておけば楽なものよ。妹は兄の背中を見て育てばいい。兄がしっかり妹を支えてやれば、自ずと可愛さが滲み出てくるものだ」
「博士・・・説教じみてきてますね」
「年のせいか、やかましいわ!」

(注:『ゲーム』の効力は登場キャラをカスタマイズし、予定されたシナリオを進めて彼女を攻略していくイージーモードのAVGです。まったく説明になってないキャラ解説だったことにお詫び申し上げます。――作者より)


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この物語は、
GG『電波―しすたぁぷりんせす―』Ⅰの続編となっている作品でございます。
読み返していただけると楽しさもさらに増幅することでしょう。


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 エムシー販売店が発売したゲームソフト、『シスター☆プレイング(略してシスプレ)』を手に入れる。
 どこのお店にも置いてなく、中古店にもあるわけもなく半分諦めていた幻のソフトを手に入れ、早速プレイをする。
 12人の妹たちが――(ry

「おっ、これなんかうちの妹に似てるな。栗色の髪で活発な性格なんて当てはまり過ぎ。えっと、名前は・・・夜艶―よつや―・・・・・・・・・」

 ・・・なんでこの字なんだよ。なんで漢字まで同じなんだよ!そこは名前が四葉にしろよ!!この当て字は妹の名前とまったく同じなんだよ!!!この当て字で女性にしようと考案した人は今すぐ名乗り出なさい。俺がぶん殴りに行ってやる。
 さらに驚いたことに、なんと12人の妹たちの名前が、何故か全員『夜艶』という恐怖・・・

「誰も愛でれねえええ!!」

 だって、恋愛シュミレーションで攻略する相手がまさかの血縁と同名だったら、名前を呼んだ拍子にふと現実に引き戻されて、感情移入できなくなるじゃないか。
 泣くシーンが笑うシーンに変えられたら作者だって悲しむでしょう?
 なんで登場人物が全員同じ名前なんだよ!?同じ顔かよ!?何故妹と同じ名前なんだよ、うおおおお――!!?
 絶対、妹の名前はどこのメーカーも使われるはずがないと思っていたのに、まさか使ってくるメーカーが現れるとは。エムシー販売店恐ろしい、恐ろしいエムシー販売店。

『ああっ、あんっ、兄ちゃま・・・!はげし・・・はぁっ!!』

 ああ、それでも俺はやってしまうんだな。恐ろしい俺、悲しいな俺。
 まるで俺の無言のプレイがフツフツと湧き上がる闘志になって、まわりの音がなにも聞こえなくなってきた。
 そこはまるで仮想―ヴァーチャル―世界。
 ゲームの世界を味わうように、ゲーム内に入り込んで妹と同名の夜艶を犯す。
 無心になって右手でムスコをシコリ続け、夜艶の喘ぎ声が俺を高みへ昇らせる。 

 俺の右手が真っ赤に萌える。おまえを倒すと轟き叫ぶ!!
 ・・・ああ、俺が言うとなんだか違った意味に感じられる不思議~。泣きそう。

「……ゃん?」

「もう少しでイクからな、夜艶」
『うん・・・、兄ちゃま・・・一緒に、よつやと、いき・・・ふああっ!』
「うおおおおっ!!夜艶ああああ!!」

      
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「おにいちゃん!なに私の名前を叫んでるの?気持ち悪いわ・・・ね・・・」
「はっ!よ、よつやああああああ!?!?!?」

      \(^0^)/

 夜艶が俺のやっているパソコンゲームを見ている。何故か俺は固まってしまい、『夜艶』と表示されたキャラの台詞で文字を止めていたところをバッチリ見られていた。
 見る見る青ざめていく夜艶の表情――

      反転まで入ったああ

 ――反転まで入っちゃったよ。
 ムスコが急速冷凍保存していく。時が凍っている。でも、このまま凍っていて永遠に溶けてほしくないな。
 そう言うわけにもいかず、時間は動きだし、妹が吐き気を催す様に口元を抑えた。

「きもちわるい・・・」

 二度言いやがった。しかも、二度目の方は間違いなく俺の見方を変えて言っていた。
 終わった・・・。俺の人生終わった。
 今日の夜は家庭裁判行きだ。
 妹による罵声と母と父からの阿鼻叫喚による地獄絵図が繰り広げられることだろう、アーメン。

