パタッと目の前で由美が倒れている。
 それを見ている俺は――

「えっと、あれ……」

 先程まで母親の祥子を見ていたはずなのにいなくなっている……
 でも、それは違う。

「……ひょっとして――」

 自分の身体を見る。先程まで祥子が身につけていた衣装を自分が来ていた。確信する。

「俺、母さんに乗り移ったんだ」

 鏡を見ると、ニコニコと喜んでいる祥子が映っている。そしてコートを脱いで服の上から乳房を挟み込む。

「由美さんの時よりも重くて大きいな。なんか照れちゃうなあ」

 せっかくだから母親の部屋で身体検査でもと思ったのだが、倒れている由美を見て冷静に戻る。

「このまま由美ちゃんが目を覚ましたらきっとパニックになるんだろうな」

 裸の由美になんとか服を着せていく。だが中々うまくいかない。人に服を着せると言うのはとても大変なことだ。

 ――と、

「う…ん……」

 着替えさせている途中で由美が目を覚ましてしまった。
 祥子(毅)と眼が合う由美。

「きゃああああああああ!!!!!」

 由美の大声が木霊した。

「えっ、なに?だれ?いやあ!?来ないで!!」
「おおおおお、落ちつけ、いや、落ちついて」

 全然冷静じゃない祥子(毅)だが、祥子の真似をして話を作る。

「あなたが外で倒れてるから家に運んだの。苦しそうにしてたから服脱がしてたのよ」

 苦しい言い訳だが、それ以外にとっさに思いつかなかった。だが、由美は、

「えっ、あっ、そうなんですか……そう、ですよね?ごめんなさい。急に大声なんか出しちゃって」

「(通じた……)」

 乗り移っている間記憶がないというのは間違いないようだ。服を着て一段落したところでさらに聞きこむ。

「いったいどうしたの?」
「それが覚えてないんです……急に寒気がして、苦しくなったら、意識を失ってしまって」

 そこからは俺が由美の身体を憑依してたと。相手に記憶が残らないことはつまりやりたい放題だということに、由美を心配しながらもニヤニヤ顔になってしまう。

「そう。今は大丈夫?」
「……はい。御心配おかけしました」

 玄関まで由美を送る。靴を履いて玄関の扉を開ける。

「さようなら」
「……あの」

 笑顔で見送る祥子(毅)に由美は一度赤い顔して振り返った。

「女同士だから聞きますけど、私の身体が火照ってるんですけど、何かしましたか?」
「しりません。さようなら」

 ――バタン
 と問答無用で締めて鍵までかけてしまった。
 急いで二階に昇る祥子(毅)。楽しみたくてうずうずして仕方なかった。
 ・・・
 ・・・・・・
 ・・・・・・・・・
「いやっほぅ!!」

 祥子の部屋に入ると喜びのあまり舞い上がってしまった。
 こうして俺が喜んでいても祥子の記憶には残らない。だったらやらなきゃ損じゃないか。
 歩くことを体験するのではなく、女の快感を体感するなんて滅多にあることじゃない。由美だけでもわかったけど、とにかく女性の快感は気持ちがいい。
 ならば俺は更に欲を出して、オナニーよりも気持ちいいっていうセックスを体感したい。しかも女性の身体でやってみたい。いったいどんな快感を味わえるのか楽しみでしかたなかった。

 ――可愛い女の子とセックスするまで、このままじゃ絶対に死ねない。

 時間はまだまだいっぱいある。祥子の身体で人通りのある駅前に向かおう。

「ということで、着替え着替え――」

 喜びながらタンスの前ではしゃぐ祥子(毅)。家族でも見たことのない母親の箪笥を開けると、見たことのない服がハンガーに多く掛けられていた。

「すごい。……お母さん、何着買ってるんだろう?」

 その分だけ祥子(毅)の心は踊っていく。来ている服を全部脱ぎ棄てようと思ったが、下着姿を鏡に映すと、顔を赤くしてしまった。

「お母さんの下着姿でもそそられるなあ」

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 小学生の時は度たび見せてくれていたが高学年、そして中学になってからは母親の下着姿の記憶はない。全然見ていなかった分だけ喜びも大きかった。

「……毅。こんな姿見てヘンな気を起こすんじゃないわよ?――ハーイ。お母さん」

 一人芝居までやってしまう。毅は生き生きとしていた。
 下着もストッキングも脱ぎ捨てると、裸の祥子が映った。

「でかいよ!お母さんのおっぱい。すごい軟らかいけど、たるんじゃってるね」

 ぼよんぼよん揺れる乳房。既に勃起している乳首に驚いてしまうが、もう何度も揉まれているからか、刺激はそれほど流れてこなかった。

「もう身体がきっとなれちゃってるんだね。……ちぇ。おもしろくないの」

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 それでも、セクシーなショーツを着ている祥子に笑顔が浮かんでしまう。使い古した黒いおまんこには気にも留めないほどだ。
 はたまた自分の母親のオナニーを見たいのかと問いたいところだが、今の毅は女なら誰でも良いのだろう。

「…………よし、出来た」

 祥子の格好はノーブラの上からセーターを纏い、下はショートスカートと網タイツだった。
 毅の趣味前回で全くバランスが取れていなかったが、本人が満足しているので何も言えない。

「さてと、出掛けようっと」

 コートを羽織り、外に繰り出す。
 余談だが、コートのおかげで毅が選んだ服はすべて隠されてしまっていたのだった。