純粋とは矛盾色-Necronomicon rule book-

夢と希望をお届けする『エムシー販売店』経営者が描く腐敗の物語。 皆さまの秘めた『グレイヴ』が目覚めますことを心待ちにしております。

カテゴリ:グノーグレイヴ『入れ替わり』 > 粉薬『淫鬱な夢』

 ――悪夢だから夢を視るのか、
 夢だから悪夢を視るのか、

 クロノが見る景色もまた悪夢のような光景。
 エリリの身体が白濁液で汚される様を、手も出せずに見つめていた。空間だけが繋がっているのか、身体が異常に重く、動くことすらままならなかった。

「(これは、誰の夢?俺がなぜ呼び出された?)」

 そんな問いかけに応えるものはいない。しかし、クロノが夢の中に現れたのであれば、クロノの出来ることを可能な限りで全力を尽くす。それはつまり、仲間の救出だ。
 身体が動かなくても、口さえ開けば声が出せるのだ。

「く――っ!エリリ!」

 陰鬱の夢(エリリ)がクロノの声に振り向いた。魔力により擬人化させた『陰鬱の夢』が誰なのか、クロノが見れば一目でわかった。

「エリリ、だろ?俺の夢の中に出てきたのはおまえだろう?」
「クロノ・・・」

 疑うことは一切しない。夢の中だと思っているからなのか、身体が入れ替わっていることを既に知っているかのような態度に、陰鬱の夢(エリリ)の目に涙が浮かぶ。しかし、なおのことエリリ(モーラ)を許さないように、手に持った鞭―ウィップ―でエリリの肌を引っぱたいた。バチンという鋭い音と供にエリリ(モーラ)の悲鳴が猛る。

「やめるんだ、エリリ!自分の身体じゃないか!」
「違うわよ!あれはもう、わたしの身体じゃない!わたしのじゃない!」

 涙が落ち、鞭がしなる。
 怒りを向けたその表情がエリリの苦しさ、悔しさ、憎さを物語っていた。

「私がとっておいた処女を……悪魔が引き裂いたのよ!!」

 女性にとって最も大切なモノ。生涯でただ一人しか愛さないエリリの信念。
 今まで大事に守ってきた――エリリの恋心。

「クロノにあげたかった私の想いを……玩具みたいに簡単に捨てやがった!!」
「くぎゃああぁあぁぁ!!!」

 白い肌が赤く腫れる。身体の痛みと心の痛みで、二人のエリリが同時に涙していた。
 クロノはエリリの辛さが理解できる。
 自分の身体を毛嫌いし、嫉妬する心を救わなければならない。
 それができるのは、身体を交えたクロノしかいない。
 身体が例え重く、動くのが困難であろうと、悪夢の中で地に足がつかなくても、エリリまでの距離を歩み進むことは不可能ではない。目の前にいるエリリの距離が極めて近く、限りなく遠い場所であったとしても、クロノはエリリの身体をしっかりと抱きしめた。

「でも俺は、エリリを抱いたぞ」
「――っ!」

 陰鬱の夢(エリリ)がクロノに抱きかかえられて全身の動きを停止した。

「エリリの処女―おもい―は俺が奪―うけと―った」

 心はそこにいなくても、エリリの切実の想いだけは身体を通じて伝わっていた。
 それがクロノの返答。身体から伝わる愛にクロノはエリリに魅了されていた。一人の仲間ではなく、一人のパートナーとして、これからも供に歩み続けたいと言う決意の告白。

「ありがとう……クロノ……」

 エリリが静かに目を閉じる。クロノに抱きついている瞬間だけ、『人間』に戻ることができたと。
 顔だけ振り向いてクロノの様子をうかがったエリリの眼球が急に狭く光らせた。

「私も一緒に味わいたかった!クロノと一緒がいい!クロノとじゃなきゃヤダ!――だから、あいつを殺すの!」

 オリジナルを殺すことで陰鬱の夢がエリリになれると、『人間』を殺しに走る『悪魔』。首元に爪を刺し入れる刹那にクロノの手が静止させた。

「そんなことしたら、エリリは本当に、『悪魔』族に染まっちまうぞ!」
「っ!?」

 殺すことは悪だとクロノは言う。

「陰鬱の夢が『人間』の感情に目覚めたように、エリリも『悪魔』の感情に目覚めようとしてるんだ。もし今この場でオリジナルを殺したら、後はこのまま『悪魔』に染まるだけだぞ?そうなったら俺でも手がつけられない。俺の手で、『陰鬱の夢―エリリ―』を殺すことになる……」

 オリジナルを殺したところでオリジナルに染まらない。『悪魔』に染まって憎むべき敵―モーラ―になる。
 陰鬱の夢(エリリ)でいられる間にできる会話でそのことを伝えるクロノ。陰鬱の夢(エリリ)の頭脳で理解するように、時間をかけて言葉を飲み込んだ陰鬱の夢(エリリ)が、手に持った鞭を指から滑らした。

「……………そんなの、ヤダ」

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 振り返り、クロノに抱きつく陰鬱の夢(エリリ)大きな翼をたたむこともなく、大きく泣いている陰鬱の夢エリリに、ようやく悪夢は去ったのだとクロノは思った。

