純粋とは矛盾色-Necronomicon rule book-

夢と希望をお届けする『エムシー販売店』経営者が描く腐敗の物語。 皆さまの秘めた『グレイヴ』が目覚めますことを心待ちにしております。

カテゴリ: グノーグレイヴ『入れ替わり』

 これでいいのだろうか——
 俺と陽菜は付き合ってるわけでもない。"入れ替わり"を共有する関係なだけで、陽菜が俺を何の基準で選んだのかも正直わかっていない。
 性格も似たもの同士な気もしたけど、だから好きというには勘違い甚だしい。
 性癖も似たもの同士な気もしたけど、だから好きと結びつけるには差し出がましい。
 その答えは陽菜にしかわからないし、陽菜が俺とセックスを望んでいるのなら、それに便乗していいのかもしれない。おこぼれを頂戴する生き方だっていいじゃないか。

      どっちが受け?どっちが責め?

「で、この後でどうしたらいいんだ・・・?」

 ホテルの中に入って衣服を脱ぎ始める俺たちだけど、その後はどうしたらいいのだろうか?
 やっぱりここは男である陽菜(俺)が責めるべきかもしれない。しかし、俺は童貞だ。宏(陽菜)を喜ばす術を知っているわけではないし、テクニックだってうまいのかどうかわからない。
 幸いなことに"入れ替わって"いる相手だし、自分の身体を弄るわけだから、一人慰めている時のように手コキをやればいいのだろう・・・。でも、そうなったら陽菜(俺)は自分のち〇こをフェラチオしないといけないだろうか。

「(他の男性のを舐めるより全然いいけど、自分のアレってどんな味がするんだろう・・・)」

 女性がフェラチオしている時の心境がわかる。

「(・・・怖くないか・・・?)」
「自分のカラダの気持ちいいところは全部わかってるから。河原君はベッドで横になってていいよ」
「あっ、はい」

 宏(陽菜)にそう言われると、本当に自分が女の子になってしまうみたいに頼ってしまう。言われたままにベッドに横になって宏(陽菜)の好きなように身体を差し出していく。

「んああぁっ!」

 宏(陽菜)が乳房を口に咥えて乳首を舌で愛撫する。下から持ち上げるように乳肉を集めると、それなりに陽菜(俺)の乳房はボリュームがあり、宏(陽菜)がチューチュー音を出して吸い始めると、柔らかな乳肉が鋭い円錐を形作りながら激しい刺激を押し上げてくる。

「うあっ、あっ、あっ、あはっ、あぁぁ・・・」

 おっぱいを宏(陽菜)に弄られれば弄られるほど先っぽが膨れてきていた。それなのに不思議だ・・・お互い自分のカラダが相手なのに、陽菜(俺)は宏‐じぶん‐自身に犯されているのに、まったく抵抗感はなかった。
 宏(陽菜)の言う通り、的確に感じる場所を責めてくるせいか、すごく濡れ易くなっていて、カラダが火照ってたまらなかった。宏(陽菜)の愛撫一つ一つが愛おしく感じてしまい、全身が蕩けてしまいそうだった。

「ここ気持ちいいでしょ?」
「ふあ!あっ、ああ・・・キモチイイよ・・・」

 宏(陽菜)の指でおま〇こを弄られると、あっという間にクチュクチュとイヤらしい音を響かせていた。そのままクンニされ舌を差し入れられる。宏(陽菜)に舐められるとどんどんお汁が溢れてきた。
  宏(陽菜)のペースで濡らしているけれど、陽菜(俺)だって陽菜を感じさせてやりたい。そう思ったら陽菜(俺)は宏(陽菜)の逸物をつかんでいた。勃起した逸物は既に熱くなっていた。

「お・・・俺も・・・外西さんを感じさせたい・・・・・・ちゅむ・・・ちゅぱちゅぱ・・・」
「あ・・・!うう・・・ッ!」

 陽菜(俺)がフェラチオを始めると、宏(陽菜)の口から苦しそうなうめき声を荒げた。

「ちゅっ、ちゅくっ・・・レロレロ・・・ちゅぶぶぶぅ・・・ちゅぱ」
「~~~~ッ!!」

 亀頭を舌で絡みつきながら、カリ首を刺激するように顔を上下に動かして逸物を飲み込んだり吐き出したりしてやると、ビクンビクンと宏(陽菜)が激しく身体を身震いさせていた。あの、取っつき難かった陽菜がこんなに感じているんだから、フェラチオって相当気持ちいいんだな。

「んっく・・・ふ・・・んっぷ・・・んんぅ・・・!」

 うわっ、先端から先走り汁が出てきた。ちょっと、苦い・・・それに、なんとも言えない、変な味がする。これを毎回女の子は飲むのか・・・。
 興奮すればするほど溢れてくる先走り汁。そして勃起してくる逸物が準備を整えたことを告げていた。これが女の子に出たり入ったりするんだと思うと、興奮が最高潮に達していた。

「んああ・・・ッ!」

 そんなことを考えながらフェラチオをやっていたら、宏(陽菜)も負けじにクンニを続けていた。シックスナインでお互いの性器を舐め合う俺たち。似たもの同士が相手を気持ちよくさせようと同じことをやりあっているのって、滑稽だけど・・・陽菜がなんだかすごく可愛く見えた。

「お互い十分濡れたみたいだし、そろそろ挿入れてみていい?」
「あ、うん・・・」

 宏(陽菜)の言葉で体制を変え、ベッドに沈んで正常位で受け入れようとする。そういえば、いつの間にか自然に陽菜と話をしているけど、これって・・・本当にあの外西さんだよな?
 なんだかすごく頼もしく見えた・・・。

「ふふ、なんだかおかしいね。お互い好きでも何でもないのに。エッチってこんなに気持ちいいのね」
「・・・・・・うん。そうだね・・・」

 一瞬くぎを刺された気がした。
 俺たちはただクラスメイトで、彼女でも彼氏でもない。陽菜は俺のこと・・・好きでも何でもないだろう。俺だって・・・別に好きじゃないはずなのに・・・。なんだろう。この気持ちは・・・。

「ん˝ん˝・・・!いった!」

 オナニーの時も思ったけど、陽菜の膣内はとても狭かった。そこに宏の逸物が入ったら傷ついてしまうのがわかるようなものだ。痛みを如何に軽減するか、そのためにお互い濡らしてきたんだ。

 ズ・・・ズブズブッ・・・ズブブッ

 少しずつ愛液を潤滑油のようにして逸物を呑み込んでいく。カラダの奥から逸物を咥えこんでいるという感覚があって、入ってくるたびに気持ちよさを少しずつ覚えていった。

「ゆっくり動くね」
「あっ・・・んっ・・・んあっ・・・うんっ・・・」

  宏(陽菜)の腰が動き始め、陽菜(俺)の膣内を抉っていく。膣肉を削り、まっすぐ子宮口まで届いてくる逸物が出たり入ったりしてくる度に声にならない快感が全身を駆け巡っていた。カラダが熱を帯び、蕩けてしまいそう。宏(陽菜)のように陽菜(俺)も全身がビクンビクンと小刻みに震えて止まらなかった。

      蕩れー

「ん˝あ˝あ˝!挿入ってくる・・・!ぜんぶ・・・ッ!!あっ!外西さ——!!」

 宏(陽菜)のピストン運動で膣肉がほぐされ、子宮口に鬼頭が擦りつけられる。膣の奥でビリビリする刺激が気持ちよくて、また欲しくて疼きが絶えず激しく生み出されていた。

「ん˝・・・ん˝ん˝!!!」

 いつの間にか逸物は陽菜(俺)の中に全部咥えこむほどに侵入し、腰がぶつかり空気が破裂する音が響いていた。

「んはああ!!はぁ、ぜ・・・ぜんぶ・・・ッ!挿入ってる!!はぁ・・・!外西さんのッ!ん˝ん˝ぅ˝!!」

 宏(陽菜)も息を絶え絶えに吐き出しながら、必死に腰を動かし続けていた。宏(陽菜)も快感に我慢ができなくなり、より激しく腰を振り続けていた。

「あ・・・あ・・・もう、ダメぇ・・・外西さん・・・!」

 陽菜(俺)が涙を流しながら快感をその身に受ける。小さな絶頂が身体を襲い、濡れてくる度に逸物を締め付けていく。
 キモチイイという気持ち以外、俺たちにはなかった。

「う・・・あ・・・!!イッ・・・クぅッ!!」
「あ・・・!まっ・・・!なかに・・・でちゃ・・・ッ!!」

 宏(陽菜)のカラダが震え、嗚咽が聞こえた。急いで抜かなくちゃいけないと思っても、カラダはココロに反するように身動きできず、宏(陽菜)の射精感を受け入れるしかなかった。
 そして——、

 ドビュ、ドビュ、ジュブブブブ!!!ビュッ!ビュルルル~~~!!

