純粋とは矛盾色-Necronomicon rule book-

夢と希望をお届けする『エムシー販売店』経営者が描く腐敗の物語。 皆さまの秘めた『グレイヴ』が目覚めますことを心待ちにしております。

カテゴリ: グノーグレイヴ『スライム・寄生』

 その日、丸山伸生‐まるやまのぶお‐はクラス委員長である角田喜代美‐すみたきよみ‐に怒られていた。

      屑はどっちだ?

「毎日毎日遅刻遅刻。授業態度も不真面目。提出物もまともに出さない・・・丸山くんって学生だからって甘すぎじゃない?よくそれで平気でいられるわね」

 自分と全く性格が違うせいか、不規則な生活リズムで輪を乱す伸生に対して喜代美は初めから険しい目つきで対峙していた。

「おお、こわ。委員長はお堅いなあ」
「私だったら恥ずかしくて生きてられないわ。本当信じられない」
「ぐ・・・ぐぬぬ」

 冗談として流すことも通じず、喜代美に対して面倒だと感じる。たまたま同じクラスメイトになっただけでどうしてそこまで生活リズムを指摘されなければいけないのだろうか。
 他人のくせに自分の都合に合わせて無茶苦茶言ってくる喜代美を伸生もまた毛嫌いしていた。

「委員長だからって好き勝手言ってんじゃねえぞ!クソがクソが糞があああ!!」

 学校が終わり、家でゲームをやっていてもふと喜代美の言葉が突き刺さる。その度に伸生にふつふつと怒りという感情が湧き上がってきてゲームが面白くなくなっていく。楽しい学校生活も一人の行動次第でまったく楽しくなくなるものである。
 ゲームをしているのにストレスを感じる伸生を見て母親は深いため息を吐いていた。

「イライラしてないで、さっさとお風呂入りなさい。後が遅くなるでしょう」
「くっそぉぉぉ!!」

 負けた腹いせにゲームを一時やめて母親の言う通りにお風呂に入る。
 浴槽に入る前に身体を洗い、頭からシャワーを被り、シャンプーを出して髪の毛を洗い汚れを落とそうとした。
 しかし災難というのは続くもので、そのシャンプーもまさかの空っぽだった。
 伸生に再び苛立ちが募る。

「シャンプーないとか、補充しとけよ!」

 浴室から脱衣所に戻ってシャンプーの詰め替えを取り出す。そして、大股で歩いて浴室へと戻っていった。
 浴室へと踏み込んだ伸生の足元には、まさかの石鹸が落ちていた。
 つるっ――!ガンッ!!!
 まるでバナナを踏んだかのように見事なサマーソルトを噛ましながら、頭から地面へ落ちていった。

「いったあぁぁぁ~~!!」

 浴室で悶絶する伸生。学校からの一日の災難はプライベートの至福の時間まで汚していく。
 人生最悪の厄日だと伸生は思っていた。

「誰だよ、こんなところに石鹸置いたやつは・・・俺じゃねえかああぁぁぁ!!」

 一人ツッコミするほど怒りが湧いていく。こうなってしまうと悪いのは自分と分かっていながらすべては喜代美が悪いのだと責任転換をしてしまう。

「あいつのせいだ!今日は俺は人生最悪の厄日だ!!」

 ぶつぶつとつぶやいた伸生は自分の手に持っていた詰め替え用の袋を無くしていたことに気付いた。その液体はお湯が溜まった浴槽の中に沈んでいた。中身は既に漏れて液体は白くなっていた。こうなってしまったらもうお湯を抜いて入れ直すしかなくなっていた。シャンプーは翌日に買い直すしかない。今日は石鹸で我慢するしかなかった。間違いなく母親に怒られるだろう。

「角田のヤロー・・・あんにゃろ~ぶっ〇してやるぅ!!」

 白くなった水槽の湯。底が見えなくなってしばらく経つと――なんと浴槽から角田喜代美が現れたのだ。

「ぎゃああぁぁぁああああぁぁぁ!!!」
「うわああああ!!?」

 突然、丸山の家に現れた委員長に驚いてしまう伸生。しかも何故か喜代美は競泳水着の格好で現れたのだ。底が見えなくなった白い浴槽の底から生まれた喜代美に心臓が飛び出すほど驚いていた。

「なんでこんなところに委員長が現れるんだよ」
「知らないわよ。っていうか、ここどこよ?あんた、なんで裸なのよ!?」
「なんでここに居るのか分かってるのか?」
「知らないわよ。っていうか、なんで私こんな格好してんのよ。意味わかんない!」
「・・・はぁ?」

 しかし、それは喜代美も同じだった。まるで競泳水着を着ているのも自分の意志じゃないようなこと言っている。意味が分からず混乱する俺はふと浴槽から拾い上げた『柔軟剤』に書かれている一文に目を通していた。

【この『柔軟剤』は入れる時に頭の中で想像した人物に変身する不思議な液状が含まれています。変身した『スライム』はあなたの命令に逆らえません。早速オナホにしたい人物を想像して身体を綺麗にしましょう――】

 そこには摩訶不思議な説明文が書かれている。伸生は焦りと動揺の中で冷静に状況を見定めるように頭の中を整理していった。

「(つまり、なんだ・・・こいつは俺は想像した委員長だって言うのか・・・・・・)」

 見た目もそっくりだけど、突然競泳水着を着て浴槽の中に現れるなんて喜代美本人がするわけがない。喜代美が競泳水着を着ている理由も伸生には心当たりがあったのも、状況証拠を固めるのに十分認める素材になった。
 目の前に現れた喜代美は本人すら認識していない偽物だということを伸生は理解した。伸生が手にした不思議な『液状‐スライム‐』で喜代美のコピーが浴槽で作られたのだ。彼女は俺の命令には逆らえないとも書いてある。
 なんの理由で――?それは説明文に書いてある通りだろう。

「(『柔軟剤』って、そういう意味かよ!?)」

 伸生は思わず興奮を昂ぶっていった。

「あ、のさ、委員長?」
「なによ?」
「おまえ、誰か分かるのか?」
「はぁ?当たり前じゃない。角田喜代美じゃない」

      水着はサービスかな?

