純粋とは矛盾色-Necronomicon rule book-

夢と希望をお届けする『エムシー販売店』経営者が描く腐敗の物語。 皆さまの秘めた『グレイヴ』が目覚めますことを心待ちにしております。

カテゴリ:グノーグレイヴ『憑依・乗っ取り』 > 飲み薬『妹と(彼女と)妹の友達と』

 扉をノックし、八雲は勇散の前に顔を出した。勇散が反応するより先に八雲が一度引っ込むと、ひっぱるように美咲を勇散の部屋に入れさせた。緊張した面持ちで顔を真っ赤にして、珍しく勇散に目を向けられずに手を捏ねて身をよじらせていた。
 がんばってと応援する八雲。
 何故美咲と八雲が一緒になっていたのかはわからない。それでも勇散には女性同士、打ち解けているかのように思えた。

「おにいちゃん……」

 美咲は今から告白をする。
 今まで勇散と一緒にいた17年間、感謝と好意を込めて――

「わたし、おにいちゃんのことが好きです……」

(わたし…言えた……自分の、ほんとうの気持ち……)

 嬉しくて涙を流す。止まらない想いが込み上げては口をつぐむ。

「大好きぃ……おにいちゃん……言いたかった…ずっと、ずっと言いたかったぁ……うああああぁぁぁん!!!」
「なんで泣いてるんだよ?可笑しな奴だな」

 勇散も妹からの告白に恥ずかしくなりながらも、嬉しさを滲ませるように鼻を掻いた。

「ありがとう、美咲。兄ちゃん嬉しいよ」
「……ぐすっ、…ほんとう?」
「ああ、美咲は俺の妹だ。付き合う事は出来ないけど、家族だろ?」

 「かけがえのない存在だ」と、勇散は美咲が今一番欲しかった言葉を言った。
 『恋人』と『かけがえのない存在』。きっと勇散の中では天秤にかければ同じくらい大事な存在だろう。
 これが美咲に対する勇散の『スキ』という答え。

「あ、ありがとう……」

 美咲は一番素敵なものを勇散から貰った気がした。
 八雲がもらい泣きするのを見て、勇散は八雲に顔を向けた。

「八雲……」

 美咲が見せた『好き』という想い。八雲とはまた違う種類の、『好き』という意味。
 八雲も知った。翠に教えてもらったことだ。

      e4d16ecc.jpg


「好きって言葉は一つじゃないよ?その時その時にカタチを変えて、いろんな人がいろんな想いを込めているんだよ。だから勇には『好き』って想い全てを受け取ってほしい。私の想いを全部汲んでほしい!
――私は勇のことが好き。それを言える私も好き。そんな二人が大好き!」

 「欲張りな私で、ごめんなさい」と、照れ笑いをしながら言う八雲を、勇散はぎゅっと力強く抱きしめた。

「ゆう……」
「謝るなよ、俺の『好き』ってカタチに収まりきれなくなった八雲が怖くなって、逃げ出したのは俺なんだ。だから、俺ももっと努力する。八雲を好きになる努力をする。ずっと、これからも――」

 勇散の告白。今までよりもその先へと続く誓い。

「勇――!わ、わたしも、努力する……もっともっと、自分の意見を言えるようになって、勇のこと、もっと好きになりたい!!なぁなぁの関係はもうイヤなの……勇に甘えたいの……!」
「…………今まで我慢させてごめんな」
「――――」

 勇の腕の中で涙を流して喜ぶ八雲。そんな八雲が帰ってきたことに、勇散もまた喜んでいた。
 二人は最高のカップルだ。決して誰も邪魔できないだろう。
 美咲は物音をたてないように静かに部屋から出ていった。
続きを読む

 勇散の泣いている姿が蘇る。どうして泣いているのか分からない。
 彼氏彼女の関係なんだ、プラトニックな関係になっても不思議ではない。そうして二人で愛を育み幸せな家庭を築いていくのが美咲の理想だ。
 私も早く恋人を探そう。お兄さん以外に素敵な男性がきっといる。

 勇散……おにいさん以外にも…………

 頭に引っかかる兄への想い。どうしてだろう、隣にいてくれた人が突然いなくなったかのような虚無感が私の心にはあった。
 私の隣にいてくれたのは……勇散お兄さんと瓜二つの、別人。だって、そうじゃなければ辻褄が合わない。
 私と勇散は兄弟で、愛があってはいけない関係のはず、だから。

 忘れよう。
 そんな虚無感も失うくらいの素敵な男性を探そう…。
 翠ちゃんと一緒に見つけよう……。
 そして、お兄さんに私の彼氏を見せびらかそう………。
 羨ましがるような、素敵な人をゲットしよう…………。

 私の初恋を、終わらせよう――
 さようなら、ゆう……


 
 ・・・・・・・・・
 ・・・・・・
 ・・・

「ねえ、美咲ちゃん」

 急に呼ばれて我にかえった。虚無感に苛まれていた美咲は翠に何度も呼ばれていたことも分からずに自分の胸の内と会話していた。

「……え?なに?」

 結論が出たはずなのに、どこか顔色が優れない。翠が美咲を心配していた。

「美咲ちゃん、なんか変だよ?どうしたの?」

 翠にも分かるくらいの疲労感を浮かばせ、普段の勝気でまわりを引っ張る元気は今日はなく、どこか引っ込み思案でもの静かな美咲を見るのは初めてだった。
 何気ない日常のはずが、まるで今日は異常の気がした。