「あ˝あ˝あ˝あ˝あ˝あ˝あ˝あ˝あ˝——————♡♡♡」

 ——大量の精液を受け入れた瞬間、カラダが抑えきれなくなって絶頂に達してしまった。
 声を喘ぎ、涙を浮かべてカラダが喜んでいく。快感で満たされる想いに浸っていた。
 ヌプリッ、と逸物を抜いた瞬間、溢れんばかりの混合液がベッドシーツを濡らしていた。これだけ精液を受け入れられる陽菜の膣内は本当に広いのだろう。

「はぁ、はぁ、はー・・・」

 セックスって体力使うもんだな。体力がない陽菜(俺)だったら果たして宏(陽菜)を満足させてやれたかどうかわからない。女々しい話だが、"入れ替わって"よかったと思ってしまった。
 と、突然宏(陽菜)がクスクスと小さく肩を揺らして笑っていた。セックスをした事実と、自分自身を犯した痕跡が流れる部分を見つめて笑う宏(陽菜)に一瞬ドキッとしてしまった。

「え・・・?なに?」
「ううん。ちょっと・・・血が付いてるの」

 陽菜(俺)の秘部から流れる赤い血栓に気づいたのだ。陽菜にとって大事な処女膜を破られたという感覚を味わうことができなかったことを悲観的には思っていないようだ。

「自分で処女膜破っちゃったんだなって。セックスで血が出るとは思ってなかったの」

 そう言って、宏(陽菜)はしばらく面白そうに笑っていた。陽菜がこんなに笑う場面を俺は見たことがなかった。彼女も笑うんだなって、その顔を見てみたくて——俺は変わりに陽菜の表情で同じように笑った。

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 成績優秀、品行方正。それが外西陽菜に対する先生や友達、世間の評価だった。
 俺だってそう思っていた。そう思われていることが誇らしいと思っていた。
 でも、皆は知らない。陽菜の本音を・・・。

 彼女の携帯からSNSを開いてアカウントをのぞいてみると、そこには学園に対する不満や苛立ちが書き綴られていた。本当の彼女がそこにいた。綺麗な言葉でなんか書かれていない、本音をぶちまけていた。
 それだけではなく——、

"ザーメン直接見てみたいな。見せてくれる人リプ待ってまぁーす(`・ω・´)"
"汚れたいな。どなたかザーメンかけてもらえませんか(♡ >ω< ♡)"
"私、本当に汚されちゃうよぉ♥もっと、私を汚してっ♥ぐちゃぐちゃに汚していいよ♥"

 エロい無修正自撮り写真をアップしていたり、援助交際を誘っているかのようなつぶやきまで書き残していた。
 普段の姿では想像もできない、彼女の行動が見ることが出来た。果たして、世の男性は彼女を知っていたのだろうか。それなりにイイね(・∀・)が貰えているから、陽菜のSNSの更新を待っている者もいたに違いない。
 誰も気づいていなかった。誰も気づいてやれなかった。
 陽菜の覚える物足りなさ。学園生活を充実していない分だけ、なにかで満たされたいという想いをSNSに託してしまっていた事実を。その方向が間違っているのだとしたら断じて違う。陽菜はSNSで救いを求めていたのであり、学園生活でのストレスこそが陽菜の心を歪めてしまった根幹にあるのだから。つまり、陽菜を救ってやれなかった学園にいる教師、友達、生徒——宏(俺)も悪なのだ。
 先生に声をかけてくれたら満たされたかもしれない。友達に相談してくれたら本当に笑える日が来たかもしれない。誰でもいいから話をしてあげたらSNSに卑猥な画像を残さなかったかもしれない。
 でも、その結果最後に陽菜が頼ったのが宏(俺)との"入れ替わり"だったのかもしれない。
 男性に救いを求めていたのかもしれない。

"あーあ。男の子のように強くなりたいな♥そうしたら私、自分を好きになれたのに♥"

 そんなお願いを聞いてくれる人を待っているのだとしたら——

"
『この身体いつまで入れ替わってるの?』


 俺はてっきり一日だけの効果かと思っているけど、それは本当だろうか。『粉薬』の小瓶を全部使って”入れ替わった”効果の継続は果たして一日だけで済むのだろうか。

『いつまでだろうね?』
『おい。マジか』

 購入した宏(陽菜)がそんな曖昧な返事で大丈夫なのだろうか。もう”入れ替わり”は始まっているんだ。後戻りは出来ないんだぞ。急に元の身体に戻れるか心配で仕方なくなってきた。

『よくわかんないけど・・・いつまでだって私は全然かまわないよ』

 宏(陽菜)はのほほんとそんなことを言っていた。
 こいつはとんだお嬢様だ。
 もしおれがこのまま陽菜のままになったとしたら――果たして俺は、嬉しいだろうか。
"

 そういえば、あの時、宏(陽菜)は笑っていたよな。
 よっぽど嬉しかったのかもしれないな。

「あんな顔見せられたら、仕方ないよな・・・」

 不思議と陽菜(俺)は今の陽菜の状況を受け入れつつあった。
 宏(陽菜)は戻ってくるだろうかという不安よりと、このまま宏として陽菜が逃げられるのなら、それでもいいとさえ思い始めていた。一度は俺だって陽菜のカラダのままになったとしたら喜んだことは事実だ。
 新体操部の厳しい指導にもとの新体操部は辞めてしまうかもしれないが、陽菜の人生がこれ以上壊れるくらいなら、それでもいいとさえ思う。自分のカラダに戻れなくても、俺は陽菜として生きる覚悟を受け入れつつあった。

「ハァ・・・ハァ・・・ぜぇ・・・ハァ・・・」

 そうは言っても、本当に部活は辛くて死にそうだった。息を切らしてようやく初日を終わらせた陽菜(俺)は、部員の誰よりも最後まで起き上がることができなかった。身体から汗は拭きだし、目には涙をにじませて吐き気を飲み込むのが精いっぱいだった。
 部員たちは部長の練習量を案じて、声をかけることもせずに先に帰ってしまった。確かにいま声をかけられても言葉を返せる自信はなかった。

「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・・・・ぐっ」

 陽菜も同じくらい苦しんでいたのだろうか。男性(俺)でも逃げ出したいと思っているのに、女性(陽菜)だったら逃げ出す気持ちが良くわかる。
 生き方なんて一つじゃない。部活に生きなくたって、勉強に生きなくたって、なんとか生きていけるものだ。そんななあなあの人生だって有りじゃないだろうか。どうして大人は極端に一つを特化させる生き方を好むのだろう。大人の都合で子どもの人生決めんなよな・・・。

「・・・・・・・・・」

 一人転がっている陽菜(俺)の顔に影が落ちる。突然、何かが俺と天井に吊らされた水銀灯の明かりを遮ったのだ。
 鴨が葱を背負っている特大のぬいぐるみだった。河原宏(陽菜)が陽菜(俺)を見下ろしていたのだった。

「なに私の顔で泣いてるのよ?」

 淡々とした彼女の口調は俺の声色になったとしても変わっていなかった。宏(陽菜)の顔を見た瞬間、陽菜(俺)は胸の中が締め付けられる思いがした。

「これは目汗だ。泣いてない」
「私の代わりに部活出てくれたんでしょう?ありがとう。おかげで私は放課後ゆっくり過ごすことが出来たわ」

 宏は帰宅部だったし、基本一人で放課後自由にしていた。その立場で宏(陽菜)は遊びにいってリフレッシュできたらしい。

「温泉に入ったのなんて久しぶりよ。1800円かかっちゃったけど」

 結構いい温泉行ってますよね、健康〇ンド的な場所だよね?その金額はどこの財布から出てきたんですかね?

