純粋とは矛盾色-Necronomicon rule book-

夢と希望をお届けする『エムシー販売店』経営者が描く腐敗の物語。 皆さまの秘めた『グレイヴ』が目覚めますことを心待ちにしております。

カテゴリ:グノーグレイヴ『入れ替わり』 > 粉薬『三種の妙薬『粉薬』』

「あぐぅ!いい。いいよぉ」

 バイブをおまんこに咥えた鏡花(木実)が喘ぐ。おまんこはバイブを締めつけて放さないのに、機械的に暴れるバイブは自動的に蠢き、結果鏡花の身体に刺激だけが流れ続ける。
 鏡花の身体に木実の精神では強すぎる様で、涙を流して快感を受け続けていた。

「このバイブ、変なボッチみたいのが付いてるよ?同じように震えてるけどなにこれ?」
「ああ、これ……」

 木実(豪)の質問に麗子(鏡花)が実践させる。バイブを奥までくわえさせると、ボッチの部分は鏡花のお豆に当たった。

「きゃあ!お、お豆に、当たるう。し、しびれるぅ!」

 目を見開き身体を痙攣させる。麗子(鏡花)はバイブの柄を抜くどころかさらに奥へと挿れていき、お豆をぐりぐりと押しつぶしていく。

「お豆ってなに?もっとイヤらしく言ってよ」
「ひやあ!あ、あ――!」
「皮から剥げて充血してきたよ。あっ、ちょっと硬くなったのかな?これ、なにかな?」

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 親友のはずの鏡花なのに、麗子と言う別人の皮を着ると、まったく鏡花とは別人の、女王さまに見える。木実は言われるままに質問に答える。

「く、くりとりす。クリトリス、です!」
「あは、そんな大声で言って、恥ずかしいの」

 木実(豪)が笑っているのを聞いて、さらに鏡花(木実)の感情が跳ねあがる。しかし、それは麗子(鏡花)も同じ。自分の声が隠語を言っているのだ。木実を通じて鏡花もまた豪にいじられていた。

「自分のものなのに見てるだけで凄くイヤらしく思える。ああ、なんかヘンな気持ちになる。鏡花をわたしがいじめてる……」
「きょうかあぁ!いっちゃうぅぅ!わたし、いくううう――!!」

 鏡花(木実)がいった瞬間、バイブがおまんこから滑って抜け落ちる。脱力した鏡花(木実)は息を整えるのがやっとだ。
 だが、木実(豪)は次にアナルビーズを持ち出した。

「じゃあ、次はお尻だね」

 鏡花のお尻を持ち上げ四つん這いにさせると、お尻の穴にアナルビーズを宛がう。

「ま、まっへ……まら、らめえ。からだが、うごかない……」
「力が抜けててちょうど良いよ。そのまま入れてあげるからね」
「あ、ぐあ……!!」
「すごい。お尻の穴が動いて一個ずつ飲み込んでいくよ。あはは……」

 一度ためらうように口を閉ざしたかと思えば、大きく開いてビーズを飲み干していく。その度に鏡花(木実)が泣き叫ぶ。苦しいのかと思えばそうじゃない。

「おひりぃ、おひりもイイ。おしりで、いっちゃううう。――うああ!!!」

 飲み込んだアナルビーズをすべて吐きだして鏡花は床に突っ伏してしまった。気を失ってしまったのだ。涎と涙で顔がぐしゃぐしゃだったが、よほど気持ちよかったのか、所謂アヘ顔の表情を浮かべていたのだ。
 その顔が麗子(鏡花)を見ている。麗子のおまんこもジワリと濡れていた。

(自分の気持ち良い顔って、あんな顔してるんだ……ブサイクだけど羨ましい……私も味わいたい……)

