純粋とは矛盾色-Necronomicon rule book-

夢と希望をお届けする『エムシー販売店』経営者が描く腐敗の物語。 皆さまの秘めた『グレイヴ』が目覚めますことを心待ちにしております。

カテゴリ:グノーグレイヴ『憑依・乗っ取り』 > 飲み薬『三種の妙薬『飲み』』

 今日も電車は動き続ける。
 満員電車で息苦しい中を、乗客は黙って目的地まで向かっていく。

 静かに人混みの中をすり抜け、ただ一人でもの静かにしている女子大生。今日はこの娘にしよう。
 気づかれないよう、怪しまれないようにして、女子大生に向かって魔の手をさしのばす。

 ――パシッ

「――っ!!?」

 松葉杖をついて必死に伸ばした少年の手が、私の手をつかんでいた。びっくりして振り向くと、私よりも全然小さな男の子が現場を取り押さえていた。
 少年が首を振る。私が何をしようとしているのか、まるで知っていたように――

「駄目だよ、姉さん……絶対に、ダメだ……」

 私にだけ聞こえるように小声でつぶやく。少年は目に涙をためていた。

「――そんなことしても、絶対、自由になんてなれないよ」
「っ!!」

 息をのんだ。どうしてこの少年は泣いてくれているのか、分かった気がした。
 ――私のために、泣いてくれているんだ。

「うん…うん……もう、やめる…………あああ……」

      5617434f.jpg

 私は誰かに止めてほしかったんだ。
 痴漢は犯罪だって、言ってほしかった。
 悪いことを誰も言ってくれない。みんなが私を無視する。自由だけど、淋しかったんだ。誰とも関わりを持てないのが、怖かったんだ。

「ありがとう……あり、が……」

 少年にすがりついて泣いている。人目を気にすることもない私だけど、怪我人の少年はそんな私をやさしく受け止めてくれた。

「この時間に毎日乗っているって教えてくれたのはお姉さんの方だよ。また会えて嬉しかった……こんなことよりももっと楽しいものがあるんだって、教えてあげる。世界はもっと歓喜で覆われているから」
 
 電車が止まる。ドアが開いて駅のホームから人が乗ってくる。私は少年に引きずられて電車から降りていた。

「この駅にはミラクルランドっていう遊園地があるんだ。一緒に行こう」
「…………うん!」

 少年にすすめられて駅から降りた。初めて乗り越し運賃代を支払った私だった。

 fin


続きを読む

「ハァ……ハァ……」

 記憶が混乱している。
 毅の中に紗里奈という存在が入り込もうとしている。約束の8時間。このままじゃ、私は本当に紗里奈になっちゃう。
 
 医院に戻ってくると、本日の営業は終了しましたという看板が出ていた。血の気が引いた。明日まで待っていたら、本当に毅としての人生が終わっちゃう。

「すいません!誰かいませんか!!すいません!」

 扉を叩いて貴美子さんを呼び出そうとする。すると、扉は押すと開いていた。鍵がかかっていなかったらしく、私は急いで中に入った。
 貴美子さんがカウンター内で忙しそうに働いている。私が呼びかけてようやく存在に気付いたようだった。

「申し訳ありませんが、今日の診察時間は終了しました」
「貴美子さん。……俺です」
「………………ああ。毅くんね。こちらへどうぞ」

 診察室へと案内され、八時間ぶりに自分の身体と対面した。布団をかぶって温かそうにしているが、微動だにせずに目を閉じて眠っていた。

「で、どうだったかしら?」

 貴美子さんが問いかける。

「…………生きるって、苦しいですね」

 自由になりたかった。自由になれると思っていた人は、この世の一番、束縛されていた。

「そうよ。あなただけじゃない。もっと苦しんでいる人はいるの」
「痴漢しか楽しみを見つけられない少女とか――」
「……?そんな人がいるの?」
「…………」

 そんな不審な目で見ないでほしい。あなたの目の前にいるんですから。

「恐怖が自由に繋がることなんてない。恐怖は自分が悪いと思っているから怖いんだ。恐怖に縛られて、自由はない。俺、彼女に教えないといけない。もっと楽しいことがあるんだって、教えてあげたいんだ」