「クロノと一緒がいい……こんな姿になっても、クロノのことが大好きだよぉ。私を見捨てないでぇ……わたしを棄てないでぇ……助けてよ、クロノ!ふええぇええぇえぇぇぇん―――!!!」

 仲間の時以上に淋しがりになったのか、顔をぐしゅぐしゅと崩して泣いている陰鬱の夢(エリリ)を、安心させるようにクロノは強く抱きしめ返した。

「こんな姿でも俺の元へ帰って来てくれたじゃねえか。俺にとってはおまえだってエリリだ。俺たちの仲間だ」
「うん」

 『陰鬱な夢―nightmare duel potential―』が消える。本当に、視界が白み始める。夜が明けて朝を迎えるのだ、

「さあ、悪夢は終わりにしよう。俺たちの旅を始めよう」
「……………うん、クロノ」

 クロノをしっかり抱きしめる陰鬱の夢(エリリ)と、その背後には鎖から解き放たれてボロボロになったエリリ(モーラ)がいた。まるでこのまま夢として消えた方が良いように白の景色に溶け込まれていってしまう。

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 クロノはエリリ(モーラ)の手を掴むように必死に伸ばして捕まえようと試みる。
 あと数センチという距離まで来たところで白の景色は加速し始める。
 エリリの手を掴んだ感触すらままならないほどの強い光は、クロノの意識を朝の城内へと強制的に運ばせてしまっていた。


 ・・・
 ・・・・・・
 ・・・・・・・・・

「ふあぁあぁああぁ。よく寝た」

 ベッドの上で眼を覚ますクロノ。身体を起こして大きくノビをしたところで、早くも戦闘服に着替えたナディアが元気よく起こしに来た。

「おっはよう。クロノ」
「ナディアか。良い夢は見れたか?」
「最高だったよ。ベッドがフカフカだとあんなにも満ちた夢を見れるんだね…………」

 笑顔だったナディアの表情がゆっくりと固まっていく。クロノのベッドが異常に盛り上がっているのを見てしまったからだろうか。

「……私、お邪魔だったかな?」

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「は?」
「ごめんね、五月蠅くしちゃって。夢見心地のようだし、もう一眠りしたら?」

「また起こしに来るよ!」とだけ残してすぐに部屋を出ていってしまった。

「なんのことだよ、まったく」

 頭が少し痛いものの、日常に支障のない些細な痛みだ。記憶障害が起こったのかとも思ったが、しっかり昨日のことは記憶している。
 当然、夢の中の出来事もだ。
 クロノの隣で眠るベッドの両隣りには――


「すぅ・・・すぅ・・・」
「すぅ・・・すぅ・・・」


 ――天使と悪魔のエリリの寝顔が、並んで気持ちよさそうに眠っていた。


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「なんで・・・」

 エリリ(モーラ)が愕然としている。身体を小刻みに震わし、出会ってしまったことが夢であってほしいと願うくらいに慄いていた。
 暗闇の中、陰鬱の夢(エリリ)が目を鋭く光らせており、まるで猫と言わんばかりに尻尾を猫のように変えて心弾ませているかのように揺さぶりをかけていた。

「あなたは・・・死んだはず・・・仲間の銃に撃たれて――!」
「ええ。少しでも高く飛べなかったら、今頃蜂の巣のように穴だらけになっていたでしょうね。でも、私生き延びちゃった♪一休みしたら嘘のように回復しちゃったの。ふふっ、『悪魔』族ってすごいね♪」

 『人間』との違いを簡単に受け入れて、精神を壊れてしまったかのように軽快に嗤っている陰鬱の夢(エリリ)。クロノたちの目にはいったいどう映っているのだろうか?
 ――敵か、――味方か、 
 判別が未だつかないだろうが、エリリ(モーラ)だけははっきりと判断できる。

 ――こいつは敵だと。

「今度こそ本当に眠らせてやる!」

 『悪魔』族と比べて魔力も少なければ空も飛べない『人間』だけど、膨大な知識からの戦略を以って、互角以上の戦闘を挑める。それが『人間』だ。

「催眠―sleep―!」

 見えない安眠周波による眠りを誘う魔法を放つも、陰鬱の夢(エリリ)には見えているのか、宙を舞って回避する。
 『人間』では到底真似できない飛躍だ。しかし、その邪魔な羽根が命取りになる。

「灼熱の太陽―Atomic Sun―!」
「――っ!?」

 狭い部屋で放った炎魔法に、陰鬱の夢(エリリ)は窓を割って逃げ惑う。羽根を焼かれ、悶えて落ちる陰鬱の夢(エリリ)を、追いかけるようにエリリ(モーラ)も宙へ飛んだ。
 金色の槌鉾が振るいあげられ、地面に着地した陰鬱の夢(エリリ)めがけて勢いよく降ろされた。


