半年に一回行われる、世界最大規模の同人誌即売会。
 多くの兵たちがやってきてはそこでしか買えない武器を手に入れていく。会場を盛り上げるために武器だけではなく売り子たちも多くやってくる。
 時間を費やし完成させた防具を羽織り、傷つき弱った体力を癒す役割を果たす彼女たちは、多くの兵たちの目の保養になって楽しませる。
 つまり、コスプレイヤーである。コスプレを楽しむ来栖川夕夏―ゆうか―と夕菜―ゆうな―の仲良し姉妹もまた冬の寒さに負けない防具を装備し、カメラ小僧の被写体となってカメラに収められていた。

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「夕菜ちゃ~ん!」
「夕夏さん!メイド萌えええぇぇ!!」
「こっち向いてくれえぇぇぇ!」
「奇跡の一枚をとってやるぞおおおぉぉ!!」

 二人は何度もコミケに参加していることもあり、多くのファンを確保するようになったのである。自前のドレスを作るのは夕夏にとって時間も実費もかかる大変な作業だが、こうしてファンに囲まれ写真に撮られることは名誉であり、癒しであり、努力が報われる瞬間でもあった。
 やめられなくなっていた。妹の夕菜もドレスを着て一緒に参加してくれているので、恥ずかしさも感じることは少なくなり、今後の意欲も向上させる。
 買うことを楽しむ買い物依存症の人もいれば、撮られることを止められない人もこの会場にはいるということだ。
 そして、モデル小僧の振りをして近づく変態紳士もこの会場には潜んでいるのである。

「ありがとうございました」
「サインください!」
「プレゼント持ってきてるよ。受け取って!」

 二人の時間が終わると同時に駆け寄るファンたち。ファンサービスと供に各々用意していたプレゼントを彼女たちに手渡すのもまた、貴重な時間だ。

「夕菜ちゃんにプレゼントを用意したんだ。はい、これ」
「ありがとうございます!・・・似合うかな?」
「夕夏さん、この『人形』の鼻に触ってもらえます?」
「はい、こうですね」
「・・・ありがとう」

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  二人は一人のおじさんの注文を忙しさのあまりに言われた通り受け取り、実行する。
  二人はおじさんのことを対して気に掛けることもせずに次のファンの応対を受ける。おじさんもまた二人の元を放れていく。
 しかし、おじさんの表情は目的を達成したことに喜びほくそ笑み、会場の中に消えていった。


 

 ・・・
 ・・・・・・
 ・・・・・・・・・

「お姉ちゃん。私、着替えてきていい?」
「うん。私たちの出番は終わったし、着替えていいわよ」
「はーい」

 夕菜が着替えをするために更衣室へ入る。

「お姉ちゃんったら私が可愛いからって何でも可愛いコスチューム着せるんだもん。すっかり冷えちゃったよ」

 冬の季節にそぐわない格好をしていたために体温の寒さに身を震わせる。衣装を外し、下着姿になった夕菜。

「早く身体を温めなくちゃ」

 セーターにスカートの私服に着替えるだけ。それだけのはずだった夕菜は、おもむろに下着を脱いで全裸になる。ブラもお揃いのショーツも脱いでしまった夕菜が鏡の前でその姿を映すと、はっと我に返ったような表情を浮かべた。

「あれ?なんで私・・・・・・きぃゃん!」

 大勢の人が集まる会場で全裸になってしまった夕菜が恥ずかしさのあまり声をあげる。しかし、その声もまた人に聞かれるわけも行かないので、声を殺した甲高い声とともに身を丸くしてしまった。
 疼くまる夕菜が顔を赤くして焦っている。自分がした行動の無意識さに疑惑が募る。

「(えっ、なんで私、裸になってるの?こんなのただの露出狂だよ~)」

 ここが更衣室で出番も終わったのは来栖川姉妹だけなので、幸い誰にも見られていなかった。しかし、壁や扉を隔てた先では大勢の男性たちが会場を蠢いている。何時だれが、更衣室にやってきてもおかしくない状況なのだ。

「(と、とにかく、脱いだものを着ないと。風邪ひいちゃうよぉ)」

 衣装を手に取った夕菜が再び着替えるために立ち上がる。そして、そのままコスプレイヤーが注目される独自のポーズを撮り始める。

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「うーん。もう少し、イヤらしいポーズの方が男性たちは喜ぶのかな?お姉ちゃんみたいにもう少し胸があったらいいんだけどな~」
「(なに言ってるの?!今はそんなこと言ってる暇ないのに~)」

 既に発表の時間は終わったのにも関わらず、これから発表でもしに行くようなポーズを裸のままとっている。自分の身体なのに身体が勝手にポーズを取り、口が勝手に喋っている。
 夕菜の声で、夕菜の口で、普段言わない欲求が口を紡ぐ。

「でも私って若いから。成長期だからこれから大きくなるよね。・・・ぅん・・あっ」

 自分の手でお尻を触り、撫でまわしながらその感触を確かめる。自分の手なのにまるで誰かに触ってもらっているように身体は動かせず、右手を小さなお尻に滑らせなぞっていく。