「ゲーセンなんて何年ぶりに入ったかしら」

 その後にも行ったのかよ。俺よりも充実した放課後を過ごしているな。そして、強調するように揺らすぬいぐるみである。戦利品というべきものだろう。

「8000円使っちゃった」
「ゴフッ!?」

 思わず咳込んでしまった。なにそのブルジョアなぬいぐるみ!俺ですら買ったことねえ!?一桁間違ってたって、言ってくれよ。たかっ!?高すぎるよ、その投資は!?

「・・・1000円で取れなかったら諦めてくれよ。俺の諭吉がお亡くなりになったよね・・・?」
「向こうが悪いのよ。設定が設定なのよ」
「8000円使ったら設定以外にセンスも関係するだろ。いい加減にしろよ、完全にカモじゃないか」
「私がいくら色仕掛けでお願いしても店員さんイヤな顔してた。絶対わざとよ」
「俺のカラダで店員さんに何てことしてくれたんだ。もうゲーセン行けねえよ・・・」
「あら?目汗をかいてるわよ?」
「これは涙だぁぁ!うわあぁぁぁん!俺の憩いの場だったのにぃぃぃ!!」

 泣いている陽菜(俺)を見ながらサディスティックに微笑む宏(陽菜)。前言撤回。俺のカラダ返してくれよ。もし"入れ替わり"が戻った時に金銭面で生きていけなくなる!?

「ありがとう、河原くん」

 そんな、陽菜(俺)の心を察して宏(陽菜)が感謝の言葉を投げていた。
 一瞬だけ、感情が止まった。

「本当だったら私、もうあの体育館に戻らないつもりだったの。でも、今日久しぶりに思い切り遊んで吹っ切れたわ。私、もう少し部活を頑張ってみる」

 宏(陽菜)の言葉から聞く心境の変化。そして、これからのこと——陽菜の生き方について一つの答えを出したのだ。

「それって・・・・・・」

 部活に戻ると宣言することは、陽菜にとって不本意な生き方を自ら選んだということだ。やりたくないことを我慢して、優等生を演じ続ける道を選ぶということ。
 もっと楽しい生き方があるかもしれないし、もっとやりたいことが見つかるかもしれない。
 それでも、陽菜は——

「河原くんの言おうとしていることはわかるわ。それでも私、新体操が好きなのよ。身体を動かして、演技をばっちり決めて、観客に拍手を貰っている自分が大好き」

 俺が見た外西陽菜の演技をもう一度脳裏に思い出す。大会で感動していたのは、俺だけではきっとない。観客の中で陽菜を応援する人たちがきっと大勢いたはずだ。だから陽菜は新体操部を続けられた——

「あと一年の辛抱よ。高校に行ったら新たな環境でもっとレベルの高い部活動が出来るはず。先輩のように夢が終わったわけじゃないもの、顧問が嫌だからっていう理由で自ら夢を蹴るなんてそれこそ馬鹿らしいでしょう?」

 確かに、そんな理由で夢を諦めるなんてもったいない。

「いえ、蹴ろうとしてたから馬鹿かもしれないけど・・・」
「いいの?外西さん。本当に辛いと思うよ。みんな辞めていくと思うよ?」
「辞めていきたいなら辞めればいいわ」

 なんともドライな意見だな。

「でも、私も同じ気持ちになったことは確かよ。部長(私)の言葉で考えを変えて引き留めてくれるのなら、応援し続けたい」

 部員の辛さもわかる陽菜。痛みを知って、他人の気持ちがわかるようになったのだから。
 立場が違えど、新体操が好きな気持ちが変わらない限り、部員一人ひとりの夢も終わらない——。

「俺も、同じくそう思うよ」

 ——そう、思わずにはいられなかった。

「その時は、また河原くんに『粉薬』使ってもいいかな?私が河原くんにしてもらったみたいに」

 辛くて困っている人を助ける道具になるのなら、入れ替わってみて自分を見つめ直すのもいいかもしれない。

「そうだね。そうだといいね」

 "入れ替わり"なんて——そんな非現実的なオカルト話に盛り上がる陽菜(俺)と宏(陽菜)は、間違いなく笑っていたのだった。
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 放課後になり、部室に部員たちがやってきた。陽菜(俺)はその中にうまく交じってレオタード姿に着替え始めたのだ。

「おおっ。うわぁ・・・」

 陽菜のレオタード姿は刺激の連続だった。体にぴったりと張り付くレオタードの締め付けは、着るだけでカラダを引き締めているみたいだ。
 衣装で心が突き動かされるということは普通にあり得る話だ。まるでレオタードを着た瞬間、人に見られるという意識がおもむろに働き、見た目を気にするようになっていた。
 レオタード姿というのは身体のラインを隠せない衣装だ。自分の容姿に自信がなければ着ることすら躊躇ってしまう。新体操部だからレオタードを着るのではない。レオタードを着るから新体操部になれるのだ。
 外西陽菜も決してレオタードを着ることに躊躇いがないわけではない。恥ずかしいという思いを持ち合わせながらも、羞恥心に勝る絶対の自信を持っているからこそ、この衣装を着られるのだということが分かった。

「外西さんってレオタード姿恥ずかしくないの?」

 こんなことを本人に尋ねるのも億劫だ。陽菜(俺)は自らレオタードを穿いた感想がその答えでいいと思った。
 でも、陽菜にとってはレオタードは着なれたものかもしれないが、俺にとって初体験の試着はまだ恥ずかしさを覚えていた。つまり――

「(まずい・・・また濡れてきちゃった・・・)」

      こいつは相当のへ――

 陽菜の食い込み部分を直しながらも、レオタード姿に包まれたカラダの奥にわずかながら疼きを覚えてしまっている。ニップルやカップはちゃんと付けているんだけどな。

「なにもたもたしてんのよ?早く練習行こうよ」

 部員たちに言われて慌てて陽菜(俺)も体育館へ向かっていく。
 新体操部で部長としてこれから俺は部活をするんだ。果たして外西陽菜として成りすませるかなんてわからない。
 先ほどまではいつ"入れ替わり"が元に戻ってもいいように、先に陽菜のカラダでオナニーしてしまったけど、いまは"入れ替わり"が元に戻ってほしいと思っている。だけどそれは虫が良すぎるよな。
 だったら俺はせめて部活だけでも、この学校にいる限りは外西陽菜として成りすまして生活することを決めていた。
 外西陽菜に成りきる覚悟はできていた。帰宅部の俺が果たして新体操なんか出来るかわからないけど、体験入部の気持ちで一日部活を励んでみたいと思った。

「それじゃあ、よーい、はじめ!」

 部活が始まって、まず部員全員で始めたのは、なんと鬼ごっこだった。
 それが何の意味があるのかわからないけど、レオタード姿の格好で部員達全員で鬼である生徒から逃げるように駆け回っていた。
 走り込みと臨機応変な対応、柔軟な逃げ等が果たして培われるのだろうか――そんな思惑を予想しながら陽菜(俺)は部員に混ざって鬼から逃げていたが――。

「タッチ」
「ひゃあぁ!?」

 おふっ。捕まってしまいました。
 ていうか、いつ鬼が増えたのか気づいていなかった。後ろから逃げていたのに前に立ち塞がっているなんて卑怯だよ。しかも・・・さりげなく胸を触ったし!

