純粋とは矛盾色-Necronomicon rule book-

夢と希望をお届けする『エムシー販売店』経営者が描く腐敗の物語。 皆さまの秘めた『グレイヴ』が目覚めますことを心待ちにしております。

カテゴリ:グノーグレイヴ『スライム・寄生』 > 柔軟剤『蕩ける身体、奪われる精神』

「どうだい?きみがきみに犯されるなんてなかなか見れる光景じゃないよね?」

 真奈(おじさん)が私に語りかける。私は見たくもない惨劇を見させられて、涙を流していた。

「わ、わたしは・・・・・・こんなに、えっちじゃないもん・・・・・・」
「そうかな?今まで気付かなかっただけだよ。見てよ、私の身体。二人の姿を見ているだけで身体が疼いて愛液が溢れてきちゃってるの」

 真奈(おじさん)の足の付け根が、透明な液に濡れてぐちょぐちょになっていた。それは真奈(おじさん)が一度イったせいだと思ったけど、私も二人の光景を見て同じようにアソコを濡らしてしたので、否定したくてもできなかった。

「もっと素直になっていいんだよ?ここには『ワタシ』しかいないんだから」

 そう、この部屋には四人の『鹿目真奈―ワタシ―』しかいない。みんな私と同じように感じて、私と同じように喘ぐ。嘘なんかついたってすぐにわかっちゃう。
 でも――

「ちがう!!わたしは、えっちじゃない!!あなたが私をそうさせたんだもん!!」

 中年の男性が、私を狂わせた。私の姿に化けて、私の分身を作って、私―ほんもの―の性格を変えようとしている。この部屋に『鹿目真奈』が四人いても、具体的には一人と三人。偽物の『鹿目真奈』に私は負けない!えっちな私が偽りなんだと、私自身が信じなくちゃこの状況に負けてしまう。
 私の身体をどんなに縛っても、私の信念は自由でいたいから。
 私の強固な意志に真奈(おじさん)が冷たく溜め息を吐いた。

「……面白くないなぁ。素直に認めちゃえば苦しまずにイケたものを」

 それは敗北宣言に近かった。男性と私が絶対に混じり合わないと言うことを認めた様なものだった。

「じゃ、じゃあ――」
「でも、そんな会話に意味はないんだよ。だって、もうすぐ私があなたになるんだから――!」

 真奈(男性)が宣言する。『真奈―ほんもの―』を奪いに来るように、真奈(スライム)たちを引き連れて私に近づいてくる。
 私が私たちに犯される――!
 逃げることもできずに私はなすがままにされていく――


「最後に私が手向けとして最高の快楽で包みこんであげるよ!!」


 私の手が私に迫る。
 私の顔が私に近づく。
 恐怖に引きづる私の表情を覆い隠すように、私の唇を奪い、私の身体を真奈―にせもの―たちは触り始めた。


「(いやあああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!)」


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「は・・・はぁ・・・はぁ~~だいぶ余韻が冷めてきたな」

 私そっくりに化けたおじさんが、ベッドから身体を起こした。
 ソファーにくくりつけられた私を見てニヤリと笑みを浮かべると、静かに近づいてくる。
 真奈が近づいてくるのは、他の誰よりも怖い光景だった。
 私の視界が私でいっぱいになる――

「どうだった?私のオナニーそっくりだったでしょう?」

 ほんのり染まった肌と不敵に笑う影の落ちた顔。
 ベッドから降りて仁王立ちする私に、首を振って抵抗する。

「全然似てない!」

 私は断固否定した。真奈(男性)と私がそっくりと言われるのも心外だった。姿を変えただけで表情だって似ていない。私はそんなイヤらしく笑わないもの!