 痴漢は犯罪です。そんな当り前なことを誰かが伝えなくちゃいけないんだから。

「じゃあ、早くリハビリを続けよう」

 貴美子さんが促すように背中を押した。でも、私はそれを申し訳なく断った。

「貴美子さん。一旦、席をはずしていただきますか?」

 何かを考えるようなしぐさを取った後で貴美子さんは頷いた。

「早くしてね。時間は待ってくれないから」

 言われたように席をはずしてくれる貴美子さん。残されたのは私と自分の身体だけになった。続きを読む

 少女、相内紗里奈は一日中電車の中にいた。一時間で一周するように作られている電車線は乗っていても全然飽きることがなく、また降りなければ乗車券分以外にお金もかかることはない。こうして紗里奈は一日中電車の中で乗っていることが日課だった。
 ニートだった。記憶を読んでいくと分かってきたことだが、自由にあこがれた毅に紗里奈は馴染む身体だった。
 そして、さまざまな人間を観察し、男女問わず機会があれば痴漢行為に走る。
 毅は紗里奈の記憶を見様見真似に実行すると、本当に成功してしまった。一度成功すると、二度目の実行にはさほど時間がかからなかった。
 そして、電車が5周するまでには成功した回数は二桁を超えていた。

 紗里奈が提示した自由を噛み締める毅。
 ――本当に苦しくてにがい、白濁の自由だった。

続きを読む

「あん…あ…………ハァ」

 あまりの気持ちよさに潤が失禁してしまう。
 その瞬間、毅の視界は真っ暗になってしまった。

「(うわっ、なんだ!?)」

 突然のことで困惑したが、おそらく失禁とともに毅自身も流れ出てしまったのだろう。

「(早く戻らないと……でも、何も見えない)」

 手探りのように潤の身体を探すが、何も感じないというのは非常に困るものだ。潤の体温すら感じないのだから。

「(きっとすぐ近くにあるだから、飛び込んでみればいいんだ。てやっ!)」

 手当たり次第に飛び込み台からプールに飛び込むように(イメージ)跳ねては落ちる。すると、ようやく視界が戻った。
 目の前には息を切らして失神していた潤がいた。

「………………あれっ?」

      16b476e7.jpg


 潤のつもりだったのに、目の前には潤がいる。毅は芹香の中に入ってしまったのだった。
 ゆっくり起き上がって鏡の前に、ツインテールを揺らした少女が映っていた。

「間違えたけど、彼女も気持ちよさそうにしてたしな。あんなに感じるのに性交嫌いなんて絶対損してるよ。……決めた!しばらく彼女の身体で遊ぶとしよう」

 満面の笑顔で鼻歌を交えながら服を着替え終えると、未だ眠っている潤を置いて一人ホテルを出て行こうとする。

「きっと潤もびっくりするだろうな。目が覚めたらホテルで、裸になってたら考えることは一つだもの。ごめんね、潤」

      3d0d0026.jpg


 そう思いながらも考えることは自分の体とのセックスしかない毅は笑顔で電車に乗り込んだ。知らない間に4駅先の町まで来ていた毅は戻らなくてはいけなかったのだ。
 電車に乗るのも久しぶりの毅は満員電車ではなかったが、座ることに抵抗があり、ドア前の鉄棒につかまりながら外の景色を眺めていた。

「(やっぱ景色は動いてた方が面白いな。……本当に自分の身体に戻らないといけないかな……)」

 こうして飲み薬でいろんな子に乗り移っていれば、自分の体なんかいらないんじゃないか。不自由あって過ごすよりも、何不自由ない人の体を借りて過ごした方が楽じゃないか。
 そして、その方が面白いじゃないか。

「(……いっそ、帰らないで旅にでも出ようかな…この身体で)」

 ドアに映る自分の姿を見て考えてしまう。可愛い子だ。助けてと叫べば誰かが助けてくれるような気がした。
 身体を売ればお金にもなるじゃないか。きっと何処へでも行けるような気がした。

「……」

 そんな考えがしているときにメールが届く。潤だった。

「 芹香どこにいるの?もう帰っちゃった?連絡ください 」

 ごめんなさいしている絵文字が入っている潤らしいメールである。

「(……そっか。人にはそれぞれの人生があるもんね…俺が決めちゃだめだよね……)」

 人を好き放題にできる理由はない。人生をめちゃくちゃにする権利は誰にもない。
 芹香にとって潤が必要なように、潤にとって芹香はやっぱり必要なんだ。

 ――不自由な身体だ。でも、そうやって人は過ごしているんだ。

「 急用ができたから午後から遊ぼう。連絡遅れてごめんね 」

 送信ボタンを押して潤に連絡する。
 乗り移る時間はたっぷりあるけど、現実と戦おう。
 リハビリをして自分の身体で歩けるようになろう。
 毅の身体が待っている医院へ早く戻ろう。