「次は陽菜の番ね」
「もぅ・・・」

 ああもう・・・。
 変なところ触るから、さっき弄っていた場所が熱くなるだろう。
 ちっとも鎮まらないよ。
 すぐ我慢できなくなってしまう。こんな中で演技をするとか、新体操部ってどうなってんの?自分のカラダを意識しないのかな?
 でも、どんなに走っても陽菜は体力があるのか全然息切れしなかった。俺よりも運動量を把握しているせいか、ペースを守ればそれほど鬼ごっこも疲れるようなものではなかった。足がつったなんてこともないだろうし、運動ってやればやるほど楽しくなるという理由がわかる気がした。カラダを動かしていれば、それだけ身体が運動に対して慣れていくのだ。そうなれば楽しくないはずがない。疲労が後に残らない身体になれば、やっぱりカラダを動かすことは気持ちがいいと思ってしまった。
 そんな、部員たちと楽しく部活を遊んでいると――

「なにやってるんだ、おまえ達!!」

 突然、体育館に響く怒声が木霊した。扉の前に目を向けると、顧問の赤木敬‐あかぎけい‐がやってきたのだった。

      この顔は女子生徒に人気ない

「今すぐここに並べ!」

 新体操部を呼ぶ先生の一声が行き届くと、部員たちはぞろぞろと先生のもとへと集まっていった。体育館の壁を背にして一列に並ぶ部員たちは、赤木先生の気迫にすでに頭を項垂れていた。続きを読む

 外西陽菜とカラダを入れ替えている俺だけど――女子トイレの鏡に映る陽菜の顔を見ながら思う。

「俺・・・本当に外西さんになってるのか・・・」

      実感が湧いてきて

 "入れ替わっ"た経緯までが早すぎて実感しなかったけど、外西陽菜をこんな近くで見たのはじめてだよな。
 クラスメイトだったけど、そこまで話す間柄じゃなかったし、意識することもないような人物だった。
 本当に俺が陽菜を意識したのは、県大会で陽菜が華々しい演技をしていた時だし。
 なんで陽菜は俺を"入れ替わ"る相手として選んだのだろう?こういってはなんだけど、表面は恥ずかしくない性格を努めていたはずだ。
 勉強も並、雰囲気イケメンで、クラスでは爽やかな印象を持たれることが多い。華々しいことは何一つない地味な印象だけど、悪い印象は持たれないから評価は良いほうだ。
 そういう意味では俺と陽菜は似ているのかもしれない。ものすごく俺にひいきが働いている評価だけど。陽菜からすれば俺と比べられるのは嫌だろうけどな。

「・・・・・・・・・」

 俺の繕う表情に陽菜が寄せてくる。俺の思い通りに陽菜の表情がコロコロ変わっている。それだけで緊張してくるな。俺が陽菜を操っているみたいだ。今まで自分の表情を変えることをこれだけ意識したことなんてあっただろうか。他人の身体、異性の身体――外西陽菜のカラダをこれ以上ないほど意識していることへの裏返しなんだろうな。
 もちろん、顔だけを意識しているわけじゃない。陽菜(俺)の視線は制服の上から陽菜の身体を見下ろしていた。
 正直に言おう。陽菜のおっぱいを感じるのだ。
 屋上でも思ったように、制服の上から胸を触りたい衝動は消えていない。今度はトイレに籠ってしまえば、個室の中で陽菜の身体を触り放題することができるだろう。

「(うはっ、それなんてエロゲ?)」

 でも――。

「あれ?陽菜いるじゃん。授業始まるよ?」
「あっ。うん」

 ふいに隣に立って手を洗うクラスメイト。決して"入れ替わって"いることがばれているわけじゃないが、下手なことして正体がばれることを今のうちから危惧していた。思ったほど俺自身大胆な行動をとることができなかったのだ。
 ここで焦って陽菜のカラダを障るわけにはいかないよな。誰が見てるかわからないし、結局いつ元の姿に戻ってしまうのかわからないしな。
 トイレで別れた宏(陽菜)は先に教室に戻っているだろうか。クラスに交じって"入れ替わって"いる境遇の中で立ち向かいながら正体を隠しているのだろうか・・・。

「・・・・・・ごめん、外西さん・・・」

 悪いと思いながら俺は教室にはいけないな。クラスに交じって授業を受ける度胸もない。俺のほうから正体がばれて宏(陽菜)に迷惑をかけるわけにもいかなかった。一人になれる場所に身を隠したかった。小心者の俺が気持ちを大きくできるようになってからじゃないと、皆の前に出ていくことができなかった。自分を陽菜だと思わないとやっぱり抵抗がものすごい。
 男性‐おれ‐がスカート穿いているって友達にばれたら失笑モンだからな。

 つまり、必然的に――計画的に俺は陽菜の身体を触ろうとしているのだ。

 今までのは全部言い訳だ。自分の都合で授業をサボって、いつ続くかわからない陽菜との"入れ替わり"現象が解ける前に気が済むまで障っておきたいというだけだ。
 携帯を使って撮影でもしておくかな。でも、俺のスマホは向こうが持ってるし。もし俺が送った写真を宏(陽菜)に見られたら最悪だしな。
 スマホじゃなくて、カメラ買うか。ポラロイドカメラ安いやつで売ってないかな。
 ヨド〇シじゃなくて、ド〇キとかなら玩具でも高性能で売ってないかな。併せてコスプレ衣装でも買ってこようかな・・・なんて。

「ん、そもそも陽菜ってレオタード持ってたよな。コスプレ衣装買わなくても十分映える衣装持ってるじゃん。安っぽいコスプレ衣装より全然いいしな」

 陽菜は新体操部。レオタードも持ってきているだろう。新体操部の道具一式も全部用意されているだろう。それ以外に必要なものが果たしてあるだろうか。あったら買い物にいっていいかな。金使っていいかな?俺の金じゃないんだよな。減ったりしたら強盗扱いされないかな。

「金、金言うんじゃねえよ」

 思わず一人ツッコミが入ってしまう。くそ。こんなこと考えている間にも刻一刻と時間は過ぎていくわけだし。この幸運は終わりを迎えてしまうかもしれない。
 いま、最も優先しなけれればいけないことは、時間の節約じゃないだろうか。

「ん・・・待てよ・・・」

 俺はいま外西陽菜なんだ。どうどうと新体操部の部室に行けばよくないか?そうすればカメラもレオタードも置いてあるはずだよな。あわせてまだ放課後まで一時間あるし、部員がサボっていない限り誰も部室にいるはずがないんだよな。
 教室に戻る生徒たちの波に逆らって、陽菜(俺)は新体操部の部室へと向かっていった。
 新体操部の部室は体育館の中にある。他にもバスケ部やハンドボール部、バレー部、剣道部、柔道部もあるほど大きな体育館だ。
 その中で新体操部の部室は一階の並ぶ部室の手前から五番目。問題は鍵はどこにあるかと考えたけど、部長の陽菜のポケットに普通に入っていたのだった。
 至れることはできなかった未開の聖域。女子新体操部の更衣室!
 陽菜(俺)はドアノブを回し、軽く押すとゆっくりと扉は開いていった。続きを読む