 声も性格も見た目も委員長の貫禄をもって答えている。しかし、普段の委員長なら伸生の言葉を素直に聞くとは思えない。名前を答えたということは、喜代美は伸生の命令を聞いたということだ。
 ムクムクと、伸生の中に復讐心が沸き起こっていった。

「私なんでここに居るの?・・・帰る」

 浴槽から出て行こうとする喜代美に対して俺は肩をつかんだ。思った以上に肩幅の小さい喜代美をその場に座らせ、いきり立った逸物を目の前に見せつけた。

「俺の身体を洗うためだろ?」
「・・・は?・・・なによ、それ?」
「そうだな。まずはフェラチオでもしてもらおうかな」

 いきなり横暴なことを言われながら男性器を突きつけられた喜代美があからさまに嫌な表情を浮かべていた。

「は、はあ?こんな汚いの舐められるわけないでしょ!」
「いいからしゃぶれよ」

 トーンを落として伸生は喜代美に命令する。すると・・・威厳のあった委員長が見せたこともない小さく口を開けて、舌を差し出して伸生の逸物をペロペロと舐め始めたのだった。
 ピチャピチャと、舌で叩きながら逸物を竿から亀頭の先まで舐めあげていく。喜代美にフェラチオをさせていることに伸生は今まで感じたことのない高揚感を感じていた。

「んっ・・・おぇ・・・アンタ、わらひに・・・はぁ・・・あにしたのよ・・・ちゅぶぶぅ・・・」

 まるで自分の意志じゃないものに命令されて勝手にフェラチオをしているとでも言うように目に涙を浮かべている。喜代美が伸生を睨みつける強気な姿勢がゾクゾクと背筋を震わせた。

「文句言ってないで俺を満足させろよ。ほらほら。ち〇ぽ噛み切るなんてこと考えるなよ」
「じゅぶ、じゅぶ、か、らだが・・・勝手に・・・ぢゅぶぶぶぅ!!」
「ウィッヒッ!フェラてのはこうやって喉の奥まで使ってしゃぶるんだよ!」

 喜代美の頭を持ってガンガン逸物を喉奥まで突っ込んでいく。亀頭の先が喜代美の口内粘膜に触れて温かく気持ちいい。対して喜代美は苦しさと臭さにむせ返り、唇の端から粘ついた涎を垂らしていた。

「んごっ・・・んぼぉっ・・・ぐぼっ・・・ぐびっ・・・」
「うおおおお!最高だ!委員長にフェラしてもらってるよ!!」

 彼女の頭を押さえつけながら乱暴に腰を振って逸物を呑み込ませていく。彼女の口マ〇コの気持ちよさに思わず伸生は一発吐き出してしまった。

「ンンぅ・・・・・・!んぼぉおおおっ!!?」

 ドビュルルッ!!と、口の中で大量に吐き出されていく精液の流動に耐えきれずに涙を流す。逸物を取り出すと、白い舌に乗ったままの精液が床に落ちて排水溝へと流れていった。

「ん・・・おぇえ・・・」

 思わず感極まって一発吐き出してしまった。競泳水着が精液で汚れる喜代美は衝撃を受けるも、既に伸生は次の命令を差し向けていた。

「角田さんの口オナホとっても良かったよ。それじゃあ、そろそろ下のオナホも使ってみようかな」
「・・・・・・へ?」

 苦しさが抜けない喜代美に対して競泳水着を脱がせていき、伸生はお尻を突き出させて彼女のオマ〇コをのぞかせたのだった。


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      もり…

「なにするのよ!?」

 ぷつりと頭の奥でなにかが弾き切れた衝動で、裕次郎は千秋をベッドに押し倒ていた。

「はぁっはぁっはぁっ、言わせておけば、もう我慢できない」

 息を荒げ、目が血走り、自制が外れた裕次郎は千秋に襲い掛かる。運動着の裾を力任せにあげ、細いお腹まわりをその目に覗かせる。

「いやあ!きみって本当に屑ね!」
「千秋ちゃんが好きだったのに、千秋ちゃんが悪いんだ!」
「やっぱりそうじゃない!私たちのファンはこういうことしたかったんでしょう?普通じゃない!」

 彼女が目の前で変わっていくことに耐えられず、必死の抵抗を見せ、ファンとしての意思表示だと自己正当化して暴走を繰り返す。
 大好きな千秋を犯してでも、変わらないでいてほしかったというささやかな願いだ。昔のように環境が変わらないでいてほしいという、現実逃避。

「あっ!なにするの、やめて・・・っ」
「ふ、ふへへ・・・こ、これが千秋ちゃんの、オマ〇コ・・・ここにチ〇コ入れたら気持ちいいんだろうな。オナニーなんかよりもずっと。も、もう我慢できないよ」
「いや、いやああっ!」

 恍惚とした表情で千秋のブルマーをずらし、小さな膣穴にいきり立った逸物を宛てつける。今までは身体を使われ、千秋に愛撫をされたことあった裕次郎だが、自分の意志のまま身体を動かし、千秋を犯すという興奮は、今まで溜まった束縛を解放したことにより歯止めが利かなくなっていた。

