純粋とは矛盾色-Necronomicon rule book-

夢と希望をお届けする『エムシー販売店』経営者が描く腐敗の物語。 皆さまの秘めた『グレイヴ』が目覚めますことを心待ちにしております。

カテゴリ: グノーグレイヴ『感度操作』

 電車の中で再び身体が硬直された桃に痴漢男は容赦なく弄ってくる。試合で負けて気分も最悪なうえで、素直に帰宅することも出来ない。それでも、桃は心まで完全敗北を味わいたくはなかった。
 試合でも本調子じゃなかったと言い訳できた。それなのに、電車内で痴漢をされている自分が悦んでしまったら、誰が桃を救えるというのだろう。
 快楽堕ちなんかならないと、桃は身体を触られても心はずっと抵抗していた。

「(どんなに卑劣なことをされても、屈したりなんてするもんか――)」

      なにが起こっているのか外からではわかりません

 それは桃が初めて抱いた、怒りというものだった。
 どうして自分が試合に負けたという悔しさも、身体に刻まれた違和感と言う苦しさも、苦痛を味わったことも全部――桃の感情を奮い立たせるものだった。

「(こんな・・・最低な人になんかに・・・私は負けない――!)」

 触っていても抵抗が分かるのか、痴漢男の手に愛液の濡れ具合が少ないと気付く。男が待っているのは、桃が快楽に堕ちた瞬間なのだ。その顔を見たくて仕方ないことを知っているからこそ、桃は平常心を崩さない。それは、桃が開閉ドアに手を置いたことに勝機の可能性を見出しているからだ。桃の身体は動かない。しかし、その身体は開閉ドアに身を預けたまま固まっている。つまり、開閉ドアが開けば桃の身体はバランスを崩し、ホームに転がり落ちると踏んでいた。そして、そのホームは桃が帰ろうとしている自宅のある最寄り駅のホーム。どんな体制で転がろうと、痴漢男から逃げてしまえば桃の勝ちだった。
 そして、その時間は刻一刻と近づいているのである。

「(隣駅までガマンすれば・・・!んっ、くぅ・・・)」

 痴漢男が前戯で時間を取れば取るほど、桃を犯す時間はなくなっていく。活路を見出した桃はブラを捲られ、直接乳首を弄られようと、ショーツを下ろされて直接クリ〇リスを弄られようと、必死に耐え続けていた。

「(もうすぐ、あと少し・・・!)」

 ここまで来て負けたくないという一心で桃は声なき抵抗を示していた。しかし、遂に痴漢男の前戯が終わり、ズボンのチャックを下ろし、中から勃起した逸物を覗かせてきたのだ。

「さあ、これからおま〇この中にぼくのおち〇ち〇が挿入るから・・・優しく受け入れてくれよ」

 満員電車の中、桃の秘部に逸物を擦りつけながら挿入しようと試みている。桃の腰を掴んで固定させて、桃の膣口に亀頭を宛がい、腰を押し込んでいくと、ビリビリと、昨日と同じ快感が桃の体内に流れ始めたのだ。

「(んああぁぁああっっ―――)」

 声を荒げなくちゃいけないのに、声が出てこない。

 ビリビリビリ―—。

 膣内にオジサンの逸物が脳を貫く勢いで刺激を送り込んできた。

「(おじさんのが・・・一気に奥まで・・・!)」

 身体が硬直し、思考も停止する。嗚咽を吐き出しそうな苦しさが込み上げてくるのだった。
 その時、電車が最寄り駅に到着し、桃の目の前で扉が開いたのだった。寄りかかったはずの身体は、自然に倒れるかと思ったが、桃の腹筋はその体勢を維持したまま固まったままだった。いや、挿入されているん分、オジサンが桃の身体を押さえつけているのは間違いない。しかし、桃の上半身は倒れるでも、転げるでもなく、扉が閉じている時と同じまま硬直し、そして、最寄り駅で人の出入りを終えた電車は桃を載せたまま扉が閉まったのだった。
 そして桃は、 再 び 寄 り か か る こ と が で き る よ う に な っ た。

「フー・・・フー・・・」

 桃は自分ですら訳が分からなくなった。逃げ出さなくちゃいけない。逃げないといけない場面を逃してしまったのだ。苦しくて嫌でたまらない状況を、どうして逃げ出すことが出来なかったのか自分に後悔してしまっていた。

「自宅を過ぎちゃったねえぇぇ~?」
「(あ・・・あ・・・)」

 それがどういうことなのか、オジサンは分かっているかのような笑みを浮かべている。桃もその笑顔を見て予感してしまう――。

「きみは、快感を欲していたわけだよ」

 オジサンの言葉を受け入れたくない桃。しかし、耳を塞ぐことも出来ず、オジサンの逸物を受け入れ始めていた。

「ようやく、グチュグチュになってきたね。きみの身体が受け入れ始めたようだねぇぇ~」
「(ぃゃぁ・・・言わないで・・・んっ・・・あぁぁっ・・・)」
「うっ・・・これは狭い。じゃあ、しっかりほぐしてやらないとな。気持ちよくならないと痛くしちゃうからね」

 ズン、ズンと、身体の奥に突き刺さる刺激が何度も蓄積されるたび、脳がぐちゃぐちゃにかき混ぜられる感覚が溢れていく。昨夜と同じ、思考も出来ない中で快楽だけを求めるもう一人の桃が蘇ってくるのだった。

「(もっと・・・もっと欲しい・・・!もっと・・・奥までちょーらい・・・・・・らめぇ!こんなことに悦んじゃ・・・・・・みんなに申し訳が立たなくなる・・・!)」

 日向子の泣き顔が蘇ってくる桃。自分のせいで敗北けたのに、チームをまとめるリーダーとして自分の責任に転嫁して耐えきれなくて涙を流していた日向子のためにも、自分が快楽に堕ちるわけにはいかなかった。

「(私のせいで敗北けたんだ・・・!なのにまた快楽に堕ちちゃったら、私はただの大馬鹿になっちゃう・・・・・・!)」

 自分のミスすらも誰かのせいに出来ないのに、再び同じミスを繰り返したら誰かに迷惑をかけてしまう――それだけは絶対に嫌だと言う意志で桃はオジサンに耐え続け、快楽に酔う自分を封印していく。
 しかし、その反骨精神のせいで涙が止まらなかった。

「うーん・・・あんまり奥まで入らないようだ。でも、大丈夫。心配しないでくれ。ゆるゆるのびちゃびちゃになるまでしっかり気持ちよくしてあげるから」
「ぅ・・・ぅ・・・っ!・・・ぁ・・・・・・」

 パン、パン、と激しくお尻を打ち付けるオジサンのピストンに耐えきれず声を荒げてしまう。自分を殺しても何度も頭を出して桃を引きずり込もうとする快楽の連鎖が、桃の口から涎を零させる。

「(熱くなって・・・濡れてきちゃう・・・こ、これって・・・)」

 口だけじゃない、膣口からも愛液を零して電車の床に水たまりを作っていく。我慢がストレスになり、素直な桃を認めざるを得ないとばかりに、今まで出てこなかった桃の一面が浮かび上がってくるのである。

「ふあああっ!(これ・・・きもちいい・・・壁に擦れると・・・んっ・・・あっ、ここ・・・はぁぁ・・・!だめなのにっ・・・こんなことしちゃダメなのに・・・)」
「いいんだぞ。もっと気持ちよくなるんだ。恥ずかしがらずに、ぼくのおち〇ち〇をんもっと深くまで呑み込ませていくんだ。さあ――」

 ズブブブ――と、オジサンに言われた通りに呑み込み始める桃の膣がさらに濡れて奥へと滑り込ませていく。下半身に違和感を覚える感覚が再び蘇り、顔を蕩けさせて快感に打ちひしがれる。

