「あん…あ…………ハァ」

 あまりの気持ちよさに潤が失禁してしまう。
 その瞬間、毅の視界は真っ暗になってしまった。

「(うわっ、なんだ!?)」

 突然のことで困惑したが、おそらく失禁とともに毅自身も流れ出てしまったのだろう。

「(早く戻らないと……でも、何も見えない)」

 手探りのように潤の身体を探すが、何も感じないというのは非常に困るものだ。潤の体温すら感じないのだから。

「(きっとすぐ近くにあるだから、飛び込んでみればいいんだ。てやっ!)」

 手当たり次第に飛び込み台からプールに飛び込むように(イメージ)跳ねては落ちる。すると、ようやく視界が戻った。
 目の前には息を切らして失神していた潤がいた。

「………………あれっ?」

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 潤のつもりだったのに、目の前には潤がいる。毅は芹香の中に入ってしまったのだった。
 ゆっくり起き上がって鏡の前に、ツインテールを揺らした少女が映っていた。

「間違えたけど、彼女も気持ちよさそうにしてたしな。あんなに感じるのに性交嫌いなんて絶対損してるよ。……決めた!しばらく彼女の身体で遊ぶとしよう」

 満面の笑顔で鼻歌を交えながら服を着替え終えると、未だ眠っている潤を置いて一人ホテルを出て行こうとする。

「きっと潤もびっくりするだろうな。目が覚めたらホテルで、裸になってたら考えることは一つだもの。ごめんね、潤」

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 そう思いながらも考えることは自分の体とのセックスしかない毅は笑顔で電車に乗り込んだ。知らない間に4駅先の町まで来ていた毅は戻らなくてはいけなかったのだ。
 電車に乗るのも久しぶりの毅は満員電車ではなかったが、座ることに抵抗があり、ドア前の鉄棒につかまりながら外の景色を眺めていた。

「(やっぱ景色は動いてた方が面白いな。……本当に自分の身体に戻らないといけないかな……)」

 こうして飲み薬でいろんな子に乗り移っていれば、自分の体なんかいらないんじゃないか。不自由あって過ごすよりも、何不自由ない人の体を借りて過ごした方が楽じゃないか。
 そして、その方が面白いじゃないか。

「(……いっそ、帰らないで旅にでも出ようかな…この身体で)」

 ドアに映る自分の姿を見て考えてしまう。可愛い子だ。助けてと叫べば誰かが助けてくれるような気がした。
 身体を売ればお金にもなるじゃないか。きっと何処へでも行けるような気がした。

「……」

 そんな考えがしているときにメールが届く。潤だった。

「 芹香どこにいるの?もう帰っちゃった?連絡ください 」

 ごめんなさいしている絵文字が入っている潤らしいメールである。

「(……そっか。人にはそれぞれの人生があるもんね…俺が決めちゃだめだよね……)」

 人を好き放題にできる理由はない。人生をめちゃくちゃにする権利は誰にもない。
 芹香にとって潤が必要なように、潤にとって芹香はやっぱり必要なんだ。

 ――不自由な身体だ。でも、そうやって人は過ごしているんだ。

「 急用ができたから午後から遊ぼう。連絡遅れてごめんね 」

 送信ボタンを押して潤に連絡する。
 乗り移る時間はたっぷりあるけど、現実と戦おう。
 リハビリをして自分の身体で歩けるようになろう。
 毅の身体が待っている医院へ早く戻ろう。

 電車は時間通りに動いている。


 ・・・
 ・・・・・・
 ・・・・・・・・・

「・・・・・・」

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 ドアのガラスに芹香以外にニコニコ笑いながら映るもう一人の少女の姿があった。先程考え事をしていて気にしていなかったが、その距離が随分近くなっているように思えた。
 ガタンと電車が揺れた瞬間、少女はバランスを崩して芹香に向かって押し出されていた。