 電車は時間通りに動いている。

続きを読む

「……ん…」

 気を失っていた芹香が目を覚ます。なぜ気を失ったか分からない芹香だが、ベッドの上に横になっている状態を見て潤が運んでくれたのだと思った。
 しかし違和感があった。両手をあげたままベッドに繋がった手錠を掛けられ固定されている。両手をおろそうにもおろせなかった。しかも自分の姿をよく見れば裸だった。先程まで来ていた衣服が綺麗にたたまれて籠の中に置かれていた。

「なに!?」

 びっくりする芹香の声に潤が顔を覗かせた。

「おはよう、芹香」

 ニコニコ顔で芹香と同じ裸で見下ろす潤。今まで見たことのない潤の表情だった。

「どうして私、こんな格好してるの?」
「自分でしたんだよ?覚えてないの?」
「えっ?覚えてないよ。これ、外してよ。どうしてこんなことするの?」
「……芹香が悪いんだよ。俺の言うことを素直に聞かないからこうするしかなかったんだ」
「ふえっ?」

 潤の口調が変わったことに芹香が驚く。

「一回芹香に乗り移って手錠を掛けさせてから元に戻ったんだ。ちなみにその時に服も全部脱がしたんだ」
「……なんの話なの?」
「うふふ……芹香。もし私が潤じゃないって言ったら信じる?」
「えっ、えっ?」
「信じられないよね。本当なら病院でベッドの上で養生している男の子が、こうして外に出て女の子に乗り移りながら芹香を縛り上げているんだって言っても、夢物語だよね?」

 潤の言っていることが頭に入らない。つまり今ここにいる潤は潤じゃないってことを言おうとしているのだろうと、そんな疑惑めいたことを潤は言っている。

「……う、潤じゃないの?ウソ!?だってその口調、潤のまんまじゃない!?」
「それは潤の記憶を呼んでいるからだよ。普段の喋り方がそのまま出ちゃうんだ」

 『人形』で操られたことのある芹香だから疑惑が少しずつ確信に近づいてくる。潤が操られている。親友として芹香は悔しさが込み上げてきた。

「あなた誰なの?潤はどうしたの!!潤!!潤ううう!!」
「それ以上喋るのならこの身体がどうなっても知らないよ?この格好で外に飛び出したらさぞ困るだろうね」
「……ひ、卑怯者!!」
「安心してよ。俺は本当に夢見心地なんだよ。こうして潤の気持ちを汲んで芹香とやれるんだ。今なら何だってできるよ」
「ひどい。潤の気持ちを弄んで、最低!」

 泣きだしてしまう芹香。でも、手錠で両手がふさがれているので涙をぬぐうことも出来なければ逃げることも出来なかった。

「……いいんだよ、芹香」

 しかし、突然潤の口調が元に戻る。

「う、潤!?」
「私の気持ちを押してくれた人だから、芹香も素直に私を感じて」

 潤ががっつくように芹香の乳房を掴む。あまりに乱暴な態度に彼が潤を操っているんだと思った。

「潤は操られてるんだよ?潤はこんなことするはずがない!!」

 断言して潤を突き飛ばす。すると、潤が急に静かになって芹香から身体を放した。

「芹香……ひどい……わたし、本当に潤のこと好きなのに……」

 潤が悲しそうな表情で声を震わせていた。

「う、潤なの……?」

 潤が芹香を睨みつける。

「芹香はいつも逃げる。いつも私のこと疎いっていうけど、本当のことに気付いてくれないのは、芹香の方じゃない!!」

 感情を爆発させて芹香に吐き捨てる。潤に冷たいことを言ってしまった芹香は後悔した。

「潤。やめよう。わ、私も、潤のこと大好きだけど、それは、その、親友としてで――」
「卑怯なのはどっちよ……私の気持ちを知って、親友同士でいられるはずがないじゃない」