「ねえ、私。なにか、大事なこと忘れちゃった気がするの。なんだかわからない?」

 翠は昨日美咲に協力してからなにが起きたのかを知らない。気が付いたら家のベッドで眠っており、翌日学校に平凡に美咲は現れた。
 しかし、その日から美咲は何かがヘンだった。親友が言うのもあれだが、まるで翠のことを親友と忘れてしまったかのように、美咲は翠に対して怯えていた。
 挙動不審になっていたのだ。三日たった今日だからこそ、普通に戻りつつあるような気がしていたが、それでも翠は美咲が壁を作っているような気がしてならなかった。
 感じてしまうのがイヤ……翠も美咲になにがあったのか分からないことが悔しかった。

「お兄さんを八雲さんに取られることが、胸を締めつけられるように苦しいの?……ねえ、これっておかしいよね?私たち兄妹なのに、こんなのおかしいよね?」

 美咲が兄を好きだと言う事を、何故か翠は十分承知していた。それを本人が聞いてくる状況は珍しい。

「美咲ちゃん、お兄さんのこと大好きだからだよ」
「そうだけど、その好きとは違う。本当に……お兄ちゃんのことが、好き…だった……」

 自分の意志と意見が食い違う。本音は違うのに、理性や常識に流される。
 翠の知っている美咲との違うのはそこだった。自分にまっすぐで非常識ですら突き進む美咲を翠は知っている。『飲み薬』を持っていたのもそれだ。美咲のひたむきで一途で思ったらすぐ行動するところが美咲の魅力だったのに、いまではそれが皆無だった。

(私の知っている美咲ちゃんじゃない……)

 そんな気がした。

「私のこと『好き』?」

 翠が聞く。

「うん、『好き』」

 美咲が答える。

「その『好き』と違うの?」
「うん、ちがう…と思う……」

 一途な美咲の好きという言葉は一つしかない。勇散に対して全力で愛すること。しかし、それ以外の好きなカタチを美咲は知らない。だから悩む。『好き』すぎて困るくらいに――。

「美咲ちゃん。なんか雰囲気変わったね」
「えっ?」
「今朝なにかあったの?それともひょっとして、私が気を失っている時に何かあったの?」
「ナニカって――」

 いったい何があったのかを聞きたくても、美咲はなにも答えない。全部曖昧。『好き』すら曖昧。親友すら曖昧。
 翠が美咲に対して怒ったのも初めてだった。

「もう!なんでそんな返事しか出来ないの!?美咲ちゃんの考えてることが分からないよ!」
「翠ちゃん……」
「私の知ってる美咲ちゃんは、何事にもまっすぐだったよ!例え道を踏み外しても自分を貫くもん!だから私は美咲ちゃんのことが好きだった!!お兄さんを愛するって言った美咲ちゃん、すごく格好いいって思ったもん!!」

 勇散と同じくらいの努力家だ。人を好きになるには何十年かけていくのかわからない!
 美咲は勇散を想った。
 生まれてずっと一緒だった勇散を好きになるのは当然だと思ったのに、それ以上に勇散を知ろうと頑張った。
 たとえ世間や常識が非常識だと罵っても、美咲の親友の翠だけは誇りに思おう。

「なのに……急にお兄さんの気持ちを押し込んじゃって……そんなの、美咲ちゃんじゃないよ!!」
「翠ちゃん……ごめんね…」
「謝らないでよ!どうして、そんな淋しいこと言うの?ごめんねって、私の言葉認めちゃうの?……一つぐらい反論してよ……美咲ちゃん……」
「ごめん、ね……」

      297577f0.jpg


「ばかあ!!!!」

 泣いて美咲の前から消えていく翠。
 親友であるのに、まるで美咲のことのように泣いてくれる翠を失ったことに、美咲も涙を流した。

「わたしは、わたしのことが……わかんないよ……だって、わたしは――」

 込み上げてくる言葉。あと少しで出かかった声を喉に呑みこんでしまう。
 そして、呑んだ言葉と同じだけの量を涙で流さなければ気が済まなかった。
続きを読む

 寝ていた俺は下半身に不審な温かさを感じた。
 何事だろうと寝ぼけ眼で目を覚ます。
 すると――、 

「……ぺろ…。ちゅぱっ……あーん」

 早朝だというのに、八雲が俺の部屋を訪ねてきており、おれの逸物にフェラをしていたのだ。生理現象で朝立ちしている俺の逸物は、朝から舐められる喜びに普段以上に大きく勃起させていた。