「ああんっ!やめてっ、これ以上はっ」
「はぁっ、はぁっ、やめられないよ」
「ふぎいいぃぃぃぃいいいいぃぃぃ!!?」

 千秋の膣に入ってくる太い異物の感覚。肉棒を呑み込んだ瞬間に捻れる膣肉の締め付けに裕次郎は感嘆の吐息をついていた。

「ああぁ~これがオマ〇コの感触・・・っ。気持ちよすぎて、で、でるぅっ」

 小さな身体の中に収まる自分の逸物に感動してはしゃぐように腰を叩きつける。前後に動けば動くほど膣がじわりと濡れてきて、ヌメリ感が増して滑りがよくなっていった。

      ベッドと思ったらマットプレイ

「こわいよぉ~だれか、助けてぇ~!」
「フ、ヒヒ・・・。嫌がっていたって抵抗が弱くなってるよ?千秋ちゃんも本当は感じてきてるんでしょ?下の口は正直になってるよ?」
「き、キモい!バカなこと言わないで!」
「キヒヒ!そらぁ!どんどん本音を出させてやる!そらっ!」

 一突きごとにピタッと止まり、衝撃を受けながらピストン運動を繰り返す。ぶちゅるっ!と、結合部から溢れる混合液が裕次郎と千秋が感じていることを示しており、千秋と繋がった裕次郎の快感は限界に押し広げられていた。

「いやあっ!中に出さないで!!」
「くぅぅ~で、射精るよ!!千秋ちゅあんんぅ!!!」

 ――ドピュドピュ、ビュッビュッ!ドクドピューーーー!!!

 泣き叫ぶ千秋の耳はもう裕次郎に届かない。限界を感じた裕次郎は一番奥まで逸物を突き挿し、彼女の子宮内に大量の精液を吐き出させていった。

「ひいぃぃん!で、でてりゅ、わたひの、なかに、せーえき、うふぅぅ・・・・・・」
「ああ~信じられない・・・ボクが千秋ちゃんにオマンコの中で射精できるなんて!」

 一度の射精感でさえ興奮が冷めやらず、逸物は未だ硬さと長さを保っていた。敏感な状態でハイテンションを維持したまま、裕次郎は一心不乱に腰を振り続けた。

「やだやだ、抜いてよ!妊娠しちゃうよ!」
「そ、そうか。生でセックスしたら妊娠させちゃうかもしれないんだよね?に、妊娠っ、ふぅぅん!」
「いやあ~~~っ!!」

 まるで千秋を妊娠させるように、さらに子宮内に二度目となる射精を吐き出した。

「あ~~~射精るぅ!!」

 千秋の中に吐き出す射精感がたまらず、身震いしながらその快楽に包まれていた。千秋の身体から噴き出す白い塊が、幼い少女を大人になった証拠を示すものとなった。

「はぁっ。はぁっ。膣内でボクの精液いっぱい出てる・・・千秋ちゃんのせいで信じられないほどたくさん出た。すごく、心臓がバクバク言ってる・・・」
「いやなのに・・・またぁ、イっちゃうぅぅ・・・・・・このカラダ、感じてちゃって、あはあぁぁん!!」

 その後も裕次郎は幾度となく千秋に射精を繰り返し、本能のままに欲望に忠実となって千秋の身体を開拓させていったのだった。

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 その後も、裕次郎は『Gypsophila』のために行動するようになっていった。
 今までは自由だと思っていたライブは強制され毎回顔を出すようになり、CD、アルバムが発売されれば指定された枚数を購入するよう義務化された。
 ATMとして心さえも無にならなければやっていけない。それはもう彼氏なんていう気分にはなれなかった。
 たとえ、性知識皆無の
『Gypsophila』の彼女たちに性教育と題して身体を交えたところでそれは同じだった。談笑トーク交えながらのオナニー観賞、ハメたまま食事をして、一緒にシャワールームで身体を洗いっこ――。ファンからすれば羨ましく思える行為さえ、裕次郎には虚無でしかなかった。身体だけ提供して、実際動かしているのは裕次郎ではなく、『Gypsophila』のアイドル達。『柔軟剤』で男性の身体を奪った後でメンバーと戯れる姿を裕次郎は黙って見ているしかなかった。それが、裕次郎の与えられた役割だった。
 三人は以前と変わっていない、アイドルとしての笑みを向けて性教育を学んでいるだけなのが本当に辛い。
 悪もなにも知らないのだ。全てはプロデューサーの意向に従っているだけなのだ。
 恋も愛もそこにはない。
やればやるほど興奮はなくなり、彼女たちのまえで射精して見せる裕次郎。いつしかファンではなく、性教育としての教材に成り果ててしまった。道具以下の境界線ができ、親衛隊としての熱意も熱気もなくなってしまった。本当ならこの場で静かに去るのがお決まりだ。アイドルに迷惑かけず、親衛隊として足並みをそろえられない裕次郎は消えていく方がいい――しかし、その選択肢すら裕次郎は持たさていなかった。
 瑞姫に束縛された裕次郎は今日もまた彼女たちのライブハウスに通うしかなかった。

「・・・・・・ぅさん・・・・・・じろうさん・・・・・・裕次郎さん」

 裕次郎が自分のことを呼ばれていることに気付いて振り返る。嫁の梨華‐すずきりか‐が裕次郎の異変に心配になったのだ。

「どうしたんだい?」
「どうしたじゃないです。・・・裕次郎さん、なんか苦しそうです。最近なにかありましたか?」

 ライブまでの時間は普通に仕事に出て働いている裕次郎。その顔がやつれてきたことに仕事が辛いのかと梨華が短い時間で会話をしにきたのだ。梨華もまた朝から看護職で働きながら晩ではバイトを入れてまで働いている。忙しい時間であるにも関わらず、梨華と会話するのも裕次郎には久し振りだと感じていた。