      新体操部part2

 インターハイをかけた県大会。暇つぶしに新体操部を見にいったのがまずかったのか、
 それともクラスメイトの彼女の演技に魅了されたのが運命なのか・・・
 拍手を送る観客の中で呆然としている俺を、彼女は確かに見つけていた。

 外西陽菜‐とにしひな‐は一年先輩の檜森真宵‐ひもりまよい‐と肩を並べる新体操部だった。真宵の代から引き継ぎ部長となった陽菜は、一か月後に俺、河原宏‐かわらひろし‐に声をかけたのである。
 クラスメイトでありながら一切関わりのなかった。話すらまともにしたことのなかった陽菜に誘われて向かった先は、誰もいない屋上だった。
 涼しい風が吹き抜けていく屋上に出る陽菜と、その後に続く俺。いったいこの時期になんの用なのか分からなかったし、何故唐突に俺を選んだのかも分からなかった。

「・・・ねえ、河原くんて女の子の身体に興味ある?」

 陽菜が俺に初めて喋った言葉はこれである。唐突過ぎて脳が彼女の言葉を読み込んでくれなかった。

「え・・・え・・・?何を言い出すんだよ、突然」

 女の子の身体に興味あるだって?
 ”憑依”とか、”入れ替わり”とか、TS‐トランスセクシャル‐とか、そういう話をまさか、彼女が知っているのだろうか。
 そのことに驚きだった。
 ここは素直に応えるべきだろうか?
 それとも、はぐらかすべきだろうか?
 選択肢によっては俺の人生を大きく左右する返答になるだろう。
 そう彼女が言ってきたってことは、陽菜‐おんなのこ‐の身体に興味を示してたほうが喜んでくれるのではないだろうか。
 ここで逆にNOなんて言ったら、話はそこで終わってしまう気がするし。
 誰もいないところに連れて来たってことは、誰にも言えない答えを待っているってことでもあるし。
 秘密を共有したいという彼女の意志の表現を密かに暗示しているってことではないだろうか。
 ストーカー的な発想か?違う、相手の真意を掴むため、心の奥深くまで放さないようにするための常套手段。
 逃がしてたまるか、このビックウェーヴ!

「ごめん。言い方が悪かったわ。彼女いる?」

 彼女が察して修正し直した。
 ・・・・・・。あ、そういうことね。そりゃあそうだよな。女の子がTSなんて興味あるわけないか。ハハハ・・・。

「彼女なんていないよ」
「ふ~ん・・・」

      いい天気

 なにかを向こうも掴み取ろうとしているのか、自分が出した質問に対する返答に素っ気なかった。

「じゃあ、童貞なの?」

 直球過ぎない?新体操部ってそんな話をいつも誰かとしているのだろうか。
 女子って相当な変態じゃないか。ゲームで遊んでいる男子の健全さが涙ぐましい。

「そうだよ。悪いか?」
「・・・・・・」
「(って、会話はそれだけかよ!!)」

 無言は勘弁してくれよ。この季節は陽が出てきているとはいえ少し肌寒く感じるんだけど・・・。
 ・・・外西陽菜は新体操でも一人黙々と練習し、クラスでも一人黙々と勉強し、優等生という地位を確立している生徒だ。
 生徒のお手本と言われているし、誰とでも普通に会話をする子だけど・・・自分から話にいく姿を見たことはなかった。
 周りに合わせて話を振れば応えていくようなスタイルの彼女が・・・今日は俺に話を振っているというのは珍しいのではないか・・・。

「じゃあさ、河原くん――」
「・・・え?なに?」

 考え事をしていて話を聞いていなかった。顔を向けて改めて陽菜の話を聞く。

「私と・・・カラダ交換しない?」

 それは、まるで通信ゲームでもして遊ばないと、軽く言ってくることにびっくりしてしまう。
 初めて会って即『セックスしよう』とふっかけてくるよりも巡り合う確率なんて皆無だろう。
 そもそも、カラダ交換しないって、それって”入れ替わり”ってことを言っているのだろうか?つまり、”憑依”とか、”入れ替わり”とか、TS‐トランスセクシャル‐とか、そういう話をまさか、彼女が知っているのだろうか。

「河原くんて女の子の身体に興味あるんでしょう?」

 今度は間違いないと確信をもって言える。やっぱりTS知ってるじゃないか。陽菜は俺と同じように、”入れ替わりモノ”を知っているってことにさらに一段と驚いてしまっていた。

「そ、そんなことより外西さんがどうして急にカラダを入れ替わりたいなんていうのさ?」

 男性からじゃなく、女性から身体を入れ替えたいなんて願望持つだろうか。俺‐だんせい‐なんて、バカだし、単細胞出し、脳筋だし、パワーこそ正義の世界だぞ。楽しいっていうより、工夫はないし、面白いかと言われたら微妙。それ以外に何もないじゃないか。
 だったら陽菜‐じょせい‐の方は美人で衣装替えできて、化粧できて、カラダで色々できるし、やれることいっぱいあるじゃん。しかも化粧も衣装もやればやるほど残るものだ。やった分だけ得をするじゃん。最強の中学生生活を満喫できるじゃないか!はたしてすべてを捨て去ってでも不服と思う事があるのだろうか。

「・・・・・・私だって普通に過ごしてたはずなのに、部活でも勝手に部長を押しつけられて、いつの間にか優等生呼ばわりされて、先生には他の生徒の模範になるように見本にされて、このまままじめに生きてねとか言われてさ・・・、そうやっていくのに疲れる時だってあるのよ」

 なんとも贅沢な悩みだった。

「それで、その発散ってわけじゃないけど・・・私っていうか完璧ってどう見られる人のことを言うんだろうとか、世の男性ってどんな女性が好きなんだろうとか調べていったら、ヘンなサイトを見つけて、つい男性って女性のオナニー好きなんだとか、憑依好きなんだーとか思っちゃって」

 それは間違ったサイトでヘンな性癖を身につけられてるよね。欲しい情報じゃなかったよね。検索から外れてるよね。
 汚点だよね、ソレ!むしろ、染まっちゃダメなヤツだったよね!?

「そんなことを調べてたら、男の子ってどう感じるんだろうって思っちゃったの。興味本位」

 すると、陽菜のポケットから小瓶に入った『粉薬』が登場した。まさか、彼女・・・『粉薬』を――。

「それで、買っちゃったの?」
「そういうこと」

 優等生で、お嬢様かよ、こいつ。苦労知らずな世間知らずなのかもしれない。
 そんな立場を捨てて平々凡々な俺と”入れ替わり”たいって、むしろ俺からすれば好機で、逆玉の輿を狙えるんじゃないか?
 まさにそういうTSシーンだったら、お約束で――

『ぐへへ・・・。おまえの人生は俺が貰ったぜ』
『やめてええぇぇ!私の身体を返してええぇぇ!!」

 まさに王道を往くパターンだよね?
 なんで、こんなに淡々としているのだろうか。
 外西陽菜と河原宏じゃなかったらもっと濃厚な話になれたんじゃないかな。

 いや、逆に言えば――TSってこれだけ認知されてきてるってことなのかな!?