「あんな顔なんか見たらもう女王さまもできないでしょう?いいよ。最後は俺がエスコートしてあげるから」

 コスチュームを脱がせ全裸にした麗子(鏡花)を木実(豪)は抱きしめる。

「このみ……」
「……わたしが鏡花を犯してあげるからね」

 鏡花の望み通りに豪は木実の振りをして行為を進める。キスをしながら身体をまさぐる。鏡花にとって親友同士でのレズ行為。木実が揉む乳房の大きさは鏡花自身と比べてとても大きく、感度と柔らかさは麗子の方が上だった。

「はむ……んはあ……むぐ……んん……あ……ん……」
「んちゅ……は……ん…んぐ、んぐ……ちゅ、……ああ。美味しい。鏡花の唇」

 お互いおまんこからは愛液が滴り落ちており、いつでも道具でイクことができた。木実(豪)が先に双頭ディルドーを咥えていった。
 反対側を麗子(鏡花)に手渡し、麗子(鏡花)もディルドーを咥えこんだ。

「んあ……こ、木実……」
「わたしたち、繋がってるよ」
「うん……あ――!」

 木実が腰を動かしたので、ディルドーが麗子(鏡花)の膣へ押し込まれていく。

「鏡花も腰を動かして」
「う、うん……んああ――!!」
「うあっ!そ、そう……鏡花、上手いよ」

 ゆっくりだけど麗子(鏡花)も腰を動かし始める。二人のお尻が揺れ動き、おまんこが互いに近づく。

「木実……そんなに動かさないで」
「鏡花が動いて――ああん!あ、あわわ――ひやあああ!!」
「このみ――気持ち良い?」
「うん!うん――!!」
「嬉しい」
「はぁ、あっ、…ああん、ああ――!!」
「くる、くる、くるくる!!いっちゃうううう!!!」

 コツンと、二人のおまんこがぶつかった。クリトリスが擦られ、双頭ディルドーが二人の膣内で見えなくなった瞬間、二人は絶頂を迎えた。

「いくうううううううううううう―――――――!!!!!!」
「きゃああああああああああああああ――――!!!!!!」

 倒れこむ二人。肩で息をし、鏡花も気を失ってしまった。
 ただ一人、天井を見上げる木実(豪)だけは、残された時間、最後まで余韻を楽しんでいた。続きを読む

「あ……あう……」

 鏡花の身体でいっちゃった。わたしの中に罪悪感があった。
 鏡花しか知らない、鏡花の弱い部分を知ってしまったことが、なんだかとても悪いことのように思えた。わたしとは違う性感帯。クリトリスが震えただけで痛いのに、実はわたしよりも性に関して敏感な鏡花の身体。
 わたしの意志なんかよりも、鏡花のカラダがもっと刺激がほしいって言っている。バイブの震えを覚えてしまったカラダが、また味わいたいって喉に唾液を分泌させる。

 鏡花、ごめん。わたし、鏡花を汚しちゃうよ……

「……じゃあ、ここで彼女にも出てきてもらおうよ」
「ふえ?…………かのじょ?……彼女ってダレ?」
「一人しかいないでしょ?きみの友達だよ」

 それってもしかして、鏡花のこと?
 そんなの無理よ。鏡花の入る身体がどこにもない。それとも、またわたしみたいに鏡花の意識を同居させるの?
 いずれにせよ、木実を止めなくちゃいけないのに……わたしは黙ってカラダの余韻を楽しんでいた。

「ハァ……ハ…ァ……」

 木実が鞄から何かを取り出す。それは、彼が始めに着ていた女性の皮だった。三十代いくかいかないかくらいの若い女性……彼女も彼の犠牲者なのだろうか。わたしにそれを聞く元気はない。

「手でしょ?……足かな?じゃあ反対側だ。ここに……あった」

 木実が女性の皮をひっぱりして何かを探していた。それはどうやら彼女の口のようだった。ピンク色の唇を探し当て、木実は鏡花の吐いた水が入ったペットボトルを女性の口に呑み与えていく。
 不思議なことに、皮だけの彼女が水を飲み干していく。ごく、ごくっと音を立て、皮から筋と肉と骨を生み出していく。
 水分が行き届いた女性の身体に最後に目が育つと、わたしが最初に出会った女性そのままの姿に戻っていた。
 女性が目を開けた。寝ぼけ眼で状況を理解していない女性が、わたしを見て驚いていた。