「(こんな触り方しない・・・わたし、欲求不満なの、かな?)」

 自分の身体なのに身体が勝手に動いている、そんなことを認めるわけがなく、夕菜は鏡に映っている行動を自分が原因だと思い始めていた。
 普段やらない行動も、普段と違う会場の雰囲気と空気がそうさせる。夕菜の身体を熱く滾らせる欲求不満が、夕菜の行動を過激なものへと変化させる。

「あっ・・乳首・・・勃起してる・・・あんっ!」

 普段は姉にも内緒で眠る前に部屋に籠って一人オナニーに耽る夕菜が、大胆にも大勢の人がいる会場でオナニーを始める。欲求のままに膨らみかけの乳房を弄り始め、熱い吐息を吐き出していく。

「(やめなくちゃ・・・っ!誰か来るかもわからない・・・そんな状況でするオナニーを止めなくちゃいけない、のに・・・)」

 自分の身体に言い聞かせるように、理性を働かせて抑制させなくちゃいけないのに、夕菜の身体は椅子に座り込み鏡に自分の姿を映し出しながら行為を繰り返していた。

「んぅ・・・ンァ・・・わたしの身体・・・えっちになってる・・・ぃゃぁ・・だめなのに・・・だめ、なのにぃ・・・」

 その言葉は自分を抑えるために言っているのか、自分を盛り上げるために言っているのか分からなくなっていく。身体から分泌される愛液を絡ませて自分の目の前にもっていって見せる自分の行為にさらに息を呑む夕菜。

「(どうして止まらないの?わたし、こんな場所でオナニーして興奮する・・変態なの・・・?)」
「わたし、こんな場所でオナニーして興奮する変態なのぉ。はやく、イきたい・・・!イきたいのぉ!」
「(そうだ・・・いったらこの行為を止められる。早くイって楽になりたい――んんぅ!)」

 快楽の余韻から夕菜の思考がオナニーを止めることよりも、イクことを優先し始める。理性を働かせることをやめて、感情にまかせて快感を味わうことを選んだのだ。

「ハァ、ハァ、んくぅ・・ンン・・・あぁぁ・・きもちいい・・・どんどん濡れてくるよ・・・」

 指先でチョコチョコとおま〇こを刺激して、濡れ具合を確かめる。興奮と快感ですっかり濡れてしまった夕菜のおま〇こは、細く小さな指を咥えることを簡単に受け入れる状態になっていた。

「ふぅぅん―――っ!!!」

 くちゅりと沈めた指にまとわりつく熱く滾る愛液と、狭い膣の感覚。ちょっと軽く触れただけで鼻まで抜ける刺激的な甘美が夕菜の身体をビクビク震わせる。

「あぁ・・。ぃゃ・・・こんな大きな音・・聞こえちゃうよ・・・」

 くちゅくちゅと、指をかき混ぜる度に響き渡る水音がねばりつき、聴覚すら麻痺させていく。

「(誰も聞かないで、誰も見ないで、誰もいないで――)」

 そんな願いを心の中で唱えながら、夕菜は目を閉じて自慰に耽る。

「ああ・・・イきそう・・。もう少しでゆうな、イっちゃう!・・・ふあぁぁ。はやくきてえぇ!はやく、ぅぅぅ・・・!」

 絶頂のラストスパートに向けて指の動きを激しく掻き立てる。片方の手で乳房を強く揉みし抱き、痛みを強めて感度を高める。

 くちゅくちゅくちゅと、溢れる愛液が椅子を変色させる。

「ふああぁぁぁ!い、いく、いっちゃうのぉ!ああぁん!!もうだめ、だ、だめえぇぇ!!!あはぁぁ~~!!」

 夕菜が全身を痙攣させながら絶頂を迎える。涎と愛液を垂れ流しながら快感の余韻に浸るその姿からは、普段の可愛らしさは微塵も窺えない。足をだらしなく広げたまま、しばらく夕菜は着替えることも忘れて呼吸を整えていた。

「・・・・・・ん。あれぇ!?私、なにやってるんだろう。お姉ちゃんだって待ってるのに・・・!」

 ふと目を覚ましたように起き出した夕菜。そのまま立ち上がると、着替えをそのままに更衣室から飛び出そうとしていた。

「行かないと。お姉ちゃんのところに行かないといけないんだ――」

 夕菜は急に夕夏のもとへ行かないといけないと頭の中でよぎったことを口走っていた。そして、あれだけ恥ずかしがっていた露出を隠すことなく、むしろ自ら曝すような形で裸のまま更衣室から飛び出していったのだった。

「おい、あれ見ろ!あの子裸だぞ?」
「おいおい、マジかよ。なんかの事件か?」
「レンズを向けろ!照射準備・・・・・・てえええ!!」

 一斉にカメラが切られていく。夕菜の裸姿が写真に撮られていく。
 そんなことを気にせずに、夕菜は夕夏の元へと走り出す。他のことなど気にしない、夕菜自身がやっている行為だと、そう思い込んでいるのだから。