「ちょっ、おま――!」
「……ぺろん……おはよ」

 少し照れた表情で挨拶する八雲。なぜかセーラー服を身につけて何事かと思う。

「朝から彼女が起こしにきてあげたんだぞ?高校の時に着ていた制服だぞ。嬉しく思わなきゃ損だよ!」

 確かにこんな展開ありえねえと思っていた。夢のような心地良さを今でも感じているが、
 やっぱり目を覚まして逸物を曝け出されていると、感謝の心を失って驚くしかない。

「あむっ!」

 八雲が再び逸物を咥え出す。

「あ~~~っ!」
「んむむ…くちゅ」
「う、あ…! だ、だめだって…!」

 肉棒に、ピリピリした感覚が駆け抜ける。

「んんんっ……ちゅるっ。おち〇ぽ、こんなにたてて…朝から、スケベね…じゅる……ふんんっ」

 まるで飴玉を転がすように、口内で亀頭を舐めしゃぶる八雲。八雲の小さなお口では正直俺の逸物がデカすぎる。それでも健気に頑張って頬張る八雲を見ている瞬間が気持ちよすぎた。

「んんっ、ちゅる、ちゅっ、ちゅぱ…くちゅ……ふんんっ…んっ、ぁ、む…ちゅぷ」
「あ、う…」

 その光景は、あまりにエロく、刺激的だ。

「んふっ。ビクンビクンさせて…ンンン……んっ、ちゅぷぷ、ちゅる、れろれろれろ…はぁむ」
「や、やばい!」

 俺が身体をよじろうとすると、八雲は歯を立てて肉棒を甘噛みした。

「あう!」

 その刺激もまた、敏感になった肉棒には新たな快感となって押し寄せ、勝手にビクビクと跳ねてしまう。

「ぢゅるっ…んふふっ、面白い……ぺろっ、んちゅっ、ちゅぅ、はぁ、ぺろ」

 八雲は、俺が逃げないように竿をぎゅっと握り締めた。

「うぐ!?」
「反応が可愛い……ちゅっ、ちゅっ、ぅんんっ、あんっ」

 根元から亀頭のくびれまで、キスをしながら舌を往復させる。唾液をたっぷりと含んだ舌が、敏感な裏筋からカリ首を這い回る感覚。

「んんっ。ちゅるっ……気持ちいい?」

 上目遣いに見つめてくる八雲の表情が色っぽい。俺は送られてくる快楽に身をゆだねる。八雲の涎がどんどん肉棒の根元に垂れ落ちていき、肉棒全体が、テラテラとヌメ光った。

「ああぁ…」
「ちゅる…気持ち良さそうな顔しちゃって……ほんと、スケベで変態」

 八雲は俺に変態なんていう言葉を一度も言ったこともない。そもそも八雲は朝からセーラー服に身を包んでフェラをするような娘だっただろうか?一体どこで八雲はこんな舌使いを覚えたのだろうか。

 俺の知っている八雲は――俺の思っていた八雲とは……かけ離れていく。

 亀頭に唇をかぶせ、尿道口を舌先で突いてくる。

「うっ――!」

 俺は背徳感を味わいながらも、八雲に抵抗する事も敵わず、うめくことしか出来なかった。

「ちゅっ、ちゅうぅ…ふぅんっ、んっ、ちゅ…くちゅ、ふンン、ちゅくちゅく」

 俺の反応を見ながら、八雲の舌先が亀頭の隅々までを嘗め回してくる。ピリピリとした感覚に、力が出なかった。

「ああ……!そこ!」
「んんっ……きもちいい?」
「キモチイイ」

 そう言うと八雲はにっこり笑い、舌先の動きを激しくしていく。

「でも、出しちゃダメだからね……くちゅちゅ…ふぅんんっ、ぅ、ちゅる…くち…」
「う、あ、ああ、」

 声を震わせ俺は歯を食いしばり、快楽の波に堪えるしかない。八雲が終えるか、俺が終わるかの我慢比べ。

「はあぁ、んんっ…ぢゅるっ、んっ、んっ、んっ、じゅぶぶぶ…どんどん、かたくなってきてる」

 肉棒の先から咥え込み、喉の奥までを使って抽挿された。

「ぐああ――!!」
「んんっ、んっ、んっ、ぢゅるっ、ぢゅぶっ……ぢゅぶぶっ…ぅんんっ、ぢゅるるるっ!」

 さらに激しく攻めたててくる八雲。俺の反応を面白がっているみたいだ。
 主導権は八雲にある。それがフェラだ。

「うんんっ、んん、ぺろっ…じゅぶっ、じゅぶぶっ…ちゅるる…ふあぁっ、ぁ、ぢゅくく!」
「うあ…も、だめ!」
「うんんっ……んっ…ぢゅるるるる!……はぁ、ちゅぷ!ぢゅくり!」