「(す・・・すごいっ、どんどん気持ちよくなっちゃう!とまらないよぉ・・・)あっ・・・あんっ・・・んあああっ・・・」

 膣内で暴れる逸物が桃の壁を押し広げる。ビクンと震えた桃の身体が痙攣を起こして、火照った身体が辿り着く最高潮の頂まで強制的に昇らせていた。

「はーっ!はーっ!」

 桃の中でアクメに達して膣内を思い切り収縮させていた。オジサンはそれに気づき、桃が絶頂に達したことを悟っていた。

「イっちゃったんだねぇ・・・・・・でも、もっと欲しいだろ?」

 小さなアクメで感度の上がった状態はこれからもっとイキやすい身体になっていることを桃は知っている。そして、オジサンは桃をさらに快楽に落とそうとしているのだということを悟らせる。
 あれだけ拒んでいたはずの快楽に強制的にイかされ、さらに意地悪にも同意を求めてくるのである。同意をすることはチームメイトに対する裏切りだった。自分のために全員を悲しませることをしていいわけがなかった。
 だけど、桃は逆らえなかった。何故なら、桃の身体はオジサンに堕ちていたのだ。
 桃の精神力を越えて、快楽に堕ちてしまっていたのだった。

「もっと・・・私にシてください・・・」


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 翌日の練習。男子バスケ部のリベンジ戦を女子バスケ部は受け入れて連戦で試合は行われていた。
 昨日の勝利で余韻に浸っているのは一人もいない。むしろ、男子全員の意気込みを悟り、櫻井日向子は百鬼桃の早めの投入を図った。
 油断を見せない日向子。不安材料は可能な限り取り除き、確実に勝利を手繰り寄せていく。女子バスケ部は正攻法なスタイルだ。
 しかし・・・この試合、終了に近づくにつれ、女子バスケ部全員が不穏な空気を感じ取っていた。

「・・・点差が、拡がらない・・・・・・」

 予断を許さない拮抗状況。普段と違い男子バスケ部が女子バスケ部に食い下がる。

「二度も敗北けてたまるよおぉぉ!!」
『武井!!』

 武井真彦の渾身のインターセプトで攻守逆転し、男子は前進し、女子は後退する。一斉に心を一つに叫ぶ。

「俺が勝つんだ!今日!ここでぇえええ!!」

 スリーポイントラインから飛躍し、宙を舞う。
 踏み込んだ跳躍力からもう一度宙で飛び、誰も届かない天まで到達する。
 そこからの急降下でゴールリングへ急降下を始まる。

「うおおおぉぉぉおおあああぁぁぁああああ――――!!!」
「うっ!!?そんな・・・これは・・・」

 ブロックするために飛ぼうとしても、天から隕石が振り落ちるのを止められるはずがない。
 小鳥遊楓子が間に合ったところで飛ぶことすら出来ない。
 初めて、勝負を諦めた――。

 ドギャン――!!!

 ゴールリングを激しく揺らす真彦のダンクシュートが決まり、しばらく女子バスケ部のゴールリングが揺れていた。
 男子バスケ部のはじめての逆転だ。時間との勝負に、女子バスケ部も焦りを始める。
 その
不穏な空気を出す仲間に、楓子も苛立ちを見せ始めていた。

「なんなの、今のパスは!?」

 真彦にパスカットされた百鬼桃に対して楓子が詰めかかっていた。

「さっきから酷いパスして、こっちがストレス溜まるのよ!戻りも遅いし、動きが散漫!いい加減にしてほしいわ!」

 PG選手の善し悪しがチーム全体に影響を与えることはチームの誰もが分かっていた。慣れあい以上に、冷徹な一面も持たなければやっていけない場所だ。百鬼桃はそれを買われていた。しかし、今日の桃は冷静さを欠けていた。
 時折に足を止めて、引きずりながら下腹部を気にしながらプレイしている。具合が悪いのは一目瞭然だ。
 櫻井日向子は桃が本調子でないことを知っていた。しかし、勝つためには桃の力が必要だった。
 しかし、勝利を急ぎ過ぎたかのように、その判断は今は間違っていると後悔していた。

「岡先生・・・あなたは一体・・・・・・」

 男子バスケ部の顧問は女子バスケ部の乱調に頷くような仕草を見せていた。
 昨夜、岡先生と桃の間でなにがあったのか――そんなことを知らない男子バスケ部は女子バスケ部に勝つことにだけ神経を集中し、調子を上げていく。

「もうすぐ終わる・・・全部終わる・・・」
「あと少しで、勝てる」
「勝つ・・・来い、女子バスケ部・・・俺たちが勝つ!!」

 時間進行とともに初勝利に向けて研ぎ澄まされていく感覚に、ボール運びが苦しくなる。ドリブルも出来ず、桃のパスワークも使えない。残された手段はシュートのみだ。楓子はパスを出し、櫻井日向子のシュートを信じるのみだった。
 日向子がシュートモーションに入り、何万と打ってきた感覚で距離感を調整し、ボールを軽く放り込む――刹那、真彦がゴールに影を作り、距離感を曇らせた。

「――っ!!?」
「ふんがぁーーーー!!!」

 日向子のボールに真彦の指が触れ、ボールはゴールリングに弾かれて地面に落ちた。
 その瞬間、ゲームセットの笛が鳴り、試合終了を告げられた。
 男子バスケ部が女子バスケ部に勝ったのだ。

『おおぉおおおおおおぉおおおおぉぉぉ―――――!!!』

 男子バスケ部が勝利を吠え、讃え合う。
 逆に女子バスケ部が初めて味わう敗北だ。いつも笑って許している東雲椿ですら笑みを繕っているように見えた。

「あはは・・・これはひどい、例えようがない痛みだね。過呼吸になりかけるほどの胸の苦しみだよ」

 その言葉通り、楓子は口元に手を抑えて吐き気を我慢しているようだった。

「・・・・・・・・・ぐッーーーッ!!」

 嗚咽するメンバー。日向子ですら涙を滲ませて悔しがっていた。

「私が・・・あと少しでも、早く放ることが出来れば・・・・・・」

 何万回でも足りない、基本姿勢の反復練習。その頂きを身体に覚え込ませているはずなのに、時間を縮めることを怠ったのだ。過信、慢心、余裕が敗北を招いたのだと日向子は分析した。

「そうじゃない。最後に託すのは日向子しかないのは分かっていた。だから俺は間に合った」

 真彦以外なら日向子を注視しなかった。最後は相性だったと真彦は言う。
 しかし、それすら計算に入れて行動するべきだったのだと、あと0.1秒縮めてさえいれば勝敗は分からなかったと日向子は悔やんでも悔やみきれない。
 苦汁を呑まされる今日を忘れることは出来なかった。

「・・・・・・私が至らないばかりに勝ちを取れなかった・・・ごめんなさい」

 桃は淡々と言葉を発し、頭を下げる。潔く敗北を認める桃が女子バスケ部の中でこんな場面でも一番冷静だった。
 練習試合、しかもリベンジマッチ。記録には残らない試合だ。
 しかし・・・それでも、記憶には焼き付く試合結果だった。

「次はもう負けないよ。何度でも、私達が勝ち続ける」

 斎藤玲唯佳が真彦と握手を交わし、成績1勝1敗という同点スコアに追いついた男子バスケ部の功績も、スカウトの目に映ることになったのだった。


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 アクメに到達した自分に呆然としていた桃。試合中でもかかない冷や汗を全身から流し、愛液と供にベッドシーツを濡らしていた。脱力を越えた放心状態の桃を、英吉が放っておくことはなかった。

「あれ?いまイったよね?初めてイケた気分はどうだったかい?」

 ニタニタと笑みを浮かべて、桃を侮蔑している英吉に初めてイかされたことを知られてしまうのが恥ずかしい。

「・・・何を言っているの?・・・私が・・・・・・イったですって?」

 普段のポーカーフェイスの表情を思い出したかのような冷ややかな対応を取ろうとする。

「そんなはずがない・・・そんなはず・・・」
「じゃあ、試してあげようか?」
「えっ・・・?」

 そんな桃の心境をすべて熟知しているかのように英吉は面白がっていた。人形化した桃を引き寄せると、本当に身軽く桃は英吉の腕の中に飛び込んでいった。
 英吉に抱かれることなど嫌だけど、腕一本動くことはない。英吉は桃の身体を容赦なく触り、イったばかりの秘部を再びかき混ぜていった。

 びちゃびちゃびちゃびちゃ――!!