「大丈夫。なにもないよ」
「本当ですか?本当なら、私の目を見てください」

 じっと見つめる梨香に目を背けてしまう裕次郎。当然だ。梨華という嫁が入るにもかかわらず地下アイドルを追いかけているだけでも勘当ものなのに、最近ではもっと凄いことをやっているのだ。

「ボクが人と目を合わせるの苦手なの知ってるだろ?」
「・・・・・・そうですね」

      ヲタク、世帯主だった…普通だな。

 冗談っぽく笑う梨華に対して、隠し事をしている事実が突き刺さる。

「梨華は夜遅くまで働いて一緒に生計たててくれるし、
アイドルの追っかけを許してくれるし、ボク自身もともと顔だってよくないし、性格だって破天荒だ。なんでボクを選んでくれたのかわかんない。梨華はボクには十分すぎる幸せをくれただよ」
「私もです。内気な私に、一緒に頑張ろうって言ってくれたじゃないですか?だから、辛いことや悩みがあったら一人で抱えないで一緒に頑張って乗り越えていきましょう。不満があったら、おっしゃってください」

 梨華が裕次郎の内心を突く言葉を投げかける。裕次郎の硬く閉ざされた心が動揺し、少しずつ開きかけていった。

「梨華のおかげでボクはいま幸せだよ。その言葉に嘘はないよ。こんなに充実している日々はない」
「・・・・・・裕次郎さん・・・?」

 震える唇、潤む瞳、揺れる心。梨華に対して感謝の言葉を投げかけずにはいられなかった。アイドルの追っかけどころかATMになっていることを知れば、梨華はどういう態度をとるだろう。こんな裕次郎の正体に幻滅するだろうか。搾取されるだけの存在に成り果てた裕次郎自身、こんな姿を望んでいたわけじゃない。行き過ぎた行為を裕次郎がしていたことも認めるが、
『Gypsophila』の行為を否定しなければ、生計が破たんしてしまう。

「ボクが本当に守らなくちゃいけないものがなんなのか・・・ようやくわかった気がする」
「裕次郎さん・・・・・・はい」
「(終わらせるんだ。勿体ないと惜しんだところで、間違いは訂正しなければならない)」

 裕次郎は強く一歩踏み込んだ。
 本日をもって、鈴木裕次郎はドルヲタを卒業するために。



 

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 希美より体格的に一回りも大きい裕次郎なら幼い身体を抱きしめ包み込むことは出来るかもしれない。しかし、体内に通過し浸透することは不可能だ――そんな常識すらすり抜けて、希美の身体が裕次郎の中にすべて入ってしまった。
 目を見開き、我が目を疑った裕次郎の身体から感覚というものが希薄になっていく。意識だけを残して裕次郎は身体が動かせなくなってしまった。
 しかしその時、裕次郎の身体がびくんと動いた。それは裕次郎の意志によるものではなかった。

 首を回し、肩を回し、その場に立ち上がり、屈伸をして見せたのだ。

「(なにが起こってるんだ!?俺の身体が勝手に動くだと・・・!?)」

 止まろうと思っても身体が言うことをきかず、勝手に動き出す。さらに驚かされる理由はそれだけではなかった。

「すごーい!男性の視点ってすごくたかーい!」

 裕次郎の意志とは関係なく勝手に喋り始めたのだ。

「でも、この身体すごくおもーい。この体重で踊ったらすぐに息が続かなくなるよー」

 裕次郎の声なのに、幼女の口調で感想を呟いていく。まるでおかまみたいな仕草と相まって、裕次郎は自分が気持ち悪く見えた。

「(な、なんだこれは!?た、助けてくれ、千秋ちゃん!)」

 声にならないのに裕次郎は千秋に助けを求めてしまう。消えてしまった希美と様子があきらかに変わった裕次郎を前にしても千秋は全てを理解しているように屈託のない笑みを向けているのだ。それは彼女が見せた、初めても卑しい笑みだったのかもしれない。

「プロデューサーが言ったことは本当だったんだね。希美ちゃん」
「(希美ちゃん?どこかにいるのか?)」
「うん、そうみたい。千秋ちゃん」

 希美に語りかけた言葉に裕次郎が返事する。実際のところは裕次郎は自分が返事していたのを黙ってみているだけだった。裕次郎の身体に寄生し、同化した相手が千秋に応えて見せたのだ。
 今のやり取りで、裕次郎は察してしまう。希美ちゃんは消えたのではなく、裕次郎に同化し、身体を支配して動かしているのだと。

「鈴木さんも驚いたでしょう?いまお兄さんの身体に希美ちゃんが入って動かしてるんだよ」

 千秋が優しい声で恐ろしいことを言っている。身体の所有権を奪われて、誰かに勝手に使われ動かされて、操り人形にでもなってしまった気分だ。

「鈴木さんはちゃんと聞いてるの?返事がないから分かんないよ」
「大丈夫。意識が沈んで表に出てこれないみたいだけど、ちゃんといるのはわかるから」

 希美とは意識が共有しているのか、裕次郎の立場を談弁するように口が勝手にしゃべりだした。しかし、希美の口調で話しかけている自分を見るのは恥ずかしさを通り越して絶句してしまう。

「千秋ちゃーん!!」

 トテトテと近づいて抱き付こうとする裕次郎(希美)に、千秋は「ひやあああぁぁ!!」と言って悲鳴を上げて逃げ回っていた。

「どうして逃げるのよ。いつもなら私が抱きついても許してくれるのにー」
「だって、下半身露出して襲い掛かってきたから、つい怖かったんだもん」

 変質者の格好そのもので部屋内をグルグル循環する二人。場所が場所だけにそういうプレイに見えなくもない。キャッキャウフフしているアイドルの二人のうち一人でも成人男性に姿が変わってしまうと秘密の楽園が閉ざされてしまう光景を垣間見た。