「そんなに似てないかな?ん、んっ――!」

 真奈(おじさん)が一つ咳払いすると、小さく息を吸って口を開けた。

「あーあー。私は鹿目真奈―かなめまな―、6月9日生まれの14歳。県立神保中学校在住です。オナニーしたことはありません」

 突然、真奈(おじさん)が私になりきって自己紹介する。伝えていないはずの情報が真奈(おじさん)の口から出てくることに私は目を見開いてしまった。

「どうして、おじさんが私の誕生日知ってるの?」
「うふふ・・・。おじさんは真奈ちゃんのことなら何でもわかるんだよ?……いま真奈ちゃんの身体でイったことで真奈ちゃんの情報がおじさんの頭の中に全部流れてきたんだ。――だからもう、真奈は身も心もすべておじさんのものなの~♪」

 嬉々して喋る私の姿は、どこからどう見ても私の喜んだ表情だった。
 子供っぽさを残して楽しそうに笑う横で、私は愕然としてしまった。

「明日、彩夏―さいか―ちゃんに会ったらちゃんと挨拶しないとね。普段通りに遊びに連れてってくれるかな?」
「待って!わたしの姿で学校行く気なの?」
「そうだよ?言ったじゃないか。俺は真奈ちゃんになりきって生活したいって。もう見ているだけじゃなくて学校も行って、家に帰ってお手伝いもして、真奈ちゃんの感じたことをすべて体験したいんだよ。――きみのすべてを欲しいんだよ」
「そんなの絶対いや!おじさんが学校でナニするかわかんないもん!私は、私だけの生活があるんだから!勝手なこと言わないで!」

 私は真奈(おじさん)を否定する。おじさんがどんなに私になりきっても、私になることは絶対ないんだから。親友や家族に迷惑かけたら許さないから、私の生活を絶対に渡さない!

「そう言うと思って……。俺のとっておきを出してあげる」
「とっておき・・・?」

 真奈(おじさん)はまだ何かを隠しているらしい。私が真奈(おじさん)に顔を上げると、突然、私の身体がぐにゃりと変形したのだ。
 私の顔が崩れて潰れて、原型をとどめていなくて気持ち悪い。
 『スライム』と言うより『アメーバ』だ。身体を残して顔だけ伸びて隣にもう一つ何かを作りはじめていた。

「なに・・・・・なにをしているの!?」
「もうすぐ分かるよ」

 口はなくても声が聞こえた。イヤな予感がして私は椅子の上でバタバタ跳ねて抵抗した。『スライム』のぶよぶよした液体が地面に降り立つと一本の芯を作り終えた。そして、枝分かれするように水滴が伸びて肌色の皮膚がすぐさま覆う。
 下半身、上半身を同じタイミングで形成していき、再び髪の毛を生やし始める。

「ええっ!」

 私はまた驚いてしまった。
 その髪の毛は白く、ロングに靡く特徴的な髪形だったからだ。私の身長と同じほどのカタチを作った『スライム』の分裂は、まったく同じ私の姿をもう一つ作り終えたのだ。

「わた、し……」
「そうだよ。もう一人の真奈ちゃんだよ?」

 私の『スライム』を作り終えた真奈(おじさん)が崩れた顔を元に戻した。再び私の姿に戻ったおじさんと、そこから現れたもう一人の私が目を覚ました。
 目を開けて寝ぼけ眼で私を見つめる。真奈(おじさん)が真奈(『スライム』)に語りかけた。

「きみの名前は?」
「……鹿目真奈」

 彼女ははっきりと私の名を語った。生まれてきた瞬間から彼女は『鹿目真奈』なのだ。

「年齢は?」
「14歳」
「どこに住んでるの?」
「陣保町摩動区〇〇△△-××」
「それは私の住所……」

 私と同じ住所を語る私と全く同姓同名の彼女。

「きみの情報を含んだ私はこのように『分裂』ができるんだ。だからきみのコピーを無限に作ることが出来る」
「いや、やめて!!」

 私は目を伏せてしまう。私が何人もいることを想像したら……それはもうホラー以外の何物でもない。
 私が何人も現れてしまったら、私という自我が崩壊してしまう――

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「さらに、『分裂スライム』は俺の情報も与えることが出来る。だから、オリジナル以外にも作ることが出来るんだよ。こういう風に――」

 真奈(おじさん)は再び身体を崩すと、もう一体の私を作り出した。でも、その一体は先程の私とは違い、既に口元を釣り上げてニヤニヤと真奈(おじさん)と同じ表情を浮かべていた。
 私の目の前に、私が三人も現れる・・・・・・。


