純粋とは矛盾色-Necronomicon rule book-

夢と希望をお届けする『エムシー販売店』経営者が描く腐敗の物語。 皆さまの秘めた『グレイヴ』が目覚めますことを心待ちにしております。

カテゴリ:グノーグレイヴ『肉体操作』 > 水晶&人形『コスプレイヤーに魔道具を』

「ひどい・・・」

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 夕夏はそうつぶやいた。
 夕夏の目の前に立つおじさんの邪推な笑み。ファンとして訪れていたとおじさんの真意を知った夕夏は、会場内で唯一悲しい表情を浮かべていた。

「そう邪見にするなよ。きみたちだって大好きなキャラを無粋な目で見てるんだろ?自分の好きなキャラになりたいと、憧れを抱きながらもコスプレしている自分をカメラに収められるのが好きで好きでたまらない。それを無粋と言わないでなんという?君たちこそがキャラを汚している最たる人間だよ」
「そんなことありません!私はキャラを尊重しているから手を抜きません。自分の好きなキャラだから汚すようなことを決してしません!だから、最もキャラを汚しているのは――キャラを尊敬している夕菜を汚した、あなたの方じゃないですか!!」

 ニィィっと、口元を釣り上げるオジサン。夕菜がオジサンからもらった首飾りには、人の精神を無意識に支配する『宝石』が使われている。夕夏はその事実を聞かされ、血相を青くしていた。

「今頃、お嬢ちゃんもオナニーを終わる頃だろう。そうしたらその格好のままこの場に来るよう命令してある。『宝石』の不思議な魔力はきっとお嬢ちゃんをそうさせる」
「なんで、そんなことが出来るの・・・?」
「道具を買ったからだよ。――この会場には本当に不思議な魔力を持つ魔道具を売る店もあったってことだよ。ここは表には出回らない掘り出し物、名具も飛び出す即売会だ。ここに来ない理由はない。俺はやっと見つけたんだよ。探し求めていた、魔道具を」

 おじさんが手に入れた魔道具は二つ。『宝石』と『人形』。『宝石』は夕菜に。そして、『人形』は夕夏に、それぞれ起動する手筈は踏ませている。夕夏に触らさせた『人形』は、夕夏そっくりの人形の姿になっていた。自分と同じ格好をした『人形』を見るだけでも夕夏は顔を青ざめる。その不気味な『人形』をおじさんが持っているだけでも、気味が悪いのである。

「そ、その『人形』をどうするつもりですか?」
「きみはもう俺のモノだよ。きみたち姉妹にはこれからもう一つショーをやってもらうよ」
「ショー・・・?なんであなたの言いなりにならないといけないんですか?」
「フフフ・・・」

 疑問を抱く夕夏に侮蔑な笑みを浮かべる。そして、おじさんはゆっくりとその『人形』を弄り始めた。


 
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 半年に一回行われる、世界最大規模の同人誌即売会。
 多くの兵たちがやってきてはそこでしか買えない武器を手に入れていく。会場を盛り上げるために武器だけではなく売り子たちも多くやってくる。
 時間を費やし完成させた防具を羽織り、傷つき弱った体力を癒す役割を果たす彼女たちは、多くの兵たちの目の保養になって楽しませる。
 つまり、コスプレイヤーである。コスプレを楽しむ来栖川夕夏―ゆうか―と夕菜―ゆうな―の仲良し姉妹もまた冬の寒さに負けない防具を装備し、カメラ小僧の被写体となってカメラに収められていた。

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「夕菜ちゃ~ん!」
「夕夏さん!メイド萌えええぇぇ!!」
「こっち向いてくれえぇぇぇ!」
「奇跡の一枚をとってやるぞおおおぉぉ!!」

 二人は何度もコミケに参加していることもあり、多くのファンを確保するようになったのである。自前のドレスを作るのは夕夏にとって時間も実費もかかる大変な作業だが、こうしてファンに囲まれ写真に撮られることは名誉であり、癒しであり、努力が報われる瞬間でもあった。
 やめられなくなっていた。妹の夕菜もドレスを着て一緒に参加してくれているので、恥ずかしさも感じることは少なくなり、今後の意欲も向上させる。
 買うことを楽しむ買い物依存症の人もいれば、撮られることを止められない人もこの会場にはいるということだ。
 そして、モデル小僧の振りをして近づく変態紳士もこの会場には潜んでいるのである。

「ありがとうございました」
「サインください!」
「プレゼント持ってきてるよ。受け取って!」

 二人の時間が終わると同時に駆け寄るファンたち。ファンサービスと供に各々用意していたプレゼントを彼女たちに手渡すのもまた、貴重な時間だ。

「夕菜ちゃんにプレゼントを用意したんだ。はい、これ」
「ありがとうございます!・・・似合うかな?」
「夕夏さん、この『人形』の鼻に触ってもらえます?」
「はい、こうですね」
「・・・ありがとう」

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  二人は一人のおじさんの注文を忙しさのあまりに言われた通り受け取り、実行する。
  二人はおじさんのことを対して気に掛けることもせずに次のファンの応対を受ける。おじさんもまた二人の元を放れていく。
 しかし、おじさんの表情は目的を達成したことに喜びほくそ笑み、会場の中に消えていった。


 
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