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「あれ……わ、私がいる……?」
「きょうか!!」

 わたしは女性に叫んだ。姿は変わっても、中身は友達の鏡花だとわかった。

「えっ、木実なの……?でも、私の目の前にいる木実は――?」

 女性(鏡花)が木実(彼)に目を移した。彼は逆にせせら笑っていた。彼は何か袋に入ったものを持っていた。

「鏡花?これ、なーんだ?」
「そ、それは……」

 女性(鏡花)が顔を真っ赤にしてしまった。木実(彼)が袋を破り中から取り出したものは、先程アダルトショップから鏡花が興味を持っていたSMコスチューム一式が入っていた。

「鏡花の鞄を漁ったら出てきたんだ。ローターなんかで騙そうとして、鏡花もなんだかんだ言ってもちゃんと買ったんだね?」
「ち、違うよ。それは、べつに、わたし……」

 言い訳なんてできない。女性(鏡花)の声もこもる。

「……だから、俺が鏡花をコスチュームに似合う女性へと変えたんだ」
「……木実?その口調――」
「別にもう隠す必要ないよ。ちゃんと時間がくれば二人も元に戻してあげるし、俺も母さんを元に戻さないと後で怒られるし」

 木実(彼)が自分の正体を明かす。でも、だからと言って彼がこれで引き下がるわけではない。

「だからこの時間は、三人だけの秘密で、なにも隠さずに曝け出そうよ」

 SMコスチュームを女性(鏡花)に投げ渡し、真意を問う。コスチュームを持ったまま震えている。今の鏡花は混乱している。彼が作った雰囲気に呑みこまれてしまう。

「鏡花。あんな男の言うことなんか聞いちゃだめ!絶対嘘なんだから」
「そんなこというと、この身体のまま外に飛び出すよ?サラリーマンに声かければきっと熱い夜を過ごせるだろうな」
「ひ、卑怯者!!」
「俺は鏡花さんに聞いてるんだ。むしろ、きみは俺に従わなくちゃいけないんだよ?きみがすがるべきは鏡花さんじゃないの?」

 悔しいけど彼の言うとおりだ。わたしの身体は人質に取られているようなもの、だとしたら逆にこっちも女性(彼のお母さんといっている)を人質にしなければ等価条件じゃない。鏡花が全てを握っている。鏡花が出す答え。それを彼は楽しんでいるんだ。

 一歩遅れた。わたしが声を出す前に女性(鏡花)の口が先に動いた。

「ほ、ほんとうに、後で身体を戻してくれるの?」

 彼はほくそ笑んだ。

「もちろん」
「この身体、好きにしていいの?」
「うーん……後でなにしたのって怒られると思うけど、いま楽しめるなら甘んじて受けるよ」
「子供みたい」

 女性(鏡花)も笑った。

「そっか……」

 わたしが見守る中、鏡花は答えを出した。続きを読む

「汗かいたね。なんか飲み物のも」

 笑いながら鏡花に背を向け、ミネラルウォーターに何かを入れた。『粉薬』のような白い粉末がサッと水の中で溶けだしていく。
 わたしは何か嫌な予感がした。

(あなた、それでどうするの?)

「(まあ見ててよ。きみの友達がこれからどうなるか興味あるでしょう?)」

 彼が何を言おうとしているのかわかる。鏡花をわたしと同じ状況にさせようとしている。

「はい、鏡花」
「ありがとう」

 笑顔でミネラルウォーターを受け取った鏡花が、キャップを開けて喉を鳴らして飲み干していく。

(だめええええええええええええええええ!!!!!!!!)