 生暖かくて心地よい吐息と、より激しい水音に腰がガクガクと震えた。逝きそうだった。

「あああああぁぁっ!」

 八雲が顔を放した瞬間に俺は迸った。

「ふあっ!?んああああぁ……はぁ…熱い、どろどろ〇ーメン……うぅん…はああぁ……」

 白濁液が、八雲の顔や制服に飛び散っていく。特に紺色のセーラー服に白濁色は際立った。

「出しちゃダメって言ったのに……どうしてくれるのよ、服も汚れちゃったじゃない」

      2f303089.jpg

 汚されたことを怒る八雲。そんなこと言っても男としてどうしようもできなかったのだ。

「ご、ごめん」

 素直に謝ると、八雲はフッと笑みを浮かべると笑って許してくれた。それほど怒っていなかったようだが、おれの心には違和感がつき纏った。
 そうして八雲はセーラー服を脱いだ。下着も外して白い肌を見せると、再び俺の上に乗って逸物を擦り始めた。

「それじゃあ、第二回戦やろう」
「えええっ!?」

 八雲の提案に度肝ぬかされる。

「いいじゃない。私たち血は繋がってない彼氏彼女なんだし!いっぱい愛しましょうよ!ねっ?」
「あ、え、ちょっ――!あああぁぁ・・!!」

 八雲は俺の言葉を聞かずに俺をいじりだす。身体は正直に反応し、俺たちは第二回戦を始めて快感を共有していた。

「―――――っ!」

 扉の向こう。俺を起こしに来た美咲が俺たちの行為を見ていることなど、俺たちに知る余地はなかった。
続きを読む

 ホテルに入った俺たちは、今まさに大人の階段を上ろうとしていた。と階まで八雲が来て家族の見えないところで一緒に遊ぶことはあっても、一線を越えた付き合いを八雲としてこなかった。
 八雲が自分から誘う事は一度もなく、俺も地に足が浮いて楽しいことばかりしてきた男だ。しっかりした職を探すまでは八雲がたとえ行為をしたいという思いがあってもやってこなかった。
 しかし、おれは今、まさにその境地へ立たされ、そして、八雲の思いを跳ねのけることが出来ずにホテルに足を運んでしまった。
 今更、八雲を拒んだら失礼になるが……俺は自分に負けたような気持ちだった。

 一糸まとわぬ姿で――

「全部脱いじゃった……」

 カーテンが閉められ、若干暗がりではあるが――

「やだ。あんまり見ないで……」

 ――顔を真っ赤にして、目を伏せる八雲。もじもじとした彼女の仕草、一挙一動が俺の情動を刺激してしまう。

「おっぱい…小さいから自信無いんだ。……ごめんね? おっきい娘の方が好きだよね? 私なんかじゃ……」
「そんなことない。俺は君だから好きになったんだ」

 自然と俺は顔を近づけ、安心させるように八雲の口をふさいでキスをしながら、乳房に手を添えた。

「あっ…ふっ…ちゅるっ…くすぐったい……」

 八雲の乳房は他の娘から見れば小さいのかもしれないが、感度は他の娘よりも絶対に良い。俺も他の娘と付き合ったことがないから分からない。でも、人との付き合いなんてそんなものだろう。
 一人を好きになって、全力で愛す。
 古い考えなのかもしれないが、俺はそれで良い。
 八雲だけを愛したい。
 ――一生かけて。

「手、あったかいね」

 紅潮したまま上目遣いにこちらを見つめてくる八雲。添えた手で、徐々に乳房をゆっくりゆっくり揉みこむ。

「んっ…ちゅる……それ、きもちいい。……あっ、ふぁ…声でちゃう……」

 隆起した乳房の先端にある小ぶりでキレイな乳首にも刺激を与えてやる。

「ちゅるっじゅるっ…んっはぁ―っ! 変だよっ……すごい、変な刺激がっ…んぁぁっ!!」

 刺激を与えるたびに八雲がより濃厚なキスを求めてくる。応じるように、俺も八雲への刺激を強く与えてやる。

「じゅるっちゅっ…ぷあぁあ、はぁっはぁっ…おっぱい、変になっちゃうぅ……」

 ぼうっとした顔つきの八雲の表情を見て、俺は逸物から感じる痛みを覚えた。ズボンから出たくて仕方ないと良いっているようだ。

「……ねぇ。脱いでよ…私ばっかりずるいよ…」

 それを感じ取ったのか、八雲は俺のパンツに手を伸ばし、ズリ下げてくる。怒張した俺の逸物が八雲の前に露になってしまった。

「すごいおっきくなってる……でも、こんなの入るのかな?」

 八雲は驚きの表情で俺の逸物をじーっとみつめてくる。やがて、細い指先が俺の亀頭を刺激する。

「んああ――!」
「わぁ…あっつい!…それに…なんか、ビクビクしていて、別の生き物みたい」

 指でカリから肉棒へとなぞられ、なんともいえない女性の刺激が送られてくる。

「そっちも同じじゃないか。こんなに濡らして…」

 俺も八雲の秘部へと手を伸ばす。

「やっ、だめ!汚いよ、そんな所……!」

 俺は構わず湿った膣を指でフニフニと押し撫でる。

「あっ、はっ…あぁぁぁ!だめ…やっ、変なの……さっきからソコが変なのに、そんな…されたらっ…あっ!」

 指の腹でコスってやると、どんどんとお汁が溢れてくる。透明で温かい液……これが女性の愛液。

「すげぇ濡れてる。触る度にどんどん溢れてくるな……はぁ…!」
「……んあぁぅっ!あっあっあっ…だめ!きちゃう…何か、変なのが、ああっ!!」

 八雲が息を殺しながら、俺の肩を力いっぱい掴んだかと思うと、突然痙攣したかのように身を震わせた。
 イったっていうことなんだろうか……?