「――月下光子蝶―Ornithoptera Alexandrae―!」


 頭蓋骨を陥没させる打撃を与える。
 ぐにゃりと柔らかい感覚が手に伝わる。
 陰鬱の夢(エリリ)から血が噴き出し、絶命は免れない。

「・・・勝った。これで悪夢が終わる・・・」

 夢から覚める一撃。
 夜が白み始めて朝が迎えるように、
 わたしは――わたしは――
 『人間』になるんだ――


「――――!?なんで、私がそんなこと思うの?」


 途端にエリリ(モーラ)の表情から笑みが消えた。
 勝利が消えた。
 朝が消えた。
 ――悪夢が終わらない。


「良い夢は見れました♪?」


 なにも変わらない状況。
 なにも起こらない状態。
 窓は破られておらず、陰鬱の夢(エリリ)が動いた様子すらない。
 すべてはエリリ(モーラ)の願望。
 こうだったらいいのに、という夢を陰鬱の夢(エリリ)が見させた幻。
 陰鬱の夢(エリリ)には戦いすら支配できる。勝敗すらさじ加減一つで変えられる。
 エリリ(モーラ)に残ったものは、虚無感という陰鬱な気持ちのみ。

「『陰鬱な夢―nightmare duel potential―』」

 戦っていない。されどエリリ(モーラ)は敗けたのだ。

「そうか・・・そんなことできたんだ……私ももう少し頭が良かったらなぁ……」

 自分の能力を書き換え、潜在能力に目覚めさせた陰鬱の夢(エリリ)。全てを夢に帰すその能力に逃げる術がないことをエリリ(モーラ)は覚悟する。
 自分が陰鬱の夢(エリリ)から逃げているのか、それとも陰鬱の夢(エリリ)が自分に追ってきているのか、
 その判断すらおぼつかないくらいエリリ(モーラ)は錯乱していた。
 だから――

「大丈夫よ。そんなに争いが好きなら、これからイヤって言うほど戦わせてあげるから――」

 陰鬱の夢(エリリ)に捕まったことに対して、ほっと胸をなでおろしている自分がいた。

 いま、こうして誰かが捕まってくれている温かさだけは、ほんものだから。

 まるで赤子のように、陰鬱の夢(エリリ)の腕の中で眠るエリリ(モーラ)を抱きかかえると、部屋を出てある場所へと歩き出していた。


「――死ぬまで♪」


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「クロノ。私のココに、クロノの逞しいおち〇ち〇挿しこんでぇ!」

 性器を自分でグローブをはめた手で大きく広げて見せる。大陰唇と小陰唇を抑えて一番奥の割れ目を開くエリリに、クロノの興奮は最高潮に達してた。
 サーモンピンクの壁が見えるくらいに広げており、中に溜まっていた女性のにおいが強く漂っていた。割れ目の内側に隠れていたクリ〇リスは既に膨らんで赤く腫れあがっており、膣内を指でつついてみると、透明な糸が引いていた。

「(ほんとうに・・・いれて、いいんだな……)」

 クロノはあと一歩のところまできていた。拭いきれない不安と恐怖がすぐそこにあるのに、どうしても目の前の快楽に飲み込まれたいと言う想いは拭えない。だからこそ、クロノは問いただす。不安を消して恐怖に支配されないように、幸福が続くようにエリリに問いかける。

「ねえ、早く挿入れてよぉ」
「エリリ。・・・きみは、本当にエリリだよな?」

 エリリの動きが一瞬で止まった。

「ごめん。変なこと聞いて。でも、どうしても確認させてくれ。今日のエリリは性欲に関して盛んすぎる。これは遊びじゃないんだよな・・・?だから、その・・・・・・」

 遊びの中で本当の遊びを知らないクロノである。堅い考えを持っているせいか、エリリの豹変ぶりについてきていないのが本音だ。
 身体を交えるのに後悔はしたくない。お互いのためにクロノはきいたのだ。

「……クロノ、もし私が別人になってたとしたら、今のこの状況をやめられるの?」

 エリリが低い声で逆に問う。クロノの表情が強張った。

「それは――」
「出来ないでしょう?もうわたし達、ここまで来てるんだよ。だから、自信持とうよ、クロノ」

 招き挿入れるように、クロノの身体を手繰り寄せるエリリ。はち切れんばかりに膨らんでいるペニス。後悔しないというのなら、エリリではなく、自分自身に聞くべきだ。

「(もし、この場でやめてしまっても、後悔しないだろうか?)」

 エリリと身体を合わせる機会はもう二度とないかもしれない。エリリの想いに答えるなら、一期一会の機会を逃してはいけない。
 エリリだけじゃなく、自分の本音すら裏切ることになるのだろう。

「(――俺は、怖がっているだけなのかもしれない)」

 逃げたがっている理由を見つけて、エリリと一線を越えることを辞めようとしているクロノがいたのだ。だから、エリリの本音に応えられず、エリリに任せて主導権を与えていた。そんなヒドイ男がこの世の中にいるのだ。

「すまなかった。エリリ・・・」

 クロノは一度頭を下げたあと、エリリを自ら手繰り寄せて強く抱きしめた。エリリの表情が朱色に染まった。

「俺はエリリのことが好きだ。一生大事にしたいと思っている。だから、俺と一緒にこれからも旅を続けてほしい」
「クロノ……」

 バカだな、とエリリは心の底で嘲笑った。
 現実から醒めない夢もまた夢。『陰鬱の夢―nightmare paradice―』の虜。夢の中で永遠に生き続けることで、クロノに永遠の快楽をプレゼントしよう。
 永遠の快楽―こうふく―をあげる理由はひょっとすると、モーラもまたクロノのことが好きだからではないだろうか。
 残忍ではなく、残酷。モーラがこの世の一人だけに与える永遠の幸福の絶頂。クロノは選ばれたのだ。