 桃の膣内は英吉が弄れば弄るほどよく濡れて解れていく。その度に桃の表情が英吉の目の前で快感で蕩けていく。

「ふーっ‼ふーーーっっ‼‼(何なのよ・・・・・・なんなのよ・・・・・・これぇ!?)」

 ふにゃぁっと、英吉の指にかき混ぜられて脳が痺れて洗われていくような感覚に陥っていく。
 普段なら親父顔の英吉に弄られるのでさえ嫌だったはずなのに、桃の身体は良いように英吉の指に愛液を絡みつかせていく。
 膣肉の中を拡げる指と、抵抗するように閉じる膣内の攻防を、どうすることもできずに桃は愛液を吐き出していた。

「(今までこんな熱くなったことがない・・・先生の手でぐちゃぐちゃに掻き回されてるのに、解らされて・・・・・・びちゃびちゃに・・・・・・‼‼)」

 自分の愛液の吐き出していく音が大きく響かせていく。触手に触れられて痺れが走り、立っていられないはずなのに、桃は体勢を崩すことが出来なかった。ただ桃の中で快感が蓄積していくだけなのだ。

「(お願い・・・耐えて・・・っ!耐え、て・・・・・・‼‼)」

 再び走る痺れに再び桃のスイッチが強制的に入れられてしまう。無意識にアクメに達した一回目と違い、その類まれなるスポーツセンスは、アクメに達する瞬間と喘ぎ声を最高潮に高める瞬間を合わせることが出来たのだった。

「・・・イ゛ッッぐぅぅぅ――――!!!?!?」

 一度ならず二度までも絶頂に到達してしまう。今日まで不感だった自分の身体が嘘のように快楽に目覚めてしまっていることに驚愕してしまっていた。
 これは一種の敗北感だった。負けたことのなかった桃が人形化のように動けない身体で弄ばれて喜んでいる――イヤだと突っぱね、相手にイニシアチブを取られることを嫌っていたはずの桃が、相手の言いなりにされた方が身体が悦んでいるのである。
 心と体が乖離し、自分自身に下唇を噛み切りたくなってくるほどだ。自分のものじゃないような感覚、別の身体のようになってしまった肉体が、甘美なお汁を垂らし零していた。

「そうそう。身体から水滴が出来てたね。ようやく感情が出てきたようだねえ。私の指もきみのお汁でびしょびしょだ」

 愛液を身体に塗りたくられて、光沢ができたように輝いていた。
 それでも桃の身体から出てきた愛液は自分と同じ匂いがした。

「は・・・っ!はっ・・・!はっ・・・!はっ!」

 乳首を摘まみながら、クリ〇リスを捏ねられる。先ほどよりも鋭い刺激は、触っただけで今までの湿った刺激とは違い直情的な快楽を脳天に直撃させていた。

「(うううっ、イヤなのに!!?)これ・・・・・・っ。また・・・・・・っ!!?っっいぐんぅううう―――!!!!?」

 一度イってしまえば、二度、三度と――こんな簡単にイけるようになってしまうのだろうか。
 涙を愛液に変えて、潮を噴き出すたびに疲労感も同時に蓄積される。快感との波状攻撃が桃の精神力を蝕んでいく。

「(また・・・わたし・・・イっちゃって・・・・・・おかしいよ。潮まで噴いて・・・・・・)」

 水分を大量に吐き出した後で、後は乾くだけしかないはずなのに、膣内は潤いで満たしていた。英吉はこのタイミングで逸物を持ち上げ、二回戦目を始めるように桃の身体に勃起した逸物を差し向けた。

「こんな状態になって・・・また膣内に挿入してみようか」
「んっ、ぐうぅっ、うぁああ・・・・・・」

 桃は英吉の行動に直感的に察してしまった。必死に抗おうとしているけど、その身体は火照りと脱力感が桃の精神力を拒んでいた。
 自らがもっと快感を味わいたいと言おうとしているように、動けない身体から動かない身体へ誘導させようとする。

「せめて、先生・・・考え直して・・・」
「抵抗しても無駄だよ。諦めなさい」

 ささやかな桃の抵抗を差し置いて、英吉の逸物が再び桃の膣の中に挿し込んでいく。一度目で感じなかった刺激を完全に感じるようになっていた。

「はいっちゃううぅっ・・・ぃゃぁ、感じすぎちゃう」

      にゅぷぷぷぅ

 まるで、濡れた膣の中で子宮が落ちてきたように、英吉の亀頭に子宮口が当たりに行くように簡単に触れたのだった。

「まるで自分で呑み込んでいるかのようじゃないか?それほど感じているんだよ」
「感じてない・・・!感じてなんかない・・・っ!」

 英吉とくっついたまま、それでも桃は最後まで抵抗を示し続けた。

「イクわけないっ!イってない・・・っ!この私が、イクわけないじゃない!!こんな程度で――!!」

 ぐぷっ、ぐぷっ・・・グチュグチュグチュ!
 英吉の動きで膣全体で扱かれ、たまらない快感に襲われながら快楽を受けていた。桃の膣を弄ばれ、オナホのように扱われることに、涙がとまらなくなっていた。

「ん゛や゛ぁ゛ぁぁ!!もう、いいでしょ!?終わりにして!いい加減にしてよぉ!!」

 桃が根をあげ、英吉を拒みながらも、英吉の思うがままに扱いている。それがまた、英吉の劣情を掻き立てていた。

 ズボッ!ずぶぶっ!じゅぶっ!じゅぼっじゅぼっ――!

「んふぅ――。今まで未使用だっただけあって、なかなか具合が良いマ〇コだ」
「・・・やめて。おかしくなっちゃうからぁ!やだぁ!こわいの!お願い!もうやだぁ!ほんとに、それ、駄目だって・・・ダメなんだってば!ねえ、きいてよぉおお!!」

 聞き耳を持たずに桃の身体を持ち上げては叩き落とす。

 ――ジュブブブブ!!!パン!パン!パン!パン!

「い゛―――――‼‼‼‼‼」

 目の前でフラッシュバックする桃が嗚咽を漏らしながら絶叫する。

「い゛っ゛く゛ぅ゛う゛うう――――ッッ!!!!」

 獣のような声を荒げ、苦痛を訴える。それでも、まだまだ英吉の動きは止まらない。
 桃の精神が快楽で壊れるまで。
 ズブブッ・・・じゅぶぶっ・・・ズブブッ・・・じゅぶぶぶっ・・・

「はぁ・・・!はぁ・・・!もうやらぁ・・・っ!もうやらのにぃ~っ‼」

 過呼吸になりそうに息を絶え絶えにしながら、感情を爆発させる桃。
 普段の桃では見られない瞬間――

「やめ――!!!」

 桃が精神力だけで肉体を動かそうとした瞬間、桃の中で最も強いフラッシュバックが起こったのだった。


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百鬼桃。恵まれた抜群のスポーツセンスを持つ少女で、将来有能なオリンピック選手を約束されているようなものだ。だが、そんな桃にも一つだけ弱点があった。

「恵まれた生まれ。恵まれた容姿、恵まれた才能。しかし彼女には恵まれた環境がない――たった一つ恵まれたものがないだけでこうも不幸に堕ちるものかね。私なら耐えられんよ」

 ボロアパート暮らしで親と離れて一人で生活する彼女がバスケをやるのも部活動の間だけだ。それ以外はいつも心を閉ざしてしまっている。
 戦闘スーツに身を包んで鍛えている?馬鹿言っちゃいけないよ。心がないから重さを感じないだけだよ。身長も恵まれた食事にありつけないから成長していないのがその証拠じゃないか。まわりが輪をかけて『アンドロイド』と言うせいでそう見えるだけで、人としての感性を取り戻さない限り彼女は不幸から抜け出せないね。