「……っはぁっはぁっ……。 力、抜けて…何も考えられなくなっちゃった……」

 顔を真っ赤にさせ、目じりに少し涙を浮かべながらこちらを見つめてくる八雲。
 逝ったのだ。初めて見せる八雲の表情。満足そうにほほ笑む、艶やかな笑み。その表情を見ていると俺の逸物も更に血流が流れ込み、ドクンドクンと波打ってしまう。

「すごい苦しそう。……ねぇ、最後までしよ? あなたの…ちょうだい?」
「……いいのか?」
「うん。勇のおちんぽ、私のおま〇こにちょうだい」

 そう言うと八雲はベッドに身を預け、足を申し訳ない程度に開いて誘ってきた。お互い恥じらいだらけだ。だが、それ以上に八雲とひとつになりたい、という欲望が俺の背中を押した。
 息が荒げる。八雲―かのじょ―と一つになれる……すぐ目の前にあるのに――

 何故か俺を不安にさせる……。 

「んぅっ。そこ、違うかな……もうちょっと下…うん、そこ」

 初めての緊張のあまり、彼女の言うままに肉棒の位置を調整する。ゆっくりと、腰を沈めていく。

「ん…んんんんうっ……!!!!! いた…ぁぃ……くあぁぁ!」

 先端が入った時、八雲が押し殺したような悲鳴を上げ、思わず腰の動きを止める。

「だいじょうぶ――」
「――あっだめっ……やめないで。 ゆっくり、ゆっくり挿入れて……?」

 その言葉を聞き、俺が不安になっているものがなんだかわかった気がした。

 今日のデートは、八雲が先導している。
 電車に乗ったのも、初めて足を運んだアダルトショップも、ホテルも、――挿入も。
 俺がやっているのではなく、八雲が率先して俺を味わっている。
 言葉巧みに俺が主導権を握っているような気持ちでいたが、逆だ。俺は始めからしたくないのに、いつの間にか八雲の中に挿入れてしまっている。
 八雲が仕掛けた。そして、俺の逸物に悦んでいる……アダルトショップの時に垣間見た笑み……八雲の表情――。
俺は再び腰を先ほどよりも慎重に慎重に沈めていく。

「ふあぁああ!!あっ!んっうぅうぅぅぅぅ!!! おっきぃよぉっ――!!」

 肉壁を押しのけて、やがてコツンと何か壁に当たった気がした。

「はっ…はっ…うっ……ぁぁ、全部…入っちゃったぁ……」

 ふと挿入部分を見てみると、血が流れていた。八雲の処女の証だ。

「はぁ…はぁ…やっと一つになれた…ね…」

 にっこりと微笑む八雲が可愛くて、もっと、もっと八雲に悦んで欲しくて、俺の逸物に無数に絡まる八雲の肉壁をむさぼるように、ゆっくりとピストンを始める。

「あぁっ…んうっ…ひぁっ…っ! うぁっ、あっ……はぅっ、うっうっ!」

 八雲の身体が徐々に火照っていく。 汗がにじみ、八雲の匂いが俺の情動を更に刺激していく。

「はぁっはぁっ。ねっ?きもち…いい……?わたしの、なか……?」
「あ、ああ……ああっ!」

      fbc4cf1b.png

 より彼女を求めるように俺は、再びキスをする。舌が絡み合い、唾液を八雲へと移す。
 騙し騙されるのが男女の中だ。彼女が悦んでくれるなら俺は騙されてでも、いい。許すよ……。

「ちゅる…んちゅ……ふあぁっ!……あうんっ!ひあぁっ!」

 自然と腰の動きが大胆になっていく。ニチュニチュとした粘液が絡みつく感触。膣内の熱い温度。性器を通して、ふたりの感情が昂ぶり、気持ちがひとつになっていく。

「やっあっふああっ!ちゅるっ、ん、じゅるるっ……っそんなに…はげ、し…また、変になっちゃう、よ…あぁぁ!!」

 一心不乱に八雲をかき乱す。 とっくに俺は制御が出来ない。

「あっあっあっああっ、だめ、きちゃう、またきちゃう、やっあっああぁあぁぁ!!」
「でる……!!やくも――!!!」
「ふあぁあぁぁぁぁああああああ!!! はぁっ…はあっ…」

 初めてで、抜く暇もなく中出ししてしまった。八雲の膣内に、ありったけの欲望を放った。止め処ない精液は、次から次へと彼女の膣内へ送り込まれていく。

「はぁっ…はぁっ…アツイ……この感覚が精液の……感触…はあぁ……」

 逸物が自然と抜ける。コポッと大量の精液が零れ堕ちる。愛液と溶け込みシーツにシミを広げていった。

「ひとつになったんだね、私たち」

 ぽぅっと艶っぽい笑みを浮かべながら、彼女は俺を見つめてきた。

「中だししちゃったね? くすっ…赤ちゃん出来ちゃったら、どうしよう?」
「う……そしたら当然――」

 結婚するしかないよな。責任もって俺が八雲を嫁にしてやる。
 八雲とならやっていける。……今までそのはずだった。
 でも俺の思いとは裏腹に、今回の一件で、八雲の中で今までと何かが変わったような気がして……
 嬉しそうにしている八雲にしっかりとした答えを出すことは、俺にはできなかった……。続きを読む