 振り返って自分の衣装だけを持って出ていこうとする潤。涙を浮かべて去ってしまう親友の姿を見て、

「待ってええ!!いかないで、潤!!」

 芹香も泣きながら叫んでしまった。潤が足を止めた。振り返って芹香を見ると、二人同じ表情をしていた。

「彼は私の背中を押してくれただけなの……彼は決して悪くない。私が全部悪いんだよ。芹香の気持ちを無視してでも、芹香にアタックしたかったの」

 芹香に近寄ってくる潤。そして潤は親友に対して告白をした。

「私は芹香のことが大好き!親友として、一人の女性として、全てが好き」
「んんっ!!?」

 上から抱きしめるように覆いかぶさる潤。芹香と繋がった鎖がピンと張っていた。

「芹香。気持ちよくしてあげるからね」

 もう一度潤が芹香の身体に触ろうとする。だが、芹香は再び拒絶した。

「ち、ちがうの……こわいの。潤……」

      c64ed047.jpg


 これからやろうとしていることは一線を越えようとする行為だ。芹香はまだ心の準備が出来ていなかった。
 顔を真っ赤にして足をくねらせモジモジする芹香に潤はフッと微笑んだ。

「私はどこにも行かないよ――」

 潤が芹香のピンと勃った乳首をキュッと抓った。

「ひやあっ!うるう……」
「怖くない。怖くない」

 暗示のように、芹香をなだめる様に優しく労わる。女性独自のしなやかさが芹香をビクンと跳ねあがらせる。

「うん……あ…ああ……」
「気持ちいい?素直な感想を聞かせて」

 芹香の本心を伝えてほしいと聞いてくる。芹香は静かに――

「き、きもちいいよ……潤う」
「よかったぁ。もっと気持ちよくなってね」

 くちゅっと、潤が芹香のおまんこを触ると、既に湿った音が溢れ出ていた。指を挿し入れ膣内をかき混ぜると、芹香の身体は暴れ出した。

「ひやああ!!うる。そこ、ダメ。よわ…あああ!!」
「芹香は勿体ないよ。感じやすいんだから、もっともっと感じていいんだよ。奥手にならないで、言いたいことを言っていいんだよ」
「うるう……ご、ごめんなさい。ごめんなさい!あたし――」
「うん……」

 唇を重ねる。舌を絡ませるディープなキス。芹香も潤を受け入れて目を閉じて甘い快楽に身を委ねる。

続きを読む

 駅前に到着した祥子(毅)。だが、その表情は難しい顔をしていた。

「何気に歩いて来たけど、今まで使ったことのない道を通って駅に着いたな。しかも今の道の方が早く着いたな。きっとお母さんが使う近道なんだろうな」

 予定よりも早く着いた駅前広場は多くの人が行き交い、賑わいを見せていた。

「やっぱ外は気持ちいいなあ。病院の中じゃ面白くないしな」

 外の空気をいっぱいに吸って青空の下で可愛い子を探す。すると、一人の女の子が周りをきょろきょろしながらまるで人を探しているようにしていた。
 誰かを探していると言うことはつまり、一人。祥子はニヤリと笑って彼女に近づいた。

「あの、ごめんなさい。誰か待っているんですか?」
「え?ええ。……あるえぇ?時間間違えたかなあ?」

 頭を抱えて困り果てる彼女。喋り口調からも分かる様に結構とろそうな印象を受けた。

「なら私が見てあげましょうか?」
「ふえっ?なにをです?」
「あなたの記憶を――うっ」
「んんっ!!?――ゴクンッ」

 勢いに任せて彼女の唇と重ねる。そして毅は口と口の間を通り彼女の中に入っていった。毅を呑みこむ音が聞こえ、彼女の意識が毅という液体に押さえつけられていった。
 背筋を伸ばして真っ直ぐに立つ彼女。しばらくして我に返ると、祥子の身体が地面に転がっているのが見えた。

「お母さん、ごめんね……。俺、彼女のところへ入っちゃった」

 今回も無事に乗り移りが出来た毅。

「……そうか。飲み薬って、俺が飲み薬になるってことだったんだ。いちいち見えなくなるのが嫌だと思って唇を合わせてたけど、やり方として一番正解なのかも」

 飲み薬の取扱説明書があったら教えてもらいたい。次回までに貴美子さんに聞いておきたい毅だった。

「――っと、そうだ。やってみたいことがあったんだ」

 目を閉じて意識を集中する毅。
 毅のやろうとしていることは、記憶の発掘。祥子しか知らない近道を毅は何気なしに使っていた。それは、祥子の記憶を無意識に読んだからだ。
 だから、意識をすることで彼女の記憶を読み取れると考えたのだ。
 目を閉じて頭の中で記憶を思い返すと、毅に彼女の膨大な知識と記憶が流れてきた。

