「ハァ……ハァ……」

 記憶が混乱している。
 毅の中に紗里奈という存在が入り込もうとしている。約束の8時間。このままじゃ、私は本当に紗里奈になっちゃう。
 
 医院に戻ってくると、本日の営業は終了しましたという看板が出ていた。血の気が引いた。明日まで待っていたら、本当に毅としての人生が終わっちゃう。

「すいません!誰かいませんか!!すいません!」

 扉を叩いて貴美子さんを呼び出そうとする。すると、扉は押すと開いていた。鍵がかかっていなかったらしく、私は急いで中に入った。
 貴美子さんがカウンター内で忙しそうに働いている。私が呼びかけてようやく存在に気付いたようだった。

「申し訳ありませんが、今日の診察時間は終了しました」
「貴美子さん。……俺です」
「………………ああ。毅くんね。こちらへどうぞ」

 診察室へと案内され、八時間ぶりに自分の身体と対面した。布団をかぶって温かそうにしているが、微動だにせずに目を閉じて眠っていた。

「で、どうだったかしら?」

 貴美子さんが問いかける。

「…………生きるって、苦しいですね」

 自由になりたかった。自由になれると思っていた人は、この世の一番、束縛されていた。

「そうよ。あなただけじゃない。もっと苦しんでいる人はいるの」
「痴漢しか楽しみを見つけられない少女とか――」
「……?そんな人がいるの?」
「…………」

 そんな不審な目で見ないでほしい。あなたの目の前にいるんですから。

「恐怖が自由に繋がることなんてない。恐怖は自分が悪いと思っているから怖いんだ。恐怖に縛られて、自由はない。俺、彼女に教えないといけない。もっと楽しいことがあるんだって、教えてあげたいんだ」

 痴漢は犯罪です。そんな当り前なことを誰かが伝えなくちゃいけないんだから。

「じゃあ、早くリハビリを続けよう」

 貴美子さんが促すように背中を押した。でも、私はそれを申し訳なく断った。

「貴美子さん。一旦、席をはずしていただきますか?」

 何かを考えるようなしぐさを取った後で貴美子さんは頷いた。

「早くしてね。時間は待ってくれないから」

 言われたように席をはずしてくれる貴美子さん。残されたのは私と自分の身体だけになった。
・・・
 ・・・・・・
 ・・・・・・・・・

 二人だけになった部屋で、毅の寝顔をマジマジと見る。

「本当に眠っているみたいだ」

 8時間前まで死を望んでいた俺は、今は木枯らしに吹かれて消えていった葉とともに死ねなかった。でも、目の前にいる毅の身体はとても穏やかで、まるで死んでいるようだった。

「ねえ、きみは本当に自由になれたの――?」

 今ならはっきり言える。

「……ウソよ」

 自由になんてなれていない。
 だって、私にされるがままにズボンを脱がせられているんだから。
 やられ放題。それこそ私のやりたい放題だ。

「おちんちん、出しちゃうよ…………うわっ。自分のを改めて見ると、気持ち悪いね」

 おちんぽを掴んで慣れた手つきで動かす。でも、今までのように反応を見せてくれるわけじゃない。ただおちんちんを勃起させるだけしか反応を見せないのはつまらないものだった。
 私も上着を脱ぐ。ブラをはずし形の良いきれいな乳房をおちんぽに宛がった。

「パイズリなんてやったことないからわかんないけど、こうかな……」

 おちんぽを乳房で挟んで上下に擦りつけてみる。私からじゃそれが本当に気持ちいいのかわからないけど、おちんぽは手で撫でられるよりもさらに膨らんできた。

「あはっ、おっきくなってきた。意識なくても感じてくれているのかな?ず…ずずぅーー、レロ、レロ、んむっ、……ちゅ」

      9cd9d5d6.jpg

 おっぱいからはみ出した亀頭部分に舌を差し出す。濡れた先端は真っ赤に膨れ上がって透明な液がこぼれだした。

「は、ん……おちんちん、私の唾液でビチャビチャだね。自分でも見たことないくらいおっきくなってる……もう、大丈夫かな」

 私はスカートを脱ぎ、残ったショーツも下ろして生まれた姿になった。私のおまんこを舐めているうちに気持ち良くなったのか、愛液がショーツに染み出して糸が引くくらいまで濡れていた。
 こんなこと、初めてのことだった。

「……ねえ、私、一人でやったことがないの。だから、これから先がどういうことがあるかわからないの。怖いの。慰めてほしいの」

 ――決して紗里奈自身が言わないことを言っている。きっとこれは毅の自己満足だ。
 紗里奈の身体を使っての自己満足。それを味わいたいだけ。
 セックスの感覚を味わえれば誰でもよかったんだ。

 おまんこに宛がい、腰を沈めていく。おちんぽは腰を沈めると簡単に吸い込まれていった。

「ああっ!!――い、たい……」

 ――処女の身体を選ぶより、ヤッて捨てるだけなら熟女の身体に乗り移ればよかったのに、それをしなかった。

「こんなに、い、たい、…て、しらなかった……」

 私の身体はまだ男性を受け入れるようになっていないのか、腰を沈めても途中でつっかえて止まってしまった。痛いのだ。痛くて痛くて、これ以上進むことを止めさせたのだ。

 ――紗里奈を選んだのは、毅の自己満足。
 誰よりも好きだという毅の意志表示。

 ブツ――

「――――――――――っっっっっっっっ!!!!!!!!!!」 

 私の処女膜が破れた瞬間、涙がボロボロ流れた。声が出なかった。苦しかった。痛かった。

 ――助けてほしかった。あなたに助けてほしい。
 きみを救えるのは俺だけだ。

 血を流しながらも腰が最後まで沈んで、毅の腰に座ることができた。お腹の中が満たされ、満足感がこみ上げる。

「き、きつい……抜いて…ああん!」

 抜こうとしても私の身体は彼を離さない。無理やり抜こうとすると、身体に電流が流れて痺れさせる。今まで味わったことのない感覚。そう、これが快感なんだ。

「ああ…あ、あっ、あっ、あん……」

 ゆっくりだけど、少しずつ腰を動かす回数を増やしていく。血と一緒に愛液が流れ出し、気持ちよさが膨らんでいく。

「…気持ち、いいよ。もっと、おく、突いて……私を、気持ちよくしてええ!!」

 ――パンパンパンパン
 腰を叩く音がリズミカルになってくる度に、快感が押し寄せる。気づけば処女膜を破った痛さは消え、残ったものは――自由だった。

「ああん!くる!押し寄せてくる!わたし、いっちゃうう……イクうううぅぅぅ!!!」

 ビクンと毅の身体が跳ねた。その瞬間、大量の精液が体内に押し流された。

「あああああああああああああんっっっ!!!!!!……アツイ…」

      50f8586f.jpg

 ドクドクドク…
 子宮に流れ、体内を満たす自分の精液。
 私の身体には小さくて、全部を受け入れることができなくて、シーツへ垂れ落ちてしまう。
 全身が脱力する。無気力で、他にやることが何も見つからない。

 ――でも、この感覚は決して忘れない。身体に刻み込ませよう。
 
「いつか、必ず迎えに来て」

 たとえ心と身体が引き離されたとしても、私は彼と確かにつながった。