 わたしの声が鏡花に届くはずもなく、しばらくして鏡花は苦しそうにして顔を青ざめた。

「う――――!!」

 嘔吐する瞬間、彼は鏡花の口に空いたペットボトルを差し入れた。鏡花はその中へ自分の水分を吐き出した。

 汚いと思えない。嘔吐物もなく、血液でもない。
 それはとても綺麗な、純粋なピンク色だった。

 水分を吐いた鏡花は、みるみるしぼんでいき、やがて皮となってその場に舞い落ちてしまった。
 そして、彼の手にはピンク色の液体がいっぱいまで入ったペットボトルが握られていた。

(あ…あ……)

 鏡花が皮になった。痩せているでも、ヤツレテいるでもない。本当に、鏡花の皮だけが残ったのだ。

「みてよ、これがきみの友達の皮だよ。うん、よく見るとちゃんと面影が残って見えるね」

 肌色の皮膚に爪や髪まで付いている。鏡花の綺麗な乳房も、今はしぼんで見る影もない。

「あはっ、鏡花のおまんこだ。ここだけ赤くなってけっこうグロいね。裂いてみたらどうなっちゃうんだろう?」

(やめて!!それだけは…ほんとうにやめてえ……)

 彼のせいで涙が止まらなかった。今日の事が全て夢だったらなんて理想を見ながら気を失えたら、幸せだと思う。
 私たちはただ楽しく遊びたいだけなのに、色気なんてないのに、どうしてオナニーなんて見せなきゃならないの?人に内緒にしたいことを、どうして明かさないといけないの?
 鏡花は彼に踊らされたピエロだ。そんなの、可哀想だよ。鏡花は鏡花だよ!

「……」

 彼が初めて黙って聞いていた。私の泣き声を聞き、木実の目から涙が一粒流れた。

「……わかったよ。降参だ。きみは優しいね」

(ふえ?)

 急に彼がわたしに話しかけてきた。

「きみのように誰かに優しくできるってすばらしいね。俺は反抗期だから駄目だよ。そんな気が起きないけど、いつかきっと、誰かのために泣ける人になりたいよ」

 反抗期だから反抗するのだろうか。彼は思っている以上に子供かもしれない。でも、反抗期の後には思春期が来る。きっと訪れる。人の出会いがなくて、優しくなんてできないのだから。

「彼女を元の姿に戻してあげるよ」

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(ほ、ほんとに?本当に?)

「うん。じゃあ目を閉じて。……」

 彼の優しい声に、わたしは心から歓喜した。無邪気に笑う彼の表情に、わたしは彼の言われたとおりに目を閉じた。

「つぎ目が覚めたとき、きみ――」

 意識はすぐに消え去り、次にわたしが目覚めたとき、悪夢は終わるのだと思っていた。続きを読む

 鏡花が堕ちた。ローターを持ってわたしの身体を震わせる。今まで見せたことない表情で、嗤っている鏡花なんて見たくなかった。

(いやあ!鏡花!正気に戻って!)

 わたしが叫んでも鏡花に聞こえることはない。

「(よかったね。話のわかる友達で訴えられなくてさ)」

 彼は何の悪気もなさそうに話す。彼のせいで、鏡花がイヤらしくなっちゃった……。それは、今の木実の表情と同じ表情だった。
 木実がベッドに転がる大きいバイブを持ち出すと、鏡花に手渡した。

「バイブ、使って。おまんこに入れて」
「こんな大きいの、入るの?大丈夫?」
「鏡花が入れていくんだよ。こんなに濡れてるから、きっと大丈夫だよ」

 ベッドに転がり鏡花に向けて股を開いた。鏡花も木実に続いてベッドに腰掛けた。

(鏡花!やめて!恥ずかしいよ)

「見える?わたしのおまんこ」
「うん……とっても赤くて、きれいだね」
「もう、バイブがほしくて身体が疼いちゃうの。鏡花ぁ。早く入れてえ」
「う、うん……」

 イヤらしく鏡花にお願いする木実に、鏡花は頷いてバイブを動かした。機械音と先端のイヤらしい動きが身体を震わす。
 作動するのを確認して一度スイッチを切ると、わたしのおまんこにバイブを挿入した。