「そうじゃなくて、私たちはプロデューサーに言われてたでしょう?成長するためにしなくちゃいけないことがあったじゃない」
「そうだったね。成長するためだもんね」

 希美は思い出したように裕次郎の身体で再びベッドに座りこんだ。

「(俺の身体でなにをするつもりなんだ!?)」

 そして今度は千秋が隣に寄り添い、裕次郎(希美)の顔と逸物を見比べていた。

「私たち、男性というのを知らないといけないの。大人になって相手を意識して、国民から愛されるアイドルにならないと。その為には偏った男性層じゃなくて、一般にも広く認知されるアイドルを目指さいないといけないの。一般人が当たり前のようにすることを、アイドルだって知らないといけないの。そのために、鈴木さんの身体を使って男の子の性的事情を教えてもらうの」

 それが瑞姫プロデューサーがアイドルである彼女たちに伝えた指示だった。ファン層を調べ、別のジョブ層にも応え、規模を拡大していく戦略を彼女自身にやらせること。そのためには彼女たちの持ち味すら奪っても構わない。
 歌は出来る、ダンスは出来る、しかし知識がないアイドルに、夢ではなく現実と戦わせることを厭わない。

「(だ、駄目だ、希美ちゃん!そんなことファンは望んでないよ!千秋ちゃんにもやめさせてよ!俺の身体から出ていかないと・・・これ以上は――!!)

 アイドルもファンも望んでいないこと瑞姫は強要する。アイドルはプロデューサーに従うしかない。良いことなのか悪いことなのか、そんなことはプロデューサーが考える。だからこそ、ファンの声が届かない――。


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 翌日、ライブハウスでの講演が終わり大盛況で『Gypsophila』が幕に消えていった。
 楽しみにしていた親衛隊も帰っていき、千村貴明、布施義也もライブハウスから帰っていった。
 しかし、親衛隊の中には最後まで残り、『Gypsophila』がライブハウスから出てくるのを待ち続けている男がいた。

 親衛隊No.3 鈴木裕次郎‐すずきゆうじろう‐。緑風千秋を追いかけて毎回ライブハウスに通い、遠征にも付いていってはコンサートのグッズを残ったものを全て買い占める男だ。しかし、その気前の良さとは裏腹に感情の起伏も激しく、野外フェスでは別アイドルのファンと一騒動起こしそうになった危険人物でもある。当然、大きくなったら緑風千秋ちゃんと結婚したいという願望もあり、握手会では100万近いCDを購入してその間千秋を口説き続けている。

「デュフフ・・・おはようからおやすみまで千秋ちゃんの顔を見届けるのはこのボクの務めなのである」

 そして今日もまた一人、ライブハウスから出てきた緑風千秋を電柱の影から見守る簡単なお仕事を始める。

「あぁぁ~千秋ちゃんを瞳に映すだけで、今日一日で目に入った薄汚い毒素の塊がすべて洗い流されていくであります~」

 その至福の時間をいつまでも過ごしていたいと思っていた裕次郎だったが、今日はいつもと様子が違った。

「――――」

 千秋が裕次郎を見たのだ。今まで目に映らないように避けながらライブハウスを出ていた千秋が、明らかに裕次郎を瞳に映し――笑ったのだ。今まで裕次郎に向けなかった微笑みを、初めて千秋が浮かべていたのだ。そんな些細なことに、裕次郎は心の底から救われた気持ちになっていた。

「千秋ちゃん・・・ぼ、ボクに微笑んでくれた・・・今までいっぱいCD買っても喜んでくれなかったきみが、どんな風の吹き回しなのか、ごぽぉ!!?」

 感謝の言葉を述べようとしていると、突然裕次郎の背後から強烈ななにかで殴られた衝撃が襲ってきた。倒れた裕次郎にさらに輪をかけて馬乗りになって動きを封じるように両手を縛ろうとして来る。

「うわなにをする
くぁwせdrftgyふじこlp」

 相手は手際よく手枷をつけ、目隠しをされ、口には猿轡をかまされる。突然のことで何が何だかわからない裕次郎が、自分が誘拐されたと気付くのは後のことだった。
 裕次郎を乗せると、エンジンがかかり、車が走りだす。何時間走ったか分からなくなったときに車から降ろされ、相手に引きずられながら歩かされる。この時にはもう裕次郎は声を上げず、怯えるようにしながら相手の言う事に従うように付いて歩いた。
 相手の腕に絡みつきながら、おどおどした足取りで視界ゼロの状態で歩いていく。
 相手も一切声を上げない。どんな相手に誘拐されたのか分からないが、何故か裕次郎の鼻には甘い香水の匂いと時折腕に当たる柔らかい感触が、ひょっとしたら誘拐したのは女性ではないかと予想をつけていた。
 それでも誘拐をするような相手だ。犯罪者であるには変わらない。碌な人間ではないと踏んでいた。
 やがて、相手は目的の場所に到着したのだろう。裕次郎に腰をつかせるように肩を両手で押さえつけた。腰が沈んだ裕次郎のお尻は、マットの柔らかい感触に驚いてしまった。
 両手の枷を外した相手。両手が自由になれば目隠しも猿轡も自ら取ることが出来そうだ。むしろ、それを相手が望んでいるようだ。