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「・・・・・・・・・・・・」

 私はゆっくり目を覚ました。
 どこで眠ってしまったのかわからない。学校の帰り道だと思うけど、その時に声を掛けてきた不審な男性に――

「――はっ!?こ、ここ、どこっ?」

 私は意識を覚醒した。暗闇で視界がまったく見えない状況なのに、眠気は一気に覚めてしまう。
 身体を起こしているけど、足はまっすぐ前に伸びている。お尻を付いて冷たい感覚がひろがっているので、なんとなく固いシートに座っているような印象をもった。それでもなにかが手首や足首にくっついていて身動きが取れず、力を入れて引っ張って抜けだそうとしても、ジャラジャラとソファーの下から金属質の音が響いてくるだけで全く効果がなかった。
 どうやら私は鎖に繋がれているようだ。何者かに監禁されている、という状況が私の冷静さを欠けさせて慌てさせた。

 助けてと叫んでいいのかな――?でも、外に敵がいたらどうしよう――?叫んで目を覚ましたことがばれたら、私はいったいどうなっちゃうの――?

 怖い・・・こわいよ・・・・・・。
 身体がガクガクと震える。寒気がするのは、恐怖を体験しているからだ。
 夏が過ぎて秋が近づく季節に風邪でも引いてしまうそうなほど身体が熱くなっているのが分かった。

 鎖の音が聞こえてきたのか、扉を開ける音が聞こえて外の光が漏れてきた。誰かが部屋の電気をつけると、私の視界が今度は真っ白に染まった。

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「まぶし――」

 久し振りの光だった。既に夜になった町にカーテンが敷かれているので外の景色は全く見えなかった。知らない部屋と私の両手両足に付いた足枷と手錠。さらに言えば私は裸だった。道理で普段よりも寒いと思った。 
 そんな私を見るドア越しの相手を私は目を細めて見る。わたしを助けに来てくれた救世主、という淡い期待を少なからず持っていた私だけど、私の眼に映ってきたのは、私が意識を失う前に見た、中年の男性の姿だった。

「おぅ、目を覚ましたのかい、真奈―まな―ちゃん?」

 私は彼を睨みつける。それくらいの抵抗しか出来ないが、彼は私の必死の抵抗を感じたのか、一度近づくことを躊躇った。

「そんな目で見ないでくれよ。おじさん、興奮しちゃうじゃないか?」

 どこにでもいそうな中年の男性だけど、私に合わせるように口調を変えているのだろうか?
 はっきり言ってキモかった。

「誰ですか、あなた・・・!これ以上近寄ったら、悲鳴を――!」
「ちゃんと声が漏れないように室内は防音になっている。私とお嬢ちゃんしかこの場所には来ないよ」

 男性はわたしを知っているけど、私は彼を知らない。それもまた私を不安にさせた。知り合いじゃないのに私を連れてきて監禁したってことは、もう踏み外しちゃいけないモノを超えてしまった人なんだと思い、私はひとり警告音を鳴り響かせていた。
 誰か私に気付いてくれる、そんな予感―きせき―を信じて。

「おじさんね、お嬢ちゃんをいつも見ていたんだよ。知っていたかい?」
「早く私をお家に帰らせて!」

 男性の話なんて聞きたくない。私は力強く叫んだ。
 男性はむっとしたのか、今までの私の想いを言わずに次の準備に取り掛かった。
 服を脱ぎ始めたのだ。
 私の目の前で急に服を脱ぎ棄てる男性に、私は血相を青くする。たるんだお腹がズボンの上に乗っていて苦しそうにしていたのに、ズボンを脱いで解放すると、さらにお腹が前に出てきた。
 ヒドイ怠慢。ああいう大人にはなりたくない。

「な、なんで脱いでるんですか!?」
「フフフ・・・」

 今度は嗤うだけで何も言わない。それはそれで怖い。
 喋ってもイヤだけど何も言わないのもイヤ。私は逃げられない以上、男性の行動を黙ってみているしかなかった。
 最後にブリーフを脱いで男性はすっぽんぽんになった。おじさんのいきり立つ男性の性器も私の目ではっきり見えてしまい戦慄いた。

「あ・・・あ・・・・・・」

 それで犯されるんだ・・・
 そんなの大きいの絶対入らない・・・・・・。
 私を壊して痛い思いをさせるんだ――。

 そう思っていた私に男性は再び近づきはじめた。

「大丈夫だよ」
「・・・・・・えっ?」
「痛い思いはさせないよ」

 痛くしないの?……えっ?えっ?
 自分勝手に私を壊すんじゃないの――?