「あ、あ……あああ――」

(入る……わたしの膣に、バイブが入ってくる)

 鏡花も初め挿れているはずだ。思った以上に狭くて奥に入らないバイブに戸惑っていた。

「く、ああ……きゅるし……」
「無理なら言ってね」

 フルフルと首を振っていながら、涙を滲ませて苦しがるわたし。
鏡花は考えた末に、

「そう……ん…」

 さらにバイブを押し入れることを選んだ。ゆっくりだけど、バイブを飲み込むわたしのおまんこは、シリコン部分をだいたい飲み込んでしまった。

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(鏡花……抜いてえ。こんなの、耐えられないよ!)

「いい。もっと入れて。バイブでおまんこ満たしてえぇ」

(やめてよ!わたしのマネして鏡花に話しかけないでよ!)

「(口調を変えても彼女はきっと言うとおりにするよ。もう、手遅れだよ)鏡花、す、スイッチ!入れてええ」
「うん、わかったよ」

(や―――)

 鏡花がスイッチを押した。バイブが動き出した音がこもって聞こえ出した。

「んあああああああああ!!!」
(きゃあああああああああ!!!)

 木実が初めての感覚に歓喜した。

「凄い。バイブが震えて、壁を擦る!!」

(か、掻きまわされる!!暴れてるよ!!)

 鏡花が手を放しているからか、柄の部分が円を描くように揺れて、まるで生き物のように動いていた。もっと中に入りたいというように暴れるバイブは自分一人では奥には入ることはない。でも、鏡花がバイブをつかみ、暴れるバイブを抑えつけて自分の手の動きに合わせて動かし始めた。
 今までと違った場所が擦られる。たまらず悲鳴を上げた。

「んきゅううう!!きょ、きょうかあ!?」
「きっと、こうしたら気持ちいいよね?」
「んがああ!!……そっ、そう!狭いところでバイブが動くから、穴が広げられちゃうよ……」

 鏡花がわたしをいじめている。鏡花のされるがままになっている。

(こ、こんなの、ダメ……なにも、かんがえられなくなっちゃう……)

 ダメなのに…ダメなのに……

「きゃああん!!?き、きょうか……わたし、い、イク、いっちゃううう――!!」

(きょうかのまえで、いっちゃう……いや、みないで!わたしの恥ずかしいところ、見ないでええ!!)

「ハァ、ハァ、」
「鏡花あああああ!!!い、いくううううううううううぅぅぅぅ――――!!!!…………ぅぁあ」

 わたしはいってしまった。呼吸が止まり、絶頂を迎えて、愛液に濡れたバイブがわたしのおまんこから独りでに落ちた。

(いっちゃった……鏡花が見てる前で、逝っちゃったよおぅ……)

「だ、だいじょうぶ、木実」
「うん……きょうか…えへへ……」

 わたしの想いとは逆に、木実は心配した鏡花に抱きついたのだ。続きを読む

 アダルトショップを出たわたしと鏡花の手には、お店で買った黒いビニール袋を携えていた。中にはバイブが入っている。特に木実は複数買ったので小さいものから大きなものまで入っている。大きいバイブの先端がちらりと顔を覗かせており、通行人が目線を逸らしながら歩いている。
 なぜか落ち込んでいる鏡花の隣で楽しそうに歩いている木実だが、実際はそうじゃない。
 わたしは泣きそうだった。

(あなた!こんなことしてなにをしようって言うの!?)

「(なにって、バイブ買ってやることは一つだよ。きみの感度がどれほどいいか確かめさせてもらうよ)」

 彼がわたしにだけ話しかける声は、卑劣極まりないものだった。その道具を使いたくてたまらない。そんな表情を笑みとして浮かべている。

(なっ――!?し、信じらんない!!最低!!!)

「(叫んだところできみは黙って見てるしかないんだよ。いちいち邪魔をするなら意識を押し籠めて眠ってもらうよ?そっちの方が良いのかな?)