「もう外していいよ」

 裕次郎の耳に入ってきた相手の声は甲高い女性の声だった。女性というには幼い、声変わりする前の声だ。相手は子供・・・しかも、その子供という声の主を、裕次郎は何故か知っている気がした。
 外していいよ――その声で一刻も早く解きたかったはずなのに、一瞬だけ無意識に解くのを躊躇ってしまったくらいだ。
 しかし裕次郎は自分の仮定を確認するために、急いで目隠しを外していった。思っている以上に簡単に解けた目隠しも猿轡。それを身に付けた相手と裕次郎は対面した。
 裕次郎の目に映ったのは、
『Gypsophila』の筑紫希美と緑風千秋の二人がライブハウスの衣装のときと同じ姿で立っていたのである。


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      『Gypsophila』再登場

「みなさん。今日は私たちのライブに来てくれて本当にありがとう!」
『うおおおおお!!!』

 若手アイドルグループ『Gypsophila―ジプソフィラ―』。地下アイドルだった1〇歳の女の子グループが夏の野外フェスにゲスト出演すると、会場には大きな歓声が響き渡っていた。
 ライブハウスとは違い野外の解放感で歌う彼女たち。それと一緒に踊り歌う群がる兵の紳士たち。
 年齢が一回り若い彼女たちを応援する紳士たちの姿に、他のアイドルを見に来たファン達との境界線が其処にはあった。

「なにあれ、キモくない?」
「えーやだぁ~可愛い~」
「そう?SWAPの方がいいわ。どこのオチビちゃんかしら?」

 アイドルグループの中にも様々な層があり、飛び交う罵詈雑言がひそひそと聞こえてくる。

「みんな踊れ!いつも通り踊れって!」
「うわっ、キッツ。強制しないで」
「なんだと!」
「なによ!」

 ライブハウスから屋外へ進出したことで、井戸の中の蛙だったということがよくわかる。そこには様々なファンがいて、一体感を求めようとも決してうまくはいかなかった。むしろ事態は一触即発に。追っかけ、親衛隊、おたく。様々なファンが入り混じるが会場内でのピリピリとした空気が険悪なムードにさせ、亀裂を生む事態に発展。

      WRYYYY!!!

「あはは~ウケる~完璧な振り付けしてる~」

「やっぱり、ああいうグループにはああいう層がつくのかね」
「貴明・・・」
「関係ねえよ。俺たちの踊りを彼女たちに届けてやろうぜ!なあ、みんな!?」
『うおおおおお!咲良ちゃあああああんん!!!千秋ちゃあああああんん!!希美ちゃああああああんん!』

『Gypsophila』親衛隊を見て笑うファン。それを見ながら緑風千秋、桃井咲良、筑紫希美は自分のやるべきことを精一杯やっていた。


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 家に帰るなり、俺は満里奈と供にシャワーへ駆け込んだ。 
 町内を走りまわった俺は汗まみれだったこともあり、匂いを気にして離れようとした俺に対してずっと満里奈は腕を組んできた結果だ。

「私も藤二くんとお風呂入る♪」

 そう満里奈が言ってくるのは必然だった気がする。狭いお風呂場で引っ付きながらシャワーを浴びる。
 意識しなくても満里奈の裸をチラチラ見てしまう。

(身長も小さくロリ顔のくせに爆乳という反則急の恵まれた身体。ムチムチなお尻を触れても致し方ないよな)

 男性なりに下心が出てきてしまう。それはそうだ。何故なら今俺たちは彼氏彼女になったのだから。

「あっ・・・」

 ビクンと強張らせた満里奈も察して俺の好きなように触らしてくれる。散々他人の身体で迫ってきた満里奈を今度は俺から攻めるというのは感動もひとしおだ。金具で留まっていない生乳房を触れると、温かく重量感があるのに触れれば柔らかく形を無尽蔵に変えてくれる。好奇心に任せて指先で乳肉を押してみると、思った以上におっぱいは奥まで導いてくれた。満里奈のおっぱいの柔らかさ以上に触ったことはない。押し返してくる感触も気持ちがいい。
 触れれば触れるほどどんどん欲求が湧き上がってくるほどだった。
 満里奈がシャワーで身体を洗っている間長く触っていたいと思っていたのだが、それで満里奈が我慢できるはずはなく、

「はい。身体を洗ったよ」

 俺にシャワーを渡してくる。そして、身体を入れ替えて俺を鏡の前に立たせた。

「身体洗ってあげる」

 そう言い真っ先に俺の逸物を掴んでくる。

「シコシコシコシコ♡」
「お、おう・・・!」

 せっかく洗ったばかりの手にボディソープをつけて俺の逸物を扱き始める。ぎこちない割りにしなやかな手の動きを敏感に感じてしまい、俺はたまらず声を荒げた。
 満里奈に扱いている状況に酔いしれとても気分が良かった。満里奈がそういう態度で来るなら、俺も先程の続きとばかんりに目の前の爆乳を揉みし抱いた。

「あ、あぁ・・・♡」
「うぅう・・♡」

 俺たちはベッドに着くまで我慢できず、お互いの身体を好きなように乳繰り合った。
 お互い満足するまで一時間ほどそうしていた。
 浴室でじゃれ合い続け、ベッドに着くころには性も根も尽き果てていた。
 行為の後のようなまったりとした空気で横になって寄り添い合っていた。

      告白

「えへへ・・・」
「なんだよ、ニヤニヤして・・・・・・」
「藤二、大好き。私と付き合ってくれてありがとう・・・」
「俺もだよ、満里奈」

 お互いに布団の舌で足を絡ませあう。
 セックスとはまた違った人肌の安心感と幸福感に満たされていく。

「ああ・・・、私いま本当に幸せなの。こんなに他人に触られたことないかも。今まで私たちはただの幼馴染だったのに、今は藤二のことが愛おしくてたまらない」

 片想いから両想いになれたことに泣いているのかと思った。こんなことを平気で言ってくるのだから恥ずかしいやつだ。俺は照れ隠しのようにまた満里奈の乳房を揉み、ぷにぷにと、甘えるように胸を突いてみた。