「お互いに異性のカラダに興味があるわけだし、カラダ交換するよね?」

 そう言って、俺の隣に腰掛けて、何気なしに小瓶を開けて『粉薬』を開封する。
 蓋の開いた小瓶からピンク色した『粉薬』が風に吹かれて舞い始めた。
 陽菜は俺の返事を待つこともなく、目を閉じて身体を預けていた。室外でも甘い『粉薬』の匂いが俺たちのまわりを漂っているのが分かった。
 心臓の音がバクバクするのは、決して陽菜の頭が俺の肩に乗っているだけのせいではなかった。
 これだけ心の中で騒いでいて、今更逃げるわけにもいかないと俺は心を決めたように同じように目を閉じていた。

「よろしくお願いします・・・・・・」

 俺もまた意識を閉じるかのように目を閉じていく。その時に『粉薬』は俺にはまるで桜のように見えたのだった。

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 一週間後。
 入れ替わった身体は元に戻り、オカルト部に私は赴いていた。
 私の予想通り部室を明け渡す様子は微塵もなく、関くんとの一件以降、私の顔を見ながらニヤニヤ笑っているオカルト部に私自身弱気になってしまっていた。

「今日中に部屋を明け渡してもらわないと困ります。速やかに退出を――」

 建前を述べる私に対して、関くんが近づいてくる。無意識に私は後ずさりしてしまった。

「生徒会長さん。一週間前と比べて随分としおらしくなっているじゃないか。また俺と身体を混じり合いたいのかい?」

 関くんの声に入れ替わった時の記憶が脳にフラッシュバックして思い出されてしまう。

「冗談言わないでください!私は廃部の件のみお伝えするためにココに・・・・・・決して、それ以外の目的で来ようとなんて思いません」
「いや。会長は知らないだろうけど、ここ一週間毎日会長の身体はオカルト部に来ていたんだよ。『入れ替わり』によってね。そして毎回俺たちと身体を交えていたんだよ」

 オカルト部員が語る真実に私は悲鳴に似た否定を叫んでいた。

「嘘言わないで!」
「あっ、そっか。会長は寝ていたから覚えていないよね?でも本当なんだよ。これが証拠ね」

 彼らの携帯に収められたオカルト部での乱交写真。その中心にはオカルト部員とハメ撮りしている私の姿が映っていた。

「じゃあ、最近の身体の疲れは・・・」
「生徒会長がこんなに乱れてて秩序もなにもないよね?俺たちみたいな汚らわしい手で触れてほしくなかったみたいだけど、この身体はもう俺たちの手触りを覚えているんだよ」
「いやああぁぁぁ!!!」

 オカルト部の話が理解できないのに、まるで呪いのように耳に纏わりつく。
 知らない間に私の身体が犯されていただなんて、そんなことを表沙汰にすればオカルト部員だけじゃなく、私の経歴にも傷がつく。
 プライドが無い人間は無敵で強い。
 オカルト部に近づくなと、前会長が言っていた意味の本当の理由が分かった気がした。

 彼らと関わったら、プライドも自尊心も全て失‐な‐くなってしまう――

「じゃあ、今日も俺たちがこの身体を可愛がってやるぜ。会長。今日で廃部になるんだっけ?そう思うと残念だな。この一週間が一番活動内容的に楽しかったぜ」
「本当に終わらせていいのか?会長さん」

 なんで私に聞いてくるの?規則に習い、生徒会長として学園の秩序を守るために、オカルト部の廃部は決定事項。今更撤回・先送りなんて出来ない。

「いや、できるさ。会長が権限使って守ってくれよ。俺たちを守ってくれないとどうなるか、わかるよな?」

 生徒会長である私を脅迫してくる。関くんの目は本気だった。携帯で撮影した私のポルノ写真をばらまくつもりだ。
 写真の中の北上静乃はどのようにして撮られたかなど知る由はない。こんな写真が学園中に知れ渡ったら私はもう生きていけない。

「・・・わかりました。オカルト部の撤回は白紙に戻します」
『イヤッホー!!』

      陥落

 オカルト部が大喜びではしゃぎ回る。部の存続が決定したオカルト部は今後さらに調子に乗ることは明白だと分かっている。
 でも、決定してしまった以上私にはもう手に負えない。
 それが勝ち負け。負ければすべてを奪われる。

「次はどうします?料理部の遠野美凪、ソフトボール部の浅桜実波、風紀委員長の最上さおり、前生徒会長の伊澤裕香も候補に入れましょうか?」
「待て待て、慌てることないだろ。ゆっくり決めようぜ。この学校はレベル高い女子多いからな」
「資金繰りだって使いすぎ厳禁だろ。あーでも決めらんねぇ。全員とセックスしてえぇぇ~!」

『粉薬』を買うための資金の問題について話し合うオカルト部。相手のことなど考えもせず、己の私欲だけを貪る。人間のエゴが凝縮した話し合いから逃げ出すしかなかった。
 しかし、

「おい、待てよ」
「・・・・・・えっ」

 私に対して関くんが話を振る。

「ちょうどいいじゃねえか。生徒会長に相談してみようぜ。俺たちの活動資金を増やしてくれって」
「ま、まさか貴方たち――!廃部だけじゃなくて、活動資金まで横流ししろって言うの!?生徒会長である、この私に――!」
「嫌とは言わないよな?」

 携帯を翳すオカルト部に私は俯いてしまう。なんという一方的な搾取だ。どうしてここまで他人に対して非道なことが出来るのだろう。同じ人間とは思えないほどの悪の権化だ。でも、想像を超える悪人は世の中には存在するのだ。
 それが私の場合、同じ学校内でいてしまったこと。ただ、それだけの最悪の隣人だ。

「写真は使うな。このままじゃ生徒会に取り繕って貰えなくなる。会長さんとはこれまで通り良好の関係を築きたいんだ、俺は」
「なんて勝手な言い分を――っ!そんなことできるわけないじゃない!」

 憤りを露わにする私を前に、卑屈にほくそ笑むオカルト部。

「どうするんです、兄貴?」
「簡単さ。俺たちの活動内容を会長に理解させればいいんだよ。女が嫌悪している快感をオカルト部が会長直々に教えてやるよ」
「ちょっ、ちょっと・・・・・・」

 関くんの言葉に感化された部員たちが歩み寄る。逃げなくちゃと、私が身の危険を感じるより早く、私の身体を縄が纏わり縛りついてきたのだ。


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「・・・・・・それじゃあ、そろそろ挿入れてもらおうかしらね」

 腰を擦りつけて男性器を刺激してくる。カウパー液に濡れた静乃の足のお肉に刺激されて逆に気持ちよくなる。敏感になった男性器の快感はこんなに気持ちいいなんて・・・。

「あぁ、何、この感じ」
「それが男の感覚さ。どうだい、こうされると気持ち良いだろう」
「いや!気持ち良いなんて、そんな」 
「困惑してても身体は正直のようだよ」

 静乃(憲武)の言う通り男性器は段々と大きく、硬さを増している。まるで憲武も元の自分の男性器を勃起させているという行為に興奮し、静乃の股間を濡らしていた。

「あぁ、これから体の中から俺のおち〇ち〇を会長の中に挿入するんだ。いったいどんな感じがするのかな?」
「いや・・・もう、やめて・・・」
「フフフ。・・・関くん、挿入しちゃうわよ」

 抱きついている静乃(憲武)が腰をゆっくり持ち上げて位置調整しているように亀頭を擦りつけてきた。仰向けに寝転がされた私の上に馬乗りになって、硬くなった男性器を持ち股間にあてがうと、その先端を少しずつ膣口へと飲みこませていった。
 ぞくぞくした身震いが静乃(憲武)の身体を襲った。

「うひ、ひゃぁ!・・・はぁ、はぁ・・・これが・・・会長のおま〇こに挿入していく感覚なんだ!・・・ぅっ、ううっ!」

 静乃(憲武)は、痛みを快感に変えてさらに腰を沈めていく。ぐっしょりと湿った膣内は大きく膨らんだ男性器に押し広げられている。苦痛に歪む表情を浮かべながらも、一気にそれを飲み込んでいった。