「わたしも、クロノのことが好き。大好き!」

 エリリの告白の返事と供に、二人は身体を重ね合わせた。

「・・・・・ぁん、クロノのが……挿入って、きた……」

 亀頭だけでも大きく、陰唇が孔の内側へ引きずりされそうになる。肉を割られていると言う感覚が強烈に起こった。少しずつ、挿入しては、時折腰を止めて、膣壁で巨根の輪郭を確かめつつ、股間に陣輪ありと広がる快感に身を浸かる。既にペニスが唾液で膣口が蜜で濡れていることもあり、太いにもかかわらず、膣内にするりと侵入してきた。
 奥へとペニスが進んでいる間に、エリリは処女膜の存在に気づいた。ペニスが突いて破っていったことを確認すると、足の付け根をひねって軽い痛みを確認した。

「あ、んっ……やっぱり、処女だったのね……」

 エリリ(モーラ)はこの先にある快感を知っている。だから、ゾクゾクと身を震わせながら、クロノの腰の動きを感じつつも待ち続けた。
 処女肉の強烈な締めつけをもって巨根を味わえる喜びをエリリは嬉しく思った。

「クロノの、おち〇ち〇、すごくおっきいよ・・・」
「あ、ありがとぅ・・・はぁ・・・」

 パンパンに膨らんでいるペニス。満たされているエリリのお腹。ぼこっと膨らんだお腹に、全部の長さを咥えることはエリリには無理だと悟った。
  力を抜けば今にも抜けそうになっているペニスを、しっかりと圧迫させるように咥えこんでいた。処女の肉が陰茎に執拗に絡みつく。強力な刺激にクロノはあまりの快感に白濁した。

「うあっ、エリリ・・・・・・すごく、きもちいいよ」

 正常位だったエリリの片足を持ちあげて、綱がったままエリリの身体を反転させる。うつ伏せになったエリリは、今まで突かれたところのない快感を浴びて、珍しく声を荒げていた。

「ひやああん!これ、すごいよぉ・・・。すごい、かんじちゃうぅぅ・・・ひゃうぅ!」

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 目を閉じてうっとりしているエリリ。今までのように、余裕を見せなくなっていた。それは、エリリの身体で快感の玄関を学んだのだ。
 汗を額にべっとり付いていることに気付かず、二人は一心不乱に腰を合わせ打つ。

「んあっ、は・・はぁん・・・、ぁ・・・あぁん・・・」
「ああん、あん、くろの・・・な、膣内―なか―で、すごぉい・・・あんっ!あんっ!」

 淫乱なエリリが発狂するくらい甲高い声を上げ、性感を貪った。
 蜜は粘り気を増して互いの性器を濡らしていった。クロノのペニスを抜かないようにしながら、精いっぱいでお尻を動かし、腰をぶつけさせて喘ぎ続けた。
 巨乳を揺らして、粘り気を増した愛液を股で踏みならしては、ぬちゃぬちゃと言う音を立てる。エリリ(モーラ)は自分の身体ではないことを忘れて、かつてない量の愛液を分泌させていた。

「こんなに・・・たくさん、濡らして……ネバネバしてる、ひぁあっ!」

 性感になれているはずのエリリ(モーラ)でさえも、不思議な想いとエリリの肉体、クロノの大きなペニスになにも考えられなくなり、顎を涎で濡らしていた。

「クロノ・・・、きもち、いいなら……あん・・・気持ちいいって言ってえ!」
「はぁ!き、気持ち良いよ。エリリの膣内・・・すごく締めつけて・・・ヌルヌルが、きつくて・・・はぁっ!熱くって……」

 クロノの手がエリリの乳房を回し、イヤらしく揉みほぐしている。十指を乳肉に絡まして、乳首を摘まんでくるその動きにエリリはさらに甲高い声で喘いだ。乳と膣内を同時に責められたエリリは、足をガクガクと震わせて、絶頂の瞬間がすぐそこまできていることを悟った。

「うあぁっ・・・!え、エリリ・・・おれ、いきそう・・・」

 クロノもまた今にも出しそうな顔をしていた。しかし、クロノが腰を引いて、ペニスを外に出そうとしていたのだ。エリリは急いで自分も腰を引いて、クロノのペニスを外に出さないように動いた。クロノは後ろに倒れて、エリリがクロノの上に乗った。騎乗位と形を取られたクロノは、エリリの身体をどかそうとするも、上に乗っているエリリの方が有利で、軽く体重をかけるだけで強い力をくわえるクロノの抵抗を抑えつけることが出来た。エリリ(モーラ)の精神ですら対応できない快感に身を任せたくて、クロノの言うことに耳を貸さずに腰を振り続けた。

「クロノ・・・んはっ……このまま、膣内に出すの!はあ!」

 再び繋がったまま身体を反転させるエリリは、上半身を倒してクロノの抵抗を完全に封じて、見つめて軽くキスをした。

「んっ・・・んっ、んんああああぁぁああああぁぁぁ――――!!!」

 涎を垂らしながら、全身を痙攣させたエリリが、絶頂に至った。咄嗟に上半身を起こして、甘い声で喘ぐ。クロノの手首を強く掴んで踏ん張って、ペニスの突きささった腰までブルブルッと震わせていた。
 エリリの絶頂と同時に、クロノも射精を始めていた。

 ドクッ――!ドクッ――!ドクッ――!