「夜艶。そろそろ腹を割って話し合わないか?」
「その前に、まずそのDVD-R叩き割っていい?」
「そ、それだけは勘弁してくれえ!まだ買って誰もクリアしてないんだよおお!!最近のゲーム、コピーガード強すぎてDISC入れないと認証してくれないんだって!」
「話にならない!!!」

 夜艶が部屋から出ていこうとする。しかし――、

「んっ、あ、あれ?出られない・・・?」
「・・・はっ?」
「なんで?このドアおかしいよ!?なんで出られないの?」

 一人テンパっている夜艶。俺から言うことがあるとすればこの一言を贈ろう。

「気でも狂ったか、妹よ」
「うるさい、気違い!」
「ぐはっ、可愛くねえ~」

 俺は妹に変わってドアの前に立ち、部屋から出ていく。なんの苦労もなく部屋から出ることが出来た。

「なんでこいつは部屋から出ることが出来るのに私はできないのよ~!」
「兄にむかってこいつ呼ばわり・・・」

 へこむわぁ・・・妹の評価が-100下がってるのは分かっていたとはいえ、親しんで「お兄ちゃん」と呼んでくれた妹の顔が走馬灯のように流れてくるじゃないか。・・・1分前だけど。
 そんな俺のことなど気にすることなく、夜艶は未だ部屋から出られないことに悪戦苦闘していた。なんとか出ようと試みるものの、見えない力に押し戻されて結局部屋の外から出ることが出来ないでいた。

「なんでよ!?」

 夜艶が部屋の中で叫ぶ。

『それはもうあなたは出ることができないわよ?』
「えっ?」

 夜艶が誰かに呼ばれた様に振り返る。振り返ってもパソコンしかないのにだ。夜艶はパソコンとにらめっこするように凝視していた。
 パソコン画面に映るゲームソフトの『夜艶』も夜艶を見つめているような気がする・・・ハハッ、そんなわけないけどな。

『だって、私とあなたはもう一緒なんだから』
「あ、あなたはダレ!?」
「おーい、おまえは誰と話をしているんだ?」

 俺の返事に応えず夜艶は一人震えていた。様子がおかしい。良い方なのか悪い方なのかはわからないけれど、夜艶の顔が青ざめていった。

『わたしは夜艶』
「ひ―――!?」

 次の瞬間、パソコンの画面が光った。部屋中に眩しい光りが立ち込め、一切部屋の様子が見れなくなった。
 パソコンが爆発したのだろうか?中には俺のお気に入りフォルダが入っているのに!?うおおおお―――!!?パソコンが壊れたらどうしよう。
 ・・・違うか。まずは夜艶の心配をするべきだよな、うん。

「夜艶!?」

 部屋の光りがおさまってくる。目が慣れてくるとようやく夜艶の姿が確認できるようになった。俺は夜艶を抱きしめると、一度自分に振り向かせ怪我がなかったかを確かめる。
 未だに光にやられて呆然としている夜艶だが、虚ろな瞳に光が戻ると、俺に向かって満面の笑みを浮かべた。

「妹の身を案ずる格好いい兄の姿をようやく捉えたか、俺に惚れ直したと言ったところか、フッ」
「兄ちゃま」
「・・・・・・・・・・・・・・・兄ちゃま・・・?」

 聞いたことのない呼ばれ方をされて鳥肌が立ってしまった。どうしたこいつ?光りで頭がやられたのか。

「兄ちゃま。夜艶、お風呂入りたい!汗かいちゃった。一緒に入ろう、兄ちゃま!」

 夜艶が俺と風呂に入りたい、だと?俺と風呂など頑なに拒み続けた夜艶が、遂にこの年齢になって一緒にお風呂に入りたいなんて言ってきた。

「・・・えっ、いいの?いいの?」
「夜艶が兄ちゃまの身体を洗ってあげます。行こう、兄ちゃま!」

 俺の身体を引いてお風呂に行こうとしている。本当に良いらしい。っていうか――

「部屋、普通に出られるじゃねえか!」

 いったい騒いだ一連の流れは何だったのか。
 俺たちはお風呂へ一緒に向かっていた。
 パソコンの画面は光にやられてブラックアウトしていた。『シスプレ』が今度起動した時、果たしてちゃんと動くか心配であった。

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