 身体の主導権を持つ彼はわたしに脅迫する。そんなことされたら、鏡花がどうなるか分からない。叫んだ声を押し殺し、わたしは黙りこんでしまうが、彼は一度鏡花に視線を移した。

「(あっ、そうか。彼女もいるなら利用させてもらおうかな。見たところ彼女の新たな性癖も作れそうだしね)」

 彼が笑うと木実の表情が歪む。ニヤリと笑うその目つきに寒気がする。

(や、やめてよ!鏡花に変なことしたら許さないんだからね!!)

「(……俺は変なことするつもりは更々ないよ?)」

 えっ、と茫然となってしまうが、彼の真意はそのすぐ後に聞かされる。


「(――変なことするのは、きみ自身なんだから)」

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 彼の行動は木実の行動として世間は認知する。彼が鏡花を襲っても、鏡花は木実に襲われたと訴える。
 最悪な状況だった。鏡花を救いたいという意志とは反対に、身体は鏡花を襲う準備を整える。

「えっ?ここって――」

 鏡花は木実に先導されて辿り着いた場所に到着した。白いホテルでライトアップされた一室に、入り口前には男性が売り込みをしていた場所だった。

「休憩して行こう、鏡花」

 微笑みながら鏡花を招く木実。鏡花はただ立ち尽くした。

「――ラブホテルで」続きを読む

 さっきの女性の皮はざんざいに扱われ、わたしの鞄に詰め込まれて皺くちゃにされていた。一人の人間が鞄の中にこのような形で入らされるなんて思いもよらず、皮にされた女性が気の毒でならない。
 だが、今は何より自分の身を案じたい。

「双山木実ちゃんか。阪松公立高校なんて名門の高校じゃん。はるばる遠いところからよく来たね。俺も将来通いたいなぁ」

 生徒手帳をを見ながら彼は独り言をつぶやく。本当にこれが仕組まれた運命だとすれば神さまを恨むしかないよ。

(お願い。わたしの中から出てって)

「せっかくきみになれたんだから色々楽しませてもらうよ」

 生徒手帳をたたんでいよいよ彼がわたしの身体に手を出そうとスカートをゆっくりめくり上げた時だ――

「このみ~。まだ~~!?」

 入口からわたしを呼ぶ声があった。

(鏡花!?)

 そうだ。鏡花を外で待たせていたんだ。色々ありすぎてトイレに入ってから一体何分経っているのか私も理解していない。しかし、わたしを呼ぶ鏡花の声は珍しく苛立ちを含んでいるように思える。

「木実って俺の名前だよな?ふーん、そうか…友達連れなんだ……へえー」

 鏡を見なんでも今の私の表情が口元を歪めているのが分かる。彼は鏡花に興味を持ってしまったのだ。

(やめて、友達に変なことしないで!)

「彼女はダレ?」

(――っ、言わない!!)

「『きょうか』って言ってたけど、名前で良いのかな?」

 これ以上鏡花のことに知られたくないのでずっと口を閉ざす。そうすれば鏡花がわたしの様子がおかしいことに気づいて、異変を感じてくれる可能性があるからだ。
 持つべきものはやっぱり友達。今は鏡花に頼るしかない。

「あれ?いないじゃん……どこ行ったのかな?」

 トイレに入ってきたのだろう。鏡花は私の姿が無く、奥の扉が使用中になっていることに気づいて歩み寄ってくる。
 彼が私の振りして喋っていても、いつかはきっとボロが出る。

 ところが、彼は存在感を表すようにトイレの水を流して扉を開けると、鏡花の前に姿を現した。

「えへへ。ごめんー」

 笑顔で愛そう良く振舞いながら鏡花に謝るわたし。

「遅いよ木実。入場券買っちゃったじゃない」
「うん…後で支払うよ……」

 一緒にトイレから出ていきながらも、どこか動きがぎこちない。一挙手一投足が彼にとって疑いの行動のはずだ。歩くことすら怖いはずなんだ。わたしたちがこれからどこに行こうとしていたのかすらわからない彼が、もし電車に乗って帰ろうとすれば、さすがの鏡花も不審がる。そうすれば、わたしの声に耳を傾けてくれるはず。

(鏡花!気付いて!目の前にいるわたしは、わたしじゃないの!)