 シーツに大きな皺を作り、肉棒の脈動に合わせてエリリは桃色の長髪を波打たせた。

「あっ、あっ、イクっ、いく……イくううぅぅうううううぅぅ――――!!」

 子宮口に近いであろう奥の方から放った精液が、巨根の輪郭に沿って膣内を落ちていく。広がっていく精熱。左右に開いていた足から力が抜けて、エリリの全体重をクロノに支えてもらうような態勢になる。
 エリリの処女のヴァギナにとって、クロノのペニスは大きすぎたのか、長く続く射精でクロノが精液を放つ度に全身をビクンと跳ねていた。
 清らかな身体を汚れさせるも、汗と涎でまみれて恍惚の笑みを浮かべるエリリは、ようやく全身を脱力させてクロノに覆いかぶさった。

「はぁ……はぁ……きもちよかったね、クロノ……」

 エクスタシーを乗り越えて余韻に浸っていたエリリは、疲れ果ててなにも言わずに呆然としているクロノに、優しいキスをしていた。


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 クロノはまどろみの中にいた。極上のベッドと柔らかい布団の感触に、目をつぶればすぐに屍のように返事をしなくなりそうだった。

「ぁぁ・・・。このベッドとモーラは最高の組み合わせだろうな……こんなベッドで寝ちまったら、もぅ・・・おきない……」

 目を開けるつもりが、つい目を閉じてしまう。
 身体がどうしようもなく重く、動けない感覚は、身体がお休みモードに入ろうとしている証拠だ。

「おっけー。ねむるよ・・・・・・。だから……ん……」

 ……ほんとうにおもい。
 そんな違和感から、クロノはもう一度目を開けた。はたしてここが夢の中なのか現実なのか分からない。光に包まれた景色の中で、クロノの上には、倒したはずのモーラの姿がいた。

「おま――え……!」

 モーラが目の前にいるのに、身体が思うように動かせない。
 既にモーラの術中にはまっているのか、クロノの警戒が強まる。

「なんの・・・つもりだ――?おれをどうする――?」

 悪魔特有の尻尾を振りながら、クロノの上でじゃれるように指が胸を這う。悪魔といえど、与える刺激はクロノに快感を与えていた。

「やめ、ろ・・・・・!」

 悪魔に弄ぶだけで不快感を示すクロノに、この時初めてモーラと目を合わせた。

「えっ?」

 クロノは確かに見た。モーラの目には涙が溜まっていたことを。
 傷だらけの身体で翼はボロボロでありながら、クロノにもう一度出会えたことで安心した表情を向けていた。

「(あいたかった……)」
「声が――!?」

 モーラから『人間』の言葉が聞こえた。クロノはなにがなんだかわからなかった。

「(クロノが夢を見てくれたから、意識だけを先に飛ばしてきたの)」
「俺を知っているのか?おまえはいったい誰だ?」

 その瞳の先に、持ち主である彼女が真実を明かす。

「(エリリ)」
「エリリって、・・・えっ、エリリ!?」
「(信じてくれないかもしれないけど、あの時、私とモーラの精神が入れ替わったのよ)」

 戦いの最中に『粉薬』にまみれた二人の精神が入れ替わっていたことを告げる。しかし、言葉は『人間』であっても、見た目は『悪魔』。その話を鵜呑みにできるほどクロノはモーラに警戒を解いたわけではなかった。

「じゃ、じゃあ・・・今俺たちのもとにいるエリリがモーラ・・・?――ウソだ。まるで夢物語だ」

 夢の中で夢のある話をされても、とジョーク程度にしかモーラ(エリリ)の声を聞いていなかったのが現状だ。

「(夢じゃないの、クロノ。ほんとうなの!)」

 クロノに詰めかかるようにモーラ(エリリ)が爪を向ける。襲っているわけでもないが、攻撃的になってしまうモーラ(エリリ)の習性が無意識に現れてしまっているのだ。当然、クロノを襲って胸板を這ったのも同じである。
 精神が完全にモーラ化する前に、なんとしてでもモーラ(エリリ)はクロノに伝えなければならなかった。

「(急いで逃げて。じゃないと、もうすぐ彼女が――!)」

 しかし、そんなエリリの願いを引き裂くようにモーラ(エリリ)の声が急にクロノの耳に入らなくなった。夢の世界を壊しにかかる人物が、クロノを強制的に起こしに来たのだった。

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「いいわぁ、ミルフィーナ。その乱れっぷり、たまらないわぁ・・・」

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 エリリ(モーラ)が声にしてもミルフィーナには聞こえない。ここにいるミルフィーナはもぬけの殻。今や『陰鬱の夢』にかかっているミルフィーナは夢の中で淫乱な行為の真っ最中。
 ドレスを剥ぎ取って胸を揉みほぐして、おへそを舐めて、陰部に性器をつっこみぐちゅぐちゅに濡らしても、ミルフィーナにとっては快感のみを植え付けて夢の中でご馳走にありつく。
 現実と夢を逆さまにされている感覚。クロノと一緒に性交している夢を現実と認識し、モーラに犯されている現実を夢だと勘違いしているのだ。
 だから、もし現実に醒めてモーラに犯されていることを目の当たりにしても、『これは夢なのね』と納得して好き放題に放置する。
 そういう状況が何回かあったが、ミルフィーナは気にすることもなく、エリリ(モーラ)に犯され続けていた。