「もっと苦しまなきゃダメだ!もっと追い込まれなきゃダメだ!もっと地獄を もっと地獄を もっと地獄を!!」

 そんな彼女のプレイが相手を苦しめるのだ。楽しくなければ絶望的な選手が活躍して素直に喜べるものかね?彼女は現在お金がない。恵まれた才能も恵まれた環境が無ければ藻屑と化すを体現しているようなものだ。
 だから私が50万を彼女にプレゼントしよう。そして、彼女に教えよう――彼女のプレイによって苦しめられた相手の辛さを。しっぺ返しとなって彼女にも苦しんでもらわないと。


 ・・・
 ・・・・・・
 ・・・・・・・・・

「これが約束の金額だ。しっかり数えてくれたまえ」

 桃とホテルに入った英吉が桃の目の前に札束の入った封筒を渡すと、彼女は静かにそれを拾い言われた通りに金額を数えていった。自分の懐に入ることを喜ぶかと英吉は思ったが、そんな素振りはやはり見せず、桃は静かに鞄に入れて蓋を閉じたのだった。

「約束通り一晩付き合ってあげる」

 桃はそう言った。

「でも、私は正直軽蔑している。こんなことを日々楽しみにしているなんて馬鹿みたい」

 売春や援助交際を否定している。大金つまれた人間が言う台詞じゃないのだが、それよりも英吉は桃が意見をちらっと言ったことの方が面白かった。

「興味あるのかい?」
「見下しているの」
「大人は楽しみが欲しいんだ。そして百鬼くんはお金が欲しい。ここにはどちらも勝者しかいないんだからいいじゃないか。勝ち負けで拘ることしか知らないようじゃまだまだ青いよ」
「真剣に生きている私と適当に生きている先生とで同じ勝ち組なんて絶対イヤ」
「どんなに頑張っても百鬼くんの評価は私と同じだよ?」
「・・・・・・・・・」

 苦々しく桃は英吉を睨みつけている。どちらも口が悪く、どちらも相手に譲るつもりがない。むしろ、見方を変えれば金額を受け取った時点で桃の敗北なのだ。英吉が桃に服を脱ぐように催促すると、桃は渋々服を脱ぎ始めていった。

「楽しい夜にしようじゃないか」

 何が楽しいのか桃には分からない。本能のままに生殖行動をするのだろう。英吉のようなエロ親父顔にとっては楽しいかもしれないが、他の楽しみを知っている桃にはまだよくわからなかった。それどころか、桃は先に伝えておかなければいけないことがあった。

「期待しているところ悪いけど――」
「ンーー?」
「最初に言わせてもらうけど、私全然感じないから」
「えっ、そうなの?」
「だから喘ぎ声とかは出してあげられない。悪いけど私、嘘はつけないから」

      これじゃあただの人形ですな・・・

「ストッキングは脱ぐ?」と桃は尋ねて英吉は肯定する。淡々とした動きで裸になっていく。

「先生の気のすむまで自由にしていい。私からは何もしてあげられない」

 もともと性行為も分からないような子だ。スポーツに人生捧げてきた彼女に求めてはいけない。
 下着を外し、全裸になった桃がベッドに横になった。

「はい、どうぞ。先生の好きにしていいよ」

 ベッドに倒れる等身大人形のように、桃はそれから動かなくなった。好きにしてくれと言わんばかりのマグロ状態。極上の新鮮な黒マグロだ。しかし、それを相手にするには骨が折れそうだった。
 肉もない、身長もない、胸もない――
 反応もない、知らない、喋らない――
 やり辛いことこの上ない。

「ふん、ふん、はっ、はっ」

 それでも、なんとか英吉は一発出した。コンドームに包まれた肉棒から白濁液を吐き出し、ようやく一発目を終えることが出来た。

「ふぅぅ~休憩・・・」
「・・・・・・・・・?」

 思った以上にあっさりと、英吉は射精した。もっと激しく痛めつけられることも考えていた桃だが拍子抜けである。一晩買われた身でありながら想った以上に楽に開放されるかもしれないと、退屈だけど、そんなことを考えていた。

「最高だったね、百鬼くん」
「バスケの楽しさと比べても最高とは程遠いわね。これを楽しいと言えるのは浅はかじゃないかしら?」
「女の子に生まれてきて気持ち良かっただろ?セックスは良いってそう思わないかい?」
「同意しかねるわ」

 そもそも桃に乗り気があるわけじゃない。一人で盛り上がったところで限界があるだろう。
 桃の態度を見て気まずさだけがどんどん募っていき、これから先のことを憂い嘆くように英吉は顔をしかめたのだった。

「そうか。残念だよ。この面白さが分からないだなんて・・・」

 シュンと、逸物も萎えてしまっている。このまま精神が盛り返さないようなら桃は帰って良いのではないかという気さえしていた。桃の性根を叩き直す以前に、あまりに相性が悪かったのだ。人の気持ちが分からない少女と、人の気持ちを知ろうとしない男性の平行線の付き合いがこれ以上突発的な変化を起こすことは試合でもあり得ないだろうと、桃は深くため息をついた。

「・・・・・・もういいの?」

 高い授業料を払ったものだ。英吉は首を横に振り、未練垂らしてまだ桃を即座に開放するつもりはなかった。

「じゃあ、二回戦目どうぞ」

 渋々ベッドに倒れる桃。その上から英吉は桃を見下ろしていた――。

「そうだね。夜はこれからだよ。・・・・・・まだまだ愉しませてもらうとするよ」

 英吉は眼鏡を外し、ゆっくりと顔を近づけていく・・・。

「やはり一回じゃ伝わらないのかもしれないね。ちょっと本気を出してみようか?」

 電球の光が英吉に隠れ、影を落とすと、英吉の片目が異様な光を放っていた。

「なにを言ってるの?えっ!?」

      影に忍ぶ怪しい目力

 オッドアイの瞳が桃を貫いた。目と目が重なった瞬間にお互いの姿が映り出す。そしてその瞬間、桃の身体に悪寒が走った。
 レーダー照射した様に伸びる瞳の光線を受けると、桃の身体は突然全く動けなくなった。

「なに?なにかしたの?」

 口だけ動く。しかし、急に桃の身体の中に燃え滾る感度が沸き起こってきたのだった。ピクピクと動く小さな乳首が触っていないのに勃起していくように突起して硬くなっていった。

「えっ?えっ?・・・なんなの?」

 分かったところで何もすることが出来ない。感度が高まっているのに逃げることが出来ず、ベッドから動くことが出来なくなっているのだ。桃の顔を覗く英吉を見ただけで、ボッと桃の頬も染まっていったのだ。

「先生、まだ回復に時間かかりそうだし、百鬼くんの身体を触らせてもらうとするよ?」
「・・・・・・まっ。まって・・・」

 桃の言葉を聞くはずもなく、英吉が乳首を摘まんだ――

「んあぁ・・・っ」

 初めて桃が喘ぎ声を発した。その声を聞いて桃が一番動揺を覚えていた。




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 男女含めたバスケ部練習試合。武井真彦―たけいまさひこ―率いる男子バスケ部も善戦していた。
 女子バスケ部の人気が著しく目立つようになってから男子バスケ部の存在は日に日に希薄になっていた。
 最近では、マスコミが取材に来る日には男子バスケ部のコートまで奪いにやってくるほどだ(実際は先生達から交渉されている)。日和見主義でインターハイ出場したこともない男子バスケ部に拒否権はないが、部活に燃えている男子高生としてはいい気持ちのするものでは決してなかった。

「ちぃっ。最近になって目立つようになりやがって・・・」

 力でも身長差でも決して男子は女子に引けを取らない。

「それでも、俺は・・・・・・」

 もし違うのであればそれは技術と運動量だ。もしの試合で負けるようなことがあれば、男子の女子バスケ部に対するコンプレックスは今以上のものになってしまう。

「負けるわけにはいかねえんだよぉぉぉ!!!」
「――っ!?」

 男にはどうしても負けられない戦いがある――真彦が櫻井日向子‐さくらいひなこ‐のパスコースを読みインターセプトし、ドリブルで特攻してそのままレイアップシュートを決める。即効でカウンターを決めて点差を放す真彦に、敵とはいえ気迫のこもったプレイに東雲椿―しののめつばき―は真彦を称えていた。