 私は鏡花に聞こえるよう必死に心の中で叫び続けた。だが、歩いていた彼の動きがふっと軽やかになった。そして、鏡花に向かって笑いかけた。

「早くプリクラ取り行こうよ」
(――えっ?)
「新機種が導入したんだから、いち早く行かないと待たされちゃうよ」
「やけにテンション高くない?ちょっと待ってよ」

 駅の改札口を抜けて広場で駆け下りる。時刻はすっかり夕暮れ時だった。

(どうして――)

 彼はわたし達がプリクラに行こうとしていたことなんて知らなかったはずだ。そして、わざわざその理由まで明確にした。帰りに鏡花と同じ会話をしたことを、彼はもう一度わたしに証明して見せた。これは当てつけだった。

「(ああ、言ってなかったんだけどね――)」

 鏡花の隣でわたしにだけ聞こえる声で彼は伝える。

「(別に生徒手帳を見る必要はなかったんだ。きみの意識が起している状態なら、俺も少しぐらいのきみの記憶を読み取ることができるんだ。水が浸透して徐々に沁み渡るようにね。だから木実の態度やら日常会話程度なら完璧に真似ることができるよ)……分かった?」
「はい?どうしたの、木実?」
「ううん、なんでもない!」

 「変な木実」と言ってわたしの隣を歩き続ける鏡花に、わたしの目論見は完膚なきまでに破壊されたことに絶望した。
 楽しみにしていたゲームセンターの新機種のプリクラ。
 彼がわたしの代わりに鏡花と供に写りこむ。

「この写真大事にしようね」
「そうだね」

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 鏡花のノート手帳に一枚貼られたそのプリクラは、かたちになって残り続ける。続きを読む

 意識が戻った時、わたしはなにか違和感を覚えた。

(なにがあったの……?)

 自分の身になにがあったのか分からない。吐き出すものをすべて吐いて、楽になったと思ったら――

 まず、身体が動かなくなっていた。思い通りに身体が動かない、それはつまり、喋ることすらできないということ。

(こ、声が出ない?)

 慌てるわたしに反して身体がひとりでに動き出す。視線を落とし、まるでわたしに何かを見せたがっているように一点を見つめていた。

(なに?…………ビニール袋?)

 にしてはヤケにカラフルなものだ。黒や白を中心に、てっぺんはオレンジがかった紐のようにも見える。所々で肌色が見えるが、袋にしては破れてしぼんでしまっているのか、使いづらそうな形をしていた。

 その袋を手に取った。ズルリと持ち上げられた袋は、その形の全貌をわたしに見せつけた。

(これ、……手じゃない……?)

 掴んだ場所には爪と5本の指がある。小さくてしぼんでいるが、人の手に限りなく近かった。
 よく見ると、持ち上げられた袋の形は、人の形をしていた。まるで皮だけになった人間を見ているようで、骨や肉さえ水分として溶けて無くなってしまい、皮だけになった…………

(……え、ま、まさか――――)

 わたしは絶句する。気づいてしまったのだ。その袋の後ろ姿しか見ていないけど、紐だと思っていたオレンジ色の部分に、さらに紫色のリボンが付いていることに。
 そしてそのオレンジ色の…髪が、ツインテールに結ばれていることに。

 皮をひっくり返して表にする。

 ――こわい。
 わたしはその皮の正体に気づいてしまった。

(これって、これって……表にしないで。見たくない!やめてえ!)