「あはぁ、またイキそう・・・。でも・・・、うふっ、わかってる。一人ではイかないわよ。――供にイきましょう、ミルフィーナ。深い深い奈落の底へ」

 終盤にさしかかったエリリ(モーラ)の魔法は、ミルフィーナをどん底へ突き落としにかかる。


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「ウフフフ・・・。たくさんの精液をいただいちゃった」

 エリリ(モーラ)がいう精液とは生きる源となる精力の液体。『悪魔』族が大変好む『人間』が零すお汁だ。
 ナディアから貰うだけじゃなく、次の部屋へと行動を進める。
 何故なら、今の状況はエリリ(モーラ)にとって大変行動しやすい環境にあった。
 姫を救ったことで、エリリに皆が気を許していた。隠れる必要がなく、正面から自由に城内を歩けるのだ。

「すごい。こんなこと一度もなかった」

 スキップをしてしまうほどの行動のしやすさ。エリリという『人間』のカラダを手に入れたことはモーラにとって計算外のラッキーであった。

「これなら一晩で城内の精液を根こそぎ奪えそう――!」

 姫を救うはずがまさか、破滅させようとしているだなんてクロノ達が想像をしているわけもない。しかし、現状でエリリは次々と城内で精液を集めていく。
 男子から女子まで。出会う人物とカラダを交え、精力を奪い、力に変え、『人間』でありながら『悪魔』族の魔力を手に入れようとしていた。
 あと少しで陰鬱の夢―モーラ―だった頃の力が蘇る。それとも、もう手に入れたかもしれないという瀬戸際。誰でもいいから試し切りをしたいところであった。

「――――っ!?」

 その時、エリリ(モーラ)は一つの扉を見つけた。他の扉と違い、警備員が扉の前で仕えている部屋を見て、エリリ(モーラ)は逆に心揺さ振られた、
 中にナニが在るのだろうか?ダレが居るのだろうか?

「ねえ。この扉はナニ?」
「ミルフィーナ様の寝室でございます」

 警備員に話しかけると、簡単に教えてくれる。姫の寝室・・・。かつて自分が『陰鬱な夢』を見させた姫とあれば、今再び陰鬱な夢を見させるのが面白いと考えた。

「これより先はご遠慮ください」
「邪魔よ。睡眠―スリープ―」
「うおっ、なに、を……」

 不意打ちを受けた警備員が魔法により眠りに落ちる。警備員を床に転がしてエリリ(モーラ)はミルフィーナの寝室に立ちいった。

「どなた?」

 ミルフィーナは眠ってはいなかった。純白のドレスに身を包んだミルフィーナは、エリリを見てふっと警戒心を解いた。

「どうしましたか?もしかして寝苦しかったですか?」

 柔らかい布団とベッドを提供してなお気を使うミルフィーナに向けてエリリは不敵にほほ笑んだ。

「寝苦しかったら脱げないいじゃない。こうやってさ」

 上着の隙間から手を回して、背中に泊まっているブラの紐を外す。すると、エリリの形の良いおっぱいがミルフィーナの目の前に現れた。上着で全体は見えないモノの、シルエットだけでチラリと見えるその大きさにミルフィーナは驚いていた。

「ど、どうしたんですか?そんなことしなくてもよろしいのに?」
「アハっ、欲情しちゃった?そんなことないわよね?私なんかより姫さまの方が良いモノ持ってるそうだし。私があんたに『夢』をみせたら、簡単に淫乱になっちゃったもんね。そりゃあ現実世界じゃ鬱になるわよね?」

 モーラの固有魔法、――『陰鬱な夢―nightmare paradise―』。
 夢の世界で淫乱な行為を魅せる夢の書き換え魔法である。しかし、その魔法は現実世界に影響を与え、モーラが見せる淫乱な夢は本人の脳裏に焼きつかせる。
 ミルフィーナはかつて淫乱な自分を夢で見させられ、現実世界でも自分が淫乱だと錯覚させられ鬱になっていた。
 歯止めの効かない性欲と、抑えられない衝動による隔離を余儀なくされていた。
 きっとミルフィーナが未だ眠っていなかったのは、後遺症によるものだろう。今宵で安心して眠れると思っていたはずのミルフィーナが、エリリから『夢』の話を聞かされた瞬間に身を強張らせた。

「――っ!あなた、どうしてそれを?」
「そんなことどうでもいいじゃない。夢から覚めたらこれが現実。現実の世界でも私があんたを可愛がってあげるわよ」

 そういうと、エリリはスカートを捲り衣装と同柄のショーツを見せる。女性ののっぺりとしたアソコをショーツごと上から指でなぞるエリリは、スジをなぞることでくっきりと跡を付けさせているのかとミルフィーナは思った。しかし、そうではなかった。つぷっと、まるでショーツがスジに合わせて破れたかのような音が聞こえたと思ったら、そこから奥に現れてきたのは、なんと男性の性器だった。