「入ってくる~。おち〇ち〇熱ぅい~。会長の身体が焼けちゃうくらい熱くて・・・気持ちいい~」

 静乃がセックスに歓喜しながらゆっくりと身体を上下させて、ちゅぷちゅぷとカリ首が擦れる感触を楽しむようにピストン運動を早くしていった。
 露出させたおっぱい上下に跳ねる度に激しく揺れている。静乃(憲武)の艶やかな表情を見上げながら、快感に溺れる私は成すすべなく膣内で扱かれる男性器をさらに勃起させていった。

「あん、あん、ほらっ、憲武くんのおち〇ち〇が私の中を出たり入ったりしてるよ!よく見て~」
「いや、そんなこと、あ・・・ああ、なにこの感じ・・・いやぁ、やめて、動かないで!」
「あ、あん、あ、あ、あん」

 私の声を聞かず、静乃(憲武)はひたすら男性器を扱き続ける。その気持ちよさは上昇し続け、先ほど吐きだせなかった分と合わせて海綿体の奥から凄い勢いで快感が膨れ上がってくるのを感じていた。

「いや、なにか来る・・・で、でちゃう~~!!」
「あ、あはっ、だしちゃえ・・・思い切り私の膣内にい~っぱい射精しちゃいなさい!!」
「いや、出るぅ、いやぁ~、いやぁ~!!」

 ギュッと膣内が射精管理した手のひら以上の締め付けで男性器を逃さなかった。私は限界になり、腰が反射的に跳ねながら亀頭の割れ目から大量の精液が噴き出していくのを感じた。

「いっ、いく、イく!いクイク!!いっくううぅぅーー!!!」
「あああ、でてりゅ!せーえき、なかにビュッビュでてりゅ、はあぁぁぁあんんぅーーーー!!!」

 精液が勢い良く子宮内に噴出していった。静乃が目の前で喘ぐ姿を眺めながら、私は意識を失ったのだった。


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 意識が少しずつ戻ってくる。私を呼びかける声が聞こえる。

「・・・・・・てる?起き・・・!・・・・・・ょうさん。・・・・・・会長さん起きてよ」

 ――このお香は吸いこんだ者たちの魂を入れ替えるものなんだ。

 その聞き覚えのある声と眠らされる前の言葉を思い出した瞬間、私は勢いよく目を開けた。すると、そこには信じられない光景が飛び込んできたのだ。

 わたしだ。
 私と全く容姿をしている北上静乃が私を見下ろしていたのだ。
 鏡とか、幻とか、そんなものでは決してない。
 意識をしっかり持った状態で、私の顔をした偽物が、ニヤニヤと下卑た歪んだ笑みを向けているのだ。

「わ、私が目の前に・・・!?こ、声が・・・コホッ、コホッ!」

 私の声が低くなっている。まるで、男性のようなテノール声だ。普段落ち着きのある声が、私の心境を投影するように慌てふためくように声を裏返して焦っている。
 じゃあ、今のは私の荒げた声かもしれない。・・・それに、よくよく見ると私は女性用の制服ではなく、男性用の学生服を着ているのだ。
 ペタペタと顔を触れる私。硬くなっている身体付き、におい、濃い顔つき、大きな腕、長い脚、声、髪質、筋肉質の胸――私が五感から判断するよりも、第六感という感知能力の方が先に私の身に起こったことを予感させていた。
 目の前に現れた北上静乃は偽物でもない。あれは本物の私の身体だ。眠らされる前まで私といたはずのオカルト部部長の関憲武くんと身体が入れ替わってしまったのだ。
 自分の予想が非現実的過ぎて認められないと言わんばかりに悲鳴が漏れてしまう。しかし、その声は間違いなく関くんのものだった。私が行動すればするほど、予感は確定に変わっていく。

      夕焼けの幽霊

「やっと目が覚めたね。見て分かるけど俺と会長の身体は入れ替わったんだよ。このお香の能力でね。俺がいま会長の身体を使っているし、会長が俺の身体を使っているんだよ。しばらく会長の身体を使わせてもらうよ」
「勝手なこと言わないでよ!私の身体を返して!」
「このまま素直に返したらオカルト部を廃部にされちゃうからね。それじゃあ困るんだよ。生徒会にはうちに部費を送ってくれなくちゃ。学生の時には思いっきり部活に精を出して遊ぶことをしないといけないよね?それがうちの高校の標語じゃないか」
「部費の内訳を決めるのも生徒会です。そんな横暴な使い方をしていたら持ちません。生徒を脅して水増ししていたやり方を変えるつもりはないのですか?」
「ないね。遅かれ早かれ生徒会には部費を冷やしてもらうよう直談判をするつもりだったんだよ。そのためにこのお香を手に入れたわけだけど、まさか計画を前倒しにして廃部危機に使うことになるなんて思わなかったよ」
「あなた・・・まさか、最初から私と・・・・・・」

 私は関くんの考えに身震いを覚えた。前会長から引き継ぐ際にオカルト部に近づくなという噂は当たっていた事実に気付いてしまった。野心のためなら生徒会すら利用することを厭わない。生徒会の最高責任者の私の身体を奪う暴挙を食い止める方法を知る由もなかった。


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 神保向陽高校は今年から新入生の減少、部費の削減から部活動を一つ削られることとなった。
 生徒会長の北上静乃―きたがみしずの―含め生徒会では数ある部活動のうちどれを無くすかを決めていた。
 当然、どの部活をなくすかの参考として活動報告というものが毎月提出するよう義務付けられている。部活動によっては経費がかかるものがある。経費と活動費が釣り合っていない部活を削ることが一番学校にとって利益になる。生徒会たるもの、部活すべてを監視しているわけではない。しかし、管理している以上決断が必要な場面がある。
 報告書を見ながら候補に挙げた部活を見比べながら、さらに書類に目を通していく。やはり運動部よりも文化部の方が削りやすいのか、残った書類はほとんど文化部になっていた。

「りょうり部の部費で払っているお米券は削っても良いのではないでしょうか?毎月3万って多すぎですし。卵焼きが辛い時点でお察しですし、改善の兆しが見られないならなくしてもよろしいのではないでしょうか?」
「いや、それよりもなんですか?ひょうい部って。なんの意味があるのでしょうか?人数が多いだけ部費が掛かるのは分かっていますが、毎月10万はどこに消えていくんですかね?」
「ひょうい部といえば、部長、副部長はアイドルにのめり込んでいるようですが、まさか――」
「決まりですかね・・・」

 副部長までひょうい部の廃部を決定している。後は静乃の判断が下ればひょうい部は廃部になる。
 静乃はしずかに様子を伺っていた。そして、重い口を開いたのだった。


「オカルト部ね!」



『はぁぁぁ~!!?』

 オカルト部員が奇声をあげた。

「なんで俺達が選ばれるんだよ!ふざけんな!これは贔屓だ!どこの部にいくら積まれた?おぉん?」
「陰謀だ!幽霊は存在しないと根拠のない持論を展開してくるエセ科学者と同じ暴論だ!」
「学校の裏で蔓延る悪の組織が真実を暴くことを恐れて動き出したか。やはり、生徒会は既に悪に堕ちていた憶測が確信に変わった――」
「勝手なこと言わないでよ」

 ギャーギャー騒ぎ立てるオカルト部の面子に静乃は頭を抱えた。

「あなた達と違い憶測で言っているわけではありません。ちゃんと証拠を持ってきました」

 静乃が持ってきたのは活動報告書ではない。オカルト部の活動報告書は成績優秀。活動費10万に対して100万円の奉仕活動を学園に献上している優良部である。それでも静乃はオカルト部を潰そうとしているのだ。その理由は部に対するクレーム。その嘆願書の多くがオカルト部によるものだった。

「あなた達オカルト部は学園内で恐喝行為をしているようですね。その金額を部費の収支に貢献して提出しているようですが、そんな金額を貰っていることが私からすれば許されざる行為です」