「やるじゃないか。思わず見惚れちゃったよ」

 時間差も迫り、女子バスケ部も一つの決断を下すことにした。頷き合った選手たちが、まさしく最終兵器を投入するようにベンチに座る一人の選手に合図を送っていた。
 その選手は黙って合図を受け取ると、席を立ちあがり試合用フォームへと着替えていった。

「ここから・・・くるゾ」
「ヤツが・・・投入される・・・・・・」

 ズドン。
 ズドン。
 バキン。

 まるで彼女の着ていたものすべてが拘束具だったかのように脱いでいく度、体育館にズドンという鉄筋が落ちる音が響いたのだった。あり得ない重量音が聞こえる。彼女の着ている衣服は軽くなかったのだ。自ら枷を付けて耐え忍んでいたのだ。座っている時でさえ苦しかったはずの彼女は、表情を崩さず涼しい顔をしていた。そして、すべての拘束具が外され、試合用フォームになった彼女は、枷が外れたことと選手として呼ばれたことに狂喜の笑みを浮かべているのだった。

「か、かか、かかかか・・・・・・」

 あまりの希薄に男子バスケ部の1人が急に歯ぎしりが止まらなくなっていた。

「選手交代です。百鬼桃‐なきりもも‐です」

 その名を告げられ、彼女はコートの中に入っていく。準備体操もなく、静かにコートに立つ彼女は戦闘モードを起動した様に表情を氷解し、心を稼働させていく。

「さあ、はじめましょうか」

      ガチ勢(ガチ勢)

「ふんっ!」と、戦闘民族ばりの気合を入り方に彼女の後ろにはまるでオーラが見えるようだ。最強のPGの登場に男子バスケ部全員の背筋を凍らせた。先ほどまでイけるのではないかという期待すら凍らせる冷酷なまでの冷静さを兼ね揃えた精神と、磨き上げられ、不要なものを全て削ったフォルム、そして、隙あらばどこでも正確なパスを繰り出す心理戦と、自らも3Pを打つことが出来る技術。
 ただ二酸化炭素を吐き出して赤い炎を燃やす男子のバスケではない、燃える炎に酸素の量を調節して青い炎を揺らす女子バスケ部の頂点。
 たった一人、彼女の登場により、他の選手がのびのびと試合をするようになり、正確なパスに日向子たちの動きが良くなり、シュートが落ちる気がしなくなる。

 シュパ――
 シュパ――
 シュパ――――

 見ている方が男子バスケに「もういい、彼女を引き釣り出しただけでもよくなった」と労いの言葉をかけたくなるほど、点数は急激に放されていった。

「こいつはとんでもねえ化物だぜ・・・」
「俺たちは出る漫画を間違えちまったようだ・・・」

 一対三で囲い込もうとも、桃の手からボールが放れない、まるで地面についている前にボールが手に吸い付こうとしているくらい一定のリズムを刻み、ペースを取り乱すことなく急発進と急停止をして男子の身体のバランスを崩す。
 解れた所を小さい身体が縫うように通り抜けていく。そして空中に階段を作るかのように宙を昇っていき、ゴールまで届いて自らダンクシュートを叩きこんでいった。

「なんであの小ささで跳躍力があるんだよ!」
「なんだよ、あの格好・・・おかしくねえか・・・ぐはぁ!」

 一人、また一人と桃のバスケセンスに絶望していく。心を殺し、戦意を喪失させてなお襲い掛かる桃に対して、誰も勝てないと思い始める――。

「まだだ!!!」

 しかし、真彦は最後まであきらめなかった。
 この試合が負けることになることが決まろうとしていている中、それでも真彦のみが男子バスケの勝利を信じて猛追していく。

「もう無理だ!」
「お前だって限界じゃねえか!」

 仲間が叫ぶ、しかし――

「いけえぇぇ!!」
「武井!!」

 真彦の一撃を信じて男子は心を一つに叫ぶ。

「すごいね。時間も点差も限界過ぎているのにまだ諦めないなんて――」

 椿が真彦の雄姿を称え、構える。

「限界なんて決めんじゃねえ!壁が何度でも立ちはだかるなら、俺はいくらでも、越えてやるぅぅぅ!!!」

 ハーフコートに入った場所から真彦は跳ぶ。
 ダンクにしてはその跳躍はあまりに早い。ゴールに届くことはない――それよりも椿は真彦の、男子の跳躍力の高さに驚いていた。今日一番の高さだ。
 飛んでもボールには届かないことは跳ばなくても分かっていた。
 この瞬間、真彦は天と一つになる――。

「うおおおおおおお!!!」

 絶対に入ると確信していた。天に誰も届きはしない。
 ゴールまで距離があろうが、放り込めば邪魔は入らないところまでやってきた。
 鋭角45度からのスマッシュシュート!
 しかし、地上では鬼神の如く桃が瞬時に謀略をめぐらしていた。

「椿」

 椿に向かって突進してくる桃に対し、阿吽の呼吸で空気を読んだ椿。

「オッケー!」

 すかさず、バレーのように手を組み、桃の足を載せて――そのまま振り上げたのだ。ボレーしたボールが宙を舞うように、椿に舞い上げられた桃の身体は、誰にも届くはずのなかった天をつかんだ。

「なっ!!?」

 絶対的な確信を持った状態から伸びる桃の手がシュート精度を下げていく。手から放れたボールは豪速球となって一直線にゴールリングに届く。そして、真彦は現実を知る――
 ガコン――と、ボールはリングに当たった勢いを殺せず、輪から外れて地面に落ちていった。

「限界を超えても、気合だけでは勝てない」

 先に地面に落ちていく桃。その身体を椿が抱きかかえる。

「そんなことって!!くっそおおおおお!!!」

 対して桃の執念によって一撃すら入らなかった真彦は地面に叩きつけられ、完膚なきまでの敗北を喫したのだった。

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 ちょっと待ってと待たされてから10分は経過している。
 決心がついたと言うのに、その想いは時間と供に薄らいでいく。
 妹がせっかく背中を押してくれたと言うのに、いったいこれはどういうことなのか――

「・・・・・遅いぞ、夜艶ぁ・・・・・・?」

 と、ようやく待たせていた妹が登場した。今まで見たことのない格好をして、手には今まで見たことのない大きな黄金の杖を持っていた。

      
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「……なに、その格好?」

 俺が声をかけると夜艶が恥ずかしそうな表情をしていた。
 
「コスプレ・・・。裏葉祓―うらはらう―」

 裏葉祓とは既に廃販された『ゲーム』の登場人物で、神奈備という神に仕える魔法使いで、まだ声優として開花する前の茨蓮花が起用された、マニアなら喉から手が出るほど欲しい作中の人気キャラって、ええええええええええええ!!!?

「おまえ・・・、コスプレに興味あったのかよ!?」

 まさか、また『シス☆プレ』の別人格ってことはないよね?と、疑惑の目でつい見てしまうが、夜艶が小さくコクンと頷いた。
 そんな趣味があったなんて知るわけもなく、俺ですらネットでしか見たことないキャラを見事に模倣した出来栄えのキャラで登場した。杖なんか本物さながらで、凝った作りをしている。
 生地も一から作っているのだろうか、ナイロン生地のマントと帽子の完成度の高さに手先の器用さがうかがえる。

「・・・・・・・・・毎日、こんなことしてたの?」
「他にも何着かあるの。誰にも言ってない、私だけの秘密……」

 まさかコスプレが趣味だったなんて知らなかった。それを兄の俺に伝えてくるなんて――

「でもね、コスプレに興味ある人って結構いるんだよ。先月なんてハロウィーンだったし、多くの人たちがコスプレの格好して町を一緒に歩いたんだよ?あっ――――」

 俺は夜艶に抱きつきながら、そのままベッドへ倒れ込んだ。ベッドに沈んだ夜艶が緊張と期待を重ねた表情で俺を見つめていた。
 せっかく作ったコスチュームだけど、今の俺の前に着てきたってことは、つまりそういうことだろう。