      
魔力を使えばナニも生えます

「えっ、えっ?ええっ?」

 ミルフィーナが驚きながら固まっていた。女性から男性の性器が生えているのだ。ここで驚かなくていつ驚くというのだろう。
 しかし、エリリ(モーラ)にとって性器を生やすことは魔力が戻れば簡単なことだった。時には魔力を放出し、『悪魔』族の遺伝子を残す為に、『人間』のカラダに生みつけることもあるほどだ。
 今回もまた、それだ。


「さあ、愉しみましょうミルフィーナ。再び『陰鬱の夢』を再現させてあげるわよ」
「あ、ああ・・・」

 エリリはベッドの上に逃げた袋の鼠に襲いかかった。

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「陰鬱の夢―モーラ―の討伐に成功しました。これでもうミルフィーナ姫が悪夢に悩まされることはないでしょう」

 クロノが報告すると、話を聞いてたミルフィーナがクロノの前に進んできた。

「わたくしの為に死力を尽くしていただき、本当にありがとうございました」

      
姫さま可愛い

 低姿勢で丁寧にお辞儀をするミルフィーナに一同は思わず言葉を失ってしまった。

「あっ、いや、俺たち当然のことをしたまでで、別に姫様が頭を下げる必要なんかない」
「わたくしを助けたいその想いだけで、頭を下げるに十分な行為ではありませんか。無事に戻ってこられて本当によかった」

 微笑むミルフィーナにようやく平和が訪れたことを実感する。
 方やその様子をじっと黙って堪えるエリリ(モーラ)。いままで理解できなかった言葉を、エリリの知識と記憶から理解してしまうことが逆に悔しい。

「(なにさ。私の身体を殺しておいて感謝の言葉をかけるなんて、ほんっとうに『人間』って最低ね)」

「(でも――)」と、エリリ(モーラ)はほくそ笑む。その身体に入っていた仲間をまさか自分たちが殺しているとは思いもよらないだろう。その事実を知った時の驚愕した表情を見るのが待ち遠しく、今はその為だけに耐えていられる。

「どうぞ、今晩はわたくしの城でお休みください。部屋は自由に使って構いません」
「ほんとう!お城に一泊できるなんて夢のような話ね!」

 ナディアがクロノの腕を引っ張りながら喜んでいる。エリリ(モーラ)もこれが好機とばかりに喜びを露わにする。

「クロノ!姫さまからのせっかくの招待を無碍に断らないよね?」
「おまえ達、もう少し落ちつけって……あっ、いや、すまない。姫様。俺たち、こういうの馴れてなくて、素直に甘んじまうって言うか、その……」
「うふふっ、よろしいのですよ。わたしも一人で眠るのが淋しくて……」
「えっ?」
「あっ、その……いまのは、そう言う意味でおっしゃったわけではなくて、まだ夢見心地から覚めていないようで……」

 ミルフィーナもまたモーラを倒したからと言って、陰鬱の夢を見ないのか正直不安でたまらないのだろう。そのためには多くの仲間たちに囲まれて眠りについた方が安心できるということだ。
 まだ18の姫、ミルフィーナ。一人の夜が耐えられないというのなら、クロノ達が傍で護衛をしていた方が安心である。

「じゃあ、お言葉に甘えさせてもらいます、姫様」
「ええ。ごゆっくりおくつろぎください!」

 クロノの言葉で年相応にはしゃいで喜ぶミルフィーナに、クロノは一人目を奪われていた。
 仲間一人一人に握手を交わしながら、ねぎらいの言葉をかけていく。

「一晩よろしくね、ミルフィーナ姫!」
「ええ。こちらこそよろしくお願いします」

 ナディアとミルフィーナは言葉をかわしながら、互いに手をとり微笑みあう。
 そしてその手が離れると、ミルフィーナはエリリ(モーラ)の前に立った。
 今まで悪夢をみせていた相手が目の前にいるとは夢にも思うまい。

「ありがとう、エリリ。今晩はゆっくり過ごしてくださいね」

 手を差し伸べるミルフィーナにエリリ(モーラ)は一瞬躊躇したが、満面の笑みで微笑むと、その手をがっしりと掴んで離さなかった。

「ミルフィーナ姫。今夜も良い夢が見られるといいわね!」
「えっ・・・?」

 今夜『も』という言葉が気になったのか、疑問の声があがってしまうが、エリリの様子から、それは言葉の綾だとすぐに察して、なにも追及もせずにその手を放した。
 エリリとナディアはミルフィーナとの謁見が終わるとすぐに場内を回って今夜の寝床探しに勤しんでいた。
 上質なベッドから気品漂う上品な毛布を使ったベッドまである。
 どのベッドにするか迷いながら、最高級の寝室を選ぶ。

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「あん。こんなベッドで眠れるなんて夢のよう~。生きてて良かったぁ」
「こんなテンションじゃ眠れないだろうな」
「テントで寝ると背中が痛いんだもん。ここではしゃがなかったらいつはしゃぐのよ?きゃっほーい!」