「・・・・・・じゃあ――」

 じゃあ、ナニをするつもりなの――!?
 私はこの男性が次に何をするのか予想ができなかった。
  

 ――次の瞬間、おじさんの姿がドロッと溶けていった。

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 肌色の水がブヨブヨと地面を這う。足跡がしっかりと濡れて床に残っていた。
 おじさんの姿がなくなってしまった。
 それはまるでホラー映画のCGのよう。水の塊が私に近づいて襲ってきているのだ。

「ひやああああぁぁ!!きぃやあぁあぁぁ――――!!」

 私は涙を流して怖がった。逃げたくても逃げられず、ブヨブヨした水が私の足元に寄ってきていた。
 足をあげたくても固定されていてムリ。つまり、水の塊は、足を伝って登ってきて、私の身体全体に広がっていった。
 分裂するように面積を伸ばして私の身体をまるで包み込むように重ねてくる。
 ――ナニ?これはなんなの!?
 意思があるのかないのか分からないのも怖い。
 生物なのかも分からない。『スライム』っぽい、ねっとりとした生き物が本当にいるの?
 私の身体にまとわりついてナニをしているのかもわからない。
 冷たいと言うよりむしろ生温かい。気持ち悪くて、早く放れてほしかった。
 でも、そんな私の身体を包みこみ、下半身だけじゃなくて、上半身にまで達してくる。
 産毛も逆立ち、鳥肌が立つ。全身全霊で警告音が鳴り響く。
 動けるものなら動きたいのに、力は水に抑えつけられたように敵わなかった。
 お風呂に入る時に浸かる量まで『スライム』は達した。
 もう胸も全部『スライム』に浸かり、首の辺りまで差し掛かっていた。顔以外が『スライム』に取り込まれ、まるでアクアベールを受けたみたいになっていた。

「あ・・・あ・・・・・・」

 私の身体にまとわりつく『スライム』がドクンドクン動いている。いったいこれからどうなるのか、分からないよ――!

「――――あっ!」

 そして、最後の顔に向かって『スライム』が伸びてきた。私が首を振っても拭うことが出来ず、私は遂に全体を『スライム』に取り込まれてしまった。

「ブクブク……」

 水の中のように息を止めて鼻で静かに吐き出していく。全身が『スライム』に埋まり、何も考えられなくなっていた。いつまで続くか分からない『スライム』の包装と、極度の緊張状態に私の息継ぎはすぐに限界に達してしまう。

「(……もぅ、だめぇ――!!)」

 そう思った瞬間に、『スライム』は私の身体から一斉に引いていく。顔から上半身、下半身を伝ってつま先から放れていった。

「ぷはあ!・・・・・・はぁ・・・はぁ・・・」

 助かったと、私は大きく深呼吸をした。
 男性もいなくなり、私から放れていった『スライム』が遠ざかって先程男性が消えた場所まで戻っていった。

「…………」

 私は目を奪われた。水の塊だった『スライム』が、奇妙に形を変え始めたのだ。肌色の水が二本の綺麗な足を形成し、その上に小さなお尻や腰を形作っていく。
 間違いなく人のカタチをしていた。しかし、それは男性ではなく、女性……。足の大きさや身長を予想して、だいたい私と同じ――――

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「えっ?えええっ――!?」

 声を荒げてしまった。
 白いロングヘアーを払いながら『スライム』だった人は目を開けた。つぶらな瞳だけでなく、胸の大きさや腰の細さまで完全に私そっくりになっていた。
 私がもう一人現れたのだ。それはもう『スライム』ではなかった。私そのものだった。

「フフ・・・私は誰でしょう?」

 彼女が笑う声もまた、私と同じ。トーンが低いけど、私も同じ声を出せる。
 じゃあ・・・じゃあ、やっぱり、目の前にいる彼女は・・・・・・

「わ、たし……なの?」
「そう、正解だよ。お嬢ちゃんと全く同じ姿をコピーしたんだ」

      姿を変えたおじさん

 急に目の前の私がおじさんのような口調で話し始めた。
 この時に私は、おじさんはいなくなったのではないことに気がついた。
 いなくなったのではなく、私の姿に変わったのだと――

 ――まだ、恐怖が終わらないことに気付いたのだ。



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