「……私は曽根原潤。今日は親友の浅葱芹香と遊ぶ約束をしてたんだけど、十時の予定なのに芹香が来ないよ~うぅ…どういうこと~?」

 毅が喋った口調は完璧に潤の喋り方になっていた。記憶を呼んだことで完全に曽根原潤として生活できるほどになってしまっていた。

「すごいよ~。これなら芹香にも絶対にばれないよ」

 ウキウキ気分で喜ぶ潤(毅)。すると、潤の元に一人の女性が訪れてきた。

「あれ、潤?早いね」

      0097e195.jpg

「芹香~遅いよぅ」
「いつも遅刻してくるからじゃない。私も約束から十五分遅れが当たり前になっちゃって」
「いつもそんなに遅くないよ」

 そう言うと芹香は楽しそうに笑った。全然芹香は毅の事に気付いていない様子だった。

「ねえ、今日は何処行く?」
「どこって、いつもみたいに適当に引っ張ってくれるものだと思っていた」
「あ……」

 確かに記憶だと潤が適当にお店に入って時間を潰していた。つまり、芹香との主導権は自動的に潤が持っていることになる。

(そうなんだ……じゃあ……)

 潤が適当に歩きだすと芹香は横をついていく。毅は潤の記憶から、一度入ってみたいところに歩きだす。
 彼女たちも一度しか行っていないのだが、迷うことなくその場所に辿り着いた。駅前から外れた一室。歓楽街が多い建物の前に一人の男性が立っていた。