 ベッドの上で跳ねるナディアに、エリリ(モーラ)もまた声をかける。

「こんなベッドで眠ったら、さぞかし心地良い夢が見られるんだろうなぁ・・・」

 その言葉に誘われるように――
 ナディアはクロノの期待に反して、ベッドで横になった瞬間に深い眠りについてしまった。ちょっとやそっとじゃ起きないくらい柔らかい布団に身を沈めていた。

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「やっと見つけたぜ」
「こんな廃屋に潜んでいたなんてね」

 クロノたち一行は目当てにしていたモンスターを発見した。陰鬱の夢―モーラ―である。

「おまえのせいで、俺たちの姫様が眠れない日々が続いているんだ。おまえが忍び込んで暗示をかけた相手が悪かったな」

 モーラは人の睡眠に入り込む悪魔である。人の見る夢を陰鬱にさせてしまう厄介な相手である。それによりクロノたちはモーラ退治に名乗り出たのだ。
 魔王が倒れてもなお悪さをする悪魔族。これは残魔狩りでもあるのだ。

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「私たちの平和を手にするため、ここでおまえを倒す!灼熱の太陽―Atomic Sun―!」

 エリリが炎魔法を飛ばすと、モーラも宙を舞う。だが、エリリもまた上級魔道士。その素早い詠唱魔法にモーラの羽根をかすめてよろけた。

「Kyiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiii!!!」

 悪魔とは言葉が通じないように、モーラが悲鳴をあげる。隙を逃がさないようにエリリはさらに距離を詰めた。

「そこね――!」

 エリリのカラダには不釣り合いなステッキを振り上げた。モーラはそれがステッキだと思っていたが、それが間違いだったことにようやく気付く。
 柄を掴んだエリリの先に延びる金色の勾玉は、よく見ると槌鉾であった。


 ――それは悪魔を叩き潰す巨大な鉾―エルトール―。
 朧月夜を明かす聖なる壊滅の一打撃―クロノス―


「月下光し――」

 ――次の瞬間、エリリの視界が奪われた。


・ナディアは『粉袋』を投げた。
 モーラの視界が奪われた。

「よし!次に視界が開けた時に目にもの見せてやる。第六楽章―night song―」

 ナディアの武器『装てん、ガトリングガン』。無限に弾丸を放つことが可能。しかし、ナディア自身も動くことが出来なくなる。とはいえ、モーラに逃げ場なし。

「地上の祈り……荒ぶれ、Wave!猛り雷土―タケミカヅチ―!!」
「バカ野郎!」

      
タイミングミスってあると思うんだ

 ナディアの『第六楽章』を慌てて制止させるクロノ。今までの一連の流れのダメ出しがあがった。

「せっかく手に入れた『粉薬』まで投げやがって!」
「だって使い方分かんないし。あれで使い方間違ってないでしょう?結局のところいらないし」
「いらなくても取っておかないと気が済まねえんだよ、俺は!」
「貧乏性」
「うっせえ!盗賊魂だ」

 言い方一つである。

「しかもこんな狭い場所で『第六楽章』を使ったりしたら、エリリもやられるだろう!」
「……いらないと思って」
「馬鹿野郎!」

 冗談交じりに呟いたナディアにさらにダメ出しが入った。
 冷静に状況を把握するクロノ。『第六楽章』を使ったら廃屋すら潰れかねないのである。
 ナディアもクロノやエリリと行動する仲間であるが、自分が先に敵を倒したいという衝動に駆られてしまうとまわりが見えなくなってしまうのである。

「いいか。ここはエリリのように魔法で威嚇しながら近距離に持ち込むべきだ。ナディアは遠距離担当だから今回は回復に努めてくれ」
「ええ~。ショットガンもあるのに~」
「全員が前衛にくるなよ!」

 「・・・とはいったものの」と、クロノが目の前をむく。粉塵と砂塵が入り混じった煙幕が高々と舞いあがっており、消えるまで行動が取れそうもなかった。
 中に消えたエリリは無事なのだろうか、もしかしたらモーラが奇襲を仕掛けてくるかもしれないと緊迫した状況がしばらく続いた。

「いったいどうしたっていうのよ、エリリ~!」

 声をかけてもエリリからの返事がない。今はこの煙が消えるまでクロノとナディアは待つしかなかった。

 ・・・・・・・・・・
 ・・・・・・・
 ・・・・

「いた!」

      
呆然

 煙から出てきたエリリを見つけた。
 気を失っているわけでもなく、モーラにとどめをさしているわけでもない。
 立っていた。自分の身体と何故か見比べながら、呆然自失していた。
 無理もないとクロノは思った。

(『不意打ちの第六楽章を無傷でよく生き延びたものだな……』)

 それにしてもエリリがなかなか我に戻らない。我ここに関せずとばかりに動かない。すぐ近くに陰鬱の夢―モーラ―が潜んでいるかもしれないのだ。

「あっ――!」

 クロノが声をあげた。
 煙の中からモーラもまた姿を魅せたのだ。しかし、こちらは当たらなかったというわけではない。翼は折れ、地面に落ちてもがき苦しんでいるモーラの姿があった。手負いとは言え、悪魔族はそこからでも十分形勢を逆転できる魔術を持っている。
 そう思ったらクロノは飛び出していた。
 すぐそばにいるエリリを救わなければならないと思ったのだ。

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