 勇散と八雲は電車に乗って陣保町まで来ていた。町が大きいだけあり夜でも明るい陣保町だ。洒落たバーやディスコもあり、活気を出して賑わっていた。
 勇散は食事をしてから夜まで八雲と踊るつもりだった。今回、勇散が足を運ぶ音楽会場でDJをすることができた。八雲に雰囲気を味わいながらも音楽に合わせて踊ってもらえたら良いなと、本当は内心で緊張していた。

 それが、誰から見ても分かるくらい、勇散は緊張したように顔を強張らしていた。
 
 八雲に連れられて入った場所は、人気のまったくない暗い場所に聳えるアダルトショップだった。 

「ねえ、これ見てよ!今のオナホって実在する人のカタチまで忠実に再現してるんだね。凄くない?」

 八雲は店内においてある玩具を手に取りながら興奮したようにはしゃいでいた。静かな店内で八雲の声だけが浮いている。八雲が楽しそうに店内を歩いているのは良いが、

(八雲、こんな趣味があったのかよ……)

 今まで知らなかった八雲の趣味にドン引きである。

「おい、こんなところに彼女連れてきてるぞ?」
「彼氏はドSですなぁ」
「それを見せられる俺たちは…………」

(見せつけかよ、ゴルアァ!!←心の声)

 店内も騒然である。なんとも気まずい。勇散は男でもアダルトショップに入ったことは一度もなく、嫌悪感を前面に押し出していた。むしろ八雲にあった清楚なイメージが音をたてて崩れ落ちそうだった。

「じゃあ、私のカタチもオナホで造ってもらえるかな?」
「おい、八雲!」
「ん~?」
「……はやく出ようぜ」

 八雲の発言、八雲の言動がその場にいる勇散には居た堪れない。

「どうして?勇、こういうのキライ?」
「好きとか嫌いじゃなくて――」
「それとも、こういうの好きな女の子がキライ?」

      2cbcc0dd.jpg


 挑発的な目。八雲が見せたこともない視線に目を合わせることが出来なかった。

「ウソ!冗談。勇をからかっただけ。早く出ましょう!」

 玩具を元に戻して店内を出ていく。外に出てもアダルトショップというのは常軌を逸しているというか、別の空間に繋がっているというか……、雰囲気にのまれたのか、勇散は食事をしたわけじゃないのにお腹がいっぱいだった。
  
「食事って言う気分じゃなくなったな。どうする?このまま気分変えて踊りに行くか?」
「ううん、そうねぇ……」

 今日のことは忘れて発散したかった。身体を動かせればスポーツバーでもよかった。
 勇散の考えを受け入れるように考える仕草をした八雲は、しばらくして――

「ホテル行きましょう」

 アダルトショップのすぐ近くにある、スーツを着ている男性が門の前に立っているラブホテルへ勇を連れていった。
続きを読む

 玄関のドアが閉まる音が聞こえた。
 なにが起こったかと窓から外を見下ろした八雲の瞳には、外出する勇散と八雲自身の姿が映った。八雲は勇散の腕を掴んで離さないようにぎゅっち寄り添いながら歩いている。
 心弾む姿が窓越しからでも分かってしまう。
 でも、それは八雲ではない。八雲は家に取り残されているのだから。

(勇!私はここよ!勇の隣にいるのは私じゃない!)

 伝えたくても今のままでは誰も何も聞こえない。幽体のままではいけないと、何とかしようと考える八雲は部屋を見回した。なにかないかと探す視界には、美咲の友達の翠と眠ったままの美咲がいた。

(眠っている美咲ちゃんが、今の私のはずよね?)

 先程のやりとりから考えて、八雲は眠っているように見える美咲は本当に意識がないのだと思った。だから誰もいない家に翠を残して何かあったら連絡を取り合う魂胆なのだと思った。翠も何かをする様子もなく、ただ美咲の様子をじっと見つめているように思えた。
 もしかしたら美咲のように、八雲も美咲の中に入れば会話が出来ると考えた。

(ごめんね、美咲ちゃん!)