「えっ……?ここ――」

 芹香も思い出して怪訝そうな表情を浮かべた。

 そう、ここはラブホテル。潤と芹香は男性に連れられて中に入っていった。続きを読む

 パタッと目の前で由美が倒れている。
 それを見ている俺は――

「えっと、あれ……」

 先程まで母親の祥子を見ていたはずなのにいなくなっている……
 でも、それは違う。

「……ひょっとして――」

 自分の身体を見る。先程まで祥子が身につけていた衣装を自分が来ていた。確信する。

「俺、母さんに乗り移ったんだ」

 鏡を見ると、ニコニコと喜んでいる祥子が映っている。そしてコートを脱いで服の上から乳房を挟み込む。

「由美さんの時よりも重くて大きいな。なんか照れちゃうなあ」

 せっかくだから母親の部屋で身体検査でもと思ったのだが、倒れている由美を見て冷静に戻る。

「このまま由美ちゃんが目を覚ましたらきっとパニックになるんだろうな」

 裸の由美になんとか服を着せていく。だが中々うまくいかない。人に服を着せると言うのはとても大変なことだ。

 ――と、

「う…ん……」

 着替えさせている途中で由美が目を覚ましてしまった。
 祥子(毅)と眼が合う由美。

「きゃああああああああ!!!!!」

 由美の大声が木霊した。

「えっ、なに?だれ?いやあ!?来ないで!!」
「おおおおお、落ちつけ、いや、落ちついて」

 全然冷静じゃない祥子(毅)だが、祥子の真似をして話を作る。

「あなたが外で倒れてるから家に運んだの。苦しそうにしてたから服脱がしてたのよ」

 苦しい言い訳だが、それ以外にとっさに思いつかなかった。だが、由美は、

「えっ、あっ、そうなんですか……そう、ですよね?ごめんなさい。急に大声なんか出しちゃって」

「(通じた……)」

 乗り移っている間記憶がないというのは間違いないようだ。服を着て一段落したところでさらに聞きこむ。

「いったいどうしたの?」
「それが覚えてないんです……急に寒気がして、苦しくなったら、意識を失ってしまって」

 そこからは俺が由美の身体を憑依してたと。相手に記憶が残らないことはつまりやりたい放題だということに、由美を心配しながらもニヤニヤ顔になってしまう。

「そう。今は大丈夫?」
「……はい。御心配おかけしました」

 玄関まで由美を送る。靴を履いて玄関の扉を開ける。

「さようなら」
「……あの」

 笑顔で見送る祥子(毅)に由美は一度赤い顔して振り返った。

「女同士だから聞きますけど、私の身体が火照ってるんですけど、何かしましたか?」
「しりません。さようなら」

 ――バタン
 と問答無用で締めて鍵までかけてしまった。
 急いで二階に昇る祥子(毅)。楽しみたくてうずうずして仕方なかった。続きを読む

 由美の身体を操り、鏡の前でポーズをとる。

「ふん、ふん……」

 自由に動くからか、後ろを向いて顔だけ振りかえり、しなやかな腰のラインを強調させたり、腰をかがめて胸を強調させたりして遊んでいた。由美の身体と波長が合うのか、毅の行動が大胆になっていく。
 コートを脱ぐとさらに由美の身体のラインが浮き彫りになる。特に服の上からでも覗く胸に毅は惹かれてしまった。両手で胸を挟みこむと服の中でぼよんと揺れて谷間が強調された。

「あっ、なんかこのポーズ、エロイな」

 入院していたために欲求不満が爆発したのか、由美(毅)の発言は可愛い中学生の言動じゃなくなっていく。だが、それも由美の声になっているせいか、まるで気にしていなかった。
 既に毅の目は由美の身体にしか向いていない。上着を雑に脱ぎすて、ブラを外そうとする。

「と、とれない……うーーーーーーーーーーん」

 鏡の前で悪戦苦闘している由美(毅)。と、原理も分からず偶然的にフックが外れてブラが床に落ちた。
 支えられていた乳房が少しだけ落ち、本当の大きさと形が現れる。崩れていない美乳、大きさもあるとても綺麗な乳房だった。

「あっ。おっぱい軟らかい。重いけどくすぐったいや」

      10dd1fba.jpg


 男の子では決して味わえない胸の重さ。それが特に興味を持たせるのだろう。由美(毅)は一度だけじゃなく何度も胸と胸を重ね合わす。

「あっ……なに、今のこえ?」

 由美(毅)が気になって乳房を直接いじる。中央にある乳首が最初の時より大きく強調されていた。優しくチョンッと軽く触ると、指の肉に擦れて乳首から電流が流れた。

「あんっ」

 無意識に喘いだ由美の声に毅が驚く。そしてその後に目をうっとりさせた。この感覚は、男性のおちんちんをいじっている感覚に似た気持ちよさがあった。

「乳首って、こんなに気持ちいいんだ。俺、やったことないから、わかんなかった…。それとも、女の子だけ、なのかな?」

 しかも触る度に乳首が大きく膨らんでいく。もっと触って、と言っているように由美の身体が教えてくれる。由美(毅)は誘惑に負けて何度も触り、何度も快感に震えてしまう。
 表情がくすぐったくて笑ってしまう。でも、胸の奥でキュンとときめく感覚が広がっていく。
 身体が熱くなって、火照っていく。頭がぼうっとして、心の中から溶けてきたものがじわっと溶けて流れていく。

「……えっ?」

 バッと由美(毅)は身体を硬直して股を閉じた。顔は赤面し、恥ずかしくてベッドに倒れこんだ。
 何が起きたのか分からない。ただ、股のところが濡れている感覚があった。
 ズボンをゆっくり脱ぐとピンク色のパンツが露わになる。さらに股の付け根の部分が濃く変色していた。

「わっ。わっ、おねしょしたみたいになってる。どうしよう。パンツ濡れちゃった」

 女の子は簡単に濡れる。男の子の様に逸物がある訳じゃない。溜めておくことも出来ないのだ。

「おちんちんないとヘンな感じ。スースーする。これが女の子なんだ」

 自分が今、女の子であることを更に自覚する。パンツを脱いで裏生地を見ると、透明で粘着性のある液が付着していた。 

「でも、これ、糸引いてる……おしっこじゃないのかな?」

 予想を外した毅だったが、もう一つの答えに辿り着く。男の子で言えば精液である。毅だって出したことがある。それはオナニーして気持ちよくなってしまった時に出すものだ。つまり、由美の身体も気持ちいいと言っているのだ。