「きゃっ」
「あっ。大丈夫ですか?」
「ええ。あ、ありがとう」

 そう感謝した少女だが、一向に芹香の身体から放れようとしない。むしろドンドン押し込むように身体を密着させていった。

 ムニュ――

 少女が芹香の乳房を触っている。無意識なのかわからないけど、芹香は意識してしまう。少女が時々揉むように手を動かしている。その度に芹香は息を押し殺していた。

「あ、あのぉ……手、触ってます」
「――♪」
「あっ!その…ちょっと――」

 電車の中で誰も芹香の異変に気づいていない。少女の行為を辞めさせるには今しかないと思い、少女にだけ聞こえるように声を出す。

「静かにしてないと周りに気づかれちゃうよ?」
「――――っ!?」

 今までになく冷たい声で少女が笑う。少女は知っていて、芹香の乳房を触っていたんだ。

「もし、声なんか出したらあなたのことをみんな不審な目で見ると思うよ?それこそ恥ずかしいわね」
「きみだって、俺が手を挙げれば――」
「ええ?私を痴漢と摘発したって誰も疑うはずないじゃない。だって私、女の子で、ふつう痴漢に興味を持つはずないじゃない」

 勝ち誇るような少女だが、実際その通りだ。普通なら被害に合うはずの少女が、痴漢を繰り返しているなんて誰も思わない。

「でもね、私、ある日から普通じゃなくなっちゃったの。痴漢の楽しさに気付いちゃってから止まらなくなっちゃったの。だって、私の行為を誰も何も止めることができないのよ?ただ犯されて気持ちよくなって、次の駅で消えていくだけ。アハハ…それってすごい愉快なんだもん」

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 ニュースですら表沙汰にならない痴漢被害。被害者が訴えることができなければ完全犯罪だ。芹香ですら少女を訴えられるはずがなかった……。だって、少女はとても可愛かったから。見た目は少女なのに中身は男性。

「……ひょっとして、きみも――」

 そこから先は芹香は呟くことができなかった。少女は疑問を浮かべながらも好意を再開させる。芹香のスカートの中に指を入れてきたのだ。細く小さな手がショーツを撫でている。芹香は目を閉じてただ少女の行為をぐっと我慢するしかなかった。

「あなたはどこの駅まで行くの?鳴神町?好実町?阪松市?到着するまでに気持ち良くさせてあげるよ。だから私にすべてを委ねて、ね」

 少女が直接芹香の乳房を触り、硬くなった乳首を抓りあげた。潤との感覚を思い出させる。ショーツには簡単にシミができてしまう。
 くちゅっという水気の音が芹香の耳に入るたびに、周りに聞こえていないだろうかと羞恥心が顔を蒸発させる。
 少女がスカートの奥でショーツをずらして指をおまんこに宛がっていた。

「あっ!」
「声を出すのだけは頑張って耐えてね。それだけは私じゃどうにもできないから」

 耳元で話しかける、吐息のかかる声も快感をくすぐる。顔を近づけてイヤらしい笑みを浮かべる少女に、芹香は束縛されていく。
 何もできない。不自由な身体――
 芹香の愛液で濡れた指をマジマジと見せつけてくる少女は生き生きとしている。
 楽しそうな少女。少女に逝かされるのは時間の問題だった。

 気持ちよさで腰が落ちると、少女は太ももで芹香の体重を支えた。だが、少女の太ももがおまんこに当たっている。少女が太ももを動かし始めると、おまんこが擦れて今まで感じたことのない気持ちよさが高まってきた。

「はやく逝っちゃえ」

 少女がクリトリスを弄んだ瞬間、全身に入っていた力が急激に脱力した。

「~~~~~!!!」

 少女に逝かされてしまった。床に座り込む芹香。壁に寄りかかりながらも顔を真っ赤にして息を切らしている様子に、数名の乗客が何事かと顔を覗かせていた。
 少女が芹香を見下ろしていた。芹香の絶頂した表情が少女の生き様のように。

「なんて、自由なんだ」
「ふふ…。この時間なら毎日電車に乗ってるよ。いつでも快感を与えてあげる」

 格好いい台詞を吐き捨てる。電車の中で次の到着駅のアナウンスが流れた。多くの人が車内に入ってくる大きな町だった。

「あなたが羨ましい――」

 芹香はよろよろの状態で立ち上がると――

「その身体。私に頂戴!!」
「えっ?んんっ――!!?」

 ――少女の唇をもたれこむようにして奪った。扉が開いた瞬間、芹香の身体が崩れ落ちて気を失っていた。

「きみ、大丈夫か?しっかりするんだ!」

 車内の人が何事かと思い芹香に駆け寄っていたが、少女はその光景をニヤニヤ顔で眺めていた。

「さようなら、芹香さん。俺はこの身体で自由になるよ」

 車掌が急いで飛んでくる中、少女はその場から消える様にいなくなった。