 でも、おあいこだよね?と自分を正当化しながら、八雲もゆっくりと美咲の元へと降り立った。そうして身体を重ねて美咲の中に入る込むことをイメージすると、急に目の前が真っ暗になった。
 重くなった身体。重力を感じたからだ。ぱっと目をあけると、八雲の目の前には翠が八雲をじっと見ていた。

「あっ、目を覚ました……って、ことは――」
「う……ん…。えっと、翠さん、でしたよね?」

 身体を伸ばしながらベッドから起き上がる美咲(八雲)。翠はその口調から八雲が美咲に憑依したのだと感づいた。

「人の身体だと身体のバランスがおかしく感じるわ。後ろ髪を引かれるみたいって、後ろに髪の毛をおろしてるんだもんね」

 サイドテールが基本の八雲だ。一回り年齢の幼い美咲に八雲は回春したような思いが込み上げる。それでも駆けまわる元気がある美咲の脚は、今すぐにでも勇散を追えるほどの力を蓄えていた。

「そうだ。はやく私たちを追いかけないと――」
「――美咲ちゃん!」
「えっ?」

 突然翠に呼びとめられた美咲(八雲)が振り返ると、翠は美咲に襲いかかっていた。覆いかぶさるようにのられると、美咲はバランスを崩してベッドに舞い戻るしかなかった。そして布団をかぶせられ視界を奪われている間に何かをされ、再び布団を剥いで光が戻ってくると、美咲の手足に体操で使うリボンが巻きつけられていた。

「な、なに、これ――?」

 手足を縛られると思うように身動きが取れない。身体をくねらしベッドで暴れる美咲(八雲)を翠は見下ろしていた。

「翠さん、これはいったいどういうこと?親友を縛るなんてあんまりです」

 八雲の友達でさえ八雲にちょっかいやからかうことはあっても、身体を縛って拘束した人はいなかった。縛られるといやでも身体が強張る。友達であっても翠のことを怖がってしまう。すぐに解いて辞めさせるように説得するが、八雲は笑ってすましていた。

「大丈夫だよ。美咲ちゃんからオッケーもらってるから」
「私をわざと美咲さんの身体に入るように仕向けたんですね。私を動けなくして追いかけさせないようにするために」

 いわば翠は八雲の監視役。美咲を慕う友達思いなのは八雲にだって重々承知だ。

「……でも、親友なら教えてあげないと。美咲ちゃんと勇は『兄妹』だって!」

 ごめんねと心の中で呟きながらも、美咲が目を背けて逃げている現実を口にする。

「――彼氏彼女になっちゃいけないって!」

 兄妹が仲睦まじくすることはあっても、行き過ぎた付き合いを誰かが諭してあげなければ可哀想だと八雲は言う。
 兄として尊敬する面と、男として敬愛してはいけない。これはどこの家庭でもそうだ。
 『飲み薬』による美咲の暴走を止めてあげられるのは、家族じゃなければ友達しかいない。

「お願い、翠さん!私と協力して。美咲さんを説得して!」

 間違いは間違い。後で取り返しのつかないことになる前に美咲を連れ戻さないといけないはずだ。
 なのに翠は美咲(八雲)の声を鼻で笑ったのだ。

「なにもおかしなことじゃないよ。勇散お兄ちゃんは『彼女』の八雲さんと出掛けたじゃない」
「違う!それは私の中に入った美咲ちゃんなの!私は本当は――」
「知ってるよ。八雲さんでしょう?クスクス……そしてね、私はね――」

 その後聞いた翠の告白に美咲(八雲)は目を見開いて驚いてしまった。

      63cbb505.jpg

「――美咲だよ」

 勇散と供に消えたはずの美咲が、今度は八雲の前で翠の姿で現れていた。
続きを読む

 勇散の部屋に入った八雲(美咲)。兄の眠っている素顔は何度も見ているが、八雲の視界で見る兄の寝顔はまだ違った雰囲気を出していた。
 今まで口五月蠅く騒いで布団を剥いで無理やり起こすのではなく、兄の寝顔をこのままずっと見ていたいと言う心境で顔を近づける。
 本当に眠っている。まるで死んでいるようだ……。

「お兄ちゃん、起きて……」

 八雲の声で耳元でささやく美咲。

「じゃないと、またいつものように無理やり起こしちゃうよ?」

 いつもの、と言っても前回は半年を過ぎて7ヶ月前だった。以前とは美咲の心境もだいぶ変わっていた。「起きろー!」と耳元で叫ぶのではなく、肩を揺すり、まるで彼女になったかのように優しく起こすことを心がける。