「由美さんも気持ちよくなってるんだ……」

 なんだか嬉しくなってしまう。
 パンツも足から外し、何もつけていない由美の身体。ベッドから起き上がり鏡を前にした由美(毅)は足をМ字に開いて一番濡れているヒダの部分を捲ってみた。
 ビラビラの奥にはピンク色した綺麗な穴があった。

「広げてみるとグロイな。でも、中はすごい濡れてる」

 パクパク動いて見える穴に由美の細い指を入れてみる。くちゅっという音と供に温かい湿り気が広がっていた。

「ふあっ!」

 由美の指が壁に触った瞬間、乳首を触った時なんかよりも大きな電流が流れ声が弾けた。
 出したかったから我慢を忘れて出した声。それほど膣の内部は刺激に敏感だった。
 もう一回、怖いけど触りたいと言う衝動にかられ、触ってしまう。

「あんっ!すごい、きもちいい」

 何度か触る度に痛さも薄くなりくすぐったくなる。そうなると快感しか残らない。由美(毅)は指を自然にもっと奥へと入れていく。奥の方が電流が大きく溢れ、そして、比例するように快感が強かった。
 男性の刺激が外に出ているのなら、女性の刺激は中に蓄えられている。

「こんなの……ぜったい自分のカラダじゃ味わえないよ。由美さんのカラダ、気持ちよすぎるよ」

 指を奥に入れるだけじゃなく、一度引いて外に出させることで、湿り気が溢れ出て、イヤらしい音まで広がっていく。くちゅくちゅくちゅくちゅと、指を出し入れする度に液が指に絡まって蕩けてしまう。
 当然、片方の指を膣内に入れている間、もう片方の指はおっぱいを揉んでいる。
 しかも膣内から送られる刺激で身体が硬直すると、力がはいり乳房を痛く潰してしまう。だが、その硬直が溶けた後には乳房からも気持ちよさがあふれてくる。
 こうして乳房とおまんこからの快感を由美(毅)は味わうことになる。

「あああっ!あっ!あっ、あんっ!くる……これ、くるよ……」

 身体が震えて何かが込み上げてくる感覚。自分の中から溢れて止まることが出来ない。
 まっ白になる思考。

「ああああ!!!い、いくううううううう!!!!」

 全身を硬直させ、痙攣を起こしたあと、脱力した。ベットに倒れこんだ由美(毅)。男性より数倍大きな波がたち、全てを流して去っていった。

「はぁ、あっ……いまのが、イクって、かんかくなんだ……」

 今まで経験したことのない波を受けて、由美(毅)は目を閉じて快楽にたゆたっていた。だが、その表情は疲れた中にうっすら笑みを浮かべていた。続きを読む

      3cc4c9eb.jpg


 散歩に出ていた由美が、背後からなにかがぶつかったような感触があった。

「――なに!?」

 背後を見ても姿はない。だが、その感触は分厚い壁を通りぬけて自分の身体の中にすうっと入ってくるかのような衝動だった。

「……いやあ……はいってこないでええ……」

 その場にうずくまり小さく震える。時折苦しそうに「あっ」と言う声が漏れる。
 しばらくして麻美の表情が一瞬消えて目を閉じた。
 だが、次の瞬間には麻美が急に起き上がったのだ。

「えっ、なに――?……えっ?」

 意識を取り戻した由美はまわりをきょろきょろ見回して、しばらくして自分の身体を見比べていた。
 状況が把握できたのか、落ちついた由美が呟いた。

「本当に出来たんだ……」

 由美の声で、毅は呟いた。これが毅の初憑依だった。


 ・・・
 ・・・・・・
 ・・・・・・・・・
「すごい。自分の身体じゃないのに俺の思うとおりに動く」

 毅が由美の身体で手のひらを握る。他人の身体がまるで自分の身体の様に動くことがとてもうれしかった。

「この人誰だろう?」

 ポケットの中にある財布を取り出す。カード入れの中に免許証も入っていた。

「麻上由美さん……二十歳なんだ。へえ。俺の姉ちゃんと同じ年だ。姉ちゃん知ってるかな?」

 っと、そうだった。毅は本来の目的を思い出す。

「家に帰らなくちゃ」

 そう言って一歩前に足を出す。

「―――――くぅ」

 歩く度に毅は悦びを噛みしめる。歩くことを絶望していた毅にとってまた外で太陽の下歩くことが何よりも幸せだった。いや、それだけじゃない。先程まで何も見えなかった状態で、今は由美の目、鼻、口、耳、そして感覚を使うことが出来るのだ。