「あはっ♪藤二ってば、そんなに私のおっぱい気に入ったの?」
「うん。こうやってずっと触っていたい」

 ツンツンとどこを押しても優しく押し返してくれる。満里奈のおっぱいってすげぇ。女体の神秘を感じずにはいられなかった。

「この胸コンプレックスだったのに、・・・ん・・・・・・でも藤二の前でなら気にせず曝せるからいまは平気」
「俺以外の男に見せたり触らせるのはダメだからな」
「誰も見ないし触らないよ。藤二こそ、他の女にちんちん触らせたらダメだからね」
「そうならないように毎日性処理してもらおうかな?」
「うん、任されたよ。いつでもちんちんしゃぶっちゃうから♪」

      この唇で・・・ゴクリ

 会話をすればするほど満里奈のことが愛おしくなる。自然と俺たちは顔を近づけていた。
 満里奈も目を閉じ、唇を差し出してくる。

「ん・・・」
「んむぅ・・・。ちゅっちゅっ・・・♡」

 小さく何度も唇に触れる。性欲だけではなく、愛情を求めるキスでお互いを求めあった。
 強く抱きしめ、お互いが手を後ろに回して密着度を高めて胸板同士を合わせ合う。上から順に重ねていくように、お互いの性器も合わせるようにゆっくり挿入していった。
 硬くなった逸物をずぶ濡れになった膣内に挿入して温めていく。腰だけを動かす微弱な振動だが、襞に擦れるヌプヌプという水音が部屋には響いていた。
 満里奈の身体から発散する柔らかくて良い匂いのおかげで気持ちがいい。勃起した満里奈の乳首をしゃぶりついて吸い付くと、膣内が轟くほど締め付けてきた。

「あっあっ、藤二・・・私、いっちゃいそうだよ♡」

 何度目になる絶頂を感じ、満里奈が請いていた。
 俺はさらに腰を激しく突き上げた。
 いいんだ、何度でも――愛で満たされるまでイケ!

 パンパンパンパン――ぬちゃぬちゃぬちゃ――

「お、おぉぉ・・・♡そ、それ、だめぇぇ・・・!あっ、あっ、いっ、いく、いくぅ!あっ―――――っっっ!!!・・・・・・はぁ・・・・・・はぁ・・・・・・はぁ。・・・・・・もぉ~。これで何度目?まだこんなに出るなんて♡」

 子宮が精液で満たされ恍惚の表情を浮かべる満里奈。俺も出し過ぎて汗が止まらない。精液を搾り取られる感覚は何度でも飽きが来ない快感だった。

「ふぅ~。汗かいちゃった?またお風呂行かない?そしたらあともう一回くらいは出来るよね?」

 あれだけ出してもまだ再戦要求する満里奈の底知れない技量に驚く。これはまだまだ満ち足りなさそうだ。

「ねえ、良いでしょう?ねぇねぇ~♡お願ぁい・・・♡」
「ま、まだ挿入ってるからあぁぁ!!」
「えへぇ~♡またまた硬くなってきた!ほら、もっとパコパコしようね!」

 あ、これヤバイやつだ・・・。
 満里奈の目覚めた性欲に限界が無いことに気付いた瞬間だった。


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 公園での姉妹での行動を目の当たりにしてしまった俺は、慌てて満里奈の家に駆け付けたのだった。
 これ以上迷惑をかけないため。満里奈の想いが暴走している以上、どうにか止めたいと思ったからだ。

 ピンポーン、ピンポーン、ピンポーン

 気持ちが走って、何度も呼び鈴を鳴らしてしまう。まるで普段の満里奈みたいだ。はやる気持ちが抑えられないのに、それを知らずに着替えをマイペースで進めているのが俺だ。いったい満里奈はどんな気持ちで俺を待って呼び鈴を鳴らし続けていたのだろうか――。

 ピンポンピンポンピンポンピンポン――

「あらっ、藤二君。久し振り」
「ごめんなさい、おばさん。夜番遅くに」

 きっと言いたいことはあっただろう。俺の顔を見た瞬間にすべてを許して微笑んでくれる満里奈のお母さんのは流石だった。

「あの、満里奈さんはいらっしゃいます?」
「ちょっと出掛けてくるって、外出ちゃったの」
「どこいったか分かります?」
「さあ、どこだか」

 仕方ないな。
 ここからは探すしかない。広い市街地とはいえ、幸いなことに満里奈は車を所有していないから遠くまではいけないだろう。
 大人になって夜道をひた走る。
 家で待たせていればいつか必ず帰ってくると知っていながら、それでも俺は満里奈に今すぐ会いたいという思いを抱かずにはいられなかった。

 ――商店街。――駅前。――学校。――公園。

 市内にある目ぼしい場所は虱潰した。満里奈が他に行きそうなところを思い出すも、むしろあの性格だ。目を離せばどこへでも行ってしまうに違いない。
 一か所に留めて置く場所があるとすれば――一瞬で心を奪うほどのものがあるとすれば、それはいったいなにがあるかと考えるとすれば、桜並木の通りを思い出したのだ。
 汗の大きい玉が額から噴きだしている。体力だって底を尽きかけている。しかし、最後の力を振り絞って行ってみる価値はあると思った。

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 こぎりに教えて(口を滑らせて)もらった場所は、市で管理している市民では知らない人もいない公園だった。俺でさえ高校の時に通学路などで利用させてもらった公園の一角だった。そこにある水のみ場だった。