 表をされ、わたしは、皮だけとなった無残な姿と対面することになった。続きを読む

 寝室に入った麗子(豪)は、ロッカーを開けて鏡に姿を映す。

「母さんの寝室に入るの久しぶりだけど、ほんとうに母さんになったんだからいいよね?」

 麗子の下着姿でつぶやくと、我慢が出来なくなったかのように衣服を取り出した。多彩の艶やかさを持つ下着の数々に子供心に欲情してしまう。

「うわあ。母さんって見た目も若いけど、下着も派手だよね。もう少し落ち着けよ」

 と、言いながらも手に取ったパンティに穿き替える。お尻が丸見えのティーバックという奴だ。
 毛深いアンダーヘアーを急いで隠すように紫色したパンティを下ろしてティーバックを穿きあげて背中を向けてお尻を突き出した。あげすぎたのか、ティーバックが食い込んでしまっている。丸見えのお尻だけではなく、うっすらおまんこまでが見えていた。

「お尻が垂れてないだけマシか。じゃあ、次はトップだね。でも、どうやって脱ぐんだろう?」

 ブラなんか付けたことがないので外し方が分からない豪。結局肩ひもを外すと、大胆に上から脱ぎ捨ててしまった。すると、麗子の胸の重みで首が前に出て前かがみになってしまう。姿勢が格好悪いと胸もただ垂れているだけでみっともなかった。

「よっと」

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 背筋を姿勢をよくすると麗子の艶やかさも復活する。鏡に映る自分の姿に苦笑してしまった。

「胸って結構重いなあ。早く着がえたいよ。…えっと、お揃いのあるかな……」

 白のブラを見に付ける。しかし、パンツを穿いた時からうすうす感づいていたが、シースルーのせいか、ブラは透けて奥にある乳首が鏡に見えてしまっていた。

「恥ずかしいけど、胸が収まればなんでもいいや」

 豪は気に入ったらしく脱ぎ捨てた服を着こんでいく。どうやら外へ出かけるようだった。
 化粧もしていないスッピンの肌だが、麗子(豪)は平然と玄関に置いてあるハイヒールを履く。

「出かけてくる!」
「まっ、まちなさい――ハァ、ハァ!」

 赤い顔でよろよろ出てきた豪(麗子)に麗子(豪)は冷たく笑った。身体が入れ替わったせいか、体力も身体の持ち主レベルまで下げられており、今の豪(麗子)には元母親だった強さは微塵もなかった。

「な、なにを考えてるのよ、豪!」
「ムリして出てこない方がいいよ。大丈夫、なにもしないから」
「そんなの、ゆるすはずがないでしょう……はやく、元に戻しなさい!」
「やだよ。ちょっと楽しんできた後で返してあげるよ。それまでに風邪を治しておいてね、母さん」

 「まちなさい!」と叫ぶ前に、豪は麗子の言葉を無視して出掛けていってしまった。続きを読む

 寒い冬。今年は特にそう思う。

「は、ハックシュン!!――うぅ…」

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 1mは響き渡るだろう特大なくしゃみを出して鼻をすする。

「俺が風邪をひくなんて……おのれ冬将軍!!――ハックシュン!!畜生!!」
「将軍様に勝とうなんて思わないで、インフルエンザ予防接種でも受けなさいよ」
「そんな金と時間があるなら受けたいです、――あぁ、さみぃ」
「まあ、ませた子供ね」

 貴美子が呆れるように視線をそらした。マスクをつけなおし、39℃の高温と闘う仲居豪―なかいごう―にとって早く薬が貰えればそれでよかった。
 すると、カルテを書いていた茂木医師の眼鏡が怪しく光った。

「貴美子さん。『粉薬』を出してください」
「ええ。あれを出しますか?」
「せっかくなんで人肌の中に入ってもらった方が温かくなるでしょう。風邪も良くなると思いますよ」

 そういうものなのか?と思いながらも豪は口には出さない。しばらくして貴美子は『粉薬』を持ってきた。市販されているように小袋に入って束に連なっている何の変哲もない粉薬だ。
 
「使い方を説明しますね。この薬をですね――」

 ただ、貴美子から説明を聞いているうちに、豪は確かに普通とは違う粉薬だと理解した。続きを読む

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