「由美さんに感謝しないと。ありがとう、由美さん」

 自分の声じゃなく由美の声で謝ると、少し歯がゆくて小さく笑った。続きを読む

 木枯らしが吹くこの頃。秋が終わり冬の到来が近づいているのをガラス越しで眺める。一枚だけ残った葉っぱは、寒さに耐えて必死に生き残っていた。

「この葉っぱが散った時、俺の生命も終わるんだ」
「なにを言ってるのよ、若い子が人生にしょぼくれてちゃ駄目よ」

 看護師の貴美子が小笠原毅に優しく接するが、毅は長い病院生活に疲れてしまっていた。交通事故。歩くことさえ絶望的だと申告された毅にとって、生きているのさえ苦痛なのかもしれない。
 動くことのない景色を見ながら暇な一日に飽き飽きしている。

「お姉さんは良いよ……外に出れるから」
「小笠原くんもこれから出られるようになるわよ!頑張ってお姉さんと一緒にリハビリ頑張ろう」
「うん……」

 だが、リハビリも心の持ち様だ。今の毅にリハビリは何の意味もない。貴美子は看護師として毅の状態が分かっていた。
 だからこそ言葉ではなく、行動で示してあげなければならないと思った。
 しばらくして毅の元に貴美子が再び訪れた。

 手にはある薬を持って。

「小笠原くん。入るわよ」

 カーテンを開ける貴美子。毅はベッドから起き上がって葉っぱ一枚をただ見つめていた。

 ――目の前で葉っぱが落ちて宙に舞った。

「小笠原くん!私を見て――」

 毅の顔を無理やり向けた貴美子は一つの薬を見せつけた。

「お薬の時間です」
「……薬なら飲みました」
「違います。今から渡す薬は、あなたのリハビリを兼ねての薬です」

 毅は貴美子が見せる液状の薬を目に映した。

「『飲み薬』よ」

 毅は普段飲み薬も飲んでいる。今更もう一つ薬を増やすと言うのか。気分が重くなる。

「良く聞いて、小笠原くん。この薬を飲めばきっとあなたは歩くことが出来るようになるわ。いいえ、それ以外にもやりたいことが出来るようになる。でも良く聞いて。何があっても必ず八時間以内に此処に帰ってきて」

 歩けない身体が歩けるようになったらとても凄い効果だと言うことが分かる。でも、八時間以内に帰ってくると言うのはどういうことか?筋力増強剤(ドーピング)みたいなものだろうか?副作用が後に身体を襲うのだろうか。それはそれで怖い。

「違うわ。『飲み薬』はね、人に憑依できるの」

      お姉さんと約束

 貴美子が説明する。

「小笠原くんは『飲み薬』を飲むことで意識と身体を引き離すことが出来るわ。その間、身体は此処にあるし、あなたは意識だけの状態になるの。そうなると別の身体に移ることができるわ。当然、他人からしてみればあなたの意識が入ってくるから苦しがると思うけど、あなたが身体を動かしたいって強い意思を持っていればきっと負けることはないわ。相手の意識を抑え込めば身体の所有権はあなたに移るはずよ。――わかるかしら?あなたが他人の身体を自由に動かすことが出来るのよ」

 初めて聞く憑依という言葉。そして、貴美子が言う説明に毅は付いていけていない。分かることは、相手に乗り移れる。身体を奪えるくらいだ。

「えっ、でも、それって、迷惑な話ですよね?」
「ええ。とっても迷惑。私に憑依したら真っ先に殺しに行くぐらい迷惑な話よ」

 貴美子が毅を睨みつける。その怖さに背筋が震える。貴美子さんに乗り移るという考えはよした方がいいと毅は本能的に悟った。

「でも、それほど外に歩きたいと望むなら、小笠原くんにだけこっそり用意した完成品。どうする?飲む?飲まない?」
「……もし、八時間以内に帰ってこれなかったら?」
「身体が持たないで心臓停止よ。一度止まった心臓は動かすことはできない。それだけは心に留めといて」

 凄い効き目には危険が伴うということか。貴美子から手渡された飲み薬としばらく睨み合いが続いた。

「…………わかりました」

 そして、毅は決断する。続きを読む

↑このページのトップヘ