 疑似科学をオカルト部と称して噂や悪評を吹きかけ、部活内の環境、人間関係を改悪させる非道な行為を横行しているというものだ。それを解除するために金品を要求し、御払いをしなければ呪われるという非道な脅迫までしているというのだ。

「クレームと言っていますが残念ながら事実ですよ?それが違うというなら証明してもらいましょうか?」

 まるで悪魔の証明だ。白いカラスを見つけてこいみたいな無茶な要求をしてくること事態、静乃には耐えられない行為だ。

「それが事実だとしても知らなければいいでしょう?予言だが知らないけど、勝手に難癖をふっかけて人の幸運を吸い取ろうとする行為は善意ではありません」
「嫌なら聞かなきゃいいだけだろ?俺たちは善意で教えてやってるんだからよ。生徒のため、学園のために部活動して、しっかり活動記録として学園の貢献をしているなら不問にするのが正しい生き方ではありませんか?」
「なにを言おうと、言葉巧みに生徒を誑かし、詐欺行為をしているあなたの正しさを認めるわけにはいきません。それに気付いていないのだとしたら、私が生徒会長として責任を持ってオカルト部に廃部勧告を突きつけます」

      正義感強そう

 静乃が会長権限を持ってオカルト部に迫る。オカルト部の部長、関憲武‐せきのりたけ‐が眼鏡をもちあげた。

「まったく、うちみたいな弱小部を潰すのに正義感を見せて・・・厄介な存在だよ」
「あなたを恨んでいる人を大勢知ってるのよ。私は部活とは学園ではなく生徒が中心になって活動するものだと思ってます。そんな生徒を傷つける部活なんてあってはならないのよ。私は生徒代表として不要な部活の排除をするだけです」

 善意と偽善。正義と正義を譲らない二人。
 戦い、負けた方が偽物の正義だ。その為の権力。その為の武力。その為の資金力。
 火花を散らして両者は静かに戦っていた。

「オカルト部は一週間以内に部室を生徒会に明け渡してください。本日は以上です」

 権力がある分強気に出る静乃が部屋から出ていく。憲武は消えていった静乃を最後まで見つめ続けていた。

「威勢がいい。まっ、会長みたいな強気な女の方が俺好みなんだけどな」
「あ、兄貴・・・」
「どうします?」

 慌てふためく部員たち。いかに暴力的であろうと、それはオカルト部の力が発揮していたからに他ならない。呪い、信仰、宗教――信じる者がいるから救われる者がいる。それに対して対価が発生し、上下関係が生まれる。この学園の中に潜む階級社会。社会構図の仕組みの枠に捕らわれた神と信者。
 憲武が作り出した理想郷があと少しで完成するというのに、オカルト部の計画を邪魔しに来るというのなら後悔させてやろう。

「安心しろ。俺に任せておけ」
「兄貴!」
「フフフ・・・(生徒会長さんよ。アンタは勘違いしてるぜ。俺が何のために恐喝行為をしているのか。純粋に学園のためなわけねえだろ。恐喝の一部分を貢献しただけで正義感を見せているようだが、俺からしてみれば幸せな頭してやがんぜ)」

 憲武はほくそ笑む。結果とは全て偶然に生まれるものではない。オカルト部に所属しているものなら、呪いとは結果より先に来るものではなく、後に来ることがあることを知っている。

「(本当はよ・・・欲しいものがあったんだよ。それが先日手に入ったんだよな)」

 オカルト部が部費を溜めこんで調達したものは、既に憲武の手の中に握られていたのである。


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「これで終わりじゃないですよね、先生?」

 一度放出した脱力感に襲われていた私を現実に呼び戻す声を聞く。
 理恵(武)のブルマが目の前にあった。大胆に突き出されたブルマ尻が視線を釘付けにし、眼福極まりない光景を目に焼き付かせる。

「な、なに、その格好!?」
「だって、先生一人でイってしまって、私満足してないんですもの」
「もう、いい加減して!先生はあなたでしょう!私じゃない!私はそんなイヤらしい女じゃない!」
「くすっ。どんなに否定したって、この身体も、先生(あなた)も、えっちが大好きな人じゃない。この二週間、私のカラダで毎日ヌいていたくせに」
「違う!わたしじゃない!あなたの肉体のせいで――!」
「それで自分の身体は俺の精神のせいにして、きみの精神は俺の身体のせいにして、きみ自身の風紀を守っているんだね。なんだか最強の理論だね。きみ自身汚れることないなんて――それは、俺の求める答えじゃないんだ」

 スリスリ――

「くひぃ!」

      スリスリ

 肉付きが良く大きく張り付けた尻肉に敏感な亀頭が食い込む。そのむっちりとした柔らかさをより強調していて、白い肌と紺色の布地のコントラストに欲望を煽られる。

「ほらほら、先生の好きなブルマを穿いたお尻ですよ。スケベなケツとの相性が抜群ですね」
「ひぃう・・・うぅぅっ・・・!いやぁ・・・こんなの・・・」

 理恵のお尻に扱かれる亀頭は、吐き出したばかりだというのに、勃起して硬さを取り戻していた。私は耳を塞ぎ理恵の声を嫌がりながらも、両手が勝手に逸物をお尻の谷間に宛がい、左右から肉を寄せて挟み込んでいた。
 逸物から伝わるブルマ越しの尻肉の感触。生暖かい体温と小刻みに震える脈動。
 モチモチとした尻肉に包まれる心地が亀頭に染みこみ、ブルマのざらついた感触も合わさって気持ちいい。

「ううぅぅっ・・・!いやなのに・・・こんなの、いやなのに!どうして身体が言うこと聞いてくれないの!?」

 気持ちとは裏腹に取る行動。明らかに私は自分でお尻扱きを進めている。

「先生のせい・・・こんなの、わたしじゃない!」
「もぉ誰のせいでもいいわ。お互い気持ちよければそれでいい。わからないの?」
「わからないよ!こんな、・・・あんっ!・・・こんなもの!!」
「あううっ!お、おしりに、硬いの擦りつけられて、やあっ、あっぃ・・・ひやああぁぁ!!」

 しっかりと尻肉を寄せながら腰を振り、ムチムチとした肉感を味わいながら逸物を力強く押し付けていく。
 どっちが犯しているのか分からない。まわりから見れば武(わたし)が理恵(武)を犯しているようにしか見えない。
 私自身が風紀を乱してるんだ・・・。
 お尻で扱かれることが想像以上に気持ちいい。お尻肉が自分の逸物に馴染んでいるみたいだ。
 蒸れるブルマと汗ばむ理恵のお尻。
 否応なく想像できるア〇ルセックスのDVDの記憶を呼び起こされ、ヤりたい衝動すら駆り出される。
 エッチなのはいけないことのはずなのに、目の前にいる理恵(わたし)を人と思えなくなる。
 理恵の所有者は私なのだと分からせるための二、さらに谷間に強く逸物を食い込ませ、力強く腰を振り乳肉との擦れ合いを堪能する。

「ひぃいいん!熱いぃ・・・!押しつけちゃ、イヤぁ・・・!んぅううううっ!!」

 亀頭が我が物顔で前後し、尻穴に先端を力任せに押しつけると、ブルマの布地が圧迫されて菊の皺が浮かんでいた。愛液が染み込むブルマがどんどん濃く変色しているのを見て、心が躍進していく。
 亀頭がめり込んでいた辺りに大きな窪みが出来ている。これだけお尻にブルマが食い入っていれば、肛門にもかなり亀頭が埋まっていたに違いない。

「はぁ・・・はぁ・・・」

 私は理恵(武)の身体を持ち上げ武(私)の身体に座らせる。
 私の行動の意図に気付き、理恵(武)は不敵な笑みを浮かべていた。



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