『喉が渇いたからそこで水で飲んだら、彼女の中に入り込んじゃったの――あっ!藤二くぅん!?』

 俺は急いで駆け付けて公園に向かう。動かせるものじゃない。それはすぐに見つけることができた。
 だけど――。

「ううっ、気持ち悪い・・・・・・」
「しっかりしろよ、志信‐しのぶ‐。飲みすぎなんだよ」
「頭揺らさないで。ぐわんぐわんするの~」
「揺らしてねえよ。勝手に揺れてるんだよ・・・・・・」

 お酒に失敗したOLが、年下の男に引っ張られるようにして公園にいたのだ。面影が似ている様子を見ておそらく姉弟だろう。千鳥足で歩くのもままならないのか、男の肩にもたれて歩くのが精いっぱいの様子だった。人一人を引っ張ってくるのでも大変なものだ、男もまた疲れた表情を見せていた。

「少しは歩けるようにならないか。うちまではもう少しなんだからさ」
「うんぅぅぅ・・・・・・・・・?」
「水でも飲んで酔いを醒ませ。ほらっ」
「あっ――!」

 男が女性に例の水場で水を飲ませてしまう。俺が止めるよりも先に彼女はそれに口をつけてしまった。
 ゴク、ゴクと喉を鳴らしてしばらく飲む。男は良かれと思ったに違いない。でも、それは悪手だ。

「・・・・・・えへへ。とーじくぅん」
「誰だよ、そいつは?彼氏か?」
「うん。しょう!」

      姉の面影を持つ弟はどんな顔してますかねー

 ニコニコと、酒の力で彼に詰め寄る。目が据わっているのが分かるのは俺だけだろうか。
 俺には分かる。あれは、あの様子は間違いないく満里奈だ。
 志信という女性の身体に入りやがったんだ。

「し、志信・・・?なんか様子おかしくない?」
「うんぅ?私は普通だよ?」

 酒に弱い満里奈が普通でいられるはずがない。弟の方も分かったのだろうか、マジマジと弟の顔をのぞく志信の奥にある獣のような眼光を。
 ズリ・・・
 先程まで一歩も動けなかった志信が弟に詰め寄る。

「ね。キスしようか?」
「本当に誰と間違ってるんだよ!?ンぅ―――っ!?」

 動揺している弟のことなどお構いなしに、志信(満里奈)は俺の目の前で唇を奪ったのだった。


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 振り向いた先にいたのは、意外な人物だった。
 少女だった。
 ののと同じ年齢の女の子だろうか、同じ体操服を着ているので、ののの知り合いであることは間違いなさそうだ。
 むしろ、そうでなければ逆に不安になる。俺はその女の子のことを知らないのだから。

「こぎりちゃん?なんでこの家に来たの?」
 
 のの(満里奈)の言葉から出る友達の名前、体操服から察するに澤居こぎりという子に疑問を抱かずにはいられない。確かにそうだ、知らない人の家に勝手に入っちゃダメだってお母さんに習わなかったのか?と言いたくもなる。
 さらに状況は最悪である。ののという友達を犯した賢者タイムの時にやってきたのだから、少女からしてみれば俺はどのように映っているかなんて考えなくてもわかるだろう。
 友達を犯した犯罪者にしか見えない。これは非常にまずい事態である。
 怒っているのかどうかも怪しい表情で、こぎりは俺に近づいてくる。そして、何も言わないまま唇を奪い、舌を絡ませて少女の唾液を差し出していた。

「ん・・・んふぅ・・・・・・はむぅ・・・・・・ちゅび、ちゅぶ・・・・・・藤二君。ワタシにもして・・・・・・」
「お、おまえ・・・・・・満里奈か?」
「ん・・・・・・そうだよ」

      こげ・・・

 こぎりもまた、満里奈の精神が入った被害者だった。ののとこぎり、二人の少女を満里奈が乗っ取っている。

「こぎりちゃんも・・・・・・わたしなの?」
「ののも・・・・・・ワタシだね」
「わぁい!こぎりちゃんと一緒だね!」
「私たちお揃いだね!」
「呑気なこと言ってる場合か!?」

 満里奈のお惚けに頭が痛くなる。二人で抱き付かなくてよろしい。
 ののの友達のこぎりまで来て、一体満里奈はなにをしたいんだ。

「いったい、なにしに来たんだよ?何が目的なんだ・・・」

 いや、そんなことは聞く前から分かっている。そういう行動を促しているじゃないか。

「藤二君とセックスしたい」

 他人の身体を使って、俺とセックスすることを目的にしている。
 俺が満里奈を拒んだから、他人の身体を使ってセックスすることだけを目標にして欲望のままに行動している。
 他人の身体が傷つこうと構わないと、俺にセックス中毒へ誘わせて今日だけで3回も出しているんだ。

「無理・・・・・・無理だ」

 こぎりが悲しい顔をしていた。自分のルックスじゃ満足していないのと、そのつぶらな瞳が訴えかけていた。

「ああ、そういう意味じゃなくて・・・・・・いまヤったばかりで、休憩がほしい。少し休めば、また回復するかなって」
「なんだ、そういうことか」

 ぱあぁっと、屈託のない笑顔で元に戻ると、ののと一緒に頷きあった。

「そうだよね。藤二君の身体は一つしかないもんね。ちょっとくらい休み欲しいよね」
「じゃあ、見てて。せっかく友達同士揃ったんだし、藤二君に私たちのれずれずを見せてあげるね」

 計画していたわけじゃないのに、阿吽の呼吸を合わせるように二人は俺の前で大人の色気を見せ始めた。


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