「服、皺になるかもしれないけど、いい?」

 俺は一応確認をする。夜艶が小さく息を飲んだ。

「・・・いいよ。きっと、もう着ることはないと思うから」

 やっぱりコスチュームを作っても、着る機会は一度だけなのだろう。自分の自己満足と達成感に浸りながら二度と着ることもなくクローゼットに仕舞われていく。
 それはきっと悲しいこと。でも、悲しみの先には次のキャラになりきる為に衣装を再び作り始める。
 『ゲーム』の登場人物になりきり、衣装まで仕上げる。
 意欲。やる気。
 明日への活力を生み、未来への希望を産む。それが――『ゲーム』。
 この社会に『ゲーム』は必要だ。
 夜艶のような女の子がきっと世界にはいるはずだから。

「それに、お兄ちゃんだってこういうの、好きだと思うし」
「なに?」
「ううん、なんでもない!」

 ボソッとつぶやいた夜艶だが、俺はしっかり聞こえていたぞ。
 大好きだ。
 そのゲームのキャラクターを抱いているみたいで、たまらない。しかも――

「あぁ・・・」

 マントの上ボタンだけを外して胸をさらけ出す。夜艶は胸がでかい。コスチュームのマントの奥は身体を締めつける白いコルセットになっているのか、溢れんばかりの乳房がマントの隙間から零れおちてきた。
 乳首は既に触らなくてもピンと立っていて可愛らしい。緊張しているのが丸見えである。
 俺が乳房を左右から寄せてみると、左右の胸がぶつかって大きく揺れた。それを何度か繰り返すと、夜艶の吐息が大きくあがった。

「はぁ・・・お、にいちゃん。私の胸で遊ばないで・・ふぁぁ・・・」
「少しくらいは良いだろう?夜艶には感じてもらわないと困るからな」
「お兄ちゃんったら・・・」

 くすりと笑って目を閉じる。俺たちは再び自然と顔を近づけキスをした。
 今度は俺の方から舌を差し出し夜艶を招き入れる。

「ふぅ・・んっ・・・ちゅ、ちゅくっ・・・あはぁ・・はっ・・ぁぁ・・・」

 夜艶の甘い声が耳たぶを撫で、舌の感触が交わる度に快感を生み出す。
 キスをしながらも乳房への愛撫を怠らない。勃起した乳首を摘まんで人差し指と親指の肉で強く潰してみると、夜艶の身体が一瞬硬直したのがわかった。
 痛かったかもしれない。でも、その痛みは一瞬ですぐに快感を生み出す魔法になる。

「んん・・・ふぅ・・んふっ・・・はぁん・・・」

 目を蕩けながらも次第に大胆になっていく夜艶。夜艶の方から身体を求める様に抱きついて放さない。胸を潰して俺の胸板に押し付けると、俺もまたその柔らかい感触に酔いそうになる。
 互いが互いを求めあう。俺は夜艶の穿く短パンを脱がした。黄色い短パンが夜艶の脚を滑り下りていくと、白くて細い下半身が丸見えになった。無駄のないお肉、毛の生えていない生足だ。俺がその足を見上げていくと、脚の付け根にある夜艶の大事なところを覗きこんでいた。

「濡れてるな・・・」

 パイパンの夜艶のアソコを指で軽くなぞってみると、とろりと愛液が染み出してくる。俺の指に付着した夜艶の汁に、何度か指で入口付近を弄ると、くちゅくちゅと淫らな音が卑猥に響いてきた。

「あっ・・ああ・・・おにいちゃん、それ、だめえ・・・・・・」 

 感じている夜艶は敏感に反応してしまう。きっと入口をなぞられるのが弱いのだろう。くすぐったくも気持ち良い愛撫に表情を蕩けてベッドに沈む夜艶に、俺は自分のいきり立った逸物を見せつけた。

「わあっ・・・・・・おっきい・・・・・・」
「夜艶がこんなにしたんだぞ」
「そうなんだ……」

 満更でもない表情でうっすら微笑む。俺の逸物も先端が若干濡れており、いつでも準備は万全な状態だ。夜艶の入り口に逸物を宛がうと、夜艶は入れやすいように腰を浮かせてくれた。

「よつや・・・・・入れるぞ」
「んっ・・・・・・んんんっ――!!」

 ぶちゅっと、俺の逸物が夜艶の膣内に挿入した途端、体内に侵入してきた異物に反応を示したようにぐいぐいと逸物を締めつけてきた。
 無理もない。夜艶の膣内は俺の逸物では狭すぎたのだ。キツキツに締めつける膣内に夜艶の表情が険しくなり、奥に進めば進むほど逸物が膣壁を抉っていく感触が続いたのだ。

「ふあっ・・ああっ!・・・んんっ、くふぅ・・・うっ・・ああ・・・」

 泣きそうな高い声。表情が歪んで涙がにじむ夜艶。なんだか可哀想で俺は一度進むのを完全に止めてしまった。

「大丈夫か?」
「――――――っ!」
 
 頷いては見せるものの、逆に声も出ないほどの苦痛に耐えている証拠だ。

「大丈夫だから・・・もっと奥まで、お兄ちゃんのおち〇ぽいれて欲しいの」
「・・・・・・わかった」
「ふぎっ!」

 俺は夜艶に応えるためにも奥へと行動を再開した。突き動かす逸物が膣壁を抉り進んでいく。膣内にある無数の触手が逸物に吸いつく感覚がたまらない。
 防衛本能で粘液がさらに溢れ、膣内は充満していき、逸物をぐちょぐちょに濡らしていく。そのおかげもあって、俺の逸物は遂に夜艶の奥にまで到達した。
 コツンと当たる感触があった。ここが子宮口だ。

      
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「ああんっ!」

 パンパンに膨らんだ夜艶のお腹。俺の逸物が完全に入って、根元から先まで見えなかった。夜艶の体内は温かくて気持ちいい。俺は思わずため息をついてしまうほど感激していた。

「ふああっ・・あ、あんん・・・」

 震える夜艶の声。
 苦痛を乗り越えて若干余裕が生まれたのか、吐く息にも再び甘さが戻ってきたように思えた。俺を見る夜艶の表情は、兄ではなく、一人の男性として身を任せている安心感に映って見えた。俺もそうだ。夜艶を妹ではなく、一人の女性として守りたいと思って見ているのだから。 
 だから、優しく傷つけることのないようにゆっくりとピストン運動を開始した。
 くちゃっという濡れた水音が響き、大きく腰を引いた後で再び奥へと一気に突き刺す。腰と腰がぶつかり、空気が破裂した音が耳を突いた。

「くああっ!」

 目を見開いて衝撃と振動にぶるぶる身体を震わせる夜艶。きっと軽く絶頂したのだと思った。夜艶がイっている間にもさらに腰を動かし続け、何度も奥へと逸物を挿入していく。

「はっ、あっ、あっ・・ひんっ・・・うっ、くふぅ・・、はっ、あぅ・・」

 途切れ途切れに漏れる夜艶の喘ぎ声。夜艶が上下に振れる度にコスチュームが乱れて皺を作る。腰がぶつかる度にずしんと響く快感に脳が麻痺して俺に目で合図するのだ。シーツをぎゅっと握って我慢しているのに、俺にだけは喜ばせる様に笑みを浮かべてくれるのだ。

「き、きもち、いい・・・・あたまがまっしろになっちゃう――」
「はぁ・・よつや・・・ああ・・!」
「おにいちゃん、いっしょに・・・イこう・・。わたしも、もぅ、どうにかなっちゃいそうなの」
「ああ・・・、あっ、うああ!」

 夜艶の膣内がまた狭まった。夜艶がイク度に逸物をぐいぐいと締めつけてくるので、俺にも余波が襲いかかってくるのだ。
 もう、どうにもなりそうもない。夜艶と一緒にイク・・・俺は大きく腰を引いた。

「あああああ!!イク、イク・・・いっくうううううううう――――!!」
「よつやあああ!!ああああ――――!!!」

 頭が真っ白になった瞬間、俺は夜艶の膣内から出した逸物を、コスチュームに身を包んだ夜艶めがけて性欲を吐き出させていた。
 熱く滾った精液が夜艶を汚し、白く染めていく。夜艶の着たコスチュームにまで飛び散っており、濃く変色している箇所が生まれていた。