「うーん……」

 兄が寝返りをうった。逆に揺らすことが気持ち良いのだろうか。兄の寝顔が見えなくなった。

「もう、こっち向いて、おにいちゃ――」

 が、また少し揺すってやると再びこちらに顔を向けた。不意打ちで顔が兄の顔がすぐ近くにあった八雲(美咲)の顔が真っ赤に染まった。

「ち、近いよ!お、お、お兄ちゃんの唇が、少し開いてるよぉ~!」

 心臓が高鳴る。男性の唇でときめく女性は、恋をした女だけだ。そう、美咲は恋をしている。実の兄、勇散に。

「おにいちゃん……もぅ。そんなに寝ていたら私……お兄ちゃんの唇、奪っちゃうからね……」

      ac3e6dca.jpg

 顔を近づき、最後は囁く様に言葉を発して――

 八雲(美咲)は勇散と唇を交わした。

 続きを読む

注)この物語は、GG『飲み薬―妹と(兄と)妹の友達と―』の続編となっています。

 ・・・
 ・・・・・・
 ・・・・・・・・・

「今日は夜遅くまで遊んじゃってごめんね」

 夕方になり、翠は美咲の家から帰るために別れの挨拶をしていた。玄関まで美咲も見送り、翠は靴を履く。 

「もうちょっと遊んでいけばいいじゃん。なんならご飯作っていってよ」
「私が作るの!?」
「今日私が当番だけど、お母さん帰り遅いし、兄ちゃんあんなんでしょう?」

 二階を見上げる二人。美咲の兄である宮本勇散は、美咲と翠に散々弄ばれ、体力的に疲れて爆睡していた。一応起こそうとした二人だが、全く起きなかったので諦めたのだ。

「……やりすぎちゃったかな?お兄さんにごめんねって謝っておいて」
「あーいいのいいの。どうせ乗り移られた時の記憶もないし、翠ちゃんと良い思いもしたんだし」
「んもぅ~」

 思い出したかのように顔を赤くする翠。美咲はそれを見てまた笑った。

 と、その時、家の呼び鈴が鳴った。

「んあ?」
「えっ?」

 びっくりする二人。玄関に立っていたので扉を開けることはすぐにできた。

「えっ?あっ!…………どうも」

      2149dce8.jpg


 まさかこんなに早く開けられるとは思ってもいなかったのか、相手は心の準備をする間もなく軽く会釈をしていた。
 女性が立っていた。美咲の知らない女性だ。美咲よりも年上で、勇散よりは年下に見える。しかし、落ちついた雰囲気や服装、振舞いが背伸びして勇散と同じ年にまで見せる。
 こういう表現をしたのは、美咲から見た女性の身長が、美咲よりも高く、勇散よりも低かったからだ。
 一言で言えば、美咲から見ても女性は可愛いかった。
 顔を見合ったまま固まって一言もしゃべらない。変わりに翠の方が女性に声をかけた。

「あの、どうかしましたか?」
「あっ……すみません」

 悪いことしてないのに謝ってしまうのは日本人だからか、悲しき性である。

「宮本勇散さんのお宅ですよね?」

 女性の口から兄の名が語られると、流石の美咲も肩を揺らして反応した。

「……おにいちゃん?」
「帰ってきているってメール貰って。待ってるのも我慢できなくなって会いにきてしまいました」

 勇散が送ったメールに呼ばれた女性。まさかと思いながらも信じたくない美咲がいた。
 兄とは正反対のような性格をしてそうな、おしとやかで清楚なイメージを醸し出し、悪い言い方をすればインドアで人付き合いが苦手そうな彼女が、兄の送ったメールで勇気を出して家まで足を運んだというのが想像できた。
 それは美咲たちの思っている以上に、彼女にしてみれば大胆な行動なのかもしれない。

「お兄さんは二階ですか?」

 声を張り上げていう彼女に根負けしそうになる。

「少しだけあがってもよろしいでしょうか?」

 家に上がることを丁寧に説得する。美咲たちも拒む理由はなにもない。そこに感情的な理由で拒んだら、それこそ後で勇散に怒られそうな気がした。

「う、うん……」
「ありがとうございます。しつれいします」

 ハイヒールを脱いで玄関を上がると、二階へ続く階段を駆け足で上っていく。上を見あげる美咲たちには、ワンピースの奥に見える彼女の黒い下着が目に見えた。
 そうして勇散の部屋に消えていった彼女。頭の整理がついていない美咲はどこか茫然とした時間が流れすぎた。

「美人だったね。あれが美咲ちゃんのお兄さんの彼女かぁ」
「かのじょ……彼女!?」

 翠の言葉に過敏に反応した美咲。そのままつっかかるように翠を壁に押し付けた。

「お兄ちゃんに彼女がいたの!?信じられない!ありえないよ!だって、私も知らなかったよ」
「それはずっと一緒じゃなかったし、知らないと思うよ」
「なんでそんなに落ちついていられるの?翠ちゃんだってお兄ちゃんのこと一目ぼれしてたじゃん!」
「彼女がいること、記憶読んで知ってたから」
「そ、そんなぁ~……」

 認めたくない事実だが、受け入れるしかない真実に美咲は立っていることが出来なくなった。
 悲しさ。泣いて過ごした時間が多かった分、美咲は絶望したかと思ったが、思っている以上に落ち込むことはなかった。
 それは、頭によぎった『飲み薬』の存在があったから。そして、その悲しみは憎しみとなって恨みの方向へと変わっていた。

「……許さない!そんなの、絶対に許さないんだからあ!!お兄ちゃんは私だけのものなの!!あんな女性なんかに渡してなるもんかあ!」

 ぐわっと起き上がった美咲。怒りの矛先を彼女に照準を合わせ、『飲み薬』による復讐を決行することにした。

「美咲ちゃん、妹なんだからそんなにお兄さんを縛っちゃ駄目だよ」
「協力して、翠ちゃん!」
「え、えええ~……」

 親友の級の頼みに自分の時間が奪われる。
 翠は今日は帰りがもっと遅くなるだろうと覚悟していた。
続きを読む

↑このページのトップヘ