「はぁ・・はぁ・・あんっ・・はぁ・・・」
「あっ、ああ・・夜艶・・・大丈夫か・・・?」

 俺が心配すると夜艶は気を失いそうになりかけながらも、脱力した身体で首だけを向けて頷いて見せた。
 疲れ切った身体でお互い動くこともできないながらも、俺たちは確かに繋がった。
 切っても切れない関係。それは姉妹の絆よりも深かった。
 俺たちは今日から分かり合えたのだ。


「夜艶?あなたさっきからなに部屋でやってる・・・の・・・・・・?」

 ガチャッと扉が開く。俺たちは一瞬で顔だけを向けて扉の奥から覗く人物に危機感を持った。

「はっ!お、おかあさんんんんん!?!?!?」
「開けちゃダメえええええええ!!!!」

 全身が警告を鳴らす。扉が完全に開かれ、母さんがベッドで裸になる俺を見て、顔を真っ青にしていった。

「なに・・・してるの・・・・・・?」

 最悪の状況。母さんが俺を見て、この状況を見て、どういう風にとらえたのか分からない。
 扉の前で崩れ落ち、いきなり泣き喚いた母親に、俺の声は愚か夜艶の声も届かなかった。


 ・・・
 ・・・・・・
 ・・・・・・・・・

 その日の夜。
 両親と俺の家族裁判が急遽執り行われることになった。
 母親から父親に一部始終を伝えたらしく、紆余曲折もあったのだろう、最初にされたことは殴られたことだった。

「おまえは妹に何をしたのか、わかってるのか!?」
「わかってるよ。でも――」
「最低よ!夜艶を穢して・・・あああっ!!」

 夜艶を好きだと言ったところで、妹である以上通じないのは分かっている。
 俺は一線を越えてしまった。その罰を受けているんだ。
 そう割り切るしかない。・・・いい訳なんかなんの意味も持たない。母と父からの罵詈雑言、阿鼻叫喚に狂った地獄絵図が小一時間に渡り繰り広げられた。
 最初からわかってた。やってはいけないことだと知りつつも罪を犯してしまった。
 必死に耐え凌いで、精神的、肉体的にもボロボロにされた俺に、最後は判決が下された。

「・・・それでもおまえはうちの子だ。大学だけは出なさいといけないな。・・・・・・だが、四年間終わったらマンションを借りて働いてもらう。そして、金輪際夜艶との接触は禁止する」
「――――っ!」

 夜艶との接触を禁止ということは、家に帰ってくるなということ。
 一人暮らしで自分の自由気ままに生きることを望んでいた俺が、もの凄い衝撃を受けていた。

「待って!!!」
「夜艶・・・」
「お兄ちゃんは悪くないの!私がいけないの!私がお兄ちゃんを誘ったの!私が罪を受けるわ!だから、これ以上おにいちゃんを叱らないで・・・・・・」
「黙っていなさい、夜艶」
「でも――!」

 夜艶の言葉も届くはずもない、分かり合えるのは当の本人たちだけ。
 夜艶の必死の説得を目の前にして、俺は心が洗われるようだった。
 俺と夜艶は繋がっている。
 それは例え遠く離れていても、決して途切れることはない。

「・・・・・・いいんだ、夜艶」
「おにいちゃん!?」

 夜艶が息を飲んだ。
 諦めたのではない。覚悟を決めたのだ。
 俺は両親の前で深々と頭を下げた。

「・・・ありがとうございます、大学に出させていただいて・・・金輪際、夜艶には近づきません。申し訳ございませんでした・・・・・・」

 俺は両親に堅く誓った。

 人生はゲームの様にうまくいかない。やりなおしが効かない上に難しさは最高レベル。
 失敗の連続こそが人生だ。
 これが俺の夜艶の攻略した結末か。

「・・・最悪のバッドエンドじゃねえか・・・・・・」

 部屋に戻った後で、俺は一人でガチで泣き続けた。


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 世の中は、『ゲーム』で溢れている。
 画面の中でキャラクターになりきるRPG。シナリオを進めて回春するAVG。
 オンラインで多くの人が参加して攻略していくMMORPG――。

 彼らはゲームをしていると同時に、『ゲーム』に支配されている――?
 現実世界と仮想現実が曖昧になり、『ゲーム』が影響を与えて事件を引き起こす―?

 『ゲーム』は悪――?だとしたら、この世界は悪で支配されている。
 修正され、粛清されるべきだ。
 そう知りつつも、誰もが無言の了承を下して毎日を過ごしている。

「コスプレ喫茶です~。すぐ近くですからお立ち寄りください!」

 そうやって店のカードを渡してくる彼女も、コスプレの衣装に身を包んでいる。

「ちなみに、このキャラって?」
「お店の看板キャラ、神奈備です~。お店ではコミケで販売したゲームが売ってます~」
「また、『ゲーム』か」
「えっ・・・?」

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 俺は彼女を無視して踵を返した。

「おい、見ろよ。あれって、SIUの茨蓮花―いばられんか―じゃないか!?」
「本物だぜ、マジかよ!今日イベントあったのか!?」
「はっ!拙者忘れてたでゴザル。脚立を持っても撮ること―ベストショット―が出来ない―インポッシブル―でゴザル!」
「見ろよ、あそこに貴明がいるぞ!さすが貴明!今度現像して焼きまわして貰おうぜ」
「でも貴明に頼むとタダじゃないんだよな~トホホ・・・」

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 確かに人だかりの中央は簡易ステージになっており、SIUならぬ声優の一人、茨蓮花がグループの輪で踊って歌っていた。彼女は歌もダンスも上手いが背は小さい。一番皆が撮影したい人物は人だかりに囲まれて俺ですら見ることができなかった。

「えっと、今度12月9日に発売されるゲームで、私たちのファーストシングルが発売されます!是非皆さま買ってください!よろしくお願いします!」
『うおおおおおおおおおおお!!!!』

 大勢の人がゲームの予約に殺到し、グループたちの握手会と供にシングルの予約に走る。
 そんなやり取りが毎日起こっているのだ。


 ――『ゲーム』は悪?ゲームは人生に影響を与える?・・・ああ、それは間違いない。
 良い意味でも悪い意味でも印象を与え、俺の記憶に残る名作がある。
 俺の人生にはゲームのような転換や、未来に飛ぶようなことはないちっぽけな人生だ。
 ゲームになったらクソゲーで、面白さの微塵もない低評価だ。しかも設定は強くてニューゲーム。コンティニューなしのムリゲーだ。
 仲間を助けて悪を倒す、なんて主人公には絶対なれない。今や妹すら悪改造する根源だ。
 でも、――それでも俺は、夜艶の兄なのだ。


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「――あにぃ」

 いつの間にか俺の後ろに夜艶はいた。『ゲーム』に支配された夜艶だ。
 ゴスロリ姿ですっかり町の雰囲気に溶け込んでいる夜艶は、俺を見てムスッとしていた。

「どうしてあにぃは私を構ってくれないんですか?私は夜艶でしょう?」

 ああ、おまえは夜艶だよ。起動した瞬間に、おまえは夜艶となった。それが『ゲーム』の始まりなのだから。
 偽物でもない、本物を奪い取ってしまったからおまえは夜艶と信じて疑わないだろう。
 でも、俺ははっきり断言しなければならない。

「おまえは夜艶じゃない。俺が買った、プログラミングされたデータだ」

 ゲームのROMから現れた、人間そっくりに行動するデータの存在。
 『人間』じゃないことを理解させなければならない。
 はたして伝わるかさえ疑問だが、俺の言葉は夜艶に届いたのか、ぐっと俺の言葉を飲み込んでいた。

「それでいいじゃないですか。私ならあにぃの好きな夜艶になれるのに、それを拒むんですか?あにぃ想いになりますし、あにぃと毎日セックスだってします。それでもあにぃは、会話のない可愛気のない妹を好むんですか?クーデレならぬ、クーがあにぃの好みなら、私が演じてあげますよ?」

 『人間』には不可能なことを夜艶は可能にできる。色々な夜艶をこれからも演じ、毎日、毎週tがった夜艶を楽しめる、そんな日常を提供することが『シス☆プレ』の醍醐味だ。俺も一度味わった快感。病みつきになる前に示さなければならない・・・。
 
「俺は生まれる前から夜艶の兄だった」
「・・・なんの話ですか?」

 夜艶が訪ねてくる。

「俺はなんの取り柄のない兄だ。頭が良いわけじゃないし、コミュニケーションが得意なわけじゃない。平凡で、中の下の存在だ。そんな俺の元に妹は生まれた。俺の元に、『夜艶は妹として生まれてきてくれた』」
「――――」
「俺は先に生まれた。夜艶は後から生まれた。なんの接点もなかった俺たちが兄妹になった。これってもの凄い奇跡だよな?」

 冗談交じりに笑って振り返ると、夜艶は今まで見たことのない表情で呆然としていた。言葉が変換できないように、理解できなくなったことに戸惑う夜艶。当然だ。人間だって『奇跡』を理解できるものじゃないのに、機械が奇跡を理解できるはずがない。

「なにを言っているのか分かりません。確率論ですか?それとも転生論ですか!?」
「そういうことだよ。夜艶はどう思っているか知らないけど、『俺の妹として生まれてきてくれた』んだから、俺が夜艶のことを嫌いになるわけがないんだ。どんなに夜艶が俺のことを嫌いになったって、――俺は夜艶のことが好きだ」

 『ゲーム』のようにシナリオを進めて、好きになって彼女になる――?
 馬鹿か!俺にはシナリオなんて不必要だ。『ゲーム』のような分岐による進展も、人生にメリハリも、攻略本すら一切いらない。

「始めた瞬間に高感度マックスなんだよ!それが夜艶の攻略だ!」

 完全攻略し終わった『シス☆プレ』を箱に仕舞う。そして蓋をして閉まっておこう。
 もう二度とやることはないかもしれないけど、――俺の人生に影響を与えた、印象に残るゲームだったぜ。
 ――『ゲーム』終了。

「わからない!!親に認められないと知っていながら、ゲームクリア!?それのどこがクリアなの!?・・・・・・わからない!?わからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからない―――!!!」

 最後は言葉を羅列に並べた夜艶が急にその場に崩れ堕ちた。俺が急いで駆け付ける。

「夜艶――!」

 意識を失った夜艶を支えながら叫んだ。人だかりに囲まれて注目を集める俺が、そんなことに気付くことなく夜艶に叫び続ける。すると、夜艶の目が微かに震え、ゆっくりと目を開いて俺を見つめた。

「大丈夫か、夜艶?・・・よつや!!?」
「・・・・・・おにいちゃん」
「元に戻った!?」

 口調が変わり、昔のままの呼び方に変わっていた。俺は夜艶が帰ってきたことに、町中だったのにも関わらず、隠すことなく男ながらに涙を流してしまった。

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 夜艶は子供の時から俺と話をしない性格だった。
 兄よりも母親や父親にべったりで、困ったら両親に訪ねる。これが子供心に当たり前なのかもしれない。
 でも、俺は何故か一人疎外感を感じていた。
 妹と両親、家族団欒の時間を過ごす傍らで俺は一人ゲームで引き籠る。家族よりもゲームで遊んでいた方が当時は楽しかった。だから俺はだんだん家族と過ごす時間を失くしていった。食事も外食で済まし、家にいる時間を減らしていく。
 俺は逆に、子供の時から両親には頼らなかった。頼りたくないという意地を張っていたのだ。親の助けなんかいらない。将来は一人で生活し、自由気ままに生きていたい。親の目に付く場所には住みたくなく、一人暮らしをして自立してやっていける男になりたかった。
 だから――俺はもうすぐ大学へ行く。
 親の目から放れて生活できる、夢のような日々がすぐ近くに迫っていた。
 
 夜艶ともお別れになる。別段、特に淋しいという感情はない。俺たちはお互いによく知らない兄妹なのだ。
 親睦を深めることもなかった。
 関わりを持つこともなかった。
 兄妹とは親友よりも、クラスメイトより、疎遠な関係なのだろう。
 結婚もできないし、困ったときに助けを求められる人数が増える程度の存在。
 ・・・血は繋がってるのにな。
 俺たちは似た者同士になっているのだろうか。
 夜艶を今更知ったところで、もうすぐ会えなくなるのだから遅すぎる。
 本当に、俺の妹はこんなに可愛くない。
 17年間なにをしていたのだろうか。すれ違い、会話もなく、思い出もない。

 ――だから、最後に。
 俺は夜艶を『ゲーム』に閉じ込め、弄ぶことが出来るのだ。
 夜艶は俺を蔑むだろうか?これが俺の家族の接し方だと思う。

「悪いな、こんな兄ちゃんで――」

 ぶっちゃけ、今更夜艶となにを話したらいいのか分からないというのが正直な感想だ。
 話すのが苦手な訳じゃない。話をするより、聞き手に回った方が楽なだけだ。
 『ゲーム』のように、会話がポンポンと浮かんで出てくるものじゃない。なにを言っているか分からないと、困惑させることだってある。
 恥をかくことだってある。嘘をつくことだってある。揚げ足を取られることだってある。兄として情けない姿を見せることだってある。
 夜艶が恥ずかしくならないか心配になる。
 夜艶はそんな兄を見て、俺の妹だと胸を張ってくれるだろうか?

「――――情けねえな、俺は・・・」

 そうして今も俺は『ゲーム』に逃避しているんだ――――。


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「ウワッハッハッハ!!わが社の製品の素晴らしい効力に目を輝かせていることだろう」
「スゴイですね、博士。妹ちゃんが可哀想なほど淫らになってますね」
「可愛くない妹など好きにカスタマイズしてしまえばいいのだ!時代はまさにデジタルの時代だ。妹だってデジタル化してしまえ!」
「〇〇は俺の嫁、ですね。やはり、虹は最強ですね!」
「 (」・ω・)」うー!(/・ω・)/にゃー! 」
「・・・あれ?博士?」

(注:この作品は、村崎色版『俺の妹はこんなに可愛いわけがない』でお送りしています)

      
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「しかし、博士。今作は『ゲーム』でカスタマイズしているのですが、『ゲーム』で人を変えることなんかできるのでしょうか?やっぱり『電波』を交えての強力催眠なのでしょうか?」
「なにを言っている。ゲームで人が変わったなど話題にも出ないほど溢れかえっておるわ。ゲームで人生が変わった、なんて人もいるじゃないか。今やオンラインに繋いで仮想現実に溺れる素人たちの増加。大量課金による転落破綻者も別段驚くことじゃないだろう」
「人が変わった(悪い意味で)・・・」
「それに比べれば妹をカスタマイズできるなんて朗報じゃないか。可愛くない妹を可愛くするには、首根っこを掴んででも自分好みの着せ替え人形にするのが手っ取り早い。まっ、そういう製品だな。ゲームやアニメのキャラクターに惚れたことのある人は果たして催眠かかっていると言えるか?『現実に存在しない人物』に恋をすることを、目を覚ませと言って否定できるか?そんなこと言っていたら、今の世界で生きていけなくなるかもしれないぞ」
「でも、妹ちゃんにとってはいい迷惑ですね」
「長寿の者の話を聞いておけば楽なものよ。妹は兄の背中を見て育てばいい。兄がしっかり妹を支えてやれば、自ずと可愛さが滲み出てくるものだ」
「博士・・・説教じみてきてますね」
「年のせいか、やかましいわ!」

(注:『ゲーム』の効力は登場キャラをカスタマイズし、予定されたシナリオを進めて彼女を攻略していくイージーモードのAVGです。まったく説明になってないキャラ解説だったことにお詫び申し上げます。――作者より)


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この物語は、
GG『電波―しすたぁぷりんせす―』Ⅰの続編となっている作品でございます。
読み返していただけると楽しさもさらに増幅することでしょう。


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